みんなで自分の説明書~B型、A型、AB型、O型~
【みんなでじぶんのせつめいしょびーがたえーがたえーびーがたおーがた】
ジャンル
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ゆるゆる人間関係シミュレーションゲーム
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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ガンホー・ワークス株式会社
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開発元
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スクリプトアーツ
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発売日
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2008年12月30日
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定価
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3,619円(税抜)
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プレイ人数
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1~2人(DSワイヤレス通信:2人)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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共有しやすい形式でみんなで自己診断 原作とは一長一短
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概要
2007年~2008年に文芸社より出版され、ブームを博したJamais Jamais氏著の書籍「自分の説明書」シリーズを原作とするゲーム化作品。
原作は性格・人間関係などについての箇条書きの項目のうち自分に当てはまるものにチェックを入れ、ABO血液型別に取扱説明書風に自分を見つめ直すもの。
会話しているように読み進められるユニークな設問により、血液型性格診断というよりはあるあるネタ集のようなコミュニケーションツールとして人気を集めた。
本作はこのような書籍をゲーム化したもののためゲーム的な要素はないが、著者の監修が入っており、原作を踏襲しつつ新たな要素が加えられている。
システム
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操作は全てタッチ操作。
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4人分のデータがあり、初めに名前、性別、自分の血液型を登録する。
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「自分の説明書」では本体を縦に持ち、下画面の項目のチェックボックスをタッチしてチェックを入れ、原作のように自分の血液型の説明書を作成する。
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上画面の中心には挿絵に似た人物が描かれており、チェックしていくことでその人物が僅かに揺らいで周りにチェックを入れた特徴が書き込まれていき、取るポーズも変化していく。
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内容は原作と同じで全部で約800項目あり、BGMを切り替えたり、5ページ・章ごとに移動したりできる機能もある。
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完成させると「もっと自分の説明書」で登録した血液型以外の説明書を作成でき、各血液型でチェックした割合を参照した血液型度グラフも見られる。
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「トモダチの説明書を作る」では最初の約20項目の回答のみで他の人の簡易的な説明書を作ることもできる。
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勝手にトモダチ関係
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本作オリジナル要素で、シミュレーションのジャンル区分はここから来ていると思われる。
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まず自分を必ず含めた参加させる人(データ)を選び、「学校」「会社」「居酒屋」「レジャー」の中からプレイするシチュエーションを選択する。
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すると、参加させた人の円形のアイコンが、長方形型の選んだシチュエーションのマップをエアホッケーのパックのように常に動き回る。
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上画面にそのシチュエーションの全体マップ、下画面には自分のアイコンの周囲が拡大されて表示される。
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アイコンをタッチして弾くことで他のアイコンにぶつけると、設定したシチュエーションでのそのアイコン同士の簡易的な交流が見られる。
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「スキ」「キライ」の感情バーを変更すると接触したときの交流の態度、仲良し度の変わり具合を少し調整できる。
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各人には喜怒哀楽などの感情や%単位の仲良し度が設定されており、他の人と接触するごとに変化する。
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ワイヤレス通信による他のプレイヤーとの説明書交換を行える。
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交換を進めると、著者による新規書き下ろしの「裏・自分の説明書」をプレイすることも可能に。
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「裏・自分の説明書」は箱庭の友達数に応じてダークな設問が追加され、「勝手にトモダチ関係」でも裏モードをプレイすることが可能になる。
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プレイ人数は1~2人となっているが、2台のDSでこのワイヤレス通信を行うという意味合いであり、2人同時プレイができるわけではない。
評価点
利便性の向上
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チェックの付け外しや複数人分のチェック管理が容易で、多くの人と内容を共有しやすくなるという電子版の良さを活かせている。
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他の人と通信で説明書を交換することで、ソフトを持っている人同士で簡単に説明書のやり取りが行える。
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「トモダチの説明書を作る」で少ない問題数での回答もできるため、ゲームをいきなり手渡された人にも手短にプレイしてもらいやすいようになっている。
本文閲覧以外の機能追加
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「勝手にトモダチ関係」や「裏・自分の説明書」といった原作にはない要素が追加されており、純粋にボリュームが増している。
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チェックを入れるたびに上画面の人の様子が変わっていく演出により、自分をその場で形作っていっているような臨場感が味わえる。
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今作のための著者による新規イラスト、文章が用いられているので、ファンアイテムとしての役割も果たせている。
比較的安価
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定価は税抜3,619円で、税抜1,000円の原作4冊分より僅かに安い値段で原作と同じ内容を楽しめる。
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定価で見ると本作発売後に出版された文庫本版(税抜500円)4冊分よりは割高。
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しかし、DSの展開が終了した現在の本作は中古で数百円台で買い求めることもできる。
問題点
原作を完全には再現できていない
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媒体が違う以上どうしても仕方ない部分ではあるが、独特な原作の構成をそのまま再現できているわけではない。
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原作で大文字の箇所はチェックボックスが二重になることで強調はされているが、文字自体は他と変わらず目にしたときのインパクトが弱くなっている。
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挿絵を見るには項目下の「挿絵表示」をその都度タッチしなければならず、文章が全て隠れるため原作の印象をそのまま感じることはできない。
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解像度をそれほど落とさずに挿絵を掲載している点は評価できるが、せめて空いている上画面を使用してほしかったところ。
作り込み不足な「勝手にトモダチ関係」
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タッチ操作できる範囲が自分のアイコン中心で固定されており、自分以外のアイコンは自分の近くに来ないと弾けず不便。
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交流を行うと言っても、感情の組み合わせによってアイコン同士の数秒の会話なしのやり取りの後に短い一言が放たれるだけ。
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その人の性格が細かく表れるようなものではなく、交流のパターンもそれほど多くないので、このモード目当てで購入するのは推奨しない。
原作の意図と食い違う機能の存在
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原作では最後に「人間は十人十色であり血液型の枠に当てはめるのは不可能」と締めており、血液型で完全に性格を括ることを肯定しているわけではない。
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タイトルに反して、原作は各血液型が抱かれがちな偏見に左右されずに自分を表現できるような説明書を作ることが目的となっている。
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しかし、チェックした割合を血液型度としてグラフにすることはこの意図に反する。「勝手にトモダチ関係」の百分率で表示される仲良し度も同様。
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これもネタと捉えられるかもしれないが、数値化はその数値に意味があって行うものであり、診断らしい診断が行われないこのシリーズで数値による診断結果を出すこと自体ナンセンスだといえる。
一部操作性・その他の問題
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ボタン操作非対応で、タッチでしか操作できない。
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これが原因でチェックボックスがあるページやページをめくるためのボタンが下画面にしか配置できなくなっているのか、下画面がやや窮屈。
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それでありながら利き手の設定ができず、左利きでは操作しづらい可能性もある。
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自分の血液型の説明書を完成させないと他の血液型の説明書を作ることができない。
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全てに目を通さなくても完成したことにしたり、他の血液型のデータを別に作成したりすることはできるが、やはり一手間かかってしまう。
総評
DSで安価にコンパクトに、何度でも複数人でも便利に自分の説明書作りを楽しめる一作。
一方で、ゲーム化に際して構成を変更せざるをえなかった箇所も存在し、原作独自の面白さが薄れてしまっている点もある。
共有のしやすさが追求された本作か、独自の構成を活かした原作のどちらを選ぶかは購入者の求めるものによって異なってくるだろう。
余談
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レーティングは全年齢対象であるが、飲酒に関する描写があるからか、タイトル画面前に「お酒・タバコは20歳になってから」という注意書きが入る。
最終更新:2023年12月15日 15:13