【ほしをみるひと】
ジャンル | RPG | ![]() 裏を見る ![]() |
対応機種 |
ファミリーコンピュータ Nintendo Switch |
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メディア |
【FC】1Mbit+64kRAMROM 【Switch】ダウンロード専売 |
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発売元 | ホット・ビィ | |
開発元 |
ホット・ビィ アナザー |
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発売日 |
【FC】1987年10月27日(*1) 【Switch】2020年7月30日 |
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定価 |
【FC】5,300円(税抜) 【Switch】990円(税込) |
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判定 | クソゲー | |
ゲームバランスが不安定 | ||
ポイント |
通常クリアすらやり込みの領域 全体的に不条理なバランス 常識を逸した移動速度の遅さ 体力表示下1ケタの消失 戦闘はほぼ運ゲー 場合によってはゲーム進行不能 世界観やBGMは意外と好評 |
コンピューターに管理された未来を舞台に、管理コンピューターに反抗するサイキッカーたちの戦いを描くSFRPG。
当時には珍しかったSFの世界観、印象的なBGMなどの要素を搭載していたものの、理不尽に過ぎるゲーム内容で多くのユーザーを落胆させた。
それ故に、『週刊ファミ通』に存在した各種ゲームの凄腕プレイを募集・評価する企画で不定期掲載されていた「やりこみ大賞」にて、本作の通常クリアが「やりこみ」として表彰されるという珍事で伝説となった作品である。
未来のとある場所に存在する巨大都市アークシティでは、都市管理コンピュータ「クルーIII」が人々の心さえも管理していた。
わずかでも都市に有害な心が芽生えた居住者に対して、マインドコントロールによる矯正が絶えず施され、人々は「クルーIII」に関する記憶すらも消去されている。
しかし極一部の人々にはマインドコントロールが効かないことが判明し、「クルーIII」はその特異体質の人間を「サイキック」と呼称した。
「クルーIII」は、ロボット、遺伝子操作によって作られたデスサイキック軍団や攻撃本能しかない異様なクリーチャー、
アークシティの軍隊「ガードフォース」などを使役し、サイキック狩りを行ない各地の超能力者たちをアークシティに連行していった。「みなみ」という少年は、自分が誰なのかそこがどこなのか記憶がないまま、様々なものから狙われていた。
なぜなら彼も超能力者であったのだから……。
村に辿り着く前に即死というなら、運良く隠れ里に着けたプレイヤーはそこからまともにプレイできるのだろうか?
残念ながら答えはNOである。
装備を整えたとしてもある程度のレベルに達するまでは戦闘が凶悪な難易度を誇り、このゲームで最も有名な問題点となっている。
上記の仕様を頭に入れた上で、弱い敵をなんとか倒していけばレベルアップはできる。
本作はレベルアップの能力上昇が極端であり、1レベル上がるごとにHPだけは驚愕の成長量で上昇するため、冒頭部分を乗り切れば以降の戦闘はかなり楽になる。
ただし、HP以外の能力はさっぱり上がらず、終盤でも通常攻撃はほとんど効かない。万が一ESPを切らしてしまうと満足に攻撃もできず、「てれぽーと」による逃走も出来ない。
「超能力が無ければ生き残れない過酷な世界」というイメージは、まあらしいといえばらしいのだが…。
わざと全滅しようにも、敵が繰り出す攻撃では2桁程度のダメージしか食らわないため、中盤には4~5桁に達するHPが仇となって、全滅するだけでとてつもない時間がかかるという無間地獄に陥る(*8)。
+ | パーティが全滅すると、以下のように叱られる。 |
また、このゲームには「かりう」という最凶の技がある。
命からがら最初の村に到着した後も、何をやっていいのか、むしろ何をやっているのかわからないことが多い。
+ | MAP |
町とフィールドの接続設定などRPGの基礎の基礎すらおざなりな本作は「製品未満」という評価が相応しく、はっきり言って開発途中のゲームをそのまま発売したと断言できる有様である。
上記のように非常にクソ要素の多いゲームではあるものの、SFチックな世界観でシリアスなストーリーやシュールさと美しさを兼ね備えた音楽、外見は『ドラゴンクエスト』の真似に見えながらもオリジナリティに溢れたゲームシステムなど磨けば光る部分は存在し、そういった部分を評価する一部熱狂的なファンも存在する。
最後までプレイして世界観やストーリーを完全に理解できれば、この奇怪なゲームバランスや鬼畜難易度が世界観に即した表現の一種であることに気づける。
そのため、そういう観点では、作り手の情熱が感じられない他の手抜きクソゲーとは一線を画する(*23)。
惜しむらくは、ゲームを通じて英語モチーフの固有名詞が全部ひらがなでわかり難いなど、世界観を伝える演出が致命的に下手なことと、世界観に即したバランスがゲームとしての面白味に繋がっていないことである。
+ | 世界観について |
+ | ストーリー展開について |
発売日について
*1 1987年11月18日に延期したとする説もある。詳細は余談にて。
*2 厳密には32/30秒に2歩ペース。1歩の距離=16ドット。速度は1/30秒毎に1ドットのスクロール。
*3 他の一般的なRPGと異なりこのゲームの最低レベルは0である。
*4 『ドラゴンクエストIII』を例に挙げると、ゲーム開始~ロマリア地方到着までですらエンカウントテーブルは8パターン存在する。
*5 とはいえ、後述するように主人公のHPはレベルアップでうなぎ上りに上昇する為、そこそこレベルが上がれば「さいこふぁいなる」であろうが大した問題にはならない。問題はレベル0の主人公の最大HPが「50」なのに対し、「さいこふぁいなる」で受けるダメージは最低でも「48」なので運が良くて瀕死、それ以外は即死という凶悪な設定になっていること。
*6 「じゃいろSP」だと攻撃力=(武器性能80+熟練度)×武器倍率12%。「ぷらずまほう」だと攻撃力=(武器性能40+熟練度)×武器倍率14%。プラズマ砲のほうが倍率は2%高いのだが性能に40も差があるため、追い越すのに必要な熟練度は200以上。しかし実際は熟練度が一番高いみさでも最大レベルで熟練度80なので全然届かない。
*7 失敗した場合は、戦闘開始した地点ではなく、戦闘に入った場所に応じて特定の地点に飛ばされる。
*8 そもそもこのゲームは全滅すると特定の位置で復活するのではなくタイトル画面に戻される仕様のため、わざと全滅する意味がまるでない。
*9 1人くらいならそのまま戦うなり「てれぽーと」で脱出するなりすればいい。
*10 いわゆる「サラマンダー」だと思われる。
*11 例として、2番目の町から外に出るとなぜかスタート地点にいる。
*12 例えて言うなら、トイレのドアと学校のドアが繋がったような不一致感。
*13 敵一体からはよくて50Gしか手に入らないのに、1枚につき500~3000Gもする。
*14 しかもこのキャラ、仲間にしなくてもさほど問題なくクリア可能。
*15 実はジャンプが得意なキャラクターならドアを無視して通過することが可能なことが、YouTubeの攻略動画で判明した。
*16 さんそぱいぷを持たない状態で先に進もうとするとメッセージ表示される。
*17 敵が居ない空欄も選出対象になる。以前の戦闘でその位置に居た敵の値が空欄に残ったままで、逃げていればその時の敵の残りHP、倒していたり再開後にまだその位置に出現してなければ残りHP0、で判定される。
*18 もっとも前述した仕様のせいで素早さはほぼ死にステになっているが…。
*19 レベルに応じて特定の障害物を壊せる。
*20 レベルに応じて障害物を飛び越えれる。
*21 特にクリアする際には一定数のてれぱしレベルが必須。
*22 壁を壊した場所は敵が出てこないので大幅に短縮が可能。
*23 もっとも後付けで説明書に書き加えただけかもしれないが。
*24 主人公たちはサイキック以外の人類を見捨てて逃げたのではないか?と受け取れるような終わり方をする。仮にサイキックシティが原形ならば、ゴール地点に着けばクリア、超能力を持たない旧人類を見限るなども一致する。
*25 ボスとの戦いに勝った際のイベントデータと思われるもの。
*26 タイトーがFCで出したRPG。
*27 ドラゴンクエスト等の正統派スタイルのRPG。移民船に乗れなかった超能力者の話。SFRPG、悪くないシナリオと、当時としては珍しいアプローチのゲームだった。だが本作と同じく、それらを表現するには技術がおいついておらず、プレイが苦痛なレベル。歩くのが遅いのも同じ。こちらは一歩進むのに3~4秒かかるというものだった。
*28 ゲームの仕様上、移動が一瞬止まることがある。