TOMOMI
【ともみ】
| ジャンル | ACT |  | 
| 対応機種 | Nintendo Switch | 
| 発売元 | わくわくゲームズ | 
| 開発元 | NUL2 STUDIO | 
| 発売日 | 2022年12月1日 | 
| 定価 | 1,100円 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | IARC:3+ | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | スピード感が特徴のメトロイドヴァニア アクションに爽快さはあるが他の要素はやや中途半端
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概要
斬撃を主体としたドット調の2Dアクション。
スーツ姿の派遣ヒーロー・トモミを操作し、悪の組織アノマリアの新兵器を破壊するのが目的となる。
ひとつながりのマップを道中で得た特殊能力を駆使して探索する「メトロイドヴァニア」に属するゲームである。
キャラクター
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トモミ
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グレーの長いポニーテールと爆乳が特徴の派遣型ヒーロー。新兵器開発を阻止すべく、アノマリアのビルへと潜入した。
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卓越した剣技を有するが、スケベで可愛い女の子好き。
 
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リコ
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トモミのサポート役を任されている女性。猫耳型のヘアバンドを付けている。
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道案内のほか、セーブ部屋ではセーブの受付役を担っている。
 
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ドリアス
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アノマリアの親玉。新兵器となる巨大ロボ・ライノエレファントを携え破壊活動の開始を宣言する。
 
システム
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スキルの獲得とマップ探索
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初期状態のトモミは近距離の斬撃しか行えず、いわゆる2D探索型ドラキュラのようにボスの撃破やマップ内の探索によって新たな能力を手に入れ、それに応じて更に探索可能な範囲を広げるのが基本的な進行となる。
 
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HP・MP制
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ダメージを受けるごとにトモミのHPは減少し0になるとゲームオーバーとなる。ただし道中に点在する自動販売機からジュースを購入する事で回復が可能。
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MPは手裏剣やハイジャンプなどの能力使用時に必要となり、減少しても時間経過で自動回復する。
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トモミにはレベルも設定されており、一定量の敵を撃破することでレベルアップ、最大HPの増加に関与する。
 
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ファストトラベル
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道中にはワープ部屋が複数存在し、一度訪れたワープ部屋であれば順繰りに瞬間移動することができる。
 
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セーブ部屋
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セーブは各所にあるセーブ部屋でのみ可能。ゲームオーバーとなった際もここからリトライとなる。
 
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ショップ
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ビル内に存在する施設。本作に消費アイテムは無く、ショップの取扱品もパラメータの増加やバフの付与が主となる。
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一度ショップに行けば、以降はセーブ部屋からも取引可能となる。
 
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「犬」状態
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道中でトモミは「犬」に変化することになるが、この状態では攻撃力が落ちほとんどの能力を使えなくなる代わりに、移動速度がかなり向上する。
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また、1マス分の高さの隙間に入ることもできる。
 
その他の特徴
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キャラクターデザイン
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かなりデフォルメされており、太めの輪郭線、大きくくっきりと描かれた目、および、やや図形的に誇張された手が特徴となっている。
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似ている画風でいえば、PS3/Xboxでゲーム化もされたカナダの漫画『Scott Pilgrim』に近い。
 
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状況にそぐわない明るい調子の会話イベント
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物語の要所、およびセーブ時に発生する会話イベントは基本的にコミカルな内容。
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世界の危機を目前にした状況下ではあるが、トモミからリコへの愛情や、トモミと元カノのアブノーマルな関係への言及など、セクシャルな話題を挟みながら極めてライトに進行していく。
 
評価点
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スピードを感じられる操作感
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トモミの移動速度は「犬」状態を含めると2Dアクションゲームの中でも比較的速く、ジャンプや攻撃も同時に行えるため「雑魚敵をばったばったとなぎ倒す」良好な感覚が味わえる。
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慣れないうちは思った以上に初速がつくので、主人公というよりシューティングの自機を動かしているかのような大味な印象も受け得るが、無駄な戦闘を回避するにも都合よく、スピーディな進行を感じられる。
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特に「犬」状態では、一定距離を走ると衝撃波をまとい、雑魚敵を一撃で倒しながらの超高速ノンストップ走行ができるようになる。
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これを前提とした直線ルートが設けられたエリアもあり、マップの行き来が苦になりにくい。
 
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攻撃面でも込み入った駆け引きより連打勝負なレベルデザインであるため、手軽に爽快感を得られる。
 
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程よい手ごたえのあるボス戦
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大ボス戦こそ6種程度だが、画面に入りきらない巨大四足歩行ロボ、対人間キャラ、超巨大スライムと幅広い個性で差別化されている。
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倒し方もスタンダードにダメージを与え続けるものから、敵内に侵入してコアを破壊したり、犬状態を強制されたりと、全く同じ戦い方にはならないよう工夫がなされている。
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そのうえで敵の攻撃も激しめでゴリ押しも効かないため、攻略方法が見いだせないうちはゲームオーバーとなりやすく、ある程度の習熟を要する良バランスとなっている。
 
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リトライの気軽さ
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トモミが死亡しゲームオーバーとなっても、数秒後にはすぐにセーブ部屋から再操作可能となる。
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しかも死亡自体にペナルティがなく、ボス戦の最中に手に入れた経験値やお金も全て引き継いだ状態でリスタートするため、徒労感が全くない。
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むしろ1回トライするだけでそこそこまとまったお金を稼げるので、得をした印象すら受け得る。
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当然このお金ですぐにパラメータアップなどを購入できるため、詰むこともまず無い。
 
 
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周回プレイによる敵構成の変化
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クリア後は周回プレイに対応しており、マップほぼ全域の敵配置が変更されているだけでなく、1周目には登場しなかった新しい雑魚が出現するようになる。
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2周目要素というと単純に敵が硬くなったり被弾ダメージが上がったりといった変更がありがちだが、それとは新鮮さが段違いであり嬉しい要素といえる。
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ラスボスに至っては攻撃パターンが追加されるうえ、形態まで増えている。
 
賛否両論点
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微妙に振り切れていないちょいエロムード
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キャラクター設定を踏まえると百合要素のあるコメディであり、ボスの1人がトモミの元カノかつご主人様、ということで若干の性的な要素が含まれるが、かと言ってそうしたお色気面が売りになっているかというとイマイチそうでもない。
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ゲーム自体が3~5時間でクリア可能と小ボリュームなこともあるが、トモミからリコへのアプローチはほぼ言葉の上だけで終わっており、件の元カノもそういう関係であると語られるだけなので、表層的な部分で完結してしまっている。
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トモミがリコを好く必然性も全く無く、総じてありがちな浅い設定をつなぎ合わせた印象を受け得る。
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しかしそれゆえにスピーディさ・快適さという長所が活かされているし、人物同士の相関だけで十分楽しめるという層には問題はないだろう。
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もちろん嗜好として百合が好きであればより好める可能性はあるし、逆に深入りしていない様が良い、という見方もできる。
 
 
問題点
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中途半端なバカゲー感
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主人公サイドに加え、黒幕・ドリアスや他ボスのセリフ回しもコメディ調ではあるのだが、全キャラクターが唐突に出てきて唐突に退場するため笑えるというより使い捨て感が強い。
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わかりやすいギャグ要素もあるにはあるが、これも扱いに困りがち。
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具体的にはゴリラ風のボスキャラを撃破した先の部屋で「バナナのオブジェ」が縦横に整列しており、取るごとに画面左上でカウントアップされたうえ、全て取ると右上にトモミの顔と数字が表示されるというもの。
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『スーパードンキーコング』のパロディであることは明確なのだが、こうした方向性のギャグがここだけであるため、意味も意図も解るのに必然性だけが無いという浮いた存在となっている。
 
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突き詰めればバカゲーとしての評価ができたかもしれないが、上記賛否両論点と合わせてやりきれてなさが滲み出てしまっている。
 
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会話劇で画面が見えなくなる
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会話イベントはスキップ不可となるが、代わりにストーリー上の重要なものを除いてイベント中にゲーム進行が停止せず、移動可能となっている。
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マップ間の行き来も可能だが、問題は会話が完了するまでそこそこ大きい立ち絵が表示され続けるため画面の両端がほぼ視認不可能な状態となってしまうこと。
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ストーリーイベントはともかく、セーブ時ですらそこそこ長いやりとりが発生することもあり、被弾や地形へのひっかかり、自動販売機の見逃しなどのストレスに繋がりやすい。
 
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イベントで強制停止中も被弾する
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一部の移動不可イベントにおいても問題があり、トモミの移動は制限されるが敵は動き続けてしまう。
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ある程度イベントの発生箇所が限られるため会話中一方的に蹂躙されるというシチュエーションはそう無いが、運が悪いと倒し損ねた敵の弾がイベント時に追いついてきて当たるという事態が生じる。
 
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ボスが復活する
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ボスを撃破した後に再度ボス部屋に入ると再戦になるというトンデモな挙動が発生する。
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ストーリーが巻き戻るわけではないし、前述の通り負けたからといって何のペナルティもないので実質的な問題はほとんどないのだが、あまりにフラグ管理が杜撰。
 
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リコの兄について解決していない
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道中でサポーター・リコの兄が登場しバトルにも発展するが、確執めいたものを仄めかした割にただ兄が逃亡して終了するため、関係が解決していない。
 
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能力を引き継いでいるのに自由度の低い2周目
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2周目以降はハイジャンプやワープ移動などといった移動系能力が引き継ぎとなるのだが、これを探索に活かすことができない。
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というのも1周目時に「能力を取得できていない」せいで行けなかった道が、2周目以降「無かったはずの壁ができている」せいで通れないようになっている。
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例えば2段ジャンプでないと上がれない場所についても2周目ではすぐ行けるのだが、それでシーケンスブレイクできるわけではなく、「2段ジャンプの入手時点相当までストーリーを進めないと開かないシャッター」によって先が封じられ、結局進むことができない。これでは能力を引き継いだ意味がほとんど無い。
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更にこれのせいで、1周目では能力が無くても工夫次第で越えられた道が物理的に防がれるため、逆に攻略順が制限されるようになってしまっている。
 
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順路もわかりにくくなる2周目
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能力を引き継いだ2周目では、本来それらの能力があった部屋に「セキュリティキー」というアイテムが設置されるようになる。
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これを得ることでマップ内の対応するシャッターが開くという仕掛けであり、要は物理壁で疑似的に1周目と同じ経路を進ませる措置なのだが、どこのシャッターが開いたのかは全く知らされない。
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開くシャッターは「1周目時にそこにあった能力で初めて行けるようになる通路」なので、つまり1周目の攻略ルートを覚えていないと次に行く場所がわからなくなる。
 
総評
初プレイでも3~5時間程度でクリアできることから小ぶりな面は否めないが、素早く敵のふところに飛び込み連打でガシガシダメージを与える爽快感はなかなか。
その面でお手軽斬撃アクションとして悪くない一作と言えるが、一方でコメディ要素の中途半端さやシステムの練り切れてなさに難があるため、相当な贔屓目でもない限り良作とは言いにくい。
最終更新:2023年05月16日 21:03