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Kunoichi -忍- - (2017/03/08 (水) 08:20:22) の最新版との変更点

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*Kunoichi -忍- 【くのいち しのび】 |ジャンル|アクション|&amazon(B0000CE7IB,image)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|セガ|~| |開発元|セガ ワウ|~| |発売日|2003年12月4日|~| |定価|6,980円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|高速忍者アクション再び&br()殺陣はより複雑かつ華麗に進化|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -セガのアクションゲーム『[[忍 -SHINOBI-]]』シリーズの一つにして、前年発売された『[[Shinobi]]』(PS2)の直接的な続編。~ ただし、前作のキャラクターはストーリー上にはほぼ登場しない。 -タイトルの通り、今作は女忍者が主人公である。 **ストーリー 前作において崩壊し、主人公の秀真(ほつま)によって救われた首都・大東京。あの惨劇から1年後、復興へと向かいはじめた大都市の各所に、再び異形の妖しい姿が出現するようになっていた。新たな事件の兆し…。その元凶を探り混乱を治めるべく、若きKunoichi、緋花(ひばな)が忍務に向かう。 **特徴 -全13ステージのステージクリア型アクション。メインミッションの他にタイムアタック、サバイバルやミッションといった特殊ステージを遊ぶシークレットモードもある。 -前作同様、ステルス要素などの無い完全に戦闘オンリーのゲームである。 -敵を連続で倒すことにより短時間の間攻撃力が増幅していく「殺陣システム」、強力な移動技「ステルスダッシュ」を軸とした高速で爽快な立ち回りはもちろん健在。~ 殺陣を繋いでボスを即死させる快感を今作でも味わえる。 -殺陣を中心としたシステムがそのままなので今作でも技数は多くないが、若干の追加が行われている(後述)。 **前作からの主な変更点 -難易度調整 --ステージ内に複数のチェックポイントが設置された。前作ではボス戦以外死ぬとステージ最初からだったのでかなり攻略が楽になった。 --イージーモードでは奈落の各所に足場が増設。落下死しにくくなっている。 -雰囲気重視でやや見辛いデザインだったゲージ類がシンプルで見やすい形式に変更。また殺陣のタイムリミットが可視化されはっきり分かるようになった。 -カメラが引き気味に調整。画面がより見やすくなった。 -攻撃関連 --メインウェポンは妖刀「現世(うつしよ)」。前作主人公の武器「悪食(あくじき)」のデチューンされたコピー品である。~ 殺陣による攻撃力の増幅が控えめである代わりに、持ち主の魂魄を喰らうというデメリットが無くなっている。~ これによりゲームシステムから「魄ゲージ」が削除され、タイムリミット的な要素は消失した。 --斬撃は従来の通常切りコンボ、ジャンプ切り、壁貼り付き切りと新規追加の小太刀攻撃。 ---小太刀攻撃はヒット数の多い回転斬撃。主に分身攻撃(後述)のゲージ溜めのために使う。 --キックは操作ボタンが独立し、空中キック、蹴り上げ、蹴り落としというバリエーションが追加された。~ 今回は装甲持ちの敵への対策として重要度が増している。~ また、ステージギミックとして飛来する大型ミサイルにキックを当てることで跳ね返すという要素も追加されている。 ---空中キックはロックオンした敵に高速で近づきつつ繰り出すので移動手段としても重宝される。総合すると殺陣と同等に使いこなすことが必須のアクションとなっている。 --溜め攻撃は「突き」から「分身攻撃」に変更。自分の分身を作り出し敵へ射出する。 ---前作の「突き」は威力が通常切りの2倍という「ちょっと強め」レベルだったのに対し分身攻撃の威力は非常に高い。~ ただし使用するためのゲージが非常に溜まりにくく、ほぼ対ボス用の必殺技という位置づけになった。~ ゲージは攻撃の連続ヒット数を稼ぐことで溜まる。 --殺陣の攻撃力増幅倍率が低下した。重要度の高さはそのままであるものの、ボスを一撃で倒すには殺陣を繋いだ上で分身攻撃の使用が必須となった((難易度ハードでは更に背後や弱点を突かなければならない。))。 -空中戦能力の強化~ --前作では空中切りを敵に当てると空中ステルスダッシュを再度行えるようになったが、今作ではこれに加え空中ジャンプ、更に前述の空中キックも再度行えるようになった。これにより主人公の滞空能力がかなり向上している。 -敵の装甲~ 敵の一部は装甲を備えており、そのままでは斬撃を受け付けない。装甲はキックで破壊することが出来る。 **評価点 -高速で爽快感のある立ち回り --ゲームの楽しみの核となる部分は前作と変わっていない。忍者らしい高速な動きで立ち回り敵を翻弄しつつ、殺陣を繋ぎ少ない手数で次々と敵を切り捨てていく独特なアクション性を楽しめる。 --緋花は前作主人公の秀真より移動速度が早く、また前述の通り空中戦能力も強化されており、前作に輪をかけて移動性能が高い。縱橫無尽に動き回ることが可能。 --イージーモードでは落下死しにくくなり、チェックポイントも出来たことでややとっつきやすいゲームになった。更に操作を簡略化したビギナーモードも存在しており、初心者への配慮がなされている。ただし難易度そのものは下がっているわけではない(後述)。 -大きくキャラ性能の異なる隠しキャラ~ 本作には三人の隠しキャラが存在する。そのうち2人は緋花と大きく性能が違い、ひと味違ったプレイを楽しめる。 --特に前作主人公・秀真の性能は緋花とはかなり差があり、技数や移動性能、溜め攻撃の安定性では引けを取るものの、火力が高く装甲を無視出来る高性能な斬撃や、威力が向上した溜め攻撃『突き』の圧倒的破壊力により一味違った爽快なプレイが可能。 **賛否両論点 -キャラデザインの方向性の変化~ 前作では主人公、敵共に大胆なアレンジが施されつつもいわゆる正統派の忍者ものに寄せた和風のデザインに統一されていた。~ 一方、今作では特に敵忍者について、装束のカラーリングがやたらビビッドでポップなイメージを与えたり、武器の選択(フスマやバズーカ砲など)やデザイン自体(子供くらいの背丈の忍者がグレートソードを自在に操って襲ってくるなど)忍者らしくないという意見が寄せられた。~ またクリーチャーデザインも前作の妖怪風のものから一変し、SFチックの生物的なデザインが多くなっている。 主人公の緋花にしても真っ白いレオタード調の装束に赤白のヘルメットというやや忍者らしくない派手なコスチュームであり、デザイン発表時には「なんだこれ戦隊物?」「ガッチャマンかなにか?((ガッチャマンも一応科学忍者だが。))」という声も聞かれた。 --しかし『[[忍 -SHINOBI-]]』シリーズ中で人気のある作品である『ザ・スーパー忍』では胡乱でギャグチックなデザインの敵キャラが多く存在していたという背景があり、本作はその路線に立ち戻っただけという意見もある。とはいえ前作と世界観を共有する直接的な続編としては明らかに路線が食い違っているのは否めない。 -戦闘がやや冗長化&br()装甲した敵はまずキックで装甲を剥がさなければならないこと(特にハードでは何発も蹴らなければいけない敵が多くなる)、分身攻撃ゲージを溜めるためにヒット数が多い代わりに攻撃時間が長めな小太刀を使わなければならないことなど必要な手数が多くなり、前作のように一撃で敵を切り捨ててはいけなくなった。前作をプレイしたユーザーからは戦闘の爽快感が低下したという声が多く上がっている。 --ただし「立ち回りが複雑化して楽しい」「小太刀の連撃が格好良く気持ちが良い」という意見もあり、前作との明確な差別化として評価できる面もある。 --隠しキャラの秀真を使ったプレイではこれらの要素がほぼ関係なくなり、前作以上の勢いでの殲滅も可能ではあるのだが、それにも後述の問題が…。 **問題点 -隠しキャラの開放条件&br()前述の隠しキャラ・秀真の使用条件が「メモリーカードに『Shinobi』のセーブデータが存在していること」。つまり本作ソフトだけではどうやっても満たすことが出来ない。抱き合わせ商法と取られかねず、一部からは疑問の声が上がった。 -秀真の仕様とゲームデザイン --殺陣を繋いで弱点を付く事で、ボスですら一撃で倒せるというのが前作及び本作の魅力であるが、隠しキャラの秀真は一部のボスに対しこれが不可能となっている。 --その理由は溜め攻撃の仕様の違い。緋花と緋花に違い性能を持つ隠しキャラが使う「分身攻撃」は、ロックオンしていれば高所にいる敵にも当たるのだが、秀真の溜め攻撃は前作仕様の「突き」をそのまま使用する為、高所にいる敵には絶対に当てることが出来ない((当初不可能と思われていたボスにもある位置から突きを撃つと体を駆け上がるようにして弱点にヒットさせられることが判明。これにより難易度ノーマルまでなら全ボス一撃殺可能であることが分かっている。ハードでもまだ挑戦中のプレイヤーがいるとかいないとか…。))。 --残り1体の隠しキャラは、通常攻撃力が緋花の半分で溜め攻撃も使えない代わりに手裏剣の所持数が無限という所謂オマケキャラで、元々一撃でボスを倒せるようには作られていない。 --それに対し、秀真は一撃必殺をウリにした前作の主人公であり、殺陣の攻撃力倍率が高い代わりに前作と同じく時間経過で魂魄とライフを失うというデメリットを持っている。そのデメリットを考えると、やはり全てのボスを一撃で倒せるように作られていなければ釣り合いが取れない。 -難易度&br()前作に比べれば色々と配慮がなされているとはいえ、落下による一発死の危険は依然健在。それどころか、主人公の空中戦能力の増強に合わせる形でより落下死しやすい戦闘シチュエーションが用意されているため、空中制御能力の低いプレイヤーにとっては更なる苦行となる可能性も増えた。 --イージーモードで追加される落下防止用の足場にしても、肝心のところに何故か無かったりするので完全な救済策にはなっていない。 -敵の空中ガード --特定の敵は空中ガードでこちらの攻撃をはじくことがあり、またガードモーションを取っているのかどうかも咄嗟には分かりにくい。~ これだけ聞くと何が問題なのか分かりにくいが、「空中切りを当てることにより空中でのステルスダッシュ・ジャンプ・キックの再使用を可能とし、空中戦を継続する」という要素がある本作において、予期しないタイミングで空中切りを弾かれるのは致命的な結果を引き起こすことが多々ある。~ 状況次第ではそのまま落下死である。ガードはキックで崩せるものの、空中キックを持たない隠しキャラでプレイしている際は理不尽に感じざるを得ない。 -ストーリー性 --前作は巨悪を討伐する王道のストーリーや主人公の悲劇性が好評を博したが、今作は一転して忍同士の内紛や巨大組織の暗部に踏み込む複雑かつ小規模な物語となっており前作ほどのカタルシスは薄い。物語が複雑化した一方でストーリー描写の比率は前作とあまり変わらないため、緋花と師匠の関係など説明不足の点が多くなってしまっている。 ---- **総評 前作の問題点の解消を図りつつ、デザイン・システム両面で緩やかなテイストの変更を行った作品。~ デザインについては賛否あるが全体の出来は爽快感のあるアクションとして高いレベルでまとまっている良作といえる。~ しかし前作で焼き付いた落下死ゲーというイメージを払拭するには至らなかったようで(実際、ノーマル以上の難易度では落下死が多いままである)セールスは良くなく、『忍 -SHINOBI-』シリーズ次作のリリースは2011年の『[[Shinobi 3D]]』まで大きく間が空くこととなる。 ---- **余談 -主人公・緋花の声優は『攻殻機動隊』の草薙素子などで有名な田中敦子。~ 緋花の性格や口調も素子と似通っている部分があり、一部ユーザーの間で緋花に「少佐」というあだ名が付いた((草薙素子の旧階級、及び通称が少佐であることから。))。 -前作に引き続き今作でも一部ユーザー間で熾烈なタイムアタック競争が繰り広げられた。~ 連続ヒット数を稼ぐことで得点が入るという新要素によりスコアアタックも期待されたが、「敵のガードをキックで崩すことで得点が入るので、延々とガード待ちすれば理論上いくらでもスコアが伸びる」という仕様もありこちらはあまり盛り上がらなかった。 **その後の展開 -2015年、『[[PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD]]』に本作主人公の緋花と前作主人公の秀真が参戦。2人の共演はPXZ2が初めてとなる。 --本作でのライバル的存在である黒鋼(くろはがね)も登場している。 ---秀真が原作開始前の状態での参戦だったのに対し、緋花は原作のステージ1前後の時系列の未来から現代にやって来たという設定。その為、緋花は『Shinobi』事件の顛末と秀真が迎える運命について知っている状態なのだが、その詳細を劇中で語ろうとはしない。原作未プレイのユーザーへの配慮ともとれる。
*Kunoichi -忍- 【くのいち しのび】 |ジャンル|アクション|&amazon(B0000CE7IB,image)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|セガ|~| |開発元|セガ ワウ|~| |発売日|2003年12月4日|~| |定価|6,980円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|高速忍者アクション再び&br()殺陣はさらに複雑に進化|~| |>|>|CENTER:''[[忍シリーズリンク>忍シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -セガのアクションゲーム『[[忍 -SHINOBI-]]』シリーズの一つにして、前年発売された『[[Shinobi]]』(PS2)の直接的な続編。~ ただし、前作のキャラクターはストーリー上にはほぼ登場しない。 -タイトルの通り、今作は女忍者が主人公である。 **ストーリー 前作において崩壊し、主人公の秀真(ほつま)によって救われた首都・大東京。あの惨劇から1年後、復興へと向かいはじめた大都市の各所に、再び異形の妖しい姿が出現するようになっていた。新たな事件の兆し…。その元凶を探り混乱を治めるべく、若きKunoichi、緋花(ひばな)が忍務に向かう。 **特徴 -全13ステージのステージクリア型アクション。メインミッションの他にタイムアタック、サバイバルやミッションといった特殊ステージを遊ぶシークレットモードもある。 -前作同様、ステルス要素などの無い完全に戦闘オンリーのゲームである。 -敵を連続で倒すことにより短時間の間攻撃力が増幅していく「殺陣システム」、強力な移動技「ステルスダッシュ」を軸とした高速で爽快な立ち回りはもちろん健在。~ 殺陣を繋いでボスを即死させる快感を今作でも味わえる。 -殺陣を中心としたシステムがそのままなので今作でも技数は多くないが、若干の追加が行われている(後述)。 **前作からの主な変更点 -難易度調整 --ステージ内に複数のチェックポイントが設置された。前作ではボス戦以外死ぬとステージ最初からだったのでかなり攻略が楽になった。 --イージーモードでは奈落の各所に足場が増設。落下死しにくくなっている。 -雰囲気重視でやや見辛いデザインだったゲージ類がシンプルで見やすい形式に変更。また殺陣のタイムリミットが可視化されはっきり分かるようになった。 -カメラが引き気味に調整。画面が見やすくなった。 -攻撃関連 --メインウェポンは妖刀「現世(うつしよ)」。前作主人公の武器「悪食(あくじき)」のデチューンされたコピー品である。~ 殺陣による攻撃力の増幅が控えめである代わりに、持ち主の魂魄を喰らうというデメリットが無くなっている。~ これによりゲームシステムから「魄ゲージ」が削除され、タイムリミット的な要素は消失した。 --斬撃は従来の通常切りコンボ、ジャンプ切り、壁貼り付き切りと新規追加の小太刀攻撃。 ---小太刀攻撃はヒット数の多い回転斬撃。主に分身攻撃(後述)のゲージ溜めのために使う。 --キックは操作ボタンが独立し、空中キック、蹴り上げ、蹴り落としというバリエーションが追加された。~ 今回は装甲持ちの敵への対策として重要度が増している。~ また、ステージギミックとして飛来する大型ミサイルにキックを当てることで跳ね返すという要素も追加されている。 ---空中キックはロックオンした敵に高速で近づきつつ繰り出すので移動手段としても重宝される。総合すると殺陣と同等に使いこなすことが必須のアクションとなっている。 --溜め攻撃は「突き」から「分身攻撃」に変更。自分の分身を作り出し敵へ射出する。 ---前作の「突き」は威力が通常切りの2倍という「ちょっと強め」レベルだったのに対し分身攻撃の威力は非常に高い。~ ただし使用するためのゲージが非常に溜まりにくく、ほぼ対ボス用の必殺技という位置づけになった。~ ゲージは攻撃の連続ヒット数を稼ぐことで溜まる。 --殺陣の攻撃力増幅倍率が低下した。重要度の高さはそのままであるものの、ボスを一撃で倒すには殺陣を繋いだ上で分身攻撃の使用が必須となった((難易度ハードでは更に背後や弱点を突かなければならない。))。 -空中戦能力の強化 --前作では空中切りを敵に当てると空中ステルスダッシュを再度行えるようになったが、今作ではこれに加え空中ジャンプ、更に前述の空中キックも再度行えるようになった。これにより主人公の滞空能力がかなり向上している。 -敵の装甲 --敵の一部は装甲を備えており、そのままでは斬撃を受け付けない。装甲はキックで破壊することが出来る。 **評価点 -高速で爽快感のある立ち回り --ゲームの楽しみの核となる部分は前作と変わっていない。忍者らしい高速な動きで立ち回り敵を翻弄しつつ、殺陣を繋ぎ少ない手数で次々と敵を切り捨てていく独特なアクション性を楽しめる。 --緋花は前作主人公の秀真より移動速度が早く、また前述の通り空中戦能力も強化されており、前作に輪をかけて移動性能が高い。縱橫無尽に動き回ることが可能。 --イージーモードでは落下死しにくくなり、チェックポイントも出来たことでややとっつきやすいゲームになった。更に操作を簡略化したビギナーモードも存在しており、初心者への配慮がうかがえる。ただし難易度そのものは下がっているわけではない(後述)。 -大きくキャラ性能の異なる隠しキャラ --本作には隠しキャラが3人存在する。そのうち2人は緋花と大きく性能が違い、ひと味違ったプレイを楽しめる。 --特に前作主人公・秀真の性能は緋花とはかなり差があり、技数や移動性能、溜め攻撃の安定性では引けを取るものの、火力が高く装甲を無視出来る高性能な斬撃や、威力が向上した溜め攻撃『突き』の圧倒的破壊力により一味違った爽快なプレイが可能。 **賛否両論点 -キャラデザインの方向性の変化 --前作では主人公、敵共に大胆なアレンジが施されつつもいわゆる正統派の忍者ものに寄せた和風のデザインに統一されていた。~ 一方、今作では特に敵忍者について、装束のカラーリングがやたらビビッドでポップなイメージを与えている、武器の選択(フスマや傘、バズーカ砲など)やデザイン自体(子供くらいの背丈の忍者がグレートソードを自在に操って襲ってくるなど)が忍者らしくないという意見が寄せられた。~ またクリーチャーデザインも前作の妖怪風のものから一変し、SFチックの生物的なデザインが多くなっている。 --主人公の緋花にしても真っ白いレオタード調の装束に赤白のヘルメットというやや忍者らしくない派手なコスチュームであり、デザイン発表時には「なんだこれ戦隊物?」「ガッチャマンかなにか?((ガッチャマンも一応科学忍者だが。))」という声も聞かれた。 --しかし『[[忍 -SHINOBI-]]』シリーズ中で人気のある作品である『[[ザ・スーパー忍]]』では胡乱でギャグチックなデザインの敵キャラが多く存在していたという背景があり、本作はその路線に立ち戻っただけという意見もある。とはいえ前作と世界観を共有する直接的な続編としては明らかに路線が食い違っているのは否めない。 -戦闘がやや冗長化 --装甲した敵はまずキックで装甲を剥がさなければならないこと(特にハードでは何発も蹴らなければいけない敵が多くなる)、分身攻撃ゲージを溜めるためにヒット数が多い代わりに攻撃時間が長めな小太刀を使わなければならないことなど必要な手数が多くなり、前作のように一撃で敵を切り捨ててはいけなくなった。前作をプレイしたユーザーからは戦闘の爽快感が低下したという声が多く上がっている。 --ただし「立ち回りが複雑化して楽しい」「小太刀の連撃が格好良く気持ちが良い」という意見もあり、前作との明確な差別化として評価できる面もある。 --隠しキャラの秀真を使ったプレイでは以上の要素がほぼ関係なくなり、前作以上の勢いでの殲滅も可能ではあるのだが、それにも後述の問題が……。 **問題点 -相変わらず高い難易度 --前作に比べれば色々と配慮されているとはいえ、落下による一発死の危険は依然健在。それどころか、主人公の空中戦能力の増強に合わせる形でさらに落下死しやすい戦闘シチュエーションが用意されているため、空中制御能力の低いプレイヤーにとっては前作以上の苦行となる可能性も増えた。 --イージーモードで追加される落下防止用の足場にしても、肝心のところに何故か無かったりするので完全な救済策にはなっていない。 -敵の空中ガード --特定の敵は空中ガードでこちらの攻撃をはじくことがある。またガードモーションを取っているのかどうかも咄嗟には分かりにくい。~ これだけ聞くと何が問題なのか分かりにくいが、「空中切りを当てることにより空中でのステルスダッシュ・ジャンプ・キックの再使用を可能とし、空中戦を継続する」という要素がある本作において、予期しないタイミングで空中切りを弾かれるのは致命的な結果を引き起こすことが多々ある。~ 状況次第ではそのまま落下死である。ガードはキックで崩せるものの、空中キックを持たない隠しキャラでプレイしている際は理不尽に感じざるを得ない。 -隠しキャラの開放条件 --前述の隠しキャラ・秀真の使用条件が「メモリーカードに『Shinobi』のセーブデータが存在していること」。つまり本作ソフトだけではどうやっても満たすことが出来ない。抱き合わせ商法と取られかねず、一部からは疑問の声が上がった。((最も前作、本作ともにワゴン化しているので、値段的な意味では問題無いが)) -秀真の仕様とゲームデザイン --殺陣を繋いで弱点を付く事で、ボスですら一撃で倒せるというのが前作及び本作の魅力であるが、隠しキャラの秀真は一部のボスに対しこれが不可能となっている。 --その原因は溜め攻撃の仕様の違いにある。緋花と緋花に近い性能を持つ隠しキャラが使う「分身攻撃」は、ロックオンしていれば高所にいる敵にも当たるのだが、秀真の溜め攻撃は前作仕様の「突き」をそのまま使用する為、高所にいる敵には絶対に当てられないのである((当初不可能と思われていたボスにもある位置から突きを撃つと体を駆け上がるようにして弱点にヒットさせられることが判明。これにより難易度ノーマルまでなら全ボス一撃殺可能であることが分かっている。ハードでもまだ挑戦中のプレイヤーがいるとかいないとか……。))。 --残り1体の隠しキャラは、通常攻撃力が緋花の半分で溜め攻撃も使えない代わりに手裏剣の所持数が無限という所謂オマケキャラで、元々一撃でボスを倒せるようには作られていない。 --それに対し、秀真は一撃必殺をウリにした前作の主人公であり、殺陣の攻撃力倍率が高い代わりに前作と同じく時間経過で魂魄とライフを失うというデメリットを持っている。そのデメリットを考えると、やはり全てのボスを一撃で倒せるように作られていなければ釣り合いが取れない。 -ストーリー性 --前作は巨悪を討伐する王道のストーリーや主人公の悲劇性が好評を博したが、今作は一転して忍同士の内紛や巨大組織の暗部に踏み込む複雑かつ小規模な物語となっておりややカタルシスが薄く、前作ほどの好評は得られなかった。 --登場するボスの忍も、前作は敵に操られているために覚悟を決めて忠義を貫く者達が多く登場していたが、今作では普通の忍たちばかりであり小物じみた言動のキャラが目立つ。前述のデザインの問題もありキャラとしての魅力に欠けるという意見が散見された。 --また、物語が複雑化した一方でストーリー描写の比率は前作とあまり変わらないため、緋花と師匠の関係など説明不足の点が多くなってしまっている。 ---- **総評 前作の問題点の解消を図りつつ、デザイン・システム両面で緩やかなテイストの変更を行った作品。~ デザインについては賛否あるが全体の出来は爽快感のあるアクションとして高いレベルでまとまっている良作といえる。~ しかし前作で焼き付いた落下死ゲーというイメージを払拭するには至らなかったようで(実際、ノーマル以上の難易度では落下死が多いままである)セールスは良くなく、『忍 -SHINOBI-』シリーズ次作のリリースは2011年の『[[Shinobi 3D]]』まで大きく間が空くこととなる。 ---- **余談 -主人公・緋花の声優は『攻殻機動隊』の草薙素子などで有名な田中敦子氏。~ 緋花の性格や口調も素子と似通っている部分があり、一部ユーザーの間で緋花に「少佐」というあだ名が付いた((草薙素子の旧階級、及び通称が少佐であることから。))。 -前作に引き続き今作でも一部ユーザー間で熾烈なタイムアタック競争が繰り広げられた。~ 連続ヒット数を稼ぐことで得点が入るという新要素によりスコアアタックも期待されたが、「敵のガードをキックで崩すことで得点が入るので、延々とガード待ちすれば理論上いくらでもスコアが伸びる」という仕様もありこちらはあまり盛り上がらなかった。 **その後の展開 -2015年、『[[PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD]]』に本作主人公の緋花と前作主人公の秀真が参戦。2人の共演はPXZ2が初めてとなる。 --本作でのライバル的存在である黒鋼(くろはがね)も登場している。 ---秀真が原作開始前の状態での参戦だったのに対し、緋花は原作のステージ1前後の時系列の未来から現代にやって来たという設定。その為、緋花は『Shinobi』事件の顛末と秀真が迎える運命について知っている状態なのだが、その詳細を劇中で語ろうとはしない。原作未プレイのユーザーへの配慮ともとれる。

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