アニーのアトリエ ~セラ島の錬金術士~
【あにーのあとりえ せらとうのれんきんじゅつし】
ジャンル
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新感覚RPG
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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ガスト
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開発元
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アメージング
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発売日
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2009年3月12日
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定価
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4,800円(税別)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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DSアトリエの仕切り直し 島のリゾート開発が目的 短い期間でやる事が多い
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アトリエシリーズ
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概要
『リーズのアトリエ』に続く、DSアトリエシリーズの第2弾。
開発がハイドからアメージングに変わり、前作のようなバグの多さは解消された。
ストーリー
根が面倒くさがりで、努力や根気といった言葉が大嫌いな主人公「アニー」は働こうともせず、日々をダラダラと過ごしていました。
それを見かねた錬金術士である祖父は、アニーが寝ている間に「リゾート開発」計画に参加する錬金術士として、アニーをセラ島に送り込んでしまいました。
翌朝、目が覚めたアニーは状況が飲み込めず、さらには目の前に見たこともない妖精さんが!
「 おいらはぺぺ。アニーに錬金術を教える師匠だ 」とやったこともない錬金術を使って、リゾート開発に貢献しろと言われるのです。
まさに不幸のまっただ中にいたアニーでしたが、ここに思わぬ幸運がまちうけていました。
リゾート開発に最も貢献したものには、マイスターの称号とともに、王子様と結婚し、何不自由ない生活が送れるかもしれないとなったのです。
俄然やる気になったアニーは、新たな目標に目を輝かせるのでした。
「 あたしやるよッ!! 立派な錬金術士になって、立派な玉の輿に乗ってみせるよッ!! 」
(公式サイトより引用)
システム
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前作同様基本的なシステムは初期のアトリエに近いシンプルなシステム。
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町の外の採取地で素材を集め、アトリエで調合する形。
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新しいアイテムのレシピや下記特徴を追加するための本は図書館で購入。
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半年毎の課題追加の時期に合わせて図書館に新しい本が追加される。
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他にリゾート地の依頼報酬にも特徴を増やす本が存在する。
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採取システム
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各採取地には採取可能なマークが各地点に表示されており、そこでボタンを押すとアイテムを採取できる。
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冒険者としてのレベルが上がると採取地内に新しい採取場所が追加され今まで採取できなかったアイテムが採取できるようになる。
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各採取場所は一定回数で採取できなくなり、一度採取地を出て再度訪れないと再度の採取は出来ない。
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採取時や採取地内での移動中にはランダムで敵が出現する事もある。
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一定回数の採取や採取地内の移動等で時間が経過し、一定以上で日数が経過する。
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過去作のかごのような一度の採取の手持ち上限はなく、全ての採取場所でアイテムを取り切る事も可能。
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戦闘システム
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敵味方共に横3マス、前後2マスの6マス内で最大3キャラが横並びに並び、前列と後列を移動可能。
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後列の方が狙われにくくなる他、前列と後列では使用可能なスキルが変わる。敵についてはこちらの範囲攻撃が横一列だったり十字型だったりするのでランダムで移動してくるのみ。
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敵と味方のターン制でランダムにどちらかが選ばれる。選ばれた側のメンバーが行動速度順に行動し、全員が行動し終わると選ばれなかった方が行動速度順に行動する。
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敵味方が行動した後、次にどちらが行動するかはやはりランダムなので、味方→敵→敵→味方…のように、敵が連続で行動する場合や、その逆の場合もある。
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アイテムは全員が全所持アイテムの中から選択可能。
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特徴付け調合
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本作の特徴の1つで、「赤」や「青」等の色を付けたり、「大きな」のような見た目の特徴を付けたアイテムを調合する事が出来る。
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冒険者ギルドやリゾート地での依頼には特徴を指定した調合依頼も数多くある。特徴の違うアイテムでも評価は下がるが報告は可能。
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武具に色を付けると敵に対して有利になる。
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錬金術大会
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毎年4月と10月に課題が出されるメインのミッション。
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課題には最低限必須の条件と、出来る限り求められる条件があり、素早く適したアイテムを提出する程評価は高くなる。
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課題を達成する事で評価に基づき1000万単位のリゾート地開発用の資金が入手できる。こちらのお金は普段の買い物には使えない。
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リゾート開発
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5か所に1つずつリゾート施設を建てる事が出来、その運営をアニーが行って島の開発を進めるのが本作の主目的。
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各場所で2種類のリゾート施設を選択可能で、合計10種類存在する。一度建てたリゾート施設は変更不可能なので、1周のプレイではどちらかしか建てられない。
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建築後は毎月施設の売上が開発資金に計上されていき、これも建設やリニューアルの資金として使える。
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各施設には管理人がおり、リゾート施設を盛り上げるためのアイテムの作成が依頼として出される他、ミニゲームを求められる事もある。
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依頼を達成したりミニゲームでいい結果を出す事でリゾート施設の人気が上昇する。
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リゾート施設の依頼は期日が無期限だが、人気の上昇が売上に直結するので遅くなればなる程売上も伸びなくなる。
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施設の人気が一定以上になると施設のリニューアルが可能になる。
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建設程ではないがかなりの高額が必要になるので、大会でいい結果を出したり施設の人気を上げて売上を伸ばす必要がある。
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各施設では金を払ってミニゲームを行う事も可能。報酬は各種アイテム。
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一定回数のクリアと施設のリニューアルでミニゲームも上位の物に挑戦する事が出来るようになる。
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各施設にはマスコットを配置する事が可能。
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各施設の建設直後の依頼の1つになっており、各採取地でイベントを起こすとマスコットキャラを雇う事が出来るようになる。
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マスコットキャラ配置後は話しかけると近くの採取地のアイテムを取ってきてくれるようになり、依頼後10日以上経ってから再度話しかけるとアイテムを受け取れる。過去シリーズの妖精さんシステムの亜種のような形。ちなみに「妖精のうでわ」が存在するが、過去作のように妖精さんを雇う事は出来ない。
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アトリエにはショップが併設しており、ショップはリゾート施設のリニューアル状況に応じて合わせて自動でリニューアルされる。
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仲間キャラ
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一部のキャラはパーティメンバーとして雇用できる。雇えるのは最大2人で雇用費などはない。
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仲間キャラはショップの店員としても雇う事が出来る。その場合、得意な内容のリゾート施設は売り上げが伸び、苦手な物は売り上げが落ちる。
評価点
シナリオ・演出面
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前作に引き続きキャラやストーリーの面では好評。
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アニーはさぼりたがりのぐーたらキャラだがお目付け役の妖精のペペが締める所は締める、ペペはペペで子ども扱いされると怒ったりと、見た目通りの子供っぽさもあり万能キャラというわけでもないため、可愛らしさも併せ持っている。二人でコンビとしてうまくバランスが取れており、見ていて楽しい二人組になっている。
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また、アニーは錬金術をやっている内に楽しくなったり、始めてしまえば目的に向かって素直に頑張るため、見ていて応援したくなるようなキャラになっている。
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前作主人公であるリーズも少し大人になった姿で登場し、味方キャラクターとして加入できるようになる。
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相変わらずお金儲けに目がないが、年を取った事で前作より落ち着いており、頼りになる先輩錬金術師として上手く話に溶け込んでいる。
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他のキャラもアニー大好きなツンデレ少女のフィズ、薬草ジュース大好きなサボり騎士ジェリア、魔法世界で機械開発に励むカイル、方向音痴でいつも腹を空かせている見習い冒険者のビュウ等、癖強めのキャラが多く、どのキャラも魅力的に描かれている。
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全体的に当時の流行りのドタバタ系の作りになっており、各キャラが他人に迷惑を掛ける事も多いが相応に怒られたりするので、すっきりしないオチは少ない。
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トゥルーエンドの展開についても最後に盛り上がりを見せるため、概ね好評。
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グラフィック
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前作に引き続き和狸ナオの描く可愛らしい絵柄が作風にマッチしている。
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BGM
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BGMは全体的に作風に合った明るくテンポのいい曲が多く、採取地の静かな曲や、戦闘の激しい曲等、良曲が多め。
システム面
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アトリエシリーズとしての基本的な魅力は本作も相変わらず。
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シナリオ進行に合わせてレシピが増えたり、育成に合わせて採取地が増えたりと、出来る事はバランス良く増えていく。
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採取地内の各場所で入手できるラインナップは変わらないため、前作のような後半基本的なアイテムが採取できないといった問題もない。
賛否両論点
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やや理不尽さを感じる一部のシナリオ
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好みの分かれる所ではあるが、ドタバタ物にはありがちなやや理不尽なオチのキャラシナリオもちょいちょいある。
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人の話を聞かないキャラも多いため、合わない人には少々合わない展開も多い。
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ゲーム一周は短め
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調合や採取でサクサク日数をすすめやすい事もあり、ゲーム一周にはあまり時間がかからない。
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携帯ゲームとしてこれくらいの方が遊びやすいという声と物足りないという声とで好みの分かれる点になっている。
問題点
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初期から中盤にやる事が多い
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割と早めの段階でそれなりの数のレシピが手に入り、リゾート開発も始まるが、安定した採取や採取地を増やすためにもレベル上げが必要で、調合レベルを上げるためにも調合も必要。結果的に、最初の内は採取と調合をしているだけでどんどん日数が過ぎてしまい、リゾート開発が進まないまま日数が過ぎてしまいがち。
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実際の所、効率化すればそれなりに余裕はあるのだが、手探りで色々試してみる初回プレイではやる事が多すぎて気が付いたらリゾート開発があまり進まないまま期間が終わっていた、なんて事も起きやすい。
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一転して2周目のプレイでは店に売れる物(=ほとんどの調合アイテムと武具)を全て引継げるため、引き継いでプレイすると一気にゲームがぬるくなる。その上で見えてくる物もあるので、ちょうどいい部分もあるのかもしれないが。
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特徴システムがうまく働いていない
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まず特徴のせいで在庫管理が面倒
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採取アイテムにも色々な特徴が付いた物が手に入るのだが、特徴が違う物でもすべて合わせて1つのアイテムとして上限99個の管理となるため、複数の特徴のアイテムを持っていると在庫管理が非常に面倒。
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雑貨屋でアイテムを買う際に表示される所持数は特徴なしのアイテムの在庫のみ。そのため、全然持ってないから調合で使ったのかと在庫補充のために買おうと思ったら特徴の付いた物で在庫がいっぱいだったなんて事もよくある。
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特徴自体あまり気にしなくても困らない。
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特徴が合っていなくても依頼を達成する事は出来、評価が落ちてもプラス評価には変わりないため、結局一々特徴を気にして調合するよりとにかくアイテムを作る事を優先した方が楽で遊びやすい。
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中和剤が多数存在するのも主に特徴付けのためなのだが、上記のように余り特徴を気にしなくてもいいので、メインシナリオとなる錬金術大会での依頼以外では中和剤を一切使用しなくても問題なくゲームは進行する。
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アイテムやステータスの説明不足な画面が目立つ
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調合画面でアイテムのアイコンが並ぶだけで名前が出ず、どういった効果を持つアイテムかも調合画面では見れない。
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作った事のないアイテムが分からないのは仕方ないとしても、一度作ったアイテムでも調合画面では効果が確認できないのは不便。
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他でも名前やアイコンでしか確認できず、アイテムの詳細を見たいと思ったタイミングで見れない事が多い。
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仲間のステータスも一度加入させなければ確認する事が出来ず、依頼等で友好度が上がった事の確認をしようと思ったら一度メンバーを誰か外して該当キャラを加入させないといけなかったりと少々手間。
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敵のドロップ品を求められる調合
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雑貨屋にも並ばず敵のドロップ品でしか手に入らないアイテムがそこそこあり、調合素材として必要な物も結構あるのだが、入手が運に左右されるため入手がかなり面倒。
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敵が出やすくなるアクセサリを付けて敵のアイテムを盗めるビュウに延々盗みをさせればそれなりに入手しやすくはなるが、冒険者レベルが上がるまではそれもしづらい。
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ゲーム進行においてそこまでドロップ品を手に入れずとも困る事はないのだが、序盤に依頼が来やすいキャラからの調合依頼や、中盤のメインシナリオ進行においてドロップ品が必要になるため、これらのタイミングで採取地でかなりの日数を取られて依頼期限を過ぎてしまったり、他の事が出来ないままかなりの日数を過ぎてしまったりといった事も起きやすい。
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リゾート地の依頼が現地でしか確認できない。
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町の中の移動においては時間経過が存在しないため、冒険者ギルドの依頼については依頼内容を確認後に一旦アトリエに戻って錬金画面でどれだけ作れるか確認したりといった事が出来るのだが、リゾート地については現地に行かなければ依頼を確認できず、同様の確認をするには一々行って確認した後にリセットしてやり直す必要がある。
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エンディングリストがない
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今回もそこそこの数のエンディングが存在するのだが、コレクション要素の図鑑ではアイテムやキャラ、モンスター等のリストはあってもエンディングリストはない。
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そのため、お気に入りのエンディングがあればその直前のデータを残しておくしかないのだが、セーブデータは全部で3つしかなく、引継ぎスタート用のセーブデータにも1枠必要なので、セーブデータ数はかなり足りなく感じやすい。
総評
やっている内に気になる細かい点はあれど、全体的にはシナリオも調合も楽しめる携帯機向けのアトリエとして良く出来た一作。
前作「リーズ」の時点で求められた内容が出来上がったゲームと言え、見事汚名返上に成功している。
余談
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発売の延期
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元々2009年1月29日発売予定だったが、「限定版の特典フィギュアの一部素材が食品安全基準を満たしていない」というゲーム本編とは関係ない問題で2009年3月12日に延期となった。
その後の展開
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DSのアトリエとしては第3作の「リーナのアトリエ ~シュトラールの錬金術士~」が、2009年12月22日に発売された。
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世界観自体は引き継いでいるのだが、本作や前作のキャラ等は全く出ず、同じ世界の全く別の場所での話となっている。
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「ネルケと伝説の錬金術士たち ~新たな大地のアトリエ~」にDLCでの追加としてDS3作品の主人公が登場している。
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各ゲームの時代から登場しているため、若い頃のリーズとアニーの交流が描かれている。
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ペペがいないのもあってリーズとアニーでやや好き勝手に暴走気味であり、歯止め役はネルケ世界のハゲルが務めている。
最終更新:2024年03月06日 00:46