「ウィザードリィエクス ~前線の学府~」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ウィザードリィエクス ~前線の学府~ - (2013/12/14 (土) 14:23:00) の最新版との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*ウィザードリィエクス ~前線の学府~ 【うぃざーどりぃえくす ぜんせんのがくふ】 |ジャンル|3DダンジョンRPG|&amazon(B0006JHQJI)| |対応機種|プレイステーション2|~| |販売元|コナミ|~| |開発元|マイケルソフト(Team Muramasa)|~| |発売日|2005年2月24日|~| |定価|7,140円(税込)|~| |ポイント|ウィザードリィ史上初の「学園RPG」|~| |>|>|CENTER:''[[Wizardryシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1088.html]]''| **概要  3DダンジョンRPGの元祖である『[[ウィザードリィ>Wizardry]]』は、FC版の移植以降、「シリアスな世界観と高難度」がウリのRPGとして認知され、その後日本で製作された外伝シリーズやBUSINシリーズなどもその特徴を受け継いでいた。  しかし、本作はそこに「学園物の要素をブチ込む」という暴挙をやってのけてしまった。キャッチコピーは「ウィザードリィ史上初、学園RPG!」この時点ですでに怪しさ満点。古参ファンは「ハァ!?」と思わず声を上げた。 -開発スタッフである「チームムラマサ」は、かつて『ウィザードリィエンパイア(PS版1&2)』を作ったスタッフが中心となって結成された。そのせいであろうか、魔法の名称や全体のゲームバランスなどはエンパイアシリーズが元となっている。 **ストーリー 水と緑の惑星オリンピア。この星では「エンパイア文明」と呼ばれる高度な文明が栄えていたが、システムの暴走した「空中都市イカロス」の砲撃により壊滅的な打撃を受け、エンパイア文明は終焉の時を迎えた。~ わずかに生き残った人類と魔族は、海を隔てた2つの大陸においてそれぞれ復興していくこととなる。~ ~ 空と海はエンパイア文明の生み出した「竜」によって支配されており、人類魔族無差別で攻撃を加えて船を沈めるため航海はほぼ不可能だった。 ~ そのため人々は危険な海路を避け、古代人の遺産である魔法の道「ロード」を使って世界を行き来した。~ だがそれは人類と魔族の邂逅を招き…そしてロードの支配権を巡る争いが始まった。 ~ 争いは数十年を経ても一向におさまらず、劣勢に陥った人類は国家間連合「クルセイド」を結成。さらに大陸各地に人材を育成するための機関「聖戦学府」を設立。優秀な学徒を士官登用し、戦線に投入していた。 ~ ~ 北半球西部に位置するクライス王国の一都市、アーレハイン。~ この地には英雄サウロ・アンダルシアが校長を務める「アーレハイン聖戦学府」が存在していた。~ ところがある日、「アーレハイン聖戦学府の学徒達の間で、不思議な夢を見る者が続出する」いう現象が起こる。夢には決まって少女が現れ、「聞こえますか?私はここにいます」と謎のつぶやきを残していく。~ サウロ校長は入学したばかりの新米学徒達にこの不思議な現象の調査を命じる。しかし、この事件は人類と魔族、そしてエンパイア文明全てを巻き込む非常事態へと発展するのであった…。 **特徴 ***キャラクターメイキング -ステータス画面には顔のグラフィックが表示されるのだが、これはモンタージュ形式で作成可能。各種族毎に「性別、髪型、アイタイプ」といったパーツが数種類用意され、これを福笑いの要領で入れ替えるようにして顔グラを作成する。 -ステータス画面にはマネキンが表示されており、装備品の外観が反映される。 --グラフィックこそショボイが、装備品のグラフィックのバリエーションは豊富で、鎖帷子やプレートメイルといった普通の品から、ジャージ、胴着といったネタ装備まで揃っている((中でもシリーズ定番の武器「カシナートの剣」がミキサー状のグラフィックとなっている点は話題を呼んだ。ただし、これはウィザードリィ原作者が考えていた設定通りでもある。))。また、同名の装備でも男装備時と女装備時でグラフィックが若干変わったりする。((例えば女性用のドレス。これを男に無理やり着せることもできる。物によっては呪われるが。)) //XTH1にブルマはありません。XTH2と混同した? --後述する「アイテム錬金」で装備品に属性をつけると色が変化する。 //ブルマに光属性を付けて白く染めるのはお約束?←XTH1にブルマは無い。 --学科(職業)には固有スキルが備わるなど従来作よりも特徴が差別化された。どの学科も最後まで使えるよう調整されており、上級職、下級職といった括りは本作には無い。 #region(学科一覧) -戦士 --HP、命中の伸びが良く、全学科中レベルアップ速度が最速(Wizでは盗賊が最速であることが多い)。1ターン集中後に3回連続攻撃するスキル「乱撃」を習得する。 -盗賊 --罠解除のエキスパート。装備は貧弱だが、奇襲攻撃にあたるスキル「強奪」を習得。強奪は通常攻撃よりもあらゆる面で強化され、さらに対象を倒せれば金を奪う(戦闘終了時に得るお金とは別腹)ことができる。そのため、盗賊がいるといないとでは序盤の難易度が天と地ほどに変わってくる。 -狩人 --本作では弓が長射程、高命中、高威力とかなりの強武器となっており、その達人である狩人のアタッカー能力は高い。1ターン集中後に命中率、クリティカル率の上がった一撃を放つスキル「狙撃」((この狙撃で発生するクリティカル、後述の隠しボスにも効いてしまう性能。))を習得。また、本職には劣るが盗賊技能、超能力呪文も習得していく。 -修道士 --いわゆるモンク。連続攻撃やカウンター、素手攻撃を強化するスキルなど、豊富なスキルを習得するアタッカー。 -侍 --最前列の敵1グループに対して物理攻撃をしかけるスキル「切り込み」を習得する。エクスでは雑魚敵が大量出現するので、ノーコストの範囲攻撃を行える侍がいると戦闘がかなり楽になる。また、大半の刀は高威力かつクリティカルが付与されているため性能が良い。 -君主 --僧侶魔法を習得する戦士。従来作の「ロード」にあたる。男性専用。スキル「献身」で敵の攻撃から味方をかばえる守りの要で、君主がいるとメンバーの生存率が劇的に上昇する。特に神女との相性はバツグン。 -神女 --僧侶魔法を習得する戦士。従来作の「ヴァルキリー」にあたる。女性専用。敵に捨て身の攻撃をしかけるスキル「神撃」を習得。神撃には「相手の防御値((本作ではAC(回避率)のほかにもDF(防御)という概念が存在し、DFを上げることで物理攻撃を食らった時のダメージを軽減できる。))を無視する」という効果があるが、神撃中は自身のAC低下に加えて防御もゼロになるので、献身などの防御手段を用意してやる必要がある。 -忍者、くのいち --忍者は男性、くのいちは女性専用。従来作における特徴はそのままに奇襲がパワーアップした。忍者とくのいちでは装備可能品や奇襲の追加効果など、細かい部分で差異が見られる。 -魔法使い --攻撃魔法のエキスパート。自身の物理攻撃に精霊系と魔法生物系への特効を付与する「魔撃」や、敵のHPを視認するスキルを習得する。実は弱い弓なら装備できるため、序盤では弓を持たせると前衛顔負けの活躍をすることも…。 -僧侶 --回復魔法のエキスパート。自身の物理攻撃に不死系と霊系への特効を付与する「聖撃」を習得する。それなりに装備品が充実しており、命中値の上昇率が前衛系学科と同じであるため、前衛に出すことも不可能ではない。 -超術士 --超能力呪文を習得するサイオニック。超能力呪文は補助効果にすぐれたものが多い。また、装備武器の射程を無制限にするスキル「念動」を習得する。 -召喚士 --「7番目のパーティーメンバー」となる魔物を召喚可能である唯一の学科。戦力の底上げに役立つ。&br()序~中盤は頼りない魔物召喚であるが、最終盤には並みの前衛職真っ青の超性能になるので晩成型と言える。 -錬金術師 --物理、魔法ともに器用貧乏なうえにレベルアップが全学科中もっとも遅いが、アイテム錬金を無料で行うことができるため、終盤では必須となる学科の一つ。また[[某漫画>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8B%BC%E3%81%AE%E9%8C%AC%E9%87%91%E8%A1%93%E5%B8%AB]]の影響からか、「錬金で作れる武具なら全て装備できる」という特性がある。 -司祭 --習得スピードこそ非常に遅い((全魔法習得に必要な経験値は、司祭全習得 > 魔法使い全習得+僧侶全習得+超術士全習得))が、魔法使いと僧侶のの呪文を全て習得可能。後述する「呪文習得限界数」という仕様がある本作において、2系統の呪文を全て習得できる司祭は貴重。呪文の威力も本職なみに高い。 #endregion -各学科には「呪文習得限界数」という概念が追加され、専門職ほど呪文の威力が高く、各呪文のレベル毎に習得できる数が多くなっている。転職した場合は威力、習得数に大きく制限を受けるため、従来作のような「全呪文を習得した前衛スーパーキャラ」は作成できなくなった。 -前作『ウィザードリィエンパイア(PS版)』でも存在した「相性値」の仕様は本作にもある。ただし、「数値が固定値からパーセンテージに」「キャラのレベルが低いうちはそれほど影響を及ぼさない」「特定の装備で相性値の影響を無効化できる」などの対策が追加されたため、PS版エンパイアのようなガチガチのパーティ編成を行う必要はなくなった。 -各キャラクターは戦場で活躍することで「軍位」が与えられる。階級が上がると買い物で有利になる等の特典が付く。 ***アイテム錬金 -本作では敵を倒してもすぐ使える装備品はなかなか落とさない。代わりに装備品が劣化した「廃品」をよく落とすようになり、これを修理することでようやく装備可能になる。 --そしてさらに性能を強化したり(強化すると後ろに「+〇」といった数字がつく)、火や水といった属性、特定の種族に対する特効(武器ならダメージ増加、防具なら被ダメージ減少)を付与させることができる。これらの強化は任意で行えるため、戦略の多様性を高めるとともにプレイヤーの好みを反映させやすくなった。 --ちなみに、装備品の原材料となる廃品にはおかしなネーミングのものが多い。例えば、カシナートの剣(ゲーム中での正式名称は「連合制式隊長剣」)の材料が「回転式泡立器」だったりする。もっともこれは、「カシナートの剣は本来クイジナート社のミキサーのパロディ」であったことへのオマージュでもある。 -錬金は購買所または錬金術師が行えるが、前者では手数料を取られ、後者はタダで錬金できる代わりに「作りたい装備品のアイテムレベルが(自分のレベル-5)以下でないとダメ」という制限がある((ついでに成長速度も最遅。))。購買所でのアイテム錬金は手数料がかさみ、さらに「お金は募金することで経験値に変換できる」という仕様があるため、所持金は常にカツカツの状態が続く((序盤でNPC相手にアイテム盗みを行わない場合。期間限定で出会えるNPCリリスに対して盗みが成功すると、シナリオ進行時点では不釣合いなほどの高額商品が手に入る。当然ながら入手確率は低く、盗み失敗で即死級の大ダメージのオマケ付きだが直前にセーブすれば良いだけなのでデメリットにはなりにくい。))。そのため、お金の重要性はWizシリーズ中でも1,2を争うほど高い。 ***ストーリー面の強化 -MMOなどで見られる「小クエスト並立制」を取っており、ゲームをクリアするのに必須のメインクエストと、気が向いた時に行えばよい無数のサブクエストが存在する。 --メインクエストは結構シリアス。「学園物」とアニメ調のグラフィックから軟派な話を連想する人も多いだろうが、設定面や下記のコンクエストなど、話の骨となる部分はしっかり作られている。 --サブクエストはゲームクリアに必須ではないが、クリアすると報酬がもらえ、繰り返して何度でも行えるクエストも存在する。また、学園生活をエンジョイするかのようなおバカなノリのエピソードも多い((例えば「寄宿舎のおばちゃんの愛用ミキサーが壊れてしまったので何とかしてほしい」というクエストが存在する。ウィザードリィでミキサーと言えばアレだが…。))。 -ゲーム序盤のクエストは「〇〇カリキュラム」という形でチュートリアルを行うものが多く、初心者でも無理なく基本を身につけられるようになっている。序盤の難易度もかなり低く、実はウィズ入門用に適した作品でもある(ウィズ全体から見ると異色作でもあるのだが…)。 ***コンクエスト -舞台となるダンジョンは「ロード」と呼ばれる魔法の道で、本拠地である「聖戦都市アーレハイン」及び点在するいくつかの中継点をロードが結んでいる、という形になっている。そして本作には「ロードの支配権を賭けて人類と魔族が争っている」という設定が存在し、各ロードで人類と魔族が熾烈な勢力争いを繰り広げている。 --その様子はワールドマップ(イメージ的には『[[タクティクスオウガ]]』のそれに近い)で確認することができる。各ロードには「支配率」というステータスが存在しており、その様子はゲージで表示されている。カーソルを合わせるとさらに詳しく調べることができる。 --支配率は「ロードで戦闘に勝利する」「マップを埋めていく」などの行為で上昇し、逆に放置すると徐々に下がっていく。ロードの支配率を上げるとこちら側が有利になるような特典もつく。逆もまたしかり。 --ロードを結ぶ中継点にパーティを駐屯させることで、ロードの支配率を維持、あるいは上昇させることが可能。駐屯しているキャラには少しずつではあるがお金と経験値が自動かつ安全に手に入る。 ***その他 -モンスター側のレベルの概念が強化され、PC同様モンスターもレベルアップに応じて能力が強化されていく。 --厳密にいえば#1の時代から「モンスターレベル」なる設定は存在していたが、各種計算の判定や即死呪文の成功の可否などに用いられる内部数値であり、エクスシリーズ程の重要性は持たされてはいなかった。 -他RPGにおける「天候」の概念が導入され(ゲーム中では「胎動周期」と呼ばれる)、モンスターは胎動周期の影響を受けて様々に変化する。 **長所 -プレイが非常に快適 --ステータス画面の切り替えに多少もたつくものの、操作性はかなり良好でキーレスポンスの反応もよい。また、ディスクメディアながらローディングがほとんどない。例えばソフトリセットした場合、入力後すぐタイトル画面が表示されるほど早い。 --戦闘も決定ボタン押しっぱなしでエフェクトをキャンセルしつつ高速でメッセージが表示される。物理攻撃を行うと打撃エフェクトが表示されるのだが、FF3のように連続ヒットしつつメッセージは早送りされるため快適かつ爽快感がある。 --さらに「捨てたアイテムを自動回収し、後から拾うこともできる『廃物箱』」、「瞬時に本拠地に帰還できる『ターミナル』がセメタリーフロア((各ロードの中央部に位置する所。))を除く各フロアに必ず存在する」などの細かいが便利な機能もいくつか存在する。 --本作では画面の最上段にヘルプメッセージが常時表示されており、魔法やスキル使用時に大まかな解説がすぐ見られるようになっている。そのため説明書を見なくてもなんとかなってしまう。 ---もちろん説明書には丁寧な解説文が載っている。また、マニュアル最後のQ&Aはウィズ熟練者でも一読の価値あり。 -キャラクターメイキングにおける自由度が高い --グラフィック面の強化、学科の特徴の差別化、コンクエストの導入により、セカンドキャラ及びパーティを作る意義が大きく増した。 -アイテム集めが楽しい --サギまがいの売り文句の中で、唯一「アイテム総数約600種」は本当であった。 --アイテム錬金によってカスタマイズ性が上昇したことや、前述したキャラメイキングの多様化もアイテム集めの楽しさに貢献している。 -BGMが良い --『[[アストロノーカ]]』などを手掛けた神保直明氏が作曲を担当。「曲だけは良い」という声もよく聞く。そしてこれ以降、チームムラマサ作品の曲は一貫して神保氏が担当するようになった。 **短所・賛否両論点 -誇大広告 --パッケージ裏には「キャラクターのフェイスパターンは3万種以上!!」「ランダム生成によって変化する迷宮!!」「レベルや属性が変化する数万パターンのモンスター!!」といった大層な文句が並んでいるが、実際はそれらは全て掛け算によって水増しされた文面であった。 --マップに至っては「総数こそ全100個だが、その半分は対応するマップの座標ずらしによる水増し」という有様。ただし、後半のマップはかなり歯ごたえのある難易度ではある。 -グラフィックがPS2とは思えないほどショボイ --キャラクターやモンスターがアニメ調のイラスト。パターンもあまり豊富ではない。 ---主要NPCには専用グラフィックが存在するが、クエストを依頼するモブキャラは顔なしのキャラも多い。 ---モンスターのグラフィックはたったの28種類しかない(隠しボス含む、NPC除く)。 --マネキンははっきり言ってPS1レベル。BUSINとかと比べちゃいけません。 --ただしイラストに関してはシンプルな絵柄であるが故に、モンタージュ形式でも違和感なく様々なキャラが作れるようになったともいえる。上述のBUSINの場合は、絵柄が凝っている代わりに一種族につき男女一種類ずつ(しかも濃い)しかイラストがなく、キャラメイキングの幅が狭い。ウィザードリィには自分でキャラのイメージや設定を作る事を重視するタイプのプレイヤーが多いため、この問題は致命的である。 --迷宮内のグラフィックも単調かつ殺風景。もっとも、「ダンジョン」ではなく「先人の遺産である魔法の通路」なのだから仕方がない、と言えなくもないが…。 -独特な世界観、従来作とは明らかに異なる設定 --「グラフィックがアニメ調で、しかも学園物」という前情報から、反発的な層からは「萌えオタに媚びてんじゃねぇ」という声も挙がったが、実際にはグラフィックのしょぼさもあり、そういった層は釣れなかった。 ---ただアニメに近い絵になったとはいえ萌えに走っているというほどの絵柄でもなく、萌えを前面的に出していたわけでもない。あくまでこのゲームの売りは「快適なハック&スラッシュ」なのである。 --「ドワーフ=犬人間、ノーム=人形に憑依する霊体」、「シリーズ常連キャラのマーフィー((敵として登場する「マーフィーズゴースト」と、ストーリーにかかわるNPCが存在する。ここで挙げられているのは後者でシリーズ常連なのは前者。))が眼鏡ッ娘」、といったぶっとび設定も存在する。これらは従来作とは明らかに異なる設定であり、ウィザードリィ=硬派なファンタジーという認識のファンから失笑を買ってしまった。 --念のため解説するが、ウィザードリィ=硬派ファンタジーというイメージはローカライズの過程で生じた日本独自のものであり、元々は欧米圏のギーク的な発想に溢れたパロディ要素の強いゲームである。ウィザードリィシリーズは作品ごとの作風の差が大きく、それぞれに良さがあるので、「どれが上か」「正当なウィザードリィの定義とは」などといった事を決めるのはナンセンスである。 -後半の難易度はシリーズ中でも高い方に入る。 --エンディング後に戦闘できるボスが何体か登場し、ラスボスをはるかに超える戦闘力を誇っている。特に「エンパス」は撃破する度にレベルが上がり、最大レベルの50に達したエンパスは「RPG中屈指の強ボス」として有名。 ---「毎ターン経過時にHP全快」「カンストダメージを拝める物理攻撃力」「複数の状態異常をメンバー全員に与える特殊攻撃」などを所持しており、魔法「マハンマハン((詠唱者自身のレベルと引き換えに強力な効果を呼び起こす魔法。従来作の「マハマン」に相当する。))」の使用が前提となる強さになっている。ヘタをすればかの「ダイヤモンドドレイク」をも超える強さである。 --PS版エンパイアを作ったスタッフが製作しただけあって、後半にはゲンナリする程の高難易度マップが待っている。((PSエンパイアはシナリオ4「ワードナの逆襲」程ではないがマップのデザインが意地悪で、探索の難易度が非常に高かった。)) --エンパイアでも存在した「深水域(浮遊していないキャラが侵入すると即落下→溺れて強制即死)」は本作でも健在。さらにそれが「呪文禁止域(強化呪文を全て打ち消し、かつ呪文が唱えられない)」と組み合わさって出現するようになった。そこに対策なしに足を踏み入れてしまうと、ノームやフェアリーといった浮遊特性を持つ種族以外のキャラはなすすべもなく死を迎える。そしてこのトラップコンボはランダムで配置されることもあり、「扉を開けたら深水域+呪文禁止域→全滅」といった事態も発生しうる。 ---このトラップコンボはよほど不評だったのであろう。続編のエクス2でもこのトラップは登場するが、対策手段の増加およびランダム配置の廃止により、今作のような理不尽さはなくなった。 -誤字がとても多い --チームムラマサの開発スタッフは誤字修正を後回しにする癖がある。それは新会社を立ち上げた現在でも変わっていない。 **総評  快適なプレイ環境を整え、やりこみ要素や意欲的な新要素を加えている点は評価できるのだが、その大半が練りこみ不足で、「ここをこうしていればもっと良くなったのに…」と思わせることしきりであった。そのためゲームとしての評価は凡作止まりとなっている。 **その後の展開 -約1年後に、続編の『[[ウィザードリィエクス2 ~無限の学徒~]]』が発売された。不評だった部分の修正、さらなる操作性の向上、アイテムや育成要素の追加など徹底的なブラッシュアップがなされており、こちらは良作との評判が高い。但し独特の世界観は受け継がれており、このシリーズに拒否反応を示すファンは決して少なくない。 **余談 -実はこのウィザードリィエクス、超低予算で作られた作品である。そのため開発にゴーサインが出た、ともいえる。正確な販売本数こそ不明だが商業的には黒字であったらしく、NHKの報道番組『クローズアップ現代』でゲームビジネスの成功例として取り上げられた。しかし、その後エクス2開発時のゴタゴタを経てマイケルソフトは倒産してしまったのは皮肉と言う他にない。 -マイケルソフトのHPや電撃プレイステーション誌上にて、ハタキチ氏による4コママンガが掲載されていた。絶妙なヘタウマ加減の絵とクスリと笑いを誘う内容から、なかなか好評であった。 -学科の特徴やアイテムのネーミング、「コンクエスト」「フロアレベル」の仕様などから考えるに、本作は『[[ファイナルファンタジーXI]]』や『[[Diablo2>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/573.html]]』から影響を受けた部分が多い。 -このゲームの開発開始時点では『ウィザードリィオンライン』とも言うべきオンライン作品だったようである(参考・[[開発スタッフの運営ホームページのWebアーカイブ>http://replay.web.archive.org/20050206024122/http://homepage1.nifty.com/BQY00434/index.htm]]) //放送時の情報をご存知の方がおりましたら追記をお願いします。
*ウィザードリィエクス ~前線の学府~ 【うぃざーどりぃえくす ぜんせんのがくふ】 |ジャンル|3DダンジョンRPG|&amazon(B0006JHQJI)| |対応機種|プレイステーション2|~| |販売元|コナミ|~| |開発元|マイケルソフト(Team Muramasa)|~| |発売日|2005年2月24日|~| |定価|7,140円(税込)|~| |判定|なし|~| |ポイント|ウィザードリィ史上初の「学園RPG」|~| |>|>|CENTER:''[[Wizardryシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要  3DダンジョンRPGの元祖である『[[ウィザードリィ>Wizardry]]』は、FC版の移植以降、「シリアスな世界観と高難度」がウリのRPGとして認知され、その後日本で製作された外伝シリーズやBUSINシリーズなどもその特徴を受け継いでいた。  しかし、本作はそこに「学園物の要素をブチ込む」という暴挙をやってのけてしまった。キャッチコピーは「ウィザードリィ史上初、学園RPG!」この時点ですでに怪しさ満点。古参ファンは「ハァ!?」と思わず声を上げた。 -開発スタッフである「チームムラマサ」は、かつて『ウィザードリィエンパイア(PS版1&2)』を作ったスタッフが中心となって結成された。そのせいであろうか、魔法の名称や全体のゲームバランスなどはエンパイアシリーズが元となっている。 **ストーリー > 水と緑の惑星オリンピア。この星では「エンパイア文明」と呼ばれる高度な文明が栄えていたが、システムの暴走した「空中都市イカロス」の砲撃により壊滅的な打撃を受け、エンパイア文明は終焉の時を迎えた。~ わずかに生き残った人類と魔族は、海を隔てた2つの大陸においてそれぞれ復興していくこととなる。~ ~ 空と海はエンパイア文明の生み出した「竜」によって支配されており、人類魔族無差別で攻撃を加えて船を沈めるため航海はほぼ不可能だった。 ~ そのため人々は危険な海路を避け、古代人の遺産である魔法の道「ロード」を使って世界を行き来した。~ だがそれは人類と魔族の邂逅を招き…そしてロードの支配権を巡る争いが始まった。~ 争いは数十年を経ても一向におさまらず、劣勢に陥った人類は国家間連合「クルセイド」を結成。さらに大陸各地に人材を育成するための機関「聖戦学府」を設立。優秀な学徒を士官登用し、戦線に投入していた。~ ~ 北半球西部に位置するクライス王国の一都市、アーレハイン。~ この地には英雄サウロ・アンダルシアが校長を務める「アーレハイン聖戦学府」が存在していた。 ~ ところがある日、「アーレハイン聖戦学府の学徒達の間で、不思議な夢を見る者が続出する」いう現象が起こる。夢には決まって少女が現れ、「聞こえますか?私はここにいます」と謎のつぶやきを残していく。 サウロ校長は入学したばかりの新米学徒達にこの不思議な現象の調査を命じる。しかし、この事件は人類と魔族、そしてエンパイア文明全てを巻き込む非常事態へと発展するのであった…。 ---- **特徴 ***キャラクターメイキング -ステータス画面には顔のグラフィックが表示されるのだが、これはモンタージュ形式で作成可能。各種族毎に「性別、髪型、アイタイプ」といったパーツが数種類用意され、これを福笑いの要領で入れ替えるようにして顔グラを作成する。 -ステータス画面にはマネキンが表示されており、装備品の外観が反映される。 --グラフィックこそショボイが、装備品のグラフィックのバリエーションは豊富で、鎖帷子やプレートメイルといった普通の品から、ジャージ、胴着といったネタ装備まで揃っている。 ---中でもシリーズ定番の武器「カシナートの剣(ゲーム中での正式名称は「連合制式隊長剣」)」がミキサー状のグラフィックとなっている点は話題を呼んだ。ただし、これはウィザードリィ原作者が考えていた設定通りでもある(後述)。 ---また、同名の装備でも男装備時と女装備時でグラフィックが若干変わったりする。例えば女性用のドレスを男に無理やり着せることもできる。物によっては呪われるが。 //XTH1にブルマはありません。XTH2と混同した? ---後述する「アイテム錬金」で装備品に属性をつけると色が変化する。 //ブルマに光属性を付けて白く染めるのはお約束?←XTH1にブルマは無い。 -学科(職業)には固有スキルが備わるなど従来作よりも特徴が差別化された。どの学科も最後まで使えるよう調整されており、上級職、下級職といった括りは本作には無い。 #region(学科一覧) -戦士 --HP、命中の伸びが良く、全学科中レベルアップ速度が最速(Wizでは盗賊が最速であることが多い)。1ターン集中後に3回連続攻撃するスキル「乱撃」を習得する。 -盗賊 --罠解除のエキスパート。装備は貧弱だが、奇襲攻撃にあたるスキル「強奪」を習得。強奪は通常攻撃よりもあらゆる面で強化され、さらに対象を倒せれば金を奪う(戦闘終了時に得るお金とは別腹)ことができる。そのため、盗賊がいるといないとでは序盤の難易度が天と地ほどに変わってくる。 -狩人 --本作では弓が長射程、高命中、高威力とかなりの強武器となっており、その達人である狩人のアタッカー能力は高い。1ターン集中後に命中率、クリティカル率の上がった一撃を放つスキル「狙撃」((この狙撃で発生するクリティカル、後述の隠しボスにも効いてしまう性能。))を習得。また、本職には劣るが盗賊技能、超能力呪文も習得していく。 -修道士 --いわゆるモンク。連続攻撃やカウンター、素手攻撃を強化するスキルなど、豊富なスキルを習得するアタッカー。 -侍 --最前列の敵1グループに対して物理攻撃をしかけるスキル「切り込み」を習得する。エクスでは雑魚敵が大量出現するので、ノーコストの範囲攻撃を行える侍がいると戦闘がかなり楽になる。また、大半の刀は高威力かつクリティカルが付与されているため性能が良い。 -君主 --僧侶魔法を習得する戦士。従来作の「ロード」にあたる。男性専用。スキル「献身」で敵の攻撃から味方をかばえる守りの要で、君主がいるとメンバーの生存率が劇的に上昇する。特に神女との相性はバツグン。 -神女 --僧侶魔法を習得する戦士。従来作の「ヴァルキリー」にあたる。女性専用。敵に捨て身の攻撃をしかけるスキル「神撃」を習得。神撃には「相手の防御値((本作ではAC(回避率)のほかにもDF(防御)という概念が存在し、DFを上げることで物理攻撃を食らった時のダメージを軽減できる。))を無視する」という効果があるが、神撃中は自身のAC低下に加えて防御もゼロになるので、献身などの防御手段を用意してやる必要がある。 -忍者、くのいち --忍者は男性、くのいちは女性専用。従来作における特徴はそのままに奇襲がパワーアップした。忍者とくのいちでは装備可能品や奇襲の追加効果など、細かい部分で差異が見られる。 -魔法使い --攻撃魔法のエキスパート。自身の物理攻撃に精霊系と魔法生物系への特効を付与する「魔撃」や、敵のHPを視認するスキルを習得する。実は弱い弓なら装備できるため、序盤では弓を持たせると前衛顔負けの活躍をすることも…。 -僧侶 --回復魔法のエキスパート。自身の物理攻撃に不死系と霊系への特効を付与する「聖撃」を習得する。それなりに装備品が充実しており、命中値の上昇率が前衛系学科と同じであるため、前衛に出すことも不可能ではない。 -超術士 --超能力呪文を習得するサイオニック。超能力呪文は補助効果にすぐれたものが多い。また、装備武器の射程を無制限にするスキル「念動」を習得する。 -召喚士 --「7番目のパーティーメンバー」となる魔物を召喚可能である唯一の学科。戦力の底上げに役立つ。&br()序~中盤は頼りない魔物召喚であるが、最終盤には並みの前衛職真っ青の超性能になるので晩成型と言える。 -錬金術師 --物理、魔法ともに器用貧乏なうえにレベルアップが全学科中もっとも遅いが、アイテム錬金を無料で行うことができるため、終盤では必須となる学科の一つ。また[[某漫画>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8B%BC%E3%81%AE%E9%8C%AC%E9%87%91%E8%A1%93%E5%B8%AB]]の影響からか、「錬金で作れる武具なら全て装備できる」という特性がある。 -司祭 --習得スピードこそ非常に遅い((全魔法習得に必要な経験値は、司祭全習得 > 魔法使い全習得+僧侶全習得+超術士全習得))が、魔法使いと僧侶の呪文を全て習得可能。後述する「呪文習得限界数」という仕様がある本作において、2系統の呪文を全て習得できる司祭は貴重。呪文の威力も本職なみに高い。 #endregion -各学科には「呪文習得限界数」という概念が追加され、専門職ほど呪文の威力が高く、各呪文のレベル毎に習得できる数が多くなっている。転職した場合は威力、習得数に大きく制限を受けるため、従来作のような「全呪文を習得した前衛スーパーキャラ」は作成できなくなった。 --↑に付随して、「任意の呪文を忘れる」ことができるようになった。例えば全呪文を習得した魔法使いが召喚士(魔法使いの各レベルの呪文習得限界数が3)に転職すると、そのままではランダムで選択された呪文を各レベルにつき1つ忘れてしまう。そこであらかじめ自分にとって不要な呪文を忘れておき、重要な呪文が転職後も使えるようにしておくのである。 -前作『ウィザードリィエンパイア(PS版)』でも存在した「相性値」の仕様は本作にもある。ただし、「数値が固定値からパーセンテージに」「キャラのレベルが低いうちはそれほど影響を及ぼさない」「特定の装備で相性値の影響を無効化できる」などの対策が追加されたため、PS版エンパイアのようなガチガチのパーティ編成を行う必要はなくなった。 -各キャラクターは戦場で活躍することで「軍位」が与えられる。階級が上がると買い物で有利になる等の特典が付く。 ***アイテム錬金 -本作では敵を倒してもすぐ使える装備品はなかなか落とさない。代わりに装備品が劣化した「廃品」をよく落とすようになり、これを修理することでようやく装備可能になる。 --そしてさらに性能を強化したり(アイテム名に「+〇」といった数字がつく)、火や水といった属性、特定の種族に対する特効(武器ならダメージ増加、防具なら被ダメージ減少)を付与させることができる。これらの強化は任意で行えるため、戦略の多様性を高めるとともにプレイヤーの好みを反映させやすくなった。 --ちなみに、装備品の原材料となる廃品にはおかしなネーミングのものが多い。例えば、前述の連合制式隊長剣の材料が「回転式泡立器」だったりする。もっともこれは、「カシナートの剣は本来クイジナート社のミキサーのパロディ」であったことへのオマージュでもある。 -錬金は購買所または錬金術師が行える。前者では手数料が必要。後者はタダで錬金できる代わりに「作りたい装備品のアイテムレベルが(本人のレベル-5)以下でないとダメ」という制限がある。ちなみに錬金術師の成長速度は全学科中で最遅。 ***ストーリー面の強化 -MMOなどで見られる「小クエスト並立制」を取っており、ゲームをクリアするのに必須のメインクエストと、気が向いた時に行えばよい無数のサブクエストが存在する。 --メインクエストは結構シリアス。「学園物」とアニメ調のグラフィックから軟派な話を連想する人も多いだろうが、設定面や下記のコンクエストなど、話の骨となる部分はしっかり作られている。 --サブクエストはゲームクリアに必須ではないが、クリアすると報酬がもらえ、繰り返して何度でも行えるクエストも存在する。また、学園生活をエンジョイするかのようなおバカなノリのエピソードも多い((例えば「寄宿舎のおばちゃんの愛用ミキサーが壊れてしまったので何とかしてほしい」というクエストが存在する。ウィザードリィでミキサーと言えばアレだが…。))。 -ゲーム序盤のクエストは「〇〇カリキュラム」という形でチュートリアルを行うものが多く、初心者でも無理なく基本を身につけられるようになっている。序盤の難易度もかなり低く、実はウィズ入門用に適した作品でもある(ウィズ全体から見ると異色作でもあるのだが…)。 ***コンクエスト -舞台となるダンジョンは「ロード」と呼ばれる魔法の道で、本拠地である「聖戦都市アーレハイン」及び点在するいくつかの中継点をロードが結んでいる、という形になっている。そして本作には「ロードの支配権を賭けて人類と魔族が争っている」という設定が存在し、各ロードで人類と魔族が熾烈な勢力争いを繰り広げている。 --その様子はワールドマップ(イメージ的には『[[タクティクスオウガ]]』のそれに近い)で確認することができる。各ロードには「支配率」というステータスが存在しており、その様子はゲージで表示されている。カーソルを合わせるとさらに詳しく調べることができる。 --支配率は「ロードで戦闘に勝利する」「マップを埋めていく」などの行為で上昇し、逆に放置すると徐々に下がっていく。ロードの支配率を上げるとこちら側が有利になるような特典もつく。逆もまたしかり。 --ロードを結ぶ中継点にパーティを駐屯させることで、ロードの支配率を維持、あるいは上昇させることが可能。駐屯しているキャラには少しずつではあるがお金と経験値が自動かつ安全に手に入る。 ***その他 -モンスター側のレベルの概念が強化され、PC同様にモンスターもレベルアップに応じて能力が強化されていく。 --厳密にいえば#1の時代から「モンスターレベル」なる設定は存在していたが、各種計算の判定や即死呪文の成功の可否などに用いられる内部数値であり、エクスシリーズ程の重要性は持たされてはいなかった。 -他RPGにおける「天候」の概念が導入され(ゲーム中では「胎動周期」と呼ばれる)、モンスターは胎動周期の影響を受けて様々に変化する。 ---- **評価点 -プレイが非常に快適 --ステータス画面の切り替えに多少もたつくものの、操作性はかなり良好でキーレスポンスの反応もよい。また、ディスクメディアながらローディングがほとんどない。例えばソフトリセットした場合、入力後すぐタイトル画面が表示されるほど早い。 --戦闘も決定ボタン押しっぱなしでエフェクトをキャンセルしつつ高速でメッセージが表示される。物理攻撃を行うと打撃エフェクトが表示されるのだが、FF3のように連続ヒットしつつメッセージは早送りされるため快適かつ爽快感がある。 --さらに「捨てたアイテムを自動回収し、後から拾うこともできる『廃物箱』」、「瞬時に本拠地に帰還できる『ターミナル』がセメタリーフロア((各ロードの中央部に位置する所。))を除く各フロアに必ず存在する」などの細かいが便利な機能もいくつか存在する。 --本作では画面の最上段にヘルプメッセージが常時表示されており、魔法やスキル使用時に大まかな解説がすぐ見られるようになっている。そのため説明書を見なくてもなんとかなってしまう。 ---もちろん説明書には丁寧な解説文が載っている。また、マニュアル最後のQ&Aはウィズ熟練者でも一読の価値あり。 -キャラクターメイキングにおける自由度が高い --グラフィック面の強化、学科の特徴の差別化、コンクエストの導入により、セカンドキャラ及びパーティを作る意義が大きく増した。 -アイテム集めが楽しい --サギまがいの売り文句の中で、唯一「アイテム総数約600種」は本当であった。 --アイテム錬金によってカスタマイズ性が上昇したことや、前述したキャラメイキングの多様化もアイテム集めの楽しさに貢献している。 -BGMが良い --『[[アストロノーカ]]』などを手掛けた神保直明氏が作曲を担当。「曲だけは良い」という声もよく聞く。そしてこれ以降、チームムラマサ作品の曲は一貫して神保氏が担当するようになった。 -お金の重要性が高い --購買所での錬金は手数料がかさむ。更に本作では、お金を募金することで経験値に変換可能(=レベルアップに直結)。なので、お金の重要性はWizシリーズ中でも一、二を争うほど高い。 ---当シリーズは、中盤で早くもお金の使い道が無くなってしまうことも多かったが、本作はそれを見事に解消したと言えよう。 ---そのため、本作での所持金は常にカツカツの状態が続く((ただし、「NPC相手に盗みを実行して、高額レアアイテムを狙う」という抜け道もある。当然ながら成功率は低いが、事前にセーブしておけばいいだけの話。))。 **賛否両論点 -独特な世界観、従来作とは明らかに異なる設定 --「グラフィックがアニメ調で、しかも学園物」という前情報から、反発的な層からは「萌えオタに媚びてんじゃねぇ」という声も挙がったが、実際にはグラフィックのしょぼさもあり、そういった層は釣れなかった。 ---ただアニメに近い絵になったとはいえ萌えに走っているというほどの絵柄でもなく、萌えを前面的に出していたわけでもない。あくまでこのゲームの売りは「快適なハック&スラッシュ」なのである。 --「ドワーフ=犬人間、ノーム=人形に憑依する霊体」、「シリーズ常連キャラのマーフィー((敵として登場する「マーフィーズゴースト」と、ストーリーにかかわるNPCが存在する。ここで挙げられているのは後者でシリーズ常連なのは前者。))が眼鏡ッ娘」、といったぶっとび設定も存在する。これらは従来作とは明らかに異なる設定であり、ウィザードリィ=硬派なファンタジーという認識のファンから失笑を買ってしまった。 --念のため解説するが、ウィザードリィ=硬派ファンタジーというイメージはローカライズの過程で生じた日本独自のものであり、元々は欧米圏のギーク的な発想に溢れたパロディ要素の強いゲームである。ウィザードリィシリーズは作品ごとの作風の差が大きく、それぞれに良さがあるので、「どれが上か」「正当なウィザードリィの定義とは」などといった事を決めるのはナンセンスである。 **問題点 -グラフィックがPS2とは思えないほどショボイ --キャラクターやモンスターがアニメ調のイラスト。パターンもあまり豊富ではない。 ---主要NPCには専用グラフィックが存在するが、クエストを依頼するモブキャラは顔なしのキャラも多い。 ---モンスターのグラフィックはたったの28種類しかない(隠しボス含む、NPC除く)。 --マネキンははっきり言ってPS1レベル。BUSINとかと比べちゃいけません。 --ただしイラストに関してはシンプルな絵柄であるが故に、モンタージュ形式でも違和感なく様々なキャラが作れるようになったともいえる。上述のBUSINの場合は、絵柄が凝っている代わりに一種族につき男女一種類ずつ(しかも濃い)しかイラストがなく、キャラメイキングの幅が狭い。ウィザードリィには自分でキャラのイメージや設定を作る事を重視するタイプのプレイヤーが多いため、この問題は致命的である。 --迷宮内のグラフィックも単調かつ殺風景。もっとも、「ダンジョン」ではなく「先人の遺産である魔法の通路」なのだから仕方がない、と言えなくもないが…。 -後半の難易度はシリーズ中でも高い方に入る。 --エンディング後に戦闘できるボスが何体か登場し、ラスボスをはるかに超える戦闘力を誇っている。特に「エンパス」は撃破する度にレベルが上がり、最大レベルの50に達したエンパスは「RPG中屈指の強ボス」として有名。 ---「毎ターン経過時にHP全快」「カンストダメージを拝める物理攻撃力」「複数の状態異常をメンバー全員に与える特殊攻撃」などを所持しており、魔法「マハンマハン((詠唱者自身のレベルと引き換えに強力な効果を呼び起こす魔法。従来作の「マハマン」に相当する。))」の使用が前提となる強さになっている。ヘタをすればかの「ダイヤモンドドレイク」をも超える強さである。 --PS版エンパイアを作ったスタッフが製作しただけあって、後半にはゲンナリする程の高難易度マップが待っている。((PSエンパイアはシナリオ4「ワードナの逆襲」程ではないがマップのデザインが意地悪で、探索の難易度が非常に高かった。)) --エンパイアでも存在した「深水域(浮遊していないキャラが侵入すると即落下→溺れて強制即死)」は本作でも健在。さらにそれが「呪文禁止域(強化呪文を全て打ち消し、かつ呪文が唱えられない)」と組み合わさって出現するようになった。そこに対策なしに足を踏み入れてしまうと、ノームやフェアリーといった浮遊特性を持つ種族以外のキャラはなすすべもなく死を迎える。そしてこのトラップコンボはランダムで配置されることもあり、「扉を開けたら深水域+呪文禁止域→全滅」といった事態も発生しうる。 ---このトラップコンボはよほど不評だったのであろう。続編のエクス2でもこのトラップは登場するが、対策手段の増加およびランダム配置の廃止により、今作のような理不尽さはなくなった。 -誤字がとても多い --チームムラマサの開発スタッフは誤字修正を後回しにする癖がある。それは新会社を立ち上げた現在でも変わっていない。 -誇大広告 --パッケージ裏には「キャラクターのフェイスパターンは3万種以上!!」「ランダム生成によって変化する迷宮!!」「レベルや属性が変化する数万パターンのモンスター!!」といった大層な文句が並んでいるが、実際はそれらは全て掛け算によって水増しされた文面であった。 --マップに至っては「総数こそ全100個だが、その半分は対応するマップの座標ずらしによる水増し」という有様。 ---- **総評 快適なプレイ環境を整え、やりこみ要素や意欲的な新要素を加えている点は評価できるのだが、その大半が練りこみ不足で、「ここをこうしていればもっと良くなったのに…」と思わせることしきりであった。~ そのためゲームとしての評価は凡作止まりとなっている。 ---- **その後の展開 -約1年後に、続編の『[[ウィザードリィエクス2 ~無限の学徒~]]』が発売された。 --不評だった部分の修正、さらなる操作性の向上、アイテムや育成要素の追加など徹底的なブラッシュアップがなされており、こちらは良作との評判が高い。但し独特の世界観は受け継がれており、このシリーズに拒否反応を示すファンは決して少なくない。 ---- **余談 -超低予算で作られた --そのため開発にゴーサインが出た、ともいえる。正確な販売本数こそ不明だが商業的には黒字であったらしく、NHKの報道番組『クローズアップ現代』でゲームビジネスの成功例として取り上げられた。しかし、その後エクス2開発時のゴタゴタを経てマイケルソフトは倒産してしまったのは皮肉と言う他にない。 -マイケルソフトのHPや電撃プレイステーション誌上にて、ハタキチ氏による4コママンガが掲載されていた。 --絶妙なヘタウマ加減の絵とクスリと笑いを誘う内容から、なかなか好評であった。 -学科の特徴やアイテムのネーミング、「コンクエスト」「フロアレベル」の仕様などから考えるに、本作は『[[ファイナルファンタジーXI]]』や『[[Diablo2]]』から影響を受けた部分が多い。 -このゲームの開発開始時点では『ウィザードリィオンライン』とも言うべきオンライン作品だったようである(参考・[[開発スタッフの運営ホームページのWebアーカイブ>http://replay.web.archive.org/20050206024122/http://homepage1.nifty.com/BQY00434/index.htm]]) //放送時の情報をご存知の方がおりましたら追記をお願いします。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: