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コズミックソルジャー
【こずみっくそるじゃー】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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PC-8801 PC-9801 MSX2 X1turbo FM7 MZ2500
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発売・開発元
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工画堂スタジオ
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発売日
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1985年10月
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定価
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7,800円 PC-98版およびMZ2500版は8,800円
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配信
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プロジェクトEGG PC88版/2002年10月:770円(税別)
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判定
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良作
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ポイント
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トラップとトリックに富んだ3Dダンジョン クリアまでの辛くながい道のり お色気路線もしっかり踏襲
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コズミックソルジャーシリーズ コズミックソルジャー / サイキックウオー/サイキックウオー2
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概要
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3DダンジョンタイプのRPG。
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ストーリーで記した通り、サイキック能力を復活させることのできる情報の記されたファイルを見つけ出すことがこのゲームの目的である。
ストーリー
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西暦3530年、クィラ(QUILLA)星を総督府とする連合帝国は、銀河の盟主たらんと領主拡大を図り、すでに宇宙の大半をその版図としていた。そしてこのゲームの舞台である「KGD星域」にも、彼等の紅い影は姿を現した。
「KGD星域」、銀河系の外縁に近いこの星域は、アリック(ALIK)・エグザス(XSUS)・ドンク(DONK)等、友好的な複数の種族によって同盟統治されていた。
帝国は強力な大艦隊を背景に恒久的な隷属と忠誠を要求した。しかしKGD星域の主要三星は断固として自治を主張し、全星域の艦艇を帝国の大艦隊に向かわせた。これが後に云われる所のKGD戦役(第一次星間戦争)である。
三年半にも渡るこの戦いは、同盟側の破滅をもって終止符がうたれ、帝国はKGD星域をおのが版図とした。しかし帝国も、予想を大きく上回る損害に国力を劣化させ、およそ半世紀後、経済的な大恐慌を起こすに至った。
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社会の混乱は人々の動揺を生み、かねてよりくすぶっていた帝国への反動を一気に吹き出させ、各地でレジスタンス活動が活発化した。
彼等の中核を成したのは"サイキック"即ち超能力者達であった。
しかし帝国はこうしたサイキック・ソルジャーの存在を黙認していた訳では無かった。
すでにKGD戦役の頃から、その善後策の研究を秘密裏に進めていたのである。
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西暦3600年に施行された帝国能力調査法は表面上、定期健康診断の形態をとっていたが、実際にはサイキック能力者の洗い出しであり、潜在的能力者も含めたサイキック能力者への帝国が開発した"μ-80"(超常精神波抑制装置)の埋め込みを意図したものであった。
サイキックを完全に封じ込めてしまう機能を持つμ-80は、一度埋め込まれると、いかなるスキャナーにも反応せず、摘出は不可能とされている。
この為、レジスタンスはこの牙を抜かれ、再び地下深くへ隠れざるを得なくなった。
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こうした苦境の中で、ただKGD星域解放同盟(ALIK・XSUS・DONK)だけは徹底抵戦を叫び、μ-80の解明に総力を注いだ。そして遂に多くの犠牲と引き換えに、一つの情報を入手した。帝国へ潜入していた工作員が、μ-80の処方ファイルが存在することを確認したのだ。それも、なんとこの星域の軍基地のどこかに保管されているという。
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西暦3652年、解放同盟は特攻隊を組織しμ-80を埋め込まれ、ダコック(DAGOK)星に監禁されているサイキック能力者達の救出を彼等に命じた。
特攻隊は全滅に近い損害を出しながらも、1名のサイキックの救出に成功した。
そのサイキック能力者こそ、このゲームの主人公である貴方なのだ。
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解放同盟は貴方に、とりあえずの装備を与えると、ドンク(DONK)星のジャンクショップに向かわせた、パートナーとなるアンドロイドに引き合わせた。
初期の予定とは異なり、解放同盟としては表立った支援活動は不可能となった。
貴方は一人で同行してくれる有志を探し、μ-80の処方ファイルを手に入れなくてはならない。
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さあ!アンドロイドを受け取って、ドンク(DONK)星のジャンクショップを出た。
解放同盟の援助は期待できない。何とか頑張って処方ファイルを手に入れ、母星の自由を取り戻すのだ。
特徴
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レベルについて
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レベルが「攻撃力」と「耐久力」の二種類存在する。
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「耐久力」の経験値は通常通り敵を倒すことで得られる。
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「攻撃力」の経験値は敵が降伏し、それを受け入れることによって得られる。降伏させるためには敵を全滅させない程度に消耗させる必要がある。
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降伏を促すために、攻撃に手加減を加えることができる。
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降伏に成功したら、攻撃系経験値のほか、金や情報を得ることができる。
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降伏するのは主に軍に所属している知性を持った生物系の敵だけで、ロボットや野生の生き物、そして軍の幹部など一切降伏しない敵も多数いる。
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画面上部にメンバー全員分の攻撃力と耐久力を示す太いバーがあり、それぞれに経験値を示す細いバーが並んで示されている。
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経験値のバーの長さが各能力のバーの長さを超えるとレベルアップとなり、メンバー全員の能力が少しずつ上がる。能力のバーの長さは各メンバーの身体的能力と装備品の能力が反映されている。よって、強い武器や防具を装備するとその分だけ能力バーも伸びてしまい、レベルアップに必要な経験値もその分多くなる。
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仲間について
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道中で味方になってくれるキャラは5種類。いずれも女性である。
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その5種類のキャラは出会った際に5種類の装備を身に着けているか、もしくは何も身に着けていないビキニ姿のいずれかである。
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戦闘について
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敵も味方も横一列に並んでおり、味方は右端の一体だけが攻撃を受ける。
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味方の防御は身体の耐久力と防具の耐久力に別れていて、攻撃を受けた際は、まず防具がダメージを受ける。その防具の持つ耐久力を超えたダメージを受けると防具が壊れ、続いて身体がダメージを受ける。身体の耐久力を超えたダメージを受けると、その仲間は死んでしまう。
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前述のとおり、仲間になれるキャラは仲間になった時点の装備を外すことが出来ず、新たな装備は仲間になった時点での装備の上に身に着けることになる。つまり、身体の耐久力は、レベルを上げるだけでなく、仲間になった時点で身に着けていた装備も影響する。目の保養のためにビキニ姿の仲間ばかりを連れて行きたくなるところだが、常に攻撃を受けることになる右端の仲間だけは出来るだけ強い初期装備を持った状態のキャラにしておくことが肝要である。
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マップについて
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3D視点でダンジョンの様子が画面中段中央に小さく表示されている。場所によって壁の模様が異なる仕様のため、当時のパソコンの性能上、極端に小さな表示になっている。
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このゲームの個性を引き立てているのが、その3Dダンジョンの複雑さである。落とし穴や、通過すると閉まる壁、通過すると引き返せなくなる扉、遠い場所に瞬間移動させられる仕掛けは他の作品でも見られるものだが、厄介なのは、平坦な道を歩いているようで実は坂道になっていて、いつの間にか上か下のフロアに移動する通路の存在である。途中で折り返す形状の細い一本道が階段を意味していることがある。また、外周をぐるっと一周すると上または下の階に移動しているらせん状の通路(もしくは階段)になっている場所もある。これらが何の文字情報もなく、また視覚的にも表現されていないため、マッピング作業中に齟齬が生じたら、自分のマッピング作業にミスがあったのか、それとも違うフロアに移動したのか検討しなければならない。これが、このゲームのクリアを困難にしている要因である。
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一見するとただの壁だが通過できる場所がいくつも存在する。壁の向こう側が未踏査であるなら、丹念に壁にぶつかってみる作業が必要である。
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アンドロイドについて
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フィールド画面が極端に小さい代わりに、画面左側に大きく描かれているのが、主人公に随行する女性型のアンドロイドである。
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このアンドロイドにアイテムを装備させることによって、自動的に装備のダメージを修復させたり、身体のダメージを回復させたり、また敵の強さを把握して戦うべきかどうか戦闘前にアドバイスをしたりといった、進行の手助けをしてくれる。
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アンドロイドに特定のアイテムを装備させることで、アンドロイドを相手に人間と同じようにセックスすることができる。セックスすることで、アンドロイドは耐久力を攻撃力に変換する「バイオパワーエクスチェンジャー」を発揮する。ただしアンドロイドは主人公の残り耐久力を把握していないため、残り耐久力を超過する変換をしてしまい、主人公が死んでしまうリスクもある。なお、セックスは特定の場所でしかできず、それ以外の場所でしようとすると「こんなとこじゃイヤよバカ」と拒否される。では、どこで出来るか?我々だってお相手が居たとしても所かまわずどこででもできるわけではない。常識的に考えたら分かるだろう。画面に表示されているplace欄に注目である。
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アイテムやキャラの名称について
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武器の名称は「ガン」「ファイアー」「ウエーブ」など、いたって普通と言えるものだが、防具については「TATCH」「ULSAY3」「BY7FAM」「GADUM8」「MC-LS9」など、このゲームの発売当時に人気のあったアニメのタイトルを想像させるユーモアに富んだ名称が付されている。
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仲間になってもらえるキャラは「SZOOCK」「COWATCH」「UTCHAM」「MUELA」「TAMMU」と、いずれも読み方がよく分からない。唯一「UTCHAM」だけが、続編「サイキックウォー」にて「ウッチャム」として再登場する。敵キャラについても、ほとんど読み方が分からない。
評価点
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フロッピーディスク1枚に収まってるとは思えない世界の広さと奥の深さで、クリアまで相当な時間がかかり長く楽しむことができる。定価購入でも損なしといえる。
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特徴でも述べた通りトリックに富んだ3Dダンジョンである上、迷いやすい迷路状の構造も手伝ってマッピングに相当手間取ることになり、クリアまでの道のりはかなり辛いものになる。相当な忍耐と思考を求められる分、クリアしたときの達成感もやはり相当なものである。
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戦闘シーンはとてもシンプルで、早ければ数秒で終わる。
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画面のレイアウトがなかなか洗練されていて、ウィンドウを開く面倒な作業をしなくても必要な情報の大半は一つの画面の中で把握することができる。
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3Dダンジョンの表示部分は極端に小さいが、壁はカラーでよく描き込まれていて今いる場所の雰囲気がよく伝わってくる。PC8801版の場合は全機種にて、V1モードでもプレイ可能となっていて、当時のすでに旧式化していた機種でも遊べる、広くプレイヤーを獲得しようとする作り手の配慮がこの小さなフィールド画面から見て取ることができる。
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工画堂は本作が出るまでアダルトゲームをいくつか発表してきたが、このゲームもお色気路線は継承されている。画面左に大きく描かれているアンドロイドは露出の多い衣装をしているが、セックスの場面になると全裸になる。同社のファンの期待にはきちんと応えている。
問題点
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エンカウントが高すぎる。
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とくに各星に存在する軍基地においては一歩進むごとに敵と遭遇する場面が多く、ゲームの進行の阻害になっている。
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このゲームのマップ構造はかなり入り組んだ迷路状になっており、四方とも壁や扉に囲まれたマス目状になってる場所もたくさんある。
ゆえにマップがあっても自分の位置を見失い易いため、「戦闘によってマップに対する注意が散漫になった末に気が付いた時には迷っている」という事態が起きがち。
--ゲーム序盤こそ弱い敵ばかりであるが、中盤以後は遭遇する敵の強さにバラつきがあり、苦戦する戦闘がたまにある一方、一発の攻撃であっさり全滅させられる戦闘が多数あって、そんな楽な戦闘が頻発したところで経験値が大して上がるわけでもなく、ただ時間の無駄になるだけである。
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そのような戦いが一歩進むごとに発生し、その都度マップを確認して自分の居場所を把握する作業はかなりの苦痛を伴う。
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いつの間にか上または下のフロアに移動している「坂道」(もしくは階段)について、文字情報もなければ3D視点でのビジュアル表現もない。他の地点への瞬間移動や通過することで閉まる扉や壁といったトリックはともかく、坂道や階段についてはせめてアンドロイドから何らかのアドバイスがほしかった。
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とくにALIK星のジャングルにある塔については外壁の内側に沿ってらせん状の坂もしくは階段があることにはなかなか気づかない。
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アンドロイドによるアドバイスがストレス要素になりがち
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アンドロイドにアイテム「アサダーメ」を装備させるとアドバイスをする機能が付き、戦闘開始前にも必ず楽勝か逃げた方がいいか等のコメントが付くようになる。
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しかし、出現した敵を見れば勝てるかどうかはアドバイスなんかなくても分かるし、先に述べたように一歩進むごとにエンカウントが発生するなど戦闘の頻度が高い中で毎回のようにコメントがつくため次第に煩わしさも伴ってくる。
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コメント表示時間は調節ができるがゲーム進行上重要なメッセージまで同じ表示時間で設定されるため、一番早い設定にしてしまうと、肝心なメッセージまであっという間に消えてしまい大変困ることになる。
結局、数秒は表示されるメッセージ速度4か5設定することになるが、そうなると戦闘ごとのアンドロイドのコメントが邪魔くさくなってしまう。
総評
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非常に難易度が高いものの、何の変哲もない場所で何の脈絡もない行動を要求されるような無茶なものではない。一歩進むごとに、また数歩移動するごとに周囲を丹念に調べ、自作したマップの構造を推測するという地道な努力で自力クリアは可能なので、知的好奇心を大いにくすぐられる良作と言える。攻略本等を頼らず自力でのクリアを目指すとなるとかなりの脱落者が出るだろうが、全員仲良くゴールまでたどり着けるゲームだけが良作というわけではない。
最終更新:2024年08月08日 22:53