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遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE」を以下のとおり復元します。
*遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE EVOLUTION
【ゆうぎおうでゅえるもんすたーずじーえっくす たっぐふぉーすえう゛ぉりゅーしょん】
|ジャンル|対戦型カードゲーム|&amazon(B000W7Z1AA)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~|
|発売日|2007年12月6日|~|
|価格|6,980円(税別)|~|
|分類|BGCOLOR(khaki):''劣化移植''|~|
|ポイント|''携帯機から据え置き機への劣化移植作という珍品''&br()ボイス撤廃、処理落ち増と踏んだり蹴ったり&br()カード追加も手抜きで、バランス崩壊の原因にも&br()劣化点の告知は一切なし|~|
|>|>|CENTER:''[[遊☆戯☆王 関連作品リンク>遊戯王シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
-『週刊少年ジャンプ』で連載されていた人気漫画『遊☆戯☆王』のテレビアニメシリーズ第2作『遊戯王デュエルモンスターズGX』をゲーム化したもの。~
『遊戯王オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ((現在はアニメ4作目に合わせ『遊戯王ZEXAL オフィシャルカードゲーム』に変わっている。))』という名称でトレーディングカードゲームも発売されていた。
--※以下、トレーディングカードゲーム版をOCGと表記。
-本作は、PSPで発売された『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE』の移植作である。
--PS2でこれ以前に2作発売された遊戯王ゲームはOCGとはルールの全く異なる別のゲームで、本作がPS2で初のOCGルールに対応した遊戯王のカードゲームソフトであった。
--使用できるカードの収録総数は『TAG FORCE』では「アニメオリジナルカード(未OCG化)」20種を含む2448種類だったが、このゲームでは続編『TAG FORCE2』で追加されたものを合わせ2889種類に増加した。
---要するに、全体の体裁は『1』、カードの収録内容は『2』に準じた移植作といえる。
-PSPで展開される[[『TAG FORCE』シリーズ>遊☆戯☆王 TAG FORCEシリーズ]]は、デュエル(カードゲーム対決)中にキャラクター(デュエリスト)がモーションを取りながら喋ったり、特定モンスターを召喚する際ムービーが入ったりと、アニメを再現した演出がされているのが売りのひとつである。~
ルールはOCGと同じで、同時期のDS版や過去作のGB版・GBA版などのように容量制限などによる収録枚数の制限もなく、発売当時のカードをほぼ全て収録しているため対戦ツールとしても評価が高い((処理が難しい、無限ループを起こしやすい等問題があるものは収録されないことがあるが、全数千枚のうちの数枚程度で影響はごくわずかである。))。~
シングル対戦もできるが、一応メインは2対2のタッグデュエルとなっている。


**問題点
ディスク容量が多く、処理性能もおおむね上回る据え置き機への移植ということで、新規カードや演出・システム面など、様々な強化が期待されていた。~
また、当時は『[[モンスターハンターポータブル2ndG]]』による空前のモンハンブームが起こる前で、PSPの普及率はそこまで高くはなかった。~
そのため、たとえ追加要素がなくPS2で同じものが遊べるというだけでも一定の需要があったと思われる。~
しかし…

-最大の問題点は、''オリジナル版にあったキャラクターボイスが全削除''されたことである。
--モーション等は変わっていないので、キャラクター達は虚しく口パクするばかり。
--本シリーズにおいて、デュエル中はターンが回ったりモンスターを召喚したりとあらゆる場面でキャラクターがしゃべるため、そこのボイスが切られたというのは致命的。
---そもそもPS2時代の単体のソフトとしても、アニメ原作のゲームでありながらボイスなしなどというのは何らかの理由でもなければ''問題外''である。
--一応、字幕はPSP版と同じものが付いているが、喋らなければデュエリストの演出の魅力も大幅ダウンである。
--先に述べた通りPS2は多くの点でPSPのスペックを上回っており、PSP→PS2の移植でボイスが切られるなどということは普通あり得ない。~
なぜこんなことになったのかというと、''アメリカ・イギリス・ドイツといった他国と共に同時発売されたため''という説が有力である。
---各他言語版にもボイスはない。要するに全言語に対応させるためにボイスのないバージョンを作った後、その後''日本語版のボイスを追加する作業をしなかった''のだろう。
-アニメ2期のオープニングテーマであり、移植前のオリジナル版でもオープニングムービーに使われていた歌『99%』が、別の曲に差し替えられている。
--PSPの本シリーズでも『2』以降はアニメBGMが使われなくなったので、恐らく版権がらみだろう。
-『2』のカードが収録されているのに、''適用される禁止・制限カード((強力すぎてバランスを乱しているカードに課せられる、公式大会などにおけるデッキ内採用枚数の制限。当時は半年に一度、3月と9月に改訂されていた。))は『1』の時点である2005/09/01のまま''というバランス崩壊っぷり。
--このゲームが発売された時点では2007/09/01の改訂が最新。『2』での禁止・制限カードは2007/03/01改訂のもの。普通ならば、本作ではこのどちらかを採用するのが妥当だろう。
---PSP版であれば通信を通して新しい改訂をダウンロードできるサービスがあるが、本作はPS2なのでそれもできない。
--この改訂後に追加されたカードが大量に存在するため、「ダンディライオン」「(裁定変更前の)森の番人グリーン・バブーン」「未来融合-フューチャー・フュージョン」「E・HERO エアーマン」「冥府の使者ゴーズ」「N・グラン・モール」等の強力カードが3枚(フル投入)積めてしまうという無法地帯っぷり。
--言い換えれば、移植されることで追加された400枚以上のカード(実際のOCGで2年分)に対する''バランス調整が一切行われていない''。
---カードゲームによくある、新カードの登場に付随して強化されたカードも放置されてしまっているため、ゲームバランスが崩壊している。
---またこの2005/09/01というのは「このカードが入ってないデッキはデッキではない」とまで言わしめた「強欲な壺」が禁止になる前の制限改訂であり、なんとほぼ全キャラクターが使用し、それぞれが専用の台詞を持つカード((基本的に専用台詞はアニメキャラがアニメで使用したカード、または自分のデッキに深い関係があるカードのみ))なのである。そのため「強欲な壺」を禁止にしないために2005/09/01の制限改訂にされたのでは? とまで言われている。
---だが、それはボイスが付いているPSP版なら分かる話であり、ボイスが付いていない今作では単なる手抜きである。
--もっとも、下記のようにCPUは新規追加されたカードを使ってこないし、こちらは資金に余裕が出てくるころでなければ新規追加されたカードを手に入れられない。
---対人戦もできないので、バランス崩壊するのは既にカードをだいぶ集め終わった後の対CPU戦ぐらいであり、実際はそこまで影響がある訳ではない。
-カードが大幅に増えたにも関わらず、対戦相手の使うカードは移植前と何も変わっていない。
--これが上記の制限リスト未改定の根拠だろう。
-400枚以上の追加カードは「チェッカー・フラッグ」というほぼ全カードを収録したパックのみの収録で、専用のパックは用意されていない。
--そのため、欲しいカードがあるなら''3000枚近くの膨大な収録カードから引き当てないといけない。''
--一応封入率操作がされており所持枚数の少ないカードが出やすくなっているが、枚数が枚数のため欲しいカードを狙って引き当てるのはかなり困難。
--デッキに入れられる最大枚数である3枚を入手したい場合は、更に困難な作業となる。
--「チェッカー・フラッグ」の出現の遅さもあって、新規追加されたカードの入手はどうしても遅くならざるを得ず、はっきり言って''カードの新規追加の意味を削いでいる''。
-『2』では発売時期の関係で「GLADIATOR'S ASSAULT」というパックのカードが一部しか収録されなかったのだが、本作でもこれが補完されていない。
--上と合わせて、単に『2』から収録カードをそのまま持ってきただけ、という手抜き仕事が否が応にも目に留まってしまう。
-画質や音質の向上は一切なし。単にPSP版の画面を引きのばしただけであると見られる。
--画面が広がり画面比率が変わった関係上粗もやや目立ち、はっきり言ってPS2品質としては若干見劣りする。
-PSP版にはなかった、''かなり気になるレベルの処理落ち''が存在し、PSP版における微妙なロードの長さも改善されていない。
--マップに人が増えてきたり、デュエル中にフィールド魔法を使って背景CGが表示されたりすると明らかに重くなる。
--上記の制限改訂などの問題も目立つが、実際遊んでいてキャラクターボイスの次に問題となってくるのはこの部分だろう。
-パートナーのデッキ編集やカードアルバムの拡大機能など、''『2』でシステム上追加・改善された点は何も反映されていない''。
--これだけのやっつけ移植にかかわらず、パートナーの好感度を上げることができる「ドローパン」を購入する際のルーレットだけが何故か『2』仕様である。
-完全に1人プレイ専用で、メモリーカードを持ち寄ってもPSP版でできた対戦・協力プレイは一切できない。
--画面が1つしかない関係上、(相手の手札が見えてしまうので)対戦プレイは不可能なのはしょうがないが、協力しての2人プレイぐらいはできてもいいはずである。
--これも主にハード上の関係ではあるが、ネットを使った対戦もできない。
-これらの点はどれも''公式ページ等で告知されていない''ため、買ってみるまでわからなかった。詐欺である。

**総評
据え置き機から携帯機への劣化移植はよくあるが、''その逆をやってのけた''という珍しい作品である。~
ボイス撤廃を筆頭に、ロードや処理落ちの悪化、バランス調整の悪化、2人プレイの撤廃……これだけの劣化が、明らかに単に移植で手を抜いた結果だというのも虚しい。~
これらの点を我慢すれば、元のゲームの出来は良いので遊べないことはない。~
だが、PSPを持っておらず、どうしてもPS2で遊戯王のOCGのゲームをやりたいとしても購入をあまりお勧めはできないレベルである。~

一応、PSP版の『2』とUSBケーブルによって連動するという機能が備わっている。~
『2』のゲーム内容をコンプリートしたい場合はそのためだけに中古を探すのも悪くないが、それにしても『3』以降とは連動が無くなっているため微妙。~

**余談
-エンディングを見ると、ディレクター以下は明らかに中国人と思しき「李」「洪」「王」などの漢字2~3文字の名前が並んでいる。
--その後「オリジナルスタッフ」と続いて日本人のスタッフが紹介されており、中国のスタッフが移植を担当したと推測できる。開発企業はスタッフロールからは読み取れない。
--必ずしもこういった下請け自体を否定するべきとまでは言えないが、この出来の原因が劣悪な中国企業への外注にもあった可能性は高いだろう。
-本作には付属カードが3枚同梱されているが、その1枚である「堕天使ナース-レフィキュル」が遊戯王で【シモッチバーン】と呼ばれるデッキのほぼ必須カード。~
その後の再録もされていないため割と高値で取引されており、2014年現在カード無しのこのゲームの中古価格を完全に上回ってしまっている。
--こうなってしまうと、やはりこのゲームはカードのおまけとしか言いようが無い。

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