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聖剣伝説 ~ファイナルファンタジー外伝~ - (2017/02/11 (土) 01:23:18) の編集履歴(バックアップ)
聖剣伝説 ~ファイナルファンタジー外伝~
【せいけんでんせつ ふぁいなるふぁんたじーがいでん】
概要
聖剣伝説シリーズの第1作。「ファイナルファンタジー(FF)シリーズ」の外伝的作品としてリリースされた。
「FF外伝」と名乗るだけあって、固有名詞にはポーションやエリクサー、ケアル、ファイア、フレアといったFFシリーズでお馴染みのものが多く使われている。チョコボや飛空艇も登場しており、グラフィックからも当時のFFシリーズの雰囲気が感じられる。
ゲームシステムは見下ろし型画面、画面から別画面への移動方式、パズル的要素など、任天堂の『ゼルダの伝説』シリーズに近い。
伊藤賢治、石井浩一、北瀬佳範など、後のスクウェアの大作シリーズに関わるスタッフが参加している。
ストーリー
主人公は、グランス公国で奴隷剣士としてモンスターと戦う日々を過ごしていた。
次々と仲間の奴隷戦士たちが戦いで倒れていく中で、主人公は「マナ」の危機と、
それを救う「ジェマの騎士」ボガードの存在を知る。
隙を見て脱出には成功した主人公だったが、城の近くにある滝の見える崖の上で公国を統べるシャドウナイトと、
その側近ジュリアスの密談を偶然盗み聞きしてしまい、気づかれて滝壷に落とされ気を失ってしまう。
目を覚ました主人公は見知らぬ土地をさまよい、モンスターに襲われている少女を助ける。
力尽きた護衛に彼女を託され、2人はボガードの元を目指す。
こうして、主人公は大きな運命の波に飲まれていく……。
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キャラクター
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主人公とヒロインにはプレイヤーが自由に名前をつけることが可能。また、サブキャラの一部にはNPCとして仲間になる者もいる。
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ヒロイン(デフォルト名なし)
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モンスターに襲われているところをヒーローに救済される。不思議なペンダントを持っているが・・・
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ウイリー
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奴隷仲間。ジェマの騎士の事を主人公に話した後に息を引き取る。
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アマンダ
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奴隷仲間。レスターの姉。後に再会する事になるが・・・
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レスター
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ジャドの街に住んでいる。音楽が上手い。デビアスにオウムにされる。
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ワッツ
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ドワーフ。ミスリル入手後にミスリル製の装備を売ってくれる。
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ボンボヤジ
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機械の扱いが得意な発明家。後のシリーズでも常連となる髭オヤジ
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シーバ
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マーシー*
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敵サイド
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シャドウナイト
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グランス城の主。自分の娯楽のために奴隷を戦わせている。マナの力を欲している。
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ジュリアス
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シャドウナイトの部下である魔道士。あらゆる策を講じて来る。
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デビアス
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ジャドの街を支配している。卑劣な性格だが、シャドウナイトに対しては最後まで忠実だった。
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モンスター系
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ラビ、ゴブリン、マイコニド、グレムリン、シャドウゼロ、アイスパイ、ソード系、ウェアウルフなど種類豊富なザコ敵がおり、一部はシリーズの定番となる。
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バネクジャコは次回からお助けキャラになる。LOMではまた敵となるが。
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なお、ボスを除けばゲーム内でモンスターの名前は見られない。
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ボスキャラクターもバンパイア、マンティスアント、フルメタルハガーなど次作以降も登場するものも含め種類豊富にいる。
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評価点
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ダンジョン
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様々な仕掛けが存在し、武器の特性や魔法など様々なものを駆使して突破していくことになる。
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部屋にはところどころ鍵がかかった部屋がある。鍵は購入するかモンスターを倒して入手する。
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また鍵がなくなって詰まりそうになるダンジョンでも、必ず鍵を持ったモンスターが存在するためハマりにくいというバランス設定も地味ながら役立った(ただし一部ハマってしまうダンジョンがある。後述)。
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マトックで壁を壊して隠し通路を発見したり、壷を壊して階段を発見したりもする。
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普通には開かない扉もあり、開くためには敵を全滅させたり、スイッチを押したりなどする必要がある。
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オートマッピングされるのでメモを取らなくても迷いにくいという携帯ゲーム機に優しい親切設計。ただし電源を切ると消えてしまう。
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ストーリー
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GB音源の音楽とマッチした切ないストーリーが携帯ゲームの姿を借りてやって来た。その完成度の高さと素晴らしさも忘れてはいけない。ファンの間では初代にして至高の出来とも言われるほど。
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各キャラクターの個性がしっかりと立っており、音楽やグラフィックを織り交ぜながらもヒーローは新たな出会いや悲しい別れを繰り返し心身ともに強くなっていく姿は、その都度プレイヤーの心を打つ素晴らしい出来になっている。
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ちなみにシナリオを書いたのは、後のスクエニに大きく関わることになる北瀬佳範氏。
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ゲームシステム
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機種の制約を感じながらも、様々な武器で敵を倒していく爽快感がしっかり作り込まれている。
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次回作以降と比べるとアクション要素が強い。
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全ての攻撃は位置取りで避けられるし、飛び道具ならばこちらの攻撃で打ち消すことが可能。
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アクションで対処できない攻撃や、逆にアクションが命中したのに確率で回避されたりするような仕様は無い。
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画面下にゲージがあり、何も攻撃しない状態で徐々に溜まっていく。ゲージを最大まで溜めると武器に応じた特殊攻撃を繰り出せる。また、魔法の場合は威力が上がる。
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最初は溜まるスピードがものすごく遅いが、「精神」のステータスが上がるにつれ早くなり、利用価値も高まっていく。
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剣は扱いやすく特殊攻撃が2つある、オノは振りは少し遅いが当たり判定が少し広めで木を切り倒せる、フレイルはリーチが長く杭に引っ掛けて移動にも使えるなど、武器の種類と性能も様々。
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魔法のひとつ「ブリザド」は、本作は単なる攻撃ではなく当てた敵を雪ダルマにする。また、その雪ダルマをスイッチに乗せるという仕掛けもある。
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レベルアップ時には4つのジョブタイプを選択し、任意の能力を伸ばすことができる。
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音楽
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伊藤賢治氏が作曲した多数の名曲はGB音源でありながらもとても根強い人気を誇る。
難点
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武器、アイテム、魔法の切り替えが少々面倒。仕掛けや特定の武器が全く通用しない敵も多く、ウィンドウを開く頻度も高い。
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次回作からはアイテムの使用や武器の切り替えがテンポよく行える「リングコマンド」が実装された。
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移動に必要な一部の武器は手放すことが出来ない。たとえ同系統のより強力な武器を手に入れた後でも、最下級の武器は処分不可能のままである。
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どこでもセーブ
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便利ではあるのだが、これが危険と背中合わせだったりもする。ボスの出現位置でセーブして、ロード→即死という事もありうる。
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HPが低い状態で毒になり、回復手段がない状態でセーブしてしまうとどうしようもない。
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次回作では宿屋やセーブポイントなどでのみセーブ出来る仕様になる。
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鍵が掛かった扉には「カギ」(店でも買えるアイテム)が必要になる。カギには使用回数があり、ひとつ4回使うと無くなる。一部の場所でカギが不足するとハマってしまう。そのためいくつか常備する必要に迫られる。
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カギが足りないとハマる場所はグランス城。これからシャドウナイトと対決するという中盤の山場である。
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もちろんこの状態でセーブしてしまうと最初からやり直すしかない。
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携帯アプリ版ではカギを落とす敵の種類の増加で問題修正された。
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海底火山でもカギが無くなってしまうとハマってしまうポイントがあるが、ボスを倒せば出口までワープでき、その後に再度このダンジョンに訪れることもまず無いため、問題になることはほぼ無い。
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他の場所では不足してもハマりこそしないが、先に進めないため店に戻って買うもしくはザコ敵を狩って入手するはめになる。
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岩や壊せる壁などを破壊するアイテム「マトック」も無くなると先に進めなくなり戻って用意し直さないといけない点は同様。ただしこちらはゲーム中盤で破壊効果を持つ武器「モーニングスター」を入手すれば以降は必要なくなる。
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敵の動きがいい加減
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本作のザコ敵は敵ごとに動きの個性はあるとはいえ大半はランダムに動くだけで飛び道具を持っていればそれを主人公に向けて放ってくるという程度である。ボスも決められた動きで行ったり来たりするだけである。
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初期配置も決まっておらずスクロールごとにランダムに変わる。すなわちプレイを考えた上で練られてはいない。
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さらには敵によっては障害物や壁、段差をすり抜けてきたりしてそれらを利用した敵回避ができないことも多い。たまにそういう敵がでるというならまだしも頻繁に出現し、とにかく見つけ次第片っ端から倒すということになりがち。魚が空を飛びながら障害物を越えてやってくるというわけのわからないこともあり、見た目で行動を判断しずらい。
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主人公はそんなこちらをまるで見ていないような敵に近寄っていきひたすら攻撃をするという作業の繰り返しになってしまう。
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この時代のARPGの敵の思考ルーチンはそんなものだったと言えばそうなのだが、ハードが違うとはいえ5ヶ月後に発売された同種のゲームであるゼルダの伝説 神々のトライフォースとは雲泥の差であり、ハード容量の限界を感じさせる。
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武器「ブラッドソード」がバランスブレイカー
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ブラッドソードとは、敵に与えたダメージの一部を吸収して自分のHPを回復することができる特殊効果を持つ。本作のみならず、FFシリーズでもよく登場する武器である。
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FFシリーズにおいては、命中率や回復量が低かったりアンデッドに対して攻撃すると逆にダメージを受けてしまうなどのデメリットを付加することでバランスをとっているが、本作では敵の体力に関係なく与ダメージの1/4を吸収する。本作には命中率の概念も存在しないため、敵に攻撃するデメリットが極めて少ない。
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本作ではモンスターごとに武器の相性があり、その武器に耐性を持つモンスターに対してはダメージを与えることができない。ブラッドソードもアンデッドを含む多くのモンスターが耐性を持っており、ダンジョンを進む上では使いにくい、という面ではバランスをとられているが、アクションRPGである以上閉じ込められる場所でない限り避けて進めばいいだけのことである。
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このHP吸収の特性を見越して入手前からレベルアップ時に力重視の成長を行うと、一気にヌルゲーと化す。
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さらにこの武器、入手できるタイミング以後の全ボスに対して攻撃が有効である。これによりボス戦が完全にバランス崩壊を起こしている。
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回復の手間が省けて死のリスクが非常に少なくなるという点から、少数意見であるが最終武器の聖剣エクスカリバーよりも強いのでは、とまで言われることも。
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しかもこの武器、街の住民を斬りつけてもしっかりとHPが回復する。そもそも、どんな武器だろうと街の住民に攻撃できること自体が問題だが。
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本作では住民に接触すると話しかけてしまう仕様のため押すことはできないので、おそらく「狭い通路で邪魔な住民を弾き飛ばすため」の仕様だと思われるが、現在の目から見るとさすがに奇異に見える。
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余談になるが、攻略本には「ブラッディソード」と明記されている。文字数の制限から止む無く変更されたのだろうか。
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ラストダンジョンに一度入ってしまうと引き返すことはできなくなる。回復できるところはあるものの、消耗品が切れた場合は敵から調達することになる。
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本作の盾はそれ自体に防御力はなく、正面から敵の飛び道具などを防ぐ役割があり、強力になるほど多くの種類の攻撃を防ぐことができる。
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最強の盾である「イージスの盾」は全種類の攻撃を防ぐことができ、火・氷が防げない前段階の盾と比べて強力なのだが入手できるラストダンジョンにはその攻撃を使うものがおらず無意味である。
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バグが多い
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以後の聖剣伝説シリーズにも言えることだが、本作もバグが多い。
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有名なのは、スクロールし続ければ毒のダメージを受けない、チョコボに乗っていれば毒のダメージを受けない、さまざまな手段で別の場所にワープできる、など。
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中には、数値のオーバーフロー関係で特殊な障害物を破壊できなくなったり、レベル99よりもレベルを上げてしまうと永遠にレベルアップし続けるなどゲーム進行に影響が出る深刻なバグも存在する。
総評
シンプルながら完成度の高いシステム・印象的なBGM・切なく、そして儚いストーリーは多くのユーザーの心に感動を刻み付けたGB屈指の名作。
ゲーム性とストーリー性を両立できていた本作は20年以上経った現在でもシリーズ最高傑作だと評するファンは多い。
それでも敵の思考ルーチンに関してはかなり難があり、アクション性は優れているとはいえず、テクニックで乗り切るようなことはしづらいという問題点があった。
操作性の良さや工夫されたギミックなど非常に魅力的な要素を持ちながらもアクション面に関しては当時の技術や容量の限界が見える惜しい作品であった。
しかし、発売から25年たった2016年2月にGB版を移植した3Dリメイク版が配信されたことで多くの問題点が解消され、ようやく現代のプレイに耐えうる完成版ができたといえる。
ただ、ボス戦は大きく改善されたもののザコ戦の思考ルーチンを大きく変えてしまうとゲーム性が変わってしまうため改善できるところは改善したというところである。
その後の展開
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後にGBAで『新約聖剣伝説?』としてリメイクされる。
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しかしシナリオ・システムが大幅に改悪させられていることに非難の声は大きかった。
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同作の発売後、「新約」と混同しないよう明確に区別するため、本項の原作が「旧約(聖剣)」と呼ばれることもある。
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GBA版への批判もあってか、後に携帯アプリとして原作がほぼそのままの内容でカラーリメイクされた。こちらの評判は中々良好である。
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石井氏はそのままの内容なら色もモノクロのままにしたいとカラー化に否定的だったが、モバイル事業部部長の熱意に圧されて許可したとのこと。
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後に携帯アプリ版をベースにした3Dリメイクがプレイステーション・ヴィータと各種スマートフォンにて販売されている。
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2Dである本作をそのまま3Dにしたかのような出来になっており、「移植」と言ってもいいくらいだが、それだけ本作の完成度が高かった証拠である。技術の進歩によりアクション面の問題点が改良されている。
余談
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『聖剣伝説』というタイトルは、スクウェアがDOGブランドでファミコンディスクシステム用ソフトとして1987年4月下旬に発売を予定していたRPGに使われていたもので、それは結局発売中止となってしまっている。
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なお、本作のようなアクションRPGではなく、全5部構成の一般的なRPGだったようだ。
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→参考リンク
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アメリカでは
Final Fantasy Adventure
、ヨーロッパでは
Mystic Quest
の名で発売されていた。これはアメリカ、日本での『ミスティッククエスト』とは別物である。
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開発当初は「テニスゲーム」として企画されていたという逸話がある。