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新すばらしきこのせかい

【しんすばらしきこのせかい】

ジャンル RPG

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Windows(Steam)
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 ハ・ン・ド
発売日 2021年7月27日
定価 7,480円
プレイ人数 1人
判定 良作
ポイント 14年ぶりの続編
すばせかサウンドは健在
前作ファン向けの作風
細かい不便さがネック
すばらしきこのせかいシリーズ
すばらしきこのせかい (Solo Remix - Final Remix) /


概要

DSで発売された『すばらしきこのせかい』の実に14年ぶりの続編。
前作はその根強い人気からか、移植作品として2作品『Solo Remix』『Final Remix』が出たり、音楽ライブが行われたり、『キングダム ハーツ 3D』にゲスト出演したりと、同企業の単発作品としては珍しい多面的な展開がされていた。
長い歳月がかかってしまったものの、悶々としていたファンにとっては待望の続編となった。

主要スタッフも前作とおおむね同じ面々が集められているが、開発元は『Final Remix』を担当した株式会社ハ・ン・ドに変更となっている。

ストーリー

いつもと変わりないはずの渋谷。
主人公のリンドウにとってその日の渋谷は何かが違い、何かがおかしかったのかもしれない。
スクランブル交差点で始まったサイキックバトル。
そこから逃れたはずのリンドウの前に、死神を名乗る少女が現れる。
死神のゲームにようこそ、と彼女は言った。
まさかゲームでひどい目に遭わされることはない…軽い気持ちで参加したリンドウ、そして友人フレットの2名。

しかしゲームを始めた2人は、違和感を覚え始める。
自分たちがいるこの渋谷は普通じゃない!
戸惑う彼らに突き付けられたのは 勝てなければ自分が消滅する、というルール。
UG(アンダーグラウンド)と呼ばれるもう一つの渋谷で、他の参加者たちと順位を争い、トップを取って生き残らねばならない。
果たして彼らは元の渋谷に戻ることができるのか―

公式HP「OVERVIEW」より


特徴・システム

  • ストーリー設定
    • 本作でも「死神のゲーム」が題材となっており、勝てば現実世界(RGと呼ばれる)への帰還を得られ、負ければ存在が消滅するという点も共通。UGの住民しか見えない、人の心を蝕む「ノイズ」と、ゲームの管理者である「死神」を相手に戦いを繰り広げるのも同様。
    • 変更点としては2人1組のペア戦だったのがチーム戦になったこと。死神のゲームでポイントを最も稼いだチームの願いは何でも叶えられ、逆に最下位のチームは全員が消滅してしまう。
    • 主人公・リンドウもその友人フレットとチーム「ツイスターズ」を結成し、他のチームと競いあっていく。仲間を増やし、死神のゲームに勝利することを目指すのがストーリーの本筋。
    • いわばチーム同士の縄張り争いが一つのテーマとなっており、前作よりも大規模なストーリー展開となっている。
    • 裏設定や背景に関してはクリア後収集要素である「シークレットレポート」でさらに語られる。
  • バトルシステム
    • 前作同様、バッチに宿ったサイキックを用いて戦闘するシステム。本作ではリンドウをリーダーとしたチーム戦となっており、1人に1バッチが装備される。
    • また本作ではタッチパネルは使わない操作に変更。サイキックはキャラクターごとに振り分けられた各ボタンによって発動。連打、長押しで発動するものもある。
    • サイキック攻撃のフィニッシュ時に「全段の攻撃を当てる」「敵を打ち上げる」などの条件を満たすと、円形のシンクロゲージが出現。ゲージ表示時に次のキャラの攻撃を当てるとコンボとなり、シンクロ率が上昇する。
    • シンクロ率を100%,200%,300%と上げていくと、敵全体への高威力攻撃(マッシュアップ)を発動可能。本作での基本戦術はシンクロ率をためつつ、マッシュアップを繰り出すというものになる。
  • 固有サイキック
    • バッチで発動するサイキックとは別で、チームのメンバー一人一人が所有している特殊能力。戦闘中には使えない。
    • リンドウのサイキックはやり直しの能力「リスタート」。ただ戦闘中に使えるわけでなく、あくまでストーリーの流れとして用いられる。
    • フレットの能力は、RG世界の住民に記憶を呼び覚まさせる能力「リマインド」。これも同じくストーリー進行で、ミッションの手がかりを思い出してもらうため用いられる。簡単な回転パズルゲームが挿入される。
    • その他マップの高速移動やジャンプなど、マップギミックとして使われている固有サイキックもある。
  • ダイブバトル
    • 人の心のなかに棲みついたノイズと連戦するモード。メンバーの1人・ナギの固有サイキックによって人の心に入り込み、心にとりついたノイズ(敵)を排除することで正気に戻すという設定。
    • ここでのノイズはノイズがとりついた人物の感情によって強化されてしまう。例えば、怒りの感情で攻撃力強化など。少なくとも3連戦以上あり、通常の戦闘より難易度は高めである。
    • ダイブバトルではその連戦討伐時間に応じて報酬がもらえるため、やりこみ要素のひとつとなっている。
  • マップ
    • 前作は2Dのマップであったが今作では3Dマップとなっている。また新たに原宿エリアが追加され、渋谷駅、原宿駅周辺の渋谷区の地形が3Dで表現されている。リアルに近づけすぎずコミックテイストな再現がされている。
    • 2021年時点での渋谷区を再現しているため、前作(2007年の渋谷区)から無くなったランドマークもあり、変化を楽しむのもまた一興である。
  • イベントのボイス
    • 完全フルボイスとまではいかないがストーリーの本筋はほぼボイスがつくようになった。
    • 人気声優だけでなく、ややマイナーな声優や本職でない舞台俳優も出演しているが、演技力に遜色はなく、熱演が聞ける。
  • 衣服、食事
    • 前作とほぼ同様。満腹度はチームで一つの扱いで、パーセンテージ表記に改められている。
    • 登場するブランドは前作からすべてが続投しているわけではなく、一部のブランドは新登場となる。すなわちブランドの流行り廃りである。
      • 実在するブランド「BLACK HONEY CHILI COOKIE」の衣服も登場している。
    • 食事にはキャラクターごとに好き嫌いが設定されており、好きな食事を与えると能力値ボーナスがつくことがある。好き嫌いは食事を選択したときの各キャラクターの表情で判別可能。
  • レベル・難易度調整、エンカウント方式、クリア後のチャプターセレクトは前作と共通の仕様となっている。前作記事を参照のこと。
  • なお、前作でのミニゲーム「マブスラ」は本作には存在していない。

評価点

  • 共闘感の増したバトル
    • 前作のようなピーキーな操作はなくなったが、攻撃をつなげて大ダメージを出すという根底のテーマ自体は同じ。本作では最大6人が画面上にいるので、チームとして共闘している感覚を前作より味わえるようになった。
    • 役に立たないようなサイキックもほとんど無い。シンクロ率を増やす組み合わせを試行錯誤することができる。
  • 『リスタート』をテーマにしたストーリー
    • 本作ではリンドウが持つ固有サイキックによって、訪れる「最悪の未来」を回避するためやり直すことになる。やり直しのシチュエーションについても敵の目論見を回避するもの、別の真実が明らかになるもの、結果から過去に遡っていくような展開があったりと、飽きさせない。
    • 伏線の張り方も大胆だが納得のいくもので、特に序盤から物語の真実にすでに気づいているキャラの言動を見返すだけでも面白い。
  • コミックテイストのイベントシーン
    • 本作のイベントシーンはキャラクター絵とセリフを漫画のようにコマ割りして会話させるような形式で表現されている。詳しくは公式サイトの画像を参照のこと。
    • キャラクターの表情や動きも豊富で、SEやBGMによる盛り上げもあるため、ストーリーに躍動感が生まれている。
    • 視覚的にもかなり動きのある表現方法をしており、コマ割りも現実の漫画さながらに凝っていて飽きさせない。
  • よりリアルになったシブヤ
    • 3D化によって、街を探索する感覚がより味わえるようになっている。『ペルソナ5』等同じく渋谷をテーマとするゲームと比べると、より広範囲かつエリア間のつながりをよりリアルに近づけて再現できている。
    • 「トワレコ」「カドイ」など偽名の多かった施設群も今回は現実と同じものとなっている。入れない施設や看板にも実際の商号が使われているものがあり、かなりのリアリティ。「渋谷104(本来は渋谷109)」だけは作品のシンボルとしてあえて変更していない。
    • 本作には東急グループが全面協力しており、「渋谷ヒカリエ」「渋谷ストリーム」といった東急系列のランドマークが新たに追加。銀座線乗り場や渋谷川といった細かいところも描写してある。
      • 東急プラザ表参道新宿店のクリスタルのような入口や、竹下通りなどの現実のバズスポットもきっちり再現されている。
  • 「すばせか」らしいサウンド
    • 本作の最大の評価点といっても過言ではないポイント。前作と同様石元丈晴氏による楽曲が収録されている。
    • ボーカル付きでロック系のBGMも2021年のゲームにおいてはそこまで珍しくはないが、本作ではミクスチャーロックをメインに、まるで渋谷のライブハウスから飛び出したかのような熱気を持つ楽曲がそろっているのが特徴的。
    • 戦闘曲とフィールド曲も基本的にはかかり始めたら流しっぱなしとなる。いわゆるインタラクティブミュージック*1が主流となっている昨今においてはかなりのストロングスタイルであり、ただ純粋に楽曲の良さを楽しめるような作りになっている。
    • 楽曲のボーカリストもメジャーデビュー経験のある実力派ばかりで聞き応えは抜群。例を挙げると人気ロックバンドRIZE、The BONEZのボーカル・JESSE、『機動戦士ガンダムOO』のエンディングテーマを歌った「ステファニー」ことStephanie Topalian,『ファイナルファンタジーXIII-2』で主題歌を担当したふくい舞など。
      • The BONEZの他メンバーは一部の曲の演奏を担当していたりと、バンドぐるみでのお付き合いとなっている。
    • また、前作のBGMのいくつかもアレンジされて収録されている。
  • 個性的なキャラ
    • 主人公・リンドウは取り立てて何か秀でても劣ってもいないごく普通の高校生。優柔不断な性格でなりゆきでリーダーになってしまうが、リーダーシップの苦悩や精神的成長が描かれている。
    • リンドウのチーム「ツイスターズ」の面々もこれまた個性的で、それぞれが違った切り口でプレイヤーの愛着を深めている。メンバーの一人、ナギは「バッジだらけの痛リュック」「熱くなると混じる関西弁」「一人称がワイ」「驚いた時の声がファッ!?」ともう なんG民 オタク要素のデパートのような強烈なキャラクター。その一方で、チームでは年長者ということもあってか精神的支柱のような役回りをしており、そのギャップがニクイ。
    • そしてなんといっても前作でカルト的な人気を誇ったミナミモトがなんと仲間として登場。相変わらずのミナミモト語録を連発しながらもチームの力となってくれる。
  • 相変わらずの外伝「アナザーデイ」
    • エンディング後には本編と一切関係のない外伝として前作同様「アナザーデイ」が用意されている。音楽フェスにエントリーするためスタンプラリーをするという内容。
    • 『マブスラ』が無いため前作よりボリュームは控えめだが、やりたい放題なストーリーは本編終了直後のプレイヤーを完全に笑かしにかかっている。
    • エリア制限も一切なく、ショップでの購入品なども大量に増加するため、のんびりとした世界観でじっくりとクリア後のレベルアップをしていくことが出来る。
    • 終盤の重要人物のひとり・ヒシマのキャラクターはその堅物な性格から完全にキャラをぶっ壊しており、出オチのインパクト有り。そして禁断の(?)『キングダム ハーツII』ネタも。「 俺の夏フェス、終わっちゃった…
  • 親切になったシステム
    • バッチや装備品についてはおすすめ機能が追加。「最近ゲットしたもの」「同ブランドのもの」などをランダムに推奨する機能がついている。
    • またソート機能やバッチの持つサイキックごとのサムネイル動画も追加されており、細かいが遊びやすさを向上させている。
    • ダブりバッジの一括売却機能も搭載され、処分が容易になっている。

賛否両論点

  • 「新」といいつつも、前作ファン向けの内容
    • シリーズの主設定である死神のゲーム、UGが本来持つ要素は前作で描かれているものの、本作ではその例外がストーリーになっているため、前作を知らないと設定に入り込みづらい。
    • ストーリーも決して本筋は悪くないが、成長した前作キャラクターが登場するシーンが盛り上がりのほとんど。前作からのファンにはたまらない展開ではあるが、新規層目線だと「主人公達がピンチになると大抵知らないキャラが解決してくる」という見方になってしまいがち。
      • 特に終盤の展開は、知らなくとも本筋が理解不能になる訳ではないがやはり前作を知っていることが前提の盛り上げ方になっている。一方で前作からのファンにとっては、前作キャラの揃い踏みとあって大変熱い展開となっている。
    • また終盤では、今作キャラの中でもフレットやナギの描写はあらかた完了し、そのあとは主に前作キャラの活躍が描かれ始める。特にこの2名は物語の核心にはそこまで関わりの少ないメンバーであることから、終盤では空気となるエピソードも散見される。
      • とはいえ活躍シーンが一切ないわけではなく、ストーリー最終盤では2人の能力を活かしてシブヤを救うような熱い展開も待っている。
    • 前作のストーリーをまとめて振り返るような機能もないので、前作をほのめかすような発言*2も、あくまでファンサービスであり新規層はついていけなくなってしまう。
      • 2021年4月から前作のアニメ版が放送されていたため、新規層向けにはそちらを補完として使ってもらう意図があったとは考えられる。
  • 癖のあるキャラクター
    • 上記したナギは、かなりリアルにTwitterや5chの書き込みのような喋り方をするため、こうしたノリをゲームに持ち出される事自体に抵抗のあるユーザーからはあまり評判が良くない。

問題点

  • 敵が固い
    • 全体的に敵の固さに対して攻撃力が低いので、戦闘が長期化しがちである。食事による強化を怠っていると、一層そのような事態に陥る。
    • 前作でいう「光球」に該当する、通常攻撃のダメージ倍率を上昇させる機能も存在していない。そのため、通常攻撃は単にシンクロ率を上げてマッシュアップで攻撃するための布石となっているのみ、という部分もある。
  • マップ移動の不便さ
    • 本作のマップはエリアごとに分かれており、移動の際にはエリア読み込みの時間がかかるが特にSwitch版だと4,5秒前後かかり長め。ストーリー中エリア何度も行き来するようなイベントだとダレがち。
    • 高速移動ができるアビリティ「サウンドサーファー」があるので、一応前作よりは移動そのものは便利になっている。
    • ファストトラベルの類は存在しないので、マップの端から端まで移動する、というような事態も起こりがちな本作では移動がかなり面倒。
  • メンバーチェンジ関連の面倒さ
    • ツイスターズのメンバーは最大6人だが、パーティ加入キャラは計7人いる。1人はストーリー途中で永久離脱するため、メンバーチェンジは前述の「アナザーデイ」限定でのおまけ要素となっている。
    • そのためメンバーチェンジは「アナザーデイ」のストーリーに一度移動し、特定のキャラクターに話しかけることでしか変更できない。
    • メンバーチェンジをしても、そのキャラ固有で装備が登録されているわけではない。装備するバッジと衣服は入れ替え対象となったキャラのものを引き継ぐという謎の仕様となっている。
    • しかも衣服のセット登録機能等もないため、メンバーチェンジのたびに、そのキャラに合う最適な装備に入れ替える必要がある。
    • 食事によるパワーアップについても、メンバー外のキャラについては対象外、つまり6人分の食事しか用意できない。メンバー外の期間が長いキャラは能力に大きな差がついてしまう。
  • メインメニューは全体的に検索機能が弱め。
    • バッジや衣服を入手順、ブランド順、攻撃力順などで並び替える機能こそあるものの、絞り込み機能は存在していない。本作では膨大な数のバッジや衣服が存在しており、お好みのものを探すにもだいぶ手間となる。
    • エネミーレポートも100体以上あるものの、1行1体の表示のうえページ飛ばし機能がないため下の方のエネミー(ボス敵)を検索する時は手間。2021年のゲーム水準だとやや不親切な仕様。

総評

14年の歳月が経過してしまったものの、前作と変わらない魅力を持ち合わせている。
現実の渋谷区を舞台にした世界観やロックサウンドが好きな人には魅力がある作品と言える。
前作のピーキーな操作がなくなり、バトル面では万人にお勧めしやすくなった。
総じて出来は良好だが、問題点にある通り細かい利便性が行き届いておらず足を引っ張ってしまっている。


余談

  • 「BLACK HONEY CHILI COOKIE」のショップの店員として、同ブランドのオーナー高原啓氏がカメオ出演している。作中ではメインキャラの1人・ミナミモトが同ブランドの服を着ているという設定。
  • 作中に登場する各地に出現するモンスター(召喚獣)をゲットする位置ゲー「ポケコヨ」では、『ファイナルファンタジーシリーズ』のネタがいくつか含まれている。
    • チョコボやトンベリといった有名モンスターだけでなく、『ファイナルファンタジーV』で出現するナッツイーターのようなマニアックなモンスターも登場。
  • 2021年9月17日(金)~ 2021年11月3日(水)にかけて、現実の渋谷区で実際の街や商業施設を舞台にしたイベント「FIELD WALK RPG」が開催された。(参考リンク
  • 前作から14年というブランクが空いたこともあってかパッケージ販売本数は2機種合計で5万本ほどと、セールスはあまり伸びなかった模様。スクウェア・エニックスの2022年3月期第2四半期決算説明会概要において、「ユーザーの評価は高かったものの、(売り上げは)当初の予定を大幅に下回りました」と説明がなされた。
  • 2024年7月にフリューより発売されたARPG『レナティス』に本作とのコラボシナリオが収録されており、リンドウ、ショウカ、ミナミモトがゲスト出演している。
    • 同作でプロデュース・ディレクションを担当した礒部たくみ氏が筋金入りの野村氏のファンだったこともあり、このような企画が実現したようである。(参考リンク
最終更新:2025年01月30日 20:25

*1 ユーザーの操作や状況によってBGMが変化していく音楽表現。『FFVIIR』や『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』などが該当。

*2 例…ビイトがミナミモトを「禁断ヤロー」呼ばわりする点など。なお禁断化の件は本作には関与してこない