TORPEDO RANGE

【とーぴどー れんじ】

ジャンル シューティング
対応機種 ゲームボーイ
発売・開発元 セタ
発売日 1991年4月27日
定価 3,800円
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント 5種類の複合海戦ゲーム
何故か空に向かって発射できる魚雷


概要

1991年4月にセタが発売したゲームボーイソフトのシューティングゲーム。
潜水艦を操作して、様々な艦船や爆撃機を撃沈・撃墜して世界統一を目指す。


内容

  • 日本、アメリカ、ソ連、イギリス、カナダ、オーストラリアの6ヶ国から自国を選んでスタート。
  • まずは自国の本拠地から「移動モード」でスタートする。
    • 進んでいくとやがて敵艦や敵本拠地が見てくるので、それと接触すると「戦闘モード」に移行する。
      • 敵艦の下には1~4つの★マークがあり、その数が敵の強さとなる(攻撃力・耐久力)。
    • 敵の本拠地を落とすと、対象国の艦隊は消滅する。
      • 序盤から敵本拠地を狙うこともできるが、戦艦よりも耐久力や攻撃力が高くまず落とせないので、艦隊相手に戦ってアイテムでパワーアップしてから挑む流れになる。

移動モード

  • 世界地図の上で、敵艦や敵本拠地を目指して海上を進んでいく。
    • 上記の通り敵艦や敵本拠地を見つけて接触し、戦いを挑んでいく。
      • 敵艦は潜水艦 / 空母 / 戦艦 / 巡洋艦の4種類があり、見た目で確認できる。
      • 敵艦の下には★マーク(1~4つ)があり、その数が敵の強さとなる(攻撃力・耐久力)。
    • 敵を全滅させると「ポイント」が入り、これがお金のような位置付けで買い物モードへ移行する(移動モード中Aボタン)ことでアイテムを購入できる。アイテムは下記3種類。
    • 反対に撃破された場合、ゲームオーバーにはならないがポイントを全部失ってしまう。戦闘中に全弾使い切ってしまった場合も同じ。
    • 戦闘が終われば、耐久度も魚雷数も最大値まで回復する。
  • このモードでスタートボタンを押すことでセーブができる(データは4枠)。

アイテム

  • シールド
    • 自艦の耐久度を上げる(初期状態は4で最大は20)。買うごとに、その次に必要なポイントが上昇。
  • 魚雷
    • 1回の戦闘で使える魚雷の数を5発増やすことができる(初期状態は40で最大は95)。買うごとに、その次に必要なポイントが上昇。
  • スーパー魚雷
    • 有限弾でどんな敵でも一発撃破できる上に有効範囲も広い強力な魚雷。上記2つと異なり常にポイント500。

戦闘モード

  • 移動モード中に接触した艦種(または本拠地)によって5通りの異なるモードが存在する。
  • どのモードも基本的に十字ボタンで移動し、Aで魚雷発射、Bでスーパー魚雷を発射する。

潜水艦

  • 固定画面の海域で敵潜水艦4隻と戦う。
  • 移動は上下左右すべて可能。
    • 一見岩礁に見える部分も特に遮られることなく、水域内すべてを移動できる。
  • 敵潜水艦にぶつかれば一発で撃沈できるが、自身もダメージを受ける。
    • なお、ダメージを与えておけばおくほど体当り撃破で自分が受けるダメージを小さく抑えられる。

巡洋艦

  • 固定画面のコックピット視点で移動は左右のみ。
  • 3隻の巡洋艦が遠近異なる位置にいて魚雷を撃ってくる。それをかわしながらこちらも魚雷を撃って攻撃する。

戦艦

  • 基本的に相手は戦艦だが、他に攻撃機が爆雷を落としてきたり、水雷艇が水雷を設置したりしてくる。
    • 水雷は一定時間すると勝手に爆発して消滅する。
  • コックピット視点で移動は左右のみ。
    • このモードでのみ下を押すことで潜航できる。
      • 潜航中は爆撃機からの攻撃や水雷の攻撃を受けない(戦艦自身の砲台からの魚雷は防げない)。
  • プレイヤーは戦艦の砲台を狙って魚雷を撃つ。
    • すべての砲台を破壊できれば勝利。

空母

  • 固定画面の海域で敵攻撃機や空母と戦う。
    • 固定画面ではあるが航空機と戦う都合上、前述の対潜水艦モードよりも水平線の位置が低い。
    • 対潜水艦モード同様に岩礁に見える部分も関係なく移動できる。
  • まず、上空を飛ぶ艦載機を魚雷で全滅させると、空母が出てくるのでこれを魚雷で撃沈すると勝利。
    • 艦載機、空母とも爆雷をどんどん落としてくる。

本拠地

  • 基本的に「対戦艦」と同じ構図(潜航はできない)。
    • 砲台を全部壊せば勝利。

評価点

  • 魚雷を撃つのみとシンプルなだけに操作は直感的で飲み込みやすい。
    • しかも魚雷を発射して敵艦を沈めるだけでなく、潜水艦は直接ぶつかりあって、それもそれまでの与ダメージ依存でこちらのダメージも軽減できるといった細かい部分まで作り込まれている。
      • 対潜水艦戦は魚雷が当てにくいが「弱らせて体当り」を前提に作られているように見られる節もある。
  • 5種類ものバリエーション豊富な海戦。
    • 戦艦と本拠地は被っているのでそれを1つとして数えても4種類。
      • 体当り可能な対潜水艦、王道な魚雷連射で沈める対巡洋艦、速い艦載機とタイミングを合わせた戦いになる空母、艦以外からも攻撃の激しい戦艦いずれもそれぞれが個性を持っている。
    • 中でも空母や戦艦は、それぞれ国ごとの個性まで持っている。
      • 空母は艦載機の動きの差ぐらいだが、戦艦はそれを取り巻く敵が国ごとに異なり、艦自身も砲台などがバリエーションに富んでいる。
  • 魚雷は4連射まで対応している。
    • これがまだ絶妙なバランスで、連射にばかり異存したものでもなく、潜水艦や空母相手では狙いが重要になるなど、双方のバランスを維持している。
  • セーブができるのでいつでも中断できる。
    • 戦闘1回1回はお手軽でも、クリアーを目指すとなるとちょっと長丁場なので、セーブができることで持ち運び前提のゲームとして便利。
  • グラフィックはモノクロではあるものの美麗で細かい所まで描き込まれている。
    • 戦艦をはじめとした敵艦のグラフィックや、本拠地では背後に広がる街など、いずれも抜かりがない。

問題点

  • 戦闘モード中にポーズができない。
    • 序盤ではそこまで長引かないが、終盤では1戦あたり数分かかることあるので中断できないのはやや不便。
  • 終盤の戦艦の強さはオーバースペック気味。
    • 特に★4の戦艦からは1発の被弾で5や6ダメージにもなるのでシールド値最大の20でも、アッという間にやられてしまう。
    • 特にソ連、イギリスあたりのような水雷や上空からの攻撃が激しい軍を相手にしていると気が抜けず、とてもザコ敵のような扱いには思えないレベル。
      • これで撃沈時の収入(ポイント)が破格ならば良いが、他よりもちょっとだけ多く貰えると言う戦艦の基本仕様に規則的に準じたものでしかない。
  • 移動モードはちょっとスピードがのったりしている感が否めない。
    • スピードのない潜水艦らしい動きにこだわったのか、走り出しは特に遅く、徐々に加速し最高速でもかなり遅い。
    • 敵艦隊の中をすり抜ける分には、うかつに意図せず接触してしまうのをさける配慮とも取れるが、あの遅さで長距離を移動するのはちょっと億劫な気分になる。
  • 肝心のボスである本拠地は、全ての国で共通。
    • 背景こそ異なるものの、いずれも6つの砲台で並びまで同じ。
    • 折角似たような戦艦に個性があるのだから、これこそ国別の個性を出すべきだっただろう。
  • 自艦のやられた後の流れが不自然。
    • やられるとポイントがゼロに戻されるペナルティはあるものの、何事もなかったように始まるのはさすがに不自然さが否めない。
      • 当然だが、もともとゼロの状態ならペナルティとしてまったく機能しないものとなる。
    • 初心者への配慮という意図だとしてもセーブ機能もあることなのでゲームオーバーでも全く問題なかっただろうと思われる。
  • 実はエンディングは潜水艦の地味な一枚絵のみ。
    • ゲームそのものはシステムが充実していることを思うと、ちょっと呆気なく感じてしまう。

総評

5種類のそれぞれ異なる個性を持った海戦ゲームを1つにまとめたゲームシステムは秀逸で、サウンド、グラフィックともゲームボーイ作品の中ではよくできている方であり、長丁場になりやすいためセーブ機能まで完備されている。
アイテム購入によるパワーアップという成長要素があり、それによりこれまで苦しかった相手との戦いが楽になったり、いざという時の一撃必殺な特殊武器スーパー魚雷など戦略の幅が持てるのも良くお手軽で一風変わったシューティングゲームとして持ち運んで遊ぶ用途としては充分楽しめるだろう。
残念なのはあれほどの長い激戦を戦い抜いてもエンディングが一枚絵だけと味気なかったり、ゲームボーイの特性を活かした対戦プレイができない点など詰めが甘いのが惜しまれる。


余談

  • ゲームとしては問題ではないが、本作の自艦は潜水艦なのに水上数メートルの位置にある戦艦の大砲や、果ては空高く飛んでいる攻撃機にまで魚雷で戦うことにはツッコミどころが満載である。

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STG セタ 1991年 GB
最終更新:2025年09月12日 06:19