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星をみるひと - (2018/02/12 (月) 22:44:32) の編集履歴(バックアップ)


星をみるひと

【ほしをみるひと】

ジャンル RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 1Mbit+64kRAMROMカートリッジ
発売元 ホット・ビィ
発売日 1987年10月27日
定価 5,300円(税抜)
判定 クソゲー
ポイント 通常クリアがやりこみという理不尽さ
ゆっくりしていってね!!!(移動的な意味で)
ひっと力下1ケタの消失
戦闘はほぼ運ゲー
場合によってはゲーム進行不能
世界観やBGMは意外と好評


概要

ゲーム誌『週刊ファミ通』にある、各種ゲームの凄腕プレイを募集・評価する企画で不定期に掲載されていた「やりこみ大賞」で、「このゲームの通常クリア=やりこみ」として表彰されたことがあるという伝説のRPG。
それほどまでに難易度が高く、理不尽な仕様の多いゲームなのである。

電源を入れると、宇宙を背景にした美しいタイトル画面(上の画像を参照)が現れる。期待に胸を膨らませてゲームを始めると…。

ストーリー

未来のとある場所に存在する巨大都市アークシティでは管理コンピュータ「クルーIII」が人々の心さえも管理していた。
有害な心が芽生えた住民にはマインドコントロールによる矯正が施され、人々は「クルーIII」に関する記憶すらも消去されている。
しかし極一部の人々、「サイキック」(超能力者)にはマインドコントロールが効かないことが判明した。
「クルーIII」は、ロボット、遺伝子操作によって作った超能力者のデスサイキック軍団やモンスター、アークシティの軍隊「ガードフォース」などを使い、サイキック狩りを行なって各地の超能力者たちをアークシティに連行していった。

「みなみ」という少年は、自分が誰なのかそこがどこなのか記憶がないまま、様々なものから狙われていた。なぜなら彼は超能力者であったのだから……。

問題点

最初から不親切

何も無いフィールド画面に、主人公がポツンと1人たっているところから始まる。
タイトル画面の美しい宇宙のイメージとは一変して森と平地のRPGにはありふれた風景である。
オープニングもプロローグもなく、何をすればいいか全くわからない。

ちなみにあの有名な『ドラゴンクエスト』もプログラム完成直後は、本作同様スタート直後にフィールドのど真ん中に放り出されるという仕様だったらしい。だが子供たちにテストプレイをさせてみた所、「最初に何をしたらいいのか分からない」という苦情が出た事から、「このままでは不親切なゲームになる」として現在のラダトーム城の玉座から始まるという仕様に変更になったのだとの事。本作でもそれ位の気配りをしてくれれば…。

実はこのゲーム、主人公をとりまく状況や世界の現状が説明書にしか書かれていないのである(このこと自体は当時としては普通)。

  • ゲーム中ではストーリーの基本設定は語られない。本当にエンディングまで語られることはない。説明書なしだとストーリーが微塵も理解できないだろう。
    • とはいえ説明書がない状況は、説明書を失くしたり中古の裸ROMを入手したプレイヤーサイドの問題である。
  • 明らかになっていく真実は基本設定との落差あってこそなので、説明書なしだと基本的な世界観設定をやっと説明されたという感じになってしまう。

ちなみに説明書によれば、
「彼には、そこがどこかも自分が誰なのかも分からなかった。」
要するに記憶喪失であり何もわからないこと自体が仕様なのである。

だが真の問題点は、説明書を読んでいてもこれから何をすればいいか全くわからないということである。

始めて5分で分かる凶悪な難易度

実は、主人公のスタート地点から左に一歩進んだところに最初の村が存在する
そこに辿り着けば様々な情報が手に入り、冒険の準備もできるのだが、この村は「超能力で隠れている」という設定でフィールド上には表示されない
最初からそれはないだろう…。

  • この設定も説明書に書いてあるが、中古を買ったなどで説明書が無い者にとって「ノーヒントの隠れ里を探す」なんて気づける人はリアル超能力者だけなので、結局できることは、あてもなく移動することしかない。
    運良く左方向のキーを押せば必ず村に入れるが、それ以外の方向のキーを押すともう村を見つけるのは至難の業。

とりあえず移動をはじめると、主人公の歩くスピードがやたらと遅い

  • その速度はドラクエなど一般的なRPGの約半分のスピードであり、1秒に1歩ペースとも言われる。
  • なお主人公が街中で足を止めると、その間にNPC(村人など)が何故かものすごい速さで移動する。プログラムのバグなのかどうかは知らないが、これだけ速く動かせるなら主人公の移動速度もなんとかしろと言いたくなる。

フィールドを移動していると、戦闘に突入。しばらく戦っても敵は一向に倒れず、そのまま全滅、ということがよく起こる。

  • 実はこのゲーム、エンカウントの設定がデタラメで、最初のフィールドでもLv0*1ではどうしようもない強敵が出ることがある
    • 一つ例を上げるなら、最初のフィールドで遭遇する可能性のある敵「ふっかつしゃ」はゲーム中最強のESPを使ってくる。ドラゴンクエストシリーズで例えるなら、Iの最初の町から初めて出ていきなり出遭ったスライムベスがベギラマを使ってくるようなもの
  • そして下記するように、戦闘システムがあまりに酷いことと相まって「最初の村に辿り着く前に死ぬだけのゲーム」という伝説が生まれたのである。

アンバランスすぎる戦闘システム

村に辿り着く前に即死というなら、運良く隠れ里に着けたプレイヤーはそこからまともにプレイできるのだろうか?

残念ながら答えはNOである。
装備を整えたとしてもある程度のレベルに達するまでは戦闘が凶悪な難易度を誇り、このゲームで最も有名な問題点となっている。

  1. 通常攻撃の威力は「素手の場合は敵の強弱に関係なく0-3のダメージ」「武器を持っていた場合は味方の攻撃力-相手の防御力」と設定されているため、攻撃力の弱い武器を装備してしまうと通常攻撃でダメージを与えることができなくなる
    後半の敵には、最強武器の「じゃいろSP」か「素手」(与えられるダメージは0-3しかないが)以外では通常攻撃が通じない。ESP(呪文)が生命線である。
    • 「じゃいろSP」は、本来はゲーム中で2番目に強力な武器。
      最強武器の「ぷらずまほう」は、攻撃力が一定の値以上になると「じゃいろSP」より強くなるはずなのだが、何かの手違いなのか、システム上攻撃力がその一定の値以上になることは不可能
    • なお、上の説明ではずっと「攻撃力」という言葉を使っているがこのゲームでは攻撃力を「じゅくれんど」というパラメータで表しているので注意。
      また、装備の変更は新しい武器を購入したときのみ自動で行われ、購入時に古い武器は売却されてしまうことも留意しておきたい。
  2. 「逃げる」というコマンドが存在しないため、どんなに強い敵が現れても逃げられない
    • 一応、「てれぽーと」というESPを使えば逃げられるのだが、最初は使えないし、一定確率で失敗することもある(失敗した場合は、戦闘に入った場所に応じて特定の地点に飛ばされる)。
  3. コマンドのキャンセルができないため、一度の入力ミスが致命傷になることがある。
  4. 自分のひっと力(HP)の下1ケタが表示されない。例えばHPが「50」のときは「5」と表示される。
  5. 必ず先制攻撃ができて攻撃の順番も選択できるため、「すばやさ」のパラメーターの意味がない。
  6. 「攻撃をかわす」「はずす」という概念もない模様。
    • この点については、「じゅくれんど」が命中のしやすさとダメージの与えやすさを総合的に扱ったパラメータとして解釈されてるのだと思われる。要するにこのゲームで頻出する「0ダメージを与えた」という状況は、攻撃をかわされたという状況なのである
  7. レベルアップしても、SEが鳴るだけでメッセージは表示されない。どんなパラメーターがどのくらい上がったのかも、説明されない。 上記の仕様を頭に入れた上で、弱い敵をなんとか倒していけばレベルアップはできる。
    このゲームはレベルアップの能力上昇が極端で、1レベル上がるごとにHPが倍々ペースで増えていくので、序盤を乗り切れば以降の冒険はだいぶ楽になる。
    ただし、HP以外の能力はさっぱり上がらないため、終盤でも通常攻撃はほとんど効かない。万が一ESPを切らしてしまうと攻撃もできず逃げる方法もなくなる*2
    わざと全滅しようにも向こうの攻撃でも10程度しかダメージを食らわないため、このころには4~5桁に達するHPが仇となって、全滅するだけでとてつもない時間がかかるという無間地獄に陥る。
+ パーティが全滅すると、以下のように叱られる。

この みじゅくもの!
ぜんいん、しぼうしてしまうとは…
もういちど でなおしてこい!

  • わざわざ叱る必要は無かったのでは…

また、このゲームには「かりう」という最凶の技がある。

  • 「かりう」とはときどき敵が投げてくる薬の名前で、これを食らうと「びょうき」(いわゆるマヒ状態)になり、行動できなくなる。他にもフィールドでは一歩ごとにダメージを受けてしまう。
    • 「にゅうえあ」というESPがあれば回復できるが、使えるキャラクターは1人だけで、当然序盤は使えない。と言うか覚えるのは割と後半。
      にもかかわらず、ゲーム開始直後に出てくる敵も「かりう」を使ってくる。攻撃をかわすという概念がないので100%食らってしまう。
      • 物語が進むとびょうきを回復する「くらっと」という薬が入手できるが、こちらは戦闘中には使用できない。
  • しかし、本当に恐ろしいのは「びょうき」状態は戦闘中に自然回復できないということである。
    • 特に後半で全員が「びょうき」状態になってしまった場合、全滅するまで敵の攻撃を受け続けるしかない*3
      しかし前述のとおり最終的なHPが5桁にもなるこのゲームでは、そんなことをやっていたら下手をすると1時間超えもありえる。
      潔くリセットボタンを押しましょう。
      • 他の一般的なRPGでは、こうした「全員がマヒ・石化等して自然回復不可能」な場合には即座に全滅扱いとなり、少なくともやり直す手間だけは省けている。
  • ちなみに、物語が進むとある方法で「かりう」を入手することができ、戦闘中に使用することもできるが…。
    • 「かりうをのむと からだじゅうに さむけが おそった。」と出て自分が「びょうき」になる。投げろ。
      • ちなみに、同じく敵の技で、眠らせる効果のある「とれろ」も入手可能。こちらは戦闘中に使用するとちゃんと敵に向かって投げる。何故かりうは投げないのか。
  • この「かりう」が一体何なのかも現在に至るまでのままである。
    • 「さらまんど(サラマンダー?)」が投げてくるので「火竜」という説や、「ナトリウム-カリウム合金」という説があるが、「火竜」だと「さむけが おそった」の意味が通らず、「ナトリウム-カリウム合金」も空気に触れると爆発・炎上する危険な合金なのでやはり意味が通らない。
      • 薬剤師に作ってもらえるので「顆粒」だ、というのが一番妥当な線であろうか。
      • もっとも、「とれろ」や「くらっと」など、他の薬も何なのかはよくわからないが。

意味不明な接続

命からがら最初の村に到着した後も、何をやっていいのか、むしろ何をやっているのか分からないことが多い。

  • マップ間の繋がりがおかしい場所が多く、入った場所と出てくる場所が一致しない場所(例:2番目の町から外に出ると、なぜかスタート地点にいる)が複数ある。
    また、出入り箇所は合致しているのだが、なぜそこに繋がっているのかが理解できない場所(例えて言うなら、トイレのドアと学校のドアが繋がったような不一致感)もある。
    • なおこれについては一応法則性があり、「MAPの外周から外に出て別MAPに移動した場合、その時いるエリアに応じた特定の場所に飛ばされる」と言う仕様によるもの。最初の世界における「特定の場所」とはスタート地点なので、2つ目の町やら途中の洞窟やらで外に出るとここに戻される。~町やダンジョンから外に出る場合、最初の世界の「発電所」を除いてMAPの端から外に出るものばかりなので必ず変なところに出る一方、階段などの特定の移動マスに入って別のフロアに直接飛ぶ移動についてはこういったチグハグは無い。

理不尽な仕様

  • 特定のドアをくぐるには「IDかーど」というアイテムが必要なのだが、この「IDかーど」はどんなアイテムよりも遥かに値段が高く設定されており、しかも片道ぶんの効果しかない
    つまりドアを往復するには「かーど」が2枚必要であり、1枚しかなかった場合はドアの中に閉じ込められて、それっきりゲームの進行は不可能になってしまう(詰みが確定する)
    • 「かーど」を何枚も駆使し、幾つかのフラグを立てることによってようやく仲間になるキャラクターがいるのだが、手順の煩雑さから仲間にする方法が分からず、仕方ないので結局仲間にしなかったというプレイヤーも多かった*4
    • そのキャラクターはパーティで3人目のポジションを占めているのだが、普通にゲームを進めている限り4人目のほうが先に仲間になる
      そのため、プレイヤーは不自然な空欄を抱えたままゲームを進めていくことになる。
      • このことについてはさすがにメーカー側も重く受けとめていたらしく、「あのキャラクターはどうやったら仲間になるのかとメーカーに質問してみたところ、親切に攻略の手順を記した手紙を返信してきてくれた」という当時の体験談がいくつか報告されている。
  • クリアに必須な「さんそぱいぷ」を偶然入手してなければ意図的に探すのは非常に困難。
    • ある地点から先に進むのに「さんそぱいぷ」が必要である事自体はゲーム内で知る事が出来る(さんそぱいぷを持たない状態で先に進もうとするとメッセージ表示される)が、それがどこにあるのかは完全なノーヒント。落ちている場所に行ってもアイテムのグラフィックが何もないので、偶然真上を通過して拾うまでどこに落ちているのかを知る手段が無い
      運よく拾えたとしても入手時に小さなSEが鳴るだけなので、いつ手に入れたのかも分からない。と言うか拾った事に気づかない場合さえある。落ちている場所が目で見えないと言うのは他のアイテムでも同様だが、入手時のメッセージはただの小銭ですらちゃんとある。
    • テレポートで逃げるとよくその場に行かされることや幅1マスの通路に接する2×2マスの曲がり角の隅っこに落ちているおかげで、何も知らず拾う可能性は高い。
      • 曲がり角で直進&直進ではなくジグザグ歩くのが自然体なプレイヤーには見つけられない。
  • ダメージ床(ダメージゾーン)が存在するのだが、特にエフェクトがなく、気がつかないうちにHPがガンガン減り、気づいたころには死んでいるということが多い。
    • 当然これで全滅する可能性もある。回避するには「しーるど」の能力が必要。

変なパスワードのシステム

  • パスワードの入力が不便で、区別のつきにくい文字がいくつもある(例:数字の1と英語のIがほぼ同じフォント)
    • ドラクエのように文字表の上をカーソルを移動させて文字を選んでいくのでなく、ゲームセンターのゲームの名前入力欄のシステムと同じ十字キーを上下することでA,B,C,D…と順番に表示されていくシステム。しかもこのゲーム、パスワードに使われる文字があ~ん・ア~ン・A~Z・0~1・特殊記号類、と150種類近くあるため、文字を探すのに非常に時間がかかる。
  • パスワードにはカタカナが使えるのに、本編ではすべてひらがなとアルファベット。
    • その割には、ゲーム中でのメッセージに誤字・脱字が非常に多い。「ちょし(調子)」「おおじさま(王子様)」など思わず笑ってしまうような文言のオンパレード。
      挙句の果てには、エンディングのメッセージにさえ誤字・脱字が存在する。
    • 台詞にカタカナを使わないことで台詞の使用容量を減らせるので、これは仕方ない面もある。
  • パスワードを入力しても前回のデータを完全に再現できない。パスワードの文字数を減らすための工夫と思われるが、反面お金を個別管理するなどの無駄も見られる。
    • 説明書によると、「ごーるどは多くて255ごーるど引かれます。けいけんちは多くて3引かれます。」とのこと。
      • これは特に序盤において物価の事を考えるとかなりのロスとなってしまう。
    • ゲームの再開時に(悪いものだとポーズからの再開時でも)軽微な情報が切り捨てられ、プレイデータが完全に再現できないゲームは他にもあるが、ここまで切り捨てられるものは珍しい。

評価点

  • BGMは全体的に出来が良く、特にパスワード入力画面のBGMは現在でもファンの間では神曲として語り継がれている。おまけに結構、長い。このBGMのおかげで上記のパスワード入力時の苦痛がどれほど軽減された事だろうか…
    • ただ、街のBGMだけは非常に前衛的でカオスさを醸し出している。それに対してフィールドの曲は穏やかでBGMの設定を逆にした可能性もある。
      • Rom Cassette Disc in Hot-Bでの初CD音源化に際して、この曲にはブレインコントロールという曲名が付けられた。つまり、間違えていたわけではなかったようだ。
  • SF的な独自の世界観・ストーリーは実はしっかりと構築されている(ゲーム内での描写がそれに追い付いて行っていない感は否めないが)。ドラクエを始めとする代表的なRPGとは一線を画するSF的な世界観を持ったRPGは当時の家庭用ゲーム機においては珍しく、それに魅力を感じるユーザーは少なくない。
  • 敵キャラのデザインもSF世界をしっかり表現した秀逸な物が多く、さらにドット絵の書き込みもファミコンとしては高水準(一部良く分からない敵もいるが)。
  • 通常の台詞とは別に「心の中の台詞」があるというファクター。テレパシー能力によって心の声を読むこともできる。
    • 「けけけ」などとしか喋らない入院中の狂人たちも、実は機密に触れて口を聞けなくされてしまった人々で、しっかりとした思考を持っていたりする。
    • 機械の心を読むと16進数の文字コードになっている。
  • Lvが上がると戦闘中のキャラグラフィックが変わる(成長する)微妙に芸の細かいところがある。まあ、その労力を他の方面に使ってくれとも言えるが…。
  • パーティーメンバーの4人は「強力な攻撃ESPを持つ」、「スピードアタッカー*5」、「武器戦闘が得意」、「魅了などの状態異常に長けている」、と何気にバランスがしっかり取れている。
  • 「けさ の ちょうしょく の けろっぐ は、 なっとう の あじ で、 うまかった。」に代表されるように、とてつもなく謎な台詞が多い。
    • ネタであれば、ある意味かなりいいセンスといえる。

総評

はっきり言って開発途中のものをそのまま出したレベルである。町とフィールドの出入り口を合わせるのは町を開発する作業において最初に行うようなことである。
以上のように非常にクソ要素の多いゲームではあるものの、SFチックな世界観のストーリーやシュールさと美しさを兼ね備えた音楽、外見はドラゴンクエストの真似に見えながらもオリジナリティに溢れたゲームシステムなどは一部から支持されており、今でも熱狂的なファンが存在する。

最後までプレイして世界観やストーリーを完全に理解できれば、このおかしなゲームバランスや鬼畜難易度が世界観に即した表現の一種であることに気づけるため、そういう意味では手抜きで狂ったバランスになったゲームとは一線を画する*6
惜しむらくはゲームを通じて英語モチーフの固有名詞が全部がひらがなでわかり難い等、世界観を伝える演出が致命的に下手なことと、世界観に即したバランスが別にゲームとしての面白味につながってないことである。

+ 世界の真相
  • おかしなエンカウント率は、「強力なマザーコンピュータが統率する世界で、徹底した超能力者狩りがされている」というディストピアを表現している。
  • また、ドラクエ的な感覚では違和感のある戦闘の仕様は「剣や鎧といった肉体を駆使した武器を使うのでなく、超能力と科学兵器という使用者の身体能力と無関係な部分で戦っている」ということを表現していると思われる。
  • 少なくともただの手抜きでバランスが崩壊したのではなく、はじめっからこういうバランスでゲームを作ろうという意思であることはゲーム中に多々感じることができる。
+ ストーリー展開について
  • 都市の名前が方舟(Ark)だったり管理コンピュータの名前が第三者たるクルーだったりと、この世界は人類が移住可能な惑星を探して旅立った巨大な移民船である。
  • ちなみにサイキック狩りの真相は、「人間よりも進化して超知性を得たイルカ」が同じく人間よりも進化したサイキックと共に「旧人類を排除した新世界」で仲良く過ごそうと考えて、マザーコンピュータを使ってサイキックだけを移住予定の惑星アクアに一足早く送っていたというもの。
    • 強引なやり方ではあるものの、旧人類を絶滅させて世界の支配者になろうというような手段をとるわけでなく自分たちが外に出て行こうとしているという意味では最低限の筋は通っている。そもそも惑星アクアは海ばかりの星であるため旧人類の移住には適さないと判断されていて、どのようなエンディングを迎えても移民船は新たな惑星を探して旅を続けることになる。
    • また、サイキック達の意志をまったく無視する気もなく、サイキックの中から代表者を選んでその判断に委ねるつもりでいた。そしてイルカたち全員と心を読み合った主人公たちがサイキック全体の代表者として選ばれた上で、これからのサイキックがイルカと共に生きるか、人類と共に生きるかを、重大な責任を負って返答することになる。この時の選択によってエンディングが変化する。
  • 上述の通り最後の選択肢によってエンディングが変化する。マルチエンディングシステムは当時はまだ珍しかったので先進的と言えるが、本作のエンディングは一画面のメッセージが表示されるだけでイベントシーンなどもないので味気ない。スタッフロールも無い
    • ちなみに用意される選択肢は、「イルカと戦う」「サイキック達を連れてイルカとともにアクアに移住する」「人類の一員としてアークCITYに残る」の三つ。
    • 「イルカと戦う」を選んでも実際に戦闘になるわけではなく、主人公たちが戦いには勝てなかったことが簡潔に説明されて物語は幕を閉じる。いわゆるバッドエンド。必ずしもクソ要素とはいえないが、ラスボスと戦わないRPGというのは珍しいかもしれない。
    • 「移住する」だと「あかるいみらいがひらけてる。」というメッセージで終わるため、おそらくグッドエンドに一番近い。しかし、考えようによってはあまり後味はよくない*7
      • またイルカ側も意見は2種族で二分されており、片方はサイキックに不信感を持っているので不安の残る結末でもある。
    • 「残る」のエンディングだと先にアクアに送られていたサイキック達も含めてアークCITYに送還される。市民はサイキックをテロリスト扱いしているため「じんるいどうしのたたかいをおもうと こころはくらくおもい」とメッセージが表示されて、後味はとても悪い。
      • ガードフォースは密かにイルカやシャチこそが敵と考えているため、サイキックvs旧人類という展開にはならず誤解が解けてサイキックが市民に受け入れられる可能性はあるものの、人類同士の戦いの歴史が繰り返されることは示唆されているため旧人類&サイキックvs旧人類&サイキックという構図になるだけでハッピーエンドとは言い難い。
    • 本来ならもうひとつエンディングを用意するつもりだったのか、本編に使用されていないエンディングメッセージ(ボスとの戦いに勝った際のものと思われるイベントデータ?)がロムに残っている。一応は未来に希望がありそうなメッセージになっているものの、最後の一文が「ほんとうに これでよかったのだろうか?」で終わるため、やはり後味が良くない。 このことについては、こちらのサイトで言及されている。
  • 余談

    • 本作は同社が1984年にPC-8801及びFM-7で発売したRPG『サイキックシティ』*8と世界観が共有されていることを示唆する部分が見受けられる。
    • 2013年にホット・ビィの多数のゲームのサントラ『Rom Cassette Disc in Hot-B』が発売された。
      • 星を見るひとを含む22作品のBGMが収録されている中、ジャケットを星を見るひとが飾っている。