Genesis Noir
【じぇねしす のわーる】
| ジャンル | アドベンチャー |  | 
| 対応機種 | Nintendo Switch | 
| メディア | ダウンロード | 
| 発売元 | Fellow Traveller | 
| 開発元 | Feral Cat Den | 
| 発売日 | 2021年3月26日 | 
| 定価 | 1,520円(税込) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| セーブデータ | 1箇所 | 
| レーティング | IARC 12+ | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 先鋭的で謎の多いシナリオ アート作品としての価値あり
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概要
アメリカ、ニューヨーク市のブルックリンに構えるインディデベロッパーの作品を、オーストラリアのFellow Travellerがパブリッシングした作品。
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はっきりとしたストーリーは存在しないが、主人公の最愛の歌姫に、凶弾が発射されてしまうところから物語が始まる。
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主人公が様々な異世界に寄り道して、宇宙規模の現象を引き起こして、この凶弾を阻止しようとするのが大まかなあらすじ。
システム
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全体的なジャンルとしては、アドベンチャーゲームに相当。
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マウスカーソルを動き回らせて、怪しいところを調査する場合と、主人公などのキャラクターそのものを動かして3Dの地形一帯を歩き回らせて怪しいところを調査する場合の2パターンが存在する。
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カーソルを動かさなくてはならない場面、キャラを動かさなくてはならない場面に明確な境界線はなく、状況に応じてコロコロと変化する。
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また操作を一切受け付けないショートムービーが挟まれることも多い。
 
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操作方法
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コントローラー操作のみが可能で、左スティックはカーソルや主人公などのキャラを移動させるのに使われる。
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左右のスティックをまわして、あたりを見回すといったこともできる一幕がある。
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Aボタンは近くにある物体や人物を調査したり話しかけるのに使われる。
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Aボタン長押しすることで物体を掴み、左スティックを倒して掴んだアイテムを別の所に動かすような操作もある。物体を移動させなくとも、Aボタンの長押しや連打が必要な一幕もある。
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作中でできることは多様なので、具体例すべては表記できないが、物体にカーソルを合わせてからAボタンを押して、怪しく流れる雲から雷を発射させたり、Aボタン長押しで邪魔な物体を掴んで引っこ抜いてみたり放り投げてみたり、ラジオのダイヤルを動かしてみたり、逆にバラバラになったパーツを動かしつつ組み立ててひとつのアイテムにしてみたり、太陽が昇っている空をつかんで回転させて時間を進めてみたり、といったことが行われる。
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ゲーム中のギミックを見て、どのような操作が求められているのか逐次判断した上で進めていくことになる。ゲーム中は基本何をやってもよく、ゲームオーバーとなる条件は特に無い。
 
 
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チャプター構成など
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物語の大筋は一本道であるが、中盤のチャプターはある程度プレイヤーの好きな順番で挑むことが可能なほか、最後のシーンで一応EDの分岐がある。
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セーブはチャプターをクリアした節目でのみ自動で行われる仕組み。
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クリア後はプロローグからエピローグに至るまでのチャプターを選択してプレイ可能。
 
評価点
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ムービー集として
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操作が必要なゲーム的なパートと、ムービーだけを視聴するパートとあるが、それらの境界でこれといったロードもなく、気づかないレベルでなめらかにつながっている。
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画面に映る様々な物体も、プレイヤーの何気ない操作に対して何かしらの動きを示すことが多い。
 
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独特なゲームデザイン
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黒色をベースに白色や金色で、キャラクターの輪郭や夜の街や天体の光を表現するようなデザインである。ほぼ全編でそのようなデザインを一貫しておりオシャレ。
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人物はデフォルメされたようなデザインである一方、草木や物体といった細部はきっちりと描写されている傾向。
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舞台となる夜の街や宇宙のグラフィックは立体的につくられており、ただ見回すことでも様々な発見がある。水のような物体に光が反射して見えたり、ブラックホールの重力で光がゆがめられるように見える表現もある。
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ただ夜の街や天体の描写に限らず、ジャズ、生命誕生、古代の狩猟、武士道といった多様な世界観も混ぜ込まれている。
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「特異点」という終盤のチャプターでは、いままでのモノクロ調のデザインから一転して、ムービーの色彩がカラフルに変化。さらに「We」というタイトルのBGMをベースに、今まで出てきた上記の狩猟、ジャズ、武士道が集大成のように登場する。
 
 
賛否両論点
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ストーリーが良くも悪くも超展開
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宇宙規模の現象を引き起こして恋人への凶弾をとめる、という発想自体はなかなか先鋭的で目を引くものであるが、特に結末も含め、どういう話なのか理屈で読解するのは困難。
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本編は明確な起承転結もなく、プレイヤーの意表をつくようなちょっとした超展開が畳み掛けるような構造。
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ちょくちょく登場するフレーバーテキストも、どちらかというと読んで理解するというよりは詩的に楽しむような類のものである。
 
問題点
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ゲーム中で求められる操作について
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本作は雰囲気重視の作品であるとは考えられるものの、それでもコントローラーによる最低限の操作方法を最序盤に説明するのみであり、基本的にゲームを進行させるための説明が不足している。
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一部評価点の裏返しにもなってしまうが、「ムービーを見ているつもりだったと思ったら操作が必要なパートであった」、「カーソルを動かすべき場面だと思ったらキャラを歩かせる必要があった」、「Aボタンを押すだけでなく、長押しする必要があった」といったことが発生する。
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思いついたことを色々試した上で先に進めた感動は決して小さくないのだが、結局できそうなことを総当りすることにもなりゲームが必要以上に停滞しやすい。
 
 
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光の点滅について
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本作をはじめる際にも警告されることだが、光が激しく点滅するようなシーンがある。
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ゲーム開始時に、「設定」より点滅をOFFに出来る旨の情報があるが、Switch版ではそのような処置ができない。
 
総評
操作そのものは簡単ではあるが、良くも悪くもシナリオは難解で先に進むための方法もいまいち思いつきづらい点では人を選ぶ作品。
黒色と白色と金色で織り成すグラフィック表現は特筆すべき点であり、理屈の介在しないアート作品として楽しみたい人にはオススメである。
最終更新:2024年08月18日 15:23