*BELTLOGGER 9 【べるとろがーないん】 |ジャンル|3Dアクションシューティング|&amazon(B00005UOIE,image);| |対応機種|プレイステーション|~| |発売・開発元|元気|~| |発売日|1996年11月15日|~| |定価|6,300円(税別)|~| |廉価版|PS one Books:2002年2月7日/1,800円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要・ストーリー 元気から発売された『キリーク・ザ・ブラッド』シリーズの流れを汲んだ、ステージクリア型のメカFPSであり、ホラーテイストのSFを舞台とした3D探索アクション。~ 地球から遠く離れた資源採掘コロニー「ベルトロガー9」が突然救難信号を発信し沈黙。救援に駆けつけた統合宇宙軍は直ちに部隊のエースらを派遣し調査を開始するも、彼らを迎えたのは採掘コロニーとは裏腹な数々の兵器からの容赦ない攻撃だった。これにより部隊はなんとかコロニー内部に辿り着くも、αチームは半数が撃墜、βチームに至ってはパトリック・サルー軍曹を残し全滅という様相を呈した。~ プレイヤーはこの主人公サルー軍曹と、その乗機であるブロンクスを操作し、事件の解決と真相を知るべく謎の人物「ランツクネヒト」を追う事になる。 **特徴・評価点 -基本はステージ内に配されたフロア専用のキー(key)モジュールを探索し、次のフロアへのゲートにセットする事で1ステージクリアとなる。機体のデュラビリティ(耐久値)が0になったり、一撃死の罠を受けたり、各ステージの時間制限を過ぎるとゲームオーバー。 --乗機であるブロンクスはいわゆる人型作業機械だが、高性能コンピュータ「ソーマ」の搭載を始め、様々な対応モードを持つ。これによりコロニー内部の設備が使用可能で、かつ軍隊らしく戦闘用の武装やエネルギーによる防御システムなども搭載している。プレイヤーはこのブロンクスを最大限活用し、フロアに残されたデータを収集し、迫り来る戦闘メカを排除しながら攻略する。 -武器 --ブロンクスは5種類の武器を初期装備しており、それぞれライフル・レーザ(レーザー)・ミサイル・ランチャ・ドーゲン(いわゆるボム)となっている。この内、ドーゲン以外はカテゴリであり、ステージ内でいずれかのカテゴリーに属する新たな武器を入手する事ができる。多くは事件によって発生した戦闘に用いられるはずだったもので、その幾つかは救援に来た宇宙軍へ託すメッセージと共に隠されている。 ---ライフルは直線的な弾道を描く汎用武器で、弾は「カートリッジ」アイテムを入手する事で随時補給できる。 ---レーザは機体のエネルギーを使用する。威力や自動照準範囲はライフルに劣るが、機体のエネルギーは時間で回復するため、乱発さえしなければ弾数は無制限((制限時間があるので厳密には制限となる))。なぜかロックオン機能のあるレーザー兵器もある。 ---ミサイルは照準を合わせた対象をロックオンし、発射後自動追尾する。威力が高く、命中時と爆風の2回攻撃判定がある((近くにいれば自分もダメージを受ける。))が、弾数が少なめ。 ---ランチャはミサイルと同じく対象をロックオンする。機体上方向に射出し対象に落着、爆発でダメージを与える迫撃砲のような存在。命中性能は期待出来ない上、着弾に時間がかかる。 ---ドーゲンボムはゲームを通して数個しか入手できない貴重な存在。爆風が巨大で、使い所を間違えるとプレイヤーも巻き込まれて一瞬でゲームオーバーになるほどの強力な武器である。脆い壁を壊すことも出来る。 -各種アイテム --重要アイテム以外では、あちこちにある消費型のアイテムが数多い。デュラビリティやエネルギーを回復させるモジュールや、上気の武器を1段階ずつ強化する''WPA''、ブロンクスのダメージ耐性を一つ選んで強化する''SAPU''、一定時間無敵になる''シールドビット''、フロアを照らす''照明弾''、脆い壁を破壊できる''ドーゲンボム''などがある。 --アイテムは全てステージ持ち越しで、かつ、ゴリ押しプレイではアイテムが枯渇して行き詰まるゲームバランスのため、ゲームクリアの道のりにおいて温存すべき箇所などの戦略も必要になってくる。 --WPAとSAPUで補強する箇所はプレイヤーが選択できるため、愛用する武器や苦手な攻撃への耐性を見極めて割り振る必要がある。 -オプションユニット --6枠のスロットに、レーダーやスヌーパースコープ(赤外線スコープ)などを適宜装備するシステム。ゲームを進める内に、エネルギーの効率を上げたり、移動速度を上げるオプションなどを入手できる。 --なお、赤外線トラップは複数個所あるが、赤外線発信地点を記憶しているなら未使用でもきちんと突破できるようになっている。 -その他システム --キーコンフィグなどは詳細に設定可能。デフォルトの操作感は概ねアーマード・コアシリーズ旧作などの3Dアクションシューティングと同じで、R1L1での平行移動やR2L2での視点上下となっている。 --ストーリーの会話ログがゲーム中で参照可能であり、会話中に出てくるパスワードなどを聞き漏らしたり忘れたりしても安心。パスワード自体も基本的に4文字と覚えやすく(セキュリティ的にはどうかと思うが)、また周回プレイ時にも変わらないためストレスがない。 -ステージ・フロア --ステージは当時としてはグラフィックの質が高く、前方の視界距離はやや短めながら高フレームレートで滑らかに描写。処理落ちはほぼない。 --数は全22ステージとボリュームもあり、かつ個性的な設備やギミックがあり飽きさせない。作業ベイや公園、生活、居住区などフロア毎に大きく異なる特徴もある。 --多くは通路や建造物内の探索、スイッチの制御、作業リフト間の乗り移り、障害物避けなど三次元的なアクションなどをメインで行う。 -シナリオ --ステージを攻略していく事で明らかになる事件の全貌や、ランツクネヒトと名乗る人物との因縁など、SFを題材にしたゲームとしては奥深く完成度が高い。 --沈黙したコロニーの中、人のいない不気味な空間での様々な演出も非常に良く出来ている。 --ストーリーを強調する要素として、作業員や住人たちが残した、ベルトロガー9が沈黙する前の状況を伝えるレコードカードが存在する。この中には当時作業員たちが封鎖したゲートを開放するためのパスワードや、次のフロアで進むためのヒント、果ては事件前後の住人の様子を示す痕跡やエグいものまで様々なものが収められている。 ---世界設定の表現に一役買っていると共に事件究明のヒントにもなっており、無駄なものはほぼ無い。 -BGM --曲としてはあくまで雰囲気に特化しており、基本的に重く、暗く、不気味さの演出に終始しているが、それだけに演出としての側面では完成度は高い。数箇所あるボス戦でのBGMもリズムこそ早くなるものの空気は損なわれていない。 --本作で唯一ゲームミュージックらしい曲はラスボス戦のみで、メインテーマを織り交ぜた唯一の「熱い」曲調は演出も相まって人気高い。 -周回プレイ --クリアデータを引き継いで最初のステージから再度遊ぶことができる。 ---この内、オプションやデュラビリティ・エネルギー上限は引き継がれないが、武器のWPAによる強化はそのまま引き継がれるため、簡単に様々な武器を最大まで強化できる。SAPUによる耐性強化は減少するため最強には出来ないが((というより、それができると全くダメージを受けなくなる。))、50%は残るため、例えば「○○耐性を100にして完全無効」といった事がやりやすくなる。 ---なお、アイテムも引き継がれるが、ドーゲンボムなどの一部の貴重なアイテムもそのままなので、前周で使い切ってしまうと入手が困難になる。 --余談だが、本作の特殊な裏技を使用するには、特定の時間内で全クリアしたデータが必要になる。これには周回プレイは使えない。 **難点・賛否両論点 -操作の複雑さ --現在でこそ多くのプレイヤーが問題なく操作するL2R2ボタンによる視点上下だが、1996年当時としては先進的で操作が難しい。翌年発売された初代『[[アーマード・コア]]』でも同様に慣れるまで修練を必要としたように、本作でも慣れるには時間を要する。 --ただ、本作では戦闘中に視点上下を頻繁に必要とする機会は少なく、基本的には足場の乗り継ぎなどで使うためそこまで苦になる程ではない。 -武器のバランス --難点という程ではないが、メインで使用するライフルの弾数が少々余り気味。一部の連射ライフルで無駄遣いしない限り普通にプレイしていても途中でカンストする。このためヒュドラ((終盤で手に入るロックオン式のレーザーで、同時4発発射、絶大な単発攻撃力、莫大な消費という武器。エネルギー回復アイテムを乱打すればラスボスをもたやすく葬り去る。))以外のレーザを使う機会があまりない。 ---実はライフル耐性を持つ敵に対して極めて有効なのだが、敵の耐性を知るために必要なオプション((敵の残耐久値を表示する。))の入手が中盤以降なため、「面倒だからミサイルでゴリ押しすればいい」といった事になりやすい。 --最も残念なのがランチャ。 ---上方向に発射という性質上、天井の低い通路の探索が多い本作では使う機会に恵まれないばかりか、着弾までかかる時間が長い上、移動しない固定目標にも外す事があったりする。大抵はカテゴリ自体が忘れ去られる。 -少々取っ付き辛いストーリー --SFに縁があれば完成度の高いストーリーではあるのだが、根幹設定の一つであるピックマン症候群の「宇宙の穴から放出される思念波が人間の負の思念に作用し、外因性精神分裂症にかかり発狂したりする」といった説明はSFというよりもオカルトに感じられてしまう事も。 --「脳の一部に物質的に作用する宇宙線」というように説明していれば浅い人にも分かり易かったかも知れない。 -エンディングテーマ --デュエット曲。ゲームの雰囲気に合っていないという声が大きい。 **余談 -PS2・初期型PS3でプレイすると、各ステージ最初のブリーフィングデモが途中で途切れるため、ステージの目的が分からず困る場合がある。 --レコードカードにも収録されておらず、どうしようもない。 // 本wikiではPS版の発売時点の評価を基準とするため、問題点とはしない。 **総評 今なお名を馳せている3Dアクションシューティングに先駆けて登場した本作は、時代を考えればその完成度は破格と言えるものを持つ。~ SFを舞台にした一つの陰惨な事件をミステリーに昇華したストーリーにも定評があり、知る人ぞ知るプレイステーション前中期の良作アクションの一つである。 ---- **後の展開 2008年8月13日ゲームアーカイブス配信。~ ただしボタン数の関係で視点上下操作に難がある模様。