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「バトルゴリラ」
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バトルゴリラ
【ばとるごりら】
ジャンル
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STG+SLG
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対応機種
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PC-8801(mkIISR以降)
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発売・開発元
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クリスタルソフト
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発売日
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1988年4月
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定価
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7,800円
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判定
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良作
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概要
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コンバットシミュレーターと称した2DSTG。歩兵の戦闘を可能な限りリアルにゲーム化した。登場する兵器も実在するものである。
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たった一人で、戦車や戦闘ヘリなどを有する小隊規模程度の戦闘団と戦い抜く。ただ設定上のストーリーとしては、シミュレーターを使った戦闘訓練となっている。
特徴
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兵士としての戦闘をシミュレート。
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一人の兵士として戦闘をシミュレートする。と言えば現在ではFPSかTPSとなるだろう。しかし、ポリゴンが登場したばかりの時代。そんな事はまず無理。そこで、なんとかこのテーマを2Dでゲーム化しようとしたのが本作である。
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ゲームとしてはミッションタイプ。クリア時の評価を競う対象は、クリアタイム・ダメージ・武装の量。ギリギリの装備で効率よく敵を倒し、被害も最小限に抑え、好評価を狙う。
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あくまで戦闘訓練という設定なので、よほどダメージを受けない限りはミッション失敗にはならない。
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画面は基本的には擬似ハーフトップビューの2Dアクションの構成。
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ミッションは表裏合わせ、全部で16。ただし、裏ミッションは隠し要素で、隠しコマンドを使用しないとプレイできない。難易度も当然高い。
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独特なリアルタイムシステム。
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リアルタイム制を採用してるのだが、その時間の進め方が独特。プレイヤーが移動・射撃などの動作をしないと、時間が進まない(移動しない待機という動作もある)。一般のリアルタイムゲームは、プレイヤーがコントロールから手を離した状態でも勝手に状況が変わっていくが、本作では全部止まってしまうのである。その間、攻略方を考えたり、周囲の状況を確認したりする事ができる。
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武装は実在してる兵器。
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各ミッションにはポイントが割り振られており、選択時にそのポイントを得る。これを使って武器を揃える。個々の武器には必要ポイントが設定されていて、選択する度にポイントが消費されていく。同一武器の弾数を増やしたい時は、何回も対象を選択すればいい。
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装備できる武器は10種類まで。ゲームの目的の一つが、なるべく少ない装備でクリアする事なので、もちろん少ないほうがいい。もっとも、少なすぎて弾切れを起こしては意味がないが。
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敵も一部を除いて実在の兵器で武装。
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プレイヤーが装備できる武装の一部を装備している。
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敵は歩兵だけではなく、装甲車、戦車、戦闘ヘリまでいる。ただし、装甲車などの小型・中型車両は架空の兵器。一方戦車、戦闘ヘリは各ミッションにおけるボスキャラ的存在。もっとも攻略の方法は自由なので、最初に倒してもかまわない。
評価点
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たった一人で、多数の敵を打ち倒していく爽快感。
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大量の歩兵に、装甲車、果ては戦車や攻撃ヘリまである敵を、武器を使いこなし一人で倒していく。この孤軍奮闘ぶりが最大の面白さ。
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トップビューでありながら、高さをうまく表現している。
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シミュレーターである以上、3次元的な高さはあって当然。それを2Dアクションゲームで表現するために、システム的にハーフトップビューとなっている。もちろんポリゴンが使えないので、一見するとトップビューのゲームだが、プレイヤーに高さが分かるように描写の工夫がある。
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多彩なステージ。
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ステージ上には様々な地形があり、それぞれ移動速度に影響する。舞台も様々。農村や山岳地帯、砂漠に要塞など、それぞれ状況に応じた戦闘が楽しめる。
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実感できる様々な武器の数々。
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用意されてる武器の系統としてはナイフ、拳銃、小銃、短機関銃、軽機関銃、汎用機関銃、手榴弾、無反動砲、迫撃砲、ロケットランチャー、対戦車ミサイル、対空ミサイルと、歩兵が装備できる武装は一通り揃っている。
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用意されているものは1980年代後半の武器。今から見ると世代遅れ。例えば対空ミサイルはレッドアイとなっているなど。
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各武器には現代兵器を再現するための各種パラメーターが設定されている。射程や命中率、発射速度など武器の基本スペックはもちろんある。しかも本作では、それが体感的に分かるようになっており、数値がプレイ感に直結してる。そんな使い勝手に影響するパラメーターの中で、結構重要なのが重量。プレイ中は選択した武装の重量によって移動速度が変わる。ナイフを選択してる時はもっとも軽快に動け、ミサイルを選択してる時はその何倍も鈍重になる。攻撃だけではなく、移動のためにも状況に適した武装を用意、選択する必要がある。
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敵も実在の兵器。
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実在しているものだけに、その強大さの実感はさらに大きい。兵器マニアならなおさら。倒し甲斐も当然ある。
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バカゲーとしての遊び方も、なかなか楽しい。
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効率のいい戦闘をするのが目的のゲームだが、また違った楽しみ方もある。本来の目的の真逆、重装備でダメージを無視して、敵を倒すのである。相当ダメージを受けないとミッション失敗にならない。武器を揃えるためのポイントも大目のため、全て使いきってしまえばかなりの重装備ができる。これを最大限利用すれば、存分に爽快感を得られるプレイが可能。
難点
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実在の兵器を用意しているが、やはり再現できてない部分がある。
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各兵器の細かな特徴が再現できないのは当時のマシンスペックから仕方が無いが、ハッキリした点まで再現できてない部分がある。例えば戦車の砲塔が回らない。このため戦車の横や後ろにいても砲撃を受けない。ミサイルに誘導能力がなく、ただのロケットランチャーと変わらないなど。
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現代戦車は榴弾(対戦車榴弾除く)をほどんどもしくは全く装備してないが、本作では榴弾を撃ってくる。また戦闘ヘリのミサイルも榴弾のような爆発を起こす。
総評
兵士のリアルな戦闘を、ポリゴンが未発達な時代になんとか2Dで具現化しようとした様々な工夫が見られる。シミュレーターによる戦闘訓練という設定も、結局再現度が不十分と考えた苦肉の設定なのではないかと思わせる。それでも本作の完成度は高い。各種武器の特徴が数値にとどまらず、ゲームプレイ中にしっかりと感じられるのは秀逸。地形も多彩で様々な状況が発生する。このリアルタイムで変わって行く状況の中、各種の武器を使いこなしていくのが本作の醍醐味だ。
そしてゲームの性質上、よほどの事がない限り手詰まりにはならなず、各プレイヤーが自分に合った目標目指す点も、このゲームをプレイしやすいものにさせている。まさに争うべき相手は、自分自身という訳だ。
また、よほどダメージを受けない限りはゲームオーバーにならないので、逆に評価を無視した遊び方も魅力の一つ。弾切れもダメージも気にせず派手な武器で敵をなぎ倒していくのは、バカゲーにも似た楽しさがあった。
歩兵の戦闘をただのSTGではなく、SLGを目指した独特な意欲作である。
最終更新:1970年01月01日 09:00