スーパービックリマン 伝説の石板
【すーぱーびっくりまん でんせつのせきばん】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ゲームボーイ
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発売元
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ユタカ
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発売日
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1992年12月11日
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定価
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3,800円(税別)
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プレイ人数
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1人(サブゲームは1~2人)
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判定
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なし
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ポイント
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原作キャラ少なめのオリジナルストーリー 無難なアクションだがボリュームはGBにしても薄い 後の評判ほど酷いゲームではないがサブゲームは蛇足
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ビックリマンシリーズ
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概要
1992年12月にユタカが発売したゲームボーイのアクションゲームで、当時放送されていたアニメ『スーパービックリマン』のゲーム化作品。
ただし原作要素はキャラクターのフェニックス、ティキ、アンドロココと石板のみで、ストーリーは完全オリジナル。
本編とは別口に「キャラコバッチモード」というサブゲームがあり、こちらは2人での対戦ができる。
ストーリー
フェニックスとティキは悪魔軍とは違う新たな敵と戦っていた矢先に、凄まじい衝撃によってできた時空のゆがみに飲み込まれてしまった。
その中に1人浮かんでいたフェニックスの前で、石板は音もなく砕け、5つの破片となった暗黒の彼方へ飛んでいく。
それに重なり合うようにアンドロココが現れフェニックスに石板を元通りに集め、ティキと力を合わせて天地球を救えという言葉を残していった。
いま、もう1つの戦いが過去の天地球で始まろうとしていた。
内容
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プレイヤーキャラはフェニックスとティキ。
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他は本編のストーリーパートでアンドロココが登場。概要の通り原作キャラはこの3人のみ。
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ゲームモードは本編と「キャラコバッチ」をゲーム化したような「コバッチモード」の2通り。
ゲーム本編
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全5ステージのスタンダードなスクロールアクションゲーム。
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いずれも行き切った区画にボスがいて、2ステージは上スクロールの出口を特定回通るとボスの前に出ることができる。
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ボスを倒すと石板のかけらが出てきて、それを取ってクリアーとなる。
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プレイヤーはステージ1はフェニックス、ステージ2はティキ、ステージ3以降は二人を操作する。
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ステージ3以降はキャラ交代が特定条件でできる。その場合画面右下に矢印のマークが出る。休んでいる方は体力が少しずつ回復する。
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画面下にゲージがあり、左側から白で体力ゲージ、その先に黒で理力ゲージが表示されている。
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理力は敵を倒したり、攻撃を当てると増えていく。ある程度溜まるとスタートボタンでサイバーアップでき、既にサイバーアップしていると必殺技が繰り出せる(この時理力を大量消費する)。
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また、敵の攻撃を喰らうと体力だけでなく理力も減らされる。敵の攻撃で理力が尽きてしまうとサイバーアップ状態が解除される。
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1本のゲージで体力と理力を表示しているので、体力が減っている時ほど理力が多く蓄えられる。
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サイバーアップしていると敵の攻撃による体力へのダメージが軽減され、攻撃力がアップし、飛行が可能になる。
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飛行はジャンプして空中にいる状態で上を押すことでホバリングのような状態となり、あとは十字ボタンで自由に空中を動かせる。
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また攻撃と同時に衝撃波が飛ばせるようになり、それで攻撃できる。ただ直接剣を当てる攻撃より威力が落ちる。
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コンフィグでイージーモードに切り替えが可能。
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他にジャンプと攻撃のA・Bボタン割り当てを変更できる。
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コンティニュー用のパスワード入力もこのモードで行う。
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アイテムは3種類あり、六芒星は強制的にサイバーアップ、フェニックスマーク・ティキマークはそれぞれ対応した方が取ると体力が回復し、もう片方が取った場合は何の効果もない。
キャラコバッチモード
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後述の通り、当時発売されていたベーゴマ式玩具「キャラコバッチ」のバトルを模したモード。
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いわゆるサブゲームとして搭載しており2人での対戦ができる。CPU相手の1人プレイも可能。
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下記のようなゲーム性なので、対戦は通信ケーブル不要で可能。
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3本勝負を行う方式なので2勝すれば勝ちが確定だが、片方が先に2本連取しても3本目まで行われる。
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特に意味はないが、フェニックスとティキのキャラの選択も可能。
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まず最初にルーレット上のカーソルを止めてパワーとスピードのバランスを決める。
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これを3回行い、その中から出す順番を決める。
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完全な3回勝負なので、勝っても負けても次の勝負では新しいのと交代する。
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パワーはぶつかった時の攻撃力で、スピードはHPのような位置付けでこれが尽きると負けとなる。
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スピードはコバッチ同士がぶつかった時にパワーに応じて減るのだが、壁にぶつかった時も若干減る。
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開始後はプレイヤーが操作できる要素はほとんどないが、唯一操作するポイントがSマーク射出。
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どちらかのコバッチがSマークの上を通過すると、通過した方がSマーク射出の権利を得る。
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射出は1Pは盤面左下、2Pは盤面右下から斜め上に向かって一直線に発射される。これが当ったコバッチはスピードが回復する(相手のコバッチに当ててしまうと、相手のスピードが回復してしまう)。
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外した場合は射出権が相手側に移る。相手も外した場合は次の射出権の交代はなく消滅する。
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射出は1人プレイならAボタン、2人対戦なら1Pは十字ボタン、2PはAボタンで行う。
評価点
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ゲームボーイにしてはグラフィックの質が良い。
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フェニックスやティキのキャラグラは高頭身で、モノクロというハンデはあるものの再現度は高い。
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必殺技もアニメの雰囲気がしっかり再現されている。
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ストーリーパートのフェニックス、ティキ、アンドロココの一枚絵は非常にアニメの再現度が高い。
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難易度は低めでプレイヤーを選ばない。
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ステージ4以降はちょっと厳しいところもあるがのっけから高難易度というわけではなく、それなりにバランスは取られている。
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ステージ1と2で、フェニックスとティキを練習しステージ3で二人での連携を練習し、ステージ4から手応えも加わるといった感覚で徐々に慣れていける。
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アクションもキャラが大きい割にはスムーズで操作性はかなり良い。
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パンチ系の攻撃もかなりの連打がきくし飛行アクションも滑らかに動いてくれる。
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サイバーアップ後の衝撃波も上下ボタンを併せて使うことで斜めに飛ばせたりもするし、これも必要レベルな連射に対応できている。
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サイバーアップの効果をしっかり体感できるシステム。
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攻撃力や防御力が単純に増すだけでなく、サイバーアップ後は飛べたり衝撃波を飛ばせたりと明確なパワーアップが感じられる。
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体力の回復はしにくいが体力が減ると理力の最大量が上がるため必殺技が出しやすくなるなど、双方のバランスは意外と良い。
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こういう部分はよくある「追い込まれるほど底力を発揮して強くなる」というヒーロー要素を表現しているようにも見える。
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パスワードは非常に扱いやすい。
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ステージ進行状況しか記録していないためか「5つに割れた中の破片1枚を入れる」を石板3枚分行うのみ。
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そのため、紙などを使わなくても頭で記憶できるほど。
問題点
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ステージ数が若干ボリューム不足。
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ステージは5つだけで1ステージあたりのボリュームも小さくては、いくらゲームボーイだからといってもやりごたえのなさを感じてしまう。
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特に頭3ステージは練習に近く、それを加味すると尚更。
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これならパスワードコンティニューも必要ないぐらいだろう。
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アイテムが変身とライフ回復しかなくバリエーションに乏しい。
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パワーアップや無敵アイテムなどは数年前でもアクションゲームでは標準で搭載されていただけに物足りなさを感じる。
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原作キャラがプレイヤーキャラの2人とストーリーパートのアンドロココだけで寂しい。
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アニメでは最初期からアスカやアムルも帯同していたしOPでもちゃんと4人で出ていた。
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アスカとアムルがサイバーアップして戦士として戦い始めたのは発売直前の頃だったのでメインで戦うプレイヤーキャラとして出せないのは無理ないが、まったく出番がないというのは寂しいところ。ストーリーでもその存在すら語られない。
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フェニックスとティキのキャラはグラが違うのみで性能的には全く同じという個性の弱い仕様。
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キャラゲーの中でも典型的なダメ要素である。なお、これは後述のスーパーファミコン版でも同じ。
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更に必殺技がグラの違いのみ。
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グラそのものは頑張っているもののフェニックスの「消魔鳳凰斬」ティキの「海天聖龍」、二人合体技「龍凰斬」いずれも画面内の敵全滅(敵全体にダメージ)というまったく同じ効果。
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キャラコバッチモードは出来が悪く蛇足感が強い。
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まず動きがのっそりでキャラコバッチ特有のベーゴマ式にビシビシ弾き合うイメージには程遠い。
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更にゲームボーイ特有の利点を活かしておらず、2人対戦ができるとはいえ1つの本体を持って十字ボタンとAボタンと操作を分け合うというシュールなプレイを強要される。
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これなら元々コントローラーを2つ搭載した上にソフト容量でも大幅に勝る後のスーパーファミコン版にでも実装した方がまだマシだったかもしれない。その分、本編の充実が図れただろう。
総評
後の評判(余談の項で解説)で不当に評価されている節のある本作だが、根本から致命的な出来のゲームというわけではない。
操作性もそれなりに良いし、アクションはスムーズな上にグラフィックもゲームボーイにしては頑張っている方ではあるため、これで本編のボリュームがバッチリあったなら名作になっていた可能性もあるだろう。
当時のゲームにしては大したボリュームがなかったことやプレイヤーキャラの2人の個性がないこと、無理矢理なオリジナルストーリーに紐づけてアスカやアムルをオミットしたことなどが後述の評価を下げた原因と思われる。
またサブゲームの「コバッチモード」は大した存在意義を感じられず、ゲームボーイの特性も活かしていないので蛇足と言わざるを得ない。どれほどの容量を喰っていたのかは不明だが、その分でもっと本編を充実すべきだったかもしれない。
その後の展開
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『スーパービックリマン』のゲーム作品は年明けて1993年1月29日にスーパーファミコンソフトとしてユタカ同様バンダイの別ブランドにあたるベックから発売。
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こちらはゲーム性自体がまったく異なる当時流行りの対戦格闘アクションだが、その出来はキャラゲーとしても格ゲーとしても悪く、残念ながらクソゲーという評価を受けてしまっている(詳細は当該項目を参照)。
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また、この作品でもアスカとアムルには出番は与えられなかった。
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同年4月にアニメが終了したこともあってか『スーパービックリマン』のゲーム作品は本作とこの作品の2つだけに終わった。
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というよりも原作の『スーパービックリマン』自体が人気低迷のためか最終決戦を明確に描かずに打ち切りのような終わり方をしているため、当時のメディアミックス作品にそれ以上の内容を求めるのも厳しいところだろう。
余談
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週間ファミコン通信のクロスレビュー(1992年12月18日号掲載)では4・4・5・4の合計17点だった。
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レビュー文章は若年層向けのキャラクターゲームとして評価する一方、内容の平凡さやボリューム不足が指摘されている。
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ビックリマンシリーズで恒例だった2頭身キャラでなくなっている点に戸惑っているレビュアーも複数おり、原作の認知度の低さがうかがえる。
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上述の通りレビュー文章自体はそこまでネガティブなものではないが、点数の低さだけが広まったことと、スーパーファミコン版の評判が著しく低いことで評判の混同が起こったことが、後の低評価に繋がった要因の一つと思われる。
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本作でフェニックスの必殺技「消魔鳳凰斬」は当初から使われていた切り札的な技だが、アニメでは本作発売直後に放送された第30話「アノド復活!?」(1992年12月20日放送)でフェニックスは武器の「ショットビーム十字剣」を破壊され失ってしまいその技を二度と使うことができなくなってしまった。
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その後の32話「クロスビーム天聖剣」(1993年1月10日放送)でフェニックスはサブタイトルと同名の剣を手に入れて新技「フェニックス聖王斬」を開眼し以後はそれが彼の切り札となる。
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またティキとのコンビ技「龍鳳斬」も新しい剣に合わせて「聖海龍鳳斬」に一新された。
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本作にも取り入れられている「キャラコバッチ」とは、当時バンダイが発売していたキャラが描かれたベーゴマ状の玩具であり名前の通りバッジとしての使用もできた。メーカーは違うが後にブームとなる「ベイブレード」(タカラ)のプロトタイプとも呼ばれている。
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様々なアニメキャラが描かれており、その中には「スーパービックリマン」自身のものも含まれていた。1993年には「きゃらか~ん」に、これをオマケとして同梱しており、こちらは『ドラゴンボール』を絡めて特に頻繁にCMが行われていたため、こちらの方が有名かもしれない。
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関連商品として打ち出すための「コバッチシューター」や、すり鉢状のバトルフィールド「キャラコバッチ闘技場」なども売り出されていた。
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ロッテのチョコウエハース菓子「ビックリマンチョコ」のオマケシール10代目シリーズで1985年に始まった「悪魔VS天使シリーズ」は一大ブームを巻き起こしたものの1988年あたりにはミニ四駆ブームなどのあおりを受けて陰りが見えはじめた。ビックリマン自身もその年末の第17弾からヘッドシールのレア性をなくしたヘッド12枚化により急激にブームが沈静化し1990年に一度終焉した。それを元としてリニューアルする形で1991年から発売したのが本作の原作の原作である「スーパービックリマン」である。
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その名の通り同名のロッテのチョコスナックに付けられたオマケシールシリーズではあるが、もはやオマケシールのコレクションブーム自体が既に終焉していたこともあって大ブームを巻き起こした先代とは比べ物にならないほどニッチなものとなった。
最終更新:2025年07月05日 12:39