*超空間ナイター プロ野球キング 【ちょうくうかんないたー ぷろやきゅうきんぐ】 |ジャンル|スポーツゲーム|&amazon(B000069T3B)| |対応機種|ニンテンドウ64|~| |発売元|イマジニア|~| |開発元|元気|~| |発売日|1996年12月20日|~| |定価|9,980円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(Mistyrose):''バカゲー''|~| |ポイント|フルポリゴン野球ゲームの先駆者&br()特徴的な2頭身・顔グラフィック&br()N64ソフト最高価格には物足りないボリューム&br()''バッターがバラバラ・石化etc''|~| |>|>|CENTER:''超空間ナイター プロ野球キング シリーズ''&br()''超空間ナイター プロ野球キング''/[[超空間ナイター プロ野球キング2]]| **概要 -ニンテンドウ64初期に発売された、3Dフルポリゴン野球ゲーム。 -時系列的にはN64版『[[パワプロ>実況パワフルプロ野球4]]』や『[[ファミスタ>ファミスタシリーズ]]』より前の発売であり、N64初のプロ野球ゲームである。 **特徴 -当時実在していた12球団の球場も収録されているが、許可がまだ下りていなかったのか球場名は架空のものになっている。 --例えば、阪神甲子園球場は本作では「猛虎スタジアム」になっている。 -オリジナル球団として、OBの有名選手をもじった「ムーンライトウルブズ」というチームがある。 --「シノッカ」「フグモト」「ワン」など、隠す気があるのかないのか・・・。 **評価点 -ニンテンドウ64の性能を生かした3Dフルポリゴン。 --打撃画面から守備画面に至るまで、全てがポリゴンで表示される。 --今となっては何ら驚くことではないのだが、本作が発売された当時の野球ゲームは2Dが主流であり、打撃画面で辛うじて擬似3D表示ができても守備画面は2Dが限界であった。 --カメラワークも打球を追うようなリアルな動きになっており、3Dの長所が存分に生かされている。 -N64コントローラの3Dスティックによる優れた操作性。 --アナログ入力により打球カーソルの移動もより感覚的に行うことができ、瞬時にカーソルを逆側のコースへ動かすことも可能になった。 --投球時はスティックの傾け加減によってストレートなら球速、変化球なら変化量を無段階に調整することができる。 -選手ごとに顔グラフィックが描かれている。 --他に手袋の色や眼鏡など、顔以外でも選手ごとの特徴を良く掴んでいる。 --当時の野球ゲームは名前や成績など選手ごとの区別は一応あったものの、画質などの制約上顔グラフィックがどの選手も同じというゲームがほとんどであった。 ---選手が2頭身にデフォルメ化されて頭部が大きくなっているため、当時の画質でも顔グラの表現を充分に可能にしたといえる。 --中には''見ただけで笑える''変顔のようなデザインなど、&strike(){当該選手の方々には申し訳ないが}野球とは別の意味で楽しむことができる。 --ちなみに、同じく2頭身デザインが特徴的な『パワプロ』で選手固有の顔グラが初めて搭載されたのは同タイトルの2010であり、本作はそれより10年以上も前にこのシステムを採用していたということになる。 -おバカ要素も含めた様々な演出。 --ファースト送球時にはカメラの視点が変更され、ダイビングキャッチでフライを取ると瞬間的にリプレイが再生されるなど、演出が凝っている。 --さらに本作の大きな話題の一つとなったのが、特定のシーンでのおバカな演出である。 ---デッドボール時に''バッターの体がバラバラになる''、見逃し三振時には''バッターが石化する''など、思わず笑いがこみ上げるようなシーンを見ることができる。 ---念のため言っておくがグロテスクな印象は一切無く、その後も選手は何事も無かったかのようにプレイしている。 -バラエティ豊かな球場の数々。 --当時実在していた球場の他に、個性豊かな球場が収録されている。 ---ウルブスのホームグラウンドであり、7万人収容できる「マジカルパーク」。 ---''宇宙空間にある''ため、打球や送球がかなり伸びやすい「コスモアリーナ」。 ---左右非対称で、ライト側のフェンスがグリーンモンスター並に高い「OK球場」。 ---''地面が砂浜''でゴロが転がらず、走塁もかなり遅くなる「メジャービーチスタジアム」。 -4人同時対戦が可能。 --打順や守備を誰が操作するかを選手ごとに割り当てることができるので、4人で2チーム(あるいは片方のチームのみ)を動かすことができる。 --苦手なポジションはCOM任せにすることもでき、非常に自由度が高い。 **問題点 -内容がやや薄い。 --遊べるモードは「オープン戦」「ペナント戦」「育成」「エディット」の4つのみ。 ---「エディット」も各種設定をするだけで最低3分もかからずに選手ができるので、実際に野球操作ができるモードは3つになる。 --本作の定価は9,980円となっており、あわや1万円に届くかというもの。これは''N64のソフトでは最高値''であり、なおさらこのボリュームの少なさが気になる。 ---もっともN64の初期ソフトはいずれも定価が高く8,000円はするのがザラで、本作が不当に高かったとはいえないが。 -打球画面から守備画面への切り替えがやや遅い。 --特に内野手は瞬時に打球を判断しなければボールに追いつくことができない場合がザラで、守備の難易度が跳ね上がっている。一言で言うと、内野の守備範囲がかなり狭い。 --パワプロをはじめとした典型的な野球ゲームでは、実は守備画面に切り替わる際に少し時間が巻き戻されており、内野手でも充分に反応できる。本作ではただカメラが切り替わるだけのため、プレイヤーにある意味超反応が要求される。 -COMの守備が緩慢。 --内野手と外野手がまったく同じ動きをしてしまっており、二遊間が追いつかなかった打球をセンターが処理できないケースがよく見られる。 ---『ファミスタ』などFC時代ではあるにはあったが、2世代前のシステムを再現されても・・・。 -打撃時、ボールの着弾点が表示されない。 --投げ込まれるボールの軌道を見極めなければならず、初心者にとってはボールを捉えることすら難しい。 --上級者向けに一つの設定としてこの仕様があるなら構わないのだが、着弾点を表示できるような設定も無く、パワプロのシステムに慣れている人にとってもつらいものがある。 -いろいろな点でパワプロと似通っている。 --2頭身のキャラクター、操作方法、画面構成、実況付きなど、「パワプロを模倣したでしょ」と言われても無理もない内容になっている。 ---前述の通り一応差別化は図られているのだが・・・。特に2頭身グラフィックはパワプロの最大の特徴でもあり、よく比較されてしまう。 -セーブに必要なページ数が膨大。 --コントローラパック1個の可能保存ページ数が123ページなのに対し、本作のデータを保存するのに必要なページ数はなんと''117ページ''。パックのほとんど1個分を使い切ってしまう。 ---本作のROMにセーブする機能が搭載されていなかったのが一因。 **賛否両論点 -ただならぬイチロー贔屓。 --当時オリックス・ブルーウェーブに在籍していたイチローは、元々能力が高い上に潜在能力もかなり高く、少し育てただけですぐカンストする。 ---野手能力はさもありなん、投手能力も最初から変化球2種、最高球速も140km/h以上出る。MAXまで育てると最高球速はなんと157km/hまで伸び、他の投手がいたたまれない状態になっている。 --また、イチローだけ打席に立つと「イーチーロー!」と球場から大歓声が湧き起こる。 ---松井秀喜や他日本を代表していた選手でもこの演出は無く、完全にイチロー固有の演出になっている。 ---- **総評 「バラバラになるバッター」などバカゲー要素が話題になった本作だが、フルポリゴンや個性ある顔グラフィックなど当時他の野球ゲームには無かった要素も見逃せない。~ 4人同時対戦・アナログ入力の導入も野球ゲームでは史上初であり、本作の功績は意外にも大きい。~ ただプレイ画面の仕様にやや難がある、値段の高さの割りに内容が薄いなど看過できない問題点が複数あったことも確かである。~ しかし野球ゲームとしては充分に遊べる出来であり、N64市場で一定の人気を獲得することに成功した。この人気を受けてか、[[約2年後には続編が発売されている。>超空間ナイター プロ野球キング2]] ---- **裏技 -よく飛ぶバント --Cボタン左を押しながらバントをすると、バントとは思えないくらい良く飛ぶ。 --前述のコスモアリーナで高打力のバッターですれば[[バントホームラン>燃えろ!プロ野球]]も可能である。 -隠し選手 --エディットモードにて、特定の名前と背番号を入れると「盛大な拍手をお願いします」というアナウンスとともに何かしらカンスト能力や特殊変化球を持った選手が使えるようになる。 --ただし顔グラや外見は固定となる。 --ここで登場する最高球速を持つ投手はなんと''170Km/hオーバー''のストレートを投げることが出来る、日本球界にはまずここまでの球速を持つ選手はいないであろう。 -バッターが何故かキャッチャーのプロテクターをつけて登場する。 --特定のパーツを付けた選手を作り、特定の操作をすると何故かバッターがプロテクターを着ける。''意味らしい意味は全く無い。''