スーパーマリオランド3 ワリオランド
【すーぱーまりおらんどすりー わりおらんど】
ジャンル
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アクション
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 裏を見る
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対応機種
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ゲームボーイ
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メディア
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4MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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任天堂
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発売日
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1994年1月21日
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定価
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3,900円(税別)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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3個(バッテリーバックアップ)
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レーティング
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【VC】CERO:A(全年齢対象)
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配信
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バーチャルコンソール 【3DS】2011年12月14日/400円(税込)
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書換
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ニンテンドウパワー 2000年3月1日/800円/F×4・B×1
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判定
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良作
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ポイント
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初のワリオ主人公作品 マリオにはないパワフルなアクションが売り
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マリオシリーズ
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ワリオシリーズ
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概要
『スーパーマリオランド2 6つの金貨』に続く『スーパーマリオランド』シリーズの第3作であると同時に、『ワリオランド』シリーズの第1作。
『6つの金貨』の悪役として登場したワリオの主役デビュー作である。
タイトルこそ『スーパーマリオランド3』と付いているものの、本作でのマリオは脇役で出番がほぼ無く、主人公はワリオである。
ストーリー
自分のお城がどうしても欲しくなったワリオは、幼なじみのマリオの城を奪い取ろうとして失敗しました(これは『スーパーマリオランド2 6つの金貨』のお話)。
失敗したワリオはあきらめるどころか、ますますお城が欲しくなったのです。そして、何とか手に入れる方法はないものかと考えていました。
そういえば最近、巨大な黄金像が海賊に盗まれて、あのマリオの奴が取り戻そうと探しているというウワサを聞いたな。
海賊なら、他にも宝やコインをいっぱい持っているはずだ。それを横取りするのだ!
これならラクにお城が手に入るぞ、ガハハハハ…! そうと決まったら、すぐ出発だ!
ワリオは、意気揚揚と出発しました。
……しかし、この海賊はブラックシュガー団といって、キャプテンシロップを中心とする、海賊の中でも1・2を争う荒くれの集まりなのです。
ワリオは島にかくされた財宝やコインを見つけだし、みごと横取りに成功できるでしょうか?
そして、どんなワリオ城が建てられるのでしょうか?
(※バーチャルコンソール版の説明書より引用)
特徴
基本システム
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完全オートセーブ。各コースクリアの度に毎回ゲーム進行度が保存される。
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前作「6つの金貨」と同じく、広大なワールドマップにある7つのエリア内の各コースをクリアしていくコース選択方式。
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ただ、前作と異なり最初から全てのエリアを自由に行き来することはできず、最初のエリアから順番にクリアし、島の深部へ徐々に進むゲームデザインとなっている。
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普通にプレイすれば6エリアで終わるが、隠しエリアが1つと、各エリアに隠しコースが存在する。分岐ゴールのあるコースは◎で示される。
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条件を満たすと地形が変化するコースもある。
アクション
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ワリオの攻撃手段は踏みつけと体当たり。
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体当たりで敵を倒したり、ブロックを壊しながら進んでいくパワフルなアクションはマリオとは大きく異なる趣きであり、かつ本作の魅力の1つ。
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また、変身(後述)により、新たなアクションを身に付けられる。
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その他、敵を持ち上げて投げつけたり、上+Bボタンを入力することで所持コインから10コインを取り出して飛び道具に使うこともできる。
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本作の大半のコースのゴール扉は、この10コインを投げ当てることで開く作りになっている。
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マリオとは異なり、大半の敵には直接触れただけでは基本的にダメージにならない。ただし障害物や敵の装備してるトゲ・敵の攻撃や武器に当たったりするとダメージとなる。また、一部の敵の攻撃に当たったり、溶岩などに触れたりすると一撃ミスになる。
アイテム
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コイン
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本編のマリオ同様にコースのいたる所で見かける他、破壊可能ブロックの中に入っていたり、体当たりで敵を倒した際にも落とすものなどを集めていく。手に入れたコインはコースクリア毎に貯金箱へと集計されて貯まっていく。1枚で10枚分の「10コイン」、1枚で100枚分の「巨大コイン」も登場する。
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所持コインはコースクリアするごとに手持ちの全額が貯金箱に注がれる。また、ミスとなった場合やスタート地点からコースを脱出した際にはそのコースで取得した手持ちのコインは全て失われてしまうため、どのコースでも所持コイン0からのスタートとなる。
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本作以前のマリオ本編において、コインを集めることによる恩恵は、主に100枚集めることで残機が1UPするといった具合だったが、ワリオがコインを集める動機はマリオとは大きく異なり、
多くのコースでゴールのため10コインの支払いを要する他、後述の「宝」と共に、集めたコインの総額によってEDの評価に関わる要素となっている。
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宝をひとつも所持していない状態でゲームオーバーに陥った場合、貯金箱に蓄えられたコインが半減してしまう。
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ハート
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主にブロックを叩いた際に出現し、1個でハートポイント10ポイント分増加する。またハートポイントは、敵を1体倒す事に1ポイント増加する。100ポイント貯まると1UP。1個取っただけで3UPの巨大ハートも稀に登場する。なお、ワリオの変身状態と同じアイテムを取る(例えば、ブルワリオの時にブルのツボを取る、など)と、ハートアイテムと同じ効果になり、ハートポイント10ポイントに変換される。
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スター
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取得すると小時間、ワリオの体が輝きだし、触れるだけで敵を蹴散らす無敵状態となる。足の速さも大きく加速する。またこの状態で敵を倒すとハートが手に入る。
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宝
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特定のコースに登場する、巨大な鍵穴つき扉の中に隠されている。全部で15個あり、収集状況がEDの評価に大きく影響する。
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宝の間の扉を開くには、コースのどこかに隠された鍵を見つけ、扉まで運ばなければならない。
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中に入っても宝箱は攻撃(10コイン投げは不可)しなければ開けられないため、チビワリオの状態では入手できない。
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集めた宝はラスボス勝利後に全てコインに換金される。それらと冒険道中で集めたコインも含めた貯金箱内の総額がワリオ城の建築費用となり、エンディングで完成する城が6段階評価で変化する。ちなみに最低評価の場合は鳥小屋になってしまう。
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最高評価のEDを見るには宝を全て集める必要がある。なお、宝の換金に頼らずにコインをひたすら集めることでも最高ランク手前の評価のED達成は可能。
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一度エンディングをみたデータならば、未取得の宝が眠るコースが点滅して表示されるようになる。
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ゲームオーバーに陥った場合、手持ちの宝が一つ没収され、取得前の状態に戻ってしまう。
変身
本家マリオシリーズのキノコのように、ワリオもアイテムを取るとパワーアップできる。
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チビワリオ
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普通の状態やパワーアップした状態でダメージを貰うとこの姿になる。『6つの金貨』の最後で、マリオに倒された時の状態。体当たりができないうえ、この状態で敵の攻撃を貰ってしまうと1ミスになる。
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ニンニクを取るかコースクリアするとワリオに戻る。
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ワリオ
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初期状態。チビワリオ状態でニンニクを取る、またはチビのままゴールすることで変身。
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本編マリオでのスーパーマリオに相当する形態だが、一般的なマリオシリーズと異なりこれが通常の状態となっている。Bボタンで真横へ体当たり攻撃ができる。また、体当たり中にジャンプすると斜め上に飛び上がることも可能。
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ブルワリオ
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ブルの壺を取るか、チビワリオ以外の状態でニンニクを取ると変身。頭にバイキングの様なツノ付き兜をかぶる。使い勝手は通常ワリオの上位互換。
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体当たりが長射程化かつ威力も強化され、破壊可能ブロックを頭突きや体当たり1発で壊せるようになる他、空中で↓キーを押したまま着地すると、地震を起こしたり真下への攻撃手段となる「ヒップドロップ」を繰り出せる。
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このヒップドロップはパワーアップ制が廃止された『ワリオランド2』以降、ワリオのデフォルトアクションに格上げされた。
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ジャンプ中に天井に頭が触れる時、↑キーを押したままでツノを天井に突き刺しへばり付くアクションも可能。敵をやり過ごしたり、天井がベルトコンベアの場合は運ばれる事もできる。
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ジェットワリオ
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ジェットの壺を取ると変身。移動速度とジャンプ力が強化される。体当たりの性能も変化し、使うとジェット噴射で一定時間、空中を水平飛行することが出来る。また、水中でも体当たりができる。
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タイミングは難しいが、ジェットの切れ目に再度ジェットで繋げば、一切高度を落とすことなく飛行し続けることも可能。
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ドラゴンワリオ
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ドラゴンの壺を取ると変身。体当たりが使えなくなる代わりに、帽子から炎を噴射して攻撃できるようになる。炎は水中でも使えるが射程が短くなる。炎が消えかけの状態では攻撃判定が無く、完全に消えるまで再噴射出来ないため若干の隙が出来る。
コース
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ゴールの条件は、10コインを払って開く(最初から開いている場合もある)ゴールの扉に入る他に、一部コースでは巨大「!」ブロックを叩くことでゴールとなる場合もある。
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中間ポイントを起動するにもゴール同様に10コインが必要。
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各エリアの最後のコースの最奥に構えるボスを倒すことで次のエリアに進める。
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シャーベッ島以外のエリアのボスは、一度倒すと二度と復活しない。
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通常、ボスを倒すと大量のコインを落とすが、シャーベッ島ボス「ヒンヤリ」だけはコインを落とさない代わりに巨大ハートによる残機補給(15UP)ができる。
ボーナスステージ
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コースクリア時、「コインボーナス」「ハートボーナス」のどちらかのボーナスステージに行ける(どちらにもいかずに進むことも可能)。ハートボーナスのみ最低20枚のコインが必要となる。
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コインボーナス
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2つのバケツのどちらかを選び、当たりならコインが2倍に、ハズレなら半分になる。3回まで挑戦できるが、途中でやめることも可能。
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ハートボーナス
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対岸を渡るクリクリ、D・D、グラグラに爆弾を当てるゲーム。難易度ごとに料金が異なり、高難易度ほど入手できるハートが増える。
評価点
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ハードの限界を感じさせない高品質のグラフィック、サウンド。
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コースには特定のアクションを使わなければいけない場所や隠し部屋など、謎解き要素が豊富。
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「横スクロールでゴール地点に到達」というシンプルなマリオシリーズとは一味違った面白さを内包している。
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難易度も遊びやすく安定しており、単にクリアするだけなら初心者でも可能で、やりこみ要素の多さから上級者でも楽しめる内容となっている。
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本作のゲームシステムと謎解き要素によって「パワフルで良くも悪くもアグレッシブ、自分の欲望のためだけには頭が回るが長続きはしない憎めないやつ」という、今日のワリオのコミカルな人物像が確立した。
賛否両論
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「ジェットワリオ」が他の変身と比べて優秀すぎる。
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どの変身ワリオの中でもジャンプ力・機動力が増し、普通に攻略する上でサクサク進められる。
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更に上記にもある「ジェットの切れ目に再度ジェットで繋げば、一切高度を落とすことなく飛行し続ける」テクニックを上手く使えば、ステージによってはこれで蹂躙出来てしまうことも。
問題点
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一部のボス戦における難易度の差が極端
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最初のボスにもかかわらず初見殺しのトゲブロス、溶岩に一度突き落せば倒せるポット山のビーフン、ドラゴンワリオの炎で完封できてしまうティーカップ号のボウボウが目立つ。
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前作にもあったが、ゲームオーバー時に宝(コイン)を紛失してしまうシステムが厄介(宝があればどれか1個が没収され、無ければコインが半分没収される)。
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前作と違い失われるのは1つだけなものの、どこのコースで取得した宝だったかを忘れてしまうと再捜索の手間が発生し面倒である上、コースの見当が付いても、鍵と鍵扉を再び見つける必要がある。
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もっとも、取得したステージと鍵・鍵扉の位置さえ把握していれば、「失ったら宝は即回収」を心がけることでゲームオーバーの実質的なペナルティは回収の手間だけとなるため、記憶力のあるプレイヤーからすればゲームオーバーリスクは軽微な部類となる。
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1度エンディングを見た後なら宝未取得のステージがマップ上で点滅するため、再捜索の手間はかからない。
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ティーカップ号のボスを倒すと強制的に次のエリアに飛ばされてしまい、しばらくの間他のエリアに行けなくなる。
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残機を増やす手段が限られる為、ここでゲームオーバーになると辛い。
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条件を満たすと地形が変化する一部コースは、一度変化してしまうと変化前の状態のコースを遊ぶことは不可能となっている。完全に別コース化するケースも一部存在する。
総評
ゲームボーイのゲームとは思えないほどのボリュームや高いアクション性を誇るだけでなく、ワリオの特徴を大きく引き出したことでマリオのアクションゲームとの差別化にも成功している。
その後のワリオシリーズの方向性が本作の時点である程度固まっているという意味でも意義がある。
記念すべきワリオの主役デビュー作として申し分ない出来の名作である。
余談
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本作で脇役に回ってしまったマリオは、EDに顔見せ程度で少しだけ登場する。
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ED詳細
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その出番は「ラスボスを倒して黄金のピーチ像を見つけたワリオを尻目に、ヘリでピーチ像を持っていってしまう」というもの。
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ワリオ(プレイヤー)側から見ると完全に悪役であるが、今作のマリオはストーリーの項にある通り盗まれたピーチ像を取り戻すためにブラックシュガー団を探していたため、別に責められるべきものではない(むしろ私欲でピーチ像を横取りしようとしていたワリオの方が悪役っぽく見える)。
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「ワリオが主役の場合、マリオは悪役」という印象を避けるためか、マリオは以後のワリオシリーズには『メイド イン ワリオ』のプチゲームの一部を除き、一切登場していない。ただしマリオとワリオの共演自体はパーティ系やスポーツ系のゲーム等で何度も行っている。
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ちなみにマリオは本作のテレビCMにも登場していた。一言だけ喋る。担当声優は田中一成氏と思われる。
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本作の後にワリオランドシリーズがマリオシリーズから完全に独立し、VBで『バーチャルボーイワリオランド アワゾンの秘宝』、GBで『ワリオランド2 盗まれた財宝』といった続編が続いている。
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今作でワリオがかぶっている帽子はいつもの帽子ではなく、探検帽である。
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ゲーム開始前のデータ画面でワリオが画面内に突っ込んでくるが、データ削除用の土管にぶつかった拍子にいつもの帽子を落としてしまい、仕方なく壁に掛けてあった探検帽をかぶり直す。
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エンディングのランクシステムは『光神話 パルテナの鏡』から引用された物なのだが、後に『ルイージマンション』でも使用された。
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後者はシチュエーション的にもマリオシリーズのスピンオフ、集めたお金の総額によって豪華な屋敷になる等、本作と似ている。
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裏技に、残り人数やコインの数値を変えたり、ワリオを自由に変身させられるデバッグモードがある。任天堂のゲームでこのような技が公式で存在することは稀。
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ちなみにこの技の初公開は公式ガイドブック誌上で抽選プレゼントされた『ヒミツの裏技付きワリオステッカー』からと思われる。
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当然ながら使用するとゲームバランスが大きく崩壊してしまうが、使用するためには特定の操作が必要であり、救済措置の類に近い。
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ワリオの姿が変わった直後に再度ジャンプできる仕様とこの裏技を組み合わせて、本来行けない空間に行けるというバグ技もある。
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コミックボンボンやコロコロコミックでのマリオ漫画でも本作はコミカライズされたが、あくまでマリオ漫画でのワリオランド編であったからかワリオはチビワリオでいることが多かった。
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ボンボン版の後半はマリオが主役のオリジナルストーリーとなり、マリオ達がワリオのアイテムでパワーアップする(ブルマリオ、ドラゴンルイージ、ジェットピーチ)といった事も。ラストはワリオがあまりの自分の扱いの悪さに嘆くところで締められた。
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コロコロ版の『スーパーマリオくん』は学年誌でも連載していた関係上、導入部の展開が複数存在したりとややこしい事になっているが、いずれもワリオがマリオ達と共闘するという内容で、最後はシロップ城がモンスター化したようなオリジナルのラスボスが登場した。更に結末は「黄金像は実はタイムマシンだった」という驚愕の展開で、マリオ達はそのまま未来に飛ばされ、残されたワリオがデンプーに城を作ってもらうのだった(但し、犬小屋)。ちなみに、こちらでも、マリオがジェットに、ルイージがドラゴンに、それぞれ変身するシーンがある。
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一方の未来に飛ばされたマリオ達はその後はオリジナルの未来編を経て再び過去に跳び、ヨッシーアイランド編へと続いていく。
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尚、結末も掲載誌の関係で別バージョンが存在するが、そちらはマリオ達が黄金像の事など忘れて逃げ帰るというオチだった。
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作品名が作品名だけにマリオが主役なので、作中で扱いがあまりよろしくないワリオが13巻予告で
「オレのゲームなのにオレの活躍が少ないぞ~っ!責任者出てこーい!」
と叫んでいる。
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今作でブルワリオが披露しているヒップドロップは、翌年発売の『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』や『スーパーマリオ64』にも逆輸入され、非常に重要なアクションとなっている。
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流石に、メタルマリオですら、ワリオのように周囲に地響きを起こせるほどでないが。
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もっとも、ヒップドロップの入力方法は前作のスピンジャンプと同じである。ワリオらしくアレンジした結果ということか。
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90年代末に全国ローソンで販売されていたGB版ニンテンドウパワーでは本作がプリインストールされたGBメモリカセットが販売されていた。
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本作のテストプレイにドラクエの生みの親である堀井雄二氏、とたけけこと戸高一生氏が参加しており、スタッフロールにてクレジットされている。
最終更新:2024年06月18日 22:55