当ページでは、SLG『Schwarzschild』シリーズのナンバリングタイトル5作品を紹介しています。
【きょうらんのぎんが しゅゔぁるつしると】
ジャンル | SLG |
対応機種 | PC-9801VM/UV以降、PC-8801mkIISR以降、MSX2 |
発売・開発元 | 工画堂スタジオ |
発売日 | 1988年12月9日 |
定価 | 12,800円 |
配信 |
プロジェクトEGG 【MSX2】2016年2月23日/540円 【Switch(PC-9801)】2025年1月15日/980円 |
判定 | 良作 |
『コズミックソルジャー』『サイキックウォー』『覇邪の封印』などを発売してきた工画堂スタジオのSFシミュレーションゲーム。
シナリオシミュレーションとでも言うべき独特のゲーム性を持ち、ストーリー性を兼ね備えたものとなっている。
戦略、戦術の両面を持ったSLG。プレイヤーはサンクリ星国の王となり、列強が割拠する銀河の中で、自国の勢力を広げていくのが目的。
かつての銀河帝国や「真王と108人の光の戦士の転生」など壮大な背景設定があり、それを語っているマニュアルはとても分厚い。
星暦3960年、シュヴァルツシルト銀河外縁部ジロ星団に、「サンクリ星国」という国があった。
KGB星域に遊学中であったサンクリ星国皇太子に凶事の知らせが入る。惑星ウーリィに行幸中の父が暗殺され、さらにウーリィで反乱が起こったのだ。
そして、皇太子は急ぎ帰国すると、すぐさま即位式をあげ国王となる。そして反乱鎮圧と父の仇を討つために、行動を起こすのだった。
+ | シリーズの核心に迫るもの |
本来SLGとは自由度の高いゲームだ。それにストーリーという自由度の低いものを組み合わせるのだから、一工夫必要となる。
本作はプレイヤーを誘導する事により、実質的に選択肢を絞るという方法を選んだ。これによりSLGとしてのシステム上の自由度を確保しながら、ストーリーを満喫できる仕組みができあがった。
さらに本シリーズの象徴となった最後の意外な展開は、このストーリーを最高に盛り上げる。
この従来にないゲーム性が支持を得るのも当然だろう。
やがて本作はシリーズ化し、壮大な世界観の歴史として組み込まれていくのである。
本作と同時期に、SLGにストーリー性を導入する試みがいくつかの作品で始まるが、本作はその答えの一つと言える。
【しゅゔぁるつしるとつー ていこくのはいしん】
ジャンル | SLG |
対応機種 |
PC-9801VM/UV以降、PC-8801mkIISR以降、MSX2、 PCエンジンCD-ROM2、メガCD |
発売・開発元 | 工画堂スタジオ |
発売日 | 1989年6月30日 |
定価 | 9,800円 |
配信 | プロジェクトEGG:2014年6月10日/525円/MSX2版 |
判定 | 良作 |
星暦3964年。シュヴァルツシルト銀河内のソマリ星系に「オーラクルム」という新しい王国があった。新しい国ながらも地理的条件を生かし順調な経済発展をしてきた。
そんなある日、軍事国家ロッサリアが隣国トリスティアへの侵攻を開始したのだ。トリスティリアの盟友であるオーラクルムは、これをきっかけに動乱へと巻き込まれていく。
+ | ... |
まさしく正当進化というべき作りの本作。前作の面白さを、そのまま継承したものとなっている。
【しゅゔぁるつしるとすりー わくせいですぺらん】
星暦3941年。銀河辺境の地にガーディナル星系がある。そのほぼ中央にアースマンの国であるパーシオン共和国があった。その他にも同じくアースマンのアプリオン共和国があった。
そして協定により、かつてのアースマンの入植地にイノン共和国が設立される。
ただしイノン共和国は、ミクトネス、ヴァルダムと言った軍事国家に隣接しており、けして安泰という訳にはいかなかった。特にミクトネスとは領有権問題を発生させている。
軍備増強を続けるミクトネスは、ついにイノンへの侵攻を開始。
イノンの友好国であるパーシオン共和国。その首相であるエグザスは、対応を迫られる事となる。
システムをさらに増強。それも単に旧来のシステムを、少々変えただけではないもの。同盟の内容の変化や、惑星コマンドの追加、リアルタイム制の戦闘は、従来とは違うゲーム性を見せた。さらにストーリーも強化。シリーズの方向性を、決めるものともなった。続編として申し分ない出来。
【しゅゔぁるつしるとふぉー ざ くれいどる えんど】
シュバルツシルト銀河に存在する八つの強大な国、八強国。
その狭間にあるバルディス星系。ここは八強国も一目を置く古の禁断の星域、バウストクルツがあった。
そこは6つの巨大要塞で封鎖されており、何人の侵入を妨げている。それぞれの要塞には守護国となる国があり、長らくこの封印を守ってきた。
その守護国の一つにヤングリーフがあった。その現国王であるクレア・ヤングリーフは、「光の真王伝説」に関わる者として特別視する国もある人物である。
しかしヤングリーフ自体は決して豊かとはいえず、近隣のウィルソード、そしてもう一つの守護国ウルカフィと同盟を組む事で自国維持を図っていた。
星暦3958年。守護国ではないレビルレントが、弱小の守護国ウルカフィへ圧力をかける。その狙いは封印の巨大要塞にあるのは明らかだ。侵攻を開始するのは時間の問題である。クレア・ヤングリーフの決断の時が迫っていた。
自由度をある程度制限する事で、ストーリーとシミュレーション性を一体化していたこれまでのシリーズだが、本作はその逆とでも言うべきコンセプトとなっている。
ただ、それでも一般の戦略SLGのように、完全に自由とはなっていないため、その魅力は失っていない。
そして外交重視のゲームになり、頼りになる同盟国。戦闘も、これまでのシリーズで最も多彩な戦闘ができる。
ねこさんちーむ最後のシリーズ作となったが、それにふさわしい出来である。
【しゅゔぁるつしるとふぁいぶ しんのうたんじょう】
ジャンル | SLG | ![]() |
対応機種 | Windows98/Me/2000/XP | |
発売元 | 工画堂スタジオ | |
開発元 | 有限会社くまさんちーむ | |
発売日 | 通常版:2003年11月7日/普及版:2008年4月25日 | |
定価 | オープンプライス/4,000円(税抜き) | |
判定 | なし | |
ポイント |
今まで設定だけだった過去を舞台としている シリーズの伏線回収 システムは原点回帰 おまけが本編? |
2002年に工画堂スタジオと別会社化された、有限会社くまさんちーむの制作した作品。
『IV』の後は外伝作品が多数出ていたが(『EX』『GX』『WING』『WING2』『X』『Z』『N』『F』)、本作は正伝(ナンバリングタイトル)としては実に10年ぶりの新作となる。
今までのシリーズ作品では作中会話や付属の読み物で語られるだけだった、第一次銀河帝国(銀河連邦帝国)を舞台としている。
通常版には同シリーズの『I』及び『II』のPC-9801版の復刻版CDが特典として付属した。
銀河を二つに割った「第二次星間戦争」の開始から20余年。地球発祥の人類を主体とする「銀河帝国」と異星の先住種族主体である「レプシトール」、両陣営の疲弊は極みに達し、明確な決着のないまま終結を迎えた。
未だ一触即発の火種を抱える両陣営を分かつ時空の境。その境界を守る「銀河帝国領辺境防衛機構〈ブルーインヴァルド〉」の任務は、存在し続けること。再び戦端が開かれた時に備え、帝国本土を守る時間を稼ぐことである。
星暦3690年、その任務の一端を担うべく一人の皇子が派遣される。ネイハム・ブレッドローズ。銀河帝国第47戦略軍を率いる彼は、大いなる野望を秘めて動き出した。
ゲーム全体の構成としては難易度を抑えたうえで『I』~『IV』の正伝シリーズに近いものに回帰し、シナリオ的に前作までのキャラクター達と切り離して新規ユーザーも参入しやすくし支持層拡大を狙った、というべき作品。『I』『II』の復刻版を同梱したことからもそれが読み取れる。
しかし元がマイナーなシリーズなうえに(家庭用ゲーム機全盛期である)2000年代前半のPCゲームとしてはボリューム不足感が否めず、結局本作が事実上シリーズ最後の作品となった。
従来からのシリーズファン(特にそれまでの高難易度に慣れ切った層)にも「復刻版CDが本体」などと言われる羽目になった。
*1 『シュヴァルツシルトV』の公式サイト内ですら間違っている。以前はwikipediaでもそうなっていた。
*2 が、クラ―リン出現後アズラテックの残党が「ネオテック」を称する新勢力として蜂起、同盟軍に加わる。
*3 敵性国家以外のNT値はプレイヤー国のNT値に連動して上昇する。このため中盤程度までにNT値を上げすぎるとイストラムーがエスパニアンを圧倒してしまい短時間で追い込まれてしまう。これは前作で序盤からNT値を最高まで上げるプレイが横行した事への罠と思われる。クラ―リン出現をコントロールしたい場合はイストラムーやメヒコマーヤにちょっかい出してイストラムーの戦力を削るなどの対策が必要。
*4 かつて銀河全域は地球人類の帝国が支配していたのだが、帝国が衰退・崩壊して辺境から引き上げた後、帝国が残したテクノロジーを使って原住種族も星間国家を作り上げた。
*5 システム的には『III』、『W』系、『Z』などの戦闘の折衷案的なもの。
*6 デスぺランそのものではなく、同系列の要塞とする説もある。が、そんなものが宇宙の各地に多数眠っているというのは極めて物騒な話である。
*7 但し、シュヴァシリーズのメイン以外の司令官は大体そんな扱いである。