ネイモア


"Imperius rex!"

(者ども、かかれい!)

アメリカのマーベルコミックに登場しているヴィランヒーロー。身長188cm。体重126kg。
初出は1939年の『Motion Picture Funnies Weekly #1』と非常に早く、ヒーローの中でも最古参の一人である。
なお、ネイモアは個人名であり、ヒーローとしての正式名称はネイモア・ザ・サブマリナー
フルネームはネイモア・マッケンジーであるが、あまり知られていない。
おっぱっぴーとか言いそうな海パン一丁という男らしいコスチュームが目を引くが、
一説によると、DCコミックのアクアマンと外見特徴が被ったために現在のデザインになったとか。設定も似ているし、有り得る話ではある。
ちなみにクロスオーバー『MARVEL vs. DC』でアクアマンと直接対決した際に優勢だったのに奇策で負けた事がある
これ以外にジャケット&長ズボンのコスチュームも存在し、また、両足に羽根が生えているという特徴も持つ。

純粋なホモ・サピエンスではなく、海中に住む人類ホモ・マーマヌス(要するに半魚人)である。
母親はアトランティス王国の王族で、父親が砕氷船の船長(アメリカ人)というハーフなため、人間に近い姿をしている。
時期によって王子だったり王様だったりするが、とにかく高貴な身分なのは間違いない。
当初はアトランティス王国の君主として、海を汚し続ける人間と対立していたが、
紆余曲折あって地上のヒーロー達と共闘するようになる。
ただそれでも、あまり地上の事には首を突っ込まない上、やたらと態度も大きいのだが。
マーベル世界でも指折りのプライドの高さに加え、性格もこれまた上から数えた方が早いくらいの短気なっぷりなので、
何かと問題事の張本人になる事が多い。
かの『シビル・ウォー』勃発の原因の一つもこの人だったりする
(全面的にこの人だけのせいではなく、また、そもそも彼の血縁者が事の発端に巻き込まれて死んでしまったからというのもあるが)。

多元宇宙が互いに衝突して消滅の危機に瀕するという大規模な事件が起こった際には、
「自分の宇宙を保全するためにやむなし」と他の宇宙を消失させる計画を推進。
ヒーロー側にその決断を下せる人材がいなかったためについさっきまで所属していたヒーロー側組織を脱退し、
次の瞬間には悪の組織結成という変わり身の早さを見せるほど非情な判断のできる男である。
気位は高いが同時に義理堅い一面もあるため、一度打ち解けた相手に対しては比較的友好的である。
あのDr.ドゥームとお互いを認め合う関係にあると言えば、それがどれほどの事かよく分かるだろう。

共闘するヒーローは主にアベンジャーズだが、エマ・フロストとの約定によりミュータントの独立国家であるユートピアに在籍していた事も。
第二次大戦中はナチスと敵対しキャプテンアメリカやヒューマントーチ(初代)と共に「インベーダーズ」を組織。
ナチの策略により氷漬けになっていたキャップを現代に甦らせたのも他ならぬネイモアである。
結果論であり事実は単なる偶然に過ぎないし、
そのためにエスキモーがご神体として信仰していた氷塊を海にぶん投げ砕くという蛮行を働いているのだが(しかも無反省)
有力なヒーロー達の代表悪の秘密結社「イルミナティ」の一員にもなっている。
悪役側だと(本当の意味での)悪の秘密結社「カバル」に所属歴あり。最初は一構成員に過ぎなかったが、後に自身が主催者にもなっている。

ヒーローとしての能力は、海に関する物が多い。海中でもイルカ並の速さで泳げる上、水中呼吸も可能。
また、イルカ、シャチ、サメなど海に住む生物とある程度は意思疎通が可能であり、それらの能力をコピー出来る。
地上でも、くるぶしに生えた翼による飛行能力と100トンもの重さを持ち上げられるパワーで戦える。
水タイプっぽい設定とは裏腹に放電能力も有しており、電撃を放って攻撃できたりもする(ただし一回使うと充電期間が必要になる)。
素手で戦う事が多いが、三つ叉の槍(トライデント)を携行する事もある。

人間関係も、かなり初期の方から出番があるため結構広い。
ただし、当初は敵対関係だったり、それ以降も陸上とは没交渉だったりとで、あまり深い関係はない。
第二次大戦前はベティー・ディーンという女性警官と付き合っていたが、現在は音沙汰なし。
キャプテンアメリカとは昔からの付き合いである他、ファンタスティック・フォーのメンバーとも仲がよい。
……一回スージーに横恋慕したせいで、リードと険悪になったりしたが。

サイクロップスがミュータント国家ユートピアを建国した時には、アトランティス王国が同盟関係を結んでいるため、
本人は認めていないが実質的にX-MENのメンバーとなっていた。
実際、基本的に戦闘の際にはサイクの指示で動いており、ユートピアの国政にも参加している。
ちなみにここでもサイクの現恋人のエマに横恋慕している。
何故ならネイモアの中では、友人の恋人を寝取る=友人への尊敬を示すという事になっているから。
……何を言っているのかわからねーと思うが本人がそう言ってるんだから仕方ない異文化交流って大変ですな。

+ とうとうやらかしちゃった
2012年に連載された『アベンジャーズ vs. X-MEN』にて、サイクロップスエマ・フロストコロッサス、マジックと共にフェニックス・ファイブへ覚醒。
地球上限定ならば神に等しい力を会得し、大津波を引き起こす事が可能となった。
他のフェニックス・ファイブと異なり、世界平和というよりアベンジャーズの打倒を目的として行動している。
何しろ、相手を殺さないように動く他の四人と異なり、一人だけ最初から殺る気満々だった。

そして、一連の戦いでフェニックス・フォースに対抗できる数少ない存在であるスカーレットウィッチに、手も足も出ず敗走。
これにビビった脅威を感じたネイモアは、なんとアトランティスの軍勢を率い、アベンジャーズが身を寄せていたワカンダに侵攻し、
街と人を津波で押し流し、恐怖に怯え、溺れていく市民を攻撃させるという暴挙に出た。

簡単に説明すると、ワカンダはアベンジャーズの一員でありストームの夫でもあるブラックパンサーことティ・チャラが国王を務めるアフリカの小国で、
キャプテンアメリカの盾の素材でもある衝撃吸収金属ヴィブラニウムの原産地の一つでもある(他は南極にある)。
確かにアベンジャーズの同盟国ともいえるが、市民の大半は超人どころか兵士ですらない一般市民であり、
津波の被害がどれほど恐ろしいものかは、2011年の震災を経験した日本人には最早説明する必要すらないだろう。
…幾ら発売元が日本じゃないとはいえ、よくこの時期に出版できたものである。UMVC3』でもガンマツナミはそのまんまだったし

この戦いでアベンジャーズの全力によってフェニックス・フォースはネイモアから引き剥がされてしまったため、
ネイモアはフェニックス・ファイブの脱落者第1号という不名誉を賜った。所詮、ヤツは我らの中でも最弱…
だが、その引き剥がされた力は他のフェニックス・ファイブのメンバーに分配されたため、戦いは続いていく。
肝心のネイモアはのうのうとアトランティスに帰還している…。

……さて。ここまで読んで、まるでネイモアがフェニックス・フォースのせいで豹変したかのように思うかもしれないが、
他のX-MENからの評価は「ネイモアは正にいつも通り」であった。
「いくらなんでも」と言いたくなるかもしれないが、彼のメンタリティが海底人である以上、仕方がないのだろう。
マーベル世界では「人類の敵ではあるが悪人ではない」なんて連中はゴロゴロ居るし

ちなみに上述の所業が元でティチャラとオロロ(ストーム)夫妻は離婚に追い込まれた(その後和解したものの復縁までには至らず)。
彼女からすれば本当とばっちりである。

しかし、ヒーローからヴィランヴィランからヒーローになったキャラクターはそれなりにいるが、
その両極端をここまで頻繁に行ったり来たりしているのは、ネイモアぐらいのものだろう。
本人に悪気や悪意は欠片も無いのがまた恐ろしい。

一度、ハイペリオンというヒーロー(マーベル版スーパーマンのようなもの)に首をもがれて死亡したが、
タイムマシンを用いて生き返る事に成功している。
…まあアメコミだし、一回死んで生き返るくらいは通過儀礼みたいなものだが。

ちなみに、かの『宇宙忍者ゴームズ』にも登場予定があったが、版権問題がクリアできず、
リッパダー(トリトン)」というオリジナルキャラが代役として登場している。
……が、そのトリトンもトリトンでMARVELの既存キャラと名前や見た目がモロに被っており、何だかとてもややこしい事に。

以上、ネイモアというキャラクターについて一通りの記述が為されたが、
お分かりの通り実は本国でもあまり人気が無いキャラである。
まあ、見た目が海パン一丁のオッサンとか、特殊刑事課もしくは某お笑い芸人にしか見えないし、
持ってる能力もそれぞれの専門分野系ヒーローには遠く及ばないし、
他人の女を略奪婚しようとするわ他所のカップルを別れさせるわ節操が無いし、
ヒーローと手を組む際にいちいち理由を必要とする癖にヴィランと組む時は無条件だったりするし、
好かれる要素はあまり無いだろう…。
キレやすく、高慢ちきで、機嫌が悪いと理不尽に当たり散らし、悪事をしても反省しない…と、
MARVEL版ジャイアンドラ映画版でなく普段のお話のジャイアン)みたいなものなので嫌われるのも仕方ない。
海の中のものは基本的に自分のものと主張し沈没船の財宝などを独り占めしているという話もあったり。
アクアマンにとってのブラックマンタのような個人的因縁のある宿敵・悪役などが乏しい事もあり、
主人公になっても映えないため実写映画化(MCU)がされにくいというネックもある。
MUGENだったらライバルさえいれば魚屋ですらヒーローになれるのに…
と言うかヒーローやってる時より悪役やってる時の方が活躍できる男である。
そんなクソダサいあんま格好良くないと思われていたネイモア氏の2018年頃の様子だが…
+ なんということでしょう
急激にイケメン化した。「だからなんだ」とアメコミガチ勢には言われてるが
これによりネイモアというキャラクターが見直され、今までの扱いを覆せる事を期待しよう。
なにしろマーベルで最も歴史のあるヒーローの一人、本当はカッコイイ男のはずなのだから。

なんだかんだマーベル黎明期から活躍している事もあってか、
ゲーム情報サイトIGNが開催したコミックヒーローランキング「Top 100 Comic Book Heroes IGN」においては、
ナイトクロウラーコン・エルを抑え、77位にランクインしている。

+ メディアミックス
1994年アニメ版『ファンタスティック・フォー』では第1話からヴィランとして登場。
水中でファンタスティック・フォーと戦い、笛で海中の怪物を操る等した。
第3話では、海を荒らす地上人へ罰を与えるために海の怪物を引き連れて襲撃する。
戦いの中でスーザンに一目惚れして彼女をアトランティスに無理矢理連れ出し、妻にしようとする。
思いを寄せられていたレディ・ドーマに見限られ、クラング将軍がネイモアに無断で地上侵略を敢行してしまう。
クラングを説得するも無視されてしまったため、ファンタスティック・フォーに協力して地上を防衛する。
クラングの攻撃からドーマに庇われて救われた後、クラングを拘束した。
その後、アトランティス復興のために帰還する。

そして2022年、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエヴァー』のメインヴィランとして遂にMCUに参戦。
まぁこの人原作でもワカンダに対して盛大にやらかしてたし
日本語吹替声優は悪役堕ちするヒーローに定評がある気がする 浪川大輔 氏。
海底王国タロカンを率いて王亡き後のワカンダに侵攻する。

+ ゲーム作品
本家本元であるアメリカにおいてはMARVEL系のオールスターゲームにいくつか出演が見られるが、
日本において有名なのは1991年にセガがアーケードで出した『スパイダーマン ザ・ビデオゲーム』だろう。
このゲームはタイトルの通りスパイダーマンを中心とした物語となっており、
プレイヤーキャラクターとしてスパイディの他にブラックキャットホークアイ、そしてネイモアが出演している。
アメコミを知らない子供達から見ると「マスクで顔を隠した全身タイツ3名」の中に混ざった「素顔を晒した海パン男」は異彩を放った
そしてアメコミに詳しくなった後でもなんでこの4人なのかよく分からない。特にネイモアはスパイディとほぼ無関係じゃ
内容としては4人同時プレイも可能なファイナルファイト系アクションゲームであり、
通常では奥行きのあるフィールドで大量にわいてくるザコおよびボスを殴って進むのだが、
一部のステージではロックマンのような縦の高さのあるフィールドを飛び道具を撃ちながら進む構造になっている。
ネイモアは飛び道具として電撃攻撃を持ち、投げ技は相手を空高く放り投げるように投げるというタイプのキャラ。
飛び道具の性能はまあまあ良く、
投げ技も「投げた敵キャラが味方に当たるとダメージを受ける」というこのゲームの仕様においては被害が出にくい便利なもの。
実際にプレイした人の意見によると4人の中で一番死ににくい(コンティニューしなくていい)印象との事で、
使いやすいタイプなのだと思われる。
イベントシーンにおいても仲間全員の乗る飛行機を操縦する役を受け持つなど頼りになる味方というイメージで、
そもそもネイモア個人が喋るシーンが特に無いため海パン一丁という外見を除きあまりマイナスイメージはわかないものとなっている。
……ただ、ボスキャラはベノムホブゴブリンキングピンを除き、
やたらと緑色のキャラ(黒幕兼実質ラスボスDr.ドゥームも緑色)ため、
緑の海パンを穿いているネイモアはなんか裏切りそうなキャラに見えてしまう。
実際は上記の通り裏切るどころか立派にヒーローやってるのでご安心を。


MUGENにおけるネイモア

アメコミキャラでお馴染みのZVitor氏によるものが公開されている。
基本的には格闘技で戦うが、超必殺技「アトランティックフラッド」を発動すると洪水が起き、
その間は電撃技「イールショック」などの性能が変わるようになっている。
AIもデフォルトで搭載されている。

  
スプライトをSGM氏が担当し、カラーパレットをAcey氏が担当したバージョン(製作は同じくZVitor氏)では、
選んだカラーによってコスチュームが変化するというサービス精神旺盛なものになっている。
ドットユリアンの改変であり所々に面影がある
(ちなみにそのユリアンも原作では家庭用追加カラーに同じくおっぱっぴーとか言いそうなネイモアっぽいカラーが存在する)。
腕やトライデントから電撃を放つ、イントロで空を飛んで現われる等、原作再現要素もバッチリ。
『Avengers vs. X-Men』に登場した時期のものを再現したものである。
Mammalman氏による外部AIが公開されており、ランクは強上位~場合によっては凶下位にも対抗し得る強さを持つ。
Mammalman氏AI。お相手はDarkLuigi氏のアクアマン


"Listen very carefully, human…"
(肝に銘じよ、人間ども)

"The fact that I even allow you to speak directly to me is a gift
 I bestow upon you."

(本来ならば、我と直に話す事すら許されぬのだぞ、貴様らは)

"You do not order me."
(それの何が命令か!)

"You beg for my appreciation and then wait to see
 if I choose to bestow it upon you."

(話があるなら平に伏して進言せよ。我が目に適う案ならば手を貸してやろう)

出場大会



最終更新:2024年03月03日 15:25