本稿ではオリジナルのFC版及び、リメイク作品であるWSC版を併せて解説する。
【ふぁいなるふぁんたじー】
ジャンル | RPG | |
対応機種 | ファミリーコンピュータ | |
発売・開発元 | スクウェア | |
発売日 | 1987年12月18日 | |
定価 | 5,900円(税別) | |
プレイ人数 | 1人 | |
セーブデータ | 1個(バッテリーバックアップ) | |
レーティング | CERO:A(全年齢対象)(*1) | |
配信 |
バーチャルコンソール 【Wii】2009年5月26日/476Wiiポイント 【WiiU】2013年11月13日/476円 【3DS】2013年12月18日/476円(各税別) |
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判定 | 良作 | |
ポイント |
記念すべきシリーズ1作目 この頃からビジュアル面を強く意識した作り |
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ファイナルファンタジーシリーズ |
そして……探求の旅は始まった
今や国内を代表するRPGの一つとなった『ファイナルファンタジー』シリーズの記念すべき第1作。
プレイヤーはクリスタルに導かれし光の4戦士となり、世界に平和を取り戻すべく旅に出る。
ジョブシステム、白、黒、赤魔道士のグラフィック、クリスタル、メインテーマやファンファーレといった音楽、飛空船(後の飛空艇)、SF要素等々、1作目にして後のシリーズに引き継がれるゲーム性の基礎、デザイン等の多くがこの作品の時点で確立されている。
パーティー編成
システム面
グラフィック面
サウンド面
以上のように、全ての要素に硬派かつマニアックな要素が取り入れられており、当時発売されたRPGの多くがドラクエのスタイルの模倣に留まっていた中で、本作は『ドラクエ』と異なる作風を強固に打ち出し、意欲的な試みに満ちた野心作として鮮烈な印象を残している。
システム面
ゲームバランス面
『FF』シリーズで比較しても、比較的難易度は高め。
他社製品からの流用問題
かなり多数(というよりほぼ全て)のモンスターの能力設定とデザイン、アイテム、システムの根幹部分がテーブルトークRPGの有名作『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』『アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ(AD&D)』(*4)からの模倣となっている。
しかし、発売当初は全てオリジナルと発言するなど、著作権などの扱いが緩かった時代の作品ならではの現象ではある。
ジョブ格差
+ | 各クラスの使い勝手・簡単な評価など |
前年発売された『ドラゴンクエスト』に端を発するRPGブームの中で制作された作品ではあるが、『ドラクエ』の模倣に終始せず様々な実験的な試みが盛り込まれているため、趣きは大きく異なる。「RPGブームを作ったドラクエの後を追う形で発売された」という意味ではドラクエフォロワーと言えるが、実際のところは様々な要素を『ダンジョンズ&ドラゴンズ』シリーズから取り入れているため、言ってみれば「D&Dフォロワー」に近い。
シリーズ初作ゆえにいろいろと粗も目立つが、多作品の模倣には賛否はあれど様々な意欲的かつ大胆な新機軸を取り入れた結果、単なる亜流作品に留まらない独自のカラーを第1作目にして確立し、後のシリーズの礎を作り上げたことは特筆すべき点であろう。
2000年代に入ってから多くの機種に移植されるようになったが、同時代の他機種移植はMSX2版(1989年12月22日発売)だけである。
しかもスクウェア自身の手による移植ではなく、他社(マイクロキャビン)によるものであった。
なお、オリジナル版(厳密には下にも書く通り『I・II』版)はWii/WiiU/3DSのバーチャルコンソールで、PSリメイク版はPS3/PSPのゲームアーカイブスで配信されてもいる。
MSX2版
FC版『ファイナルファンタジーI・II』
WSC版
PS版
ケータイアプリ(imode・EZアプリ)版
GBA版『ファイナルファンタジーI・II アドバンス』
PSP版
iPhone / iPod touch版
Android版
3DS版
ピクセルリマスター版(Steam/iOS/Android)
その他
本作が発売されてから年月がかかり、コミック版が発売されたり、ゲームブック版が発売されたりした。
【ふぁいなるふぁんたじー】
対応機種 | ワンダースワンカラー | ![]() ![]() |
発売 | スクウェア | |
開発元 | KAN NAVI | |
発売日 | 2000年12月9日 | |
定価 | 4,800円(税別) | |
プレイ人数 | 1人 | |
セーブデータ | 8個(バッテリーバックアップ) | |
備考 | WSC同梱版:2000年12月9日/9,999円(税別) | |
判定 | 良作 | |
ポイント |
FF初のリメイク作品 ワンダースワンのキラータイトル |
『ファイナルファンタジー』のワンダースワンカラーによるリメイク。
当時、『FF』シリーズは既に『ドラクエシリーズ』と並ぶ大作シリーズであったが、ドラクエシリーズでは原点となる『I・II』がSFCでリメイクされていたために触れやすかったのに対し、『FF』シリーズで『I』を遊ぶにはFC版のオリジナル、またはカップリング移植の『I・II』をプレイするしかなかった。
これはスクウェアの「作品をリメイクするぐらいならば、そのリソースを使って新作を作った方がよい」という方針(*9)により、リメイクそのものに消極的だったためであるが、2000年に入るとFC(及びニューファミコン)は完全に旧式のハードとなってしまい、プレイするハードルが高くなっていた。
そんな中、新たに発売された携帯機のワンダースワンカラーにて『ファイナルファンタジー』『II』『III』のリメイクが発表され、『I』から順に発売される事となった。
それまでの移植とは異なり、シリーズで初めて大々的なリメイクを行ったものであり、グラフィックをはじめ、ゲームバランスやインターフェースがSFCシリーズ(『IV』~『V』付近)に近い物へと改良されている。
待ち望まれていた原点のリメイクであり、クオリティも高く、また久々の2Dドット絵のFFシリーズでもあった事もあいまってこぞって売れた。
結果的にワンダースワンカラーの最高売り上げを記録し、見事にハードのキラータイトルとなった。
*1 バーチャルコンソール版で付与されたレーティングを記載。
*2 「飛空船に影を入れる仕様」は開発者の坂口氏をして無理と言わしめたものの、ナーシャ・ジベリ氏は相談を受けてから1日で作り上げた上に4倍速まで実現させたという逸話がある
*3 もっとも、持ち替えに対応し始めたのも後に出た『III』辺りからではあるが。
*4 2000年以降は、旧AD&Dが現D&Dを名乗っており、旧D&Dは『クラシック・ダンジョンズ&ドラゴンズ(CD&D)』と呼ばれている。
*5 D&D日本版の版権元から抗議を受けた事で単行本では手足を生やしたうえで「鈴木土下座ェ門」と言う名前に変更されたという騒動。
*6 2010年のアメリカ小説『ニンジャスレイヤー』にも、ビホルダーという名前のニンジャ(人間)が登場している。
*7 つまり、マヒならラッキーということ。範囲は単体対象に弱体化。
*8 通常移動時は8ドット単位、飛空船使用時は16ドット単位。
*9 FFの生みの親である坂口氏談。
*10 多数の台詞を喋らざるを得ないラスボスは一度話すごとに一歩ずつ後ろに下がるという苦肉の策で実現していたほど。
*11 実際、せっかくバグの直ったシェイプを有効活用できる場面はほぼ無い。