やわらかあたま塾 いっしょにあたまのストレッチ

【やわらかあたまじゅく いっしょにあたまのすとれっち】

ジャンル あたまのストレッチ
対応機種 Nintendo Switch
発売・開発元 任天堂
発売日 2021年12月3日
定価 パッケージ:3,278円
ダウンロード:3,200円
プレイ人数 1~4人
セーブデータ 8個(実質1個)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント より低年齢層向けも意識したゲームデザイン
ボリューム不足の問題は悪化
協力プレイ削除
やわらかあたま塾シリーズ
初代 / Wiiで / いっしょに


概要

Wiiでやわらかあたま塾』以来となる、約15年ぶりの『やわらかあたま塾』。前作同様にパーティー性を重視した設計となっている。
もんだい(ミニゲーム)はDS版およびWii版から一部アレンジして流用されている。

システム

  • 本作には「直感」「記憶」「分析」「数字」「知覚」の5ジャンルに各4つずつ、計20個のミニゲームが収録されている。作中でミニゲームは「もんだい」と表記されているので、以下この表記に従う。
    • もんだいでは指示通りにプレイヤーが操作して問題を繰り返し解いていき、正解すれば「やわらか度」が増え、不正解なら減っていく。前作同様にこの数値は頭のやわらかさの指標となる。
    • 問題の難易度は6段階の「クラス」に分かれており、前作の3段階から倍増した。クラスの名前も単なる数字から「幼児」「初級」「中級」「上級」「エリート」「超エリート」と具体的になっている。
      • 一人プレイでは一定回数正解するたびにクラスがランクアップし、何回か間違えると下がる。答えるのが早いほど、また高いクラスほど正解時の点数が高くなっていく。
        ただし「かんたんサポート」をオンにしていると、幼児クラスから上がらない。
+ もんだい一覧

初代(DS版)から復活したものは◎、前作から続投したものは○で示す。なお本作にはマルチプレイ専用もんだいは無く、全て1人でも多人数でも遊べる。

  • 直感
    • えあわせモグラ ○*1
    • くらやみどうぶつ ○
    • きりぬきアート ○
    • すいそくしゃしん ○
  • 記憶
    • フラッシュきおく ◎
    • カードきおく ◎
    • さかさきおく ○
    • とりかごシャッフル ○
  • 分析
    • つみきのかず ◎*2
    • おもさくらべ ◎
    • かたぬきブロック ○
    • はやうちクイズ ○
  • 数字
    • あわせたかず ◎
    • たしざんつみき ○
    • とけいあわせ ○
    • じゅんばんふうせん ○
  • 知覚
    • ぶんかいパズル ◎
    • ぐるぐるかげえ ◎
    • レールつなぎ ○
    • してんえらび ○

ゲームモード

「メイン」と「パーティ」の2モードがあり、さらにその下に複数のモードがある。

メイン

1人プレイ専用のモード。遊ぶには必ず本体のユーザー登録を行う必要があり、「パーティ」のようなゲスト参加はできない。逆に、1人のユーザーが複数のセーブデータを作成することも不可。

  • テスト
    • 5ジャンルから各1つずつのもんだいをランダムにプレイし、やわらか度の分布と合計で「あたま段位」と「あたまタイプ」を判定してくれる。また、プレイ結果に応じてコインがもらえる。
  • ゴーストバトル
    • オンラインないし本体に保存された他のユーザーのプレイ(ゴースト)と対戦するモード。「世界のゴーストと」「フレンドのゴーストと」「家族のゴーストと」「ゴーストIDでさがす」の4種類があり、「世界の」では「やわらか世界ランキング」が記録される。
  • ストレッチ
    • もんだいを1つプレイする。獲得した成績によって「ハカリメダル」と☆をもらうことができ、高い特典を得るとコインがもらえる。
  • 超ストレッチ
    • 「ストレッチ」の全もんだいで金メダル以上を獲得すると解放される隠しモード。いきなり上級クラスからスタートする。こちらでも別にメダルが記録される。
  • いしょう
    • ユーザーのアバターの設定を変更できる。「はだ」「かみがた」「ひげ」「ふく」「かぶりもの」「アクセサリー」があるが、後3つは最初は数種類しか選べない。隠されたものは、テストまたはストレッチを遊んでコインを集めることで10枚につき1つ解放される。
  • ランキング
    • 他のユーザーも含めた各もんだいのベストスコアをランキング形式で確認できる。
  • せってい
    • 年齢などのプロフィール設定のほか、かんたんサポートのオン/オフ切り替え、スタッフクレジットの閲覧ができる。

パーティ

2~4人でプレイできる、1~5個のもんだいを遊んで合計点数を競うモード。登録済みのユーザーのほか、登録されていない人向けに「ゲスト」も使用できる。

  • もんだいの選び方はルーレットと手動選択の2種類あり、どちらも前のもんだいで最下位だった人(同点時はおそらくランダム)がルーレットを止める/もんだいを選ぶ権利を持つ。
    • 1人プレイ時と違い、クラスは各もんだいプレイ前にプレイヤーごと決定する形式で、正解数に関わらずその問題では同じクラスが続く。みんなで易しいミニゲームをひたすら潰しまくることも、反対に難しいゲームで競うことも、年少者へのハンディキャップとして使うこともできる。
    • また、順位を決めるのはやわらか度ではなく単純な点数となっており、クラスに関係なく正解した順に1位20点・2位8点・3位4点・4位2点が加算されていく(時間切れ・不正解は0点)。誰かが100点に達した時点でそのもんだいは終了となり、点数が加算される。
      • 誰かが80点に達すると「リーチ」となり、その時点で50点未満の人は次問以降に正解すると50点もらえる。
    • 1人が正解した時点で他のプレイヤーには10秒の時間制限が課され、それ以内に正解できないと0点になってしまう。
    • 規定回数のもんだいを終えた時点で、点数の合計が一番高かった人の勝ち。

評価点

  • 長く遊べて脳も鍛えられる
    • 使い回しでこそあるが、その分各ミニゲームが高く評価されていることの裏返しでもある。1人プレイではやり込み要素になり、多人数プレイではワイワイ楽しめる。
  • 幼児もターゲットに据えたUI・システム
    • 前作では「塾」の名の通りに凝りまくったデザインとなっていたが、本作では大幅に簡略化されてわかりやすくなった。
    • 幼児クラスより上のクラスに進まなくなるお助け機能も、誤答しにくくなるだけで幼児のモチベーション維持にはよく役立つ。
    • もんだいの名前にも漢字が一切使われなくなっている。
  • やり直しが楽
    • +もしくは−ボタンを押すとすぐにルール説明場面に戻り、やり直しができる。高得点には一刻一秒を争うゲームなのでこれはありがたい。

賛否両論点

  • パーティモードのルール
    • 点数差が広がった場合に救済措置(逆転要素)として用意されているリーチ制度であるが、50点未満のプレイヤーのみが、50点もらえるルールであるため、点数が50点ちょっとのプレイヤーにとっては何の恩恵も得られない。
      • 極端な話、A80点、B50点、C48点の3人がプレイしており、A,B,Cの順に正解すると、A100点、B58点、C98点となりBにとってはかなり点数的に厳しい展開となる。
    • 難易度差をつけることでハンデとすることができるが、一部の問題はそもそも高難易度だと低難易度のプレイヤーがミスをしない限り絶対に勝てない仕様となる。
      • 例えば、えあわせモグラは幼児レベルだと叩くべきモグラが1匹だが、初級レベルだとモグラが2匹となり、1度に叩けるモグラが1匹までなので初級レベルのプレイヤーが勝つためには幼児レベルのプレイヤーが1回モグラを叩き損ねるか、間違ったモグラを叩いてしまう以外ありえない。
      • それを含めてハンデなのかもしれないが、同レベルで勝負するとどちらかが確実に勝てるが、ハンデをつけると(相手がミスしない限り)絶対に勝てないというバランスはどうなのだろうか。
    • 同じ難易度を選んだプレイヤーは全て同じ問題となる。特に「すいそくしゃしん」や「おもさくらべ」などは正解プレイヤーの答えを見てしまえば2人目以降は1位の答えをいかに早く入力できるかになってしまう。
      • 相手がミスすれば、その答えは違うことも分かるため、推測がしやすくなってしまう。
      • とはいえ、違う問題が出ると、問題の違いによる不公平感も出てしまうため、その辺は他のプレイヤーの答えは見ないようにする、といった具合のローカルルールで対応するしかないだろう。
    • ……といった具合にルールには粗が多いが、ほぼ同じレベルのプレイヤー同士で遊べば問題なく楽しめる仕様である。

問題点

  • モードが少ない
    • 3000円のゲームとはいえ、1人プレイでは1回プレイとテストとゴーストマッチのみ、多人数プレイでは選び方が違うだけで1種類のラウンドマッチしかできず、物足りない。
      • ゴーストによる擬似オンライン対戦であることは有料のNintendo Switch Onlineに加入する必要がないというメリットもあるが、無料でできるようにするだけなら『マリオカート』シリーズのようにゴースト送受信とリアルタイム対戦を両方収録すれば良い話である。
    • 前作にあったチーム戦や協力プレイも廃止されており、ボリューム面で見ればむしろ過去作から退化している
  • もんだいが全部過去作の使い回し
    • 10年以上ブランクがあるとはいえ、新作が一つもないのはいかがなものか。本作から初めてプレイする新規層なら問題ないが、過去作をプレイ済みの人からすると残念である。
    • 初代DS版から復活したものもあるが、単純に入れ替わったのみで収録総数自体は前作Wii版から変わらない。ミニゲーム集として20個というゲーム数はやや物足りない感がある。
  • ランキングがユーザーごとに1つしか記録されない
    • 新記録を出すとそのユーザーの記録は上書きされてしまうので、自分の成長を記録することができない。
    • また、パーティの記録は一切残せない。

総評

15年ぶりに発売されたやわらかあたま塾シリーズ。
トレーニングが全て過去作からの使い回しという挑戦的なコンセプトは、期間が開いたこともあり新規層から大きく問題視されることはなかったものの、全体的にはどうしてもボリューム不足が目立ってしまう。
前作の時点ですらモードの少なさが欠点として挙げられていた中で、そこからさらにモード数を減らすという判断は評価されたとは言いがたい。
クソゲーレベルの不満を感じるほど価格不相応なわけではないが、中程度の値段のパッケージソフトとしてはいささか遊びごたえが少ないゲームである。

余談

  • アップデートで「はやうちクイズ」「すいそくしゃしん」から虫やカタツムリ、ヒトデなどのグロテスクな生き物を削除する機能が追加された。
    • ただし代替問題が用意されておらず内容が単純化するので、パーティでは節度を持って使いたい。

タグ:

脳トレ 任天堂
最終更新:2024年04月17日 16:21

*1 前作では「直感モグラ」。

*2 初代では「数当て積み木」。