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Schwarzschild - (2018/06/17 (日) 20:52:31) の編集履歴(バックアップ)



狂嵐の銀河 Schwarzschild 

【きょうらんのぎんが しゅゔぁるつしると】

ジャンル SLG
対応機種 PC-9801VM/UV以降、PC-8801mkIISR以降、MSX2
発売・開発元 工画堂スタジオ
発売日 1988年12月9日
定価 12,800円
配信 プロジェクトEGG:2016年2月23日/540円/MSX2版
判定 良作

概要

  • シナリオシミュレーションとでも言うべき独特のゲーム性を持つ、ストーリー性を兼ね備えたSFシミュレーションゲーム。
  • 戦略、戦術の両面を持ったSLG。プレイヤーはサンクリ星国の王となり、列強が割拠する銀河の中で、自国の勢力を広げていくのが目的。
  • かつての銀河帝国や真王と108人の光の戦士の転生など壮大な背景設定があり、それを語っているマニュアルはとても分厚い。

ストーリー

星暦3960年、シュヴァルツシルト銀河外縁部ジロ星団に、「サンクリ星国」という国があった。
KGB星域に遊学中であったサンクリ星国皇太子に凶事の知らせが入る。惑星ウーリィに行幸中の父が暗殺され、さらにウーリィで反乱が起こったのだ。
そして、皇太子は急ぎ帰国すると、すぐさま即位式をあげ国王となる。そして反乱鎮圧と父の仇を討つために、行動を起こすのだった。

特徴

  • シナリオシミュレーション。
    • ストーリー性を持ったSLGには、『ファイアーエムブレム』シリーズや『スーパーロボット大戦』シリーズ(双方ともRPG要素もある)などがあるが、本作はこれらと一線を画している。この性質を持ったゲーム性の多くに見られるのが、ミッションスタイルでの戦術SLGだ。この方法は、ミッション間のインターバルがあるため、ストーリーを導入しやすい。
      だが本作はミッションスタイルではない。言わば信長の野望シリーズのような、群雄割拠スタイル。つまりどこを攻めるのも、同盟を結ぶのもプレイヤーの自由なのである。
      しかし、そこまでプレイヤーに自由度を与えていては、ゲームにストーリー性を導入するのは不可能に思えるかもしれない。そこには巧妙な仕掛けがあるのだ。一見複数の選択肢があるようで、論理的に考えれば実は選択肢は一つしかない場面が多いのだ。
      このため、プレイヤーは自分の考えで選択したようでいて、実はシナリオ通りに進む事となる。自らの意思による選択が、ドラマチックな展開を生み出すかのような爽快感を得る。そういうゲーム性なのだ。
    • もっともプレイ毎に細部は異なるようになっているし、プレイヤーの意思次第では普通敵に回すことのない国家を敵にしたり、滅びる運命にある国を救えたりするので、あえて最適以外の選択肢を取る意味は確かに存在する。
  • コマンド群は戦略を中心としたもの。内政はほとんどなく、外交、軍事など、戦略に専念するコマンド構成となっている。
    • 外交は国家間関係を良好にするための各種援助と不可侵条約、同盟、そして戦争を始めるための開戦準備がある。
    • 軍事は軍事行動から軍備の充実等様々。
      • 造船ドッグの建設。戦艦は各惑星にあるドッグで作られる。一度に作られる戦艦の上限は当然ドッグの数だけ。造船ドッグの建設は、戦力の増強ペースを上げるために必要。
      • 本作の戦艦は、戦艦、巡洋艦や空母などの種類はなく、一系統しかない。艦隊戦も惑星攻略も同じ艦船で行う。戦艦は強さにより段階的にランク付けされ、開発レベルが上がる事により製造が可能な種類が増える。また1艦隊が保有できる艦船数も上限があり、これは統括コンピューターの開発により上昇させられる。
      • そして全ての行動はターン開始時に20ポイントある『行動ポイント』を割り振って行う。これが結構ぎりぎりの数字であるためうかつな指示は出せず、プレイヤーの頭を悩ませる。自国や敵の情報を確認することは、ポイントの消費なしで行なえる。
  • 戦闘はシンプル。
    • 艦隊は1国、4艦隊まで持てる。
    • 戦艦が敵艦隊もしくは惑星に攻撃を開始すると、正方形のマスで構成された戦闘画面となる。惑星戦、艦隊戦により配置は異なる。同盟国の援軍がある場合は、同じく配置される。ちなみに同盟軍はNPCであり操作できない。
    • 移動は前進しかできない。よって目的の場所へ向かうには方向転換が必要。当然移動力を使う。
    • 射程の概念はなく、隣接した敵に攻撃を加える事になる。攻撃は正面のみしかできないが、防御は基本的に正面、側面、後方の順で強く、大きな差がある。このためどう敵の弱い面を突くかが、勝利への道となる。
    • 艦隊戦は全滅や旗艦撤退で、惑星戦は防御力を失うと占領となり敗北する。
  • 最終局面での、想像だにしない展開。
    + シリーズの核心に迫るもの
  • 星団ほぼ全域を掌握すると、突如クラーリンという謎の存在が亜空間から現れる。生物じみたその戦艦や要塞は、全くの異質。さらに戦闘力、展開能力は、開発可能な最強の戦艦をもはるかに上回る。しかも彼らに占領された星々は、所属が変わるのではなく異次元化され消滅してしまうのだ。
    必死の抵抗をしつつも、次々と星を破壊されていく様は正に絶望。その先にあるのは…。
    ちなみにPC88版では、クラーリンを同士討ちさせる裏技(バグ)があり、惑星一つを破壊される程度に被害を抑える事ができる。

評価点

  • シナリオシミュレーションという、従来にないゲーム性。
  • 戦略重視のシステムは分りやすい点が、独特なゲームコンセプトを強調している。
    • 広がっていく国土に、改良されていく戦艦、国力の発展が実感できる。
    • シンプルなシステムと言っても、同盟など各種、外交もしっかり効果があるのも
    • 戦闘も分りやすく、それだけに戦艦の強さが実感しやすい。
  • 意表を突く最終局面の展開。

問題点

  • PC98版ではスタート時の状況が厳しく、最初で躓くプレイヤーも多かった。PC88版では多少緩和されている。
    • それでもかなり厳しく、ある程度決まった攻略法を取らないと勝つことはまず無理。息つく間もなく次の戦いが始まるため、戦力を余剰に発展させることが必要不可欠なのも大変な点である。さらに、敵は生意気にも援助を受けて戦力を増大させてくる。
    • 反乱軍討伐後、ある国が「平和を望むなら、小惑星の権利をよこせ」と言ってくるが実はこれが罠。自分で軍隊に投資した方が最終的に強くなるという、初見殺しの展開も存在する。
    • 反乱軍との戦いに一見時間制限は存在しないかのように見えるが、実はリミットターンが設定されており、それを過ぎると敵の軍勢が異常に強化され、ほぼ勝つことは不可能になる。このため序盤で敵を生殺しにし、粘って自軍を最高の状態に持っていくという攻略法は不可能。もっともそれなりに時間はあるし、ちゃんとインフォメーションで警告されるので、意図的に狙わなければ早々は起きない。
  • 他国に資金や資源を援助できるが、PC98版では友好度を増やすぐらいしか効果がないので、特に後半は資金と資源の使い道に困ることがある。しかしPC88版では友好度を上げるだけでなく、援助によってその国の艦隊を強化できる。したがって余剰資金や資源を同盟国に援助し、全体戦力の底上げを図ることができる。
  • セーブやロードを行うたびにディスクを入れ替える必要があり、かなり面倒。次回作のIIでは緩和されている。
    • 下記の復刻版はディスク入れ替え作業もシステム内でできるので(CDなので当たり前だが)、ディスク媒体だった頃より大分マシ。

総評

  • 本来SLGとは自由度の高いゲームだ。それにストーリーという自由度の低いものを組み合わせるのだから、一工夫必要となる。本作はプレイヤーを誘導する事により、実質的に選択肢を絞るという方法を選んだ。これによりSLGとしてのシステム上の自由度を確保しながら、ストーリーを満喫できる仕組みができあがった。さらに本シリーズの象徴となった最後の意外な展開は、このストーリーを最高に盛り上げる。この従来にないゲーム性が支持を得るのも当然だろう。やがて本作はシリーズ化し、壮大な世界観の歴史として組み込まれていくのである。
  • 本作と同時期に、SLGにストーリー性を導入する試みがいくつかの作品で始まるが、本作はその答えの一つと言える。

余談

  • 現在プレイするならシュヴァルツシルトVの特典として付属する『狂嵐の銀河 シュヴァルツシルトI』、同『II』のPC-9801版をエミュレーション仕様で収録した復刻版CD(Windows XPまで対応)があるので、それを探すのが無難である。2016年にはMSX2版が配信されたので、I及びIIは安価に遊べるようになった。
  • 良く間違われるが*1、3作目まで書かれている肩タイトルは「狂乱」ではなく「狂嵐」である。そしてIIが出て以降に付けられた第1作の副題が「狂乱の銀河」である。この誤用が氾濫しているのは、元々「狂嵐の銀河」は肩タイトル……というよりもSchwarzschildの造語和訳で要するに邦題にあたる訳だが、どちらの読み方も「きょうらんのぎんが」である事が混乱を招いているのだろう。

Schwarzschild II 帝國ノ背信

【しゅゔぁるつしるとつー ていこくのはいしん】

ジャンル SLG
対応機種 PC-9801VM/UV以降、PC-8801mkIISR以降、MSX2、
PCエンジンCD-ROM2、メガCD
発売・開発元 工画堂スタジオ
発売日 1989年6月30日
定価 9,800円
配信 プロジェクトEGG:2014年6月10日/525円/MSX2版
判定 良作

ストーリー(II)

星暦3964年。シュヴァルツシルト銀河内のソマリ星系に「オーラクルム」という新しい王国があった。新しい国ながらも地理的条件を生かし順調な経済発展をしてきた。そんなある日、軍事国家ロッサリアが隣国トリスティアへの侵攻を開始したのだ。トリスティリアの盟友であるオーラクルムは、これをきっかけに動乱へと巻き込まれていく。

特徴と従来作との違い

  • 基本システムは前作を継承。
  • 国家元首に映像がついた。が、キャラ名はない(スーパー~にはある)。
  • 戦艦の種類が、対艦用と侵攻用の2種類に分かれた。技術値を向上させると交互に開発される。
  • 前作でセーブ&ロードごとに要求されたディスクの入れ替えが、起動時だけでよくなった。ぶっちゃけ本作で一番評価されている改善点である。
  • 難易度の低い「演習モード」があり、序盤まで遊べる。文字通り操作に慣れるための演習用。

評価点(II)

  • 元首に顔がついたため、国家にキャラ性がつき、世界観が馴染みやすくなった。
  • 戦艦の種類が二系統になったため、艦隊構成を考える必要性ができた。
  • 併せて敵AIが賢くなったので(囮に引っかかり難くなる等)難易度は上がっている。
  • 一作目のPC98版での問題点である、援助の効果が分りにくいなどが、解消されている。
  • セーブ、ロードが楽になった。

問題点(II)

  • ゲーム性的には、そう大きく変わり映えしない点。

総評(II)

まさしく正当進化というべき作りの本作。前作の面白さを、そのまま継承したものとなっている。

コンシューマー機移植版

  • PCエンジンCDロムロム『スーパーシュヴァルツシルト』と、メガCD『メガシュヴァルツシルト』は、本作のアレンジ移植。PC-88やMSX2よりゲーム的な表現力が高かったPCE・MDの性能と、CD-ROMのポテンシャルを生かし、映像・音声面が大幅にパワーアップしている。
  • PCエンジンでは、『スーパーシュヴァルツシルト』を起点としたPCEオリジナルの続編、『スーパーシュヴァルツシルト2』が作成された。
  • MCD『メガシュヴァルツシルト』の戦闘は、ターン制ではなくリアルタイム制に変更されている。

Schwarzschild III 惑星デスペラン

【しゅゔぁるつしるとすりー わくせいですぺらん】

ジャンル SLG
対応機種 PC-9801VM/UV以降、Windows
発売・開発元 工画堂スタジオ
発売日 1992年2月28日
定価 12,800円
判定 良作

ストーリー(III)

星暦3941年。銀河辺境の地にガーディナル星系がある。そのほぼ中央にアースマンの国であるパーシオン共和国があった。その他にも同じくアースマンのアプリオン共和国があった。そして協定により、かつてのアースマンの入植地にイノン共和国が設立される。ただしイノン共和国は、ミクトネス、ヴァルダムと言った軍事国家に隣接しており、けして安泰という訳にはいかなかった。特にミクトネスとは領有権問題を発生させている。軍備増強を続けるミクトネスは、ついにイノンへの侵攻を開始。イノンの友好国であるパーシオン共和国。その首相であるエグザスは、対応を迫られる事となる。

特徴と従来作との違い(III)

  • シュヴァルツシルト正史の中では時系列的に第2番目の物語。
  • 基本ベースはI、IIと同様だが、システムはさらに多彩になった。
    • 従来はポイント消費によるコマンド実行だったものが、制限がなくなった。ただし資金や資源を消費するものは当然限界がある。
    • 国家全体でのコマンドのみだったのを、惑星単位で実行するコマンドができた。
    • 艦隊司令官が新たに導入され、各艦隊を指揮するようになった。能力値の違いだけでなく、オート戦闘時の行動パターンも異なる。
    • ターン制だった戦闘をリアルタイム制に。さらに射程の概念が導入された。そのため艦船のスペックの内容が前作より増え、戦闘のゲーム性も大きく変わっている。また艦船自体も、対艦、対惑星のような系統分類はなくなり、スペックによって得意分野が分かれるものとなった。
      • 前作では、戦闘に同盟国艦隊も参加するシステムだったが、本作は該当艦隊のみ戦闘で、同盟は同一の敵国に対処するという形になっている。
      • 惑星攻略と駐留艦隊戦が同時だった前作までの戦闘とは違い、全駐留艦隊殲滅後に惑星攻略となる。
    • 経済コマンドが増えた。
  • 通常のストーリー展開のほかに、ストーリーを無視して、全ての国を制覇する覇王モードがある。もっとも、おまけ程度の存在で、そのEDもあっさりしたものだった。難易度は鬼だが。

評価点(III)

  • 大きく発展した基本システム。
    • 国が全ての指示をしていたものが、惑星単位のものも加わり細かくなった。
    • 同盟も内容が変わり、本来の国盗りの意味合いに近くなった。
    • 経済的なコマンドが増え、収入面である程度の施策ができるようになった。
  • 戦闘システムの大きな変化。
    • 司令官がついたため、艦隊の意味合いがさらに多くなった。また艦隊そのものの印象が、強くなった。
    • 艦船も系統ではなく性能で特徴が分れるため、配備についても意味合いが深くなっている。
    • リアルタイム制の戦闘は、従来とは大きく違う戦闘感覚を味わえる。
  • シュヴァルツシルトシリーズとしてのストーリーは、本作から色濃くなった。

問題点(III)

  • クリアするための必須条件がある。これは中盤に発生するのだが、初プレイでは気づきにくく、見過ごしてしまう事も。結果、最初からやり直す場合もある。SLGでこれはつらい。

総評(III)

システムをさらに増強。それも単に旧来のシステムを、少々変えただけではないもの。同盟の内容の変化や、惑星コマンドの追加、リアルタイム制の戦闘は、従来とは違うゲーム性を見せた。さらにストーリーも強化。シリーズの方向性を、決めるものともなった。続編として申し分ない出来。

移植版

  • グラフィック等を改善し、ムービー・ストーリーを追加した『Schwarzschild III TRUTH』がメディアカイトGreat Seriesより発売(Win95対応)。
    • さらにIVとのセット移植でXP対応の『Schwarzscild III+IV -DETHPERANT- -CRADLE END-』が2006年に発売された。オリジナル版も同時収録されている。

Schwarzschild IV THE CRADLE END

【しゅゔぁるつしるとふぉー ざ くれいどる えんど】

ジャンル SLG
対応機種 PC-9801VX/UX以降、Windows
発売・開発元 工画堂スタジオ
発売日 1993年4月2日
定価 12,800円
判定 良作

ストーリー(IV)

シュバルツシルト銀河に存在する八つの強大な国、八強国。その狭間にあるバルディス星系。ここは八強国も一目を置く古の禁断の星域、バウストクルツがあった。そこは6つの巨大要塞で封鎖されており、何人の侵入を妨げている。それぞれの要塞には守護国となる国があり、長らくこの封印を守ってきた。
その守護国の一つにヤングリーフがあった。その現国王であるクレア・ヤングリーフは、「光の真王伝説」に関わる者として特別視する国もある人物である。
しかしヤングリーフ自体は決して豊かとはいえず、近隣のウィルソード、そしてもう一つの守護国ウルカフィと同盟を組む事で自国維持を図っていた。
星暦3958年。守護国ではないレビルレントが、弱小の守護国ウルカフィへ圧力をかける。その狙いは封印の巨大要塞にあるのは明らかだ。侵攻を開始するのは時間の問題である。クレア・ヤングリーフの決断の時が迫っていた。

特徴と従来作との違い(IV)

  • 本シリーズを開発してきたねこさんちーむが作った、最後の作品。
  • 前3作とは違い外交を軸とした作りになっている。その他のゲーム性も、違ったものとなっている。
    • 前作まではある程度決まりきった相手と友好もしくは敵対するようになっていたが、本作はそれをかなり自由に選べるようになっている。もちろん、絶対に友好関係を結べない相手はいる。
      • 自軍の派遣をかなり抑えられるほど、外交が強力。ただし同盟国任せにするなら、戦略上重要な拠点を上手く攻略させてやるなど工夫が必要。
  • 一方でそれ以外のコマンドはかなり削られ、簡略化されている。1作目にすらあった経済的なコマンドはほぼなくなった。さらに開発も前作までは投入資金によってペースを上げる事ができたが、本作はターン毎の投入資金が固定されており、ペースを上げる事ができない。
  • 数百隻単位の戦いだったものが、数隻単位の戦いに。別にシナリオ上で1隻が前作の100倍強いというわけではなく、システム変更の都合である。
    • 巡洋艦や駆逐艦といった通常の艦種に加え空母が新たに追加。
    • 艦船に耐久力という要素が加わった。
  • 質量制限が導入され、艦船の数だけでなく合計質量が制限以下でなければならない。数・質量制限ともに技術投資で上限が上がる。
    • 概して空母や戦艦など単艦で強力なものは高価で重く、数を配備できない。逆に安価で軽い駆逐艦などは手数は増えるが脆く、損耗率も高い。
  • 戦略マップ、戦術マップともに四角のマスからヘクス構成となった。さらに戦術マップではマップ範囲が広がった。
    • 惑星戦では駐留艦隊と別途戦う要素は前作と同様だが、駐留艦隊が1艦隊の場合は惑星防衛システム(防御衛星・軌道砲)と共に戦闘が行われる。駐留艦隊のいる惑星は、前作以上に攻略が難しくなった。
  • 前作までは非人間タイプ(異星人種)の国家も多数あったのだが、本作は人間タイプ(アースマン:地球人種)の国家しかない。
    • 前作までは全て銀河辺境での話だったのに対し、本作は銀河中心部での話だからである。*2
  • インターフェースがWindowsライクへと変わった。

評価点(IV)

  • 外交を主体とし、従来と違うコンセプト。
    • それまでの同盟国はそれほど頼りにならず、ある意味、敵を減らす程度の意味しかなかった。しかし、本作では力強い味方とする事ができる。
  • 戦闘の戦術性はより深くなった。
    • 空母の加入にり、艦載機による射程を無視した攻撃ができ、戦術を多彩にしている。
    • 艦船の耐久力の概念により、修理という概念ができ、艦船を無闇に沈めないように気を配るため、戦術性が上がった。
    • 戦闘マップも広がり、機動的な戦術が取りやすくなっている。
      • 射程ギリギリまで敵をおびき寄せて集中攻撃したり、艦隊を分けて迂回させ敵旗艦のみを撃破する等。リアルタイム制なので意外と難しい。
  • ストーリーには、シリーズファンへの思わぬサプライズがある。

問題点(IV)

  • 開発が、毎ターン開発実行の指示を出すだけなので、作業感がやや強い。
  • 総艦船数が激減したため、世界観的に少々違和感がある。
    • 本作は、時系列的にIIIより後かつIの前の話。双方とも本作の100倍程度の艦船で戦っていた。
  • マップは広がったが、解像度の関係で枠線がなくなり、緻密な戦術をとるには一時停止と位置確認が欠かせない。
  • インタフェースは出始めたWindowsタイプに近くなったが、操作性そのものは、前3作より悪い。移植版では改善されている。

総評(IV)

自由度をある程度制限する事で、ストーリーとシミュレーション性を一体化していたこれまでのシリーズだが、本作はその逆とでも言うべきコンセプトとなっている。ただ、それでも一般の戦略SLGのように、完全に自由とはなっていないため、その魅力は失っていない。そして外交重視のゲームになり、頼りになる同盟国。戦闘も、これまでのシリーズで最も多彩な戦闘ができる。ねこさんちーむ最後のシリーズ作となったが、それにふさわしい出来である。

移植版(IV)

  • 前作と同様、グラフィック等を改善し、ムービー・ストーリーを追加した『翳る銀河 Schwarzschild IV』が発売(Win98対応)。
    • やはりこちらもセット移植版を探すのが無難だろう。