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*太閤立志伝 【たいこうりっしでん】 |ジャンル|リコエイションゲーム(シミュレーション)|&amazon(B06Y3VYMYB)&br;※Steam移植版|&amazon(B0111MTRE0)&br;※WiiUVC版| |対応機種|PC-9801&br;X68000&br;FM-TOWNS&br;Macintosh&br;Windows 98~10((Win7以降の対応はSteam版のみ。))&br;スーパーファミコン&br;メガドライブ|~|~| |発売・開発元|光栄|~|~| |【Mac】発売元|AMT|~|~| |発売日|【PC98】1992年3月13日&br;【X68k】1992年5月10日&br;【Towns】1992年6月&br;【SFC】1993年4月7日&br;【MD】1993年5月28日&br;【Win】2005年7月22日|~|~| //|定価|円(税抜)|~|~| |配信|バーチャルコンソール&br; 【Wii】2009年9月1日/800Wiiポイント&br; 【WiiU】2015年5月20日/823円&br;【Win/Steam】2017年4月19日/1,296円(税込)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |>|>|>|CENTER:''太閤立志伝シリーズ''&br;''初代'' / II / [[III>太閤立志伝III]] / IV / [[V>太閤立志伝V]] | ---- #contents(fromhere) ---- **概要 木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)のサクセスストーリーを追体験する『太閤立志伝シリーズ』の第一作目。~ 光栄(現コーエーテクモゲームス)が独自に制定したジャンル「リコエイションゲーム」の第4弾でもある。~ ベースとなっているのは同社のシミュレーションゲーム[[信長の野望シリーズ]]であるが、一武将を主人公とするRPG要素を加えたスピンオフ的作品である。~ 本家に先駆けて城単位での攻防になっている他、戦闘では士気や向きの概念が入ったりと後に本家に取り入れられた要素も多い。~ また、武将でのプレイは[[信長の野望・創造 戦国立志伝]]にて本家にも逆輸入されている。~ PC98で発売後、様々な機種に移植されており、現在ではVCやSteamでも配信されている。 ---- **特徴 ''ゲーム開始'' -ゲーム開始当初、まずは藤吉郎のステータスを決めるところから始まる。 --最初に4つのタイプから1つを選ぶ。タイプによって初期に高くなるステータスと初期技能が変化する。 ---タイプは一般的な戦国武将の「猛将型」、謀略をメインとする「知略型」、内政重視の「能吏型」、剣客として生きる「武芸者」の4つ。 --尚、史実に則った知将型が進めやすいのだが、能力や技能は後で上昇させられるので((但し、統率は意外と伸ばしにくいので能吏型も有利になり易い))どのタイプでも最後まで問題なく進める。 ---ただしランダムで全能力が低い「うつけ」、野心がずば抜けて高く他の能力も(英雄型ほどではないが)高水準な「梟雄型」、武力と魅力と統率力は最高値だがそれ以外は(うつけよりも)低い「傾奇者」、全ての能力が80代の「英雄型」等の隠しタイプになる可能性がある。 --タイプを選択すると次に能力値を決める。キャンセルするごとにランダムで能力値が変化するが、選択したタイプによってある程度は固定されている。 --能力値を決めたら次に特典値(ボーナスポイント)を振り分ける。特典値は50ポイントあり、各能力値は最大100まで増やせる。 --特典値を振り分けたらステータスが決定され、ゲーム本編が始まる。 ''ゲームの目的'' -ゲームは1560年5月から始まり、出世しながらクリア条件を目指す。クリア条件は以下の3つがある。 -1.天下を統一する。 --読んで字のごとく、史実通りに秀吉として天下を統一すればクリア。 -2.関白になる。 --一定の条件を満たして朝廷から関白の位を貰えばクリア。天下統一の過程で条件を満たせる事が多い。 -3.信長が天下を統一する。 --唯一のIF展開におけるクリア条件。本能寺の変を起こさず、信長を補佐して天下を統一させる。 -なお、いずれの条件も満たせず、1590年1月1日を迎えた時点でゲームオーバーとなる。 ''ゲームの進行'' -ゲームはトップビューのマップ画面で行先を指定したりコマンドを選択しながら進める。 --朝昼晩夜の時間経過があり、一周するか宿屋や自宅で寝ると日付が進む。また、ランダムに天候が変化する。 ---右クリック、またはテンキーの0(SFC、MD版では切り替えボタン)を押すたびに「移動先選択」→「コマンド選択」→「待機」の順で状態が切り替わり、移動・コマンド実行中か待機中に時間が経過する。 --マップ上には他の武将も移動しており、戦闘を仕掛ける事も出来る。 ---その時の状況によって一人で移動するか、軍団を引き連れての移動かが変化し、一人で移動中は個人戦(通称・辻斬り)、軍団で移動中は野戦か攻城戦となる。 -最初は足軽頭として始まり、毎月の1日~5日の間に開かれる評定(会議)で主命(仕事)を受け、こなしていく事になる。 --主命をこなすと「信頼」のステータスが上がっていき、一定値になると出世していく。 ---足軽頭では率いれる兵は100人だが出世するにつれ倍ずつ増えていき、最高位の宿老になると最大数の6400人率いることができる。 --主命をこなした後、次の評定までの間は修行をしたり町で下働きをして資金を稼ぐなど自由に行動できる。 -家老まで出世して城主になると、評定に出席する必要はなくなり、自分で評定を開く事が出来るようになる。 --評定の代わりに主君からの命令書が届き、部下を登用して指定された城を攻略する事で信頼を得られる。 --他に内政や外交をこなしながら進める一般的なSLGに近くなる。 -大名になると自国の方針を全て自分で決められるようになり、クリア条件を目指す事になる。 ''戦闘'' -戦闘は他国と戦う「合戦」と一対一で戦う「個人戦」がある。 --合戦では直接操作できるのは自分の部隊のみで、他の部隊はAIで行動する。自分が総大将の場合は配下に指示を与える事も出来る。 ---合戦は敵を全滅させるか、全ての敵を退却させると勝利となる。 --個人戦では自分と敵が互いに10回コマンドを選択して実行し、相手の体力を0にすると勝利となる。 ---個人戦はフィールド上を移動する武将に挑める他、味方の武将に師事して剣術を教えてもらう場合もこれになる。師事の場合は体力0になってもゲームオーバーにはならない。 ---- **評価点 -自由度の高さ --秀吉の生涯を元にしてはいるが、史実通りに進める必要はなく、場合によっては史実通りのイベントが起きない事も多い。自分なりの戦国時代を楽しむことが出来る。 ---ゲーム開始直後は桶狭間の戦いのイベントが発生するが、最初の評定を無視すれば桶狭間への出陣を回避可能。他にも(難易度は高いが)永禄の変を回避して足利を存続させたり、クリア条件にもあるように信長の忠臣として彼の天下統一を助けることも出来、幅広いプレイに対応している。後述のように辻斬りしまくったり騙し討ちなどの悪人プレイも出来る懐の深さも本作の良さと言えるだろう。 ---また、本能寺の変は史実と違う人物が起こす事もある。城主になってからは謀反を起こすことで本能寺の変を経ずとも大名になれる。その場合は信長を配下に加えることも可能である。 --藤吉郎を成長させるのが基本ではあるのだが、博奕をしたり、商人からアイテムを購入したり出来る事は豊富に用意されている。 ---アイテムの中には「かすてーら」など他の歴史SLGでは見られないものが登場するのも特徴。 --特に辻斬りは本作の醍醐味と言われる事もあるほどゲームの進行に影響を与える要素となっている。 ---どんな武将相手にも個人戦を挑めるため、やろうと思えば全ての武将を辻斬りで暗殺可能。大名は城からなかなか出てこないためコツがいるが、特定のタイミングを狙えば辻斬り可能。''信長すら暗殺できてしまう。'' ---もちろん、辻斬りを成功するためには鍛えておく必要がある他、魅力が50以上の武将を斬ると自分の魅力が下がるというリスクがあるので、そう簡単な事ではないが。 ---特定の武将は斬った時に辞世の句を詠んだり、専用の台詞が用意されているので、辻斬りを成功させた時の達成感や全ての台詞を見たくなる意欲が湧く作りになっている。 ---続編の『2』でも辻斬りで武将を斬る事は可能、しかし『3』では辻斬りが消滅した事によって作品の評価を大きく落とし、『4』以降では復活したものの斬る事が出来るのは寿命が尽きた武将や架空武将といった制限がかかるようになったため、自由度は本作には及ばない。 -個人目線で見る戦国時代 --本作は一応SLGなのだが、ロールプレイング要素も強く、他の歴史SLGとは一味違った面白さを有している。 --主命に失敗しまくると信長が激怒し、''即座に斬られる。''後のシリーズでは優しい面が多く描かれる信長だが、本作では用のない者は切り捨てるシビアな面が強調されており人気の高さに貢献している。 --他の武将との人間関係も本作の醍醐味。序盤から親切にしてくれる前田利家、事あるごとに嫌味を言ってくる柴田勝家など、様々な人間模様が存在する。 ---評定の際には自分から意見を出す事も可能だが、彼らが横槍を入れて来ることもある。 ---出世していけば彼らとの関係も変化し、以前は話に応じてくれなかった人物も話を聞いてくれるようになったりと非常に良く出来ている。 ---会話も面白く、勝家を家臣にして会いに行くと狼狽して心の中で「早く帰ってくれないかなぁ…」と呟いたり、毎回報告を持ってきてくれる忍者に対して藤吉郎が「たまにはくのいちがいいなぁ」と呟くなどお笑い台詞も用意されている。 --他にも大名の姫と仲良くなって口利きしてもらう事で外交を有利に進められたり、大名に付け届け(政治献金)をしたり婚姻関係を結んだりと出来る事も豊富。 -グラフィック --PC版では史実のイベントシーンに専用の一枚絵を用意しており、イベントを盛り上げる要素となっている。 ---他の場面も専用グラフィックで進行するため、雰囲気は良好。 --CS版では一枚絵が少ないかわりにマップ画面でキャラクターたちが動き回るRPGのようなイベントシーンとなっており、これはこれで盛り上がる。 ---こちらは他の場面もトップビュー画面でドット絵のキャラたちが動き回る。全体的にRPGのような画面作りになっている。 --キャラクターの顔グラフィックもそれぞれの雰囲気に合わせたものが用意されている。 -音楽 --一部光栄の過去作からの使い回しもあるものの、ほのぼのとした曲から緊迫感のある曲まで揃っており、雰囲気を盛り上げてくれる。 ---- **賛否両論点 -攻城戦のとき敵大将は基本的に城から動かない。そこで鉄砲部隊で後ろから射撃すれば被害なく勝つことができる。 --大将以外は普通に移動してくるので被害は出てしまう。たとえその武将が400人しか率いていなかったとしても城自体に兵が残っていればターンごとに補充されるためこの手は効きにくい。 --しかし多くの城は守備兵しかいなかったり(必然的に大将「城守備兵」のみになる)、武将がいればむしろ調略で城ごと乗っ取れるため居城以外は兵力の差を覆して落としやすい。 ---居城であっても敵が他の城に攻め込んでいる隙を狙えば武将は残っているものの兵が大幅に減っているので落としやすくなる。 --作業的になって面白みには欠けるが、兵力の少ない城主時代や劣勢から始める謀反プレイでは重宝する。 ---- **問題点 -PC版はコマンドがアイコン表示のみのため、初見時はどういうコマンドがわかりにくい。憶えるまではマニュアルとにらめっこするしかない。 --CS版ではこの反省からか、コマンドの頭文字がアイコンとなっており、分かりやすくなった。 -評定のコマンドは一回ずつ家臣に命令する形であり、その度にセリフのやりとりがあり煩わしい。 --さらにその任務にふさわしいと判断された武将がいちいち自分にやらせてほしいと言ってくるので嫌なら断らなければならない。 --米を大量に売る場合でも一括でできず2000石ずつ家臣に売らせなければならないため手間がかかる上、任務を終えると城で一人ずつの報告が待っている。 -体力を回復するために宿や自宅で休めるが、一晩だけでは回復できない事もある。しかし、連続して休むには毎回城や町に入り直してコマンド選択が必要なので面倒くさい。 --一応、金がかかるが、医者に診てもらえば即座に全回復出来る。 --後のシリーズでは何日休むか一括で選択できるようになり、改善された。 //-イベントの発生条件は意外と複雑なため、意識してプレイしないと史実通りのプレイは出来ない。 //--自由度の高さからくる弊害と言える。望み通りのイベントを起こすには知識が必要。 //墨俣・金ヶ崎・姉川は普通にプレイしていればまず起こるし、比叡山も城主にならなければ起こる。本能寺以外は複雑とは言えない。 -本能寺の変イベントの発生条件が複雑なため、意識してプレイしないと史実通りのプレイが出来ない。 --これが起こせなければ謀反を起こして大名になるしかないという極めて重要なイベントである。 --発生しにくいのは条件の1つに「上杉、武田、毛利の支配する城が織田領の城に隣接している」というものがあるためである。信長の主命を忠実にこなしているうちに毛利家と接する前に上杉家が滅亡してしまうことが多い。飛び地であっても隣接と見なされるため、主命を無視して勝手に城を落としていけば発生させることは難しくはない。 -舞台が東北除く本州のみのため、伊達や島津、長曾我部といった人気武将が登場しない。該当範囲であっても弱小大名は端折られていたりする。 --また、城はともかく町はかなり少なく、清洲城があるのに清洲の町がなかったりするため、序盤はわざわざ主命のために敵国近くの稲葉山の町まで行く必要があったりする。 --町では自分で画面をスクロールさせる事ができないため、目的の店が見える位置まで移動先を指定して藤吉郎を移動させる必要があり、地味に面倒くさい。フィールドマップではコマンドから行先を指定出来るのだが。 -一度に登場できる武将数に制限があるためクリアまでに出てこない武将が多くなる --一度に240人が登場できるのだが、それに対し武将総数は712人である(ともに秀吉は除く)。地域と年代と大名家を限定しているにも関わらず明らかに多すぎる。 ---他のシリーズ作や本家である「信長の野望」シリーズにも登場しないようなマイナー武将も多く、それらが有力武将登場の障壁になっている。 --それだけの武将がいながら多くの城は守備兵のみに任されており武将は居城一極集中の過密化が起こっている。プレイヤーが大名であっても家臣に城を任せる意味はほとんどない。 --最初のうちは各地で戦が激しく起こり死者多数のため各大名の居城にどんどん新武将が登場するのだが、落ち着いてくると新しい武将が登場しにくくなってしまう。 --大名になった後敵居城を攻め、使えない武将をどんどん斬首すれば新武将が登場するが、大半は使えない武将で滅亡済みの大名家の新武将の場合は浪人となり月初めに大勢力の大名居城に仕官しにくる。自城に来た武将を断るとライバルの方にいくのでまた大量殺戮を繰り返して有力な武将が出るのをひたすら待つしかない。 --そうやってやっと出てきた真田幸村などの有力武将も終盤に最下級の身分で加わるので活躍させにくい。新武将を諦め斬首しないで行った方が効率よくプレイできてしまう。 -浪人になれない --主命を失敗し続けると信長から追放すると言われるのだが、なぜか直後に言った本人に斬られてしまうためどうやっても浪人にはなれない。おそらく浪人になれる予定だったものが変更された名残であろう。これを残念がる声も多い。 --後のシリーズではオリジナルの主人公を作り、浪人や商人、忍者など様々な条件下でのプレイが可能になった。 -不義理なやつほど出世する --武将のマスクデータの一つに「誠実・不義理」というものがあり不義理な武将は裏切りやすくなっている。この割合は半々になっている。 --しかしこの不義理にはもう一つ「信頼が規定値の半分で出世させられる」という効果があり誠実な人間に比べ早く身分が高くできる。 --不義理武将の場合は中老レベルの信頼1280で家老になれる。その後城主に任命すれば、信頼が家老の規定値の2560に修正される。そうなれば城主を解任し一気に最高位の宿老にすることができる。 --つまり宿老になるために上げる信頼最低値は誠実武将5120に対し、不義理武将1280と極端に開きがある。上杉謙信のような誠実な武闘派は活躍させにくく、不義理なやつらばかりが戦で幅を利かせることになってしまう。 --誠実な武将は内政で役立たせようにも内政80以上か鉄砲、弁舌に秀でていなければ数だけの米売り要員にしかならない。そもそもそんな優秀な人材が多く集まるころには内政自体が必要なくなってくる。家臣になった多くの武将は煩わしくなるだけの役立たずである。 -CS版はセーブデータが1つしか保存できないため、失敗した時の取り返しがしにくい(PC版は5つ保存可能)。 --オートセーブはなく、任意セーブなので上手に活用するしかない。 ---- **総評 粗削りなところも多いが、当時の歴史SLGの中では比類なき自由度の高さで人気を博した名作。~ 後のシリーズでは様々な要素が追加されていったが、それによって自由度が低下したり賛否が分かれたため、現在でも『[[V>太閤立志伝V]]』と並んで人気の高い作品である。 ---- **余談 -Wiiバーチャルコンソール、WiiUバーチャルコンソールでSFC版が配信されている。 --WiiU版の説明書はなぜか非常に簡素なため、ネットから閲覧できるWiiVC版の説明書を見ながらプレイした方が良いだろう。 -Steamで「シブサワ・コウ アーカイブス」の一作として配信された。 --以前発売されたWin版同様、PC98版をエミュ動作させたものとなっている。こちらは当時のマニュアルをスキャンしたPDFが収録されている。
*太閤立志伝 【たいこうりっしでん】 |ジャンル|リコエイションゲーム(シミュレーション)|&amazon(B06Y3VYMYB)&br;※Steam移植版|&amazon(B0111MTRE0)&br;※WiiUVC版| |対応機種|PC-9801&br;X68000&br;FM-TOWNS&br;Macintosh&br;Windows 98~10((Win7以降の対応はSteam版のみ。))&br;スーパーファミコン&br;メガドライブ|~|~| |発売・開発元|光栄|~|~| |【Mac】発売元|AMT|~|~| |発売日|【PC98】1992年3月13日&br;【X68k】1992年5月10日&br;【Towns】1992年6月&br;【SFC】1993年4月7日&br;【MD】1993年5月28日&br;【Win】2005年7月22日|~|~| //|定価|円(税抜)|~|~| |配信|バーチャルコンソール&br; 【Wii】2009年9月1日/800Wiiポイント&br; 【WiiU】2015年5月20日/823円&br;【Win/Steam】2017年4月19日/1,296円(税込)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |>|>|>|CENTER:''太閤立志伝シリーズ''&br;''初代'' / II / [[III>太閤立志伝III]] / IV / [[V>太閤立志伝V]] | ---- #contents(fromhere) ---- **概要 木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)のサクセスストーリーを追体験する『太閤立志伝シリーズ』の第一作目。~ 光栄(現コーエーテクモゲームス)が独自に制定したジャンル「リコエイションゲーム」の第4弾でもある。~ ベースとなっているのは同社のシミュレーションゲーム[[信長の野望シリーズ]]であるが、一武将を主人公とするRPG要素を加えたスピンオフ的作品である。~ 本家に先駆けて城単位での攻防になっている他、戦闘では士気や向きの概念が入ったりと後に本家に取り入れられた要素も多い。~ また、武将でのプレイは[[信長の野望・創造 戦国立志伝]]にて本家にも逆輸入されている。~ PC98で発売後、様々な機種に移植されており、現在ではVCやSteamでも配信されている。 ---- **特徴 ''ゲーム開始'' -ゲーム開始当初、まずは藤吉郎のステータスを決めるところから始まる。 --最初に4つのタイプから1つを選ぶ。タイプによって初期に高くなるステータスと初期技能が変化する。 ---タイプは一般的な戦国武将の「猛将型」、謀略をメインとする「知略型」、内政重視の「能吏型」、剣客として生きる「武芸者」の4つ。 --尚、史実に則った知将型が進めやすいのだが、能力や技能は後で上昇させられるので((但し、統率は意外と伸ばしにくいので能吏型も有利になり易い))どのタイプでも最後まで問題なく進める。 ---ただしランダムで全能力が低い「うつけ」、野心がずば抜けて高く他の能力も(英雄型ほどではないが)高水準な「梟雄型」、武力と魅力と統率力は最高値だがそれ以外は(うつけよりも)低い「傾奇者」、全ての能力が80代の「英雄型」等の隠しタイプになる可能性がある。 --タイプを選択すると次に能力値を決める。キャンセルするごとにランダムで能力値が変化するが、選択したタイプによってある程度は固定されている。 --能力値を決めたら次に特典値(ボーナスポイント)を振り分ける。特典値は50ポイントあり、各能力値は最大100まで増やせる。 --特典値を振り分けたらステータスが決定され、ゲーム本編が始まる。 ''ゲームの目的'' -ゲームは1560年5月から始まり、出世しながらクリア条件を目指す。クリア条件は以下の3つがある。 -1.天下を統一する。 --読んで字のごとく、史実通りに秀吉として天下を統一すればクリア。 -2.関白になる。 --一定の条件を満たして朝廷から関白の位を貰えばクリア。天下統一の過程で条件を満たせる事が多い。 -3.信長が天下を統一する。 --唯一のIF展開におけるクリア条件。本能寺の変を起こさず、信長を補佐して天下を統一させる。 -なお、いずれの条件も満たせず、1590年1月1日を迎えた時点でゲームオーバーとなる。 ''ゲームの進行'' -ゲームはトップビューのマップ画面で行先を指定したりコマンドを選択しながら進める。 --朝昼晩夜の時間経過があり、一周するか宿屋や自宅で寝ると日付が進む。また、ランダムに天候が変化する。 ---右クリック、またはテンキーの0(SFC、MD版では切り替えボタン)を押すたびに「移動先選択」→「コマンド選択」→「待機」の順で状態が切り替わり、移動・コマンド実行中か待機中に時間が経過する。 --マップ上には他の武将も移動しており、戦闘を仕掛ける事も出来る。 ---その時の状況によって一人で移動するか、軍団を引き連れての移動かが変化し、一人で移動中は個人戦(通称・辻斬り)、軍団で移動中は野戦か攻城戦となる。 -最初は足軽頭として始まり、毎月の1日~5日の間に開かれる評定(会議)で主命(仕事)を受け、こなしていく事になる。 --主命をこなすと「信頼」のステータスが上がっていき、一定値になると出世していく。 ---足軽頭では率いれる兵は100人だが出世するにつれ倍ずつ増えていき、最高位の宿老になると最大数の6400人率いることができる。 --主命をこなした後、次の評定までの間は修行をしたり町で下働きをして資金を稼ぐなど自由に行動できる。 -家老まで出世して城主になると、評定に出席する必要はなくなり、自分で評定を開く事が出来るようになる。 --評定の代わりに主君からの命令書が届き、部下を登用して指定された城を攻略する事で信頼を得られる。 --他に内政や外交をこなしながら進める一般的なSLGに近くなる。 -大名になると自国の方針を全て自分で決められるようになり、クリア条件を目指す事になる。 ''戦闘'' -戦闘は他国と戦う「合戦」と一対一で戦う「個人戦」がある。 --合戦では直接操作できるのは自分の部隊のみで、他の部隊はAIで行動する。自分が総大将の場合は配下に指示を与える事も出来る。 ---合戦は敵を全滅させるか、全ての敵を退却させると勝利となる。 --個人戦では自分と敵が互いに10回コマンドを選択して実行し、相手の体力を0にすると勝利となる。 ---個人戦はフィールド上を移動する武将に挑める他、味方の武将に師事して剣術を教えてもらう場合もこれになる。師事の場合は体力0になってもゲームオーバーにはならない。 ---- **評価点 -自由度の高さ --秀吉の生涯を元にしてはいるが、史実通りに進める必要はなく、場合によっては史実通りのイベントが起きない事も多い。自分なりの戦国時代を楽しむことが出来る。 ---ゲーム開始直後は桶狭間の戦いのイベントが発生するが、最初の評定を無視すれば桶狭間への出陣を回避可能。他にも(難易度は高いが)永禄の変を回避して足利を存続させたり、クリア条件にもあるように信長の忠臣として彼の天下統一を助けることも出来、幅広いプレイに対応している。後述のように辻斬りしまくったり騙し討ちなどの悪人プレイも出来る懐の深さも本作の良さと言えるだろう。 ---また、本能寺の変は史実と違う人物が起こす事もある。城主になってからは謀反を起こすことで本能寺の変を経ずとも大名になれる。その場合は信長を配下に加えることも可能である。 --藤吉郎を成長させるのが基本ではあるのだが、博奕をしたり、商人からアイテムを購入したり出来る事は豊富に用意されている。 ---アイテムの中には「かすてーら」など他の歴史SLGでは見られないものが登場するのも特徴。 --特に辻斬りは本作の醍醐味と言われる事もあるほどゲームの進行に影響を与える要素となっている。 ---どんな武将相手にも個人戦を挑めるため、やろうと思えば全ての武将を辻斬りで暗殺可能。大名は城からなかなか出てこないためコツがいるが、特定のタイミングを狙えば辻斬り可能。''信長すら暗殺できてしまう。'' ---もちろん、辻斬りを成功するためには鍛えておく必要がある他、魅力が50以上の武将を斬ると自分の魅力が下がるというリスクがあるので、そう簡単な事ではないが。 ---特定の武将は斬った時に辞世の句を詠んだり、専用の台詞が用意されているので、辻斬りを成功させた時の達成感や全ての台詞を見たくなる意欲が湧く作りになっている。 ---続編の『2』でも辻斬りで武将を斬る事は可能、しかし『3』では辻斬りが消滅した事によって作品の評価を大きく落とし、『4』以降では復活したものの斬る事が出来るのは寿命が尽きた武将や架空武将といった制限がかかるようになったため、自由度は本作には及ばない。 -個人目線で見る戦国時代 --本作は一応SLGなのだが、ロールプレイング要素も強く、他の歴史SLGとは一味違った面白さを有している。 --主命に失敗しまくると信長が激怒し、''即座に斬られる。''後のシリーズでは優しい面が多く描かれる信長だが、本作では用のない者は切り捨てるシビアな面が強調されており人気の高さに貢献している。 --他の武将との人間関係も本作の醍醐味。序盤から親切にしてくれる前田利家、事あるごとに嫌味を言ってくる柴田勝家など、様々な人間模様が存在する。 ---評定の際には自分から意見を出す事も可能だが、彼らが横槍を入れて来ることもある。 ---出世していけば彼らとの関係も変化し、以前は話に応じてくれなかった人物も話を聞いてくれるようになったりと非常に良く出来ている。 ---会話も面白く、勝家を家臣にして会いに行くと狼狽して心の中で「早く帰ってくれないかなぁ…」と呟いたり、毎回報告を持ってきてくれる忍者に対して藤吉郎が「たまにはくのいちがいいなぁ」と呟くなどお笑い台詞も用意されている。 --他にも大名の姫と仲良くなって口利きしてもらう事で外交を有利に進められたり、大名に付け届け(政治献金)をしたり婚姻関係を結んだりと出来る事も豊富。 -グラフィック --PC版では史実のイベントシーンに専用の一枚絵を用意しており、イベントを盛り上げる要素となっている。 ---他の場面も専用グラフィックで進行するため、雰囲気は良好。 --CS版では一枚絵が少ないかわりにマップ画面でキャラクターたちが動き回るRPGのようなイベントシーンとなっており、これはこれで盛り上がる。 ---こちらは他の場面もトップビュー画面でドット絵のキャラたちが動き回る。全体的にRPGのような画面作りになっている。 --キャラクターの顔グラフィックもそれぞれの雰囲気に合わせたものが用意されている。 -音楽 --一部光栄の過去作からの使い回しもあるものの、ほのぼのとした曲から緊迫感のある曲まで揃っており、雰囲気を盛り上げてくれる。 ---- **賛否両論点 -攻城戦のとき敵大将は基本的に城から動かない。そこで鉄砲部隊で後ろから射撃すれば被害なく勝つことができる。 --大将以外は普通に移動してくるので被害は出てしまう。たとえその武将が400人しか率いていなかったとしても城自体に兵が残っていればターンごとに補充されるためこの手は効きにくい。 --しかし多くの城は守備兵しかいなかったり(必然的に大将「城守備兵」のみになる)、武将がいればむしろ調略で城ごと乗っ取れるため居城以外は兵力の差を覆して落としやすい。 ---居城であっても敵が他の城に攻め込んでいる隙を狙えば武将は残っているものの兵が大幅に減っているので落としやすくなる。 --作業的になって面白みには欠けるが、兵力の少ない城主時代や劣勢から始める謀反プレイでは重宝する。 ---- **問題点 -PC版はコマンドがアイコン表示のみのため、初見時はどういうコマンドがわかりにくい。憶えるまではマニュアルとにらめっこするしかない。 --CS版ではこの反省からか、コマンドの頭文字がアイコンとなっており、分かりやすくなった。 -評定のコマンドは一回ずつ家臣に命令する形であり、その度にセリフのやりとりがあり煩わしい。 --さらにその任務にふさわしいと判断された武将がいちいち自分にやらせてほしいと言ってくるので嫌なら断らなければならない。 --米を大量に売る場合でも一括でできず2000石ずつ家臣に売らせなければならないため手間がかかる上、任務を終えると城で一人ずつの報告が待っている。 -体力を回復するために宿や自宅で休めるが、一晩だけでは回復できない事もある。しかし、連続して休むには毎回城や町に入り直してコマンド選択が必要なので面倒くさい。 --一応、金がかかるが、医者に診てもらえば即座に全回復出来る。 --後のシリーズでは何日休むか一括で選択できるようになり、改善された。 -本能寺の変イベントが起きにくい。これが起こせなければ謀反を起こして大名になるしかないという極めて重要なイベントである。 --発生しにくいのは条件の1つに「上杉、武田、毛利の支配する城が織田領の城に隣接している」というものがあるためである。信長の主命を忠実にこなしているうちに毛利と接する前に上杉が滅亡してしまうことが多い。 --信長は上杉を攻撃目標にしがちなため、毛利と接するために進言して目標を三好に変えれば発生させることは難しくはない。ただし武田が上杉を滅ぼす前に速やかに条件を満たす必要がある。 --飛び地であっても隣接と見なされるため、主命を無視して勝手に城を落としていっても起こすことは可能である。 --信長に天下を統一させる場合は方針通り上杉を滅ぼせばいい。 -舞台が東北除く本州のみのため、伊達や島津、長曾我部といった人気武将が登場しない。該当範囲であっても弱小大名は端折られていたりする。 --また、城はともかく町はかなり少なく、清洲城があるのに清洲の町がなかったりするため、序盤はわざわざ主命のために敵国近くの稲葉山の町まで行く必要があったりする。 --町では自分で画面をスクロールさせる事ができないため、目的の店が見える位置まで移動先を指定して藤吉郎を移動させる必要があり、地味に面倒くさい。フィールドマップではコマンドから行先を指定出来るのだが。 -一度に登場できる武将数に制限があるためクリアまでに出てこない武将が多くなる --一度に240人が登場できるのだが、それに対し武将総数は712人である(ともに秀吉は除く)。地域と年代と大名家を限定しているにも関わらず明らかに多すぎる。 ---他のシリーズ作や本家である「信長の野望」シリーズにも登場しないようなマイナー武将も多く、それらが有力武将登場の障壁になっている。 --それだけの武将がいながら多くの城は守備兵のみに任されており武将は居城一極集中の過密化が起こっている。プレイヤーが大名であっても家臣に城を任せる意味はほとんどない。 --最初のうちは各地で戦が激しく起こり死者多数のため各大名の居城にどんどん新武将が登場するのだが、落ち着いてくると新しい武将が登場しにくくなってしまう。 --大名になった後敵居城を攻め、使えない武将をどんどん斬首すれば新武将が登場するが、大半は使えない武将で滅亡済みの大名家の新武将の場合は浪人となり月初めに大勢力の大名居城に仕官しにくる。自城に来た武将を断るとライバルの方にいくのでまた大量殺戮を繰り返して有力な武将が出るのをひたすら待つしかない。 --そうやってやっと出てきた真田幸村などの有力武将も終盤に最下級の身分で加わるので活躍させにくい。新武将を諦め斬首しないで行った方が効率よくプレイできてしまう。 -浪人になれない --主命を失敗し続けると信長から追放すると言われるのだが、なぜか直後に言った本人に斬られてしまうためどうやっても浪人にはなれない。おそらく浪人になれる予定だったものが変更された名残であろう。これを残念がる声も多い。 --後のシリーズではオリジナルの主人公を作り、浪人や商人、忍者など様々な条件下でのプレイが可能になった。 -不義理なやつほど出世する --武将のマスクデータの一つに「誠実・不義理」というものがあり不義理な武将は裏切りやすくなっている。この割合は半々になっている。 --しかしこの不義理にはもう一つ「信頼が規定値の半分で出世させられる」という効果があり誠実な人間に比べ早く身分が高くできる。 --不義理武将の場合は中老レベルの信頼1280で家老になれる。その後城主に任命すれば、信頼が家老の規定値の2560に修正される。そうなれば城主を解任し一気に最高位の宿老にすることができる。 --つまり宿老になるために上げる信頼最低値は誠実武将5120に対し、不義理武将1280と極端に開きがある。上杉謙信のような誠実な武闘派は活躍させにくく、不義理なやつらばかりが戦で幅を利かせることになってしまう。 --誠実な武将は内政で役立たせようにも内政80以上か鉄砲、弁舌に秀でていなければ数だけの米売り要員にしかならない。そもそもそんな優秀な人材が多く集まるころには内政自体が必要なくなってくる。家臣になった多くの武将は煩わしくなるだけの役立たずである。 -CS版はセーブデータが1つしか保存できないため、失敗した時の取り返しがしにくい(PC版は5つ保存可能)。 --オートセーブはなく、任意セーブなので上手に活用するしかない。 ---- **総評 粗削りなところも多いが、当時の歴史SLGの中では比類なき自由度の高さで人気を博した名作。~ 後のシリーズでは様々な要素が追加されていったが、それによって自由度が低下したり賛否が分かれたため、現在でも『[[V>太閤立志伝V]]』と並んで人気の高い作品である。 ---- **余談 -Wiiバーチャルコンソール、WiiUバーチャルコンソールでSFC版が配信されている。 --WiiU版の説明書はなぜか非常に簡素なため、ネットから閲覧できるWiiVC版の説明書を見ながらプレイした方が良いだろう。 -Steamで「シブサワ・コウ アーカイブス」の一作として配信された。 --以前発売されたWin版同様、PC98版をエミュ動作させたものとなっている。こちらは当時のマニュアルをスキャンしたPDFが収録されている。

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