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Mortal Kombat Shaolin Monks - (2017/03/28 (火) 23:19:00) の最新版との変更点

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*Mortal Kombat Shaolin Monks 【もーたるこんばっと しゃおりんもんくす((日本国内では「ショウリンモンクス」とも表記されるが、原語寄りの発音で記載している。))】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B0009R1T9K)| |対応機種|プレイステーション2、Xbox|~| |メディア|DVD-ROM|~| |発売元|ミッドウェイゲームズ|~| |開発元|Paradox Development|~| |発売日|2005年9月16日|~| |プレイ人数|1~2人|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|『MK1』・『MK2』を題材に取ったスピンオフ作品&br;シリーズ屈指の取っつきやすさ&br;過激で爽快なアクション&br;日本国外ではストーリー展開に批判あり|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『[[Mortal Kombat Deception]]』のほぼ1年後に発売された『モータルコンバット』シリーズのスピンオフ作品。基本的に対戦格闘ゲームだったシリーズ作品とは異なり、ステージを駆け回って敵をなぎ倒し、時には謎を解いて先へ進んでいくアクションアドベンチャー作品になっている((アクションゲームのスピンオフ作品自体は「Mortal Kombat Mythologies: Sub-Zero」「Mortal Kombat Special Forces」に続いて3作品目。))。 シリーズ元祖である『Mortal Kombat』(以下MK1)の終盤からゲームがスタートし、次作品である『[[Mortal Kombat 2]]』(以下『MK2』)のエンディングまでを再構成して描いている。 **特徴 -基本仕様 --半固定カメラの3Dアクションアドベンチャーゲーム。有名どころの他作品で言うなら『[[GOD OF WAR]]』に非常に近いゲーム性。 ---残虐演出の過激さやアクションの多彩さなど、全体を見回した際の共通点がかなり多い。 --初期状態のプレイアブルキャラクターは「リュウ・カン」「クン・ラオ」の2人だけだが、条件を満たすことでシリーズの人気キャラクターである「サブ・ゼロ」「スコーピオン」も使用可能になる。 --難易度は「NORMAL」と「HARD」の2つ。「HARD」では敵の攻撃力と防御力が増し、難易度がアップする。 --2人協力プレイが可能。その場合同じキャラクターは選択できない。 --本編とは別に2人対戦モードも用意されている。こちらでは先の4キャラクターに加え、「ジョニー・ケイジ」「レプタイル」「キタナ」「バラカ」の4人も使用できる。ただし、先に本編側で特定の条件を満たす必要がある。 -基本システム --基本技として、弱攻撃・打ち上げ攻撃・強攻撃の3種が使える。ボタンを順序よく押すことでコンボ攻撃を繰り出せる。 ---打ち上げ攻撃はヒット後にジャンプキャンセルし、続けて空中コンボを決めることができる。 --R1(RB)ボタンを押しながら攻撃ボタンを押すと、それぞれ対応するスペシャル・ムーブ(必殺技)が出せる。 --この他にも「ロックオン」「緊急回避」「ガード」「掴み」といったアクションがある。変わったところでは、掴んだ相手を前へ突き出して盾にする((いわゆるヒューマンシールド))というアクションも存在。 --体力は回復アイテムを拾うことで回復できるほか、敵を倒すだけでも一定量の体力が回復する。また、セーブポイントでセーブすることで体力が全回復する。 --敵を倒したりアイテムを得ることで経験値が貯まり、ポーズメニューから新しいコンボや必殺技、FATALITYをアンロックすることが可能。これとは別に、ゲーム中のイベントをこなすことで体力の最大値を増加させることができる。 --道中で武器が見付かることがあり、拾って使うことができる。武器を持っている最中はガードができなくなるが、武器攻撃の威力は総じて高くかなり強力。武器の種類により片手持ち・両手持ち・二刀流にモーションが分かれる。 --ゲームを進めて行くにつれて「ロングジャンプ」「壁走り」「二段ジャンプ」などの新しいアクションを習得する。これらのアクションの一部とスペシャル・ムーブは、体力ゲージの下に表示されている青いゲージを消費して発動可能。また、所謂ガードクラッシュゲージとしての役割も持ち、ゲージが少ない状態で相手の攻撃をガードするとよろめいてしまう。ゲージは該当するアクションを使用せずにいることで速やかに回復する。 -FATALITY --シリーズの顔とも言える''FATALITY''(フェイタリティ)は、ゲージが溜まった状態でL1(LB)ボタンで発動攻撃を繰り出してヒットさせた後、所定のコマンドを素早く入力することで決めることが可能。主役2人にはそれぞれ10種ずつ、残るキャラクターには2~3種が用意されている。 ---雑魚敵相手にはゲージさえあれば相手の残体力を無視して繰り出すことが可能で、決まればもちろん一撃必殺。ボス戦では今まで通り相手の体力をゼロにしてからのみ発動できるが、この時はボス毎に異なる専用のFATALITYが発動する。 ---広範囲を攻撃できる''「MULTALITY」''(マルタリティまたはムルタリティ)、一定時間パワーアップ&攻撃が変化し次々に敵を血祭りに上げられる''「BRUTALITY」''(ブルータリティ)といった特殊なFATALITYもある((BRUTALITYは過去作にも存在したが、本作ではまったく異なる仕様になっている。))。 ---FATALITYではないが、ステージに存在する針や燭台などの危険物に敵を叩き付けることにより、即死や追加ダメージなどの効果を与えることができる。従来のステージフェイタリティがオブジェクトさえあればいつでも出せるようになったとも考えられる。 -隠し要素 --ステージの端々に存在するMKマークの入った赤いコインである「Red Koin」((モータルコンバットシリーズでは「C」から始まる単語を「K」に置き換える独特の文化がある。))を入手することで、対戦モードのキャラクターやコンセプトアートなどが順次解放される。 ---Red Koinは見つけづらい場所に隠されているだけでなく、発見した時点では到達する手段が無い位置に置かれていることもしばしばある。そのようなRed Koinは、新しいアクションの習得後に戻って入手することになる。このため、ゲームが進行しても攻略済みのほぼすべての場所((例外的に、ごく一部のボス戦専用エリアは再入場不可。))へ戻ることが出来る構造になっている。 --ある場所に隠れている「スモーク」((シリーズの登場キャラクターの一人。身体から煙を上げている忍者。))に会い、彼が出す小クエスト群をすべてクリアすることで、''アーケード版『MK2』の完全移植版''がアンロックされて遊べるようになる。 **登場キャラクター #region(主要キャラクターの紹介) -Liu Kang(リュウ・カン) --主人公の一人。少林拳を使いこなす拳法の達人。秘密結社「白蓮会」の最高幹部。 --シリーズ本流の第5作『Deadly Alliance』では''オープニングデモで暗殺される''、第6作『Deception』では''ゾンビになって復活させられる''とここ最近散々な役回りが続いていたが、本作では一貫して人間の姿で主人公を務める。 --使用可能なキャラクターの中で最もスタンダードな操作性と性能を持ち、初心者でもコンボを繋ぎやすい。炎を纏った拳での攻撃は見栄えも良く爽快感が高い。 --FATALITYはお馴染みの「側転蹴り→アッパー」のコンボや龍に変身して相手を食らうものに加え、敵の四肢を次々に折るもの、敵の首をアッパーで打ち上げてから蹴り飛ばして肉体を爆散させるもの(名称は''「Shaolin Soccer」'')((ちなみに、ストーリーモードで最初に覚えるFATALITYがコレだったりする。))などバラエティ豊かな10種類を揃える。 -Kung Lao(クン・ラオ) --主人公の一人。リュウ・カンと同じく秘密結社「白蓮会」の最高幹部。鋭い刃の付いた山高帽がトレードマーク。 --達観した拳法家というこれまでのシリーズにおけるキャラクター付けに変化があり、しばしばもう一人の主人公であるリュウ・カンに食ってかかる描写が見られる。気にしない人は気にしない程度のレベルのものではあるのだが……(後述) --『MK2』での印象的な音と共に山高帽を投げつける技を筆頭に、リュウ・カンに比べて少々テクニカルな技を備える。とは言え好みのレベルで済ませられる程度で、リュウ・カンと比較して極端にゲームの難易度が上がるわけではない。少し慣れれば敵を翻弄しつつ豪快になぎ倒していける。 --FATALITYは『MK2』でも使っていた山高帽を投げつけるものと相手を真っ二つにするもの、山高帽を地面に投げつけてグラインダーのようにした後敵を切断してしまう((インパクトが大変強く、後の『MK9』にて特に内容を変更されることなくそのまま採用された。))もの、''かつてFriendshipで山高帽から出していたウサギで敵を殴り殺したりウサギを嗾けたりする''ものなど、個性あふれる10種類が用意されている。 -Sub-Zero(サブ・ゼロ) --条件を満たすと使用可能になるキャラクターの一人。暗殺集団「燐魂」の一員で、凍気の力を用いる。 --「サブ・ゼロ」という名前のキャラクターは二人存在する。ぱっと見では見分けが付かないし実際違いも無いのだが、ゲーム中で活躍するのは弟で、オープニングでスコーピオンと大立ち回りを繰り広げるのは兄。兄は後に姿を変えて復活する。 --本編では中盤に敵として登場するが、戦闘中に和解してこちらの味方になり、その後しばらく行動を共にすることになる。 --FATALITYは『MK2』で使っていた2種に加え、MK1にあった伝説の脊椎引っこ抜きが復活。ゲージさえあれば好きなだけ決めることができる。 -Scorpion(スコーピオン) --条件を満たすと使用可能になるキャラクターの一人。炎とハープーンを用いる白井流忍者。 --サブ・ゼロ(兄)に妻子と部下、そして自分自身を殺された過去を持つ((MK4で「実は別の真犯人がいた」という設定が後付けされたのだが、少なくとも本作の元となった『MK2』の時点では明確にサブ・ゼロ(兄)が殺したという設定になっていた。))。地獄から現世へ舞い戻り、彼への復讐を誓う。 --本編では後半にボスキャラクターとしてプレイヤーの前に立ちふさがる。一度倒しても''数秒後に「Inferno Scorpion」として即復活''し、再び襲い掛かってくる。攻撃の多彩さもあり、ゲーム中屈指の強敵の一人。 --FATALITYは『MK2』で使用していた2つが復刻されて使用可能。敵をハープーンで切り刻むFATALITYが3Dで拝めるのは何気に本作だけだったりする。 -Shang Tsung(シャン・ツン) --主人公たちの前に立ちはだかる宿敵。魔界に魂を売り渡した破戒僧にして妖術師。 --他の闘士に変身する能力を持ち、オープニングムービーでも存分に発揮している。プレイヤーと決着を付ける際もジョニー・ケイジ/サブ・ゼロ/レプタイルに変身し、変幻自在の攻めを見せてくる。他の3D作品では戦闘中の変身はオミットされていたため、往年のファンには嬉しい演出。 --見事勝利するとこちらがシャン・ツンにFATALITYを決めることができるが、その演出はなんと''『Deadly Alliance』のオープニングでシャン・ツンがリュウ・カンにかました跪かせてからの首折り''。リュウ・カンで決めれば憂さが晴れること請け合いである。 -Shao Kahn(シャオ・カーン) --シャン・ツンを従えていた真の黒幕にして本作のラスボス。魔界を支配する魔王であり、地球の征服を企む。 --本作ではマントの無いクラシックな装いで登場。体力を半分まで減らすと、本編ではMK3から使うようになったウォーハンマーを持ち出してくる。ハンマーでの攻撃はどれもこれも非常に痛く、ラスボスに相応しい強さを誇る。中でも定期的に繰り出す''ハンマーをジャイアントスイングの要領でぶん回しながら暴走''する攻撃(通称ハンマーダンス)はとんでもない破壊力と攻撃範囲で、うまく回避しないと簡単にやられてしまう。 --本作では仮面の下の素顔が露になるシーンがある。これまでは公式コミック版でしかお目に掛かれなかったご尊顔が拝める数少ないゲーム作品である。 #endregion **評価点 -''過激で爽快なアクション'' --このゲーム最大の売り。簡単な操作で敵を豪快になぎ倒していく爽快感が存分に味わえる。 --通常技・コンボ攻撃・スペシャルムーブなどを組み合わせて敵をボコボコにするのは大変気持ちよく、戦闘主体のアクションアドベンチャーゲームとして大変よくできている。攻撃を加えた際の感触も抜群で、敵を殴ったり蹴ったりしている感覚がしっかり伝わってくる。 --武器を使った攻撃も魅力の一つ。モータルコンバットらしく''縦に真っ二つになったり、首がスパーンと飛んだり''と実に過激で、これまた爽快感が高い。 --フィールドのあちこちに存在する危険物に敵を叩きつければ、シリーズでお馴染みのステージフェイタリティが即座に発動。針山に突き刺す、火で焼き殺す、高所から突き落とすなどは序の口で、''アイアンメイデンに閉じ込めて処刑する、生きている木に食わせる((後に『MK9』でも採用された。))、投石機に磔にしてぶっ飛ばす((これまた後に『Armageddon』でも採用された。))''など実にバリエーション豊か。プレイヤーの嗜虐心を満たしてくれる。 --細かいことだが、キャラクターのモーションもとても格好良く作られており、動かしているだけでも楽しい。操作キャラクターのみならず、敵のモーションも個性豊かで手抜かりが無い。 ---シリーズのメインキャラクターたちについては、ニュートラル構えから攻撃モーションに至るまで原作を高レベルで再現しつつ、細部がブラッシュアップされ見栄えが格段によくなっている。こうした丁寧な作り込みも爽快感のアップに一役買っていると言えよう。 -''隅々まで再現された『モータルコンバット』の世界'' --『MK1』『MK2』の戦闘ステージの数々が3Dで忠実に再現され、自由に探索することができる。いずれのエリアも原典の雰囲気を損なうこと無く奥行きを持たせており、シリーズのファンにとっては実に感慨深い。 --ステージの背景にいた「Mask Guard」や「Shadow Priest」、コミック版などで度々%%やられ役として%%描かれてきたバラカの同族「Tartaka」が雑魚敵として登場するなど、これまでの作品を知っていると嬉しくなる要素も多い。 --BGMは各ステージで流れたものをアレンジしたものが中心。どれもエリアの雰囲気に沿った形に仕上げられている。 -''間口の広い難易度'' --モータルコンバットシリーズといえば''やや癖のある操作性・やたら強いCPU・それに輪を掛けて強いボス''と高難度ゲームのイメージが強いが(特に実写取り込み時代の作品)、本作は全体的に難易度が抑えられており、気軽にプレイできるゲームになっている。 --「敵からの攻撃はダメージが低めに抑えられている」「敵を倒せば結構な量の体力が回復する」「ほとんどの攻撃はガードが可能」「セーブポイントで体力を何度でも全回復可能」「厄介な雑魚はFATALITYやデストラップを使うことで速やかに始末できる」など、ゲームの至る所にプレイヤー側が有利になる調整が施されている。 ---最初に経験するボス戦は''キタナ・ジェイド・ミリーナの3人が一斉に襲いかかってくる''という、シチュエーションだけ見るとかなり容赦ないものになっているが、これについても「キタナは多少ダメージを与えるとイベントが発生し、戦線から離脱させられる」「3人とも攻撃力が極端に低く、体力も低めに設定されている」「ジェイドとミリーナはステージに設けられた仕掛けで一方的に大ダメージを与えられるチャンスがある」など、燃えるシチュエーションを用意しつつも初心者が手詰まりにならないようきちんと配慮されている。 --壁の無い場所で敵を吹っ飛ばせば奈落の底へ落ちていくが、プレイヤーはいかなる状況でも落ちることはない。敵を容赦なく即死させるデストラップすら、こちらが接触しても多少のダメージを受けるだけで済むか、あるいはそもそも発動しないものもある。過激な見た目に反して''プレイヤーが即死する仕掛けは一切存在せず''、必ずリカバリーができる作りになっている。 --操作性もよく、上で挙げた『GOD OF WAR』や或いは『ゼルダの伝説』『真・三國無双』のような3Dアクションアドベンチャーゲームを経験していればすんなり入り込める操作体系になっている。さらにゲーム序盤はチュートリアルになっているため、そこで操作方法を学ぶことができる親切な設計。 -''豊富なFATALITY'' --主人公であるリュウ・カンとクン・ラオには実に10種ものFATALITYが用意され、お好みの大技で敵を盛大に葬ることができる。殺し方もガチなものからネタに走ったものまで豊富に取り揃えており、FATALITYに命を賭けるモータリアン((日本国内におけるモータルコンバットシリーズファンの通称。))にはたまらない一本になっている。 --サブキャラクターにも最低2種のFATALITYが用意され、その多くが原作『MK2』で使用していたもの。おなじみの技を3Dの派手な演出で心ゆくまで拝むことができる。 --エリアの奥で待ち構えるボスを倒した後には、凝った演出付きの専用FATALITYが発動。一人一人まったく異なる演出で豪快にトドメを刺すので、達成感もひとしお。ゲーム中のご褒美のひとつとして立派に機能している。 --先の通り、デストラップを使った多彩な即席ステージフェイタリティも見どころの一つ。プレイ中もついつい狙いたくなってしまうことだろう。 -''アーケード版『MK2』が遊べる'' --本編だけでも相当なボリュームと完成度だが、これに加えて条件を満たすことで''アーケード版『MK2』が遊べるようになる''というサプライズがある。アーケード版のROMをエミュレーションで動作させているため、移植度は折り紙付き。 --原作である『MK2』は本作ほどユーザーフレンドリーではないものの、負けず劣らず過激で爽快な名作格闘アクションとして知られ、人によってはこれだけでも相当な価値のある代物。それがゲーム中のミッションをこなすだけでアンロックされるのだから、相当に太っ腹と言えよう。 --ただし、細かな点で幾つか不具合が見られるのが残念なところ(後述)。プレイ感を著しく損ねるものではないのが救いか。 -''異様に気合いの入ったオープニングムービー'' --ゲームを開始すると『MK1』をモチーフにしたプリレンダのオープニングムービーが流れるが、これの熱さが''凄い''。 --開幕早々映画版のテーマ曲を思わせる''「モォォォトゥァルコンバァァァァァット!!!!」''の絶叫とドラの音が響き渡り、『MK1』に登場したキャラクターたちが本編の数倍見栄えが良いプリレンダムービー用モデルで所狭しと暴れ回る。 --ソニア対カノウの因縁の対決、雑魚相手に脊椎引っこ抜きを炸裂させるサブ・ゼロ、映画よろしくゴローに挑むも簡単にあしらわれるジョニー・ケイジと見所しか無いハイテンションのムービーがおよそ3分半続く。ハッキリ言ってモータリアンならこれだけで元が取れるレベル。ボタンを押せばいつでもスキップできるが、一度は通して観ることを推奨する。 --ゲーム本編はこのムービーから切れ目なく繋がるように作られており、イントロとしての役割もしっかり果たしている。 ---余談だが、翌年に発売された『Armageddon』も似たコンセプトで作られたやたらスケールのでかいオープニングムービーが流れ、こちらも評価が高かったりする。 **問題点 ***共通の問題点 -''エリア移動時のロード時間'' --エリア間を移動する際のロード時間がやや長めで、ゲームのテンポを削いでしまっている。 --ただし各エリアは広めに作られていて「頻繁にロードが入る」という構成では無いし、ロード中は移動先のエリアの一枚絵とゲームのアドバイスが表示されるなど、相応の配慮はなされている。 --エリアを移動する際は、所定の位置まで移動した後に×(B)ボタンを押すという操作が必要。これにより、敵の攻撃で吹き飛ばされて強制的にエリア移動させられてしまうという事態を防いでいる。 -''サブ・ゼロとスコーピオンの扱い'' --シリーズを代表する人気キャラの2人だが、シングルプレイでの扱いはあくまでオマケに過ぎない。どちらを選んでも特にストーリーが変わるということはないし、本編で2人と戦うシーンもそのままで一切変化は無い。 --セリフについても元のままなので違和感が凄い。キタナを前にして''「You are beautiful, Who are you?」''といきなり口説き始めるサブ・ゼロやスコーピオンには脱力すること間違いなし。ちなみにコレは本来リュウ・カンが口にする台詞。 ---この2人を選んだ場合、1P側ならリュウ・カンが、2P側ならクン・ラオがそれぞれ選んだキャラクターに差し替えられる。 --操作キャラクターとしてはしっかり作り込まれていて文句の無い仕上がりだが、主役2人に比べてFATALITYの数が控え目なのが少々寂しい。 -''バランスの悪い対戦モード'' --本編の操作性そのままで2人対戦ができるのだが、あまりにも本編そのままなので''コンボが尋常ではなく繋がってしまう''。上手い人なら一発引っかけてからのコンボで4割5割簡単に持って行けるので、腕の差があるとさっぱり勝負にならない。本家で導入されたコンボブレイカー((被ダメージ時に食らいモーションをキャンセルしてコンボから脱出する特殊行動。))のような防御用のサブシステムもなく、シリーズでもトップクラスの大味さを誇る。 --ついでに対戦モード専用キャラクターの4人は本編でも使用可能な4人をベースにいくつかオリジナル技を付け足したような構成(早い話が継ぎ接ぎで作られている)で、オリジナリティという面ではやや弱い。 -''アーケード版『MK2』の問題'' --本作の『MK2』は、厳密に言うと前年に発売されたオムニバス作品である『Midway Arcade Treasures 2』からの再録であり、そこで指摘された問題点がそのまま残っている。 --グラフィックやサウンドのエミュレーションに一部不完全な点がある(時折影が描写されなくなったり、サウンドが消えたりする)ことに加え、スタートボタンが反応しないという小さくない問題がある。 ---何が問題かと言うと、『MK2』の隠しキャラであるスモークと戦うためには「ある特定の条件を満たした状態で下+スタートを押す」という操作が必要なのだが、これが不可能になってしまっている。よってどうやってもスモークと戦うことができない。''本編で『MK2』を解放するのはスモークの役目だというのにこの仕打ちである''。浮かばれない。 --アーケード版『MK2』が収録されているのは北米(NTSC)版のみで、欧州(PAL)版ではこの要素はカットされている(スモークのミッション自体は残されているが、条件を満たしても解放されない)。 ---『MK2』は欧州でも稼働した実績があるだけでなく、先に記載した『Midway Arcade Treasures 2』もこれといった内容の変更もなくリリースされている。にも関わらず削除された背景は分かっていない。 ***日本国内における問題点 -''プレイする事自体が困難'' --これは本作そのものの問題というより、本作を取り巻く環境の問題。ついでに言うと本作に限った話でもないのだが、見過ごせない問題のため記載する。 --本作は主に欧州・北米に向けてリリースされており、日本では一般に流通していない。入手難自体はシリーズが新世代に突入した『Deadly Alliance』の頃から続いている悩み所ではあるが、本作もまたその例に漏れない。 --日本国内でプレイしたい場合、北米版のハード本体を調達するしか方法は無い((欧州版は映像の表示方式(PAL/NTSC)の違いで根本的に動作しない。))。PS2の場合はリージョンチェックをバイパスする機能を持った非正規品のユーティリティを使用するという手段もあるが、いずれにせよハードルはかなり高い。 --またこれに加えて、ソフト自体がPS2及び初代Xboxといういずれも後の世代のサポートが乏しい((初期型PS3にはPS2互換機能が存在したが後に廃止され、Xbox360には初代Xboxソフトとの互換機能が限定的に追加されたものの本作は対応していない。))ハードでしかリリースされておらず、それらが現役を退いて10年以上経つ現在では本国ですらプレイするためのハードルが年々高くなっている。 --以上から、ダウンロード専用タイトルとしての配信やHDリマスターを施しての再発が強く望まれているタイトルだが、今のところそれらが行われる気配は無い。 ***日本国外における問題点 -ストーリーに対する批判 --一般的に欧州・北米ではストーリーよりもゲーム性を重視すると言われているが、実際のところストーリーがまったく顧みられないというわけではなく、その出来栄えを巡って賞賛や非難を浴びるケースは日本国内に劣らず多く存在する。 --モータルコンバットシリーズがゲームとして「過激さ・残虐さ」を一番のセールスポイントにしているのは間違いないが、作品を構成する世界観やバックストーリーも思いのほかきちんと作り込まれたシリーズであり((一時期は続編が出るたびに設定に後付けを重ねてかなり混乱していたものの、それも『MK9』で仕切り直されてからはすっきりと整理されている。))、ファンの中にはそれらを大切にする層も決して少なくない。 --以上の前提を踏まえた上で、本作はしばしばストーリー構成の荒さや過去作との矛盾が指摘されており、批判が多く集まったタイトルであった。 #region(重箱の隅突きに近いので、興味のある方だけクリック) -主人公二人の描写 --リュウ・カンとクン・ラオについて。2人はこれまで冷静さの中に熱さを秘めた正統派の拳法家として描かれていたが、本作ではどちらもナイーブな面が目立ち時として衝突するなど、従前とはやや違う、良くも悪くも青臭い印象を持たせる雰囲気で描写されている。 --特にクン・ラオが顕著で、ことあるごとにリュウ・カンに突っかかるなどの描写が「キャラクターのイメージを壊している」と批判を浴びた。後の『Armageddon』では従来のイメージに立ち返っているため、開発元も「良くない変更だった」と判断したように見受けられる。 -サブ・ゼロの扱い --先に述べた通り、「サブ・ゼロ」というキャラクターは二人存在し、兄の死後に弟が新たに「サブ・ゼロ」を名乗るようになったという設定がある。 --本作の前年に発売された『Deception』で、死んだ兄は後に「ヌーブ・サイボット」として蘇っていたという設定が明かされた((正確には後付けで設定が追加された。ヌーブ・サイボット自体は『MK2』の時点で既に登場していたのだが、『Deception』に至るまで正体がサブ・ゼロ(兄)であると言及されたことは無かった。))が、この事を作中でサブ・ゼロ(弟)が知ったのも『Deception』の出来事が起きた時期であり、それまでは謎の人物として認識されていた。 --ところが本作ではサブ・ゼロ(弟)がヌーブ・サイボットを「自分の兄だ」と明言しているシーンがあり、時系列に矛盾が生じている。 --サブ・ゼロ(弟)の右目には特徴的な赤い傷が付いているが、この傷がクン・ラオによって付けられたという描写が為された。これにも批判の声が集まり、上と併せてクン・ラオの株を大きく下げてしまった。 -スコーピオンの立場 --元々スコーピオンは善にも悪にも属さない中立・孤高の存在として認識されていたが、本作では明確に敵の一人として登場。これといって関わりの無いリュウ・カンとクン・ラオに襲いかかってくる。これがスコーピオンの立ち位置に魅力を感じていたファンから批判の的となった。 --肝心のボス戦では派手な演出が惜しみなく盛り込まれて格好良く表現されていることに加え、容赦なくトドメを刺されて退場するキャラが多い中で2回もFATAITYされて尚明確に死んだと描写されず「まだまだ健在である」感が演出されている辺り、開発元もスコーピオンの人気をちゃんと理解していたようではあるのだが……。 -次々に死ぬ重要キャラたち --後の作品で活躍するキャラクターも本作に多数登場しているのだが、ボスとして戦う連中は''そのほとんどが専用のFATALITYで惨殺されている''。 --具体的にはジェイド・レプタイル・バラカなどが該当。特にジェイドは後に善玉として活躍するキャラクター((というか、悪玉キャラクターとして登場したシリーズ作品はない。『MK9』でクァン・チーに死後アンデッドとして配下にされるシーンがある程度。))でありながら''豪快に惨殺された''ことで非難を浴びた。 --その割に、進行状況によっては二度戦うことになるミリーナはいずれも逃げ果せているなど、キャラクターの扱いについてはやや疑問が残るところがある。 -その他過去作との矛盾点 --上に挙げたところでも既に幾つか出ているが、他にも過去作との矛盾点を挙げていくと数が非常に多くキリがない。論争を呼んだ描写や本編との差異については外部サイトに詳しくまとめられているため、興味がある方はそちらを参照いただきたい。([[参考サイト1(英語)>http://mortalkombat.wikia.com/wiki/Mortal_Kombat:_Shaolin_Monks#Differences_from_MKII_storyline]]、[[参考サイト2(日本語)>http://d.hatena.ne.jp/e586/20080804/1217861422]]) こうした点が積み重なり、日本国外では本作のストーリーについて厳しい意見が多数見受けられる。ただ、これについては「ゲーム自体が面白いので特に気にならない」と評価の対象としないファンもまた多いことも付記しておきたい。 #endregion 一方、日本国内ではモータルコンバットシリーズについてストーリーがさほど重視されない傾向があり、本作もまたその例に漏れない。このため、欧州・北米で取り沙汰されるようなストーリーに対する批判の声はまったくと言ってよいほど上がっていない。 **総評 シリーズ特有の過激な演出が随所に盛り込まれたアクションは高い爽快感を誇り、3Dアクションゲームとしての出来は上々。シリーズ随一の間口の広さも評価できる。細かな粗はあり、ストーリーについては否定的な意見が多いものの、それを踏まえても残虐描写とアクションゲームが苦手でなければ十分オススメできるタイトルと言える。遊ぶための環境を整えるのが年々難しくなりつつあるのが惜しまれてならない。 **余談 -ゲーム終盤にて訪れるある場所にて複雑な手順を踏むことで、隠し要素であるサバイバルモードを遊ぶことができる。 --本編からワープゾーンを経由する形でそのまま突入し、すべてクリアすると元の場所へ帰還する仕組み。 --出現させるための手順が異様に複雑な割に、クリアしても特典は無い。いわゆるイースターエッグの類であると認識されている。 -本作はこれまでに何度か他機種への移植や続編の噂が出ているが、残念ながらそのすべてが頓挫している。 --『Deception』の追加要素付きPSP移植版である『Unchained』のリリースに続いて本作も移植が予定されていたが、いつの間にかキャンセルに。 --本作リリース直後から2006年初頭にかけて、スコーピオンとサブ・ゼロを主人公に据えた事実上の続編「Mortal Kombat: Fire and Ice(仮称)」がXbox360向けに企画され、プロトタイプの開発にも着手していたが、その後お蔵入りに([[参考サイト>http://www.gameinformer.com/b/news/archive/2010/07/09/ed-boon-reveals-mk-fire-and-ice.aspx]])。ミッドウェイゲームズの経営状況悪化が原因と推測される((2005年末には同社の経営が思わしくないことが報じられていた。))。 --2013年末にシリーズの中核クリエイターであるエド・ブーンがTwitterにHDリマスターの製作を仄めかす文章を投稿するも、およそ1年後に企画が中断されたことを明かす。 -また、現行世代でのプレイ環境にも恵まれていない。 --PS3向けのPS2アーカイブスでの配信が期待されているが、2017年時点で配信の予定はなし。 --Xbox360のアップデートで追加された初代Xbox互換機能では、前後作である『Deception』と『Armageddon』が揃って対応するも、本作の対応はなされなかった。 ---直接の関係は無いが、『Deception』の前作に当たる『Deadly Alliance』も対象外。何か不都合があったのだろうか。 -改造コードを使用することで、敵キャラクターを含むすべてのキャラクターが操作できることが知られている。デバッグのための機能がそのまま残されていると見られる。 --本編に登場するキャラクターは例外なく操作可能。ほぼすべての攻撃が何らかのボタンに割り当てられており((ごく一部、操作が割り当てられていない攻撃も存在する。シャオ・カーンのハンマーダンスなど。))、敵を攻撃した場合ちゃんとヒットする。敵もこちらを攻撃対象として認識して襲いかかってくる。 --それだけに留まらず、本編には一切登場しない没キャラクターも多数存在し、同じく操作することが可能。コードで強制選択できるキャラクターのうち、実に4分の1近くが没キャラクターである。 --大半は作りかけで色化けしており、移動以外に何もできないか挙動不審なアクションしか起こせないが、中にはちゃんとした見た目のキャラクターやしっかりした攻撃アクションが製作されている者も存在する。恐らくエリアボスとして使用する予定があったのだろう巨大な敵や、開発中のスクリーンショットに映っていた中ボスらしき敵もコードで選択することができる。 -本作を開発したParadox Developmentは、未発売に終わったにも関わらず、その不謹慎な内容から界隈では非常に有名な残虐格闘ゲーム''「Thrill Kill」''の開発元でもある。その後このゲームを元にした「Wu-Tang: Shaolin Style」を開発し、こちらは無事販売に漕ぎ着けている。%%本作とは''Shaolin''繋がりがあると言えなくもない。%%
*Mortal Kombat Shaolin Monks 【もーたるこんばっと しゃおりんもんくす((日本国内では「ショウリンモンクス」とも表記されるが、原語寄りの発音で記載している。))】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B0009R1T9K)| |対応機種|プレイステーション2&br;Xbox|~| |メディア|DVD-ROM|~| |発売元|ミッドウェイゲームズ|~| |開発元|Midway Studios Los Angeles (旧:Paradox Development)|~| |発売日|2005年9月16日|~| |プレイ人数|1~2人|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|『MK1』・『MK2』を題材に取ったスピンオフ作品&br;シリーズ屈指の取っつきやすさ&br;過激で爽快なアクション&br;日本国外ではストーリー展開に批判あり|~| |>|>|CENTER:''[[Mortal Kombatシリーズリンク>Mortal Kombatシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『[[Mortal Kombat Deception]]』のほぼ1年後に発売された『モータルコンバット』シリーズのスピンオフ作品。基本的に対戦格闘ゲームだったシリーズ作品とは異なり、ステージを駆け回って敵をなぎ倒し、時には謎を解いて先へ進んでいくアクションアドベンチャー作品になっている((アクションゲームのスピンオフ作品自体は『Mortal Kombat Mythologies: Sub-Zero』『Mortal Kombat Special Forces』に続いて3作品目。))。 シリーズ元祖である『[[Mortal Kombat]]』(以下MK1)の終盤からゲームがスタートし、次作品である『[[Mortal Kombat 2]]』(以下『MK2』)のエンディングまでを再構成して描いている。 **特徴 -基本仕様 --半固定カメラの3Dアクションアドベンチャーゲーム。有名どころの他作品で言うなら『[[ゴッド・オブ・ウォー>ゴッド・オブ・ウォーシリーズ]]』に非常に近いゲーム性。 ---残虐演出の過激さやアクションの多彩さなど、全体を見回した際の共通点がかなり多い。 --初期状態のプレイアブルキャラクターは「リュウ・カン」「クン・ラオ」の2人だけだが、条件を満たすことでシリーズの人気キャラクターである「サブ・ゼロ」「スコーピオン」も使用可能になる。 --難易度は「NORMAL」と「HARD」の2つ。「HARD」では敵の攻撃力と防御力が増し、難易度がアップする。 --2人協力プレイが可能。その場合同じキャラクターは選択できない。 --本編とは別に2人対戦モードも用意されている。こちらでは先の4キャラクターに加え、「ジョニー・ケイジ」「レプタイル」「キタナ」「バラカ」の4人も使用できる。ただし、先に本編側で特定の条件を満たす必要がある。 -基本システム --基本技として、弱攻撃・打ち上げ攻撃・強攻撃の3種が使える。ボタンを順序よく押すことでコンボ攻撃を繰り出せる。 ---打ち上げ攻撃はヒット後にジャンプキャンセルし、続けて空中コンボを決めることができる。 --R1(RB)ボタンを押しながら攻撃ボタンを押すと、それぞれ対応するスペシャル・ムーブ(必殺技)が出せる。 --この他にも「ロックオン」「緊急回避」「ガード」「掴み」といったアクションがある。変わったところでは、掴んだ相手を前へ突き出して盾にする((いわゆるヒューマンシールド))というアクションも存在。 --体力は回復アイテムを拾うことで回復できるほか、敵を倒すだけでも一定量の体力が回復する。また、セーブポイントでセーブすることで体力が全回復する。 --敵を倒したりアイテムを得ることで経験値が貯まり、ポーズメニューから新しいコンボや必殺技、FATALITYをアンロックすることが可能。これとは別に、ゲーム中のイベントをこなすことで体力の最大値を増加させることができる。 --道中で武器が見付かることがあり、拾って使うことができる。武器を持っている最中はガードができなくなるが、武器攻撃の威力は総じて高くかなり強力。武器の種類により片手持ち・両手持ち・二刀流にモーションが分かれる。 --ゲームを進めて行くにつれて「ロングジャンプ」「壁走り」「二段ジャンプ」などの新しいアクションを習得する。これらのアクションの一部とスペシャル・ムーブは、体力ゲージの下に表示されている青いゲージを消費して発動可能。また、所謂ガードクラッシュゲージとしての役割も持ち、ゲージが少ない状態で相手の攻撃をガードするとよろめいてしまう。ゲージは該当するアクションを使用せずにいることで速やかに回復する。 --要所要所で『MK1』に存在した「TEST YOUR MIGHT」の連打イベントにより動かす仕掛けが登場する。ボタンを連打してゲージを規定値以上まで上げた後、R1(RB)ボタンを押すことで仕掛けが発動、先へ進めるようになる。 -FATALITY --シリーズの顔とも言える''FATALITY''(フェイタリティ)は、ゲージが溜まった状態でL1(LB)ボタンで発動攻撃を繰り出してヒットさせた後、所定のコマンドを素早く入力することで決めることが可能。主役2人にはそれぞれ10種ずつ、残るキャラクターには2~3種が用意されている。 --雑魚敵相手にはゲージさえあれば相手の残体力を無視して繰り出すことが可能で、決まればもちろん一撃必殺。ボス戦では今まで通り相手の体力をゼロにしてからのみ発動できるが、この時はボス毎に異なる専用のFATALITYが発動する。 --広範囲を攻撃できる''「MULTALITY」''(マルタリティまたはムルタリティ)、一定時間パワーアップ&攻撃が変化し次々に敵を血祭りに上げられる''「BRUTALITY」''(ブルータリティ)といった特殊なFATALITYもある((BRUTALITYは過去作にも存在したが、本作ではまったく異なる仕様になっている。))。 --FATALITYではないが、ステージに存在する針や燭台などの危険物に敵を叩き付けることにより、即死や追加ダメージなどの効果を与えることができる。従来のステージフェイタリティがオブジェクトさえあればいつでも出せるようになったとも考えられる。 -隠し要素 --ステージの端々に存在するMKマークの入った赤いコインである「Red Koin」((モータルコンバットシリーズでは「C」から始まる単語を「K」に置き換える独特の文化がある。))を入手することで、対戦モードのキャラクターやコンセプトアートなどが順次解放される。 ---Red Koinは見つけづらい場所に隠されているだけでなく、発見した時点では到達する手段が無い位置に置かれていることもしばしばある。そのようなRed Koinは、新しいアクションの習得後に戻って入手することになる。このため、ゲームが進行しても攻略済みのほぼすべての場所((例外的に、ごく一部のボス戦専用エリアは再入場不可。))へ戻ることが出来る構造になっている。 --ある場所に隠れている「スモーク」((シリーズの登場キャラクターの一人。身体から煙を上げている忍者。))に会い、彼が出す小クエスト群をすべてクリアすることで、''アーケード版『MK2』の完全移植版''がアンロックされて遊べるようになる。 **登場キャラクター #region(主要キャラクターの紹介) -Liu Kang(リュウ・カン) --主人公の一人。少林拳を使いこなす拳法の達人。秘密結社「白蓮会」の最高幹部。 --シリーズ本流の第5作『[[Deadly Alliance>Mortal Kombat Deadly Alliance]]』では''オープニングデモで暗殺される''、第6作『Deception』では''ゾンビになって復活させられる''とここ最近散々な役回りが続いていたが、本作では一貫して人間の姿で主人公を務める。 --使用可能なキャラクターの中で最もスタンダードな操作性と性能を持ち、初心者でもコンボを繋ぎやすい。炎を纏った拳での攻撃は見栄えも良く爽快感が高い。 --FATALITYはお馴染みの「側転蹴り→アッパー」のコンボや龍に変身して相手を食らうものに加え、敵の四肢を次々に折るもの、敵の首をアッパーで打ち上げてから蹴り飛ばして肉体を爆散させるもの(名称は''「Shaolin Soccer」'')((ちなみに、ストーリーモードで最初に覚えるFATALITYがコレだったりする。))などバラエティ豊かな10種類を揃える。 -Kung Lao(クン・ラオ) --主人公の一人。リュウ・カンと同じく秘密結社「白蓮会」の最高幹部。鋭い刃の付いた山高帽がトレードマーク。 --達観した拳法家というこれまでのシリーズにおけるキャラクター付けに変化があり、しばしばもう一人の主人公であるリュウ・カンに食ってかかる描写が見られる。気にしない人は気にしない程度のレベルのものではあるのだが……(後述) --『MK2』での印象的な音と共に山高帽を投げつける技を筆頭に、リュウ・カンに比べて少々テクニカルな技を備える。とは言え好みのレベルで済ませられる程度で、リュウ・カンと比較して極端にゲームの難易度が上がるわけではない。少し慣れれば敵を翻弄しつつ豪快になぎ倒していける。 --FATALITYは『MK2』でも使っていた山高帽を投げつけるものと相手を真っ二つにするもの、山高帽を地面に投げつけてグラインダーのようにした後敵を切断してしまう((インパクトが大変強く、後の『MK9』にて特に内容を変更されることなくそのまま採用された。))もの、''かつてFriendshipで山高帽から出していたウサギで敵を殴り殺したりウサギを嗾けたりする''ものなど、個性あふれる10種類が用意されている。 -Sub-Zero(サブ・ゼロ) --条件を満たすと使用可能になるキャラクターの一人。暗殺集団「燐魂」の一員で、凍気の力を用いる。 --「サブ・ゼロ」という名前のキャラクターは二人存在する。ぱっと見では見分けが付かないし実際違いも無いのだが、ゲーム中で活躍するのは弟で、オープニングでスコーピオンと大立ち回りを繰り広げるのは兄。兄は後に姿を変えて復活する。 --本編では中盤に敵として登場するが、戦闘中に和解してこちらの味方になり、その後しばらく行動を共にすることになる。 --FATALITYは『MK2』で使っていた2種に加え、MK1にあった伝説の脊椎引っこ抜きが復活。ゲージさえあれば好きなだけ決めることができる。 -Scorpion(スコーピオン) --条件を満たすと使用可能になるキャラクターの一人。炎とハープーンを用いる白井流忍者。 --サブ・ゼロ(兄)に妻子と部下、そして自分自身を殺された過去を持つ((MK4で「実は別の真犯人がいた」という設定が後付けされたのだが、少なくとも本作の元となった『MK2』の時点では明確にサブ・ゼロ(兄)が殺したという設定になっていた。))。地獄から現世へ舞い戻り、彼への復讐を誓う。 --本編では後半にボスキャラクターとしてプレイヤーの前に立ちふさがる。一度倒しても''数秒後に「Inferno Scorpion」として即復活''し、再び襲い掛かってくる。攻撃の多彩さもあり、ゲーム中屈指の強敵の一人。 --FATALITYは『MK2』で使用していた2つが復刻されて使用可能。敵をハープーンで切り刻むFATALITYが3Dで拝めるのは何気に本作だけだったりする。 -Shang Tsung(シャン・ツン) --主人公たちの前に立ちはだかる宿敵。魔界に魂を売り渡した破戒僧にして妖術師。 --他の闘士に変身する能力を持ち、オープニングムービーでも存分に発揮している。プレイヤーと決着を付ける際もジョニー・ケイジ/サブ・ゼロ/レプタイルに変身し、変幻自在の攻めを見せてくる。他の3D作品では戦闘中の変身はオミットされていたため、往年のファンには嬉しい演出。 --見事勝利するとこちらがシャン・ツンにFATALITYを決めることができるが、その演出はなんと''『Deadly Alliance』のオープニングでシャン・ツンがリュウ・カンにかました跪かせてからの首折り''。リュウ・カンで決めれば憂さが晴れること請け合いである。 -Shao Kahn(シャオ・カーン) --シャン・ツンを従えていた真の黒幕にして本作のラスボス。魔界を支配する魔王であり、地球の征服を企む。 --本作ではマントの無いクラシックな装いで登場。体力を半分まで減らすと、本編ではMK3から使うようになったウォーハンマーを持ち出してくる。ハンマーでの攻撃はどれもこれも非常に痛く、ラスボスに相応しい強さを誇る。中でも定期的に繰り出す''ハンマーをジャイアントスイングの要領でぶん回しながら暴走''する攻撃(通称ハンマーダンス)はとんでもない破壊力と攻撃範囲で、うまく回避しないと簡単にやられてしまう。 --本作では仮面の下の素顔が露になるシーンがある。これまでは公式コミック版でしかお目に掛かれなかったご尊顔が拝める数少ないゲーム作品である。 #endregion **評価点 -''過激で爽快なアクション'' --このゲーム最大の売り。簡単な操作で敵を豪快になぎ倒していく爽快感が存分に味わえる。 --通常技・コンボ攻撃・スペシャルムーブなどを組み合わせて敵をボコボコにするのは大変気持ちよく、戦闘主体のアクションアドベンチャーゲームとして大変よくできている。攻撃を加えた際の感触も抜群で、敵を殴ったり蹴ったりしている感覚がしっかり伝わってくる。 --武器を使った攻撃も魅力の一つ。モータルコンバットらしく''縦に真っ二つになったり、首がスパーンと飛んだり''と実に過激で、これまた爽快感が高い。 --フィールドのあちこちに存在する危険物に敵を叩きつければ、シリーズでお馴染みのステージフェイタリティが即座に発動。針山に突き刺す、火で焼き殺す、高所から突き落とすなどは序の口で、''アイアンメイデンに閉じ込めて処刑する、生きている木に食わせる((後に『MK9』でも採用された。))、投石機に磔にしてぶっ飛ばす((これまた後に『Armageddon』でも採用された。))''など実にバリエーション豊か。プレイヤーの嗜虐心を満たしてくれる。 --細かいことだが、キャラクターのモーションもとても格好良く作られており、動かしているだけでも楽しい。操作キャラクターのみならず、敵のモーションも個性豊かで手抜かりが無い。 ---シリーズのメインキャラクターたちについては、ニュートラル構えから攻撃モーションに至るまで原作を高レベルで再現しつつ、細部がブラッシュアップされ見栄えが格段によくなっている。こうした丁寧な作り込みも爽快感のアップに一役買っていると言えよう。 -''隅々まで再現された『モータルコンバット』の世界'' --『MK1』『MK2』の戦闘ステージの数々が3Dで忠実に再現され、自由に探索することができる。いずれのエリアも原典の雰囲気を損なうこと無く奥行きを持たせており、シリーズのファンにとっては実に感慨深い。 --ステージの背景にいた「Mask Guard」や「Shadow Priest」、コミック版などで度々%%やられ役として%%描かれてきたバラカの同族「Tartaka」が雑魚敵として登場するなど、これまでの作品を知っていると嬉しくなる要素も多い。 --BGMは各ステージで流れたものをアレンジしたものが中心。どれもエリアの雰囲気に沿った形に仕上げられている。 -''間口の広い難易度'' --モータルコンバットシリーズといえば''やや癖のある操作性・やたら強いCPU・それに輪を掛けて強いボス''と高難度ゲームのイメージが強いが(特に実写取り込み時代の作品)、本作は全体的に難易度が抑えられており、気軽にプレイできるゲームになっている。 --「敵からの攻撃はダメージが低めに抑えられている」「敵を倒せば結構な量の体力が回復する」「ほとんどの攻撃はガードが可能」「セーブポイントで体力を何度でも全回復可能」「厄介な雑魚はFATALITYやデストラップを使うことで速やかに始末できる」など、ゲームの至る所にプレイヤー側が有利になる調整が施されている。 ---最初に経験するボス戦は''キタナ・ジェイド・ミリーナの3人が一斉に襲いかかってくる''という、シチュエーションだけ見るとかなり容赦ないものになっているが、これについても「キタナは多少ダメージを与えるとイベントが発生し、戦線から離脱させられる」「3人とも攻撃力が極端に低く、体力も低めに設定されている」「ジェイドとミリーナはステージに設けられた仕掛けで一方的に大ダメージを与えられるチャンスがある」など、燃えるシチュエーションを用意しつつも初心者が手詰まりにならないようきちんと配慮されている。 --壁の無い場所で敵を吹っ飛ばせば奈落の底へ落ちていくが、プレイヤーはいかなる状況でも落ちることはない。敵を容赦なく即死させるデストラップすら、こちらが接触しても多少のダメージを受けるだけで済むか、あるいはそもそも発動しないものもある。過激な見た目に反して''プレイヤーが即死する仕掛けは一切存在せず''、必ずリカバリーができる作りになっている。 --操作性もよく、上で挙げた『ゴッド・オブ・ウォー』や或いは『ゼルダの伝説』『真・三國無双』のような3Dアクションアドベンチャーゲームを経験していればすんなり入り込める操作体系になっている。さらにゲーム序盤はチュートリアルになっているため、そこで操作方法を学ぶことができる親切な設計。 -''豊富なFATALITY'' --主人公であるリュウ・カンとクン・ラオには実に10種ものFATALITYが用意され、お好みの大技で敵を盛大に葬ることができる。殺し方もガチなものからネタに走ったものまで豊富に取り揃えており、FATALITYに命を賭けるモータリアン((日本国内におけるモータルコンバットシリーズファンの通称。))にはたまらない一本になっている。 --サブキャラクターにも最低2種のFATALITYが用意され、その多くが原作『MK2』で使用していたもの。おなじみの技を3Dの派手な演出で心ゆくまで拝むことができる。 --エリアの奥で待ち構えるボスを倒した後には、凝った演出付きの専用FATALITYが発動。一人一人まったく異なる演出で豪快にトドメを刺すので、達成感もひとしお。ゲーム中のご褒美のひとつとして立派に機能している。 --先の通り、デストラップを使った多彩な即席ステージフェイタリティも見どころの一つ。プレイ中もついつい狙いたくなってしまうことだろう。 -''アーケード版『MK2』が遊べる'' --本編だけでも相当なボリュームと完成度だが、これに加えて条件を満たすことで''アーケード版『MK2』が遊べるようになる''というサプライズがある。アーケード版のROMをエミュレーションで動作させているため、移植度は折り紙付き。 --原作である『MK2』は本作ほどユーザーフレンドリーではないものの、負けず劣らず過激で爽快な名作格闘アクションとして知られ、人によってはこれだけでも相当な価値のある代物。それがゲーム中のミッションをこなすだけでアンロックされるのだから、相当に太っ腹と言えよう。 --ただし、細かな点で幾つか不具合が見られるのが残念なところ(後述)。プレイ感を著しく損ねるものではないのが救いか。 -''異様に気合いの入ったオープニングムービー'' --ゲームを開始すると『MK1』をモチーフにしたプリレンダのオープニングムービーが流れるが、これの熱さが''凄い''。 --開幕早々映画版のテーマ曲を思わせる''「モォォォトゥァルコンバァァァァァット!!!!」''の絶叫とドラの音が響き渡り、『MK1』に登場したキャラクターたちが本編の数倍見栄えが良いプリレンダムービー用モデルで所狭しと暴れ回る。 --ソニア対カノウの因縁の対決、雑魚相手に脊椎引っこ抜きを炸裂させるサブ・ゼロ、映画よろしくゴローに挑むも簡単にあしらわれるジョニー・ケイジと見所しか無いハイテンションのムービーがおよそ3分半続く。ハッキリ言ってモータリアンならこれだけで元が取れるレベル。ボタンを押せばいつでもスキップできるが、一度は通して観ることを推奨する。 --ゲーム本編はこのムービーから切れ目なく繋がるように作られており、イントロとしての役割もしっかり果たしている。 ---余談だが、翌年に発売された『[[Armageddon>Mortal Kombat Armageddon]]』も似たコンセプトのやたらスケールのでかいオープニングムービーがあり、こちらも評価が高かったりする。 **問題点 -''エリア移動時のロード時間'' --エリア間を移動する際のロード時間がやや長めで、ゲームのテンポを削いでしまっている。 --ただし各エリアは広めに作られていて「頻繁にロードが入る」という構成では無いし、ロード中は移動先のエリアの一枚絵とゲームのアドバイスが表示されるなど、相応の配慮はなされている。 --エリアを移動する際は、所定の位置まで移動した後に×(B)ボタンを押すという操作が必要。これにより、敵の攻撃で吹き飛ばされて強制的にエリア移動させられてしまうという事態を防いでいる。 -''サブ・ゼロとスコーピオンの扱い'' --シリーズを代表する人気キャラの2人だが、シングルプレイでの扱いはあくまでオマケに過ぎない。どちらを選んでも特にストーリーが変わるということはないし、本編で2人と戦うシーンもそのままで一切変化は無い。 --セリフについても元のままなので違和感が凄い。キタナを前にして''「You are beautiful, Who are you?」''といきなり口説き始めるサブ・ゼロやスコーピオンには脱力すること間違いなし。ちなみにコレは本来リュウ・カンが口にする台詞。 ---この2人を選んだ場合、1P側ならリュウ・カンが、2P側ならクン・ラオがそれぞれ選んだキャラクターに差し替えられる。 --操作キャラクターとしてはしっかり作り込まれていて文句の無い仕上がりだが、主役2人に比べてFATALITYの数が控え目なのが少々寂しい。 -''バランスの悪い対戦モード'' --本編の操作性そのままで2人対戦ができるのだが、あまりにも本編そのままなので''コンボが尋常ではなく繋がってしまう''。上手い人なら一発引っかけてからのコンボで4割5割簡単に持って行けるので、腕の差があるとさっぱり勝負にならない。本家で導入されたコンボブレイカー((被ダメージ時に食らいモーションをキャンセルしてコンボから脱出する特殊行動。))のような防御用のサブシステムもなく、シリーズでもトップクラスの大味さを誇る。 --ついでに対戦モード専用キャラクターの4人は本編でも使用可能な4人をベースにいくつかオリジナル技を付け足したような構成(早い話が継ぎ接ぎで作られている)で、オリジナリティという面ではやや弱い。 -''アーケード版『MK2』の問題'' --本作の『MK2』は、厳密に言うと前年に発売されたオムニバス作品である『Midway Arcade Treasures 2』からの再録であり、そこで指摘された問題点がそのまま残っている。 --グラフィックやサウンドのエミュレーションに一部不完全な点がある(時折影が描写されなくなったり、サウンドが消えたりする)ことに加え、スタートボタンが反応しないという小さくない問題がある。 ---何が問題かと言うと、『MK2』の隠しキャラであるスモークと戦うためには「ある特定の条件を満たした状態で下+スタートを押す」という操作が必要なのだが、これが不可能になってしまっている。よってどうやってもスモークと戦うことができない。''本編で『MK2』を解放するのはスモークの役目だというのにこの仕打ちである''。浮かばれない。 --アーケード版『MK2』が収録されているのは北米(NTSC)版のみで、欧州(PAL)版ではこの要素はカットされている(スモークのミッション自体は残されているが、条件を満たしても解放されない)。 ---『MK2』は欧州でも稼働した実績があるだけでなく、先に記載した『Midway Arcade Treasures 2』もこれといった内容の変更もなくリリースされている。にもかかわらず削除された背景は分かっていない。 ---なお、MKシリーズはドイツ国内で販売禁止になった事があるため、一部ではそれが起因しているのではないかとも言われている。 //***日本国内における問題点 // //-''プレイする事自体が困難'' //--これは本作そのものの問題というより、本作を取り巻く環境の問題。ついでに言うと本作に限った話でもないのだが、見過ごせない問題のため記載する。 //--本作は主に欧州・北米に向けてリリースされており、日本では一般に流通していない。入手難自体はシリーズが新世代に突入した『Deadly Alliance』の頃から続いている悩み所ではあるが、本作もまたその例に漏れない。 //--日本国内でプレイしたい場合、北米版のハード本体を調達するしか方法は無い((欧州版は映像の表示方式(PAL/NTSC)の違いで根本的に動作しない。))。PS2の場合はリージョンチェックをバイパスする機能を持った非正規品のユーティリティを使用するという手段もあるが、いずれにせよハードルはかなり高い。 //--またこれに加えて、ソフト自体がPS2及び初代Xboxといういずれも後の世代のサポートが乏しい((初期型PS3にはPS2互換機能が存在したが後に廃止され、Xbox360には初代Xboxソフトとの互換機能が限定的に追加されたものの本作は対応していない。))ハードでしかリリースされておらず、それらが現役を退いて10年以上経つ現在では本国ですらプレイするためのハードルが年々高くなっている。 ////--以上から、ダウンロード専用タイトルとしての配信やHDリマスターを施しての再発が強く望まれているタイトルだが、今のところそれらが行われる気配は無い。 ***日本国外における問題点 -''ストーリーに対する批判'' --一般的に欧州・北米ではストーリーよりもゲーム性を重視すると言われているが、実際のところストーリーがまったく顧みられないというわけではなく、その出来栄えを巡って賞賛や非難を浴びるケースは日本国内に劣らず多く存在する。 --モータルコンバットシリーズがゲームとして「過激さ・残虐さ」を一番のセールスポイントにしているのは間違いないが、作品を構成する世界観やバックストーリーも思いのほかきちんと作り込まれたシリーズであり((一時期は続編が出るたびに設定に後付けを重ねてかなり混乱していたものの、それも『MK9』で仕切り直されてからはすっきりと整理されている。))、ファンの中にはそれらを大切にする層も決して少なくない。 --以上の前提を踏まえた上で、本作はしばしばストーリー構成の粗さや過去作との矛盾が指摘されており、批判が多く集まったタイトルであった。 #region(重箱の隅突きに近いので、興味のある方だけクリック) -主人公二人の描写 --リュウ・カンとクン・ラオについて。2人はこれまで冷静さの中に熱さを秘めた正統派の拳法家として描かれていたが、本作ではどちらもナイーブな面が目立ち時として衝突するなど、従前とはやや違う、良くも悪くも青臭い印象を持たせる雰囲気で描写されている。 --特にクン・ラオが顕著で、ことあるごとにリュウ・カンに突っかかるなどの描写が「キャラクターのイメージを壊している」と批判を浴びた。後の『Armageddon』では従来のイメージに立ち返っているため、開発元も「良くない変更だった」と判断したように見受けられる。 -サブ・ゼロの扱い --先に述べた通り、「サブ・ゼロ」というキャラクターは二人存在し、兄の死後に弟が新たに「サブ・ゼロ」を名乗るようになったという設定がある。 --本作の前年に発売された『Deception』で、死んだ兄は後に「ヌーブ・サイボット」として蘇っていたという設定が明かされた((正確には後付けで設定が追加された。ヌーブ・サイボット自体は『MK2』の時点で既に登場していたのだが、『Deception』に至るまで正体がサブ・ゼロ(兄)であると言及されたことは無かった。))が、この事を作中でサブ・ゼロ(弟)が知ったのも『Deception』の出来事が起きた時期であり、それまでは謎の人物として認識されていた。 --ところが本作ではサブ・ゼロ(弟)がヌーブ・サイボットを「自分の兄だ」と明言しているシーンがあり、時系列に矛盾が生じている。 --サブ・ゼロ(弟)の右目には特徴的な赤い傷が付いているが、この傷がクン・ラオによって付けられたという描写が為された。これにも批判の声が集まり、上と併せてクン・ラオの株を大きく下げてしまった。 -スコーピオンの立場 --元々スコーピオンは善にも悪にも属さない中立・孤高の存在として認識されていたが、本作では明確に敵の一人として登場。これといって関わりの無いリュウ・カンとクン・ラオに襲いかかってくる。これがスコーピオンの立ち位置に魅力を感じていたファンから批判の的となった。 --肝心のボス戦では派手な演出が惜しみなく盛り込まれて格好良く表現されていることに加え、容赦なくトドメを刺されて退場するキャラが多い中で2回もFATAITYされて尚明確に死んだと描写されず「まだまだ健在である」感が演出されている辺り、開発元もスコーピオンの人気をちゃんと理解していたようではあるのだが……。 -次々に死ぬ重要キャラたち --後の作品で活躍するキャラクターも本作に多数登場しているのだが、ボスとして戦う連中は''そのほとんどが専用のFATALITYで惨殺されている''。 --具体的にはジェイド・レプタイル・バラカなどが該当。特にジェイドは後に善玉として活躍するキャラクター((というか、悪玉キャラクターとして登場したシリーズ作品はない。『MK9』でクァン・チーに死後アンデッドとして配下にされるシーンがある程度。))でありながら''豪快に惨殺された''ことで非難を浴びた。 --その割に、進行状況によっては二度戦うことになるミリーナはいずれも逃げ果せているなど、キャラクターの扱いについてはやや疑問が残るところがある。 -その他過去作との矛盾点 --上に挙げたところでも既に幾つか出ているが、他にも過去作との矛盾点を挙げていくと数が非常に多くキリがない。論争を呼んだ描写や本編との差異については外部サイトに詳しくまとめられているため、興味がある方はそちらを参照いただきたい。([[参考サイト1(英語)>http://mortalkombat.wikia.com/wiki/Mortal_Kombat:_Shaolin_Monks#Differences_from_MKII_storyline]]、[[参考サイト2(日本語)>http://d.hatena.ne.jp/e586/20080804/1217861422]]) こうした点が積み重なり、日本国外では本作のストーリーについて厳しい意見が多数見受けられる。ただ、これについては「ゲーム自体が面白いので特に気にならない」と評価の対象としないファンもまた多いことも付記しておきたい。 #endregion 一方、日本国内ではモータルコンバットシリーズについてストーリーがさほど重視されない傾向があり、本作もまたその例に漏れない。このため、欧州・北米で取り沙汰されるようなストーリーに対する批判の声はまったくと言ってよいほど上がっていない。 **総評 シリーズ特有の過激な演出が随所に盛り込まれたアクションは高い爽快感を誇り、3Dアクションゲームとしての出来は上々。シリーズ随一の間口の広さも評価できる。細かな粗はあり、ストーリーについては否定的な意見が多いものの、それを踏まえても残虐描写とアクションゲームが苦手でなければ十分オススメできるタイトルと言える。 **余談 -2008年に、本作と『Deception』『Armageddon』が3本セットになった『Mortal Kombat Kollection』がPS2向けに発売された。 --2011年に発売された『Mortal Kombat Arcade Kollection』には、アーケード版『MK1』『MK2』『UMK3』が収録されている。単に『Kollection』または『Mortal Kombat Kollection』と呼ばれた場合こちらを指すこともあるので注意が必要。 -ゲーム終盤に訪れるある場所において複雑な手順を踏むことにより、隠し要素であるサバイバルモードを遊ぶことができる。 --本編からワープゾーンを経由する形でそのまま突入し、すべてクリアすると元の場所へ帰還する仕組み。 --出現させるための手順が異様に複雑な割に、クリアしても特典は無い。いわゆるイースターエッグの類であると認識されている。 -本作はこれまでに何度か他機種への移植や続編の噂が出ているが、残念ながらそのすべてが頓挫している。 --『Deception』の追加要素付きPSP移植版である『Unchained』のリリースに続いて本作も移植が予定されていたが、いつの間にかキャンセルに。 --本作リリース直後から2006年初頭にかけて、スコーピオンとサブ・ゼロを主人公に据えた事実上の続編「Mortal Kombat: Fire and Ice(仮称)」がXbox360向けに企画され、プロトタイプの開発にも着手していたが、その後お蔵入りに([[参考サイト>http://www.gameinformer.com/b/news/archive/2010/07/09/ed-boon-reveals-mk-fire-and-ice.aspx]])。ミッドウェイゲームズの経営状況悪化が原因と推測される((2005年末には同社の経営が思わしくないことが報じられていた。))。 --2013年末にシリーズの中核クリエイターであるエド・ブーンがTwitterにHDリマスターの製作を仄めかす文章を投稿するも、それから約1年後に企画が中断されたことを明かす。 --また、現行世代でのプレイ環境にも恵まれていない。 ---PS3向けのPS2アーカイブスでの配信が期待されているが、2017年時点で配信の予定はなし。 ---Xbox360のアップデートで追加された初代Xbox互換機能では、前後作である『Deception』と『Armageddon』が揃って対応するも、本作の対応はなされなかった。((直接の関係は無いが、『Deception』の前作に当たる『Deadly Alliance』も対象外。何か不都合があったのだろうか。)) -改造コードを使用することで、敵キャラクターを含むすべてのキャラクターが操作できることが知られている。デバッグのための機能がそのまま残されていると見られる。 --本編に登場するキャラクターは例外なく操作可能。ほぼすべての攻撃が何らかのボタンに割り当てられており((ごく一部、操作が割り当てられていない攻撃も存在する。シャオ・カーンのハンマーダンスなど。))、敵を攻撃した場合ちゃんとヒットする。敵もこちらを攻撃対象として認識して襲いかかってくる。 --それだけに留まらず、本編には一切登場しない没キャラクターも多数存在し、同じく操作することが可能。コードで強制選択できるキャラクターのうち、実に4分の1近くが没キャラクターである。 --大半は作りかけで色化けしており、移動以外に何もできないか挙動不審なアクションしか起こせないが、中にはちゃんとした見た目のキャラクターやしっかりした攻撃アクションが製作されている者も存在する。恐らくエリアボスとして使用する予定があったのだろう巨大な敵や、開発中のスクリーンショットに映っていた中ボスらしき敵もコードで選択することができる。 -本作を開発したMidway Studios Los Angelesは、未発売に終わったにもかかわらず、その不謹慎な内容から界隈では非常に有名な残虐格闘ゲーム''「Thrill Kill」''の開発元であるParadox Developmentが前身((本作発売の前年にMidwayの買収を受けたことで社名が変わった))。後に『Thrill Kill』のシステムをベースに、アメリカのヒップホップグループ「Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)」をフィーチャーした3D格闘ゲーム『Wu-Tang: Shaolin Style』を開発し、無事販売に漕ぎ着けている。%%本作とは''Shaolin''繋がりがあると言えなくもない。%% --デベロッパー自体はその後、2008年にMidwayのサンディエゴスタジオと合併。その翌年にMidwayが倒産し、開発スタッフの4割はTHQへ移り、それ以外の多くは後に『Deadpool』((言うまでもないがマーベルのキャラの方のゲーム))や『Destiny』((こちらはBungieの他、同じActivision傘下のRadical Entertainmentとの共同開発))などを手がけたActivision傘下のHIGH MOON STUDIOSへ移ることとなった。 -本作のシャオ・カーンの声優及びナレーターはMK2~MKT((当時はモータルコンバットの主催者(すなわち同作のラスボス)がナレーションを兼任するという設定だった。))まで同役を演じた&bold(){Steve Ritchie}氏であり、古くからのモータリアンやシャオ・カーンのファンを歓喜させた。 --Steve氏が同役を担当したのは現在のところ本作が最後である。Steve氏は歴代のシャオ・カーンの声優の中でも特に高い人気を誇っているために、今でも彼の復活を望んでいるファンは多い。

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