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マリオストーリー - (2017/02/26 (日) 01:52:18) の編集履歴(バックアップ)


マリオストーリー

【まりおすとーりー】

ジャンル アクションRPG
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対応機種 ニンテンドウ64
メディア 320MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
発売日 2000年8月11日
定価 7,140円
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2007年7月10日/1,000Wiiポイント
【WiiU】2015年7月15日/1,028円
判定 良作
マリオシリーズ・関連作品リンク


ストーリー

願いをかなえてくれる星たちのきらめく夜空。そのはるかかなたに、星の国がありました。
そこには願いをかなえる力を持った「スターのつえ」という宝物が7人の星の精たちによって大切に守られています。

ところがある日、事件が起こりました。
大魔王クッパが現れて「スターのつえ」を奪い取り、さらにその力で星の精たちをつかまえてしまったのです。

そんな出来事をよそに家でくつろぐマリオのもとに、ピーチ姫からパーティーの招待状が届きます。
マリオは弟のルイージとともにピーチ姫の待つキノコ城へと向かうのでした。

強大な力を手に入れたクッパがとんでもないワナをしかけているとも知らずに……

概要

スーパーマリオRPG』に続く『マリオRPGシリーズ』の2作目にして、『ペーパーマリオシリーズ』の1作目にあたる作品。
N64初期から『スーパーマリオRPG2(仮)』という構想はあったものの、任天堂とスクウェアの間に不穏な空気が流れたこともあってか、開発を任天堂と関係の深いインテリジェントシステムズに移し、64DD専用ディスクソフトとしての開発が発表されていた(参考)。
しかし64DDの延期により開発が長引き、紆余曲折を経て最終的にはロムカセットによる別作品としてタイトルを変更して発売されたという話がある。

特徴

  • 本作の大きな特徴はキャラが紙でできていて絵本のような世界であるという点である。
  • 戦闘ではスーパーマリオRPGと同じく、アクションコマンドを使って攻撃する。
  • 隠しブロックや様々なギミックを駆使して進んでいくアクション要素等所々にスーパーマリオRPGの良い点を継承している。
  • 経験値(スターポイント)を100溜めるとレベルが上がり、レベルアップ時に体力が上がる「ハートポイント(HP)」、マリオの技を使う為に「フラワーポイント(FP)」、バッジを使うために「バッジポイント(BP)」の三種類の中から一つ選んでマリオを強くしていく。どれを選ぶかはプレイヤーの自由である。
    • 戦闘やそれに関するステータスは、インテリジェントシステムらしく、数値のスケールまでも含め極限まで簡略化されている。与える・受けるダメージは中盤までは1~3、最高でも10以下、体力はラスボスでも99しかない。なおマリオの攻撃力はストーリーを進めていくと手に入る武器か、一部のバッジでしか上がらない。
    • スターポイントはその時点のレベルと敵によって異なり、一度に出現した敵が多いと若干増えるようになっている。こちらのレベルが極端に高くなればスターポイントは1ポイントも出さなくなる。
  • バッジシステム
    • 冒険の途中で手に入るバッジを装備すれば、マリオに特別な能力が備わる。
      • FPを消費して強力な攻撃を放ったり、火属性の敵からのダメージを減らしたり、攻撃時の効果音が変わったりするなど、全80種類(同じバッジが複数存在することもある)。BP値の制限はあるが、お好みでマリオのバトルをカスタマイズできる。
  • クリボーやノコノコなど様々な種族が仲間になり、各自得意な事が異なる。
    • シリーズのザコキャラクター達もそれぞれ生活を営んでおり、彼らもこの世界の住人であることがしっかり描写されている。
  • ストーリーは短めであっさりしている。クリア後のおまけ要素も無い(これは前作でもそうだが)。「クッパがピーチ姫をさらい、それをマリオが助けに行く」という、ものすご~くいつものマリオ*1
    • 続編以降に比べてストーリーが単純で捻りがないという批判もあるが、こちらのシンプルなストーリーがいいという層もいて賛否両論。
    • ただし、今回のクッパはピーチ姫を城ごとさらうというマリオ史上最も豪快な手法をとる。前述のピーチ姫パートはこの城の中、つまりピーチ姫の自宅が舞台というわけである。

長所

  • 紙で出来ている事を活かした演出は見ているだけで楽しい。
    • 場面が変わるときや家に入るときなどはまるでペーパークラフトのように物が組みあがっていく。また、土管に入るときはマリオが丸まったり、挟まれる系の罠に引っかかったと思ったらペラペラなので助かったりと、バリエーションも豊富。
  • 戦闘を飽きさせない様々なアクションコマンド
    • ほぼ全ての技に独自のアクションコマンドがあり、失敗すると効果が大幅に減る。
    • 前作のように「適切なタイミングでボタンを押す」という簡単なものから、「画面に表示されるボタン(3種)を素早く正しく押す」というような高難度のものまで。しかし、いずれもシンプルで分かりやすい。
      • ある程度の物語の進行は必要だが、バッジで判定を緩くすることもできる。
  • アクション要素満載でプレイヤー操作が主体なストーリーパート。
    • マリオシリーズお馴染みのスイッチを押す仕掛けに、ハンマーやヒップドロップで障害物を壊していく仕掛けなど盛りだくさん。
    • また本作から、シンボルエンカウント時に相手をジャンプで踏みつける・ハンマーで叩くことによって先制攻撃を仕掛けることができるようになった。逆に一部の敵シンボルはマリオを攻撃してくる者もおり、食らってしまうと先制攻撃を受けた状態からバトルが始まってしまう。
      • 仲間のアクションでも対応した先制攻撃が可能なため、ピンキー(仲間のボム兵)の爆発に巻き込ませればノーリスクで先制大ダメージを与えられる。
  • ステージをクリアするごとにピーチ姫を操作するイベントが挿入され、ストーリーに厚みを持たせている。このピーチパートは基本的にミニゲーム主体。
  • 絵本のような見かけによらず細部の設定がしっかり練られており、その世界設定は続編へと受け継がれることになる。
    • とてもファンタジックなストーリーであり、更に個性的なキャラクター達が物語をより引き立ててくれるため忘れられない魅力がある。
    • 例としては、名前も外見も似ているキャラクターが複数登場したと思ったら全員親戚であり、話が異様に長いという性格まで似ていたというデアール一族など。
    • ストーリーの合間に何度でも立ち向かってくるコワッパも印象的。殻に籠ったり羽根が生えたりトゲを生やしたり、さらには通信教育で覚えた魔法を使ったり。
    • パーティーメンバーの中でもレサレサは愛らしい外見とマリオシリーズでは珍しいツンとすました性格から特に人気が高い。
      • これで味を占めたのか、以降の2作品でも大体1人は似たような性格のキャラが登場している。
    • パレッタ(オープニングの1シーンだけだが)、レサレサ、デアール一族は続編にも登場した。
  • 前述の初心者から上級者まで様々なカスタマイズができるバッジシステムは奥が深い。
    • ストーリー上で必ず使わなくてはいけないバッジも殆ど無いため自由度は凄まじい。攻撃力が増える代わりに受けるダメージも増える「モロハノヤイバー」のようにリスクとリターンがあるものから、移動速度が遅くなる「ノロイノロイ」など微妙なバッジもあるが、あえて装着すると言う縛りプレイ向けのバッジまである。
      • 「ノロイノロイ」はデメリットしかないように見えるが、実際には「ダッシュすると敵が起きてマリオに向かってくる」ギミックの対策となっているため、使い道がないわけではない*2。使い道が本当にないバッジは効果音が変わるだけのピッキョローン系くらいである。
  • 頭を使わないと解けない仕掛けは前作から健在である。しかし紙であることを利用した仕掛けは、本作ではまだ少ない。
  • 町並みやバトルフィールドなどのデザインも良い。
    • ペーパークラフトであることを活かし、N64らしからぬ高品質なグラフィックを実現したことも特筆すべきであろう。下手にポリゴンらしさを強調していないグラフィックはとても温かみがある。
  • バッジやほしのかけら等、アイテム収集によるやり込み要素もある。
  • BGMも作り込まれており、ボスには一体一体に専用のBGMが用意されている。ちなみにノコブロス戦では「マリオブラザーズ」のアレンジが流れる。
  • クリオのセリフは話しかけられるキャラ全てに用意されており、さらにマップごとに全て違うセリフになっている。話しかけて確かめてみよう。
    • 敵に対しても「しらべる」コマンドで能力値など詳細な説明をしてくれる。一見図鑑的な要素だが、このコマンドを成功させた敵の種類は次回以降の戦闘でも残りHPが常時可視化されるので使う価値はある*3。ボス戦でのみ出てくる敵にもテキストがしっかり用意されている。また、たまに個人的な主観などどうでもいいことを言ったりする*4
      • バケバケという仲間に変身する敵をクリオに変身させると、敵クリオがマリオにものしりをするということも。
  • クリオの「しらべる」のみならず、ルイージの日記や手紙やわらしべイベント等、小ネタやイベントが非常に豊富。
  • 町ごとにショップの売値・買値が異なっており、風土の違いを表現するのに役立っている。
    • 例えば寒冷地であるサムイサムイ村ではファイアフラワーが高値で売れ、対して砂漠のカラカラタウンではユキやこんこんが高値であるなど。また意外な物が意外な場所で高値で売れたりもする。
    • また、この価格の違いを利用してコインを稼ぐことも出来る*5

短所

  • スーパーマリオRPGに比べてテンポがやや悪い。
  • マリオのレベルが最大27と低く、割と簡単にカンストしてしまう*6
    • HPが99ある敵が登場するが、マリオのHPは50までしか上げられない。バッジの「ハートフエール」をフル装備しても65までである。
    • 次作ペーパーマリオRPGでは最大レベルは99まで引き上げられ、最大レベルまで育て上げるには長時間プレイを要するようになった。「ハートフエール」も無限に入手可能になっている。
  • ラスボス戦におけるレサレサの扱い。
    • レサレサは単発攻撃力が低い代わりに連発で大ダメージを叩き出すキャラだが、ラスボスは防御力があるため仲間キャラで唯一無力となってしまう。ラスボスにチャージ技がないため、無敵技のすきとおりの利便性がそこまでないことも影響している*7
    • しかし、ラスボスにもなって防御力を一切持たないようではやや不自然。そもそもラスボス戦では基本的にアカリンを使うのが有利であるため、ラスボス戦でレサレサ1人だけが不遇だとは言い切れない。
  • エンディング後にセーブできない。
    • エンディング後にセーブを行う事ができず、リセットするしかない。再開するとラスボス戦の直前からとなるが、ラスボスを倒してエンディングを見た後でもちょっとした後日談が続くペーパーマリオRPGスーパーペーパーマリオと比べると何とも寂しい。
  • 「シショー」「ブラックヘイホー」「ゼニノコー」など初見殺しの敵の存在。
    • 初めて戦える段階ではとても敵う相手ではなく、「倒せないことはないだろう」と高をくくって挑むと返り討ちに遭う。
    • どんなゲームにも初見殺しの敵はいるものだが、本作はそういった敵がそこそこ多い。とはいえ そういう相手は総じて「自分は強いが本当に戦うか?」と選択肢を出してくれる ため、理不尽にゲームオーバーに突き落とされることは無い。
    • ただし、シショーは倒しても証がもらえるだけで純粋な利益はないし、ブラックヘイホーやゼニノコーに至っては戦わずに回避する方法もある。戦う事自体がある意味やりこみ要素と言えなくもない。ある程度慣れてきたら挑戦してみるのがいいだろう。
  • コンプを困難にする要素。
    • 自宅の壁にゲーム中の記録が掲示される。その中に星のかけらと作った料理の数も含まれているのだが、ゲーム中の仕様の所為で難しい。
    • 「ウルトラキノコ」と「ローヤルゼリー」はゲーム中に数個限りしか入手できないが、それらを必須とする料理レシピが存在するため、無駄使いしてしまうとコンプ不可になってしまう。
      • 一応「ローヤルゼリー」の方は無限に入手する手段があるが、運任せな上ものすごいコインを要する。
      • ペーパーマリオRPGではどちらも無限に入手可能になった。「タンコブ」などは有限のままである。
    • とはいえ、後続作品のような図鑑要素ではなく、数字が表示されるだけのほとんど実績のような物なので気にしないプレイヤーも多いが。

総評

当初スーパーマリオRPGの続編として発表された為、全く違う中身に戸惑ったかもしれないが、初心者から上級者まで様々なカスタマイズができるバッジシステムとレベルアップ時の能力選択、戦闘時の様々なアクションコマンド、アクション要素満載でプレイヤー操作が主体なストーリーパートなど、スーパーマリオRPGに負けず劣らずの面白さを持つゲームと言える。
とてもファンタジックでありながら中々感動できる場面もある、その個性的な世界設定に惚れたファンも多い。
その点ではスーパーマリオRPGとは違った面白さを持ったゲームと言えるだろう。

余談

  • 伝統のザコ敵、「ファイアパックン」がステージ5のボスに抜擢され、大出世を遂げている。
    • 外見的には過去とほとんど別物と言っていいが。*8それでもラスボスのクッパを除きほとんどのボスがオリジナルで占められるなかで、名前だけでも過去作から出演しているのはこいつだけである。
      • 戦闘は2段構成になっており、1段階目は特徴のない普通のファイアパックンだが、倒すと火を纏って復活してくる。だが復活後は氷か水の攻撃を当てると2ターン気絶するため、割と簡単に倒せるボスとなっている。やはり所詮は雑魚ということか。
    • ちなみに他のボスは、クリキング(クリボー)、ノコブロス(ノコノコ)、カーメン(カメック)、ドガボン(ガボン)、しょうぐんヘイホー(ヘイホー)など既存キャラの見た目や名前を変えたキャラクターが多い。その中で、ステージ6のボスは今作から登場した種族の親玉で、ステージ7のボスは完全なオリジナルとなっている。
      • 特にクリキングは『スーパーマリオ64DS』に逆輸入され、追加ステージのボスに抜擢された。
  • 開発はインテリジェントシステムズに加え、バンプール(代表作『もぎたてチンクルのばら色ルッピーランド』)代表取締役社長の工藤太郎氏もオブザーバーとして参加している。工藤氏は元スクウェア社員で、前作『スーパーマリオRPG』のイベントデザインに携わっており、その後のペーパーマリオシリーズにも深く関わっている。
    • このため、同じく元スクウェア社員が中心のアルファドリームが開発した『マリオ&ルイージRPG』と同様、本作も名実共にマリオRPGの系譜を次ぐ作品といえる。
  • 本作品の開発時のイメージ画において、マリオの後ろにはルイージが一緒に写っており、構想時には一緒に冒険させる予定だったようである。
    • 結局はルイージは今作では留守番役に徹するが、その後上記マリオ&ルイージRPGで兄弟の冒険が実現し、ペーパー系譜でも第三作目の『スーパーペーパーマリオ』において実現した。
  • 砂漠のステージに100回叩くと貴重なアイテムの出るブロックが存在するが、有志の発見によりこれを38654705764回叩くとフリーズする事が判明している。*9
    • 実機でフリーズさせる場合、処理落ちを考慮に入れれば416年ほどかかる試算もある。それでもやりたい方は自己責任でどうぞ。
      • 電源供給など、ニンテンドウ64を何百年も動かし続ける為の入念な準備も忘れずに。
  • 同じようにピーチ姫のケーキを焼くイベントでは30秒(実際は23秒から36秒の間)でタイマーを止めなければならないが、143165600秒から143165613秒の間に止めても成功扱いされる。*10
    • 実機で成功させる場合、4年以上かかる計算になる。それでもやりたい方は自己責任でどうぞ。
      • 電源供給など、ニンテンドウ64を何年も動かし続け為の入念な準備のほかに、一瞬のタイミングを見逃さない集中力も忘れずに。

その後の展開

マリオパーティ5』のガイド役として、本作の「星のせい」達7人が登場。

本作の海外版は『Paper Mario』というタイトルであり、その後は日本でも『ペーパーマリオ』の名を冠してシリーズが続いていくことになる。
本作の流れを汲むシリーズ続編としてゲームキューブで『ペーパーマリオRPG』が発売されている。
また、開発元は違うが携帯機でも『マリオRPG』系列の別のシリーズとして『マリオ&ルイージRPG』シリーズが発売されている。