SeeNa
【しーな】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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PC-8801mkIISR、PC-8801
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開発・発売元
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システムソフト
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発売日
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1986年2月
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定価
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6,800円
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配信
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ProjectEGG 【PC-8801mkIISR】2019年2月19日/770円(税抜)
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判定
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良作
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概要
システムソフトの伝説的プログラマーである「たいにゃん」が制作した高速3D迷路アクション。
プロローグ
「ムハハハ・・・・・・」
三文SFでいうところの2流マッドサイエンティストのタイニャン博士はこみ上げてくる笑いが止まらなくなって思わずあごがはずれてしまうところでした。
それもそのはず、タイニャン博士が、その人生の15%ぐらいと、ポケットマネーで食いつなぎながら、
やっとの思いで完成させたウルトラスーパーコンピュータ NeeSa を使って、世界征服を達成する日がやってきたのです。
目の前のパワースイッチを入れてやるだけで、オールマシン語で書かれた、とっても早いプログラムがあっというまに、
全世界にはりめぐらされているネットワークにもぐりこみ、世界中のコンピュータをコントロールしてしまうのだ。
ふるえる指先で(だってタイニャン博士は笑いすぎてさっきからふるえが止まらなくなっていたのです。)パワースイッチをカチリッと押しました。
ヴァーン、ガタガタと安物のハードディスクがうなる音がして、ディスプレイにオープニング画面が表示されました。
システム
基本は3Dの迷路を探索していくゲーム。
基本操作は左右旋回、ブレーキ、アクセルとシンプル。
共通のゲームオーバールールとして、以下のルールが存在。
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ダメージが限界を超える。
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エネルギーがなくなる。
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残り時間が無くなる。
ゲームモードとしては以下の2つのモードが存在。
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SIDE A
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DORMと呼ばれる迷路をワープポイントを駆使して踏破し、最終ステージにあるNeeSaというコンピュータを破壊するのが目的。
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全79ステージだが、ワープポイントによって行き先のDORMが異なっているという『アトランチスの謎』のような構成。
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DORM上には様々な仕掛けや敵が存在。敵もしくはアイテムは黄色い点滅ブロックで表示され、近づいた場合は照準がロックして、敵やアイテムの名前とそこまでの距離が交互に表示される。
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敵については一定以上の速度でぶつかることで撃破可能。倒せない場合はダメージを受ける。
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敵によっては倒した際に何らかのボーナスやペナルティを得ることがある。
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一部の敵については倒さずに中に入ると情報を得ることができる。
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アイテムは低速でぶつかることで取得可能。ただし高速でぶつかってしまうと壊してしまい入手できなくなる。
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出口のワープゲートに入ることでクリアとなり、クリア時にスロットが回り、特定の絵がそろうことで絵柄に応じたボーナスorペナルティが発生する。
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セーブの際には特定のアイテムが必要。所持していることでクリア時にセーブを手動で行うことができる。
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SIDE B
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コースを規定回数周回していくレースゲームで、全8コース。コンティニューはない。
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ダメージの回復やエネルギーの補充はピットで静止することで行われる。
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コース5以降はMAPの表示がなくなって難易度が上がってくる。
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コース8をクリアでオールクリアとなり、ベストレコードが記録される。
評価点
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当時のPCではあり得ない速度でぐりぐり動く3D画面
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当時の貧弱な8bitPCのスペックで、ここまで高速動作する3D画面は本当に衝撃。
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この高速化処理については本体CPUのみならずFDDの制御用CPUまで利用しているというので驚愕である。
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スピード感も現在の観点で見ても全く見劣りせず、キャッチコピーのうたい文句が全く誇張抜きに真実なのをまざまざと見せつけてくれる。
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圧倒的なボリューム
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SIDE AのDORMは全79ステージあり各ステージのつながり方も複雑なためかなりのボリューム。
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クリアしたら別のルートからのクリアを目指す、全てのステージを探索していくなど遊び方・やりこみ方も様々。
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SIDE Bのレースもタイムアタックとして遊ぶには程よいボリュームで気軽に楽しめる。
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軽快なBGM
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当時高校生だった二人組のユニット「日の丸ファクトリー」が作曲したBGMは非常に軽快なBGMで作風にもよく似合っており高評価。
問題点
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当時のマシンスペックの限界ゆえにやや見づらい側面も多い。
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あまりにも高速で描画されているゆえに、当時のゲームとしては珍しく3D酔いしやすい。
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特に後述のワイドスクリーン版ではレーダースクリーンまで揺れるためにさらに3D酔いしやすい。
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敵とアイテムは同一のオブジェクトで描画されているゆえに見づらい。
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オブジェクトが敵かアイテムかは画面上のレーダー表示部分の確認を行う必要があるが、視認性はよいとは言えないため慣れないうちは厳しい。
総評
黎明期の同時期の8bitPCにおいて、これほどまでに高速な3D表現はないといわしめるほどのスピード感は紛れもなくオーパーツレベルの完成度を誇る。
今見ても遜色のないレベルで遊べることは間違いないので、機会があればぜひ触れてみてほしい作品。
その後の展開
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SeeNa ワイドスクリーン版
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レーダースクリーンが全画面表示になったバージョン。さらに機体の上下の振動も再現。
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ただしメッセージ表示や照準が表示されない仕様となっている。また、SIDE Bの表記がSIDE B1に変更されている。
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SeeNa PC-8801/mkII版
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前機種のPC-8801/mkIIに対応したバージョン。バージョン表記は1.01となっている。
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色数が8色のため画面のイメージが異なるほか、マップ・敵キャラも微妙に違う。
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また前述の通り高速化処理にFDDの制御用CPUを用いているためFD版のみでの供給であるので、FDDを搭載していない無印PC-8801及びPC-8801mkIImodel10ではFDDが必須となる。
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標準構成のPC-8801/mkIIではBGMはなくBEEP音だけだが、PC-8801/mkII専用FM音源サウンドボードを搭載することでBGMを出力可能。
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SeeNa2(PC-9821以降)
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Bio_100%から出ていた、本作の続編にあたるフリーソフト。現在でもVectorでダウンロード可能。
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本作のSIDE Bをそのまま発展させたような構成で、全8コースを走破する内容。
余談
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本作は元々PC-6001で制作されていたが、PC-8801mkIISRの発表を機にSRで発売されることになった経緯を持つ。
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本作のパッケージデザインについては『Märchen Veil I』のパッケージを見たたいにゃん氏がそのデザインに感銘を受けてデザインを依頼したとのこと。
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タイトルの由来は当時ファンロードにてイラストを投稿していた漫画家の椎名崇から。余談だが、その名義で発売していた唯一の単行本は『Comme ca du Seenaちゃん』という題名である。
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また、後にシステムソフトから発売された『かわいそう物語』でもキャラクターデザインを担当している。
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後に名義を「秋吉くま子」に変更し集英社の少女漫画誌である「ぶーけ」「マーガレット」で連載を持っていた。
最終更新:2025年05月03日 00:45