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ファイターズヒストリー - (2011/09/19 (月) 22:50:35) のソース

*ファイターズヒストリー
【ふぁいたーずひすとりー】
|ジャンル|2D対戦格闘|~|
|対応機種|アーケード|~|
|発売・開発元|データイースト|~|
|稼動開始日|1993年|~|
|ポイント|カプコンに訴訟を起こされた不遇のゲーム&br()完成度は良好&br()弱点や通常技キャンセル投げなどの独自システムも|~|

**概要
-データイースト(以下デコ)が1993年にリリースした対戦格闘ゲーム。
-当時は対戦格闘ブーム絶頂期であり、各メーカーがここぞとばかりに様々な格ゲーをリリースしていた。デコもその流れに乗ろうと本作をリリースしたのだが、これが裁判沙汰に発展する程の問題となった。

**ゲームとして
-当時のストII人気により、ストIIプレイヤーは台待ちが長くプレイできない、もしくは一人プレイ中に乱入を受けて練習が出来ないという事態に陥りやすかった。その為、ストIIと同等の操作系を持ち、ゲームとしての出来も良好だった本作は、ストIIの代理という形で、少数のプレイヤーに親しまれていた。
-オリジナル要素としては弱点システムがある。これは、キャラごとに特定の部位が弱点として設定されており、そこに一定以上のダメージを受けると身に着けていたもの(ハチマキやプロテクターなど)が外れ、気絶するというシステム。さらに、以降はその部位に攻撃を受けるとダメージが2倍になる。
-また、「通常技をキャンセルしてコマンド投げを連続技に組み込める」という、現在では珍しくなくなったシステムを初めて取り入れた。その影響もあり、「投げキャラは弱い」と考えられていた当時の格闘ゲームにおいて、嘉納 亮子やマーストリウスといった投げキャラが3強入りするという特異な事態となった。
-キャラクターもデコゲーらしく濃いものが多い。
--女性キャラの一人である劉 飛鈴は「ゲーメスト」増刊「ギャルズアイランド」で''「ウケ狙いをせずにとことん中国人の顔にしたところにデコの偉大さを感じさせる」''と評された。
--ムエタイ使いの「サムチャイ・トムヤムクン」は技名が全てムエタイ用語で、声優にもネイティブスピーカーを起用。その濃いキャラから「お兄ちゃん」の愛称でコアなファンを獲得した。
--登場人物の一人「溝口誠」については後述する。
--ラスボスは何とデコの往年のアクションゲーム『カルノフ』の主人公であるカルノフその人。

**カプコンによる訴訟から和解までの経緯
-1991年、カプコンからリリースされ、社会現象まで生む程のヒット作である『ストリートファイターII(通称:ストII)』がアーケード業界の頂点に君臨していた。そして、ストIIブームは収まるどころか日に日に加速していき、新バージョンである『~ダッシュ』『~ダッシュターボ』が登場、これらも超絶ヒットを飛ばした。
-ストIIを中心とした対戦格闘ブームの最中に登場したのが本作である。すでに本作以前にも多くのメーカーが格ゲーをリリースしており、本作もまたその流れに登場した一つの格ゲーで収まるはず…だったのだが。
-しかし、ここでアクシデントが発生してしまう。なんとストIIの親であるカプコンからデコに対して''「おたくのファイターズヒストリーは、我が社のストリートファイターIIの悪質な盗作であり、損害賠償と製品の差し止めを求める」''といった訴訟が届き訴えられてしまったのだ。
-もちろんデコ側も黙ってはおらず、「対戦格闘のルーツは同社の『対戦空手道 美少女青春編』であって、そっちこそ類似物だ」という[[チェルノブ>http://www23.atwiki.jp/ksgmatome/pages/196.html]]の件並みに強引な言い分を残したらしい(対戦空手道はスポーツゲームというニュアンスが強いため)。そして、お互いが一発触発な関係に陥ってしまうのであった。
-予断を許さない状況がしばし続いたが、訴訟の約1年後、最終的に両社は和解し、本作は存在を差し止められる事は免れた。その後、本作の続編が2作登場し、各ゲーム共に一定の評価を得る事になる。

**何故訴訟されたのか?
-上記も示した通り、ストIIと類似した格ゲーは本作以外にも多く登場しており、何故他の格ゲーを置いて本作だけがターゲットになってしまったのかは明らかになっていない。
--本作以前に登場したストII関係以外の格ゲーとしては『餓狼伝説(SNK)』『ワールドヒーローズ(アルファ電子)』『ナックルヘッズ(ナムコ)』などがあるが、それらは多少警戒されていたという噂はあるものの、訴訟までには至っていなかった。
--本作が訴えられた理由として考えられたのが、「ストIIと同じ6ボタン操作が問題だった((同時期の6ボタン操作の格闘ゲームとしては、『カイザーナックル(タイトー)』や『バーニングライバル(セガ)』なども存在しているが、カプコンはこれらの作品については全く触れていない。また『サムライスピリッツ(SNK)』は4ボタン操作だが、強攻撃をボタン同時押しで出すことによる「擬似6ボタン操作」を採用している))」「元カプコンスタッフが関わっていたのが原因だった((もっとも『餓狼伝説』も初代『ストリートファイター』の開発者が製作したゲームではあったが))」などの説があるが、どれも憶測の域を超えていないのが現状である。
-すでにデコは亡きメーカーになってしまい、カプコン側も詳しくは語らず、これらの真実が解明されるのはほぼ絶望的である。

**家庭用移植と続編
-本作の家庭用ゲームは、1994年5月27日発売にて唯一スーパーファミコンに移植されている。その移植度は当時のアーケード移植もの格ゲーの中でも非常に優秀で、格ゲーとしての実用性はアーケード同様に高い。
--また、アーケードでは使用不可だった、クラウン(中ボス)とカルノフ(ボス)が特定条件で使用可能となった。
-続編は、アーケード(MVS)作の『ファイターズヒストリーダイナマイト』と、スーパーファミコンオリジナル作の『ファイターズヒストリー 溝口危機一髪!!』の2作があり、いずれも完成度は当時の格ゲーの中でもクオリティの高いものであった。
--なお『~ダイナマイト』は家庭用ネオジオ、ネオジオCD、セガサターンに移植されているほか、Wiiのバーチャルコンソールにて配信されている。

**その他
-本シリーズの本来の主人公である「レイ・マグドガル」を差し置いて、本来脇役であるはずの「溝口誠」がやたらな濃さを発揮している(宮下あきらの漫画「男塾」のキャラクターを彷彿とさせるキャラクター)。
--コミックゲーメストで連載された漫画版では溝口が主人公となり、さらにスーパーファミコンの『溝口危機一髪!!』では正式に主人公に抜擢されている。
--なお、本来の主人公であるはずのレイは漫画版では格闘描写は全く無い脇役扱いで、『溝口危機一髪!!』では主人公どころかプレイヤーキャラからも外されてしまうという、『ストリートファイターIII』のアレックス並の悲惨な扱いを受け「主人公(笑)」のレッテルを貼られてしまった。
-本シリーズ以外でも、溝口は同社の格闘ゲーム『水滸演武 風雲再起』にゲスト出演したり、忘れた頃にSNKプレイモアの『KOF MAXIMUM IMPACT』やスパイクの『喧嘩番長3』にまさかの乱入を果たしたりしている。