キテレツ大百科 冒険大江戸ジュラ紀
【きてれつだいひゃっか ぼうけんおおえどじゅらき】
| ジャンル | アクション |  | 
| 対応機種 | ゲームボーイ | 
| 発売元 | ビデオシステム | 
| 開発元 | フィルインカフェ | 
| 発売日 | 1994年7月15日 | 
| 定価 | 3,900円(税抜) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | パワーアップどころか1UPや回復などアイテム一切なし 設定やストーリーはかなり無理矢理
 それでもキテレツ作品の中では最良作かも
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| 藤子不二雄シリーズ | 
 
概要
藤子・F・不二雄作の漫画・アニメ『キテレツ大百科』のゲーム化作品。
同作のゲームソフトは1990年発売のファミコンソフト『キテレツ大百科』(エポック社)以来4年ぶり2度目となるが、発売元も開発元も異なっており直接の続編ではない。
ストーリー
学校の休みを利用してキテレツ、コロ助、みよちゃん、トンガリ、ブタゴリラの5人は「航時機」で江戸時代へ遊びに行った。
ところがその江戸ではキテレツの先祖、奇天烈斎が実験中の大型空間移動装置「雷時空機」が故障して大きなエネルギーが過去に飛んで行ってしまい、ジュラ紀の恐竜3頭が江戸の町に突如出現して大暴れ。
奇天烈斎は、その恐竜を捕まえるべく巨大ロボット「くろがね一番」を作り出した。
そこに現れたのが悪党一味の海賊「黒船異人軍」で、彼らは東洋の不思議な発明品を狙っていた。
「くろがね一番」を盗むため奇天烈斎とみよちゃん、トンガリは黒船に連れ去られてしまった。
コロ助とキテレツは3頭の恐竜を捕まえて「黒船異人軍」からみんなを助け出すために大冒険に出るのだった。
内容
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ファミコン版と違ってプレイヤーキャラは常にコロ助のみ。
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他のキャラはストーリー上、捕らえられている位置付けなのでゲーム本編中での活躍はない。
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攻撃はコロ助の刀のみで行う。
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体力はライフ制で画面下にバーの並びで表示されており、これを全部失った場合のみミスとなり落下は即死にはならない。
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残機は3人だが、コンティニューが3回までできるので実質12人。ただし後述の通り1UPなどはないためこれで固定。
 
 
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基本Aボタンでジャンプし、Bボタンで刀攻撃。他に一部特殊な技がある。
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ジャンプ回転斬り………ジャンプして上を押しながらBで回転しながら斬る。威力が非常に高い。
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コロッケ返し………Bボタンで刀を振っている間に逆方向を向く。攻撃範囲が広い。
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説明書によれば他に単純にジャンプして斬る「ジャンプ斬り」や下を押す「伏せ」も何故か必殺技扱いになっている。「伏せ」はその状態なら動けない代わりに全ての攻撃を受け付けない防御技としてはチート級に超強力なものなので技と言えなくもないのだが。
 
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基本的には右進行で進み、ボスを倒してステージクリアとなるスタンダードなアクションゲーム。
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中にはボス不在で走り切ってクリアーとなるステージもある。
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ステージクリアーでストーリーが進行し、次のステージへ進む前にちょっとしたストーリーパートが挿入される。
 
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全8各ステージでステージ6まではクリアー後にボーナスゲームが入る。
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ステージ1クリア後………スロット
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絵柄3つ揃いで20点、2つ揃いは、コロ助が12点、キテレツが10点、みよちゃん8点、トンガリ6点、ブタゴリラ4点、全部バラバラなら2点。
 
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ステージ2クリア後………風船割り
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左右から風船が出てくるのでそれを体当たりで割る。割った風船から得点が出てくる。
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×が出ると0点にリセットされる。×は点滅風船からしか出ない(点滅風船は10点か×のどちらかが出る)。
 
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ステージ3クリア後………カゴ入れ
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左右の吐き出し口からどんどんボールが吐き出され、コロ助は背中に背負ったカゴでキャッチする。床には動く磁石があり、これに向かって引っ張られる。
 
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ステージ4クリア後………バスケット
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右端からボールが吐き出され、頭で弾いて左上のバスケットに入れていく。ボールには1・2・3の数字があり、バスケットに入れるとボールの数字分の得点が加算される。
 
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ステージ5クリア後………ブタゴリラたたき
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4人のブタゴリラが4つの穴から出てくるのでモグラ叩きの要領でジャンプで踏む。
 
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ステージ6クリア後………釣り
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ウキが沈んだタイミングに合わせてAボタンで釣り上げる。魚を釣ればその種類に応じて得点が加算され、長靴や空き缶といったゴミを釣り上げると減点になる。
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ウキが沈んでいないのにボタンを押しても空引きになり何も釣れない。
 
 
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スコアはクリア時のライフ残量とボーナスゲームの合算値。
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8ステージクリアして、このスコアのアベレージが100ならばベストエンドになるのだが、とんでもなく難しい。
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ステージ6まではボーナスゲームがあるので、ライフのスコアが80点満点になる。
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ステージ7・8はライフだけで100点満点になる。
 
評価点
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難易度バランスは最初のステージは初心者でもクリアしやすく、後のステージに行くほどに徐々に上がっていくオーソドックスなもの。
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FCやGBでは意外にもこの辺りがアンバランスなゲームが多かったが、ターゲットと思われる低年齢層にも順を追って楽しめる内容となっている。
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ステージ6は少々変則的ではあるものの、それでも上記の流れで進めばみよちゃんから「オバケを15体倒す」というわかりやすいヒントが貰えて、それにより今まで出現しなかった敵(オバケ)が出るようになったりと迷いにくい構成。
 
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クリアするだけならそこまで難易度は高くなく、後述するやり込み要素も備えている。
 
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プレイヤーキャラのコロ助のタフさ。
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ライフ制で、しかも敵の攻撃を10回近くも耐えられる。ここも、低年齢層にも程よい難易度を保つポイントになっている。
 
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ボーナスゲームのバリエーションの多さ。
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6種類あり、それぞれが全く固有のゲーム性になっており被るものがない。
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また、タイトル画面で十字ボタンを上→右→下→左と押すことでボーナスステージだけを遊ぶこともできる(説明書に記載あり)。
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ミニゲーム自体の出来も良いので、短時間で楽しむのにも向いている。
 
 
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ちょっとしたマルチエンディング。
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クリア時のアベレージスコア20点刻みで最後に出てくるキャラが変わり、簡単な一言を添えてくれる。
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なお、100点パーフェクトを達成するとベストエンドが見られるのだが、これを達成するのはなかなかの難易度。
 
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キャラの絵はモノクロながら特徴がとらえられており絵質は良い。
問題点
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設定や世界観がかなり勢い任せで無理矢理感が強い。
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キテレツの発明要素はほとんどなく、ストーリー中に出てくる発明品も航時機と如意光のみ。
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トンガリやみよちゃんはともかくブタゴリラまで弱者キャラになっていて、しかもコロ助に泣いて助けを求めたりするのは違和感が強い。
 
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ステージ1の所持金が何の意味もない。
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最初にブタゴリラが捕まっていて解放に50両が必要だと言う。そして画面右下に所持金が表示され、敵を1体倒すごとにこれが1両ずつカウントされていくのだが、全員を倒しても50両にはならない。
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実は、ボスを倒せば一発で50両が手に入り、ブタゴリラを解放できる。ゲーム的には単純に「ボスを倒せばクリア」でしかなく、ザコ狩りは単なる無駄足となる。
 
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ザコから得たお金は途中の特定の敵に触れられると奪われるのだが、もともと無意味なものなので奪われたところでどうということはない。
 
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アイテムなどは全くない。
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パワーアップどころか残機アップやライフ回復のアイテムすらないのは、いくらゲームボーイとはいえさすがに1994年作品にしては貧弱な印象が否めず。
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ここはコロ助のタフさを多少削っても、このようなアイテムがあった方がより面白味が増したことだろう。
 
 
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動きはもっさり気味で、アクションでも大味な一面がある。
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全体的に動きは鈍く、アクションゲームらしいスピーディさに欠ける。
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ステージ3では雲の上を飛び移りながら進みステージ4は海を渡るのにカメの甲羅に乗るのだが、飛び乗った瞬間にまるで磁石にでも吸い寄せられるかのようにコロ助が真ん中に位置してしまう不自然な挙動をする。
 
総評
ソフト容量の制約がきつく、モノクロ液晶のゲームボーイというハードということであまり欲張らなかったのか、アクションゲームとして無難にできているし難易度バランスも良い。
ゲーム本編はアイテム要素がなかったりアクションゲームながら鈍く感じる動きなど物足りないところはいくらかあるものの、バリエーション豊かなボーナスゲームなどもあり当時としてはまともなボリュームを保っている。
一番気になる点は、やはり『キテレツ大百科』の原作素材をうまく料理できておらず、勢い任せな無理矢理さが否めないため原作ファンからしたら違和感が強いことだろう。
バッチリな良作レベルには程遠いものの、持ち運んでお手軽に楽しむゲームという位置付けで考えれば佳作レベルで比較的良くできている方。
相対的な評価にはなるが、『キテレツ大百科』のゲーム作品は他がゲームの根幹そのものに難点を多く抱えるクソゲーなだけに、同作のゲームの中では一番良くできているといえるかもしれない。
その後の展開
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1995年1月27日、スーパーファミコンソフトとして同じくビデオシステムから『キテレツ大百科 超時空すごろく』が発売された。
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この作品も本作同様に勢い任せな一面が強く原作要素も軽んじられており、ゲームとしてもテンポの悪さが目立つなどスーパーファミコン後期の作品にしてはクオリティが見合っておらずクソゲー感が強い。
 
余談
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詳しい発売日などは不明だが同じ1994年にキッズコンピュータピコ用のソフトとして『キテレツ大百科 えどにいってキテレツさいさまにあうナリ』がセガから発売されている。
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本作はコロ助一強という原作からしたら考えられないバランスになっている。
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原作ではコロ助は侍のような口調でこそ話すものの、子供っぽいキャラでブタゴリラやトンガリにはからかわれることが多いので、強いイメージはまったくない。
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1994年3月20日放送の第251話「ブタゴリラ真っ青!野菜が肉に負けた!」で「反面鏡師」の世界で出てきた鏡の世界のコロ助や、後の話だが1995年4月23日放送の第292話「時を越えたライバル?モーレツ斉登場!」で登場したコロ之進のようなイメージが近そう。
 
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アニメ『キテレツ大百科』はフジテレビにて1988年3月に放送開始され結果的には1996年6月まで8年以上にわたり放送されたロングランアニメとなったが、実は1994年3月で終了する話が進んでいた時期があった。
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とはいうもののフジテレビ側としてはなかなか後番組が決められず『キテレツ大百科』自身は相変わらず視聴率が高かったことで無理に終わらせる必要がなかったため、後番組が決まるまで随時延長する方針を取り、その結果後番組として『こちら葛飾区亀有公園前派出所』が決まるまで2年以上を要した。
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そのため当初の予定通り1994年3月で終了していたならば本作や上記スーパーファミコン作品は作られなかった可能性もあるだろう。
 
 
最終更新:2025年05月24日 11:26