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大神 - (2022/04/01 (金) 17:25:07) の編集履歴(バックアップ)


この記事では『大神』PS2板と、その移植作品であるWii版を取り扱っています。判定はどちらも「良作」です。



大神

【おおかみ】

ジャンル ネイチャーアドベンチャー
対応機種 プレイステーション2
発売元 カプコン
開発元 クローバースタジオ
発売日 2006年4月20日
定価 7,140円(税込)
廉価版 PlayStation2 the Best
2006年12月14日/3,129円(税込)
判定 良作
ポイント 日本神話をモチーフにした和風ファンタジー
美しいグラフィック&BGM
簡単操作でスタイリッシュわんこアクション
一部除き難易度はかなり低い
大神シリーズ
大神 / 大神伝 ~小さき太陽~

概要

絵巻物に描かれた和風絵画のような風情を感じるグラフィックが特徴のアクションRPG。
キャッチコピーは「この世の命が、蘇る。
ジャンルの「ネイチャーアドベンチャー」とは、分かり易く言えばゼルダの伝説に代表されるアクションアドベンチャーのこと。
古代日本の神話や昔話をモチーフとした広大なフィールドを舞台とし、探索・謎解き・寄り道などの要素が豊富。

タイトルの「 大神 (オオカミ)」には、主人公の姿が「」であることはもちろん、主人公が「天照大神」であることのダブルミーイングが込められている。
ディレクターは『デビルメイクライ』や『BIOHAZARD 2?』を手がけた神谷英樹氏。そのため、彼の出身地である信州の地名を元とした地名や人名が多い。


ストーリー

美しき緑と自然が息づく大地の国「ナカツクニ」で最も見事な桜の木を神木として祀る村「 神木村 (かみきむら)
その神木の袂には、かつて神木村を脅かした伝説の怪物「ヤマタノオロチ」を討ち取った剣士と狼の像が祀られている。
剣士イザナギを様々な神秘の力で助けるも傷つき倒れた白狼の名は 白野威 (シラヌイ)
この二人の英雄によってオロチは封じられ、神木村に百年の平穏をもたらした。

しかし百年の後のある夜、オロチを封じていた宝剣「 月呼 (ツクヨミ)」が何者かに引き抜かれ、蘇ったオロチはナカツクニ中を呪いと祟りで包み込んでしまう。
この窮地に、神木に宿る木精サクヤ姫の手により白野威像へ憑依し百年の眠りから目覚めた「 大神 (オオカミ) アマテラス」は、
旅絵師のイッスンと共に、奇跡の御業「筆しらべ」で呪いと祟りを清め祓う、ナカツクニ浄化の旅へと出るのだった。


システム

  • 装備品は武器である「神器」を「表」「裏」二箇所に装備可能で、他に「 神飾 (カミカザリ)」というアクセサリを3つ装備可能。
    • 神器の種類は「三種の神器」になぞらえており、鏡、勾玉、剣の三種類が有る。一部にはその装備固有の性能を備える。
    • 神器は「表」と「裏」の装備位置でも使用感が変わるが、全て武器が1点モノなため「表」「裏」の機能を同じ武器で扱う事は出来ない。

筆しらべ

本作を象徴するシステムであり、 墨瓢箪 (スミヒョウタン)(RPGでいう自然回復するMP)を消費して実行するアクションである。
これは戦闘中・移動中問わず、画面上に筆を走らせて特定の模様や線を描くことによってさまざまな奇跡を引き起こす。

アマテラスは元々十三の筆しらべ全てを宿していたが、百年前のオロチとの戦いの末に眠りに付いた際、身に宿していた筆しらべの力がナカツクニ各地に散り、復活した時には全ての筆しらべを失っていた。
この筆しらべを司る筆神たち*1を全て取り戻すことも旅の目的である。
最初こそ筆しらべの種類は少ないが、物語が進み筆神と再会し、その力を取り戻すことで筆しらべの種類を増やすことができる。
筆しらべは戦闘中の攻撃手段としてだけでなく、人助けや謎解きの鍵などの多岐にわたる活躍を見せる。

筆しらべの例

  • 光明  夜空に太陽を出現させる事が出来る。アマテラス本来の力。
  • 一閃  ありとあらゆるものを斬り裂く力。「 断神 (タチガミ)」を取り戻すことで使える。
  • 水郷  水流や噴水を操る力。「 濡神 (ヌレガミ)」を取り戻すことによって使える。
  • 花咲  草木や花芽を咲かせる力。「 咲ノ花神 (サキ ハナガミ)」を取り戻すことにより使える。
  • また、筆しらべの中でも一部隠しイベント達成の解放によって、性能強化や奥義習得ができるものも存在する。

幸玉

このゲームでは経験値の代わりに「幸玉」と呼ばれるものを得てアマテラスが成長する。これは敵を倒して得るものではなく、人や動物や自然そのものの信仰心や感謝の気持ちによって生じるものである。
たとえば、困っている人を助けたり、野生動物に餌を与えたり、枯れている木を咲かせることによって幸玉がもらえ、その幸玉の数に応じてアマテラスの能力である「神通力」の 4つの項目を強化することができる。

はぐれ珠

本作最大規模の隠し要素。全100個もの膨大な量の収拾アイテムであり、全て集める事で最後のご褒美が完成する。

  • そのうちの99個はナカツクニ全土に隠されている。宝箱から手に入れたりサブイベントをこなしたりミニゲームクリアの報酬だったりと入手方法も色々。
    • シナリオ上の役割を終えた(本来なら会う必要のない)キャラクターに話しかけるだけで貰える事があるなど、メインイベントを追っていくだけでは集まらないようになっている。
    • 入手期間が限定されている事はないためラストダンジョン突入前にまとめて集めてもいいし、周回プレイに適応しているため収集を2周目に回して1周目は敢えてメインイベントのみに目を向けてもよい。
    • 残りの1個はゲーム1周目クリア時の特典として手に入るため、ご褒美が完成するのは必然的に2周目以降となる。
  • ちなみにそのご褒美とは、太陽器(RPGでいうHP)無限、墨瓢箪無限、攻撃力10倍という冗談抜きに神そのものな強さになる神飾である。
    • 性能だけを語ればバランスブレイカーに見えそうだが、解禁されるのは2周目以降であり、問題点に記載されているように本作は難易度が低いためこれが原因でバランスを崩す事はない。
    • 『BIOHAZARD』で例える所の「無限ロケットランチャー」「無限マグナム」のような、やり込んだ末の記念品としての顔も兼ねる最強アイテムであり、苦労に見合う存在感を放つ。

評価点

  • リアル指向とは対極に位置する、和風デフォルメの到達点と言えるグラフィックが秀逸である。
    • 「和紙に描かれた水墨画のようなの質感で彩られた、まるで絵巻物の絵がそのまま動き回る世界」という高い芸術性を誇る本作は、極端にいえばフィールドを駆け回っているだけでも飽きが来ない。
    • HDリマスター「絶景版」では 最新のゲームと比較しても遜色ないほどのグラフィックに進化している。
  • BGMの完成度が高い。
    • 場面ごとの雰囲気を盛り上げ、世界観を際立たせる秀逸なBGMが揃っている。
    • とりわけフィールド曲においては、祟り場を祓う前の鬱々した空気の後に、祟りの祓われた開放感と共に耳にするという、プレイヤーの気分を落としてから上げる演出も相まってに非常に高い評価を誇る。
    • 特に知名度の高いラスボス戦BGM「太陽は昇る」は、最終決戦のクライマックスの演出と共に多くのプレイヤーを感動させた。詳しくは後述。
    • 平原綾香の歌うEDテーマ「RESET」も世界観にマッチしている。
  • 戦闘も難易度自体は低いものの、筆しらべ・アマテラスの攻撃の描写・鋭い効果音と相まって、華麗かつ爽快な戦闘を堪能することができる。
    • 特定の武器によるカウンター技や溜め・浮かせコンボなど、比較的玄人仕様の派手な要素も存在する。
    • アマテラスのモーションもなかなか凝っており、DMCシリーズさながらのスタイリッシュハードアクション…もといスタイリッシュわんこアクションが楽しめる。
  • 個性あふれるキャラクターが多く見ててあきない
    • 感動的要素から笑い・ネタ・ギャグ要素まで幅広く 脇役はおろか13支の神々やヤマタノオロチまでそうしたとこがあるのでおもしろい 
      • またこのゲームの女性陣は美人揃いであり テーマ曲自体がおもしろいキャラクターまでいる
  • 主人公のアマテラスが可愛い。
    • 一応、狼ということなのだが、どう見てもわんこ(干支的には戌)。かわいい。
    • アマテラスの元ネタである天照大神は太陽の女神なので、今作のアマテラスはメス…と言いたいところだが、性別は不明。
      • 筆神達が使う「慈母」は、とある人物(その人物は目が見えない)が話す美しい女性という表現も、あくまでアマテラスの母性を表現したものである。
      • その反面アマテラスの100年前の姿である 白野威 (シラヌイ)の神々しさは 専用BGMととある所での異常なまでの強さから鳥肌ものである。
  • 終盤の舞台は日本のとある地方の神話が元となっているが、元来この地方の神話は現代の日本人には馴染みの薄いものである。
    そういったものをゲームに取り入れ、この地方の神話の存在・奥深さを紹介した点も評価されよう。
  • ラスボス戦前後の展開終盤のストーリーに関してはやや賛否あるものの、ラスボス戦の展開はベタながらかなり熱い演出で、その時のBGMも合わせて評価が高い。「涙で画面が見えない」というプレイヤーの声も多い。
  • ゲームの外側も手を抜いていない。
    • 本作のパッケージ及びポスターに用いられた「野性の胎動」と広告に用いられた『神代桜』は元々は日本画家の木村圭吾氏の作品である。
      • 本作のプロデューサーはかつて美術館で木村氏の作品に感動した事があり、その後に本作の宣伝に使用させてもらえるよう木村氏と交渉した事やスタッフらを美術館に連れて行き作品と対面させた事が制作ブログで語られている。
    • また、『大神』のタイトルロゴは女流書道家の成田眞舟女史*2がデザインを手掛けている。
      • 成田女史は海外版のタイトルロゴも手掛けているのだが、当初は『OHKAMI』と書いてもらった所、外国人には『OKAMI (Oの上に長音を表す傍線あり)』でないと読めない事が後から判明し、慌てて書き直してもらったという経緯がある。こちらも制作ブログから確認できる。
      • 余談であるが、成田女史は本作以外にもゲームのロゴを手掛けている。興味がある人は調べてみるのもいいだろう。
    • 日本画家、書道家といったおおよそゲームとは接点の薄い職業の人たちを知る事ができるのも、本作の評価点の一つといえるだろう。

賛否両論点

  • シナリオ面
+ 以下はネタバレを多少含むもの。クリックで開く
  • 元々日本神話や民話をモチーフとした和風世界観が売りだったのだが、終盤で急にSF要素が強まってくる。特に機械的・近未来的な設定が登場し、世界観の和風離れが強まってくる。ディレクターの趣味を前面に押し出したとあるキャラクターと共に、世界観が壊されていると感じるユーザーも少なくない。また、終盤の急展開自体、ややプレイヤーを置いてきぼり気味で、張りっぱなしで終わった伏線も多い。
    • 古典の竹取物語は日本最古のSFという捉え方もあり、大神にSF要素を入れるなら妥当な題材ではある。
    • 終盤以前も全くの純和風な世界観というわけではなく、ウシワカに代表されるように現代的な部分も一部には見られた。
    • 黒幕のSF的な外観や設定は、(和の)世界を乱す存在という立場を体現しているものともいえる。
      もっともそれ故に、世界を壊す要素であるSF=悪 という見方もあながち間違いではないのかもしれない。
  • ストーリーに関わる宿敵「ヤマタノオロチ」だが、実は単なる序盤の大ボスに過ぎない。その後に登場するボスはいずれもヤマタノオロチほどの存在感や強大さは無く、ゲームを進めるにつれてストーリーの熱が下がっていく。そのため、ストーリー中盤は少々中だるみしてしまう。
    • 一応ヤマタノオロチは終盤にも関わってくるが、何故再登場させた、と言いたくなるほどの急展開*3
    • ヤマタノオロチ撃破以降も、ストーリーの所々で盛り上がりを見せる場面はある。後々登場する各ボスも、決して小者というわけではない。
    • 終盤は序々に熱い展開を見せる。
  • シナリオ最終盤までゲームを進めると、各地のフィールドの天気や空気、景観などが非常に悪くなってしまう。
    • 全体的に暗く、天気は常に夜の曇天のような暗さ・重さで固定され、序盤と中盤フィールドBGMが夜verのままになる。
    • そのため物語クライマックスでは、このゲームの大きな魅力であるフィールドの美しさなどはあまり感じられなくなってしまう。
    • やり込み要素が豊富に用意されているゲームではあるが、終盤でサブイベントやアイテム収集などをやり込もうとすれば、暗いフィールドを駆け回ることになる。
    • ストーリー上の設定を強く反映させた形なので、仕方のない部分ではある。

問題点

  • ゲームとしての難易度が極めて低い。元々ゲーム初心者向けに作られてあるのだが、それにしてもあまりにもヌルゲーすぎて謎解き・戦闘ともに張り合いがないという意見が多い。
    • 謎解きの難易度が低い原因は、主人公の相棒が勝手にヒントを喋る事にある。ヒントさえなければ手ごたえがあるレベルではあるが、強制的にヒントを聞かされるので結果的に難易度が激減し、謎解きがつまらなくなっている。
      • 因みに海外版ではある箇所で日本版にはないヒントが追加されている。日本人以外にはなじみの薄いある物に関する謎解きなので追加は妥当であるが、ヒントは強制ではなくオブジェクトを調べた時に初めて見られるようになっている。他のヒントもそれと同じようにしてくれたらよかったのに…。
    • 一方で戦闘の難易度が低い原因は敵の弱さにある。太陽器が尽きると自動で復活する能力(『ゼルダの伝説シリーズ』における妖精に相当)が主人公の強さによって増加するため、実質的に死亡回数は減らない。強い敵もいるが、ひたすら固くてだれるのが難点。
      • そのせいかゲームクリア後に表示される評価では、初プレイでも余裕で全項目満点の最高評価が得られてしまう。
    • 武器や体力の最大値などを強化しないといった制限(縛り)も可能だが、それでもヌルい。
    • 比較的高難度な戦闘として、「百鬼夜行」と呼ばれる強力な敵と戦い続けるサバイバルバトル的な要素が存在する。しかしそれはHPを大幅に高くした敵を一度に大量に出現させるという、プレイヤーに一方的且つ理不尽な不利を強いるものであり、「バランスの取れた高難度」とは言い難い。攻略サイトでも回復アイテムを大量に用意したゴリ押しが推奨されているほど。
  • 対して一部ミニゲームの難易度はやや高め。メインイベントで挟まれる物は難易度が低めに抑えられているのだが、筆しらべ強化やはぐれ珠取得のためのミニゲームは全体的に難易度が高い。
    • プレイヤー間ではレーシング系ミニゲーム、通称「カイポクレース」と瞬間記憶系ミニゲーム「 答選坊 漢壁 (トウセンボウ  カンペキ)」が最大の鬼門と語られる事が多い。
    • カイポクレースにはコースのショートカットがあったり漢壁にはラップを張った画面に直接書き込む攻略法(公式より)があったりと一応フォローはされているのだが、彼らを「このゲームの真のラスボス」と呼ぶプレイヤーは多い。
  • 戦闘関連
    • 難易度の問題を抜きにしても、その完成度は決して高いとは言えない。連撃中に逃げる・攻撃を防ぐという敵が多く、その度に追いかけたり筆しらべを当てたりしないといけないので、折角のテンポの良さが阻害されている。演出が大変綺麗なだけに勿体ない。
      • とりわけ不評なのが輪入道や雲外鏡と呼ばれる車輪型・鏡型の敵。ほぼ確実に複数で出現し、全身攻撃判定で戦闘フィールド全体を高速移動し、こちらの攻撃を防いでカウンターをしてくる上に、筆しらべを何度も使わないと倒せないというあんまりな敵。しかも10種類近くと数だけは無駄に多い。
    • DMC等の3Dアクションには必ずと言っていいほどにある、「敵一体に注目するロックオン」タイプのシステムが存在しない。
      • 攻撃時は近くの敵にオートエイムが働くのだが、攻撃したい敵とは別の敵を勝手に狙ってしまう、という事がかなり頻繁に発生する。
    • カメラワークも全体的に悪い。視界に収めようと視点であるカメラ位置を動かしても自動補正が強過ぎてすぐ戻ってしまう。特に青天邪鬼を筆頭とした空を飛ぶ敵はカメラに収まってない場合が多く、そのカメラの視野外から攻撃されるという事態も頻発する。
    • 先述の通り演出は大変華麗なのだが、敵が多い時は倒した際の演出で画面が見え辛くなるという事も多い。
  • とあるボスとは3回も戦うことになる。しかも、その戦闘自体が作業気味なものなので、少々退屈。
  • 「スリの手袋」を鍛えすぎると弱体化してしまう。
    • イッスンが敵からアイテムを盗みつつダメージを与える「スリの手袋」による攻撃は実は、発動の毎に密かに威力が微増されていき、極限回数*4使い込み続けると、大抵のボスまで一撃で葬る最強の攻撃手段に成長する*5
      • …のだが、最強状態から更に使い込み続けると逆に威力が弱くなってしまう特徴がある。

総評

独特の世界観やグラフィック、BGMなどの点で非常にオリジナリティのあるゲームである。セールス的には振るわなかったが、未だに熱心なファンは多い。
ただ、ゲームとしての詰めの甘さを指摘されることも多い。そのため、雰囲気を楽しむゲームだと言われ、ハードなアクションや謎解きを期待すると肩透かしを食らうことになる。


余談

  • 廉価版の説明書は通常版と比べ、誇張抜きでペラペラでとても損した気分になる。
    • パッケージの美麗な「野性の胎動」も廉価版のグレー枠で小さくなっている。
  • 格闘ゲーム『タツノコ VS. CAPCOM』に、本作のとあるキャラがゲスト出演している。
  • 2010年9月30日、外伝である『大神伝 ~小さき太陽~』がニンテンドーDSで発売された。
    • しかし今作とのストーリーの矛盾やシラヌイ(アマテラス)に対するあまりにひどい扱いから、ファンから黒歴史認定されている。
  • カプコンの音ゲーcrossbeats REV.に「Amateras」なる曲があるが、今作とは無関係
    • 強いて言えば、上記MVC3でのアマテラスのテーマアレンジと雰囲気・コンセプトは一致している。

大神(Wii版)

ジャンル ネイチャーアドベンチャー
対応機種 Wii
発売元 カプコン
開発元 レディアットドーン
発売日 2009年10月15日
定価 3,990円(税込)
廉価版 Best Price!
2010年9月9日/2,100円(税込)
判定 良作

変更点(Wii)

基本はベタ移植だが、Wiiの特性に合わせ変更が加わった。
Wiiリモコン&ヌンチャクに対応し、PS2版よりも直観的な操作が可能になった。
また16:9のワイド画面出力に対応している。

なお特許の問題により、ロード中にできたミニゲームが廃止された。


問題点(Wii)

  • 画面が全体的に滲んでいて文字も読みにくくなっている。
    • 一応4:3の画面で出力すれば、滲みは幾分改善し文字も読みやすくはなる。しかしこれではせっかくの16:9出力対応の意味がなくなっている。
    • よく見るとPS2版よりもジャギーが減っているなど改善している部分もあることはあるが、PS2版のほうが画面が奇麗なのは間違いない。
  • Wiiリモコンでの操作系があまり洗練されていない。
    • 慣れないうちは筆しらべ時の誤認識が多く、人に話しかけるときに押すボタンが本作ではCボタンになっている*6など特異なボタン配置となっている。
      • リモコン操作の誤認識はリモコンの感度調整である程度は改善するので後は慣れる必要がある。
      • 例えば「天」という文字を書く場面では、コントローラーなら簡単にクリアできたがリモコンだとフリーハンドできれいに直線を引かなければならないので難しい。
  • なぜか、オープニングムービーの曲の頭が切れている。
  • Wii本体の個体差にも依るが、イベントムービーにおいて映像と音声・BGM・効果音が一致しない所謂音ズレが発生する場合がある。
    • 発生しない人は全く発生しないが、発生した場合は映像に遅れて2~3秒後に音が入る為、イベントシーンが台無しになる事が多い。
      • この音ズレの問題は移植元となった北米版時代から存在していた。

総評(Wii)

売りの1つであったグラフィック面の劣化など色々と粗が目立つ移植ではあるが、プレイに重大な支障をきたすほどではなく、作品そのものの面白さは確保されている。
Wiiリモコンの特性を生かし体感ゲーム的な操作感覚で筆しらべを楽しめるため、PS2版とはまた違った味わいがあるだろう。

余談(Wii)

  • クローバースタジオは一切移植作業に関わっていない。そもそも海外スタジオ(レディアットドーン)の強い希望に対しカプコンが移植の許可を出したものなので、元々日本での発売予定はなかった。
  • ちなみに北米版から日本版への移植はカプコンが行っている。その際北米版ではカットされたスタッフロールが復活するなど手直しがなされているが、根本部分の変化は少ない。
  • 新品の値段が安いこともあって、中古が割と高値で安定しているPS2版よりも幾分安い金額で購入できる。
    • 現在は後述の絶景版も安価で購入できるため、余程の理由が無ければそちらを購入した方が良い。

その他の作品

大神 絶景版

  • ZONE OF THE ENDERS HD EDITION』(廉価版)などで有名な株式会社ヘキサドライブによるPS2ベースのHDリマスター。PS3(2012年)、PS4/One/Win(2017年)、Switch(2018年)でそれぞれ発売されている。
    • 画質のフルHD(1920×1080)化や、ジャギー(フチのギザギザ)やテクスチャのモアレの排除、テクスチャの高解像度化といったような変更がされており、PS4 Pro/One X、Winでは4K画質出力に対応している。
    • 他にも、ロード時間の短縮、オリジナル(PS2)版と同じ4:3の画面比率への変更機能、ロード中のミニゲームの復活*7、Switch版での画面タッチ、joy-con操作による直感的な筆しらべ操作等、追加・復刻された要素もある。
      • 現行機やPC、スマホでも遊べるようになった為、2021年現在でプレイするのであれば本作を選べば問題はないだろう。
  • PS2版で存在していたバグもそのまま移植されている為、RTA等では最新となるこちらのソフトが登録されている。
  • PS3の廉価版はサウンドトラックCD「大神 幸玉選曲集」が付属している。
  • PS4版は風呂敷・B2ポスター2枚・PS4用限定テーマのプロダクトコードが付属した「幸つつみ」が、Switch版はサウンドトラックCDが付属した「幸しらべ」がそれぞれ同時販売されている。