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機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122
【きどうせんしがんだむふぉーみゅらーないんてぃーわん ふぉーみゅらーせんきおーわんとぅえんてぃーつー】
ジャンル
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リアルタイムストラテジー
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対応機種
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スーパーファミコン
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発売元
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バンダイ
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開発元
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ノバ
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発売日
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1991年7月6日
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定価
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9,785円(税3%込)
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プレイ人数
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1人
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判定
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なし
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ポイント
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ターン制マップ+擬似RTS的なシステム システム部分は説明不足+やや作業的 知る人ぞ知るF91関連作品
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ガンダムゲームリンク
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概要
ガンダムシリーズで初めてスーパーファミコン用ソフトとして発売された作品であり、F90が登場する初のガンダムゲーム。
劇場用作品『機動戦士ガンダムF91』の外伝的作品であり、プラモデルなどで展開していた『機動戦士ガンダムF90』も含めたオリジナルストーリーとなっているRTS。
試験機の移送任務中にジオン軍残党『オールズ・モビル』の各種リファインMSに襲われるシーンから始まり、地球圏を舞台に戦闘が繰り広げられる。
システム
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当時は珍しかったRTS的なシステム
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敵小隊との戦闘中にも展開は刻々と変わり、友軍機の撃墜や母艦の損傷がオペレータによって伝えられてくる。
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ただしマップ画面ではターン制を採用しており、敵味方が交互に移動していくことになる。よって実質的には戦闘中にも時間経過するターン制ストラテジーである。
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武装換装
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F90にはH.P.S(ハードポイントシステム)という仕様が備わっており、状況に応じて装備を換装して戦うことが出来る。
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火力は低いが航続距離の長いA(アサルト)タイプ、逆に遅いが高火力のD(デストロイド)タイプ、強力な遠距離攻撃を備えた万能型であるV(VSBR)タイプなどが登場する。なお追加装備無しの状態では出撃不可。
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AタイプとDタイプは使用する毎に次の面で追加武器が加わる。
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タイプ毎に耐久力と燃料は別の機体として扱われるため、換装する事によって機体の修理にかかる時間を無駄にすることなく戦うことができる。
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デモシーンのみだがP(プランジ:大気圏突入用)タイプも登場している。
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F91には換装機能はないが、設定からしてVタイプのアッパーバージョンなので、全体的に高い性能を持っている。
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なおF91入手後もF90は続けて使用できるため、実質的にF90の換装タイプが一つ増えたも同然であり、F91に換装機能が無くても特に問題にはならない。
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レーダーを確認しながらの戦闘
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画面上半分は基本的に攻撃や防御のアニメーション表示用であり、下にあるレーダー部分こそが本作で重要な部分になる。
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その中でプレイヤー機自身の射角を示す「Vゾーン」に敵機が入った状態でAボタンを押すと武器選択の後攻撃に移行する。
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敵機も動き回るのだが、そちらへ移動していけば当然燃料が減っていく。燃料切れも敗北条件になっているので、手に届く距離の敵から攻撃していくのが基本となる。
評価点
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背景世界の再現性
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登場するモビルスーツの兵装から背景舞台、登場勢力の力関係なども設定・考察が行き届いており、更には宇宙コロニー内での戦闘で、敵勢力が穴を開けてしまった場所に入るとコロニーから宇宙に吸い出されてしまう(消息不明扱いでゲームオーバー)など、背景を上手く活かしたギミックもある。お座なりキャラゲーによくある再現性の低さや矛盾点などはそれほど多くなく、ガンダムゲーとしての完成度は高い。
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ただし連絡不足だったのか、原作スタッフが情報漏洩を恐れて詳細を教えてくれなかったのか、本作スタッフは「ベルガ・ダラスのシェルフノズル(翼型の可変スラスターポッド群)」を「νガンダムのフィンファンネル(待機時は翼状の遠隔誘導射撃端末群)」と同種の物と勘違いしたりもしている。
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また表示文字数の都合からか、オールズモビルMSの名前から「RF」が省かれている。本来は「RFザク」なのにただの「ザク」と書かれていたりする。
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F90に匹敵する性能で襲い来る敵機がザクやドム(40年以上前の旧式機)!?というガンダムマニアに対するインパクトを狙ったのかもしれない。
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ちなみに本作の攻略本では、普通に各機の名前はRF付きで紹介されている。
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高いビジュアル性
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モビルスーツ自体の出来もさることながら、攻撃時のアニメーションまでも作りこまれている。
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F91は月を背にしてビームバズーカを放つし、射撃武器で敵機を破壊した際には腰の辺りで真っ二つになって吹き飛ぶ演出が入る。
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特定の武器で破壊すると専用の演出が入る敵機もある。
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BGMも良質なものが揃っており、ムードを盛り立ててくれるだろう。
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デモシーンはテキスト表示も含めて完全な自動進行となっており、それを利用してBGMとシナリオの展開をシンクロさせた演出を使っている箇所もある。
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作曲は富樫則彦氏。氏はバンプレスト関連作を多く手掛けている人物で、ザ・グレイトバトルシリーズなど他にもガンダムと縁のある作品で数々の良曲を生み出している。
問題点
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各換装フォーマットの設定との相違点
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Aタイプは本来の設定では「見つからない様に単機かつ高機動力を発揮して敵勢力下に侵入し、敵拠点をピンポイント攻撃した後、敵MSを振り切って逃げ帰る」のが目的の装備であるが、本作では「味方拠点(母艦)に向かってくる敵MSを高い移動力で早期迎撃する」為の機体扱いされている。
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「敵拠点をピンポイント攻撃」と言う目的から本来は単発火力もDタイプより上である。逆に対拠点用の為にMSに対する命中率は期待できないが。この辺りはゲームである本作用のアレンジだろう。
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なお本来、早期迎撃は後にデザインが挙がったI(インターセプト)タイプの役割である。
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Dタイプも本来は「多数の実弾火器を全弾一斉射する事で近距離広範囲に多数存在する敵機を撃破し、ロケット弾やグレネードなどは一斉射後はパージする」仕様。しかも推力は高いので足が遅い訳ではない。
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ロケット弾やグレネードは本作の様に一発ずつ発射する物ではない。この辺りもゲーム作品としてのアレンジ面である。
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H(ホバー)タイプやM(マリン)タイプも登場する予定だったらしい。
おかげでF90は水中戦装備無しで水中戦無双をしてしまいRFズゴックが涙目に。
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S(サポート)タイプが無いのは足を止めての長距離支援砲撃仕様の為、「戦域を飛び回って移動し敵を倒す」ゲームデザインと根本的に合わないからだろう。
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F90のビームライフル使用時の腕グラフィックはDタイプの腕のみでAタイプやVタイプの腕の差分がきちんと表現されてはいない。
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Vタイプは本来の設定ではライフル自体が専用の別デザインの物に代わる為二重に差分が再現されていない状態である。
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弱過ぎる味方小隊
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性能差を示すためか、敵小隊を味方小隊が撃破できる事は極めて稀(数で負けているマップが多いのみならず、1対1でもほぼ100%負ける)。結果、放っておくと大抵味方小隊はやられてしまう。後半戦になるほどその傾向は顕著になる。
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補足説明として、中盤ステージにおいてヘビーガン/Gキャノン混成部隊がオールズモビル相手に善戦することも一応無いことはない。ゲーム全般を通して例外的な状況ではあるが。
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一応、背景としてはジェガンやヘビーガンごときでは敵の新鋭機であるベルガ・ダラスに手も足も出ない、というのは正しい戦力設定ではある。しかしそう考えると、終盤ステージにおいて最新鋭機(しかも少数生産のはずの士官専用機)であるはずのベルガ・ダラスの数がちょっと多過ぎるという別の問題が浮かび上がってくる(SRPGの敵には良くあることだが)。
また、シナリオ的には連邦軍が攻勢に転じたはずのステージでも戦力的には頼りなく、F90無しではオールズモビル軍に一方的に打ち負かされる状況になってしまう。
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そのくせ戦闘を避けようとはせず、敵にどんどん向かっていってしまう。主人公はあくまで1人のパイロットであり、戦略指示などの要素はない。
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厄介なことに味方小隊が全滅すると敗北扱いとなるため、放置するわけにもいかない。しかも主人公が戦闘している間も時間は経過していくため、結局は主人公が手近な敵に一気に突撃して、とにかく手早く倒していくという、身も蓋も無い戦法が攻略の基本となる。
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結果的に主人公が1機で9割以上の敵機を撃墜することとなり、(ゲームなんだからと突っ込んでしまえばそれまでだが、額面通り受け取ってみれば)たった1機のMSが戦況を根本から左右する状態となってしまっている。「モビルスーツの性能の違いが戦力の決定的差ではないということを教えてやる!」「戦いは数だよ」といった初代での名言が台無しである。
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ちなみに母艦も弱い。多少の時間は耐えるが、1小隊に絡まれるだけでやられる。当然ながら母艦が落とされてもゲームオーバーなので、味方小隊を守るために遠出をして母艦がお留守になると割とあっさりやられてしまう。
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ゲーム後半になるほど、自分が敵にやられないのは当然として、マップを見ながら「ひたすら敵に向かう味方小隊」と「まったく動かない母艦」のどちらがより危ないかを天秤にかけて敵から守りぬくゲームになっていく。
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微妙な戦闘システム
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攻撃時に表示される敵機の線画が青→黄→赤に変化してダメージの蓄積を表しているのだが、攻撃時のダメージのばらつきが大きいため、実際には具体的な指標として機能させにくい。(青表示の敵機が一撃で沈むこともあれば、赤くなってから何発も耐えることもある)
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また、各武器の攻撃力や命中/回避率などが見える形で数値化されていない。敵の耐久力なども分からないため、体感での把握も極めて難しい(例えばヴェスバーとビームバズーカとショルダーキャノンが性能的にどう違うのかを明確にすることができない)。
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感覚的には運任せに近いものがあり、「当たらなければどうということはない」という大佐の言葉が皮肉にもそのまま当てはまる。
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敵機も同じようにVゾーンでの攻撃判定を行っているので、こちらが攻撃できるということは敵機も攻撃してくるということになる。なので、ゾーンギリギリでAボタンを連打し続けることになりがち。
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ビーム兵器は自機のエネルギーが少なくなると威力が少しずつ落ちていったり、敵小隊の隊長機を先に落とすと残りの敵の能力を削ぐことができるなど、細かい部分での作りこみはあるのだが、そういった要素はゲーム中どこにも説明が無く、また、知っていたところで戦術的な利用価値も低い(隊長機だろうが何だろうが射線に入った相手をとにかく攻撃するというスタイルになりがち)。結局のところ「説明不足」「運ゲー」という評価を返上することは難しいだろう。
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戦闘時のアニメーションについて
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攻撃時のアニメーション自体は完成度が高いが、結局は1機体1装備につき一つだけで、命中判定時のアニメーションでは類似の武器での使いまわしも目立ち、それを何百回と繰り返すとさすがに飽きがくる。
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攻撃命中率そのものもあまり高くないので同じことを何度も繰り返すことになりがち。
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更にほとんどのアニメーションは短いながらもスキップできず、ゲーム的なテンポもあまり良くない。
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F91使用時に敵からの攻撃を受けた際、自機グラフィックがF90になってしまう場合がある。
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特定の攻撃を受けたときに見た目が変わっているだけでその後見た目も戻るので、ゲーム的な実害はないが。
総評
SFC初期の作品としては決して悪くない出来ではあるのだが、上記のシステムの練りこみ不足などもあって中程度の評価しか受けていない作品。
シナリオやグラフィックはともかく、ゲーム部分は良くも悪くも作業的。機体や距離に応じて様々な武器を使い分けながら戦うという楽しさはあるが、攻撃命中率の低さから来るテンポの悪さや、難易度的に足を引っ張りすぎな味方機の存在などもあって、全体としては「キャラゲー」の域を脱することができなかった。
運頼みのプレイが平気なガンダム好きには薦められるが、そうでない方には少々薦めにくい。
余談
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当時講談社から刊行していた雑誌「ガンダムマガジン」にて本作を基にした読み切り漫画も掲載された
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現在はGレジェンドコミックス「ガンダムマガジン名作集」に収録。作者はブッ飛んだ描写でカルト的に有名な漫画版Vガンダムと同じ岩村俊哉氏。
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若干のブレはあるが最終的に主人公の撃墜スコアは300以上になる。
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スコアが確認できる1年戦争時のエースパイロット達の撃墜スコアを優に超えており、このことから最強のオールドタイプの一人と呼ばれることも。
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本作の没メカである「グラン・ザム」は後に『SDガンダム Gジェネレーションシリーズ』に逆輸入され日の目を見ている。他、RF系列の敵機体も登場する。
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一方、登場人物やストーリーは漫画版『F90』に出番を食われて日の目を見ていない。
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実はF90Iと言うMSは同一の機体で、『F90』(0120年。デフ・スタリオン)>本作(0122年。ベルフ・スクレット)>漫画版『クライマックスU.C.』(0123年。ナナ・タチバナ)>『鋼鉄の七人』(0136年。ミノル・スズキ)の順にパイロットが代替わりしている設定である。なお全員生還している。
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当然と言えば当然だが、F91のパイロットとして登場するのは本作のベルフではなく映画版のシーブック・アノー。