プレイグ テイル -レクイエム-

【ぷれいぐ ている れくれいむ】

ジャンル アクションアドベンチャー
対応機種 Xbox Series X/S
Windows*1
Nintendo Switch*2
PlayStation 5
発売元 Focus Entertainment*3
【PS5(日本版)】オーイズミ・アミュージオ
開発元 Asobo Studio
発売日 【Win/XSX/PS5/Switch】2022年10月18日
【PS5(日本版)】2023年6月29日
定価 【Win】
(Steam) 7,980円 / (MS Store) 6,950円
(EGS) 6,980円 / (GOG) $49.99
【XSX】7,750円
【PS5(日本版)】6,114円
ポイント ユーゴとアミシアの旅の完結編
後味の悪い結末
判定 良作
プレイグテイルシリーズ
プレイグ テイル -イノセンス- / プレイグ テイル -レクイエム-



胸が張り裂けるような冒険の旅に出よう



概要

  • 2019年に発売されたアクションアドベンチャーゲーム『プレイグ テイル -イノセンス-』の続編であり、完結編。日本国内におけるローカライズはオーイズミ・アミュージオが担当し、同社よりPS5版が2023年6月29日に発売された。*4
  • フランスの貴族デ・ルーン家の子供である姉のアミシアと弟のユーゴの妹弟の逃避行を描いた前作から、数ヵ月後の物語であり、引き続き1348年〜1349年のフランスが舞台となる。前作よりフランスの南部を主に旅しており、海に面した町を舞台にしているロケーションが多い。
    • 本作では、人食いネズミであるマキューラのルーツが明かされると共に、全ての因縁に終止符を打つための姉弟の最後の冒険が描かれる。
  • 今作ではSwitch版も発売されたがH/Wスペックの問題からクラウド上でのプレイ方式を取っている。

シナリオ

前作から、数ヵ月後___。

デ・ルーン家のアミシアとユーゴの二人は、「噛みつき」とよばれる人食いネズミを出現させるマキューラの治療のための旅をしていた。

しかし、二人が出会った脅威により、マキューラが再び覚醒し、再びネズミの脅威が二人を襲う。


システム

  • ステルス
    • 前作に引き続き、敵兵から隠れるシステム。アミシアやユーゴは兵士から状況に応じて隠れて倒す必要があり、石を鉄にぶつけるなどをして兵士から逃げる。
  • スリング
    • 前作に引き続き登場する、アミシアのメイン武器。兵士は倒せるが、兜をつけている兵士は倒せない。
    • 前作は石が有限であったが、今作から制限が無くなった。石ぐらいどこでも採れるからだろうか
  • クロスボウ
    • 本作から登場した新アイテム。スリングと比べ、殺傷能力が大幅に上昇し、兜の兵士でも倒せる。
  • 収集品
    • 珍品など時折落ちているアイテムであり、中世ヨーロッパの風習やトリビアを教えてくれる。
    • 前作はユーゴは花がお気に入りだが、鳥の羽が今作ではお気に入りである。
  • 錬金術
    • ルカから習った錬金術で火を消したり、火をつけたりすることが可能。
    • 今作では『タール』 と言う、 火の無い場所に撒くことで光源を作り出すことができる。
  • スキル
    • 本作から登場した新要素。アミシアの行動で、ステルス重視の『慎重』、攻撃重視の『攻撃』、錬金術重視の『ご都合主義』の3つのパラメータが成長する。

評価点

  • ユーゴとアミシアの旅路
    • 前回の冒険から距離感のあった姉弟関係から、非常に仲が良い姉弟となっており、アミシアに甘えるユーゴ、ユーゴと戦争ごっご遊びに付き合うアミシアなどの場面は まるでホームドラマを見ているように癒されるシーンが多い。
    • 一方で、 前作からある過酷な中世ヨーロッパの描写もリアル 。虐待される子供、迫害される民、妄信的な信者などが描かれる。また、姉弟を狙う敵は前作よりもさらに憎たらしく、自然とゲームプレイへのやる気が湧いてくるように上手く描かれている。
    • そんな中で助け合い、 慰めあう二人の姉弟愛、家族愛は前作より尊いもの になっている。
    • 後述の賛否部分の終盤部分では姉弟の絆がより鮮明となっており、「 愛している 」と言葉をかける二人のシーンは印象深くなっている。
  • 二人の葛藤
    • アミシアは前作でもユーゴを守るために多くの人間を殺して、次々と手を汚した。
    • やがて敵兵士からは殺人鬼、魔女のように恐れられる存在になってしまう。本作では前作よりさらに 残虐な方法を採ってでも敵を倒さなければいけないシーンが多発する。
    • その瞬間こそが、アミシアの耐え難い心境にプレイヤーが感情移入するきっかけになっており、物語との親和性を実現している。
    • また、ユーゴについてもユーゴが旅をする先々でネズミが発生し、多くの人が犠牲となる。
    • 平穏を望む二人には過酷な現実であり、二人の葛藤がプレイヤーにも共感させてくれる。
  • 魅力的なキャラクター
    • 前作は子どもが仲間であったが、今作は大人の仲間が登場する。庇護対象というわけではなく、アミシアを時に励まし、愉し、叱るなど、旅の良きパートナーとして機能している。
    • どのキャラクターも、人懐っこいユーゴとは微笑ましい一幕を見せ、重いストーリーの中でも救いとなっている。
    • キャラクターの感情の描き方がとても丁寧であり、それぞれの想いや信念も手にとるように理解することが出来ている。
  • サイドストーリー
    • 二人や仲間がある特定の場所に行くと、本筋とはサブストーリーが始まる。
    • 過酷なシナリオの中で遊びあう二人や仲間には癒される。
  • バトル
    • 兵士とネズミの3つ巴の戦いが多くなった。そのため一方だけに気をつけていると足元を掬われてしまう。時にはネズミを上手く使って兵士を排除させたりと、様々な作戦が取れるようになった。
    • また、前作よりも敵兵士との直接対決の機会も多く、歯ごたえのあるバトルを楽しめる。
    • 「スリングでは倒せない敵を倒せるクロスボウ」「あるパートナーに指示を出すことで敵を直接倒してくれる」「ネズミを操れる能力が使えるようになる」など、出来ることが増えてバトルの自由度が広がった。
  • グラフィック
    • PS5のゲームでもトップクラスの臨場感と鮮明さを誇り、非常に美しい映像美になっている。
    • 本作の醍醐味であるネズミの大群も実に鮮明。気味悪さと迫力を両立したグラフィックになっている。
  • 周回プレイ
    • 章ごとにやり直しが出来て、収集物などの取りこぼしを回収し易い。

賛否両論点

  • 物語の結末
    • ネタバレになるので詳しく言えないが、非常に辛い結末であり、賛否の分かれる部分となっている。
    • プレイヤーはよりにもよって、 その結末を自分の操作で行わなければならない*5ので、より心をえぐる。 クリア後は呆然として何も手がつかないというユーザーも。
    • 前作のハッピーエンドと比べると対照的な結末である。特に本作はあれこれと手を尽くした結果、事態がどんどん悪化してしまう。最終的には束の間の平和を手に入れたものの、新たなる脅威の発現も示唆されるという、かなりのビターエンドとなっている。
    • 一方で、前作の時点でこの結末は予想ができており、今作でもストーリーを進めるとこの結末の他にないと次第に分かり、この理不尽なシナリオこそ本作の持ち味という声もある。
  • 暴走するアミシア
    • 本作でアミシアはルカや母親と対立し、兵士に対して好戦的になったりと暴走することが多い。
    • そもそも暴走するきっかけがユーゴの隔離処置であり、アミシアの言う「ユーゴも被害者であるのに隔離するのはおかしい」という意見も正論である。
    • また 15歳の少女 ということを考えれば大人に反抗的になっても特におかしくはない。
  • バトルの難易度は高め。
    • 終盤になると多数の兜付きの兵士を撃破しなければならない戦闘が続く。メインウェポンとなるクロスボウも装填可能な弾数がかなり少ないので、1ミスも命取り。リソースも計画的運用が求められる。
      • 撃破に使えるものもスリング、クロスボウまたはタール瓶ぐらいで、幅が増えたと言っても戦闘手段は限定的で、長期戦になるとリソース切れになりやすい。無限湧きするクロスボウのボルト(弾)の発生を待って戦闘する、という戦い方になりがち。
    • さらにアミシアは基本的に2撃喰らうとゲームオーバーで、特に兜付きの兵士は接近されただけで1撃死となる敵も多い。
    • とはいえヒリヒリする戦闘が好きなプレイヤーには、十分楽しめるようには作られている。

問題点

  • 翻訳
    • 相変わらず日本語翻訳がおかしい。
    • 前作と同じように、単語の区切りを一切お構いなしで段落が分れるため、読み辛く理解しにくい。
    • 特に戦闘中だとさらに理解が困難である。
  • グロテスクなグラフィック
    • 鮮明になったのは良いが、ごみ処理場、ヘドロの池、腐った死体、飛び回るハエや蛆なども鮮明になった。人によって 気持ち悪いと思う部分まで鮮明になってしまった。
    • ストーリー内で死体の山やドブをかき分けて移動するというような展開も多く、生理的に受け付けないプレイヤーも少なからずいるだろう。勿論逃避行であるから、時として汚い道を通らざるを得ないのは物語上理解できる範疇ではある。
  • 相変わらず自由度が薄い
    • 決められた道具でしか倒せない敵や決められた道具でしか攻略できないパズルなど自由度は相変わらず薄い。
      • ステルスにおいても、ちょっとしたルートの違いこそあるがパズルのように解いていく要素が強いので、高い自由度を期待すると肩透かしをくらう。
  • スキル
    • 微妙に選択が分かり辛く、自分好みのスキルを獲得することは難しい。

総評

二人の幼い姉弟の完結作。中世ヨーロッパを舞台に残酷なシナリオや展開で育まれる『』のシナリオはより深く、重い内容となった。特にクライマックスはプレイヤーの心を大きく揺さぶり、賛否こそあるが多くのプレイヤーに感動や喪失感を与えることとなった。


余談

  • PlayStation plusの2024年1月のフリープレイタイトルとして配信された。PS5版発売から約半年での配信となった。

タグ:

AADV
最終更新:2024年01月30日 23:27

*1 Steam/Epic Games Store/Microsoft Store/GOG.comにて配信

*2 Switch版はクラウド上でのプレイ

*3 旧:Focus Home Interactive。2021年9月6日より現社名に変更

*4 前作同様、Win版及びXSX版は全世界配信のため原版のパブリッシャーであるFocus Entertainmentが発売元。

*5 しないルートもあるが結末は同じ