フリーキートリップ
【ふりーきーとりっぷ】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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Nintendo Switch Windows(Steam)
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発売・開発元
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RedDeer.Games
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発売日
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2023年10月5日
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定価
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2,483円(税込)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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再現性のある進行不能バグ
定価に対してボリューム薄すぎ 世界観・謎解きは受け入れられるなら独創的
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概要
謎の生物「サルシー」が行方不明になった相棒のオカメインコ(……らしいが、どう見てもニワトリ)の「コッカプー」を探す……というシナリオのアドベンチャーゲーム。
基本的な進行は、古典的なPCアドベンチャーゲームにありがちな、固定画面で怪しいところをクリックすることで謎を解いていく……というもの。各ステージのクリア条件を満たすとシナリオが先に進み新しいステージが開放される。
問題点
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進行不可能になるバグが複数存在する。
(Switch版で確認)アドベンチャーゲームとして、致命的な問題点。
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オブジェクトの処理が進んでいない状況で他のオブジェクトに触ったりすると発生しやすい模様。一応、各アクションがキチンと完了したのを見届けてから次のアクションに入るよう意識すれば回避はある程度は可能。
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ただし、何の前触れもなくクリア必須オブジェクトの当たり判定がなくなることもあり、原因は不明。公式からの声明はない。
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ステージ7で、カバンを検査機に落とさないまま次のカバンを呼び出す、といった簡単な手順でも用意に再現できる。
 本来画面内に一個しか存在してはいけないカバンが増殖するバグ。パッと見でも異常なのがわかる。
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完全に詰むわけではなく、メインメニューに戻って再度ステージに入り直せばクリア可能。ただ、それでも回復しないこともあり、バグの詳細は不明。
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定価に対してボリュームが薄い。
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後述のように謎解きがかなり捻くれているものの、実際のところステージはたったの14用意されているだけである。多少迷っても、大体のステージは初見で10分かからない程度。総合的なボリュームはこの価格帯としてはかなり寂しい。
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ストーリー分岐や、本来の正解と異なる解法なども存在しない。ステージ進行は完全に一本道。
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やりこみ要素なども一切なく、隠しステージもない。
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ただ、天文学者のステージだけは「ノーヒントで広大な星空から対象の星座を見つけ出す」という面倒な謎解きを2回もやらなければならず、無駄に手間がかかる。時間がかかるだけでいつかはクリアできるが……。
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ダウンロードコンテンツはあるが、「春夏秋冬を模したそれぞれのコンテンツに、3枚ずつサルシーとコッカプーのスライドパズルがある」というだけのかなり寂しい代物。本編の謎解きの追加ステージを期待していた人にはあまり嬉しくない。ダウンロードコンテンツは定価100円なので、ボリューム的には妥当と言えなくもないが。
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謎解きの際はいちいちサルシーが指定されたポイントに移動してからアクションするため、テンポが悪い。
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「ボタンを押してクレーンを操作する」という場面ですら、わざわざサルシーがそれぞれのボタンの上に移動してジャンプして飛び乗るというアクションを行う。早送りなどはない。
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そしてこれに苛ついてクリックを繰り返すと前述のバグにハマりやすくなる罠。焦りは禁物である。
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日本語はかなり怪しい。
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本編内に言語はほぼ出てこないが、いきなりトップメニューの一番上が
続けす
という崩壊した日本語になっている時点で本作の地雷臭はわかるというものである。
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ゲーム本編とは関係ないが、公式サイトの紹介文もかなり怪しい日本語である。
 今時機械翻訳でもこんな日本語は出てこないだろう。
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賛否両論点
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サイケデリックなキャラクターデザインと世界観、そしてそれに連動した異様な謎解き。
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そもそもの主人公のキャラデザからしてなんとも言い難いキモカワ系のデザインだが、それに負けず劣らず世界観やデザインはサイケで前衛的。この辺が受け入れられないと本作の評価はさらに下がるだろう。
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更に、その世界観で導き出される謎解きも奇想天外で常識の範疇の外にある代物ばかり。例えば、ゲーム序盤「探偵事務所」のステージの謎解きを以下に紹介する。
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行方不明になったコッカプーの捜査を依頼するべく探偵事務所にやってきたサルシー。しかし探偵は電話に夢中でサルシーの話を聞いてくれない。なんとかして彼の注意を引くことがこのステージの目標になりそうだが……。
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まずクッションの下からヨーヨーを見つけ出す。これを振り子時計にセットすると時計が動き出し、時計の鳥からは羽が手に入る。また、棚の上の絵画を調べると裏から金庫が出てくる。棚の書類を弄ると紙飛行機ができる。この辺りまでは普通のアドベンチャーでありがちそうなアイテムだが……。
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ここから先の攻略が奇想天外であり、まず紙飛行機を机の上に向けて飛ばし、コーヒーと画鋲を落とす。そして羽にコーヒーを付けてコーヒー付きの羽で金庫を探ると、
なぜか金庫にジッパーができる
。そしてジッパーを開けて出てきた虫眼鏡を取り、ブラインドを開けて日光を虫眼鏡で集めて
電話線を焼き切る
。電話が切れたら探偵の脇のコルクボードに画鋲と切れた電話線を張り巡らし、探偵が興味を持って近づいてきたら時計を再度動かす。驚いた探偵の帽子からコッカプーの写真が落ちてくるので、それをコルクボードに嵌めると、ようやくコッカプーの行方の手がかりが手に入りステージクリア……という流れ。途中の流れにあまりに脈絡がなく、これが本当に正解なのか怪しくなるが、これが唯一の正答である。
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ステージ1の「夢」からして、極めてサイケデリックなステージデザインである。サルシーの夢の中という設定なので当然と言えなくもないが……。
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文字情報がほとんどなく、ストーリーはボディランゲージで語られる構成も独特。この辺を受け入れられるかで本作の評価は分かれるかもしれない。
評価点
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全体のボリュームはともかく個々のステージそれ自体は、固定画面式のアドベンチャーとしてはそれなりに良く練られている。
前述のバグで詰むとどうしようもないが……
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ゲームオーバーや地雷選択肢はないが、前述のように発想の飛躍が必要になるステージが多いため総当たりでも手こずる場面はある。
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ヒント機能がしっかり搭載されており、わからなくなったらヒントに頼ればクリアは可能。ただ、ヒントというかほとんど答えになってしまっているステージも多いが……。
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グラフィックなどは世界観に合わせた独特な塗りでキチンと描かれている。全体の世界観とデザインが一貫しており、その辺りのクオリティは高い。
総評
ゲーム全体としてのクオリティが極端に低いわけでは決してなく、ユニークな世界観からしても相当練り込まれて作られたであろうことは察せられる作品。
それだけに、なぜこれだけ容易に発見できるバグを見逃したまま発売してしまったのかが気になるところである。
繰り返すが、「詰みかねないバグ」と「定価に対するボリュームの極端な薄さ」が本作の欠陥の大部分を占めているため、逆に言えば安売りセールで購入できればその辺りもあまり気にならず、普通に楽しめるかもしれない。
最終更新:2024年02月29日 21:48