機動戦士ガンダム

【きどうせんしがんだむ】

ジャンル アクションシューティング
対応機種 セガサターン
メディア CD-ROM
発売元 バンダイ
開発元 株式会社CSK総合研究所(CRI)
発売日 1995年12月22日*1
定価 5,800円(税別)
廉価版 サタコレ
1997年11月20日/2,800円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1ブロック
レーティング セガ審査:全年齢推奨
判定 良作
ポイント 高クオリティの新作アニメーション
ガンダムの性能とアムロの能力をうまく表現したシステム
アッガイは本編に出れなくて黄昏ている
ガンダムシリーズ

概要

セガの据え置きハードでは初のガンダムゲーム。
アニメ『機動戦士ガンダム』のストーリーをベースに、プレイヤーは主人公のアムロ・レイとしてガンダムのパイロットになり、一年戦争を体験するアクションシューティングゲーム。
ストーリーは劇場版3部作がベースだが、一部にTV版の要素も含まれている。


特徴

  • 地上戦はジャンプ(Cボタン)ありの任意横スクロールアクション、宇宙戦は強制横スクロールのシューティング。
    • 格闘ゲーム『餓狼伝説』のようなライン制(本作は自機と同ライン・画面奥・手前の3つ)を導入している。任意にライン移動ができるのは敵側のみ。
    • 全12ステージ。1部のステージは前半・後半に分かれている。
  • Xボタンでビームサーベル攻撃。
    • 地上戦ではジャンプ中に十字ボタンの下と同時押しで高威力のカブト割りができる。
  • Yボタンでビームライフル攻撃。弾数は16発で時間経過で回復する。
    • 地上戦では上・斜め上撃ち、ジャンプ中に斜め下打ちが可能。
    • Lボタンで自機の向きの逆方向にライフル攻撃。宇宙戦の道中では振り向けない*2ので唯一の後方攻撃手段。
  • Bボタンは敵との距離が近ければサーベル、遠ければライフルと適切な武器を自動的に選んで攻撃する。
  • Zボタンで頭部バルカンで攻撃。移動やシールド防御しながら攻撃できるが威力は低い。
    • 後述のハイパーバズーカ装備時は弾切れまでそちらの使用が優先される。
  • Rボタンでシールド防御。受けるダメージを大幅に軽減できるが、構えている間は後述のアーマーゲージが回復しない。
    • 構えた方向と逆側の攻撃や別ラインからの攻撃は軽減できない。
    • 地上戦では構えている間の移動はステップ移動となり、そこからビームサーベル突き攻撃も可能。
  • ロックオン攻撃
    • Aボタンを押しっぱなしでチャージし、自機の別ラインの敵にロックオンマーカーが表示された後にボタンを離して発動。
      自機の別ラインの敵に対してビームライフルで攻撃する。
    • 発動中はガンダムから残像が生じて無敵状態になる。その為回避手段としても使う事が出来る。

エナジー・アーマーの2種のライフゲージ

  • 通常のライフゲージであるエナジー(黄色)とは別にアーマー(水色)が存在する。
    • アーマーはエナジーへのダメージを肩代わりする鎧のような役割を果たす。ダメージを受けていない状態では5秒ほどで全快する。

WBポイントと作戦メニュー画面

  • WBポイントはホワイトベースの防衛力を表す数値。ステージ道中のザコ敵を撃破できずに逃がすと「ホワイトベースが被害を受けた」ことにより減少する。
    • ステージ中にポイントが0になると後述の作戦メニュー画面で設定していた支援が無効になり、ペナルティで次ステージの支援設定ができなくなる。
    • ポイントはステージクリアで+100され、最大200まで貯めれる。
  • ステージ2以降、各ステージ開始前に作戦メニュー画面に移行し、支援の設定や装備の変更ができる。
    • 支援設定はWBポイントを消費し、ホワイトベースの仲間たちによる援護が受けられる。以下の3種がある。
    • 支援機選択:ガンキャノンやガンタンク、コアファイター(ブースター)が指定したエリアで戦闘に参加する。
      • ガンキャノンは画面奥の敵、ガンタンクは画面奥以外の敵の攻撃が得意といった機体ごとの特徴がある。
    • 支援攻撃:指定したエリアをホワイトベースの砲撃で画面全体攻撃。
    • 補給物資選択:指定したエリアにアイテムを投下する。以下の3種がある。
      • ライフルエネルギー:ビームライフルが約30秒間撃ち放題になる。
      • バズーカ弾:ハイパーバズーカの弾を3発補充。
      • エネルギーパック:エネルギーゲージを約半分回復。
    • ステージによっては上述の支援の一部および全てが受けられないステージもある。
  • 装備の変更はガンダムの武器を変更する。以下の3種があり複数の装備はできない。
    • ハイパーバズーカ:Zボタンで発射。弾数に限りがあるが高威力かつ爆風で広範囲に攻撃できる。
    • ビームジャベリン:ビームサーベルより攻撃のリーチが長くなる。
    • ビームライフル-S:ビームライフルの弾数が2倍になる。

パイロットポイントとパイロットレベル

  • 敵を撃破するごとにスコアとは別にパイロットポイントが加算される。パーセント表示で100%に達するとパイロットレベルが1つ上昇する。
    • プレイ中のパイロットポイントとレベルはポーズ中に表示されるガンダムのコンディションで確認できる。
    • ロックオン攻撃のチャージ速度や最大ロックオン数が上昇し、作戦メニュー画面で選択できる補給物資・装備およびハイパーバズーカの初期弾数に影響する。
    • 最大レベルは8で表示はNT(ニュータイプ)となり、ロックオン攻撃のゲージ名もLOCK-ONからN-TYPEに変化する。
  • ゲームオーバー後のコンティニューは無限。ゲームのセーブもゲームオーバー後に行う。
    • 前半・後半に分かれるステージの後半でゲームオーバーになった場合は後半からリトライ可能。
    • スコアは0になるがパイロットポイントは継続。WBポイントは100にリセットされる。
  • オプションでは難易度をEASY・NORMAL・HARDの3種類から選択できる。
    他にステレオ/モノラル設定、キーコンフィグ、サウンドテストが可能。

評価点

良好な操作性と原作再現度・なりきり感の強いゲームデザイン

  • サターンパッドのボタン配置を上手く使い、武器切り替えの要素無しで全ての攻撃がワンボタンで行えるようになっている。
    • シールド防御中も攻撃ボタンを押せばそれが優先され、防御しながらの攻撃がしやすい。
  • ロックオン攻撃が優秀で、多数の敵を一気に撃破する爽快性がある。最大強化時のニュータイプに覚醒したアムロのなりきり感は高い。
  • アーマーゲージによって多少のダメージを疑似的に無効化できる要素は、原作のガンダリウム合金製のガンダムの装甲の堅牢さをゲームバランスを兼ねて再現したと言えるだろう。
  • WBポイントと作戦メニュー画面の支援設定は「ホワイトベースの仲間たちと共に一年戦争を生き延びる」という一体感の演出に一役買っている。
  • 通常難易度(NORMAL)は厳しすぎず、かつヌルくもない絶妙な塩梅で、ゲームに慣れない内は「モビルスーツの性能」でごり押し、ゲームに慣れた後は原作のアムロばりに一騎当千ができるようになっている。
    • 難易度EASYでは相応に敵の攻撃力が下がり、Bボタンのライフル・サーベル自動選択攻撃もあるため、アクション苦手なプレイヤーにもある程度の配慮がされている。
    • 難易度HARDでは多くの攻撃がアーマーを貫通するようになるため、的確にシールド防御するなどのテクニックが求められる。

プリレンダリングCGによるゲームグラフィック・演出

  • 各メカニックのモデリングは総じて良好。特徴的な武装や名シーンの大半が再現されている。
    • アニメーション枚数も多く、戦艦の旋回描写などリアルタイム3DCGと見間違う部分も。
    • 終盤のソロモン戦、ア・バオア・クー戦の敵味方交えた戦闘の背景演出は非常に迫力あり。

新規作画のアニメーションムービー・スチル・カットイン

  • サンライズおよび中村プロダクション制作によるもので、『機動戦士ガンダム0083』の作画スタッフが中心に参加*3していることもありクオリティは折り紙付き。
    • 随所に挿入されるアニメムービーの他に、ボス戦でのキャラ同士のカットイン掛け合い、ステージ間では新規作画のスチル画と永井一郎氏のナレーションによるストーリー解説もある。
    • ムービーはスタートボタンでスキップ可能となっている。

オリジナルキャストによるフルボイス音声

  • ステージ中は各キャラクターのセリフがフルボイスで挿入され、数々の名セリフでゲームを盛り上げてくれる。
    • 各ステージのタイトルコールも原作と同様ブライト役の鈴置洋孝氏によるもので、周回プレイで別のキャラのタイトルコールになる遊びもあり。
    • ただし一部のキャラはオリジナルキャストではない。賛否両論点の項で説明。

原作ライクのサウンド面

  • オリジナルBGMは山中紀昌氏によるもので、原作の雰囲気を再現していて高クオリティ。どの原作劇伴曲をモデルにしたものかを当てる楽しみもあるだろう。
  • ガンダムのビームライフル発射音やビームサーベルで敵を切り裂く音など、効果音も原作に寄せたものが使われている。
    隕石や敵MSに接触すると「ガキィン」と重い金属音が鳴るなど細部にもこだわりが感じられる。

その他の評価点

  • 作戦メニュー画面終了からローディング時間を感じさせないほどに直ぐステージが開始されるなど、ディスクアクセスが高速でその方面でのストレスは皆無。

賛否両論点

  • 原作ストーリーの再現に関して、セリフ・シチュエーションの省略や細部の改変がある。
    + 主な原作からの省略・改変要素
  • アムロの成長面で重要な脱走エピソードは省略。物語初期のブライトとの確執も無い。
  • ランバ・ラルのグフとの対決に勝利した時点でラルは戦死。その後、間を置かずその場でハモンの仇討ちが行われる。
  • マチルダの最期が特攻でマッシュのドムを巻き込む形になっている。
  • 「女スパイ潜入」のエピソード自体が省略。そのためジャブロー戦のカイのセリフが「ジオンを叩く!徹底的にな!」だけになっている。
  • セイラとシャアの関係性が一切描写されない。同年発売の『CROSS DIMENSION 0079』より劣っている部分である。
    • アムロ視点のストーリーであることやゲームテンポの優先、メッセージウィンドウに文章を上手く収めるために致し方のなかった部分とも言える。
  • 一部のキャラがオリジナルキャストではない。
    • ドズル・ザビ役がTV版・劇場版1作目の郷里大輔氏、劇場版3作目の玄田哲章氏でもなく、辻親八氏が演じている。
      • 郷里氏のスケジュールが合わなかったのか、TV版でスレッガー役を演じ本作でも同役を演じた玄田氏との2役を避けたのか理由は不明。
      • 演技に関しては問題はない。

問題点

  • TV版・劇場版共に登場したモビルスーツのうち、アッガイとゾックがゲーム本編に登場しない*4
    • 前者はマスコット的な人気をもつMSだけに、ゲーム本編で出てこないことで落胆したファンも多かったと思われる。
      • ゲーム中では代役としてジャブロー内でゴッグが登場する。
  • ザコ敵の一部に出現後すぐに画面外に逃走し、WBポイントにダメージを与えてくる敵がいる。
    • 予め出現位置・タイミングを覚えないと対処が困難。
  • オートセーブ機能がなく、ゲーム途中で中断する場合はゲームオーバーにならないとセーブができない。
  • スコアの概念があるが、ハイスコアのセーブ・ランキング表示が無い。

総評

ファーストガンダムを題材にした2Dアクションシューティングとしては決定版とも言える内容。
大容量メディアを生かした音声とムービーによる原作再現、3DCGを使ったビジュアルなど32ビット機ならではの演出面も優れている。
本作はその後のガンダムゲームの方向性を示した作品と言っても過言ではないだろう。


余談

  • 本作のアニメ―ションムービーは『ギレンの野望』、『機動戦士ガンダム PPERFECT ONE YEAR WAR』、PS2版『機動戦士ガンダム』などにも流用された。
  • 本作はシリーズ後発作品の『機動戦士ガンダム0083』の設定が曖昧ではあるが反映されていると思われる部分が存在する。
    • 最終面の中盤でドロス級の2番艦・ドロワと思わしき艦*5が登場。MSを多数発進させてのいわゆる雑魚ラッシュを仕掛けてくる。
    • ドロス級撃破後の背景演出において、1機のゲルググが妙にいい動きをして多数のジム・ボールを撃墜する描写がある。
      • ノーマルカラーではあるが、恐らく乗艦ドロワを失ったアナベル・ガトーのゲルググの表現と思われる。ロックオン不可のため撃破は不可能。
    • 最終面より前のソロモン戦のステージでも背景演出で妙に動きのいいリック・ドムが登場し、ガトー*6または何らかのエースパイロットか搭乗していることを思わせる描写がある。こちらもロックオンは不可能。
最終更新:2024年10月06日 18:44

*1 2023年現在でのwikipediaの記述は誤植。

*2 ボス戦では自動的に相手側へ振り向くようになっている。

*3 ディレクターの今西隆志氏は大熊朝秀名義、作画監督の川元利浩氏は土岐義芸名義でクレジットされている。

*4 前者はムービーで一瞬だけ登場する。

*5 ホワイトベース隊が参戦したア・バオア・クーのSフィールドに配置されていた。

*6 後にPS2『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』で専用カラーのリックドムが登場している。