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ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル - (2020/08/27 (木) 01:22:44) の最新版との変更点

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*ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル 【ふぁいなるふぁんたじー・くりすたるくろにくる】 |ジャンル|アクションRPG|&image(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41P1QAM9DFL.jpg,height=200)| |対応機種|ニンテンドーゲームキューブ|~| |メディア|8cm光ディスク 1枚|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|ゲームデザイナーズ・スタジオ、スクウェア・エニックス|~| |発売日|2003年8月8日|~| |定価|7,140円|~| |プレイ人数|1~4人|~| |セーブデータ|22ブロック使用|~| |周辺機器|''2人以上で遊ぶ場合、人数分のゲームボーイアドバンスとGBAケーブルが必須''&br()(ソフトにはGBAケーブル1本が同梱)|~| |判定|なし|~| |ポイント|シングルプレイが若干味気ない&br()マルチプレイと世界観などは好評|~| |>|>|CENTER:''[[ファイナルファンタジーシリーズ関連作品リンク>ファイナルファンタジーシリーズ]]''| |>|>|CENTER:''クリスタルクロニクルシリーズ &color(red){FFCC} / [[RoF>ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リング・オブ・フェイト]] / CLK / [[EoT>ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル エコーズ・オブ・タイム]] / [[CLD>光と闇の姫君と世界征服の塔 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル]] / [[TCB>ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタル・ベアラー]]''| //(リンクのうち記事未作成) [[CLK>小さな王様と約束の国 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル]] ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -長らく絶縁状態にあった任天堂とスクウェアの復縁のための作品であるFFCCシリーズの第1作。 -プレイヤーは村のキャラバンとして、村を瘴気から守るクリスタルを維持するため「ミルラのしずく」を求めて旅をする。 -なお、システムについては「マルチプレイ」を前提として記述する。 **システム -プレイヤーは4つの種族の中から一つを選ぶ。それぞれ長所や短所があるため、自分に合った種類を選ぶ必要がある。 --なお、性別によって若干ではあるが能力が変わる。見た目も4つの中から選べるが、こちらは性能差はない。 #region(簡単な種族説明) -クラヴァット --防御力が高く、ガードの性能が高い・固有装備の防御力が全体的に高いと言う点もあり、防御重視で壁役を務めることが多い種族。また、何気に魔法も得意なためマジックパイルも狙える。攻撃力や攻撃モーションは普通だが、必殺技の性能があまりよくないため直接戦闘はやや苦手。 -リルティ --攻撃力と防御力が高い。攻撃モーションや必殺技なども優れており、攻撃特化の種族。ただし魔法に関しては完全に無能。基本的な魔法一つ唱えるにも時間がかかるため、攻撃手段としては使えない。 -ユーク --魔法のステータスが最も高く、射程・詠唱・効果時間にも優れる。しかし攻撃力と防御力は非常に低く、直接戦闘も苦手、必殺技もあまり役に立たないという、分かりやすい魔法特化型の種族。 -セルキー --攻撃力が高めで、必殺技の発生が最も早い攻撃重視の種族。射撃系の必殺技が多い為それを生かした一撃離脱戦法が有効で、ガードの挙動も他種族と違って回避行動である。ただ防御力は少し低めで、魔法もリルティよりはマシだがあまり得意ではない。 #endregion -攻撃や魔法といった「コマンド」はコマンドリストにアイテムや魔石をセットすることで使用できる。コマンドはL・Rボタンで切り替え、Aボタンで使用する。同社の『[[キングダム ハーツ]]』に近い。 --武器攻撃を行う「たたかう」、種族ごとに異なる防御行動をとる「ぼうぎょ」は固定で、残りにアイテム、魔石をセットする。 ---ハート(HP)を回復する食べ物アイテム(当然使い捨ての消費アイテム)もリストにセットするのだが、使用すると''スロットからなくなる''。((消費アイテムなのだから当たり前のような気もするが。)) ---一応メニューから使用することもできるが、マルチプレイではその間もモンスターは攻撃してくる為あまり現実的ではない。一方シングルプレイならメニュー画面を開いている間は時間が止まる為、落ち着いて回復可能。 -装備品は基本的に直接購入するのではなく、レシピを入手し、必要な素材とギルを用意して鍛冶屋で作ってもらうことで手に入れる。 --また、場所によって作れるものと作れないものが大きく分かれており、その村に出向く必要がある。 -ダンジョン攻略時に重要となるのが瘴気から身を守るための道具「クリスタルケージ」(以下「ケージ」と記述する)。 --ケージを中心とした一定範囲を越えるとHPが減っていく((シリーズでいう『毒』の状態異常のように減少していく))うえ、カメラは基本的にケージを中心に動く。このため移動の際には誰かがケージを持ち運ぶ必要がある。 --また、クリスタルケージには属性が存在する。 ---属性は基本的に火・水・風・土の四種類で、属性に応じて特定の状態異常に一段階強くなる。ダンジョン内の仕掛け「ホットスポット」を使う事で、ケージの属性をそのホットスポットが有している属性に変更可能。 ---キャラバンの行く手を阻む瘴気ストリーム((簡単に言うと関所のようなもの。))を通過する際は、ストリームの属性とケージの属性を合わせる必要がある。瘴気ストリームの属性は年毎に一定の法則で変化し、ホットスポットの属性がダンジョン毎に決まっているのもあって、状況次第では移動可能なエリアが大分限られてくる。 -登場するダンジョンは全部で12種類。プレイヤーの目的である雫はダンジョンの最深部にあるため、ダンジョンの探索が必須となる。 --ダンジョンは基本的に一本道。道中にある仕掛けを解きつつ進んでいくことになる。 --最後にはボスが待ち構えており、これを倒すことでクリアとなり、雫が手に入る。3か所のダンジョンをクリアするとケージに雫がいっぱいになり、一年が終了する。 ---なお、雫は一度取るとそのダンジョンからは2年間取れない。ただし攻略自体は可能なので、アーティファクト集めに励むのも良い。 --そして2年後に雫が得られる頃には難易度が上がる。最大3周分まであり、新たな敵が出現・敵の能力が上がる・出現数が増える・ボスの攻撃パターンが増えるなど、ダンジョンの難易度が上がると同時に手に入るアイテムやアーティファクトも豪華になる。 -魔法を使うにはダンジョン内で「魔石」を拾う必要がある。 --魔石はそのダンジョン内でのみ有効。最初から魔法を使うためにはあるアーティファクト(後述)を入手する必要がある。 ---また、マルチプレイ時はマジックパイル(魔法のターゲットリングを合わせてタイミングよく発動する)によって強力な合体魔法が使用できる。特定のモンスターは合体魔法を使わなければ有効打を与えられないため、マジックパイルはマスターしたほうがよい。 --なお、魔法の使用は詠唱に時間がかかることを除けばノーコスト。魔石さえ拾えばそのダンジョン内では使い放題。 -成長は経験値ではなく、ダンジョン攻略後に「アーティファクト」を入手することで行われる。 --アーティファクトは道中で拾った物と、クリア時に手に入る物から一つ選ぶ。 ---クリア時に手に入るものは、課題の評価が高いほどいいものが出やすくなる。 --アーティファクトには「こうげき」・「ぼうぎょ」・「まほう」といった基本能力を増やすもの、ハート(HP)やコマンドリストなど装備では賄えない要素を増やすもの、常時魔法が使えるようになるものといったバリエーションがある。 ---ただし、一度取得したアーティファクトは再入手できない。そのため、粗方集めきるとクリア時に入手できるアーティファクトが一つも無いという事態も頻繁に発生する。 --マルチプレイ時はプレイヤーごとに与えられた課題(ダメージを受けない、物をたくさん拾うetc)をこなすことで溜まるポイント(数値は最後のリザルトでのみ発表)が最も高いプレイヤーから順にアーティファクトを選べる。 --独特な成長システムであったが、続編には引き継がれなかった。 ''シングルモードについて'' -本作はマルチプレイを推奨しているが、一人でもプレイは可能である。マルチプレイとは異なる点が多いが、一応シングルプレイにもある程度までは配慮されている。このシングルプレイについての問題点は後述する。 --マルチプレイでは誰かがケージを運ぶ必要があるのだが、シングルプレイだとケージを運ぶ専用のNPCとしてモグが付いてきてくれる。 ---また、モグは一定条件を満たすと魔法で援護してくれる。魔法剣や合体魔法に活用できる。 --マルチプレイでの合体魔法は複数人でマジックパイルする必要があるが、シングルプレイでは必要な魔石さえ揃っていれば詠唱時間こそかかるものの一人で発動できる。 ---タイミングを合わせる必要がないので、合体魔法の詠唱に関してはマルチプレイよりも楽。発動にコツがいるヘイストやストップでも簡単に使える。ただしその分詠唱時間は長くなる。 ---ただし、アレイズやスロウガなど一部の合体魔法は使えない。 --マルチプレイではメニュー画面を開いている間も時間が進行するが、シングルプレイだとメニュー画面を開いている間、ゲームはポーズ中と同様の状態となる。 ---このため、通常はコマンドスロットにセットして使う食べ物系アイテムも、セットしなくても悠々と使用できる。 --プレイヤー一人であることに配慮してか、敵の能力や出現数がマルチプレイに比べ少し易しくなっている。 ---特に敵の能力の上昇幅は2.5倍までに抑えられており、ちゃんとプレイヤーを強化していれば理不尽な難易度にはならない。 ---ちなみに、マルチプレイでは人数にもよるが敵の能力は最大で約4.5倍にまで跳ね上がる。 **評価点 -美しいグラフィック。 --FFメインシリーズと違ってプリレンダリングムービーは無いが、光の屈折やクリスタルケージの範囲を瘴気が避けていく様など当時の極限まで表現されたグラフィックは今見ても美しい。オープニングムービーは演出も含めて出色の完成度と評してもいいだろう。 --モグのフワフワした毛は非常に細かく描かれているだけでなく、特定の場所でカラーリングやカットが可能。プレイしている内に段々と色は落ち、毛は伸びて元に戻っていくなどかなり芸が細かい。 -世界観、設定、キャラクターも高評価。 --本作の目的は、人体に悪影響がある瘴気を僅かながら払えるクリスタルを一年に一度清める為、ミルラの樹から採取できる雫を一年に三滴集める事。この設定ゆえに、基本的には何十年でも旅が可能。 ---最後のダンジョンでは「ミルラの樹の雫は忘れられた思い出によって生まれる」といった世界の構造の真実を知る事ができ、そのダンジョンのボスを倒す事でエンディングを迎える事となる。 --作風は絵本や児童文学的であり、街や住む人々は素朴で優しい空気を持っている。 --ダンジョンも、開始時に語られる掌編の語りが本作の雰囲気を魅力的な物にしている。テンポを重視するユーザー向けに語りのスキップも可能。 --アートワークの方向性や霧のように世界を覆う瘴気など、漂う雰囲気は全体的に[[FFIX>ファイナルファンタジーIX]]の影響が強くスタッフの重複も多い。とあるキャラのゲスト出演もある。 ---ただし世界背景はIXとは違って退廃的であり、後味の悪いシナリオも多い。((特に「ティダの村」に残されたボロボロの手紙、セルキーの青年が「コナル・クルハ湿原」に研究に行くイベント、そしてとあるNPCの最期は暗い内容のイベントとしてよく挙げられる。)) --イベントやダンジョンクリア後は「日記」に出来事や主人公の心情などが記載されていく。暗いイベントの後には切ない余韻を、愉快なイベントの後には思い出して笑えるような内容が書かれてある。 -メインの要素であるアクションも好評。 --本作の肝ともいえるマジックパイルは、シンプルながらも本作にマッチした物である。 --操作性やゲームバランスもこれと言った不備もない。 --ラスボス戦では日記に記載された内容の数だけ救済措置を得られるなど、非アクションのシステムも本作の設定に合わせて意外な形で役立ったりも。 -音楽 --谷岡久美が手掛け、楽団ロバハウスが奏でるケルト調楽曲の数々は本作の世界観と相まって高い評価を得ている。 --Yaeの唄う「カゼノネ」や「星月夜」も本作とマッチしている。ダンジョン開始時の語りも担当している。 **賛否両論点 -元々オンライン仕様の予定だった為か、ストーリーは淡白で操作キャラも無個性。そうしたストーリー要素を求めるFFファンには勧められない。 --ただ、イベントの内容自体は悪い出来ではない。日記やサブイベントなどテキスト自体も多く用意されている。 --前述した通りシステムの出来は良いため、明確なストーリー性を重視しないユーザーにはさほど気にならない要素ではある。 -クリスタルケージと瘴気の仕様による移動の制約。 --瘴気から守ってくれるクリスタルケージの範囲がやや狭いため、~ガ系の魔法などの広範囲の攻撃を避ける際、ケージの範囲から出ざるを得ない事もある。 --ケージを運ぶ場合は移動が遅くなる為((リルティのみ速度は変わらない。))そのキャラに合わせて移動を合わせなければならない。また、運ぶキャラは攻撃や防御のアクションが行なえず、アイテムも拾えないため色々と損な役回りである。 --特に瘴気ストリームを通過する時は全員が歩行速度を合わせ、少しでもケージの範囲から出れば押し戻される為、結構神経を使う場となる。 ---この制約によって団体行動や立ち回りなど考えながら戦闘する必要がある為、そこを面白味と受け取るか窮屈と受け取るかで賛否が分かれる。 --シングルプレイ時にケージを運び役として同行してくれるモグは、こちらの操作に合わせて付いてきてくれる。 ---そう聞くと瘴気を気にしなくて楽そうに思えそうだが、「疲れたクポ」といって移動速度が低下する場面がある。当然進めばモグは遅れてくるため操作キャラは範囲から出て瘴気の中に入ってしまうため、Xボタンでケージを降ろしたり、その場に留まるなど休憩させる必要がある。 ---なかには「キランダ火山」というダンジョンでは暑い場所ゆえかすぐに疲れるなど妙な作り込みこみも。単なるケージ運びのNPCではなく共に旅する相棒としての個性付けなのだろうが、人によっては煩わしさもあるかもしれない。 ---立ち回りに慣れている事が前提ではあるが、戦闘中はケージを降ろして魔法で援護してもらうなどすれば比較的スムーズに進められるだろう。 -一部のアーティファクトがやたら出にくい。 --全てのダンジョンに''3周目で与えられた課題について高得点を出した場合、4分の1の確率で出現する''アーティファクト(以下『レアアーティファクト』と記述)がある。この説明で大体察していただけるとは思うが、レアアーティファクトの入手は困難を極める。 ---与えられる課題については「ダメージを与える」「魔法で敵を倒す」といったオーソドックスなものから、「魔法攻撃に耐える」「たたかうで敵を倒さない」といったプレイングに工夫が必要で達成が難しいものもある。ダンジョンに出入りすれば課題が変わるので、最も簡単であろう「ダメージを与える」が出るまで出入りを繰り返すのもひとつの手。 ---課題が達成されたかどうかはそのダンジョンのボスを倒すまでわからない。苦労してクリアしても得点が足らずにレアアーティファクトが出なかったということも多い。更に課題を見事達成できた場合でも、4分の1という確率の抽選を引き当てなければレアアーティファクトは出て来ない。 --特に「レイズリング」は「コナル・クルハ湿原」という本作でも最難関((狭い道にモンスター多く出現し、ソロでは立ち回りが難しく、マルチでは乱戦になりがちで、ダンジョン自体も長いため攻略にも数十分かかる))とも評されるダンジョンで出現するレアアーティファクトの為、入手を狙う多くのやり込み派プレイヤーに絶望を味わわせたという…。 ---いわば「やり込み要素」ではあるが、「理不尽な要素」とも見えてしまうところでもある。 **問題点 -最低限の配慮はされているものの、シングルで遊ぶには少し厳しいものがある。 --中盤以降、複数のモンスターと同時に戦うことが多くなるのだが、一度ダメージを受けると他のモンスターからの攻撃を立て続けに受けてしまいがち。 --必殺技や魔法で大き目の攻撃を与えようとしても発動までの間は無防備なので、シングルだと隙を見つけるまで回避一辺倒のプレイを強いられるケースが非常に多い。 ---HP自動回復のアクセサリー「いやしのはちまき」又は「ひすいのうでわ」さえ入手できれば、人によっては温いと感じられるレベルまで楽にはなるが、果たして救済措置と呼んでいいものかどうか。 --「プレイヤーが一人の為、出現する全ての敵から集中砲火を浴びる」という点は確かに厳しいが、別にゲームバランスが崩壊しているという訳ではない。 ---敵の攻撃待機時間なども細かく設計されており、立ち回りさえ守れば「敵に攻撃してる時、別の敵からの攻撃で中断される」という事も無い。 --RPGとしてのバランスはしっかりしているので、装備を整えてアーティファクトをしっかり集めれば、複数の敵が出てきても対処は可能ではある。 -''マルチプレイに人数分のGBAとGBAケーブルが必須''。 --これによりプレイ環境の敷居が非常に高いものとなってしまっており、本作一番の難点として挙げられる事も多い。マルチプレイでその楽しさを最大限味わえる筈のゲームなのに、そのマルチプレイを遊ぶのが物理的な意味で難しいというのはある意味本末転倒であろう。 --本作のダンジョンは全体的にマップが広いのだが、地図はGBA無しだと表示されない。シングルプレイではGCのコントローラーで遊べるのだが、地図を見れないという仕様が原因で結局GBAを頼ってしまう事が多い。 ---特に「ライナリー砂漠」というダンジョンは起伏も景観も変化の無い砂の平地が続く上、途中にラストダンジョンへ向かう為に必須の謎解きが存在している((ライナリー砂漠のクリア自体には無関係。))。地図無しだと不必要にだだっ広いマップを徘徊する破目になる。 --2人プレイだとケージを抱える移動速度の問題に加えて、マルチプレイの仕様に合わせ難易度が上昇する。一人がメニューを開く必要に迫られれば、もう一人がケージに立ち回りにと気を配らなければならないため場合によってはシングルプレイより苦戦を強いられてしまう。 -種族によっては隠しミニゲームが出現しない。そこまで重要なものが手に入るわけではなく、あくまでお遊び要素ではあるが。 -ダンジョンの難度の上がり方が''キャラクターの強さに関わらず一定''。 --最初に育てたキャラクターでクリアした後、それ程育てていない別のキャラクターで同じダンジョンに行くと、そのキャラクターで最初のキャラクターがクリアした難易度のダンジョンに挑む破目になる。 ---この仕様により別キャラクターによるプレイは困難を極める為、大抵のプレイヤーはキャラ育成を一人に絞りがち。一方でキャラを作らないと使える施設が増えないというジレンマが発生する。 ---ミルラのしずくの溜まっていないダンジョンを利用すれば、時間を進めることなく強化できる。しかしかなりの手間が掛かり、正直面倒くさい。 -マルチプレイ前提故か、アイテムストックがドラクエのような個別式。しかも売るに売れない装備用の素材や属性耐性用の装備(耐性に段階があり、中盤以降は一定値以上耐性がないと状態異常を防げないことも多い)などで枠が埋まるのですぐに一杯になる事が多い。 //--倉庫番として別キャラを作る事が推奨されるほど。 //---その場合でもシングルモードでは別キャラにアイテムを渡せないのでマルチプレイ用の環境が必要。 --これに加え、''装備品は一度作成すると売却不可能。その上、他のキャラに渡す事もできない''。 ---このため装備品はレシピの段階で受け渡しをしなければならず、不要になったら壊す(=捨てる)しかない。 --イベントでのみ貰えるアイテムもある。性能面において役立つ訳ではないのだが、捨ててしまえば二度と手に入らないというコレクター泣かせの仕様。 -キャラクターボイスがない --ゲームキューブのメディアがPS2とおなじ容量を持つ光ディスクなのに『[[ファイナルファンタジーX]]』で採用されたキャラクターボイスが本作では採用されていない。 **総評 幻想的で優しく懐かしさのある中に秘められた暗くやるせない気持ちにさせる話など、本作の世界観に魅せられた者も多い。~ 肝であるマルチプレイの楽しさは十分評価されるものであり、不自由はあるもののシングルモードも決して遊べなくはない出来栄えである。~ ケージや課題、マジックパイルなど制限のあるシステムは好みが分かれるが、プレイヤー同士の協力によってこうしたギミックを乗り越える達成感は他では得がたいものがあるだろう。~ それらの利点や反省点を踏まえ、以降の続編作品では本作の問題点の多くが解消され、良作シリーズとして成長した。~ **移植 -発売から15年後となる2018年にHDリマスター移植が発表され、2020年8月27日に発売。 --対応ハードはPS4とSwitchで、シリーズ初となるソニーハードでの発売となる。 --原作には無かったボイスが追加される事が明かされている。
注意:このページでは『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』と、移植版『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター』を併せて紹介する。判定は両作品共に''なし''。 ---- #contents(fromhere) ---- *ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル 【ふぁいなるふぁんたじー・くりすたるくろにくる】 |ジャンル|アクションRPG|&amazon(B00008MSTT)| |対応機種|ニンテンドーゲームキューブ|~| |メディア|8cm光ディスク 1枚|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|ゲームデザイナーズ・スタジオ&br;スクウェア・エニックス|~| |発売日|2003年8月8日|~| |定価|7,140円|~| |プレイ人数|1~4人|~| |セーブデータ|22ブロック使用|~| |周辺機器|ソフトにはGBAケーブル1本が同梱((2人以上で遊ぶ場合、人数分のゲームボーイアドバンスとGBAケーブルが必須。))|~| |判定|なし|~| |ポイント|任天堂ハードへの復帰作&br()シングルプレイが若干味気ない&br()マルチプレイと世界観などは好評|~| |>|>|CENTER:''[[ファイナルファンタジーシリーズ]]''| |>|>|CENTER:''クリスタルクロニクルシリーズ - &color(red){FFCC} / [[RoF>ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リング・オブ・フェイト]] / CLK / [[EoT>ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル エコーズ・オブ・タイム]] / [[CLD>光と闇の姫君と世界征服の塔 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル]] / [[TCB>ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタル・ベアラー]]''| //(リンクのうち記事未作成) [[CLK>小さな王様と約束の国 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル]] ---- **概要 1996年より長らく絶縁状態にあった任天堂・スクウェア両社の復縁の為に開発された、FFCCシリーズの第1作。~ プレイヤーは村のキャラバンとして、村を瘴気から守るクリスタルを維持する為「ミルラのしずく」を求めて旅をする。~ なお、本作は「(一人での)シングルプレイ」も可能だが、当ページでのシステム解説は基本的に「(複数人での)マルチプレイ」を前提として記述する。 ---- **システム -プレイヤーは4つの種族の中から一つを選ぶ。それぞれ長所や短所があるため、自分に合った種類を選ぶ必要がある。 --なお、性別によって若干ではあるが能力が変わる。見た目も4つの中から選べるが、こちらは性能差はない。 #region(簡単な種族説明) -クラヴァット --防御力が高く、ガードの性能が高い・固有装備の防御力が全体的に高いと言う点もあり、防御重視で壁役を務めることが多い種族。 --実際には物理・魔法ともに高いバランスでまとまった能力を持つ為、苦手な事は一切無い。特に男性は攻撃モーションにも優れ、必殺技の性能も優秀であり、他種族の役割を食いかねないほどの万能キャラに仕上がっている。 -リルティ --攻撃力と防御力が高い。攻撃モーションや必殺技なども優れており、攻撃特化の種族。 --魔法に関しては完全に無能。基本的な魔法一つ唱えるにも時間がかかるため、攻撃手段としては使えない。 --また、力持ち故に後述のクリスタルケージを持ち運ぶ際に移動速度が下がらないというメリットもある。 -ユーク --魔法のステータスが最も高く、射程・詠唱・効果時間にも優れる。 --攻撃力と防御力は非常に低く、直接戦闘も苦手、必殺技もあまり役に立たないという、分かりやすい魔法特化型の種族。 -セルキー --攻撃力が高めで、必殺技の発生が最も早い攻撃重視の種族。 --射撃系の必殺技が多く、それを生かした一撃離脱戦法が有効。「ぼうぎょ」の挙動も他種族と違って回避行動である。 --防御力は少し低めで、魔法もリルティよりはマシだがあまり得意ではない。 #endregion -攻撃や魔法といった「コマンド」はコマンドリストにアイテムや魔石をセットする事で使用できる。コマンドはL・Rボタンで切り替え、Aボタンで使用する。同社の『[[キングダム ハーツ]]』に近い。 --武器攻撃を行う「たたかう」と、種族毎に異なる防御行動をとる「ぼうぎょ」は固定で、残りの欄にアイテムや魔法をセットする。 ---種族はもちろん武器によっても「たたかう」の動作は異なり、また「たたかう」を長押しすることで、これまた種族・装備に応じた「必殺技」を発動できる。長押し中は足が止まるが、その隙に見合った大技を繰り出せる。 ---ハート(HP)を回復する食べ物といった使い捨ての消費アイテムもリストにセットできるが、これらは使用するとスロットからなくなる。 ---アイテムはメニューからも使用できるが、マルチプレイだとその間もゲームは進行する為あまり実用的ではない。 ---一方シングルプレイではメニュー画面を開いている間はポーズ状態となるため、落ち着いて回復可能。 -装備品は基本的に直接購入するのではなく、レシピを入手し、必要な素材とギルを用意して鍛冶屋(アクセサリーのみ裁縫屋)で作ってもらう事で手に入れる。 --鍛冶屋によって作れるレシピと作れないレシピが存在しており、対応している鍛冶屋が存在する村に出向く必要がある。 -ダンジョン攻略時に重要となるのが瘴気から身を守るための道具「クリスタルケージ」(以下「ケージ」と記述する)。 --ケージを中心とした一定範囲を越えるとHPが減っていく((シリーズでいう『毒』の状態異常のように減少していく。))うえ、カメラは基本的にケージを中心に動く。このため移動の際には誰かがケージを持ち運ぶ必要がある。 --ケージには火・水・風・土の四種類の属性が存在し、属性に応じて特定の状態異常に一段階強くなる。ダンジョン内の仕掛け「ホットスポット」を使う事で、ケージの属性をそのホットスポットが有している属性に変更可能。 ---キャラバンの行く手を阻む瘴気ストリーム((簡単に言うと関所のようなもの。))を通過する際は、ストリームの属性とケージの属性を合わせる必要がある。瘴気ストリームの属性は年毎に一定の法則で変化し、ホットスポットの属性がダンジョン毎に決まっているのもあって、状況次第では移動可能なエリアが大分限られてくる。 ---ゲーム終盤になると、状態異常への耐性がない代わりに四属性全ての瘴気ストリームに対応する「?属性」に変更可能となる。 -登場するダンジョンは全部で12種類。プレイヤーの目的であるミルラの雫は基本的にダンジョンの最深部に行かないと獲得できない為、ダンジョンの探索が必須となる。 --ダンジョンは基本的に一本道。道中にある仕掛けを解きつつ攻略していく事になる。 --最後のエリアにはボスモンスターが待ち構えており、これを倒せば雫が手に入ってクリアとなる。3か所のダンジョンをクリアするとケージに雫がいっぱいになり、一年が終了する。 ---一度ミルラの雫を取ったダンジョンからは、2年間雫が取れなくなる。ただしダンジョンの攻略自体は可能なので、アーティファクト集めや素材収集に励むのも良い。 --2年経過して雫が得られるようになるとダンジョンの難易度が上がる((「ヴェオ・ル水門」のみ例外で、特定イベント発生とその解決によって難易度が上昇する。))。最大2段階まで上昇し、新たな敵が出現・敵の能力が上がる・出現数が増える・ボスの攻撃パターンが増えるなど、ダンジョンの難易度が上がると同時に手に入るアイテムやアーティファクトも豪華になる。 -魔法を使うにはダンジョン内で「魔石」を拾う必要がある。 --魔石はそのダンジョン内でのみ有効。最初から魔法を使う事もできない訳ではないが、その為にはあるアーティファクト(後述)を入手する必要がある。 ---また、マルチプレイ時はマジックパイル((魔法同士、若しくは魔法と必殺技のターゲットリングを重ね合わせて、タイミングよく発動させるテクニック))によって強力な合体魔法や魔法剣が使用できる。合体魔法を使わなければ有効打を与えられないモンスターも存在している為、マルチプレイを遊ぶのであればマジックパイルはマスターした方がよいだろう。 --魔法の使用は、発動までに詠唱時間…要は溜め時間がかかる点を除けばノーコスト。魔石さえ拾えばそのダンジョン内では使い放題となる。 -成長は経験値ではなく、ダンジョン攻略後に「アーティファクト」を入手する事で行われる。 --アーティファクトは道中で拾った物と、クリア時に手に入る物から一つ選ぶ。 ---クリア時に手に入るものは、課題の評価が高いほどいいものが出やすくなる。 --アーティファクトには「こうげき」・「ぼうぎょ」・「まほう」といった基本能力を増やすもの、ハート(HP)やコマンドリストなど装備では賄えない要素を増やすもの、常時魔法が使えるようになるものといったバリエーションがある。 ---ただし、一度取得したアーティファクトは再入手できない。そのため、粗方集めきるとクリア時に入手できるアーティファクトが一つも無いという事態も頻繁に発生する。 --マルチプレイ時はプレイヤー毎に与えられた課題(ダメージを受けない、物をたくさん拾うetc)をこなす事でポイントが溜まり、ボス撃破後のリザルトで発表される獲得ポイント数が最も高いプレイヤーから順にアーティファクトを選べる。 --独特な成長システムであったが、続編には引き継がれなかった。 ''シングルモードについて'' -本作はマルチプレイを推奨しているが、一人でもプレイは可能である。マルチプレイとは異なる点が多いが、一応シングルプレイにもある程度までは配慮されている。このシングルプレイについての問題点は後述する。 --マルチプレイでは誰かがケージを運ぶ必要があるのだが、シングルプレイだとケージを運ぶ専用のNPCとしてモグが付いてきてくれる。 ---また、モグは一定条件を満たすと魔法で援護してくれる。魔法剣や合体魔法に活用できる。 --マルチプレイでの合体魔法は複数人でマジックパイルする必要があるが、シングルプレイでは必要な魔石さえ揃っていれば詠唱時間こそかかるものの一人で発動できる。 ---タイミングを合わせる必要がないので、合体魔法の詠唱に関してはマルチプレイよりも楽。発動にコツがいるヘイストやストップでも簡単に使える。ただしその分詠唱時間は長くなる。 ---ただし、アレイズやスロウガなど一部の合体魔法は使えない。 --上述したように、マルチプレイではメニュー画面を開いている間もゲームは進行するが、シングルプレイだとメニュー画面を開いている間、ゲームはポーズ中と同様の状態となる。 --プレイヤー一人であることに配慮してか、敵の能力や出現数がマルチプレイに比べ少し易しくなっている。 ---敵の能力の上昇幅は2.5倍までに抑えられており、ちゃんとキャラを強化していれば決して理不尽な難易度ではない。 ---ちなみに、マルチプレイでは人数にもよるが敵の能力は最大で約4.5倍にまで跳ね上がる。 ---- **評価点 -''美しいグラフィック'' --『FF』メインシリーズと違ってプリレンダリングムービーは無いが、光の屈折やクリスタルケージの範囲を瘴気が避けていく様など当時の極限まで表現されたグラフィックは今見ても美しい。オープニングムービーは演出も含めて出色の完成度と評してもいいだろう。 --モグのフワフワした毛は非常に細かく描かれているだけでなく、特定の場所でカラーリングやカットが可能。プレイしている内に段々と色は落ち、毛は伸びて元に戻っていくなどかなり芸が細かい。 -''今なお根強い支持を得ている世界観、設定、キャラクター'' --本作の目的は、人体に悪影響がある瘴気を僅かながら払えるクリスタルを一年に一度清める為、ミルラの樹から採取できる雫を一年に三滴集める事。この設定ゆえに、基本的には何十年でも旅が可能。 ---最後のダンジョンでは「ミルラの樹の雫は忘れられた思い出によって生まれる」といった世界の構造の真実を知る事ができ、そのダンジョンのボスを倒す事でエンディングを迎える事となる。 --作風は絵本や児童文学的であり、街や住む人々は素朴で優しい空気を持っている。 --ダンジョンも、開始時に語られる掌編の語りが本作の雰囲気を魅力的な物にしている。テンポを重視するユーザー向けに語りのスキップも可能。 --アートワークの方向性や霧のように世界を覆う瘴気など、漂う雰囲気は全体的に『[[FFIX>ファイナルファンタジーIX]]』の影響が強くスタッフの重複も多い。とあるキャラのゲスト出演もある。 ---ただし世界背景は『IX』とは違って退廃的であり、後味の悪いシナリオも複数見られる((特に「ティダの村」に残されたボロボロの手紙、セルキーの青年が「コナル・クルハ湿原」に研究に行くイベント、そしてとあるNPCの最期は暗い内容のイベントとしてよく挙げられる。))。 --イベントやダンジョンクリア後は「日記」に出来事や主人公の心情などが記載されていく。暗いイベントの後には切ない余韻を、愉快なイベントの後には思い出して笑えるような内容が書かれてある。 -''アクション等のシステム面における完成度'' --本作の肝ともいえるマジックパイルは、シンプルながらも本作にマッチした物である。 --操作性やゲームバランスにおいても、これといった不備は見当たらない。 --ラスボス戦では日記に記載された内容の数だけ救済措置を得られるなど、非アクションのシステムも本作の設定に合わせて意外な形で役立つ事がある。 -''世界観を彩る音楽'' --谷岡久美が手掛け、楽団ロバハウスが奏でるケルト調楽曲の数々は本作の世界観と相まって高い評価を得ている。 --Yaeの唄う「カゼノネ」や「星月夜」も本作とマッチしている。ダンジョン開始時の語りも担当している。 ---- **賛否両論点 -''とにかく薄味の本編ストーリー'' --元々オンライン仕様の予定だった為か、ストーリーは淡白で操作キャラも無個性。そうしたストーリー要素を求める『FF』ファンには勧められない。 ---ただ、イベントの内容自体は悪いものではない。日記やサブイベントなどテキスト自体も多く用意されている。 ---前述通りシステムの出来は良好であり、明確なストーリー性を重視しないユーザーにはさほど気にならない要素ではある。 -''ケージと瘴気の仕様による移動の制約'' --瘴気から守ってくれるケージの範囲がやや狭いため、~ガ系の魔法などの広範囲の攻撃を避ける際、ケージの範囲から出ざるを得ない事もある。 --リルティ以外がケージを運ぶ場合は移動速度が遅くなる為、そのキャラに合わせて移動を合わせなければならない。また、運ぶキャラは攻撃や防御のアクションが行なえず、アイテムも拾えないため色々と損な役回りである。 --特に瘴気ストリームを通過する時は全員が歩行速度を合わせ、少しでもケージの範囲から出れば押し戻される為、結構神経を使う場となる。 ---この制約によって団体行動や立ち回りなど考えながら戦闘する必要がある為、そこを面白味と受け取るか窮屈と受け取るかで賛否が分かれる。 --シングルプレイ時にケージを運び役として同行してくれるモグは、こちらの操作に合わせて付いてきてくれる。 ---そう聞くと瘴気を気にしなくて楽そうに思えそうだが、「疲れたクポ」といって移動速度が低下する場面がある。当然その状態で進めばモグは遅れてしまい、操作キャラがケージの範囲から出て瘴気の中に入ってしまう為、必要に応じてXボタンでケージを降ろしたり、その場に留まったりしてモグを休憩させる必要がある。 ---「キランダ火山」等の暑いダンジョンではすぐに疲れるなど、妙な作り込みも見られる。単なるケージ運びのNPCではなく共に旅する相棒としての個性付けなのだろうが、人によっては煩わしさもあるかもしれない。 ---立ち回りに慣れている事が前提ではあるが、戦闘中はケージを降ろして魔法で援護してもらうなどすれば比較的スムーズに進められるだろう。 -''一部のアーティファクトがやたら出にくい'' --全てのダンジョンに''3周目で与えられた課題について高得点を出した場合、4分の1の確率で出現する''アーティファクト(以下、レアアーティファクトと記述)がある。この説明で大体察していただけるとは思うが、レアアーティファクトの入手は困難を極める。 ---与えられる課題については「ダメージを与える」「魔法で敵を倒す」といったオーソドックスなものから、「魔法攻撃に耐える」「たたかうで敵を倒さない」といったプレイングに工夫が必要で達成が難しいものもある。ダンジョンに出入りすれば課題が変わるので、最も簡単であろう「ダメージを与える」が出るまで出入りを繰り返すのもひとつの手。 ---課題が達成されたかどうかはそのダンジョンのボスを倒すまでわからない。苦労してクリアしても得点が足らずにレアアーティファクトが出なかったということも多い。更に課題を見事達成できた場合でも、4分の1という確率の抽選を引き当てなければレアアーティファクトは出て来ない。 --特に「レイズリング」は「コナル・クルハ湿原」という本作でも最難関((狭い道に大量のモンスターが出現する為、ソロでは立ち回りが難しく、マルチでは乱戦になりがち。ダンジョン自体も長丁場であり、攻略には数十分かかる。))とも評されるダンジョンで出現するレアアーティファクトの為、入手を狙う多くのやり込み派プレイヤーに絶望を味わわせたという…。 ---いわば「やり込み要素」ではあるが、「理不尽な要素」とも見えてしまうところでもある。 ---- **問題点 -''シングル及び2人プレイで遊ぶには少々厳しいものがある'' --中盤以降、複数のモンスターと同時に戦うことが多くなるのだが、一度ダメージを受けると他のモンスターからの攻撃を立て続けに受けてしまいがち。 --必殺技や魔法で大き目の攻撃を与えようとしても発動までの間は無防備なので、シングルだと隙を見つけるまで回避一辺倒のプレイを強いられるケースが非常に多い。 ---HP自動回復効果を持つアクセサリー「いやしのはちまき」又は「ひすいのうでわ」さえ入手できれば、人によっては温いと感じられるレベルまで楽にはなるが、果たして救済措置と呼んでいいものかどうか。 --「プレイヤーが一人の為、出現する全ての敵から集中砲火を浴びる」という点は確かに厳しいが、ゲームバランスが崩壊しているという訳ではなく、最低限の配慮はなされている。 ---敵の攻撃待機時間なども細かく設計されており、立ち回りさえ守れば「敵に攻撃してる時、別の敵からの攻撃で中断される」という事も無い。装備を整えてアーティファクトもしっかり集めていれば、複数の敵が出てきても十分対処は可能ではある。 --ただしマルチプレイでも、2人プレイの場合は別。ケージ運びの移動速度の問題や難易度が上昇するのはマルチプレイ共通ではあるが、2人プレイでは一人がメニューを開く時などはもう一人が相方やケージをはじめ画面全体に気を配る必要が出てくる。目玉のマジックパイルも無防備になるのはシングル同様な上に、敵側からの妨害を防げないためむしろ発動がより困難になる…などとシングルプレイ以上に苦戦を強いられる場面もある。 ---シングル・2人プレイ共に第3のフォロー役がいない点は変わらないため、実質的に「本作のマルチプレイの良さ」は3~4人プレイでないと生まれてこない。 -''マルチプレイに人数分のGBAとGBAケーブルが必須'' --これによりプレイ環境の敷居が非常に高いものとなってしまっており、本作一番の難点として挙げられる事も多い。マルチプレイでその楽しさを最大限味わえる筈のゲームなのに、そのマルチプレイを遊ぶのが物理的な意味で難しいというのはある意味本末転倒であろう。 --本作のダンジョンは全体的にマップが広いのだが、地図はGBA無しだと表示されない。シングルプレイではGCのコントローラーで遊べるのだが、地図を見れないという仕様が原因で結局GBAを頼ってしまう事が多い。 ---特に「ライナリー砂漠」というダンジョンは起伏も景観も変化の無い砂の平地が続く上、ライナリー砂漠のクリアには無関係ではあるものの途中には「ラストダンジョンへ向かう為に必須の謎解き」も存在している。地図無しだと不必要にだだっ広いマップを徘徊する破目になる。 -''サブキャラの育成、およびサブキャラを使用しての攻略が困難を極める'' --ダンジョンの難度の上がり方が''キャラの強さに関わらず一定。'' ---この為最初に育てたキャラでクリアした後、それ程育てていない別のキャラで同じダンジョンに行くと、その別のキャラで「最初のキャラがクリアした難易度のダンジョン」に挑む破目になる。 ---ミルラの雫がまだ取れないダンジョンを利用すれば、時間を進める事無く強化できる。とはいえこの方法もかなりの手間が掛かり、正直面倒くさい。 --街道イベントやダンジョンクリアなどによって思い出の数が増えるのは、操作しているキャラのみ。操作していないサブキャラの思い出は一切増えない。 ---ラスボス戦で敗北した場合、思い出の数が10未満だとコンティニュー不可の強制ゲームオーバーとなるので、エンディングを目指すのであればできるだけ多くの思い出を集めておきたいのだが、この仕様によりサブキャラを使ってエンディングを迎えるには相当な手間が掛かる。しかもラスボス戦前に発生する質問イベントで選択肢を間違うと思い出が1つ減るという追い討ちまで存在している。 --こうした仕様や、後述するアイテム受け渡しの制限などもあって、サブキャラを使用してのプレイは困難を極める。大抵のプレイヤーはキャラ作成・育成を一人に絞りがちになってしまうだろう。しかしサブキャラ育成はともかく、サブキャラ作成を怠るとプレイヤーの村で使える施設が増えないというデメリットがある。 ---「きゅうきょくぶき」のレシピはプレイヤーの村に錬金術師の家族が居ないと入手できず、材料として商人の家族からしか購入できないアイテムが必須、しかも材料を揃えてもプレイヤーの村の鍛冶屋でなければ制作不可…と、入手したければ最低でも3キャラ分を作成する必要に迫られる。ユークをメインキャラとして使用している場合「きゅうきょくぶき」レシピで作れる武器が事実上の最強装備となる為、この問題は避けて通れない。 ---敵の攻撃でのけぞりにくくなる強力なアクセサリー「フォースリング」の場合は、同様に錬金術師・商人・裁縫屋の3キャラ分を作成するのが必須となる。此方はユーク以外の3種族においても代替手段が存在しない。 ---少し工夫すればサブキャラを全く育成しなくてもこれらアイテムを入手する事が可能ではあるが、エース1人にその他大勢のひよっ子という構成はキャラバンとしてどうなのだろうか。 -''アイテムに関する問題点'' --マルチプレイ前提故か、アイテムストックがドラクエのような個別式。しかも売るに売れない装備用の素材や属性耐性用の装備((耐性に段階があり、中盤以降は一定値以上耐性がないと状態異常を防げないことも多くなる))などで枠が埋まる為、すぐにアイテム欄が一杯になってしまう。 //--倉庫番として別キャラを作る事が推奨されるほど。 //---その場合でもシングルモードでは別キャラにアイテムを渡せないのでマルチプレイ用の環境が必要。 ---これに加え、''装備品は一度作成すると売却不可能。その上、他のキャラに渡す事もできない''。装備備品はレシピの段階で受け渡しをしなければならず、不要になったら壊す(=捨てる)しかない。 --イベントでのみ貰えるアイテムもある。性能面において役立つ訳ではないのだが、捨ててしまえば二度と手に入らないというコレクター泣かせの仕様。   //-キャラクターボイスがない //--ゲームキューブのメディアがPS2とおなじ容量を持つ光ディスクなのに『[[ファイナルファンタジーX]]』で採用されたキャラクターボイスが本作では採用されていない。 //GCの8cmディスク(1.5GB)はPS2の12cmDVD(4.7GB)と比較するとサイズや圧縮形式の違いにより格段に容量は少なく、同列には語れません。 -''条件次第では遊べないミニゲームの存在'' --特定の種族を操作キャラにしている時のみプレイ可能な隠しミニゲームが存在しており、他種族を操作している状態では遊ぶ事ができない。 ---この隠しミニゲームで最高ランクの成績を達成した際の景品である「オリハルコン」には別の入手手段が存在する。他の景品もそこまで豪華という訳ではなく、あくまでお遊び要素の範疇に収まってはいる。 ---- **総評 幻想的で優しく懐かしさのある情景と、その中に秘められた暗くやるせない気持ちにさせる話など、本作の世界観に魅せられたプレイヤーは多い。~ 肝であるマルチプレイの楽しさは十分評価されるものであり、一方のシングルプレイも制約こそあるものの決して遊べないという訳ではなく、十分楽しめる出来栄えである。~ ケージや課題、マジックパイルなど制限のあるシステムは好みが分かれるが、プレイヤー同士の協力によってこうしたギミックを乗り越える達成感は他では得がたいものがあるだろう。~ それらの利点や反省点を踏まえ、以降の続編作品では本作の問題点の多くが解消され、良作シリーズとして成長した。~ ---- **余談 -合併前のスクウェアにおいて、最後に社長を務めた和田洋一氏は、本作を「[[スクウェアが任天堂と取引再開した記念碑的タイトル>https://note.com/waday/n/n27fb1b6a2838]]」だと語っている。 --長くなるので割愛するが、当時のスクウェアが任天堂三代目社長・山内溥氏に新作FFをソニーハードで出すことを相談したところ、「機種選択という意味では仕方ない」と快く受け入れる返事が返ってきた。しかし後に社員や傘下のデジキューブがN64をこき下ろす発言をしたため、両社の関係が悪化(大きいのは後者)したという。 ---後に和田氏が奮起して関係修復に動き、山内氏と対面して交渉、現在に至るという。山内氏退任後に関係回復というのはデマで、実際はゲームキューブで出す計画が進んだ際、[[山内氏から直々に「これまでにない新しいFFを出せないか」>https://www.nintendo.co.jp/wii/interview/rfcj/vol1/index3.html]]という注文を受けたという。 ---- *ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター 【ふぁいなるふぁんたじー・くりすたるくろにくる りますたー】 |ジャンル|アクションRPG|CENTER:&amazon(B07WVXY35V)&amazon(B07WNTY2R2)| |対応機種|Nintendo Switch&br;プレイステーション4&br;iOS&br;Android|~| |発売元|スクウェア・エニックス|~| |開発元|ゲームデザイナーズ・スタジオ&br;スクウェア・エニックス|~| |発売日|2020年8月27日|~| |定価|【Switch/PS4】4,800円(税別)&br;【iOS/Android】2,820円(税込)|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |プレイ人数|1人(マルチプレイ時最大4人)|~| |判定|なし|~| |ポイント|クロスプラットフォーム対応&br;新ダンジョンなど追加要素あり&br;オフラインマルチは廃止|~| ---- **概要(リマスター) 2003年に発売された、初代『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』(以下、原作)のHDリマスター版。~ 2018年にリマスターが発表され、2年後の2020年8月27日に発売された。~ 基本的には原作をベースとしつつ、新規ダンジョン等の追加要素やUIの見直しなどの変更が施されている。~ マルチプレイが本シリーズのポイントの1つだが、本作ではクロスプラットフォームによるオンラインマルチに対応している。~ ただし、原作にあったオフラインマルチは廃止されてしまっている。 ---- **変更点(リマスター) -新規ダンジョンの追加 --新規ダンジョンとして、本編クリア後に挑める高難易度ダンジョンが追加されている。 --高難易度ダンジョンの内容はというと、最終ダンジョンを除く13種類のダンジョンの高難易度版。 ---基本的な構造は通常のダンジョンとほぼ同じだが、雰囲気やモンスターの配置等は一新されている。クリア後前提である為当然難易度はかなり高く、ダンジョンによってはクリア後すぐに挑むと為す術もなく戦闘不能に追いやられる。 ---高難易度ダンジョンにおいては、原作での最強装備を超える性能を持つ装備品のレシピや材料も追加されている。 -ボイス等の追加 --PCのパターンは原作より各種族各性別毎に1パターンずつ、計8パターン増えている。 --また、PCのキャラボイスを4種類(各種族各性別毎に用意されている。全部で24種類)から選択できるようになっている。 --その他主要キャラにもボイスが収録されている。 -ものまねシステム --PCの見た目やボイスを主要キャラのものに変更して遊べるシステム。 --モグスタンプの景品として貰えるものや、新規ダンジョンのクリア報酬として貰えるものもある。 --種族と性別が一致してないとものまねできないので注意。 --一部だが、DLCとして販売されているものまねもある。此方はシリーズ別作品の主要キャラに見た目を変更可能。 -クロスプラットフォームによるオンラインマルチに対応 --原作ではGBAを繋いだローカルマルチしかできなかったが、本作ではオンラインマルチに対応している。 ---クロスプラットフォームであるため、ハードを跨ぐマルチプレイも可能となっている。 --逆に、オフラインによるローカルマルチは廃止された。本リマスターにおいて唯一といってもいいデグレードともいえる。 -その他の変更点 --ミニマップが常に表示されるようになった。 --アイテムの所持数上限が大幅に増えた。 --ティパの村に倉庫が追加され、アイテムの受け渡しが可能になった。 --マジックパイルの際に、タイミングを示すリングが表示されるようになった。 --日記からイベントを回想できるようになった。 --ボーナス条件から、いわゆる減算方式のボーナス条件が削除された。 --オートセーブが実装された。マップ移動時等に自動的にセーブがされる。 ---- **評価点(リマスター) -''オンラインマルチに対応した'' --原作ではローカル限定かつ、人数分のGBA本体とケーブルがなければマルチプレイを遊べなかったが、本作ではオンラインでマルチプレイできるようになった為、マルチプレイを遊ぶ上でのハードルが大幅に低くなった。 ---クロスプラットフォームなので、友人と同じハードを持っていなくとも問題ない。またセーブデータの移行も可能なので、ハードを乗り換えた際にも安心して続きからプレイできる。 --マルチプレイでは定型文として、メッセージ送信も可能である。送れるメッセージは定型文となっており、メッセージによる煽り行為などは生じにくい。 --細かい点であるがオンラインによる募集の際にはダンジョンに到達可能であれば、そのダンジョンに実際に行かなくとも募集がかけられるのもメリットといえるかもしれない。 ---具体的には、現在のクリスタルケージの属性で通過可能な瘴気ストリームや、船による移動などで到達可能なダンジョンについては全てその場で募集をかけられる為、属性次第ではティパの村にいながらにしてライナリー砂漠やレベナ・テ・ラなどの遠方のダンジョンの募集をかけられる。船による移動が必要な場合も運賃支払いは不要なので、少額ではあるがギルの節約にもなる。 --オンラインマルチに対応したという事自体は間違いなく評価点といっていいのだが、オンラインマルチに関する無視出来ない問題も存在する。この点については後述する。 -''新規ダンジョンが追加された'' --クリア後に挑める新規ダンジョンが追加され、やりこみ要素が増えた。 ---新規ダンジョンでは敵のステータスがかなり高いだけでなく、原作ではそこまで重視されなかった耐性が重要になる場面が多くなる為、様々な装備品を駆使しなければならない。 ---原作では最終的にはやりこみの範疇といってよかったアーティファクト集めもしっかりしておかないと太刀打ち不可能と言って差し支えなく、結果としてアーティファクトをしっかり集める意義にも繋がっている。 --もちろん、新規ダンジョンもマルチプレイ可能であるが、曜日によってメンバー募集可能なダンジョンが限られているという変わった仕様がある。シングルプレイでは曜日によって挑めるダンジョンに制限がある訳でもないため少し変わった仕様といえよう。 ---もっとも、募集できる曜日は比較的多めであり、土日には全てのダンジョンの募集がかけられるため、制限が強すぎるというほどではない。 -''遊びやすくなった変更点'' --アイテムの所持数上限が大幅に増えた為、アイテム収集が格段にやりやすくなった。 ---耐性値なども意識すると装備品だけでもかなりの数になる上、レシピや素材などを持つとすぐにアイテム欄が一杯になっていたため、この改善は非常にありがたい。 --倉庫を介して装備品の受け渡しが可能となった。 ---メインキャラからサブキャラに装備品を含むアイテムを受け渡せるようになった。これにより、不要となった装備品をサブキャラにあげたり、育成時のみ武器などを渡すといった事が可能となった。 ---前作でもアイテムの受け渡しは(ローカルマルチを遊べるのであれば)可能だったが、装備品についてはどうしても渡せなかった。 --減算方式のボーナス条件は出現したら変更推奨とまで言われていた。削除されたのは至極当然の結果とはいえ、明確な改善といえる。 --キャラボイスの追加は雰囲気作りに一役買っているといえよう。ボイス不要派の為に、オプションからボイスをオフにする事も可能となっている。 ---- **賛否両論点(リマスター) -''微妙に違和感のあるUIや操作感'' --おそらくiOS/Android側との兼ね合いであると思われるが、PS4でのプレイではUIの各所において違和感を覚えたり、操作しにくかったりする部分がある。 ---特に指摘されがちなのが「連続攻撃を出し辛い」という点。闇雲に連打するだけでは入力を受け付けてもらえず、タイミング良くボタンを押す必要がある。しかしこのタイミングの判定がかなりシビアなのか、どれだけ練習しても連続攻撃が途切れてしまうという嘆きの声が複数確認されている。 ---但しこれは本作だけではなく、携帯機と同時発売しているリマスター作品の多くに該当する事ではある。 -''オートセーブの実装'' --オートセーブが実装され、マップ移動時に自動でセーブされるようになった。これにより不測の事態が起きた場合でも被害が最小限に抑えられるようになった。 ---なお、ズルい使い方として、ボスを倒した際の報酬にお目当てのアーティファクトがなかった際にリセットすることでボス戦からやり直すことで短時間でレアなアーティファクトを入手することも可能だが利用は自己責任で。 --便利な機能だが、''マップ移動の際に必ず行われる''ため、ボスが強力過ぎて勝てる見込みがないような状況で敗れてもコンティニュー時にボス戦から再開するという状況に陥ってしまうケースもある。 ---2020年12月のアップデートで改善されるまではボス戦から離脱してワールドマップに戻る手段がなかったため、この状況になるとなんとかしてボスを倒すか、オートセーブを諦めるかのどちらかしかやりようがなくなってしまう。 ---原作同様しっかりと手動セーブを行っていればいいが、オートセーブに頼り切ってしまい普段セーブをしていないと長時間のプレイが水の泡となってしまうこともありえる。 ---特に終盤ダンジョンでは「ホーリー」がなければろくにダメージが与えられないボスが数体いるため、「レイズ」を持たずにシングルプレイでボス戦に突入してしまうと大苦戦必至である。全くダメージが与えられないわけではないため完全に詰んでしまうわけではないがダンジョン攻略を超えるほどの長期戦は免れない。 --この点について、全滅した際にワールドマップに戻れる選択肢が出るようになったため、一応は改善されたといっていいだろう。 -''課金によって入手可能な武器の存在'' --本作はDLCとして有料で購入可能な武器が各種族2種類ずつ、合計8種類存在するのだが、その威力はリルティのものは''原作の最強武器と同等''、他の3種族のものは原作''最強武器を&color(red){大きく上回る}超高性能''なものになっている。 ---このDLC武器をゲーム開始直後に入手した場合、原作最強クラスの武器が最初から使えることになるため、序盤から中盤にかけてのゲームバランスはほぼ完全に崩壊する。~ 一応、必殺技については性能面で言えばそこそこといったところでバランス調整がされているといっていいため、最後まで使い続けられるか、というと微妙なところではあるがいずれにしても終盤まで普通に使っていける武器であることには違いない。 --有料DLCなので買うかどうかはプレイヤーの自由ではあるが、本作ではオンラインマルチが可能であるため、一緒にプレイする相手がDLC武器を持っていると序盤ダンジョンのボスを秒殺して場の空気がしらけてしまうことも珍しくない。 ---終盤になるとキャラクターも十分育てていなければ苦戦必至のバランスとなっており、DLC武器があるからずっと無双出来るというわけではなく、必殺技がより強い武器ももちろん存在するため、原作最強武器を入手する必要性がないわけではない。 ---もちろん、新規ダンジョンで追加された武器は原作最強武器より更に強力であるため、あくまでDLC武器が強いといえるのは序盤から中盤、よく見ても終盤にさしかかるまでということになる。 --ただ、DLCで入手できる武器が序盤にしてはあまりにも強すぎるため、発売当初は「有料DLCを買わなければ最強武器が手に入らない」という誤解が広まることとなった。 ---実際のところ、序盤が多少楽になる程度の性能のアイテムが有料DLCで選ばれることは少なくないが、明らかに序盤のゲームバランスを吹っ飛ばす性能の装備品が出てくることは稀有といえよう。原作経験プレイヤーが本編を楽にクリアできるようにするために用意したという好意的な見方も出来なくはないが、この判断については賛否が大きく分かれたと言えようか。 -''リマスターでの追加要素に対する賛否両論'' --満を持して追加された高難易度ダンジョンだが「調整不足」と思われる点も少なくない。 --追加ダンジョンの雑魚敵は魔石、食べ物、フェニックスの尾のいずれかを落とすことが多く、新規装備の材料となるレア素材はごく一部の雑魚敵しか落とさないため、高難易度ダンジョンでは敵を倒すメリットはあまりないといってしまっていい。 ---一方で敵を倒さないと先へ進めないといったギミック対象となっているケースは少なからずあるため、結局敵を倒さざるを得ないという事態に陥りがち。本作では敵を倒すことによってレベルアップするといったことはないため、レア素材を落とさない相手との戦闘はストレスフルとなってしまいがち。 --新規ダンジョンのボスは新防具の素材を落とすのだが、''そのボス''に対して有用性の高い耐性装備の素材となっていることが多いため、「このダンジョンを攻略するための素材を集めるのにこのダンジョンを攻略しなければならない」という本末転倒な事態になっている。 ---特に新規ダンジョンでは原作ダンジョンと異なり耐性の重要度が高いだけにこの仕様が気になるところである((某ハンティングアクションゲームにおいても、ボスを倒すことで作れる装備品がそのボスに有効というケースはあるが、他のボスにも有効なケースも多い(そもそもボスの数が段違いに多い)ため、せめてこのように有用性が高い仕様なら良かったと思われるが))。 --敵の数も尋常でないほど多く、敵から攻撃を受けたときの「のけぞり」を無効化できるアクセサリー「フォースリング」がないとそもそも話にならないケースも多い。 ---逆に、耐性装備がないと生き残れない場面では、耐性装備をガン積みしてのけぞらないようにしながら攻略を余儀なくされる。 --とある2種類のダンジョン以外は全く同じドロップテーブルとなっているため、課題達成のボーナスなどの重要性がそれ程高くない。手抜きなのか、やりやすい場所でやればいいという運営の慈悲なのか。 --新規ダンジョンの攻略報酬の中にはマジックパイルなしで特定の合体魔法を使用できるアーティファクトが追加されたが、強力過ぎるため、賛否が分かれる。 ---もっとも、本編ダンジョンで言えば明らかに強力なのだが、新規ダンジョンでは合体魔法を正確に使うことすら難しいほど攻撃が苛烈なので、新規ダンジョンにおいては使用することがある意味前提となっている節はある。 ---困難な新規ダンジョンをクリアしたご褒美なのだから通常ダンジョンで使うのも自由という意見や、そもそもオンラインマルチとなったことで合体魔法を使うことも難しくなったためやむを得ないという意見もあるが、当然皆で強力して強力な魔法を放つというコンセプトは完全に崩壊してしまうため、(本編ダンジョンで)合体魔法を利用できるアーティファクトを嫌う者もいる。 ---- **問題点(リマスター) -''変更点にない原作の問題点は概ねそのまま'' --一部アイテムの入手にサブキャラが必要なのはそのままであるが、原作同様ダンジョンの難易度はキャラの強さと無関係であるためサブキャラの成長が難しいのは変わらず。 ---低難易度のダンジョンかつスコアが低い方が出やすいアーティファクトもある為、低難易度のダンジョンの募集に該当アーティファクトを集め損ねた上級者が乱入してボスまでクリスタルケージを持って行き他のメンバーを置いていったり、高難易度ダンジョンで作れる最強武器や追加アーティファクトで「ホーリー」「グラビデ」「メテオ」を使って無双するという問題があった。 --シングルプレイ時にモグが「疲れたクポ」といって移動速度が低下するのも変わっていない。しかもこのモグの台詞にもボイスが追加されたので、ボイスをONにしているとダンジョン攻略中は「クリスタルケージはモグに任せるクポ」「疲れたクポ」というボイスを繰り返し聞かされる破目になる。 //---あまりにうるさい為か、プレイヤー間のコミュニティでは「ファイガで燃やしたい」「トンベリにケージ持たせる方がまだマシ」「DLCでモグをアルテミシオン((NPCとして登場する、モグとは別個体のモーグリ。))に変更できるなら躊躇せず買う」とまで言われ、蛇蝎の如く嫌われてしまっている。 ---あまりの頻度でボイスが流れる所為で、原作よりもモグの印象が悪くなっている点は否定できない。「原作と比べてモグが疲れやすくなっているのでは?」といった推測の声も上がっている。~ モグのボイスそのものや、声優の演技に問題はないのだが…。 //モグがGC版より地形に引っかかりやすいとか、逆走する事があるとかも言われているけど… -''更に広がった種族間格差'' --原作の時点で終盤魔法が重要になることからユークが強力とされており、魔法が苦手なリルティやセルキーは終盤は厳しいバランスとなっていたが、新規ダンジョンの追加でその格差は更に広がってしまった。 ---そもそも追加ダンジョンの一部では魔法偏重主義が更に加速しており、魔法が苦手なリルティやセルキーだとかなり厳しい。 ---逆に、リルティが特異とする物理攻撃が有効に働くダンジョンは''一切存在しない''。原作の時点で魔法が重要視されるバランスのせいでリルティやセルキーは上級者向けとされていたのに結果的に差を是正するのではなく拡大する方向に舵を切ってしまったことになる。 ---クラヴァットは高水準の性能でまとまっておりユークほどではないが使い勝手は良くシングルプレイでも十分耐えられるが、リルティやセルキーは見た目以外では選ぶ価値がないと言われるほどの惨状である。 --新規ダンジョンで追加された装備品についても、ユークの追加武器は、必殺技で各種魔法を放てるようになるという物。特にマジックパイル無しでサンダガを発動できる「イビルケラウノス」と、同じくブリザガを発動できる「フロストマギア」は魔法の追加効果もあって極めて強力なのに対し、クラヴァットやリルティの必殺技は既存の必殺技「暗黒剣」「メッタ斬り」よりも弱い必殺技から名前を変えただけの流用。原作最強クラスの性能を有する技であるため、強い技を用意するのが難しかったのかもしれないが、特にリルティについては強力な技を宛がってもよかったのではないかと思われる。 ---セルキーについては必殺技でヘイスガやクリアガを発動出来るため、サポートとしては打ってつけとなっているが、攻撃を特異とする種族なのにサポーターという特徴が迷走している感は否めない。もっとも、ユークも必殺技で魔法を打っているので既に特徴は迷子といえるかもしれないが。 //武器に関しては種族間格差につながっていると思われる為問題点に移行 --特にリルティについては''アップデートでテコ入れがされた''にもかかわらず、なお弱い。 #region(アップデート前のリルティの惨状) -魔法が苦手な代わりに武器攻撃に秀でている、という特徴を有するリルティ族だが、アプデ前の追加武器を含めた最強武器の攻撃力の数値は他種族に大きく劣っていた。他種族の最強武器は攻撃力56~57なのに対し、リルティのみ追加武器を含めて一律攻撃力40止まりであったのだ。 --各地の攻略サイトにおいて、リルティの最強装備として評価される武器は原作での最強装備ほぼそのままであり、新規武器はほとんど評価されていなかった。他3種族とは異なり、リルティだけリマスターの追加要素無しで高難易度ダンジョンに挑まされているような状態だったのである。 --モーションや必殺技を意識した結果の調整とは思われるが、あまりに数値上の差がある上に、高難易度ダンジョンでは敵の数が多すぎるが故に必殺技を溜める余裕もあまりないので、数値が劣るだけでも単純に欠点となりやすい。 ---必殺技の威力だけならリルティ専用アクセサリー「ドラゴンハート」によって+3(ステータス攻撃力上昇値は+15)できる為、ある程度までなら補う事が可能ではある。しかし後半のダンジョンや高難易度ダンジョンでは該当する耐性装備で埋めなければソロで攻略することは不可能なレベルになっているため、装備で欠点を補う余裕が無いので救済措置とは言い難い。 ---しかもユークには魔法のダメージが+15(ステータス魔法攻撃力上昇値+75)される専用アクセサリー「ワイズマンソウル」が追加されており、火力格差が余計に広がってしまっていた。 -2020年12月のアップデートで、追加武器であった「レーヴァテイン」の攻撃力が60に強化され、また「デイブレイク」の必殺技威力が上方修正された。 --とりあえず、数値上では不遇の救済がなされた形になってはいる。魔法必須・物理攻撃不遇という根本的な問題はそのままなのでリルティ不遇は変わっていないが。 #endregion -''マルチプレイに関する問題点'' --本作のオンラインマルチでは、ダンジョンクリア時にゲームが進行するのはホストのみというとんでもない仕様がある。 ---具体的には、ダンジョンをクリアしてミルラの雫を獲得できるのはホストのみであり、その際に手紙が届くのもホストのみなので、クリア後はホストが手紙を読み終えるまでゲストは単に待ちぼうけを食らうことになる。 ---ゲストは報酬を含めたアイテムこそ獲得出来るが、たとえそのダンジョンでミルラの雫を獲得できる状況であっても雫は手に入らない。仮にフレンドと同じダンジョンを同時進行でプレイしようとした場合、同じダンジョンを二回以上クリアしなければならないことになる。 ---当然同じ年にミルラの雫を獲得するのが3回目であった場合、そのプレイヤーのみが次の年に移行するため、イベントも待たなければならないことになる。 --オンラインマルチであるため、各プレイヤーが自身のセーブデータのキャラクターを用いることになるため、原作以上にサブキャラの育成は難しくなっている。 ---他のプレイヤーの進行が遅い場合などオンラインマルチで難易度が低いダンジョンに同行すればサブキャラの育成もできるが、少なくともフレンドと一緒にプレイしているという状況であればお互いサブキャラの育成は困難だろう。 --とはいえ、それに輪を掛けた問題点といえるのがオンラインマルチが&color(red){本作の世界観や設定と乖離したシステムとなってしまった点}であろう。 ---そもそも論として、原作では「同じ集落に住むものが、生き延びるためにキャラバンを組んでミルラの雫を集める」というのが背景となっており、マルチプレイは「同じ集落に住むキャラバンの仲間同士が一緒に旅をする」というものであった。~ しかしながら、本作ではローカルマルチができないため「同じ集落に住むキャラバンの仲間同士が一緒に旅をする」ということは''絶対にできなくなってしまい''、本作のコンセプトの完全否定と言っても過言ではない事態に陥ってしまっている。 ---特にかつて原作を知人や家族などと一緒に遊んだプレイヤーにとってはこのオンラインマルチの仕様一点で本作が受け入れられなかった者も少なくない。~ 確かにオンラインでマルチをしようとすると現在の仕様にせざるを得なかったのかもしれないが、せめてローカルマルチを残すことは出来なかったのかと悔やまれるところである。 ---本作の世界観や設定とオンラインマルチがそもそもマッチしていなかったという指摘もある。 -''ロード時間が長い'' --各所で発生するロード時間が長い。現在のゲーム水準と比較して…どころか、3世代前のハードで発売された原作よりも長くなってしまっている。 ---一番ロード時間が長いのがSwitch版、一番マシなのがAndroid/iOS版と言われている。 ---PS4版であれば、PS5でプレイするとロード時間をある程度まで短縮可能。 --特に、仕掛けの都合上マップ移動が多くなりがちなダンジョン「ジャック・モキートの館」では、このロード時間が無視できない問題になっている。 ---ロード時間の長さをスタッフが気づいていたかは分からないが、高難易度ダンジョンである「モキート夫妻の晩餐会」では、入る必要があるマップが1つだけになっているなど大幅に簡略化がなされている。~ ロード時間の長さ故にこのような仕様にしたと推測可能ではあるが、猶更ロード時間の改善はできなかったのかと思わずにはいられない。 -''アップデート後に発生した不具合'' --錬金術師の家族が装備品のレシピをくれる条件を満たしても、レシピを貰えなくなるという不具合が発生している。 ---高難易度ダンジョンの攻略を考えるのであれば、錬金術師の家族以外にレシピの入手手段が存在しない「フォースリング」入手がほぼ必須なだけに、この不具合の影響は深刻と評さざるを得ない。 ---有志の検証によると、錬金術師を親に持つキャラが何らかのレシピを1個以上持っている状態だと、条件を満たしてもレシピを貰えるイベントが発生しなくなるとのこと。 ---また貰えるレシピと同じものや、貰えるレシピで作成可能な装備品を、別のキャラが所持している状態でもイベントが発生しなくなるという報告も存在している。 --セーブデータや操作キャラを選択する際の読み込み時に、画面が暗転したまま長時間操作不能になってしまうという不具合が度々報告されている。 ---酷い時は暗転したまま3分以上待たされる破目になる。一旦リセットして再読み込みするという手も無い訳ではないが、データ破損のリスクを否定できないので使用は自己責任で。 --上記2種類の不具合は、どちらもアップデート前には報告の無かったものである。仮にも天下のスクエニ作品だというのに、[[アップデートで不具合が増えた>ジャンライン]]ようにしか見えないというのは一体どういう事なのか。 #region(アップデートによる改善点(リマスター)) -''ムービーがスキップできない'' --マルチプレイ限定で、ボス戦の導入やミルラの雫取得時等に流れるムービーのスキップができない。地味ではあるがタイムロスになってしまう。 --2020年9月のアップデートにおいてスキップ可能になった。 ---このアップデートを経ても、Android/iOS版のみ「船で移動する際のムービー」がスキップ不可能となっている。 -''?属性のホットスポットに関する不具合'' --本来、?属性のホットスポットはとあるダンジョンの謎解きを行わなければ解放されないのだが、?属性のホットスポットを解放済みのプレイヤーとマルチプレイをすると、他プレイヤーのデータにおいても?属性のホットスポットが強制的に解放されてしまう。 ---謎解きが存在するダンジョン以外でのマルチプレイでもこのバグが発生してしまう為、マルチプレイを行った後意気揚々と謎解きをしようとしたら、最初からホットスポットが解放されていて唖然となるプレイヤーを量産してしまった。 --こちらも2020年9月のアップデートにおいて修正された。 -''アイテム受け渡しの不親切さ'' --アイテムの受け渡しも確かに原作から進化してはいるが、2020年12月のアップデートまでは肝心のアイテム受け渡しを行える場所がプレイヤーの村にしか無かった。 ---素材やレシピをこまめに倉庫へ入れているプレイヤーが他の村でしか作れない装備品を作ろうとした時、材料を倉庫に忘れたらわざわざワールドマップのスタート地点まで戻らなくてはならない。その際確実に瘴気ストリームを越えなければならず、上述したロード時間も合わさってストレスが大きくなる。 ---アップデート後は、各地の拠点にアイテム受け渡しを行える場所が追加された。操作キャラ変更や拠点への入退場などでロード時間が挿入されるのは相変わらずだが、少なくともサブキャラへのアイテム受け渡しだけの為に瘴気ストリームを越える必要は無くなっている。 #endregion ---- **総評(リマスター) 15年以上の時を経てHDリマスターされた本作は、各キャラクターボイスの実装や、新規武器や新ダンジョンの追加など順当な進化が見て取れる。~ しかし追加要素によって種族バランスが悪化した点をはじめ、リマスターによる追加・変更要素にはやや惜しい点が目立つ。~ そして明確な劣化点である「原作よりも長いロード時間」については、世代が進んだにも拘らず技術力は逆に退化してしまったのか、と苦言を呈さざるを得まい。 オンラインマルチ実装と引き換えに、原作のマルチプレイの良さが失われてしまったというのも非常に残念な点である。~ 思い出の中にある原作のようなマルチプレイをイメージして本作を購入したプレイヤーにとって、失望が大きいものとなってしまっている感は否めない。~ 結果として駄作という程ではないが、良作という評価も下しがたい一作となっている。 ---- **余談(リマスター) -現状、ソニー系ハードで発売された唯一の『クリスタルクロニクル』シリーズとなっている。 -本作の発売を機に、当時の原作の攻略本の電子書籍版が販売された。 --当然、本作の攻略情報等の新録はないが、元々、原作の攻略本自体高騰していたこともあってこちらは概ね好評である。 -リマスター化にあたり、サウンドトラックCDもリマスター版として再び販売されている。元より音楽そのものの評価は高い作品であったため、こちらも好評である。

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