パーマンPART2 秘密結社マドー団をたおせ!

【ぱーまんぱーとつー ひみつけっしゃまどーだんをたおせ】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 アイレム
開発元 日本システムハウス
発売日 1991年12月20日
定価 5,500円
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント パーマンがちゃんと飛べるようになった
低難易度+ミニゲームを織り交ぜた構成は変わらず
4人から選べるが違いはグラのみで個性はない
藤子不二雄関連作品シリーズ


概要

藤子・F・不二雄氏による同名の原作漫画とのタイアップゲーム作品。
前年同時期に発売された『パーマン』の続編作品で、前作と同じファミリーコンピュータのロムカセットソフトとして発売。
ミニゲームを交えたアクションゲームという点も前作と同じだが、アクションの質そのものはまったく別物同然になっている。

本作は元より前作の時点でアニメ、原作とも完結していた(詳細は前作を参照)ので、かなり遅いゲーム化である。
またファミコンソフトとしても発売が1991年12月と既にスーパーファミコンが発売して1年が経過しているため、いろいろな意味で遅い発売である。


内容

ストーリー

地球征服を狙う秘密結社「マドー団」により宇宙物理学者「敷島博士」が誘拐され「結晶体」が奪われてしまった。
「結晶体」は使い方次第で強大な兵器になるため「マドー団」に使われては大変なことになる。
それを知っているバードマンはパーマンに助けを求めてきた。

ゲーム内容

  • トップビューとサイドビューの2種類の構成で、建物内などトップビューステージは前作通り飛ばないパーマンだがサイドビューステージでは飛ぶことができる。
    • 飛び方は空中で一度Aを押すことでホバリング状態になり、この状態で十字ボタンを押すことで自在に飛べる。
    • ボバリング中にもう一度Aを押すと状態を解いて降下する。
      • 落下時やジャンプ時は前作同様、踏みによる攻撃ができる。
    • 回数限定で強力なキックをセレクトボタンで発動できる。
  • 前作はアイテムを自在に選択できなかったが、スタートでポーズすることでアイテムを選択できる。
  • ステージ開始前に「パーマン」「ブービー」「パー子」「パーヤン」*1の4人から誰を使うか選択する。
  • 前作のボス戦で行われていたすごろくバトル(ラスボス除く)はなくなり、ボスとの戦いもアクションバトルとなった。
    • また前作では人間系の敵が多かったが、本作では敵は全体を通してほぼすべて機械や動物系で人間自身と戦うことはほぼない。

アイテム

  • パンチ(ゲンコツ)
    • 敵を弾き飛ばすパンチでデフォルトの攻撃。
  • フーセン(○)
    • 敵を風船のように膨らませて倒す銃。
  • レイトウ(網の目のような模様)
    • 敵を凍らせて倒す銃。
  • ヘンシン(?)
    • 敵を変身させて倒す銃。原作や前作にも登場した「細胞変換銃」と同一のものかはさだかではない。
    • 「パンチ」「フーセン」「レイトウ」「ヘンシン」は、それぞれレベルがあり取ると1上がる。最大は2だが4つとも2になると「パワーボール」という最強の攻撃ができるようになる。
  • キック(K)
    • キックを使える数か1回分増える。
  • 1UP(ハートに「1P」)
    • 残り人数が1人増える。
  • ライフ(ハートに「L-1」「L-2」「L-4」「L-8」)
    • ライフゲージが回復。「L-○」の数字が回復する目盛り分になっている。

イベント

  • 前作で言う「豆ゲーム」に相当するミニゲームで「P」マークのある扉に入ると始まる。本作では3通り存在する。
    • ブロック壊し
      • パーマン自身がパンチや3方向に出るビームで大量のブロック(木箱のようなもの)を破壊してアイテムを探す。
      • 中から敵が出ることもありライフが尽きた場合も終了となる。ライフが入室時の状態が持ち越されるのでなるべく回復してから入るが得策。
    • 神経衰弱
      • 最初はすべて表向きで見えており、一定時間経過すると裏返る。あとは記憶力を頼りに数字のペアを揃えていく。
      • 3度失敗すると終了だがオールマイティハズレの「×」を開けてしまうと一発で終了となる。
      • クリアーするとアイテムがもらえるようになる。
    • パネルゲーム
      • 一度乗ると壊れる緑のパネルをすべてジャンプで壊し、スタート地点に戻ればクリアー。
      • 「<<」のパネルはその矢印が射している方向へ2マス分飛べる。
      • クリアーするとアイテムがもらえるが、このゲーム自身で出てくる文字がパスワードになっておりステージ内でこのゲームをすべてクリアーするとパスワードが完成。それを入れると次のステージから始まる。
        当然、ラストステージではもう次はないため文字は出てこない。

ステージ構成

  • ステージ1・新宿新都庁舎
    • ボス「変身サイボーグ」
  • ステージ2・北極の氷山要塞
    • ボス「サイボーグ将軍」
  • ステージ3・チベット高原の秘密研究所
    • ボス「目ん玉コンピュータ」
  • ステージ4・モスクの地下迷宮
    • ボス「海蛇ロボット」
  • ステージ5・砂漠のピラミッド要塞
    • ボス「ロボット戦車」
  • ステージ6・マドーの宇宙要塞
    • ボス「マドー」

評価点

  • キャラゲー観点では前作の違和感を払拭し、パーマンらしさが増している。
    • 飛ぶようになったパーマン。
      • 後述の通り少々操作にはクセがあるのであまり万々歳とはいえないが、やっぱりパーマンは飛ぶスタイルがデフォルトなのでパーマンのゲームらしくなった。
    • 敵キャラもメカやサイボーグになっており「人間と1対1で負ける弱いパーマン」という違和感もなくなった。
  • ミニゲームは3種類に増えた。
    • 前作同様いずれも簡単で飲み込みやすいものばかり。とはいえ「ブロック壊し」以外はかなり頭をひねる内容であるので、ちょっと手応えありすぎかも。
      • また前作は、ステージ3以降はクリアに実質必須なものだったが本作ではなくてもなんとかなるので自由度が高まった。
  • ライフは前作以上に多い。
    • 本作ではボスともアクションでバトルすることを考えると無難な調整。

賛否両論点

  • やはり難易度が低く、手慣れた者からすれば手応えが感じられない一面もある。
    • 前作ではイマイチ実感がわかないスゴロク方式だったボス戦もアクションバトルになったとはいえ、これもかなり思考が単調でさほど苦労しない相手ばかり。
    • これも前作同様、ファミコンの新しい立ち位置「初心者のエントリーマシン」としての在り方を考えれば無難と言えるかもしれない。
      • 元々パーマン自身が特に低年齢層向けのコンテンツであることも、このような低難易度として適切と言えるかもしれない。また原作再現目線ではパーマンらしい強さを上手く見せることにもなっている。
  • パーマン4人から選べるのに中身はまったく同じ。
    • 前作はほとんど出番のなかったパー子とパーやんを操作できるのはファンなら嬉しいかもしれないが色だけの違いしかなく、ほとんどファンサービスだけのグラ違いでしかない。
    • 前作ではブービーにジャンプ力のアドバンテージがあったり、すごろくバトルではそれぞれに個性があったりしたが(ゲームシステムとして問題はあったものの)本作ではそういった個性や特徴は一切ない。

問題点

  • 飛べるようになったのはいいが、操作性は今一つ。
    • 斜め方向への反応が悪い。
      • 斜め方向を押しても直接反応はせず、どちらかといえばタテ→ヨコ、ヨコ→タテという感じの二段階にカクカクッと曲がる感じになる。
      • そのため、どちらかといえば少々ぎこちない動きになる。いっそ飛ぶときは4方向しかないものと割り切った方がいいほど。
    • 十字ボタンのコントロールで壁などにぶつかると、跳ね返るようにターンするのも少々勝手が悪い。
    • 飛ぶようになった弊害でジャンプによる「踏み」が少々使いにくくなった。
  • BGMのバリエーションが少ない。
    • 前作はステージ毎に用意されていたが本作はラスト以外均一なので、気分のダレやすさにもつながってる。
      • それを抜きにしてもBGMの質自体も、前作のようなノリの良さがない。一番マシなのがアニメ主題歌のアレンジ。
  • ボスに攻撃をあててもSEがない。
    • 喰らったアクションこそするもののSEがないのでは爽快感がない。
    • もちろん攻撃命中のSEは当時は勿論のこと、ファミコン草創期作品でも標準搭載だったので肝心なものが抜けている。
  • パーマンの攻撃に違和感あり。
    • 前述の通り飛ぶようになり、敵キャラが人間以外が中心になりパーマンらしい強さが感じられるようになったが、パーマンの攻撃パターンが違和感がある。
      • 前作から続投の変身銃は元々バードマンがパーマンを罰するために使うものであって、パーマンが武器として使うものではないし、本作で登場した風船銃、冷凍銃は原作にも登場しない。
  • 前作を思えば味気ないエンディング。
    • 前作ラストは台詞もあってストーリー性が感じられたが、本作では博士を救い出した後はパーマンたち4人が飛んできて「おしまい」だけとちょっと味気ない。
      • 最後のカットでは何故かパー子まで青っぽい色になっている。

総評

前作と同様に難易度はかなり低く熟練者にとっては手ぬるさが顕著な反面、初心者には程良いバランスは前作からそのままで、いかにもSFC発売後のFCが目指すべき「入門層のエントリー向けマシン」の位置付けに合わせたようなバランス。
原作との整合性という見方では「パーマンなのに飛ばない」「パーマンなのに生身の人間相手に負ける」といった違和感は解消されキャラゲーとしては大幅に改善されたものになっており、いかにもパーマンらしい強さを感じることができる。
だがゲームとしてはトップビューステージでは斜め方向へのジャンプがしにくいなど操作性の面では少々不便さは多少感じられる。更にサウンド面ではBGMが少ない、ボスとの戦いで命中時のSEがなく攻撃の手応えを感じにくいなど新たな難点も多々見られる。
また原作再現でもバッチリというには程遠く、ありもしない風船銃・冷凍銃といったゲーム要素に対しても大した意味を持たない改変や、折角4人から選べても性能差がないなど疑問視される部分や残念な部分もある。


余談

  • 前作のラストはパーマン1号がバードマンに連れられてバード星へ留学したはずなのだが、本作でのタイトルデモ(実質的なプロローグ)では何故かバードマンに呼ばれている形になっている。
    • 恐らく留学を終えて帰って来たのだろう。だとすると留学していた期間は1年にも満たないことになる*2或いはなかったことになっているのか…
  • ステージ1の都庁舎は現在もある高層ビルで前年12月に竣工したばかりだった。
    • そのため時代背景は連載やアニメ放送から未来補正されていると思われる。
  • 続編などで「PART2(パートツー)」とは一般的な呼称だが、大多数は「2」「II」のみで直接タイトルに「PART」まで付けている非常に珍しい例である。

最終更新:2024年06月16日 16:12

*1 正しくは「パーやん」である。漫画でも「パーヤン」と書かれている箇所もあるにはあるが圧倒的に少ないのでほとんど誤植レベル。

*2 原作観点で見ると『ドラえもん』の「めだちライト」の話では大人になった星野スミレが登場しておりミツ夫の写真を大事にペンダントのロケットに入れており「今は遠い国(恐らくバード星)に行っている」とのことなので、留学したはずの1号(ミツ夫)がまだ子供のうちに帰ってきていることそのものが矛盾している。