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EXIT - (2020/05/12 (火) 23:54:42) の編集履歴(バックアップ)



本ページではPSP『''EXIT』とその続編『カンガエル EXIT』、DS『非常口 -EXIT DS-』を取り扱う。



EXIT

【いぐじっと】

ジャンル 思考型アクションゲーム
対応機種 プレイステーション・ポータブル
開発・発売元 タイトー
発売日 2005年12月15日
定価 4,800円(税別)
レーティング CERO: 全年齢対象
判定 良作
ポイント 脱出を題材とした新感覚パズル

概要

  • 主人公 Mr.ESC (ミスター・エスケープ)は緊急事態にさらされたあらゆる者を手伝い、時に手を組みながら脱出させることを生業とする「脱出請負人」。
  • 本作は、災害現場そのものが2Dパズルの面になっている。ゴールである「非常口」にMr.ESCを含めた当事者全員を導くことが、パズルのステージクリアの大きな目標。
  • ゴールまでの道中は、高い段差や業火、高圧電流などに阻まれている。現場に居合わせた同行者、木箱といったアイテム、さらには機械設備をいかに有効活用して切り抜けるかがカギとなる。またこれらを使用する順番というのも攻略の上で大事な要素となってくる。
  • パズル面の数は全部で100問
    • 10 シチュエーション × 10 レベル = 100問 となっている。
    • 無料ダウンロードで、さらに100問を追加可能。

キャラクター

  • Mr.ESC
    • フットワーク類の身体能力は高い。人間キャラの中で唯一深い水に入っても溺れずに泳ぐことができる。
    • エレベーターの操作は彼しかできない。
    • 力の強さ自体は登場キャラの中でも並みの部類。重たい物体の移動は誰かに手伝ってもらう必要がある。
  • 同行者
    • 助けを求める相手は同行者となる。彼らには待機させるか、指示を与えて移動させるかができる。また移動の際はアイテムを一つだけ運搬させることができる。
    • 屈強な大人から非力な子供や怪我人までと幅広い。彼らは体格や身体能力が個性分けされており、登れる段差の高さに差があったり泳げなかったりするので、脱出する際に考慮しなくてはならない。
      • ただし、無理なコマンドを実行したら即効ゲームオーバーに直結するわけではなく、飛び越えられない大穴や、高すぎる段差をまたいだ移動はきちんと拒否してくれる。
      • ペイシェント(負傷者)は自力で動けないため、Mr.ESCやその他同行者に背負わせる形になる。背負っている状態だとフットワークが低下し、段差も上りにくくなる。
  • うちゅ~じん
    • 敵キャラ。Mr.ESCや同行者が射程内に入ると光線で攻撃してくる。Mr.ESCに関しては、しゃがめば弾には当たらないが、同行者はしゃがんでくれない。
    • ライトサーベルで攻撃すると、一定時間、箱に変形する。

操作方法

  • Mr.ESCの操作は方向キーで行う
    • ×ボタンでジャンプ、□ボタンでアイテム操作、◯ボタンでスイッチ操作ができる。
  • アナログスティックを操作するとカーソルが現れる
    • カーソルを移動させると、ゲーム画面の表示位置がそれに追随して移動し、デフォルト位置からは見えない部分の状況が確認できる。
    • カーソルが同行者に重なっている時に△ボタンを押す操作をクリックと呼ぶ。
    • 同行者には行動モードが有り、Mr.ESCと初めて接触した状態ではMr.ESCの後をついてくる追随モードになっているが、同行者をクリック後に任意の場所をクリックするとその場所に移動させると到着後に待機モードとなってその場にとどまる。
      • ゲーム中にLボタンを押すと全ての同行者の行動モードがトグルする。
        特定の同行者をクリックした後にLボタンを押すと、その同行者だけ行動モードがトグルする。

ルール

  • アイテム
    • 火を消すための消火器、錠前を開けるための、降りるためのロープ、瓦礫を砕くためのツルハシ、暗闇を照らすライトなどがある。
    • アイテムは基本的には一回使うとなくなるが、ツルハシのように何回も使えるものや、ライトのように持っている間ずっと有効なものもある。
    • 一人のキャラが持てるアイテムは一種類のみ。別の何かを持とうとすると、今までにもっていたアイテムをその場においてくる。
      • クリック操作により、アイテムを持っている人間同士で持ち物を交換することも可能。
  • ステージのGame Over
    • Game Overの種類
      • キャラがあまりにも高いところから降りると、足をくじいて行動不能になるためGame Over。
      • キャラが火に入ってもGame Over。またMr.ESCと犬以外は水深の深い溝に入っても溺れてGame Over。
      • 上から落下してきた物体がキャラの誰かに直撃してもGame Over。
    • RETRYを選ぶことで、そのステージの最初からやり直せる。
  • スコア
    • クリアにかかった時間、プレイヤーが出した指示の少なさを評価して100点満点で評価される。
  • その他
    • ゲーム中に救助に成功したキャラの、名前、国籍、生年月日といった設定を、オプション設定画面などで見られる特典がある。
      • 同じステージに、夫と妻や、上司と部下などの関係性のある人物が出現することがある。
    • クレジット表示も、プレーヤーがMr.ESCを操作して脱出させるゲームステージとなっている。

評価点

  • 単純そうな見かけだが、実際は奥深く、難易度は高い
    • ルールは意外にも込み入っている
      • 重量制限のある弱い床や、下り専用のロープなど、進行そのものに注意が必要。
      • 同行者の種類によっては、進行のサポートが必要となってくる場面がある。

問題点

  • 操作が煩雑である
    • Mr.ESCの操作とカーソル操作が独立していることに起因する煩雑さがある。
    • カーソル操作の操作性がいまいち良くない。
      • カーソルの緩慢な動きにヤキモキさせられたり、カーソルはMr.ESCから一定範囲内までしか可動距離がなく、手数を減らそうと置き去りにしていた同行人にカーソルが届かなくなったりする。
      • 余談となるが、PSP版はカーソルが表示されているがゆえに操作対象のガイド表示があるが、DS版はタッチペン操作であるためガイド表示はなく、誤操作の元となっている。
  • アクションのみのステージがある
    • ベルトコンベアーを逆走しながら障害物を越えるだけのステージが数個ある。

総評

パズルゲームにうまくアクション要素を落とし込んで完成された作品で、アメコミ風のデザインも評価が高い。
「脱出」を題材にした各ステージにははっきりしたストーリーが設定されており、登場人物一人一人にまで個性付けがなされているのも、前例のない試みで面白い。彼らに対する「指示」の出し方にやや難があるものの、全体的には非常に楽しいパズルゲームとなっている。

カンガエル EXIT

【かんがえる いぐじっと】

ジャンル パズルアクション
対応機種 プレイステーション・ポータブル
開発・発売元 タイトー
発売日 2006年9月7日
定価 4,800円(税別)
レーティング CERO:A 全年齢対象
判定 良作

概要(カンガエル)

  • PSP版の続編。操作方法等の大枠は変わっていないが、細かい変更がある。
    • 最大の変更点は、キャラが若干だが確実に大きくなっており、言い換えると、画面で見渡せる範囲が狭くなったということである。
  • パズル面の数は全部で120問
    • (10 シチュエーション × 10 レベル) + SPレベル 20問 = 120問 となっている。
    • 本作では別途チュートリアルが10問ある。
      • チュートリアル前の寸劇は前作と同じだが、問題は一新されている。
      • チュートリアルの救出者にはプロフィールはない。
    • 無料ダウンロードで問題を追加可能。

ルール変更点(カンガエル)

  • 同行者
      • アイテムの回収は出来るが使用はできない。泳げるが潜れない。
    • 良いうちゅ~じん
      • 箱に変身し、火や水では死なない。ただし移動力は地球人よりも弱め。アイテムを持つことも出来ない。
      • 元々の悪いうちゅ~じんも出現する。
    • マッチョ
      • Mr.ESCとほぼ同等の能力を持つ上、ロープを登れる。しゃがめない。
  • ギミックの追加
    • 時限式のスイッチの追加
      • スイッチ押下後から一定時間しかシャッターが開かない時限式のスイッチが配置されていることがあり、移動にもたつくとシャッター内の区画に閉じ込められて詰むという事態に陥ることとなった。
      • もとより脱出時間を競うゲームではあるものの、かなりギリギリの時間が設定されている。
    • 他にも樽、エスカレーターなどが追加されている。

評価点(カンガエル)

  • 順当に難しくなっている
    • 前作よりも表示範囲が狭くなっており、特に初見の場合の難易度が上昇している。
    • 前作をプレイしていないと厳しい難易度となっている。
      • 前作では後半に出現した氷の床のマップが早くもシチュエーション2で登場。
      • 前作ではシチュエーション9で登場した地震で崩れる床は本作ではシチュエーション4で登場。しかもレベル1から停電付き。
  • 同行者のAIが少し賢くなっている
    • 特に犬のAIはDS版と比して格段に賢い。
    • AIの癖に煩わされにくくなって、快適にプレイできるようになった。
  • ステージクリア後のクリア評価画面にRETRYが追加された
    • スコアやクリアタイムが気に入らなかった時に再プレイしやすくなった。

問題点(カンガエル)

  • ストーリーの寸劇に前作と同じ内容のものがある
    • ゲーム開始時に毎回自動で見せられるので、前作をプレイしていれば流石に飽きてしまっているのにである。

総評(カンガエル)

順当な進化を遂げ、難易度も序盤から高い。
特に前作のグラフィックを流用せずに拡大し、見渡せる範囲を狭くして難易度を上げた点は評価したい。
同行者のAIの向上など、細かいところにも改良が加えられており、前作より快適にプレイできる。


非常口 -EXIT DS-

【ひじょうぐち いぐじっとでぃーえす】

ジャンル 脱出パズルアクション
対応機種 ニンテンドーDS
メディア DSカード
発売元 タイトー
開発元 EXIT TEAM
発売日 2008年1月24日
定価 5,040円(税5%込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作

概要(DS)

  • パズル面の数は全部で150問
    • 全部で15のシチュエーションがあり、さらにそれぞれのシチュエーションに対して10通りのパズル面が用意されている。
    • シチュエーション1~10はメインシナリオの扱いで、開始時やクリア時に寸劇(スキップ可)が挟まれる。残りの11~15はおまけステージ。
    • なおシチュエーション1は基本的な動作のチュートリアルを兼ねており、いつプレイしても操作方法を実践とともにおさらいできる。

操作方法(DS)

  • 移動および作業
    • DSの下画面を使ってアクションの指示を出す。
    • タッチペンでキャラを突き、つづいて別の場所をタッチすることが、本作での基本操作になる。
    • 1回目に突いたキャラを、2回目に突いた場所に誘導できる、もしくは2回目に突いた場所にある物体で何かしらの作業をさせることが可能。(梯子を上らせる、持っている消火器を使って火を消させるなど。)
      • 命令を中断したい場合は、命令を受けているキャラをタッチすれば良い。
        なお、PSP版には一度出した命令をキャンセルすることはできなかった*1
    • 同行人には 待機モード追随モードの2種類が指定できる。前者はその場で待機、追随は間に障害物がない限りMr.ESCについてくるというもの。
      • 切り替えは下画面右上のアイコンをタッチすることで行う。
    • またMr.ESCのみ、タッチペンのスライドでも移動させられ、その場で大ジャンプさせることも可能。
  • 視点移動はタッチペンを持っていないほうの手によるボタン操作で行える。
    • キーコンフィグ対応がある。ボタンによる画面スクロール、およびタッチペンによるキャラ移動を担当する手(左or右)を交代できる。
  • DS上画面にはマップが描かれており、デフォルメされた地形と物体、救助を待つ人々の位置が表示されている。こちらは視点移動せずとも最初から全体が表示されている。

ルール変更点(DS)

  • 同行者
    • 『カンガエル』に登場したマッチョは登場しない。
  • アイテム
    • アイテムを持っている人間同士を接触させれば、持ち物を交換することも可能。
      • PSP版ではクリックによって明確にアイテムの移動を指示する必要があった。
  • その他
    • Wi-Fiを利用して、各ステージのクリアタイムを競うというコーナーもあった。

評価点(DS)

  • 試行錯誤に重きを置いたルール
    • 同行者の能力に関して覚えなくてはならない事が若干多いものの、それゆえにゲームがいい意味で複雑になっている。
    • 後半になってくると、障害物や人物の配置を1手1手を考えながら行動しないと失敗するような絶妙な調整がなされている。
    • 詰んでも、スタートボタンですぐにリトライ可能。試行錯誤を繰り返しながら、脱出のための手順を考えていく面白みがある。
    • Wi-Fiを使うことで、いかに早く解けるか?いかに無駄な動き無く解けるか?を競える。

賛否両論点(DS)

  • 多くを語らない、独特な世界観
    • 登場人物やストーリーは非常に淡白。人物の善悪関係なく脱出を手伝うという流れであり、ステージごとに小話がオムニバス形式につくられている。
      • 盛り込みすぎると、かえってゲームのテンポを損ねる可能性もあったためさじ加減は難しかったと思われる。
    • 世界観のデザインに用いられる色の種類は少なくベタ塗り。どことなくアメコミや洋ゲーを彷彿とさせ、とっつきにくく感じるか新鮮に感じるかは意見が分かれる。
  • 同行者の身体能力差
    • ゲーム中の説明を読んでも実感がわかないので、プレイヤーが勘で覚えていく流れになりがち。
    • プレイしたての時には障害として機能するものの、こういった個性はMr.ESCにはできないアクションにも関連するので、このシステムに慣れれば謎解きが捗るようになる。

問題点(DS)

  • キャラの選択ミス
    • 複数のキャラが重なっているとき、もしくはキャラが画面の端にいるときにミスタッチが起きやすい。前者は待機させたいキャラに命令を下してしまい、後者はキャラのタッチがノーカンになることがある。
      • PSP版ではカーソルに操作対象のガイド表示があるため、このようなタッチミスは起こりにくい。
  • タッチペンスライド操作のやりにくさ
    • Mr.ESCをタッチすると、カメラアングルが彼中心にリセットされることがある。この仕様によりタッチペンのスライドが中断されることがある。
    • 高い段差から「ぶら下がる」、エレベーターを「操作する」はスライド操作が必要となる。
      • 高い段差を降りるための前準備として、「ぶら下がる」という動作が必要となる場面があるのだが、このときキャラを「段差下ではなく床に」めり込むようにスライドさせる必要があり、段差下にスライドさせるとぶら下がらないまま降りてしまいミスになる。
    • ゲームの説明ではスライド移動以外の選択肢を提示してくれないが、方向キーによる操作が代替策になる。こちらを知っていると操作がグンと楽になる。(なお、パッケージの説明文にはキチンと記載してある。)
      • また段差をおりたい場合に限り、キャラ→段差を降りた地点とクリックすると、何事もなかったかのようにぶら下がってから降りる。
  • AIの融通が若干利かない
    • Mr.ESCを対岸に行かせるようなアバウトな指示を出すと、「広めの溝を飛び越えていく」よりも「一度溝に降りてしばらく歩いてからよじ登る」という行動が優先されやすい。これは溝に火や電気が通っていて「明らかに飛び越えた方が良い」時も該当する。
      • 犬のAIは『カンガエル』のものより劣化している。
    • 箱を押させようとしてキャラ→箱の順にタッチすると、なぜか箱の「上」に乗ってしまう場合がある。
      • PSP版ではカーソルに操作対象のガイド表示があるため、このようなタッチミスは起こりにくい。

総評(DS)

PSPの『EXIT』を移植したものであるが、こちらはアクション要素を削りキャラへ的確なコマンドを要求する毛色が強くなった。
独特な世界観、1手1手が重要視される緊迫感・試行錯誤の余地の強いゲーム性は健在である。


その後の展開

  • 『カンガエル EXIT』がXbox 360に『EXIT2』として移植されている。
  • 製作元のタイトーがコンシュマー機のゲームから撤退したので、今後の新作は絶望的である。
  • EXTシリーズのスタッフは後にDS『スペースインベーダーエクストリーム』を手掛けている。
    • 同作は従来のインベーダーを大きく発展させた様な内容。また。同作の登場によってタイトーゲーに革命をもたらす事になった。

余談

初代EXITは東方projectの原作者であるZUN氏がタイトー在籍時代に最後に制作に携わっていた商業ゲームでもある。