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戦国無双5 - (2022/01/18 (火) 10:57:03) の編集履歴(バックアップ)


戦国無双5

【せんごくむそうふぁいぶ】

ジャンル タクティカルアクション


対応機種 プレイステーション4
Xbox One (ダウンロード版のみ)
Nintendo Switch
Microsoft Windows (Steam)
メディア Switch ゲームカード
PS4 Blu-ray Disc
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 コーエーテクモゲームス(オメガフォース)
発売日 CS版 2021年6月24日
Win版 2021年7月27日
定価(税込) パッケージ 通常版:8,580円
TREASURE BOX:16,280円
一騎当千BOX: 27,280円
定価(税込) ダウンロード 通常版:8,580円
Deluxe Edition:11,880円
プレイ人数 1人~2人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 なし
ポイント 世界観をリブート
それにあたってのストーリーやキャラ人選などに賛否
『真・三國無双6』に続き武器種縛りの解除
プレイアブルキャラ&アクション減少の欠点あり
キャラクター像が全体的に変化
良くも悪くもキャラが「軽い」
初代『戦国無双』以来の古参ユーザー中心に不満傾向
無双シリーズ



新・戦国無双、始動――。



概要

『戦国無双』シリーズの5作目の無印ナンバリングタイトル。
前作からキャラクター造形を一新しており、実質的には心機一転となるリブート作と相成った。
開発もタイトルを『5』とするか悩んだほどで(『三國無双』のように「真」を付けたり等他に選択肢があった模様)、人気キャラである石田三成や真田幸村は一切登場しない等コンセプトはそれなりに徹底されており、キャラゲーとしては意欲的かつ急な舵取りとなった。

主人公は織田信長と明智光秀の2人で、前年大河の『麒麟がくる』ライクな布陣となっている。
なお、本作はDL専売でOne版も発売されているが、Xboxハード版がリリースされるのは『戦国無双2』以来である。


特徴及び変更点

  • 信長の生涯にフォーカスしたストーリー
    • 今作は初代と『真田丸』を踏襲して、織田信長の一生をテーマにしたストーリーが展開される。
      織田家当主の座をめぐる争いから、山崎の戦いまでに起きた合戦を、織田信長と明智光秀の2人を中心にたどっていく。
      • 最初は信長編だけだが、話を進むと光秀編が開放される。信長編をクリアするとIF展開の夢幻編が開放される。
    • ストーリーが進むと信長と光秀は壮年期の姿となり、得意武器が追加され、後述の固有チャージ攻撃が強化されたり、専用のスキルが追加されるなど、優遇された扱いになる。
    • キャラクターも織田家やそれと接点のある武将を中心に登場。無双武将27名に加え、専用グラフィックを持つ固有武将が10名。計37名の武将がプレイアブルキャラクターとなる。
  • アクション
    • 基本的には前作『戦国無双4』までの流れを汲んでおり、□△(XY)ボタンの組み合わせで敵を薙ぎ倒す、お馴染みの無双アクションである。
    • PS2版時代初出の部分を伝統的に残していた攻撃モーションが全て一新されることとなった。
    • 全体的に衝撃波やエフェクトを発生させる技が多くなり、派手な演出で広範囲の敵を一掃する爽快感が味わえる。
      • 一部のチャージ攻撃にはボタンを連打することで攻撃回数を増やせたり、ホールドして溜めることで攻撃範囲を拡大したりといった派生技も存在する。
    • 基本のアクションフローは『4』に似ているが、神速攻撃からの派生はなくなり、△→□/X→Yボタンの順に押すとすぐ通常攻撃が出る。
      • プレイヤーキャラは2人登場し、プレイヤーは随時切り替え&非操作側の移動先を指定できるといった点も4を継承している。
  • 武器(モーション)と技能
    • 本作は全15種の武器を使うことができる。
      + 武器一覧
      武器種 得意武将*1
      大太刀 織田信長 上杉謙信
      太刀+火縄銃 明智光秀
      織田信長 明智光秀 浅井長政 小早川隆景 織田信行 足利義昭
      二刀 徳川家康 山中鹿介
      柴田勝家 斎藤利三 斎藤道三 武田勝頼
      大身槍 前田利家 本多忠勝 武田信玄 岡部元信 吉川元春
      薙刀 羽柴秀吉 瀬名 毛利輝元 三淵藤英
      大鎚 今川義元 斎藤義龍
      籠手 みつき 弥助
      濃姫 毛利元就 朝倉義景
      大筒 中村一氏 松永久秀 雑賀孫市
      鎖鎌 百地三太夫
      忍者刀 服部半蔵
      竹中半兵衛
      護符 お市 黒田官兵衛
    • 各武将は使用武器を任意に変えることができるが、武将ごとに武器熟練度が実装され、熟練度より高いランクの武器を使うことができない。
    • そして上述の通り、武器には7つのランクに分けられ、装備技能の数とレベルが高いほどランクが高くなる。
    • 武器は一般的な「初期武器」の他、それぞれ武将ごとに持つ固有の「通常武器」と、条件を満たすと確定で入手できる「レア武器」がある。
    • 前作で好評の「武器錬金」が続投。なかなか武器がドロップしないモーションも安心。
  • 閃技
    • 道具とは別に、様々な効果を持つ特殊技。四つのスロットにセットでき、戦場に使用できる。
    • 使える閃技は攻撃技のほかに、攻撃力アップや無双ゲージ回復など、補助的な効果を持つものがある。
    • また、道具と違って、閃技は使用後一定時間を経つと再び使えるようになる。
  • 技能盤
    • いわゆるスキルツリーで今作におけるキャラクターの成長要素の一つ。ステージクリア時にもらえる技能ポイントを消費して技能を習得することができる。
      • 習得できる技能はステータス強化のほか、武将固有閃技や無双ゲージ増加などがある。
  • 堅城演武
    • 攻め寄せる敵から拠点を守りながらミッションを達成し、高評価でのクリアを目指すモード。
      • クリアすると経験値や金の他に、施設のレベルを上がるための素材が貰える。
      • 特定の武将の組み合わせで勝利すると、武将同士の親密度が上昇し、親密度が最大になると特別なイベントを鑑賞できる。
      • そこでしか見られない武将の一面があるため、キャラクターの掘り下げに役立っている。
    • このモードでは味方NPCが基本的に登場しない。対して敵は複数のルートから攻めてくるため、ステージによってはプレイヤーキャラ2人だけでは防ぎ切ることが難しいこともある。
    • ではどうするかというと、アイテムの代わりに装備する「兵科」で味方兵士を配置して守りに当たらせるというものとなっている。
      • 「兵科」で呼び出すNPCは攻撃を繰り出す兵士にとどまらないものがあるため、戦法の自由度はなかなかに高く、無双シリーズでは貴重な軍師的な体験もできる。

評価点

  • 全体的にモーションが現代的になり、洗練された爽快感。
    • 前作までは同年代の真・三國無双シリーズや版権コラボ無双に比べて遊びにPS2時代の面影が強かった戦国無双だが、今作ではモーションスピードや攻撃範囲や敵に攻撃を当てた際のまとまり具合など、遊び心地が全体的に現代化した。端的に言えば『真・三國無双7』以降で進化した「草刈り感」になっており、戦国しか遊んでいなかったユーザーならばかなり変化を感じるだろう。
    • とにかくバッサバッサと打ち倒す爽快感は強まったが、その分精緻なプレイングは低難易度ではほとんど求められないゲーム性にもなった。ユーザーボリューム層に合わせた進化と言える。
  • 各武将がすべての武器を使用可能。
    • これまでの『戦国無双』シリーズは、武将ごとに使用する武器やアクションが異なっていた。
      • だが、モーションごとに使い勝手の差がかなり激しく、またモーション自体が何年も使いまわし続けた古いものなので、作り直して欲しいという要望が日々に増していた。
    • 本作ではその点も刷新され、全体的に過去作から大なり小なり性能が底上げされた武器種を制限なく選択できるという『真・三國無双6』に似たスタイルになった。
      • これにより、武将のデフォ武器の使い勝手が悪くても他の武器を持ち替えることで気軽く使用できる。
    • 一応、武将ごとに得意武器が存在し、得意武器を使えば特定の2箇所のチャージ攻撃が固有のものに差し替わる他、閃技にもそれぞれ専用のものがあるため、武将の個性もちゃんと保てる。
      • 一部のキャラには、例外的にジャンプチャージや馬上チャージ攻撃が固有になっている場合がある。
      • 武器に関しては熟練度以外の装備制限は基本ない。今川義元の名刀として有名な宗三左文字は織田信長(壮年期)の通常武器扱いであるが、これはストーリームービーにおいてキーアイテム的な扱いであり、それに合わせて特定ステージで確定入手できるが追加入手はかなり長い間待たされるという仕様になっている。 言うまでもなく義元自身に持たせることも可能なので、イベントシーンの「名刀・左文字を構える今川義元」が再現可能。
    • 前作までのモブ武将は汎用モーションの刀や槍などを持っていたが、本作では無双武将と同じくいずれかの武器カテゴリを使用してくる。
      • 信長編で度々見かける滝川一益が(忍者説からか)鎖鎌を持っていたり、力自慢の逸話を持つ武将がパワー系の大身槍・大鎚を持っているなど、モブ武将が持つ武器カテゴリも全体的に分布しているため、『真・三國無双6』以降ほどの没個性に終わらせていない。
  • 墨エフェクトを中心とした特徴的な映えるアートデザイン。
    • グラフィックは平凡であるが水墨画のような全体的なデザインはセンスがよく、平凡さをあまり感じさせない。
    • 特に無双秘奥義の後の一枚絵決めポーズの演出は本作のセールスポイントであり、良い意味での漫画絵らしさを持っている。三國とコラボ無双の中間といった形で、写実的になりすぎない演出センスはかなり良い。キャラへの愛着も湧く。
  • ステージ数のボリュームが多い。
    • 今作は信長と光秀の時代に絞った物語ということもありシナリオのボリューム数を不安視する声もあったが実際には全70ステージと前作を上回るステージ数になった。
    • これまで端折られることが多かった信長の上洛までの戦を詳細に取り扱っていたり光秀の前半生が描かれていたりと新鮮さも十分。
      • 光秀の前半生については不詳のため脚色がやや強いがこれは致し方なしか。
    • 信長と光秀のストーリーで被っている戦場も少なくないが展開やミッションが違う等何かしらの差別化がなされている。

賛否両論点

  • そもそもの一新コンセプト
    • やはりキャラゲーである無双において愛着のあるキャラをリストラorリブートするという急な舵取りは賛否を呼んだ。
      • 人気2トップと言える石田三成も真田幸村も(今作の時代背景的に当たり前ではあるが)存在しないというのは、かなり尖った方向性である。
    • ただし戦国無双シリーズが形作ってきたキャラ造形自体が(特に三國シリーズに比べると)「史実から外見年齢が著しく乖離」「人選があまりにも謎」「銀英伝などの二次創作風に開発が好き勝手に歴史人物をキャラ付け」「特定の口癖を病的に連呼するネタキャラ化」など、端的に言えば今までも賛否両論は少なく無かったため、これらのリセットを好意的に捉えようとする古参ユーザーも存在する。
      • 実際、史実観点から見た外見年齢という点においては歴史背景をきちっと決めた結果として今までよりもかなり見合っており、桶狭間に恰幅の良い親父家康がいたり生まれてすらいない幸村が川中島で奮闘したりといった事はなくなった。
      • ただ雑賀孫市や上杉謙信や浅井長政など、物語に出てくる年齢が前作までので適っており無理にキャラ変えするような理由が思い浮かばない面々も。
    • また一応は戦国初期から大阪の陣まで網羅していた今までに対し、時代を絞っているために密度こそ濃いが不完全燃焼感が否めない部分がある。
      • 特に『2』~アニメ化までにおいて関ヶ原西軍に感情移入させるようなシナリオを中心としていた関係上、そこを完全無視した本作にコミットメントしづらかったユーザーは多いだろう。
  • 武将リブートにおける賛否。パッと見では気付きにくいがキャラクターの顔のパーツ自体は『4』までと同じであり、そこから年代をずらしたようなデザインになっている。
    • 前作で奇抜なデザインの武将が多く批判が多かった反省か、今作では全体的に落ち着きのある配色、正統派なデザインの武将が多い。この点については好評。
      • 長年ギャグキャラとして扱われていた今川義元はついに「海道一の弓取り」にふさわしい姿になっており、多くのファンから好評を受けた。毛利元就も見合った老人姿となり、時系列に相応しい外見となっている。
      • また竹中半兵衛、松永久秀など外見はあまり変わっていないが内面はよりシリアス感を増したキャラ付けになった面々もおおむね好評。
      • 全体的には平成のTVノリから令和現代の史観に沿ったような性格にリブートされたキャラが多い。「懐の深い慕われる大物」だった前作を捨てて「実力者ではあるがリアリストで傲慢」になった武田信玄などは、賛否両論は強いだろうが、信長の野望シリーズよりも一歩先に昨今の研究成果に近い造形になったと言えなくもない。
    • 最も外見で賛否分かれるキャラクターの一つが家康で、桶狭間以前ぐらいの想定の「薄幸の美少年若殿」といった見た目になっている。
      • こういったイケメン化に拒否反応を示すユーザーもいるが、家康や秀吉に関して言えば信長を青年主人公とした時代で今までのように出す事は不可能である以上、理由付けがはっきりした時代背景通りの外見ではある。一応ではあるが、公式の雑誌インタビューでは「本作の家康も、成長したら『4』以前のような容姿になることを意識した」とフォローが加えられている。
      • ただ中盤以降は青年期の姿を用意されてないため、信康事件の時は息子より幼く見えることになる(家康と瀬名は信康を息子であるとは言わず、信康も2人を父や母と呼ばないという妙な扱いとなっている。)など微妙な線に。*2
    • 黒田官兵衛は有岡城の戦いが描かれるため、救出された後は「4」以前の姿に…ならない。幽閉されていたはずなのに五体満足でピンピンしている。
      • そもそものキャラクターの衣装変更に関してはDLCを導入しない場合はわずか1人が可能なだけであり、服部半蔵の仮面や中村一氏のフードの有無といったイベントシーンで見られる容姿変更などもすることはできない。
  • 女性キャラの少なさ
    • 今作では固有武将含む全37名の武将の内女性の武将は濃姫、みつき、お市、瀬名のたったの4名だけとなっている。
      + ネタバレにつき格納 ストーリー本編中濃姫は中盤で離脱、お市は中盤敵側に回るためこの2名はプレイアブルとして使用できる機会も少ない。
      • 猛将として名が知られている武将ならいざ知らず、女性や軍師が戦場に出て一騎当千に敵を蹴散らすのはどうなのかという意見はシリーズでも度々言われることだがやはりゲームとしてある程度の華は欲しいところ。しかし、過去作の「小少将」「ガラシャ」など、参戦させたもののキャラクターとしての扱いを持て余した結果、関係無い戦場に出しゃばり無理矢理出番を増やす等モデルにした人物とは程遠い、誇張されたオリジナル描写ばかりになり「その名前を使った武将」としての有り様が歪んでしまった前例もある為、この点に関して批判は少ない。

問題点

  • 「時代を絞ったリブート」というわざわざ大鉈を切ったコンセプトを活かし切れたとは言い難いストーリー。
    + シナリオ・キャラ描写について。ネタバレにつき格納
  • 本作において信長が残酷な手段をとるようになったきっかけは「濃姫が足利義昭の刺客によって殺害された」とされている。
    • そのせいで信長包囲網への対処は信長にとって刺客とその雇主の正体を見つけ、復讐する為の手段となっており、ただの私怨に見えてしまった。*3
      • この描写に対して「信長が主人公であるため、感情移入の為にも仕方なき描写」という意見がある一方、「信長を美化しすぎ」「逆に俗物っぽく見える」「窮地を打ち破るきっかけが『愛の力』というのは歴史を題材とした作品としてどうなのか」という批判もある。
    • 織田家の筆頭家老という重要なポストに位置する忠臣「柴田勝家」に対して史実とは異なるオリジナルの描写が数多く適用されている。
      • 信長の弟である信行の謀反に従うという史実展開の後に、「信長が勝家をお市の従者にするという形で許しを与える」というオリジナル展開から始まり、お市が浅井長政に嫁ぐ中盤では「従者として付き従い浅井の家臣となる」という首を傾げる展開、更に浅井長政が信長に反旗を翻すと「お市に従うという命令を遂行することが自分の存在意義である」と斜め上の忠義心を爆発させ、なんと織田家に敵対する。かろうじて許され、その後のステージで上杉謙信に「節操なく何回も裏切る不忠者を使うとは信長は度し難い」と糾弾された際、「信長様にとって、自分は都合のいい番犬に過ぎない」と自嘲する。*4
        • オリジナル展開とはいえ、史実において織田家に忠義を尽くした柴田勝家という武将を「一度許されながら、重要な場面で主君を再び裏切った挙げ句自分を犬と自重する情けないキャラ」という改変を施し、過去作で厳格な忠義をウリにしていた頃から大きく改悪されている。
      • メタ的に浅井軍がモブ武将だらけのため、無双武将の追加と強敵ポジションを用意したかったのかもしれない。
    • 便利屋、上杉謙信。
      • 史実では織田家と上杉家は遠交近攻策から基本的に同盟を結んでおり、信長・謙信の晩年になってようやく加賀や越前の支配権を巡って短期間争い合うのだが、今作ではそういった歴史は一切無視されており、謙信が津々浦々の戦場に介入してくる便利な敵と化している。
        • 歴史上、東海や畿内で謙信が信長と争った事はないが、誰も呼んでいなくてもそういった戦場に駆けつけてくる。越後からそんなところまでワープできるなら武田の西上作戦とはなんだったのか。
      • 要は今までの直江兼続のようなポジションと初代伊達政宗のようなノリで介入しまくってくるのだが、さすがに役者が違い過ぎると言わざるを得ない。
      • 結局のところ新しくストーリーを形作るにあたってきちんと大小の敵キャラを揃えておかないせいで、謙信のような大ボス級の敵にも三下の役回りをさせなければならなくなっている。
    • 特に中盤以降の「百地三太夫」の描写、及びそれに関連するストーリーが批判されている。
      • 徳川信康自刃事件*5、丹波付近での反乱、松永久秀の謀反などの信長に不利となる戦について、その全てが百地三太夫と百地が率いる伊賀忍軍の暗躍により引き起こされたという、百地三太夫を中盤以降の黒幕、ひいてはラスボスの様に扱うといったもの。
        • ただし本人曰く「背中を押しただけ」であり、事実その時点で信長は多数の勢力の反感を買っているということが言及されている。少なくとも松永久秀はその人物に唆される前から謀反の機会を窺っていた。また「背中を押した」という言葉通り、百地本人が何かを為したわけではなく、あくまでそういった事態に対して便乗して目的を果たそうとしていただけに過ぎず、ラスボスとして大々的に扱うには立ち振る舞いがあまりに小物かのような矮小さである。
      • それが明かされた後は、その人物は本作のシナリオ全体の黒幕であるかのような描写がされていくのだが、上述の通り背中を押しただけなので、舞台装置と言ったほうが適切かもしれない。
      • 「悪役」としての描写はそれほど問題があるわけでもないのだが、今までの戦国無双とはまた違った形で、戦国モノとして異質な存在となっている。マンネリ打破の一つかもしれないが、些かやりすぎだと言えよう。
      • また、その暗躍の理由については「"天下一新" を掲げる信長なら "武士の時代" を終わらせてくれると思っていたのに、信長が作ろうとしたのはまた別の "武士の時代" だったから」とのことだが、それについての具体的な描写がないため感情移入しにくいのも問題の1つ*6。理由を述べる際や追い込まれた際に言動がラスボスキャラとは思えない様な幼稚なものになる為、無理矢理にでも百地をそういった立ち位置に据えた公式側のゴリ押しの弊害が随所に見受けられる。また最終的に仮面を装着し着ている鎧の装甲を展開するのだが、タイガーマスクにしか見えないデザインや伏線の無い唐突な変形がネタ展開にしか受け取られず、プレイヤーからネタにされることになってしまった。
        • 夢幻篇の最終話の総大将、つまりラスボスとして立ちはだかるが、それまでのバックボーンの薄い動機や小物としか受け取れない言動、「武士なんて嫌いだ」というあまりに幼稚な末期の言葉もあり、それまでの無理のある出番の優遇等を合わせて今作は『戦国無双』ではなく「無双MOMOCHI」であると皮肉され失笑を買ってしまっている。
  • 偏った武将の人選
    • 本作は時代と地域を絞った関係上、石田三成や真田幸村などの人気武将や伊達政宗・北条氏康・長宗我部元親・島津義弘などの地方武将は影も形もなくなっている。ただそういった後世武将や地方武将の不参戦に関しては「元々そういうコンセプトだから」という擁護もできる。
      しかし、『信長・光秀を主人公とした織田家中心の絵巻』という観点から見ても武将の人選は甚だ謎な部分が多いことが批判されやすい。
    • まず織田家を描くにあたってこいつはいてもおかしくない、と発売前ファンから目されていた新武将はほとんど登場しなかった。
      • (息子で後半は本来織田家当主である)織田信忠、織田家の重鎮である丹羽長秀・滝川一益(四天王)、秀吉の弟である羽柴秀長(羽柴勢としては最右翼)、前田利家の正室まつ(女性武将かつ10年以上前から参戦希望上位)、井伊直虎(人気キャラであり時代も見合う*7)、森可成や森長可(どころか蘭丸のリストラ)などなどはすべていない。ほぼストーリー背景が同じ決戦III(織田家が主役。光秀がラスボスで濃姫(帰蝶)がヒロイン)と比べても人選が邪道。
      • 参考までに、決戦IIIでは顔ありの織田家臣として帰蝶、森可成、丹羽長秀、柴田勝家、前田利家、羽柴秀吉、蜂須賀小六、吉乃らが登場。森可成は平手政秀のような役割であるが、その後、蘭丸、長可と息子たちも登場してステータスも受け継がれていくため好評であった。
      • 英傑伝シリーズの織田信長伝では、彼らに加えて織田信忠、蒲生氏郷、佐々成政、佐久間信盛、池田恒興らも登場。やはりそれらを考えると、戦国無双5は織田信長が主役であるにも関わらず、織田家の家臣の参戦武将は実に寂しい。
    • であるにも関わらず妙な新キャラが多い。特に海外意識なのか忍者は変に優遇されている(なら滝川一益を…と考えるのは自然で、発売前のゲーム雑誌インタビューにすらツッコミを入れられていた)。
      • 恒例のオリキャラである「みつき」は一周回って意外と受け入れられているが、中村一氏は特に叩かれやすい。これだけの候補がいる中で選ばれたのだから何かしらのキーパーソンなのだろうと目されていたが、活躍どころは順当にほとんど無く*8、オリジナルキャラであるみつきの師匠役程度しか目立ったキャラ付けは無いため、史実を基にした武将にも関わらずオリジナルキャラのような扱われ方になっている。
    • 敵方のキャラも、斎藤勢や毛利勢などそこそこ頑張ってはいるものの、武田四天王や上杉の家臣が一切いないのは寂しすぎるし、さすがに信長をメインパーソンとした物語で生涯最大の敵である本願寺を描かないのも無理が祟っている戦国大戦など完全に本願寺を好き勝手に描いている他社ゲーもある中でこの縛りをもってして信長の一生を描くのは無理があったのでは…?
      • 信忠が異様に暗愚に描かれ、織田軍の軍艦で戦役主役である滝川一益もおらず、敵方に真田昌幸などもいない中で行われ、信長と光秀の相克のみにスポットが当てられ、武田勢力の撃滅が片手間のおまけのように扱われる薄ら寒い甲州征伐は本作の負の象徴とも言える。
      • 総じて、織田家を主人公とした他ゲームや創作物に比べて、とにかく敵の描写がしょぼいに尽きる。信長の一生は数多の強大な敵・しがらみとの戦いであり、特に武田や本願寺は日本一の勢力になった後も負け戦が少なくない。戦国ファン全てが知る通り、敵の魅力を前面に押し出さずして信長の人生の魅力も語れないのだが、これを忍者活劇と光秀との慣れ合いを中心に済まそうとしてしまったストーリーラインが最大の問題と言える。まともに敵対者として「描かれた」のは序盤の今川義元と、その忠臣として最後まで自軍に抵抗し、忠義に篤い最期を全うした岡部元信程度である。
    • つまるところ、今までのシリーズに深く入れ込んでいたキャラファンにとっては好きなキャラがリストラorキャラチェンしていて親しみが持てず、真田丸のような史実重視調でナンバリングを描くだろうと考えていた戦国ファンにとっては信長主役作品として外してはいけないところを外しすぎて期待外れ……という、誰にとっても煮え切らない作風が今作の明確な失点。
      • 時代をきっちり縛って大枠は史実を外れないコンセプトはこれまでの無双ナンバリングで随一に硬派なのだが、キャラ造形や脚本において好き勝手に史実無視で突っ走る一部戦国シリーズスタッフの悪癖とこの部分が致命的に噛み合っておらず、ストーリーは一見史実に基いた硬派なものだが、要所で史実要素を的確に外し首を傾げる様な独自の改変が多数見受けられる。
  • ストーリーに説明不足なところが多い。歴史に詳しくないと展開についていけない恐れがある。
    • 特に終盤では黒田官兵衛と弥助の参加まで一言で済ませるほど駆け足気味。
    • 一応光秀編や秀吉、家康視点のステージでは多少の補足をしているが、それでも焼け石に水程度、補完になってない。
  • モーションの少なさ
    • 今作のプレイアブルキャラクターは37人と数だけならそこそこな人数に見えるが、モーションが15種類しかないため、実質人数はなんと初代をも下回る*9。しかも一新と謳いながら一部のアクションに過去作からの流用がある。
  • レア武器の取得条件が分かりにくい
    • 本作のレア武器の獲得条件は複雑の上にヒントがない。攻略本が発売している今でも手順を間違えれば取れない可能性がある。
    • しかもレア武器の装着技能と技能レベルは固定なので、自分がカスタマイズする8スロット武器のほうが強い始末。苦労して取る価値が低い。
  • サブモード「堅城演武」
    • 最初は新鮮感があったものの、いざ素材集めのために周回するとテンポ悪くて飽きやすい。にも関わらず、やりこみ要素といえる点は「全ステージでS評価を取る」程度しか無い。
    • モードの性質上周回効率が上がらず変化に乏しいため作業感が強い。この手の無限に遊ばせる系のトライアルは今までもあったが、やはり今作も本編に比べると面白いとは言えず、過去作の「無限城」「錬武館」「傭兵演武」などと比較した際、やり込みモードと言うにはあまりに底が浅い。無双演武攻略後に堅城演武をやりこみ要素として推奨するテロップはそれも相まって失笑すること受け合いである。
  • 敵の理不尽な受け身やスーパーアーマー
    • 今作の敵は打ち上げられる攻撃を受けた際、攻撃の合間に一瞬でも行動する猶予が存在している場合凄まじい速度で受け身を取り、即座にコンボから抜けてくる。
    • 同様に地上でダメージを受けている際も行動する猶予が存在するとき即座にスーパーアーマーが発生し、こちらのコンボに平然と割り込んでくる場合がある。
    • これらはチャージ攻撃、固有チャージ攻撃、閃技問わずの一連の動作中の行動猶予でも平然と発動するため*10、一連の動作が連撃になっている攻撃は敵武将に全段ヒットすることは極めて稀。
      • この仕様のせいで、武将を育て切っても一撃が致命傷になり得る高難易度では受け身、スーパーアーマーの理不尽な割り込みに怯えながら防御寄りの立ち回りをすることを強いられ、余計にテンポが悪い。スーパーアーマーは強度問わず閃技で貫通できるため、発動を確認してから閃技で更に割り込むことが要求される。
      • 受け身は閃技、チャージ攻撃、無双奥義などあらゆる攻撃の行動猶予に対して最速で使用してくる為対策はほぼ不可能。これらから「籠手」「忍者刀」などの連撃によってダメージを稼ぐ武器よりも「大太刀」「大身槍」などの単発高火力攻撃が揃う武器が扱いやすいが、キャンセルの自由度が大きく高まった今作においてコンボの意義を否定するこれらの仕様は批判が多い。
  • 全体的に、本作のアクション面は『4』を簡略化したうえで敵の仕様をより極端に寄せた傾向にあるといえるだろう。

総評

無双シリーズにおいて一旦キャラ数・武器種削減の上でアクション面などを総リニューアルしたという点は『真・三國無双5』『真・三國無双6』が前例にあるが、
本作もまたそういったアクション面のリニューアルや調整、新たな戦国ドラマのストーリーなど、やはり少なからぬ要素が旧ユーザーほど手放しに受け入れがたいものとなった。
ただ肥大化したキャラ数を抑えて性能を整理したという点など、シリーズについてまわる続編モノ的な障壁を極力排除するスタンスは改めて新規ユーザーが入るにはちょうどよいとも取れる。
とりわけ信長の時代をメインに取り上げた戦国無双はバランスが不安定だった初代『戦国無双』以来であるため、尚更であろう。


余談

  • リブート前はほとんど日本向けにPC版を出さなかった『戦国無双』シリーズだったが、本作からはSteamにも日本語版が発売されている。
  • 『戦国無双』シリーズでは恒例となっている大河ドラマとのコラボが本作でも行われており、本作では2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』とコラボしている。
    • その為かユーザーからは「『戦国無双6』では2023年の大河ドラマ『どうする家康』に合わせて家康が主人公になるのではないか」等と予想する声もある。
      • ただ、信長と光秀のダブル主人公になった点については、インタビューによると本当にたまたまであり戦国無双5のプロジェクト自体は『麒麟がくる』より前から動いていたとのこと。