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依頼内容は「戦闘システム以外の具体的なゲームシステムの説明の追加」「ストーリーに関する評価部分の追加」です。
無限のフロンティア スーパーロボット大戦OGサーガ
【むげんのふろんてぃあ すーぱーろぼっとたいせんおーじーさーが】
ジャンル
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ロボットRPG
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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1024MbitDSカード
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発売元
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バンダイナムコゲームス
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開発元
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モノリスソフト
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発売日
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2008年5月29日
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定価
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6,090円
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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判定
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良作
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スーパーロボット大戦シリーズ
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概要
『スーパーロボット大戦』シリーズのオリジナルメカ・キャラのみを集め、独自の世界観を作り上げた『オリジナルジェネレーション (OG)』シリーズ。現在ではアニメやコミック等のメディアミックス展開等、『スパロボ』の一大シリーズとして成り立っている。
本作は『OG1』と『OG2』のリメイク作である『スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS』とその追加シナリオ『スーパーロボット大戦OG外伝』の発売後に突如として発表された作品であった。
「エンドレス・フロンティア」と呼ばれる多種多様な世界が混ざり合う異世界で、主人公の賞金稼ぎハーケン・ブロウニングが出会った仲間達と共に世界の異変を探ってゆくというシナリオ。過去のOGシリーズとの直接的な関連性は薄め。
ただし、キャラや世界観の設定では『OG』シリーズの設定(厳密には、『スーパーロボット大戦IMPACT』と『スーパーロボット大戦A』が主)としっかりリンクしている。
また、開発会社が同じ『ゼノサーガ』シリーズや『NAMCOxCAPCOM』の登場キャラがゲスト出演しており、システム的にもそれらのゲームに近い内容になっている。
それまでのシミュレーションとは違うRPGと銘打たれた内容や、明らかに同人層を狙ったと言わんばかりの過剰なお色気要素を含んだ女性キャラの存在。
そして、開発担当が悪名高い『ゼノサーガEP2』で当時評判が芳しくなかったモノリスソフトであることなどから、発売前は否定的な意見も多く寄せられていた。
しかし、いざ発売されてみると簡単ながらも奥深い戦闘システムや、あまりにも濃いキャラクター達による掛け合いが高く評価されることとなった。
特徴
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戦闘システム
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戦闘は『ドラクエ』のようなターン制バトルを基本としており、セットしてある5つの基本技で「COM」(行動ゲージ)の続く限りコンボを繋いで戦っていくというもの。
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COMは100%が最大で、キャラにターンが回ってくる度に50%回復する。各攻撃をしたりアイテムを使ったりするたびにCOMを消費する。基本的には強力な技やアイテムほど消費量が多い。
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攻撃を当てたり受けたりすると「Fゲージ」が溜まり、100%まで溜まるとカットイン演出付きのド派手な必殺技を繰り出せる。また少々慣れが必要だが、攻撃を特定のタイミングでキャンセルすることで通常よりFゲージを多く溜めるといったテクニックもある。
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敵味方全員の行動が終わると1ターン経過とみなされる。ターンごとの行動順は下画面でいつでも確認可能。味方の行動順が連続していると、次の味方に交代しつつ攻撃を継続する「連続攻撃」が可能。
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戦闘に参加させていない控えメンバーはサポートとして「援護攻撃」が可能。カットインと共に割り込む形で攻撃してくれる。「前衛キャラの攻撃の合間に、後衛キャラの援護攻撃や連続攻撃を繋いでヒット数を繋ぎダメージを稼ぐ」といった怒涛のコンボが攻略の鍵となってくる。
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装備やステータス、隊列などのメニュー画面に模擬戦のモードもあり、いつでもコンボ練習ができる。覚えた精神コマンド(魔法のようなもの)をSP(MPのようなもの)消費なしでその場で実践して効果を確かめたり演出を鑑賞することも可能。ボス戦直前で体力を温存したい時などにわざわざザコ戦をせず新技をとりあえず手軽に確かめられるのはありがたい。
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個々に技の性能は違い、威力の高い技、敵を打ち上げる技、ヒット数の多い技等多彩に渡り、これらを組み合わせてコンボを繋いでいく。
評価点
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単純かつ奥深い戦闘システム。
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操作自体もタイミングよくボタンを押すだけでいいため複雑な要素が絡む事もなく、初心者でも技の性能やタイミング等を計れば簡単にコンボを決められるようになるために遊びやすい。
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かといってヌルゲーというわけではなく、コンボを繋ぐ事に失敗し敵を落としてしまうと、攻撃をガードされたり後半の敵やボスに至ってはこちらの攻撃を完全回避してしまったりするため、コンボを繋ぐ事は極めて重要になってくる。
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DSとは思えないほどの高い演出。
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スパロボの十八番とも言えるぐりぐり動くカットイン演出(特に女性キャラ)の力の入りっぷりは見るものを圧倒した。
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声優陣も力が入っており、主人公ハーケン役にスパロボでは『勇者王ガオガイガー』でお馴染みの檜山修之氏、ヒロイン神夜役にゆかな氏を起用しており、その他のキャラ達も売れっ子声優が名を連ねている。戦闘中のキャラボイスも非常に多い。
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戦闘前・戦闘後のかけあいパターンも豊富であり、固定化せずこまめにパーティを入れ替えたくなるような作りになっている。ボスによる味方キャラへの単体攻撃時にターゲットへ向けた専用の台詞が入ることもあり、その種類も豊富である。
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ゲスト参戦キャラの存在。
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『ゼノサーガ』のKOS-MOS、『NAMCO x CAPCOM』の主人公である有栖零児と小牟のまさかの参戦に驚き、歓喜したファンは多い。
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その上単なるゲスト参戦ではなく、プレイヤーキャラとしてメインを張り、零児は主人公ハーケンの理解者として活躍し、小牟は出典同様にとにかく色々とはっちゃけまくっておりブレない存在感を見せ付けた。
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それぞれの作品に関連した各種装備やアイテム、敵キャラも存在する。各作品を知らずとも今作でおおまかに立ち位置や背景が説明されるため問題はないが、知っていればニヤリとできる要素は随所にある。
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主人公ハーケン・ブロウニングの設定。
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詳しいことは重大なネタバレになるので書くのは控えるが、彼の素性や出生の秘密は『OG』シリーズのとあるキャラたちと密接な関係を持っており、彼個人を『OG』シリーズに出して欲しいという要望も少なからずある。また、彼の素性に関しては『OGS』の時点で伏線があった。
賛否両論点
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露骨なお色気演出。
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元々、シリーズでは『第2次スーパーロボット大戦α』辺りからオリジナルの巨乳な女性キャラのカットインで乳房が揺れるという演出、いわゆる「乳揺れ」が顕在化しだし、面白がるプレイヤーもいる一方でいわゆる萌えアニメのような現実味の薄いお色気演出をくどいと思うプレイヤーも存在していた。
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実際はブラジャーを着けていれば有り得ないであろう激しい揺れ方であり、色気どころか行き過ぎで気持ち悪いと嫌悪感を抱くプレイヤーも少なくない。
そもそもブラを着用しているような女性キャラクターは本作に居ないであろうが。
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そして今作においては、爆乳かつボディコン風の衣装に身を包んだメインヒロインの楠舞神夜を筆頭に、そういったお色気を前面に打ち出した女性キャラが敵味方問わず多数存在する。
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全体的なノリの軽さ。キャラの癖の強さ。
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主人公らは世界の異変を解決するべく旅をしているのだが、登場キャラ全員がどこかノリが軽く、切迫した様子が感じられない。敵と対峙した際でも、如何せん敵自体もどこか癖があり抜けたキャラが多い為、切迫した場面のはずが漫才をやっているようにも見えてしまう。
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登場キャラは癖の強いキャラばかりである為、プレイヤーによってキャラクターへの好き嫌いがはっきり出やすい。さすがに誰も好きになれないということはないだろうが、主人公のハーケンの性格に馴染めないプレイヤーにとっては、やや辛いところがあるかもしれない。
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また今作においては通常のRPG等にいる村人のような名無しのNPCがいない。いるのは大抵敵対するNPCばかりである為、基本味方以外のNPCと出会ったらとりあえずバトルという展開が多め。
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また、戦って和解が成立した相手でも、信条や立場が変われば再び敵対する事も一度や二度ではない。基本は殆どが打算的な関係の繋がりであるためそうなる事も当然ではあるのだが、なかなかシビアである。
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「エンドレス・フロンティアでは出会ったらとりあえずボコるのが流儀だ」と冗談めかして言われる事も。
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豊富なネタ要素。
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今作は普通のスパロボに比べると声優ネタやパロディネタが半端なく多い。ハーケンの声優にちなんだガオガイガーネタや零児のマシンロボネタはもちろん、その他にもゲイ漫画『くそみそテクニック』ネタやKOS-MOSの邪神ネタ、有名な他社ゲームをぼかしたネタ等、ネットを通して広がったマニアックなパロディネタまで存在する。
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とはいえ何の脈絡もなくネタをぶっこまれるようなことはなく、過剰にちりばめられているわけでもない。要所要所に小ボケとしてかましてくるため気付く人は笑える程度ではあるが人を選ぶのは事実。
上記のようにいわゆる同人的なノリを十二分に含んだ要素が多く、そうしたテイストの作風が苦手な人からの賛否の声も大きい。
とはいえ、そうした要素がここまで潔く前面に押し出されている以上、このゲーム自体が元から「そうしたネタについていける特定層のみに向けて作られたゲーム」と考えるべきかもしれない。
ゲームのデザインや宣伝からもそういうノリのゲームであることは十分に押し出されているため、これらの要素が苦手な人にとっても避けるための判断材料にはなるだろう。
続編でもこの方向性が変わることはなかった為、同シリーズのれっきとした作風であると共に魅力であると取ることはできる。
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良くも悪くもシナリオと戦闘に特化したRPG
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戦闘アニメやボイス演出等に高レベルの造り込みをしている反面、RPGとしては寄り道・やり込み要素等はほとんど無く「ダンジョン探索→シナリオ進行」の繰り返しに終始。
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ザコ戦は(オブジェクトを破壊した際の強制戦闘でない限りは)100%逃走可能。そのためシナリオをとにかく追いたいプレイヤーやレベル縛りプレイヤーにとってはボス戦→ダンジョン→ボス戦…という単調さが際立ちがち。
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テンポよく戦闘やシナリオを楽しめるゲームではあるが、自由度の高いゲームが好きな人には向かない。
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全体的な難易度はぬるめ
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雑魚戦をそれなりにしつつボス戦で努力を使う程度のレベル上げでも十分クリア出来、ボス戦についてもアイテムを豊富に使える為、敵の攻撃が苛烈になる終盤でも味方の立て直しに困る事は少ない。
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その分、シナリオを楽しみやすくはあるが、あまり歯ごたえはないゲームである。
問題点
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敵の強制回避がウザい
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敵の重さやシールドの硬さが特徴の一つになって単調さの解消に繋がってはいるのだが、それ以上に重くて落としやすい敵、強制回避率の高い敵(特に後半のボス)を相手にしていると少しのミスで強制的に攻撃ターンを止められてしまいかなりストレスが溜まりやすい。
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敵味方ともに、いわゆる「決め技」の演出を飛ばせない点はテンポが悪い。
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評価点にある通り、演出の出来自体は非常にいいのだが、味方の決め技1発につき20秒くらいかかる。必殺技でフィニッシュすると獲得出来る経験値と資金が増える上に、本作では(続編と違い)必殺技ゲージに他の使い道がない為、使える状況で使わない理由は演出時間のカット以外にない。その為、余計に長さが気になってしまう。
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一部のグラフィックの質がSFC初期レベル
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マップ画面やフィールド画面のグラフィック、キャラクターのドット絵の質があまりにも前時代的。全体的にドット絵が粗く書き込みもあまり緻密ではないため、SFC初期のゲームのグラに見えてしまう。
しかも、よりによってゲームの始まりがとあるダンジョンの内部であるため、これらの欠点が嫌でも目に付いてしまう。
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せめて導入部分が本作の目玉である戦闘シーンから始まれば、だいぶ印象も変わっただろうが。
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一部のバグの存在
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零児が強制出撃の終盤のボス戦で、零児の必殺技を使うとBGMが止まってしまう。恐らくはその必殺BGMを戦闘BGMとして使っている為。
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解消するには他のキャラで必殺技を使用して一度別のBGMを流すしかない。演出が命のこのゲームにおいて戦闘を盛り下げるという意味ではかなり痛いバグ。
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EDにおいてゲスト参戦者をほぼ放置
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最終決戦決着の際に別れの挨拶をする間もなく元の世界に返される事になる為、決着後の会話も出来ず、決着の際の反応から無事帰ったと思われるという言及のみで終わってしまう。
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状況的に別れの描写できないのは仕方ないとしても、帰還後の様子をプレイヤーに少し見せるくらいの描写は欲しかったところ。
総評
作風こそどうしても人を選ぶものの、シナリオ・システム・演出等「ゲームそのものの評価」は高い。
シリーズ1作目ゆえ、やや荒削りな部分はあるが十分良作と呼べる出来である。お色気演出やパロネタに抵抗のない人は一度手に取ってみてはいかがだろうか。
その後の展開
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本作の主人公・ハーケンとヒロイン・楠舞神夜、そしてゲシュペンスト・ファントムが、同じくモノリスソフト開発でシナリオライターを同一とするクロスオーバー作品、『PROJECT X ZONE』に出演している。
最終更新:2025年08月26日 15:12