「Code Name: S.T.E.A.M. リンカーンVSエイリアン」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
*Code Name S.T.E.A.M リンカーンVSエイリアン
【こーどねーむすちーむ りんかーん ぶいえす えいりあん】
|ジャンル|シミュレーションシューティング|#amazon(B00S66U38Y)|
|対応機種|ニンテンドー3DS|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|インテリジェントシステムズ|~|
|発売日|2015年5月14日|~|
|定価|4,700円|~|
|備考|ダウンロード版・体験版が存在|~|
|プレイ人数|1人|~|
|レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~|
|周辺機器|amiibo(マルス、アイク、ルキナ、ルフレ)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
----
#contents()
----
**概要
『ファイアーエムブレムシリーズ』で知られるインテリジェントシステムズの作品。
19世紀、スチームパンク世界に襲来したエイリアンに対し、アメリカ合衆国大統領リンカーンが結成した対エイリアン精鋭部隊「S.T.E.A.M.」が立ち向かう。~
そしてその隊員たちは「オズの魔法使い」や「トム・ソーヤの冒険」などの文学作品や民間伝承などから構成されているのが特徴で、「それらがすべて、同時に、本当だったら……」をコンセプトとしている。~
また、amiiboの使用により、マルスら『ファイアーエムブレム』のキャラクターが使用可能となっている。
**特徴
-本作の大筋はターン制のシュミレーションゲームにシューティングの要素を加えたものとなっているが、更に「スチーム」と言う要素が存在する。
--スチームは1マス移動すれば1つ使うが、何か起きない限りは元の位置に戻れば回復するのでスチーム量が続く限り偵察が可能。また、武器で攻撃するにもその武器の量だけ消費する。
--装備品の「SBP(スチームバックパック)」により、自軍ターン開始時に補充される量と最大まで溜められる量が異なる。
---この他にもSBPはキャラクターの能力補正にも関わり、スチーム量かステータス補正かどちらをとるかで戦略を大きく左右する。
---SBPの入手には1マップに3つ落ちている「ギア」を集めて、既定の数に達するたびに新しい品が貰える。
--現在装備している武器とスチーム量によって、「オーバーウォッチ」が使用可能となる。視界に映った敵に自動で照準を合わせて攻撃を行うもので、スタン状態にする確率も高いため、待ち伏せや反撃として有用。
---たとえばスチーム消費3の「イーグルライフル」を装備し、スチームが6余った状態でターンエンドをすれば、2回オーバーウォッチが使用可能。
---ただし、どの武器でもオーバーウォッチができるわけではない。また、自動で行われるもののため、相手の行動順などによっては思いどおりに命中しないこともある。
---また、エイリアンによってはオーバーウォッチを使用してくるのも存在。
-全16章構成・ステージ数は全38とそれなりだが、代わりに個性豊かなマップが揃っている。
--4人の隊員でチームを組み、エイリアンの掃討やエリア最奥部への到達を行う任務が基本となっているが、エイリアンに氷漬けにされた人々を助け出したり、一般人を護衛して先に進んだり、巨大エイリアンとの決戦が待ち受けていたりとプレイヤーを飽きさせない。
---救済措置として、攻略のヒントが書かれ、読んだ隊員のスチームが回復する「アシストモニター」や、「名誉なメダル」の使用で体力の回復や隊員の復活もできる「セーブポイント」、隊員ごとの必殺技「スペシャルスチームパワー」も存在。
---この名誉なメダルはキャリアー破壊・マップに落ちてる・エイリアンを倒すなどの動作で集められるが、集めるとサブウェポンや称号が手に入るほか、マップごとのスコアにもなる。~
この他にもスコアは仲間の生存数や目標ターンの達成で増加し、すれちがい通信で他のプレイヤーと競う要素も存在。
--マップの他、エイリアンの種類も豊富。音に反応して突き進む「タンブラー」、地中から隊員を突き上げる「ラーカー」、上空から必ずスタン状態にする弾を撃つ「モスキート」などなど。
---どのエイリアンにも弱点となる光る部位が存在し、そこを攻撃すれば大ダメージが与えられる。だが、弱点を守ったり隠しているエイリアンも存在。
--一度クリアしたマップに再挑戦する際には初回挑戦時と同じ「通常任務」のほか、体力やスチーム量が視認不可能になる「ブラインドチャレンジ」、移動した分のスチームがきっちり消費される「エクスペンドチャレンジ」、エイリアンの強さが跳ね上がる「ルナティックチャレンジ」が存在。
---敵エイリアンの配置はそのままだが、セーブポイントやアシストモニターが削除されており、一味違ったプレイが楽しめる。
---また、これらのチャレンジはスコアがそれぞれ1.2倍、1.5倍、2.0倍されるため、スコアアタックが熱くなる。
--マップごとには世界観を感じさせる小ネタが書かれた看板が設置されており、それを回収していくのも楽しい。
-個性豊かな隊員。
--先述の通り、本作のキャラクターは文学作品や民間伝承などからつくられている。
--性能や所持するメインウェポン、アビリティ、スペシャルスチームパワーはそれぞれ異なり、どのマップにどの隊員を出すかが大事。
#region(隊員の紹介)
-エイブラハム・リンカーン
--S.T.E.A.M.をまとめ上げる総司令。何があっても屈しないアメリカンダンディーな人。
-ヘンリー・フレミング
--南北戦争を描いた小説『赤い武功章』の主人公が成長し、ベテラン兵士となった姿。本作の主人公的存在。
---ロンドンのアメリカ大使館警備長となっていたが、エイリアンの襲来や偶然の出会いからリンカーンの右腕的存在となる。
--リーチとオーバーウォッチ性に優れた「イーグルライフル」を使用。主役らしくどのマップに連れて行ってもしっかりと活躍してくれる。
-ジョン・ヘンリー
--ヘンリーの同僚。左腕を機械にしたサイボーグ戦士。アフリカ系アメリカ人の間にある伝承の人物がモデル。
--エイリアンを吹き飛ばし、障害物を破壊する「ベアグレネード」が武器。体力も高めな前衛キャラ。
-ライオン
--言わずと知れた『オズの魔法使い』に登場するライオン。本作では勇敢かつコミカルな性格になっている。
--スチームの噴射で自分を吹き飛ばしてジャンプし、着地点にいるものを踏みつける「スタンブリオン」はクセが強い武器。
--体力は全キャラトップクラスで、味方の防御力をアップするアビリティ「ディフェンスアップ」も持つため、いるだけで安定感がぐっと増す。
-タイガーリリー
--『ピーター・パンとウェンディ』に登場する衛生兵、かつ大学生。
--一定範囲の隊員を回復する「メディカルスワン砲」を持つ、頼りになる回復役。
--女性だけあって体力は低いが、アビリティ「ガッツ」によって一撃では死なない。
-トム・ソーヤ
--名前通り、『トム・ソーヤの冒険』の主人公。生意気な性格のいたずら好き。
--メインウェポンの「パンチガン」はスチームを1しか消費せず、エイリアンもスタンさせやすい武器。ただし威力は最低クラス。
--スチーム量が多めのSBPを装備可能で、アビリティ「小ジャンプ」で機動力も高いが、体力も低いので下手に動かすと死にやすい。
-クイクエグ
--海洋小説『白鯨』に登場する銛打ち。ある島の王子だが漂流したところをS.T.E.A.M.に救われた過去を持つ。
--武器となる「ペンギンボム」はクセが強い武器。発射したペンギン型爆弾は何かにぶつかるまで歩き、最後には爆発する。遠距離攻撃の他、偵察としても有用。
-スケアクロウ
--『オズの魔法使い』のカカシ。少々頼りないところもあるが陽気な性格をしている。
--メインウェポン「スタン・ザ・パンプキン」はカボチャ型爆弾を発射。次の自ターン開始時に爆発し、範囲にいたエイリアンをスタンさせる強力な武器。
--ただし体力は全キャラ中最低の100で、うっかりミスをすればスケアの死体が転がっていることも珍しくない。
-ランドルフ・カーター
--『ランドルフ・カーターの陳述』の作者、H.P.ラヴクラフトの化身的存在のキャラクター。神経質な性格をした研究者で、本作の陰の主役とも言える。
--武器は「エイリアンフード」と言う謎の冷凍肉。エイリアンの視線を集めてこちらへ誘導し、一網打尽にしたりできる。通信対戦時はアイテムに偽装した爆弾となっている。
--本作に登場するエイリアンはクトゥルフ神話の怪物と関わりがあり、ゲーム内の資料室で閲覧できるエイリアン情報に「ランメモ」として難解な記述を加えてくれる。
-ザ・フォックス
--卓越した技量を持つ謎の女スナイパー。公式ではどの作品が出典か明かされてはいないが、ファンの間では『怪傑ゾロ』とされている。
--狙撃銃「フォックスライフル」を持ち、遠距離からエイリアンの弱点を突ける。アビリティ「デッドアイ」はオーバーウォッチ範囲を広げるため、守りにも使える。
-カリフィア
--『エスプランディアンの冒険』に登場する、グリフォンを駆るアマゾネスの女王がモデル。カリフォルニア出身という点以外は謎に包まれたパワフルな性格のアフリカ系女性。
--彼女が操る「カリフィアボンバー」は射程距離が最大級。遠距離からの爆撃を可能とする。
-ティンマン
--『オズの魔法使い』のブリキの木こりに当たるが、かつてはサムライで機械の体を得た経歴を持つ。
--所持する「SPリペア銃」は撃たれた仲間のスチーム量を3増加させる、非常に広い役割を持てる武器。それだけあって使い所が重要。
-ドロシー
--『オズの魔法使い』の主人公。かつて異世界オズを仲間たちと冒険した事がある少女。
--愛犬トトをモチーフにした「トトレーザー銃」は狭い扇状に20連射のレーザーを発射する武器。近距離で弱点を突けば大ダメージが与えられる。
-ミルトン
--非戦闘員。アメリカ政府の役人で、資料作成を担当するお茶目な性格の中年男性。
--資料室で見られるキャラクター解説では「ミルメモ」と称して、キャラ設定に関する情報を付け加えている。妻も子もいる身なのに女性好きの気がある模様。
-キャシー
--非戦闘員の女性通信士。アシストモニターなどから隊員をサポートする。
#endregion
#region(その他のキャラクター)
-これらのキャラクターはSBPやサブウェポンなどの装備変更が不可能となっている。
-また、ストーリーにもまったく関わらない。
-リトルA.B.E.
--人並のサイズに小型化をしたA.B.E.。特定条件を満たすと加入。
--ライオンをわずかに上回る全キャラ最高の体力と、A.B.E.を模したハイスペックな装備を持つ前衛キャラ。
-マルス
--『[[ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣]]』の主人公。アリティア王国の王子。
--相手のオーバーウォッチのダメージを0にするアビリティ「神龍の加護」を持つが、武器やSBPの性能が低く使いにくい。
--スペシャルスチームパワー「スターロード」を使うと、稀にそうりょリフが登場する。
-アイク
--amiiboどおりに、『[[ファイアーエムブレム 暁の女神]]』の姿で登場。グレイル傭兵団の団長。
--原作どおり、「神剣ラグネル」と大斧「ウルヴァン」を振り回すパワーキャラの位置づけに。
-ルフレ
--これもamiiboどおりに『[[ファイアーエムブレム 覚醒]]』のマイユニット男のデフォルトの姿。イーリス軍の軍師。
--遠距離攻撃武器かつオーバーウォッチも可能な「魔導書」と、数マス前に雷を落とす「サンダーソード」を持つユニークなユニット。
-ルキナ
--同じく『覚醒』に登場する、マルスの姿をした少女。
--原作でも所持していた「裏剣ファルシオン」を操るが、サブウェポンはなぜか『[[聖魔の光石>ファイアーエムブレム 聖魔の光石]]』に登場した蛇弓「ニーズヘッグ」である。
#endregion
--武器は各隊員固定の「メインウェポン」と誰でも装備できる「サブウェポン」に分かれている。
---サブウェポンはメインウェポンをこじんまりとさせた性能が多いが、だからこその利点も存在するため一概に劣化とは言い切れない。隊員ごとの短所を補ったり、チーム単位での穴を埋めるのにも有用。
---名誉なメダルが一定枚数に達するたびに、新たなサブウェポンが入手可能となっている。
---ただし、任務に出撃する隊員にサブウェポンを重複させてはならない。
-迫力の巨大ロボ「A.B.E.」
--時折隊員ではとても太刀打ちできない超巨大エイリアンと戦うことになるが、それとの戦いは人型戦闘エンジン「A.B.E.」が行う。乗組員は我らが大統領リンカーンその人。
---スチームは自動的に溜まっていき、近距離では「スチームパンチ」、遠距離では「A.B.E.マシンガン」、更に「ダッシュ移動」で消費するが、下手に攻撃を連打するとすぐに0となってしまう。必殺技には「スペシャルスチームパワー」も備えている。
--相手のエイリアンも極太レーザーや氷塊の投下など派手な攻撃を行ってくるため、それをかいくぐって巨大ロボで蹴散らすのは中々爽快である。
-もちろん通信対戦も存在。
--ルールは相手の隊員を全滅させれば勝利の「デスマッチ」、5ターン以内に集めたメダルの枚数を競う「メダルバトル」、A.B.E.同士で戦う「A.B.E.バトル」の3種類。
---前者2つは特設マップ6種で対戦を行うもので、エイリアンでなく隊員同士で戦う独特の緊張感やゲームバランスが存在する。
--近くのプレイヤーと対戦する「ローカル通信」と遠くのプレイヤーと対戦する「インターネット対戦」が存在、さらに「誰とでも」と「大会」の2種類が存在している。
---大会は公式主導のものの他、プレイヤーが自由に開けるものも存在。プレイヤーが開催する場合はルールなどを決め、発行された大会コードを広めて、それを入力して参加したプレイヤー同士がマッチングするシステムに。
--ただしインターネット対戦はルールが3つに分かれているのもあって非常に過疎が激しく、同じプレイヤーと何度もマッチングするのはザラ。
---幸い、『Miiverse』でしばしばユーザー主催の大会が開かれているので、対戦したくばそこを覗いてみるのもいいだろう。
**評価点
-練り込まれたゲーム性。
--エイリアンの攻撃力は高く、それぞれの特性を活かしてプレイヤーを苦しめるため、何も考えずに突き進むとあっさりとやられてしまう。
---しかし、隊員やエイリアンの個性を知り、オーバーウォッチなどを駆使すればスイスイ進めるつくりになっている。前述した救済措置により、プレイが上手でなくてもゴリ押し可能。
--一度マップをクリアすればエイリアンの配置やマップのギミックも知っているため非常に楽になってしまうが、3種類の高難易度なチャレンジも存在するため新鮮な気持ちでプレイ可能。
-アメリカ風味の大胆な演出・ストーリー。
--ストーリー部分はアメコミを模しており、派手な演出を使ってテンポよく進んでいく。英語ながらボイスもついている。
---『オズの魔法使い』や『クトゥルフ神話』の要素も採用しており、クロスオーバー感も強い。
---これらのストーリー部分は資料室で閲覧も可能。他にも資料室にはサウンドルームや本作の用語集、キャラクターやエイリアンの解説も存在しており、本作の独特な世界観を深く知ることができる。
--人類サイドは終始エイリアンに追い込まれているが、大統領の放つ「なんとかしてくれる」ようなオーラや、和気藹々としている隊員たちの掛け合いもあり、ゲーム全体が絶望的な雰囲気に覆われている感じではない。
--マップでのBGMは複数用意されているが、状況に応じてそれが読み込み無しで切り替わり、任務の緊張感などを表現している。
--各キャラ初登場時やスペシャルスチームパワー使用時には固有のBGMも存在。
---作曲者は『ファイアーエムブレム 暁の女神』で知られる関河義人氏(旧平野義人氏)。
**問題点
-A.B.E.周りの粗さ。
--A.B.E.を使用して戦う超巨大エイリアンはたったの3種類。
---うち2種類はほとんど性能が同じで、パンチで転ばせてのスペシャルスチームパワーによりすぐに決着がつく。
---そして最後の1種類はラスボス。しかし弱点が隠れているのと接近戦の攻撃手段が豊富なのもあり、相手の攻撃をよけながらマシンガンを連射しているだけで片付く。
--しかし、本編クリア後に登場する16-Xこと「アルティメットA.B.E.バトル」になると話は別。3種類の巨大エイリアンと6回ずつ、計18連戦を行うことに。
---相手の体力と火力は徐々に上がっていくが、こちらは体力回復の機会が一切ないため油断は禁物。
---次第にただのレーザーで体力を半分持って行かれ、スペシャルスチームパワーでもまともに削れなくなるため、相手の攻撃を必死に避けながらマシンガンを連射するしか方法はない上、クリアまで40~50分はかかる。
---これをクリアしないと隠れキャラが登場しないと言う難点も存在。
--A.B.E.バトルもパンチとスペシャルスチームパワーの使い勝手が悪いため、お互いに遠距離からマシンガンを撃ちあうだけで巨大ロボ同士の戦いに見合わない。
--しかし、A.B.E.はストーリー上では非常に大きな役割を果たし、大統領の勇ましさを表現する舞台装置とも言えるため、こうなったのはある程度許容する必要がある。
-不便かつ、バランスも悪めな通信対戦。
--通信対戦に入るまでには、キャラクターと装備の選択を第一に行う必要があるため、メンバー変更の際にはインターネットを切断してまで戻らなければならない。
--インターネット公式大会「JapanCup」では特殊ルールなどは設けられておらず、やや淡白。
--通信対戦においては後攻プレイヤーに対してのハンデが存在しないため、基本的には先攻が有利。
---1ターン目はお互いスチーム量が5からだが、2ターン目からは通常になるため、ないよりかマシ程度の要素となっている。
--通信対戦時には通常の回復アイテム・スチーム増加アイテムの他、攻撃力アップ・体力最大値アップ・次のターンからスチーム増加量+1のアイテムが追加。これらは3個まで効果が重複するため、急所である頭部とSBPのランプを攻撃されても余裕で耐え、攻撃すれば一撃で相手を倒すことも可能なほどになる。
---なお、アイテムでの強化を含めなければ急所への攻撃は非常に有効なため、基本的には攻め有利。また、アイテムなしのステージが1つのみ存在する。
-amiiboで呼び出せるキャラが弱い。
--マルスは武器は接近戦専用のものが2つあるが、リーチが短くボス級には届かない。積極的に前に出る必要があるが、体力は130。専用SBPも増加量6・最大値12と最弱。
---オーバーウォッチを無効にするアビリティこそ強力だし、スペシャルスチームパワーは回復技だが、その2点だけで使う気が起きるかと言えば……
---原作でもマルスはそこまで強くなく、周りのユニットを指揮する立場にあるため、この性能はある意味原作再現と言えるが。
--アイクは武器の性能がかなり悪く、ルキナはメインウェポンがライオンとほぼ共通だが、体力やSBPの関係で柔らかいなど微妙な性能。
---ただし、FEキャラの中でルフレだけは誰の劣化にもならない個性的な性能を発揮している。
--amiiboキャラは倒れると消滅し、セーブポイントで復活させることができず、再使用する際にはamiiboを使わなければならない。
--また、彼ら4人とリトルA.B.E.のスペシャルスチームパワーは演出こそ異なれど、それぞれ性能が他の隊員とまったく一緒となっている。
--ストーリーには絡まないが、日本語版のボイスがついているのはファンにとって嬉しい所。
-ギアの回収が若干面倒。
--収集要素として隠れた場所にあるのは当たり前のことだが、1マップに最大3つ、任務によっては最大9個も収集することに。
---それを一層面倒にしているのは、任務は再挑戦する際も1番目から攻略する仕様。~
たとえば5-3でギアの取り逃しがあれば、5-1→5-2→5-3と順番に攻略していく必要がある。
--通信対戦ややり込みには、全部のギアを回収すると手に入る最強のSBP「L-SBP」がほぼ必須なのも面倒なところ。
**総評
歯ごたえを求めるプレイヤーにもゲームに慣れてないプレイヤーにも対応した難易度を持ち、
個性豊かなマップ構成と良好な演出によってプレイを飽きさせない。~
『FE』シリーズとのコラボを含めてもややマイナーゲームなところがあり、発売してからすぐ新品の値下がりが止まなかった。~
それを含めても高い完成度を持っていることには変わりなく、対戦ややり込みを抜きにしてもしっかりと楽しめる作品である。
*Code Name: S.T.E.A.M リンカーンVSエイリアン
【こーどねーむすちーむ りんかーん ぶいえす えいりあん】
|ジャンル|シミュレーションシューティング|&amazon(B00S66U38Y,image=https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/91VPgSYnFUL._SL160_.jpg)|
|対応機種|ニンテンドー3DS|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|インテリジェントシステムズ|~|
|発売日|2015年5月14日|~|
|定価|4,700円(税別)|~|
|周辺機器|amiibo(マルス、アイク、ルキナ、ルフレ)|~|
|レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~|
|備考|ダウンロード版・体験版が存在|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
『[[ファイアーエムブレムシリーズ]]』で知られるインテリジェントシステムズの作品。
19世紀、スチームパンク世界に襲来したエイリアンに対し、アメリカ合衆国大統領リンカーンが結成した''対エイリアン精鋭部隊「S.T.E.A.M.」''が立ち向かう。~
そしてその隊員たちは『オズの魔法使い』や『トム・ソーヤの冒険』などの文学作品や民間伝承などから構成されているのが特徴で、''「それらがすべて、同時に、本当だったら……」''をコンセプトとしている。~
また、「amiibo(アミーボ)」の使用により、マルスら『ファイアーエムブレム』のキャラクターが使用可能となっている。
**特徴
-本作の大筋はターン制のシミュレーションゲームにシューティングの要素を加えたものとなっているが、更に&bold(){「スチーム」}という要素がシステムの中核となっている。
--スチームは1マス移動すれば1つ使うが、何か起きない限りは元の位置に戻れば回復するのでスチーム量が続く限り偵察行動が可能。
--装備品の&bold(){「SBP(スチームバックパック)」}により、自軍ターン開始時に補充されるスチーム量と最大まで溜められるスチーム量が異なる。
---この他にもSBPは能力補正や特殊能力を持っていたりするが、そういったものはスチーム量に不足があり、逆にスチーム量の多いものは能力にマイナス補正がかかる。
---SBPを入手するには1マップに3つ落ちている「ギア」を既定の数まで集める必要がある。
--武器で攻撃するにも、武器ごとに決まった量だけスチームを消費する。~
また、現在装備している武器の種類とスチーム量によって、&bold(){「オーバーウォッチ」}という、敵の行動が視界に映ると自動で照準を合わせての攻撃が可能。スタン率が高くなるため、待ち伏せや反撃の有力な手段。
---たとえばスチーム消費3の「イーグルライフル」を装備し、スチームが6余った状態でターンエンドをすれば、2回オーバーウォッチが使用可能。
---オーバーウォッチによる攻撃は自動で行われるもののため、相手の行動順などによっては思い通りに命中しないこともある。
---また、エイリアンによってはオーバーウォッチを使用してくるのも存在。待機を続けているエイリアンへ不用意に近づくとハチの巣に。
-全16章構成・ステージ数は全38と豊富で個性豊かなマップが揃っている。
--4人の隊員でチームを組み、エイリアンの掃討やエリア最奥部への到達を行う任務が基本となっているが、エイリアンに氷漬けにされた人々を助け出したり、非戦闘員を護衛して先に進んだり、巨大エイリアンとの決戦が待ち受けていたりとプレイヤーを飽きさせない。
--総じて初見での難易度は高めだが、救済措置にあたる強力な要素も以下のとおり存在する。慣れればあまり使わずに攻略も可能。
---マップ攻略のヒントが書かれており、読んだ隊員のスチームが全回復する「アシストモニター」
---マップ内で集めた「名誉なメダル」を払った量に応じて、セーブと同時に体力の回復や隊員の復活もできる「セーブポイント」
---隊員ごとに設定された、強力な必殺技「スペシャルスチームパワー」(略称SSP)
--マップの他、エイリアンの種類も豊富。音に反応して突き進む「タンブラー」、地中から隊員を突き上げる「ラーカー」、上空から必ずスタン状態にする弾を撃つ「モスキート」など。
---どのエイリアンにも弱点の光る部位が存在し、そこを攻撃すれば大ダメージが与えられる。だが、弱点を守ったり隠しているエイリアンも存在。
--一度クリアしたマップに再挑戦する際には初回挑戦時と同じ「通常任務」のほか、体力やスチーム量が視認不可能になる&bold(){「ブラインドチャレンジ」}、移動するだけでスチームが消費されるようになる&bold(){「エクスペンドチャレンジ」}、エイリアンの強さが跳ね上がる&bold(){「ルナティックチャレンジ」}が選択可能。
---敵エイリアンの配置はそのままだが、これらのモードではセーブポイントやアシストモニターなど一部要素が削除されており、それぞれの仕様もあわさって一味違ったプレイが楽しめる。
--マップごとのスコアアタックも熱い。名誉なメダルの回収量に加えて、仲間の生存や目標クリアターンの達成でスコアが増加。更に各種チャレンジではスコアに補正がかかる。
---おまけ程度に、すれちがい通信ではマップごとのスコアを他のプレイヤーと競え、勝てばメダルがいくらか手に入る。
---名誉なメダルは集めればサブウェポンや称号が増えるため、スコア関係なしに集める価値はある。
--マップには世界観を感じさせる小ネタが書かれた看板が設置されており、それを回収していくのも楽しい。
-武器は隊員ごとに固定の&bold(){「メインウェポン」}と誰でも装備できる&bold(){「サブウェポン」}の2種類に分かれている。
--メインウェポンは燃費が良い上に性能も高く、「どの任務に誰を持って行くか」についてのウェイトが大きい。
--サブウェポンの多くはメインウェポンをこぢんまりとさせたものだが、だからこその利点も存在するため一概に劣化とは言い切れない。
---補助系の隊員で攻撃も可能にしたり、補助特化したり、チームの穴を埋めたりとカスタマイズの幅は広い。ただし、チームでサブウェポンを重複させてはならない。
--前述の通り、名誉なメダルが一定枚数に達するたびに、新たなサブウェポンが入手可能となっている。
--体験版をクリアした状態で本作をプレイすると、発売を控えていた『[[ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国]]』の新モードにあやかってか「フェニックスガン」と言うサブウェポンが入手できる。
-&bold(){迫力の巨大ロボ「A.B.E.」}
--時折隊員ではとても太刀打ちできない超巨大エイリアンと戦うことになるが、それとの戦いは人型戦闘エンジン「A.B.E.」が行う。乗組員は我らがリンカーン大統領その人。
---スチームは自動で溜まっていき、近距離攻撃の「スチームパンチ」・遠距離攻撃の「A.B.E.マシンガン」・スライドパッド入力方向への「ダッシュ移動」で消費。乱用するとすぐに0になってしまうので要注意。
---スペシャルスチームパワーも備えており、急所を突けば即死級のダメージを与える事も可能。
--相手のエイリアンも極太レーザーや氷塊の投下など派手な攻撃を行ってくる。それらをかいくぐって巨大ロボで蹴散らすのは中々爽快。
-&bold(){個性豊かな隊員たち}
--先述の通り、本作のキャラクターはアメリカの文学作品や民間伝承などから作られている。
---キャラごとの個性がはっきりと描写され、エイリアンに立ち向かう勇ましさと同時にどこかおかしなコミカルさも生み出している。
---任務中に喋る内容も豊富。エイリアンを倒したり、ダメージを受けたり、体力が減っていたり、味方に撃たれたり、味方が邪魔で動けなかったり、放置していたりするたびに喋り、キャラの印象を掘り下げている。
---また、世界観に沿って英語でのボイスも存在。キャラごとの口調がはっきりしているので印象深いものとなっている。
--体力や所持するメインウェポン・アビリティ・SSP、装備できるSBPなどには差異があり、どの任務に誰を持って行くかは悩みどころ。
#region(隊員の紹介)
-エイブラハム・リンカーン
--大統領でありながらS.T.E.A.M.をまとめ上げる総司令。何があっても屈しないアメリカンダンディー。
-ヘンリー・フレミング
--南北戦争を描いた小説『赤い武功章』の主人公が成長し、ベテラン兵士となった姿。本作の主人公的存在。
---ロンドンのアメリカ大使館警備長となっていたが、エイリアンの襲来や偶然の出会いからリンカーンの右腕的存在となる。
--射程とオーバーウォッチ性能に優れた「イーグルライフル」を使用。主役らしく、どのマップに連れて行ってもしっかりと活躍してくれる。
-ジョン・ヘンリー
--ヘンリーの同僚。左腕を機械にしたサイボーグ戦士。アフリカ系アメリカ人の間にある伝承の人物がモデル。
--射程は短いが、エイリアンを吹き飛ばして障害物を破壊する「ベアグレネード」が武器。体力も高めな前衛キャラ。
-ライオン
--言わずと知れた『オズの魔法使い』に登場するライオン。本作では勇敢かつコミカルな性格になっている。
--スチームの噴射で自分を吹き飛ばしてジャンプし、着地点にいるものを踏みつけるメインウェポン「スタンプリオン」が特徴的。攻撃にはもちろん、強力な移動手段としても使える。
---更に体力は全キャラ中トップクラスの210。味方の防御力をアップするアビリティ「ディフェンスアップ」も持つため、いるだけで安定感がぐっと増す。ただし大型キャラ特有の燃費の悪さには悩まされがち。
-タイガーリリー
--『ピーター・パンとウェンディ』に登場する、芯の強い性格をしたインディアン酋長の娘。本作では衛生兵かつ大学生。
--一定範囲の隊員を回復する「メディカルスワン砲」を持っているため、非常に頼りになる回復役。
---女性だけあって体力は120と低いが、即死を免れるアビリティ「ガッツ」とメインウェポンによって数値以上に粘り強く戦える。
-トム・ソーヤ
--名前通り、『トム・ソーヤの冒険』の主人公。生意気な性格のいたずら好き。
--メインウェポンの「パンチガン」は威力の低さの代わりにスチームを1しか消費せず、エイリアンもスタンさせやすい武器。
--スチーム量が多めのSBPを装備可能なのと、アビリティ「小ジャンプ」で機動力も高いので斥候役に向いている。年相応に体力は低いので下手に動かすと死にやすい。
-クイクエグ
--海洋小説『白鯨』に登場するおおらかな性格の銛打ち。ある島の王子だが、漂流したところをS.T.E.A.M.に救われた過去を持つ。
--武器となる「ペンギンボム」はクセが強い武器。発射したペンギン型爆弾は何かにぶつかるまで歩き、最後には爆発する。ペンギン視点でのカメラ操作もできるため偵察としても有用。
-スケアクロウ
--『オズの魔法使い』のカカシ。少々頼りないところもあるが陽気な性格をしている。
--メインウェポン「スタン・ザ・パンプキン」はカボチャ型爆弾を発射。次の自ターン開始時に爆発し、範囲内にいたエイリアンをスタンさせる。スタンするとオーバーウォッチが不可能となり、受けるダメージも2倍になるため戦闘が有利に進められる。
--ただし体力は全キャラ中最低の100。うっかりミスをすればスケアの死体が転がっていることも珍しくない。
-ランドルフ・カーター
--クトゥルフ神話としてその名を知られる、H.P.ラヴクラフト作『ランドルフ・カーターの陳述』に登場する作者の化身的存在。偏屈で神経質な性格をした「神秘の技術」の研究者。本作では陰で重要な役割を果たしている。
--メインウェポン「エイリアンフード」は謎の冷凍肉を射出する。エイリアンの視線を集めてフードへと誘導して一網打尽にしたり、視線を逸らして弱点を晒したりオーバーウォッチから逃れたりと色々できる。
---ちなみに通信対戦時は、射出する物体がアイテムに偽装した爆弾に変更となるため、使い勝手がまったく異なる。
--ゲーム内の資料室で閲覧できるエイリアン情報には、「ランメモ」として難解な記述を加えてくれる。
-ザ・フォックス
--卓越した技量を持つ謎の女スナイパー。公式ではどの作品が出典か明かされてはいないが、ファンの間では『怪傑ゾロ』とされている。
--狙撃銃「フォックスライフル」を持ち、遠距離からエイリアンの弱点を突ける。この時にかかるダメージ補正は非常に高く、雑魚敵は間違いなく一撃。
---オーバーウォッチ範囲を広げるアビリティ「デッドアイ」やSSPによって、そのオーバーウォッチ性能を更に高められるため、守りも強い。
-カリフィア
--『エスプランディアンの冒険』に登場する、グリフォンを駆るアマゾネスの女王がモデル。カリフォルニア出身という点以外は謎に包まれたパワフルなアフリカ系女性。
--彼女が操る「カリフィアボンバー」は射程が最大級。遠距離からの爆撃を可能とする。女性キャラの割に体力も高い。
-ティンマン
--『オズの魔法使い』のブリキの木こり。かつてはサムライだったが、事故の後に機械の体を得た経歴を持つ。
--所持する「SPリペア銃」は撃たれた仲間のスチーム量を3増加させる、非常に広い役割を持てる武器。それだけあって使い所が重要。
-ドロシー
--『オズの魔法使い』の主人公。かつて異世界オズを仲間たちと冒険した事がある少女。
--愛犬トトをモチーフにした「トトレーザー銃」は狭い扇状に20連射のレーザーを発射する武器。一見使いにくいが、近距離で弱点を突けば大ダメージが与えられる。
-ミルトン
--非戦闘員。アメリカ政府の役人で、資料作成を担当するお茶目な性格の中年男性。
--資料室で見られるキャラクター解説では「ミルメモ」と称して、キャラ設定に関する情報を付け加えている。妻も子もいる身ながら結構な女性好きの模様。
-キャシー
--非戦闘員の女性通信士。アシストモニターなどから隊員をサポートする。
#endregion
#region(その他のキャラクター)
-これらのキャラクターはSBPやサブウェポンなどの装備変更が不可能となっている。
-また、お助けキャラと言う位置づけなのでストーリーにもまったく関わらない。
-FEシリーズのキャラクターは原作でのキャストによるボイスがついている。
--SSP使用時に『覚醒』のようなカットイン演出が挿入されたり、一部の曲がシリーズの曲になるなど小ネタも多彩。
-リトルA.B.E.
--人並のサイズとなった前述の巨大ロボ「A.B.E.」。特定条件を満たすと加入。
--ライオンをわずかに上回る全キャラ中最高の体力212と、A.B.E.を模したハイスペックな装備を持つ前衛キャラ。
---ちなみにリンカーン大統領の誕生日は2月12日で、この体力値はそこから来ていると思われる。
-マルス
--『[[ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣]]』の主人公。アリティア王国の王子。
--原作での専用武器「ファルシオン」に「レイピア」を操り、相手のオーバーウォッチのダメージを0にするアビリティ「神龍の加護」を持つ。
--SSP「スターロード」を使うと、稀にそうりょリフが登場する。
-アイク
--amiiboどおりに、『[[ファイアーエムブレム 暁の女神]]』の姿で登場。グレイル傭兵団の団長。
--原作で使用していた「神剣ラグネル」と父の形見である大斧「ウルヴァン」を振り回すパワーキャラの位置づけに。
-ルフレ
--これもamiiboどおりに『[[ファイアーエムブレム 覚醒]]』のマイユニット男のデフォルトの姿。イーリス軍の軍師。
--数マス前に雷を落とす「サンダーソード」と遠距離攻撃武器かつオーバーウォッチも可能な「魔導書」を持つユニークな性能のユニット。
-ルキナ
--同じく『覚醒』に登場する、マルスの姿をした少女。
--原作でも所持していた「裏剣ファルシオン」を使うが、サブウェポンは『[[聖魔の光石>ファイアーエムブレム 聖魔の光石]]』に登場した蛇弓「ニーズヘッグ」。
---後者の武器は彼女と接点がない作品のものだが、『[[モンスターハンター フロンティアZ>モンスターハンター フロンティア オンライン]]』とのコラボでも使用していた。
#endregion
-もちろんVSモードも存在。
--ルールは相手の隊員を全滅させれば勝利の&bold(){「デスマッチ」}、5ターン以内に集めたメダルの枚数を競う&bold(){「メダルバトル」}、A.B.E.同士で戦う&bold(){「A.B.E.バトル」}の3種類。
---前者2つは特設マップ6種で対戦を行うもので、エイリアンとでなく隊員同士で戦う独特の緊張感やゲームバランスが存在する。
--インターネット対戦は「誰とでも」と「大会」の2種類が存在している。
---大会は公式主導の「Japancup」の他、プレイヤーが自由に開けるものも存在。プレイヤーが開催する場合はルールなどを決め、発行された大会コードを広めて、それを入力して参加したプレイヤー同士がマッチングするシステムに。
--ただし、「誰とでも」はルールが3つに分かれているのもあって非常に過疎が激しく、同じプレイヤーと何度もマッチングするのはザラ。
---幸い、『Miiverse』ではしばしばユーザー主催の大会が開かれているので、対戦したくば利用してみるべきだ。
**評価点
-&bold(){練り込まれたゲーム性}
--エイリアンの攻撃力は高く、それぞれの特性を活かしてプレイヤーを苦しめるため、何も考えずに突き進むとあっさりとやられてしまう。
---しかし、隊員やエイリアンの個性を知り、オーバーウォッチなどを駆使すればスイスイ進めるつくりになっている。前述した救済措置により、あまりプレイが上手でなくてもある程度のゴリ押しは可能。
--マップもバリエーション豊かかつギミックも豊富なため、プレイしていても中々飽きが来ない。
--一度マップをクリアすればエイリアンの配置やギミックも知っているため非常に楽になってしまうが、3種類の高難易度なチャレンジも存在するため新鮮な気持ちでプレイ可能。
-&bold(){アメリカ風味の大胆な演出・ストーリー}
--ストーリー部分はアメコミを模しており、効果音などを用いた派手な演出を使ってテンポよく進んでいく。
---『オズの魔法使い』や『クトゥルフ神話』の要素も骨組みに採用しており、クロスオーバー感も強い。
---これらのストーリー部分はクリア後に資料室で閲覧も可能。この資料室にはサウンドルームがある他、本作の用語集、キャラクターやエイリアンの解説も存在しており、本作の独特な世界観を深く知ることができる。
--人類サイドは終始エイリアンに追い込まれているが、大統領の放つ「なんとかしてくれる」ようなオーラや、和気藹々としている隊員たちの掛け合いもあり、ゲーム全体が絶望的な雰囲気に覆われている訳ではない。エンディングでは一本の映画を見終えたような感覚を与えてくれる。
--マップでのBGMは複数用意されているが、状況に応じてそれが読み込み無しで切り替わり、任務の緊張感などを表現している。
--各キャラ初登場時やSSP使用時には固有のBGMも存在。作曲者は『ファイアーエムブレム 暁の女神』で知られる関河義人氏(旧平野義人氏)。
**問題点
-&bold(){A.B.E.周りの粗さ}
--A.B.E.を使用して戦う超巨大エイリアンはたったの3種類。
---うち2種類は性能がほとんど同じ。どちらもパンチで転ばせてのSSPによりすぐに決着がつくが、爽快さがあるとは言え少し単調。
---そして最後の1種類はラスボス。急所が隠れているのと近距離での攻撃手段が豊富なため接近戦に持ち込むと不利になるが、遠距離戦には弱いので遠くからマシンガンを連射しているだけで片付く。
--しかし、本編クリア後に登場するステージ「アルティメットA.B.E.バトル」になると話は別。3種類の巨大エイリアンと6回ずつ、計18連戦を行うことに。
---相手の体力と火力は徐々に上がっていくが、こちらは体力回復の機会が一切ないため油断は禁物。次第にただのレーザーで体力を半分持って行かれ、SSPでもまともに削れなくなるため、相手の攻撃を必死に避けながらマシンガンを連射する単調な戦いに。クリアまで40~50分はかかる。
---時間と疲労がかかるだけで操作に慣れればクリアはそう難しくはない。また、これのクリアは隠れキャラ出現条件となっている。
--A.B.E.バトルもパンチとSSPの使い勝手が悪いため、お互いに遠距離からマシンガンを撃ちあう形になりやすく、巨大ロボ同士の戦いに見合わない。あくまでおまけ要素だろう。
--ただし、A.B.E.はストーリー上で非常に大きな役割を果たしており、それを操縦する大統領の勇ましさを表現しているもののため、これらの大味なシステムは当然のものとも言える。
-&bold(){VSモードの粗めなバランス}
--対戦においては後攻プレイヤーに対してのハンデが存在しないので、基本的には先攻が有利。
---一応、1ターン目はお互いスチーム補充量が5固定になる。だが、2ターン目からは通常の量だけ増加するため大した影響はない。
---また、インターネット対戦だと先に接続していた方が先攻をとれるシステムのため、それだけで優位をとることができる。
--マップ内に設置されたキャリアーから出るアイテムは、本編に登場する「救急パック(回復)」「スチーム缶(スチーム増加)」の他に、「パワーブースター(攻撃力アップ)」「ヘルスブースター(回復+体力最大値アップ)」「スチームブースター(次のターンからスチーム増加量+1)」の3種類が追加。これらは3個まで効果が重複し、更に永続的な効果を持つ。~
膠着状態を防ぐために搭載されたシステムだと思われるが、一撃で倒れず・相手を一撃で倒す性能にまで容易に強化できるため、パワープレイになりがち。
---さらにキャリアーは破壊力が低い武器でも壊せるため回収が容易。屋外マップ3や屋内マップ1ではこれらが密集しているので一気に壊して一気に回収、そこから強引にゲームエンドに持ち込むことが可能となる。
---トラップとして、破壊すると爆発するニセのキャリアーも存在するが、外見が本物と異なる上に毎回出現位置が固定されているためわかりやすい。そもそも爆発範囲がかなり狭いのでトラップとして機能していない。
---この傾向を抑えるためか、屋内マップ2はキャリアーが一切存在しないものの、それらのはっきりとした抑制になっているとは言い難い。
--また、6種類あるマップも、他の要素が重なることで対戦バランスの悪化につながっている。
---屋外マップ3は先攻がライオンを使うことによって、2ターン目から中央部のキャリアー密集地帯を容易に漁れる。後攻は1ターン目はスチーム量が5固定の仕様があるためこれを止める手段がなく、必然的に防戦を強いられる。~
また、ルキナは相手の攻撃が届かない初期位置からニーズヘッグで攻撃が可能。物陰に隠れれば狙いにくさからやりすごしやすいものの、大抵の場合は1人か2人は持っていかれてしまう。
---本編では選択する順番によって隊員の初期配置が決まるが、対戦では配置がランダムになる。もっともこれの影響を受けるのが屋外マップ4。~
ここは高所に2人・低所に2人と振り分けられるが、上から下に弾は届くのに対し、下から上に弾は届かないため、運の要素が非常に強くなる。
--対戦要素のあるゲームの常として、有用な隊員やサブウェポンなどの格差は大きい。
---ルールが2種類に分かれ、更に隊員ごとの個性の強さとカスタマイズ性により、まったく何の役にも立たない隊員は存在していないのが救いだろう。ただ、強キャラとされるライオン、ティンマン、カリフィアなどに対して弱キャラのランドルフやスケアクロウが勝てるかと言えば、相手が初心者でも相当難しいと言える。
---強力なサブウェポンも存在。高いスタン率と異様な硬さを持つ固定砲台「オクトパス・セントリー」、一部キャラと組ませることで永久機関状態となる「コンテナ置き大砲!」などは対策が非常に難しい。
--仕様の問題となるが、VSモードを選択すると、真っ先にキャラクターと装備の選択を第一に行うのだが、このせいでメンバー変更をする際にはインターネットを切断してここまで戻らなければならない。
-&bold(){amiiboで呼び出せるキャラ関連}
--お助けキャラながら、性能はあまり高くない。
---マルスの武器はどちらも接近戦用のものだが、リーチが短く一部ボス級の急所には届かないし、威力がべらぼうに高いわけでもない。戦うためには積極的に前に出る必要があるが、専用SBPは補充量6・最大値12と最弱の性能。ただでさえ銃撃戦主体のゲームで近距離戦を行わざるを得ないのに、その性能が悲惨と言う弱キャラに。~
オーバーウォッチを無効にするアビリティは強力で、SSPは回復技なため、まったく役に立たないと言うほどではない。原作でもそこまで強くなく周りのユニットを指揮する立場にあるため、この性能はある意味原作再現と言えるが。
---アイクの神剣ラグネルは射程こそ最大だが、その性能は「消費4で、5ダメージ×揺れ幅の大きいヒット数」。なのに当たるたびに吹き飛ばし判定が出ているためか、まったくヒット数が伸びない。同射程のカリフィアボンバーが同じ消費で50ダメージなので明らかに見合わず、原作の性能を考えると余計に弱く感じられる。サブウェポンのウルヴァンも役に立つのはせいぜい序盤まで。
---ルキナのメインウェポンの性能はライオンのとほぼ同性能ながら、こちらの体力はたった120(ライオンは210)、それに加えてスキルやSBPの補正がないため相対的に紙耐久に思えてくる。SSPの性能も悪い。~
ただし彼女の場合、サブウェポンのニーズヘッグが優秀な性能なのでなんとかやっていける。
---一方ルフレは体力やSSPなどの性能は悪くなく、それでいて武器の性能は良いため、誰の劣化にもならない個性的かつ強力な性能を有している。
---先述の通り、一切のカスタマイズ要素が使用できないのが、これらFEキャラの使いにくさを増させている。
--任務中に倒れると、隊員とは異なり完全に消滅してしまうため、セーブポイントで復活させることができない。
---こうなるとキャラ選択枠からも消滅してしまうため、再びamiiboを使う必要がある。倒れるたびに任務を中断すればこの負担は軽減されるが、もちろんそこまでの経過は水の泡となる。
--VSモードでもamiiboは使用できるが、こちらではタイトル画面に戻るたびに選択枠から消滅するため、いちいち使う必要があるのが恐ろしく面倒。
-&bold(){ギアの回収が若干面倒}
--収集要素として隠れた場所に存在しており、1マップに最大3つ、1任務で最大9個も収集する必要がある。
---これだけならよくある収集要素だが、それを一層面倒にしているのは、スコアシステムの関係で任務は再挑戦する際も1番目から攻略する仕様。~
たとえば5-3でギアの取り逃しがあったり、そのマップだけプレイしたくとも、5-1→5-2→5-3と順番に攻略していく必要がある。
**総評
歯ごたえを求めるプレイヤーにもゲームに慣れてないプレイヤーにも対応した難易度を持ち、~
個性豊かなマップ構成と良好な演出によってプレイを飽きさせない。~
ただ、『ファイアーエムブレム』シリーズとのコラボを含めてもややマイナーゲームなところがあり、発売してからすぐ新品の値下がりが止まなかった。~
そうは言っても高い完成度を持っていることには変わりなく、本編のみでもしっかりと楽しめる作品である。
**その後の展開
-2018年12月7日に発売された『[[大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL]]』に本作の楽曲「HOT SPOT_2」が収録された。