リーズのアトリエ ~オルドールの錬金術士~
【りーずのあとりえ おるどーるのれんきんじゅつし】
ジャンル
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新感覚RPG
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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DSカード
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発売元
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ガスト
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開発元
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ハイド
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発売日
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2007年4月19日
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定価
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通常版
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5,040円
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プレミアムボックス
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7,140円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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2007年クソゲーオブザイヤー携帯機部門次点
デバッグを放棄したんじゃないかと思うほどバグだらけ (1年後にやっと交換、現在は交換を打ち切っている) それ以外もクソ要素多し
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クソゲーオブザイヤー関連作品一覧
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アトリエシリーズ
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概要
ガストを代表するRPG『アトリエシリーズ』の一作。
シリーズのニンテンドーDS参入作で、移植や外伝ではない完全な新規シリーズ作品としては携帯機初であった。
それまでのシリーズ作品と違って冒険的な要素が強い『イリスシリーズ』(『イリスのアトリエ』シリーズ)が続いていたところに対し、今作では初代『マリーのアトリエ』などのような錬金術中心のシミュレーションに回帰した。
問題点
フリーズ問題
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確定状況でのフリーズの他、いきなりフリーズする事もあり、「
フリーズのアトリエ
」と揶揄された。以下、フリーズ状況。
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採取先でイベント発生後に「リターンゲート」(日数をかけずに町へ戻るアイテム)を使用すると確定でフリーズする。
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そのため、原因に気づかないと、日数や時間をかけて採取に行く度にフリーズに遭遇することになる。
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逆に、コレが一番のフリーズ原因であるため、「リターンゲート」を使用しなければそこまでフリーズが頻発する事は無い。あくまで「頻発しない」だけなので、こまめなセーブは必須だが。
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戦闘終了時にタイミングよくBボタンを押す(連打でも可)と高確率でフリーズする。
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下記記載通り、戦闘自体が不便なため、ようやく終わったと苛立って連打をすると発生する。そのため、火に油を注ぐ事に。
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これら以外でも主に戦闘中にフリーズが発生しやすい。
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こまめにセーブする事で回避したい所だが、工房(最初の町)でしかセーブ出来ない。
インターフェースが不便
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ボタンでの操作方法が独特な上に説明書にも詳しく載っていないため、下手をすると買い物方法に戸惑う。
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後日公式サイトのFAQに操作方法が掲載される事に。
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修正版で遊びづらいなりに改善されたが、説明書は改善されなかったので、旧操作方法を知っていた人たちは再度混乱。こちらの操作方法は公式サイトにも載らなかった。
採取問題
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入手アイテムが増えてくる後半になると、基本アイテムほど採取率が低くなる。
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そのため、後半必要な上級アイテム用の素材に困る事はないが、序盤から終盤まで大量に必須な「湖の水」等の基本アイテムが全然採取できない。
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結果、「初級アイテムが作れない」→「初級アイテムを使う上級アイテムが作れない」という最悪のパターンに。
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こういった場合に役立つのがシリーズ恒例の妖精さんなのだが、本作に妖精採取システムはない。
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ちなみに採取はマップ上で採取ポイントをクリックする事で行うのだが、「湖の水」が取れるマップには綺麗な湖が広がっており、「いいから目の前の水を汲め」と数多くのプレイヤーを悩ませた。
戦闘面
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いつもと違い雇用費はかからないにも拘らず、仲間キャラに性能差がありすぎる。
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パッケージにメインで描かれた3人(主人公含む)は強さ控えめで、以下のキャラを雇うのがド安定。
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最初から高レベルで縦一列攻撃を持っているマリウス。後述の敵ルーチンの結果、3体以下の敵なら2ターン目に瞬殺。
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後半の魔法攻撃に耐性のある敵を除けば、ほぼ一人で片付けてくれるヒルダ。ただし、強力な敵が出ると勝手に逃げる事がある。
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必ず逃げられる「とんずら」を使えるエイリー。戦闘なしで遠征や採取する時には非常に助かる。ヒルダが逃げた際の逃げ手段にも便利。
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コマンド入力をキャンセルできない。
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ドラクエのようなターン制なのだが、コマンドを入力するとパーティ全員の入力がまだでもキャンセルできない。
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敵ルーチンの異様な頭の悪さ。
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敵のターンがものすごくもっさりとしていて、やたら時間が掛かる上、スキップ等の高速化も出来ない。イライラして連打→フリーズの原因に。
ED及び引継ぎの問題
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マルチエンディングを採用しているにも拘らず、クリアと同時に強制セーブが行われる。
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エンド条件を満たしていないと気づいても最初からやり直し。
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セーブは3つ用意されているが、セーブデータのコピーやゲーム中の別枠へのセーブが不可能。
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はっきり言ってセーブ枠が分かれている利点がほぼなく、不便な事ばかり。利点といえば、複数人で別セーブを使っている時に間違って他人のデータを消す心配がないくらい。
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下記の真EDの問題にも関わるが、好きなイベント前やED前のデータを保持しておく事が出来ない。
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借金返済エンドが用意されているが、あまりにも条件が厳しすぎる
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国の借金である「8億」をゲーム中の金額で集める必要があるのだが、普通に高額で売却できる物を多数作っても焼け石に水。クリア後にはデータを引き継いだプレイが可能で、その際にはお金も引き継げるのでいつかは達成可能ではあるが、とんでもなくプレイ時間がかかる。
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最終目標アイテムの「アルカナス」が2億で売却可能なのだが、作成と同時にエンディング条件を満たし回収されてしまう。しかし、ゲーム期限ギリギリに完成させる事で回収イベントを発生させない事が可能。また、錬金時にたまに発生するミニゲームを成功させれば2つ作成できる。
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この実質裏技と言えるような方法でようやくエンディングを見るのが現実的になるが、そういった方法を使っても最低3周は必要。
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また、正規の方法であればとんでもなく時間がかかってようやく視聴可能なEDだが、借金返済EDを見ると、所持金が引き継がれない上、やはり勝手にセーブされるため、EDの途中で電源を切らない限り、このEDをもう一度見るにはまた最低3周が必要。
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流石に修正版ではこの点も改められ、強制初期化は無くなっている。
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しかも、このEDでようやく借金を返済したはずなのに、何故か他のEDと共通で「結局、目標は達成できなかった」と言い出す。お前は何を言っているんだ。
ゲーム自体が起動できなくなるバグの存在
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アトリエシリーズ恒例でこのゲームもプレイ期限が存在するが、超長期の調合を行って最終年の翌年以降に調合が終了するようにすると終了判定が行われない。
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4月末~12月末までの長い期間に判定が存在するため、通常プレイではまず発生しないが、狙って行う事はたやすい。
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そのままプレイし続けるとフリーズする上、この状態でセーブを行うとゲーム自体が起動しなくなり、タイトル画面からゲームを始めると同時にタイトル画面へ戻されてしまう。
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「はじめから」だろうと「つづきから」だろうとプレイ不可能。初期化も不可能で、このバグを発生させるとプレイ不可能なソフトが出来上がる。
その他
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年をまたぐ際に依頼が強制的に期限切れとなる。
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HP増加アイテム使用後には最高で999にしかならない。
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そのため、1000を超えたHPのキャラに対して使用するとHPが減少する。
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基本アイテムである「中和剤1」と「中和剤2」を2周目に作成できなくなる。
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自動で入手する「錬金術こうざ1」をわざわざ売りに出し、即キャンセルして再入手する事で一応回避は可能。
評価点
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原点回帰
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『マリーのアトリエ』のような錬金術による調合をメインとしたゲームへ戻ってきてくれた事自体は旧作ファンから喜ばれた。
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携帯機でのんびりやるのにも向いているので、この方向転換自体は評価された。
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メインである調合部分はシリーズ恒例の出来
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上記の通り素材採取の面で問題はあるが、各地を旅して素材を集め、調合で新たなアイテムを作り出し、図鑑を埋めていく。こうしたシリーズの基礎部分の良さは引き継いでいる。
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キャラクター
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王道キャラから突飛なキャラまで、コミカルかつ魅力的に描かれている。
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主人公は破産した国の元お姫様であり、国を復興させるためにお金を稼ぐのが目的という事からお金にがめついキャラだが、それでいてサバサバした性格等、親しみやすいキャラになっている。
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仲間となるNPCは「主人公と正反対の、玉の輿狙いのイケイケギャル系親友」「主人公&ギャル系親友に振り回される少年」「アトリエシリーズおなじみの強くてクールな騎士団長」「自分のことを“婚約者を亡くした悲劇の魔法少女”だと思い込んでいるオタク少女」などレパートリー豊か。
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錬金術をメインにした王国内での交流等、キャラクター達の掛け合いによるシナリオの出来は悪くない。
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野川さくらや水樹奈々、子安武人など有名な実力派声優を起用し、ほぼ戦闘ボイスのみではあるものの良い演技で印象付けている。
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和狸ナオの描く可愛らしい絵柄もマッチしている。各キャラの設定に則った装飾品も描き込みが細かく、アトリエらしさを醸し出している。特に前述のオタク少女を「アトリエ世界観内のコスプレ→ファンタジー作中のファンタジー→女子高生風魔法少女」という意図的な違和感を表現したデザインは斬新でありながらアトリエ世界観を逸脱することのない塩梅であり、プレイヤーからの評価が高い。
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アトリエシリーズ恒例の複数のエンディング
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簡易的な物ながら初代である『マリーのアトリエ』と同程度のエンディング数があり、錬金術を極めて目標アイテムを作る王道のエンディング、冒険者として成功するエンディング、錬金術とは全く別の料理人になるエンディング等、そう多くはないが色々なエンディングが用意されている。
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難条件の特殊エンドとして直接借金を返済するエンドも用意されているのもそれ自体は嬉しい所。前述の通り、このエンディングには色々問題があるが。
総評
久しぶりに錬金術主体のアトリエシリーズが、携帯して気軽に出来る携帯機に新作として出る、という事もあって何気に発売前の期待値は結構高かったのだが、出来上がったゲームはバグやフリーズ、ゲームバランスの調整などシステム面で最悪の出来であった。
キャラや絵柄、ゲームの雰囲気など、悪くない要素も多いのだが、問題が多すぎてこれらを楽しむよりも、システムの不具合とゲームバランス調整の悪さが全てを台無しにしてしまっている。
加えて発売後の対応も悪かった事もあって、悪い意味で有名な作品になってしまった。
世界観や雰囲気に関しては次回作『アニーのアトリエ』にも引き継がれ、そちらは開発が変更された事もあってまずまずの出来となっている。
その後の展開
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DSのアトリエシリーズはこの後も2作作られた。
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イラストは『リーズのアトリエ』『アニーのアトリエ』『リーナのアトリエ』共に和狸ナオが描いている。
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次回作の『アニー』ではリーズも成長した姿で特別出演をしており、戦闘メンバーにも参加可能など、『エリーのアトリエ』でのマリーのような扱いとなっている。
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『アニー』以降は開発が株式会社アメージングへと変更となり、本作のような問題は発生していない。
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ちなみにこの点でもって下請けが変更となって改善されたと言われる事も多いが、本作の「開発補佐」である株式会社HYDEとどのような協力体制であったのか実情が不明なため、ガスト側の体制を一新した可能性もある。(そもそもガストは内製作品でも『ロロナのアトリエ』や『シェルノサージュ』を代表としてバグまみれの作品をいくつも出している。)
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本作の評価のせいか、はたまた「DSA1~3」のナンバリング通り外注作品であるからかは定かでないが、アトリエシリーズ20周年記念作『ネルケと伝説の錬金術士たち』では、DSの3作品のキャラは未登場となっていた。
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その後有料DLCの追加ストーリーで主人公達3名が追加されている。
余談
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本作は発売が数ヶ月延期され、実際に発売されると、事前に情報誌で宣伝されていた要素が多数削られ別物になっていた。
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例えば、画面中をタッチしてアイテムを集られる仕様だったものが、ただ画面を十字ボタン左右で移動するだけで自動でアイテムを入手できるよう変更されている。
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他にも変更点は多いが、雑誌などで前情報を見ていると完全に別物と言っても過言ではない。
発売後の公式対応
ゲームが完全に起動できなくなるバグについては、わざと発生させない限り滅多に起きないとはいえ、レアケースと言い切り多数のバグが存在しながらもしばらく放置された状態が続いた。
発売から1年後にやっと無償での交換が行われたが、今でもバグ版が出回っているにもかかわらず、2011年2月末日に交換受付は終了した。
ただし、新品での購入に関しては修正版で販売されており、中古でもパッケージで確認できる(赤い背景が白くなっている)ため、修正版が手に入らないといった事態にはなっていない。
現在は、公式サイトに不具合の一覧と対応方法が記載されている。
最終更新:2024年02月16日 11:04