「セクシーアイドル麻雀 野球拳の詩」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
【せくしーあいどるまあじゃん やきゅうけんのうた】
ジャンル | 脱衣麻雀 |
対応機種 | PCエンジン スーパーCD-ROM2 |
発売・開発元 | 日本物産 |
発売日 | 1995年1月13日 |
ポイント |
コンシューマーの限界に挑戦 正規ルートを本当に通ったのか疑わしい出来に |
WARNING!!!!!!!
このページで紹介しているゲームは18歳以上のみ対象のアダルトゲームです。
「PCE=アニメ絵のギャルゲー」と考えられがちだが、女性アイドルの実写画像を使ったゲームが、少数ながら存在した。
CD-ROMの大容量を生かす手段のひとつとして、実写の取りこみ画像が選ばれたわけだ。当然ながら、エロ方面への利用を考えるメーカーが出るわけで、アーケード脱衣麻雀の雄・日本物産が、名乗りを上げることとなる。
シリーズ第1作となる『セクシーアイドル麻雀』が1993年12月に、続編の『セクシーアイドル麻雀 まーじゃんファッション物語』が1994年9月に発売。
そして、AV女優のトップレス画像が売りの第3作、『セクシーアイドル麻雀 野球拳の詩』の発売が、1994年末にゲーム誌にて発表される。
1995年前後に登場した当時の次世代機では、一部のマシンが独自のレーティングを設けており、成人向けソフトの発売を認めていた。
その影響から、PCエンジンなどの前世代機でも、倫理規定を設けようという機運が発生。本作は、PCEソフト初となる公式な年齢制限を、ハードメーカーのNECから受けることとなる。
なお本作のあとに、スロットマシンを題材にした『スロット勝負師(ギャンブラー)』という同系統のゲームも出たが、そちらの脱衣画像に乳首の露出は無い。
ストーリーもクソも無い、純粋にギャルを脱がせることが目的の脱衣麻雀。3種類のゲームモードがあり、当時のAV女優16人が、脱衣ギャルとして出演している。
+ | 出演 |
タイトル画面でスタートボタンを押すと、「モードセレクト」に移る。
このモードセレクトの画面がまたアレで、背景は裸の女性の肩からアンダーバストまで。選択肢は以下の3種で、選ぶとエロいボイスがSE代わりに流れる。
自キャラと相手キャラを選んで野球拳を行ない、先に3勝すれば対戦相手の脱衣画像が見られる。同キャラ対戦可能だが、負けた場合に自キャラの脱衣が拝めるわけではない。
実写取り込みの風景(数種類ある)の中で、パンツ一丁の女性2人が踊りながら、グー・チョキ・パーの体勢を取ってジャンケンを行なう。ちなみにどのギャルを選んでも、パンツ一丁で踊る女性の画像は同じ。
それぞれの手を出したときのパフォーマンスは、
4人打ちの麻雀。自キャラをと他のメンツを決めたあと、「さし馬セレクト」で脱がせたいギャルを相手の中から選ぶ。
さし馬ギャルより多く点を取れば脱衣、という一風変わったルール。自分が3位でもさし馬ギャルが4位であれば、脱衣画像が拝める。
脱衣画像は、野球拳とは別のものが2種類。画像を見るごとに、ギャルの名前横にハートマークが付き、合計2個のハートマークを獲得できる。
野球拳で1個、フリー対戦で2個、合計3個のハートマークが1人のギャルに付くわけだが、この3個のハートマークをすべてのギャルから獲得することが、ゲームの最終目標。ハートマーク全獲得後にフリー対戦で勝利すると、画像鑑賞モードに突入する。
トーナメントモード。ギャル4人づつが対戦し、上位2名が次戦に進出。優勝すると、プレイヤーキャラとして選んだAV女優の動画が始まる。
動画といっても、1枚絵を連続で描きかえるGIFアニメのようなもので、時間は数秒程度。内容はAVから取りこんだと思しきものだが、カメラが上下してギャルの全身を写す、イメージビデオ的なもの。
それが終わると、出演AV女優の名前が出てくるエンディングとなる。
なお、この動画に鑑賞モードのようなものは無く、見たければそのたびに「麻雀大会」で優勝するしかない。
麻雀部分はさすがニチブツで、過不足なくまとまっており充分に遊べる。
速いコンピューターの思考、チー・ポン・カン・リーチを方向キーに振り分けた操作系統、カスタマイズ可能なルール設定。それに加え今回は4人打ちと、本作はPCEにおけるニチブツ麻雀の集大成と言っていいだろう。
勝利ごほうびは、画像×3とアニメーション×1が16人分と、さすがはCD-ROMでボリューム満点。グラフィックは内容を含め、PCエンジンとしては非常に頑張った出来だ。
しかし、似た内容でより良くなったものが、現代では簡単に手に入る。このゲームならではの要素は、512色と荒いドットで描かれた、当時のAV女優の画像だけだ。
そういう点からすれば、本作に時代を超えてプレイするほどの長所は無く、コレクターズアイテム以上の価値を見出すのは、難しいだろう。ハード末期までつきあった当時のPCEユーザーや、傍流ゲーム機の歴史を知りたい物好きゲーマーで、やや高価な中古価格を良しとする人であれば、今からでも値段分は楽しめるかもしれない。
麻雀アドベンチャーとでも言うべきストーリー付きギャル麻雀が、PCエンジンでは多数発売されたが、『野球拳の詩』にはそうした要素がまったく無い。純粋な脱衣麻雀としては佳作かもしれないが、それ以外の付加価値が皆無で、この時代、このマシン、このソフトならではの楽しみ方を見いだせないのも確かだ。
とは言え、実写映像を扱うには力不足なPCエンジンのスペックで、あえてリアル系エロを追及した『野球拳の詩』は、PCEどころか家庭用ゲーム機のソフトとして、他に類を見ない存在感を放っている。その雰囲気は、80年代~90年代初期に出ていた、人気アイドル風の写実的ギャルが脱ぐアーケード脱衣麻雀に近い。
二次元キャラの際どいセクシャル描写が今も語り草のPCエンジンで、実写ギャルを使ってあえて一線を踏み越えたニチブツのクソ度胸には、賞賛を贈っても良いのではないだろうか。
「勝ったごほうびで女の子が脱ぐ」という、ストレートな脱衣ゲームを作れない規定が、PCエンジンには存在したらしい。1989年にHuカードで発売された、『麻雀学園 東間宗四郎登場』が原因とのことだが、筆者は真相を知らない。
だが、ボイスをすべて差し替え、ストーリー上の理由で脱衣するよう変更された、PCエンジン版の『スーパーリアル麻雀シリーズ』のことを考えれば、首肯できる話ではある。
脱衣ゲー禁止の話が本当であれば、『野球拳の詩』で故意に規定を破ったニチブツと、それを認めたNECのあいだで、どんなやり取りがあったのだろうか。
PCエンジン最後の大作である『同級生』が、18歳以上推奨ソフトとして発売されたことを考えると、PCEにおけるレーティングの嚆矢となった本作の意義は、思いのほか大きいものだったのかもしれない。