「判定不一致修正依頼」にて判定と記事内容の不一致が指摘されています。対応できる方はご協力をお願いします。
このページでは『スペースチャンネル5』と、その続編の『スペースチャンネル5 パート2』を併せて紹介する。判定はともに「なし」。
スペースチャンネル5
【すぺーすちゃんねるふぁいぶ】
ジャンル
|
ミュージカルアクション
|
|
|
対応機種
|
ドリームキャスト プレイステーション2
|
メディア
|
【DC】GD-ROM 【PS2】DVD-ROM 各1枚
|
発売・開発元【DC】
|
セガ・エンタープライゼス
|
発売元【PS2】
|
セガ
|
開発元【PS2】
|
ユナイテッド・ゲーム・アーティスツ
|
発売日
|
【DC】1999年12月16日 【PS2】2002年12月12日
|
定価
|
【DC】5,800円 【PS2】3,000円(共に税別)
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
踊りで銀河を救うリポーター あのマイコーもゲスト参加
|
概要
ドリームキャストで発売されたリズムゲーム。
『スペースチャンネル5』というタイトルだが別に5作目だという訳ではなく、作中に登場する同名の放送局名に由来する。
新人リポーター「うらら」がダンスと音楽で世界を救うという、どこか70年代のディスコ映画を髣髴とさせるバカゲー感漂う一作。
しかしゲーム自体は作りこまれており、一昔前のSF的世界観にうららを取り囲む個性的なキャラクター、何より聴き応えのあるハイセンスな楽曲の数々は好評を博した。
また、世界的に有名なシンガーソングライター/ダンサーのマイケル・ジャクソンがゲスト出演した事でも話題となった。
ストーリー
AD2489年。スペースシップ遭難事故で最期の遭難者となった少女は宇宙放送局「スペースチャンネル5」のリポーターに救出される。
10年後、スペースポートに突如「モロ星人」と呼ばれる宇宙人が襲来、収容されていた人間が
"踊らされる"
という事件が発生する。
この怪事件の現場をリポートするため、「スペースチャンネル5」の新人リポーターうららはスペースポートへ向かう。
やがてこの事件がスペースチャンネル5を危機的状況へ陥れる事となる…
特徴
-
踊り自体はアップ、ダウン、ライト、レフト(↑↓←→)を基本にAB(や○×)ボタンを駆使して、先に行われる相手の動きを模倣するというもの。
-
大昔にあった電子ゲーム「サイモン」を音ゲー風にリバイバルしたものである。サイモンとの大きな違いはボタンが増えた、リズムも真似なければならないことなどがある。
-
時には銃で相手を倒したり、踊らされた一般人を救出ビームで助けたりとシューティングの要素も取り入れられている。
-
しかしながらお手本に併せて正解を入力すれば救出ビームが命中しするため、演出上の要素である。
-
ゲームは「テレビ中継リポート」の形を取っており、ゲームシステムや演出に結びついている。
-
踊りを完璧に決めると段々とシチョーリツ(視聴率)が上がっていくが、ミスすると視聴率が下がっていき、遂には番組打ち切りとなってしまう。
-
ダンスパートではライフも存在するが、ミスに対する保険のようなもの。
-
最高で視聴率は100%。作中では度々ディレクターからそれらに個々の反応がなされ、テレビ中継という設定を存分に活用している。
-
2周目の「エキストラモード」では視聴率によりステージ分岐が発生する。
評価点
-
ストーリーはミュージカル仕立てでテンポ良く進むため、見ているだけでも飽きない。ラスボス戦はかなり感動的な展開。
-
設定のシュールさ故に終始バカゲー的だが、レトロフューチャーも意識しており格好良さもある。
-
タイトルにもあるように、なんでもかんでも宇宙の出来事、人物や物までも「スペース」が付いている…。
-
主人公のうららは見た目や喋り方などが独特であり、所謂テンプレ的な可愛い少女とは言い難いキャラ造形になっているが、踊りにかける熱意を十分に感じ取れる描写が多く非常に好感が持てる。「キャラクターの魅力はデザインや声優が全てではない」の好例といえる。
-
本作の後も、セガを代表するキャラクターの一人としてセガのオールスター作品やクロスオーバー作品で活躍している。
-
ディレクターであるヒューズを始め、ライバルのプリンやジャガーといったノリの良いキャラ達はユーモアに溢れており世界観を盛り上げている。
-
敵キャラのモロ星人も「人間を踊らせる」という目的のみで行動しているためか会話のノリが軽く、敵ながら愛着が持てる。
-
一般人キャラを救出すると、うららの後ろについて一緒に踊ってくれる。
-
また救出した人数によって踊りや音楽が変わるため、それらの分岐を見るやりこみも楽しい。
-
先述の通りあのマイケル・ジャクソンも「スペースマイケル」として登場している(声も本人当て)。
-
大のセガファンであるマイケルと会った際に「マイケルを主役にした作品を作るとセガは約束したのに未だに話が出てこない」とマイケル本人が激怒、その際にこのゲームを紹介したところ「歌と踊りで銀河を救う」というダンサーのマイケルとしては大いに興味が沸く代物であったため即出演が決まった。しかしこの時にはマスターアップ直前だったためにチョイ役で終わったが、続編のパート2では存分に活躍している。
-
ただし、水口哲也氏は雑誌で「メガドライブの「ムーンウォーカー」の縁で新ハードであるドリームキャストを紹介する機会があり、(ミュージシャンなので)開発中の音楽ゲームを見せた。その後カセットテープと「ゲームに出演させて欲しい」という手紙が完成直前に来た」と語っている。
-
一方、AC版の『ムーンウォーカー』を担当した鶴見六百氏は、雑誌ドリマガの連載記事にて「マイケルを主役にした作品を作るとセガは約束したのに未だに話が出てこない」とマイケル本人が怒り、その結果「ムーンウォーカー」を開発することになった、と書いている。なので内海氏の話はゲームを混同している可能性が高い。
-
二周目になると登場キャラ等が一周目とは若干変化し分岐が発生するという作りこみ。全体的なボリュームの少なさもカバーしている。
問題点
-
入力判定がシビア
-
相手の動きを模倣するという都合上、音ゲーでは一般的な目安となる表示が特に存在せず、後述する仕様により相手のテンポとピッタリになるよう入力してもミス扱いになる事が多い。このため既存の音ゲーとは少々違う感覚であり、一見して自分のミスした原因を理解しにくい。コツを掴めない人にとってはとにかく思うように進めない仕様になっている。
-
攻略では『画面より音楽に合わせてノリで入力する』と、処理落ちしていてもタイミングが合致しやすい。
-
後述の通り初心者向けの練習モードもなく、ステージに失敗すると最初からやり直しになってしまう。
-
シビアな割に「処理落ち」や「音ズレ」が発生する箇所がある
-
リズムやテンポと入力タイミングが重要なのだが、処理落ちが発生する箇所がある。
-
PS,SSのRPGで良く用いられた「プリレンダリングムービー」を動く背景として再生し、その上に3Dのキャラクターを描写している。
-
これにより背景が常に動きつつも、うららやモロ成人などをスムーズにダンスするという表現を実現している。
-
しかし救出者が多数になった場合や素早いオブジェクトが飛び交うシーンなどで処理落ちが顕著に発生する。
-
音ゲーでは「致命的」(アーケードゲームではゲームとして成立しないほど)とも言われるこの仕様だが、そもそも曲とストーリー、ノリを楽しむものでスコアを競ったりするゲームではないため、大きな問題点としては上げられていない。
総評
演出・キャラ・ノリは全てに於いて高水準。DCのスペックをフル活用し、独自の世界観を作り上げ未だに根強いファンを持つ。
スペックを最大限に活用した影響か処置落ちや判定ズレなども発生するが、ノリとストーリーへの没入感を深めると気にならなくなり、また終始明るい雰囲気や終盤の胸打たれるアツい展開に感動さえも感じるほどで、ただのバカゲーの枠にとらわれない魅力ある物となっている。
余談
-
当時DC版が大手のゲームショーに展示された際、本作を夢中になって遊んでいたSONYの社員に対して、SEGAの社員が「面白いですか?」などと皮肉を込めて語りかけた所、「これ、うち(PS2)で出しませんか!?」とSONYの社員に熱く語りかけたというのは、あまりにも有名な話である。
-
有名な話ではあるが、未だに主人公のうららの声優は明かされていない。
-
ゲーム発売前には一般人からうらら役の声優オーディションをTV番組で行ったが、合格したうらら役は後にプリン役へと変更された。
-
エンドロールでも「herself(彼女自身という意味)」と表記されている。
-
後に『PROJECT X ZONE』や『Hi☆sCoool!セハガール』などで新録が行われた際も彼女の声は「herself」となっている。
-
そして20年後に発売された『VR』でも例外無く「herself」である。どんなに時が流れようとうららの声優は彼女自身なのだ。そう思おう。
-
メニュー画面に「チュートリアル」という項目があるが、選択すると「説明書を見るか友達に聞け!」という一枚絵が表示されるだけで、実質チュートリアルは存在しない。
-
とはいえ劇中「~~するには○ボタン!」などメタ台詞やテロップで説明されるので戸惑うことはないだろう…多分。
-
『パート2』発売後、要望が多かったためか本作がPS2に移植された。
-
当時のセガの通信販売サイト「セガダイレクト」専売で、ほぼ受注生産状態出会ったためか出荷本数も少ない。
-
何と、海外ではGBAに本作が移植されている。かなりの無茶移植だが、雰囲気は再現されている。
-
『パート2』以降は移植程度しか動きが無かったものの、『パート1』から20年を経た2019年、まさかの新作『スペースチャンネル5 VR あらかた★ダンシングショー』が発表された。
-
タイトル通りVR対応ソフトであり、PS4(PSVR)、Meta Quest、VIVEPORT、Steamで発売された。
スペースチャンネル5 パート2
【すぺーすちゃんねるふぁいぶ ぱーとつー】
ジャンル
|
ミュージカルアクション
|
|
|
対応機種
|
ドリームキャスト プレイステーション2
|
メディア
|
【DC】GD-ROM 【PS2】DVD-ROM 各1枚
|
発売元
|
セガ
|
開発元
|
ユナイテッド・ゲーム・アーティスツ
|
発売日
|
2002年2月14日
|
定価
|
5,800円(税別)
|
プレイ人数
|
1~2人
|
周辺機器
|
【PS2】トランスバイブレーター
|
廉価版
|
【PS2】PlayStation2 the Best:2002年12月12日/3,000円
|
判定
|
なし
|
概要(パート2)
『スペースチャンネル5』シリーズ2作目。
基本的なシステムや雰囲気は相変わらず、独立したストーリーでありながらも、前作の後日談となっている。
また、前作の問題点の一つとされたステージバリエーションやボリューム不足が若干改善されている。
本作では前作の騒動を解決したもののまだまだ新米レポーターである「うらら」が、今度は「踊り団」が起こした誘拐事件をリポートする。
ストーリー(パート2)
スペースチャンネル5襲撃事件を解決したうららだったが、依然新人リポーターとしてヒューズに頭の上がらない日々が続いていた。
一方スペースポイントXXでジャガーはとある調査中に襲われ、行方不明となる。
翌朝、スペースシップを謎の集団が襲撃、旅行客が
"踊らされ、連れ去られる"
という事件が発生する。
早速ADのノイズ君と突撃リポートを決行するうららだったが、やがてこの事件が全宇宙を股に掛けた大事件へと発展することになる…。
変更点(パート2)
-
ストーリーとミュージカル風の演出が強調され、登場人物の歌唱シーンも増えている。
-
特に新キャラクター「パイン」の歌唱シーンは有名な担当声優の貴重な歌声が聴ける。
-
前作からステージ数が増加し、バリエーションが豊富に。
-
空港、観光名所から放送局、はたまた宇宙を飛行するなど様々な場所でダンスや歌唱、バトルをする。
-
また2人用の協力プレイモードや着せ替え、キャラクター図鑑などが追加された。
-
前作の2周目に存在したエキストラモードがなくなり、完全な一本道に(幕間パーフェクト時の特殊演出は発生)。
-
代わりに2周目では一部テロップや台詞が変化する『再放送』の演出が行われる。
-
今作から明確な放送中断(ゲームオーバー)条件が加わり「ライフかスターがなくなったらその時点でプレイ終了」となる。
-
「シチョーリツ」が実質的なゲームの達成度となり、わかりやすくなった。
-
対決シーン時に「シチョーリツ」が「スター」に変換され、終了後にシチョーリツに還元される。
-
シチョーリツの最大値は120%。よって「ノーミスクリア+α」が条件となる。
-
「攻撃ビーム」は「チュー」、「救出ビーム」は「ヘイ」と別の掛け声が付けられ、わかりやすくなった。
-
「チュー」と「ヘイ」は音楽バトルなどでも使用する。
-
長押しする「タメ入力」も追加。タメ入力時はお手本台詞が間延びし、↓長押しなら「ダァーーーウン」となる。
-
慣れれば苦にならないが、ボタンを離すタイミングも正確に合わせる必要がある。
-
新たな要素として方向キー下+「チュー」と「ヘイ」を使用するリズム感重視の「楽器バトル」が追加された。
-
判定には影響しないが方向キーそれぞれに音が割り当てられている。
-
前作でゲスト出演したマイケル・ジャクソンが本作では本格的にメインキャラクターの一人として登場した。当時のCMでも彼が大きくクローズアップされている。
-
前作では厳しい条件でのみ出現する隠しキャラだったが、今作では
「スペースチャンネル5」の局長である。
-
彼と共に踊るステージでは後半になると代名詞である「ポー!」をとにかく連発し出す。
問題点(パート2)
-
ストーリーが壮大になった影響と処理落ち対策のためか、リポートシーンが少ない。
-
前作は「スペースリポートを行いながら人を踊りで救出する」というテーマを一貫していた。
-
今作はステージ中盤から雰囲気が変わり勝負シーンが多くなっており、救出者のパレードシーンも少ない。
-
やり込み要素は相変わらず少ないため、飽きる。
-
スコアが存在せず、「シチョーリツ」と「救出人数」、「隠しポイント達成率」のみ記録される。
-
隠しステージなどもなくパーフェクトであれば全員救出できるので図鑑も埋まる。
-
追加モードは「100問連続バトル」のみ。
-
前作での「処理落ち」「判定ズレ」問題は抜本的な解決には至っていない。
-
パート2ではDC,PS2版ともに開発技術が成熟したことや前作の反省点から3Dモデルを活用するシーンも増えたが、処理落ちは依然発生する。
-
またパート2のPS2版はデータ読み込みが長いという弊害が発生している。
-
音ゲーでは「致命的」とも言われるこの仕様だが、『1』と同様競う要素が薄いため、大きな問題点としては上げられていない。
-
シチョーリツ最大値の120%(他の音ゲーで言うフルコンボ)を達成するには隠しポイントでの入力が必要。
-
隠しポイントは各ステージに5箇所ほど存在し、ゲーム内でヒントは表示されない。
-
今作では特定箇所でシチョーリツがライフの代わりになるのでノーミスが前提。
-
さらには不意打ちで発生する隠しポイントもあるので、苦手な人が挑戦するにはフラストレーションがたまる。
総評(パート2)
良くも悪くも前作から正統進化を遂げており、シーンがステージが増えた割りにゲーム性やストーリーがわかりやすくなっている。
特に大容量のディスクを豪華に使用した演出と馬鹿馬鹿しさと熱さを兼ね備えたシナリオは今作でもなおパワーアップした。
反面多少は改善されたものの、ボリューム不足と操作(リズムに合わせて入力)が苦手な人に対する救済措置がないという問題点も相変わらずである。
とはいえ今でも風化せず音楽と調和したハイセンスなゲームデザインが光る一作であり、ファンも多い。
総合的に見れば良作といって差し支えないだろう。
余談(パート2)
-
実はPS2で先行的に発売され、一時期はPS2のみ販売であった。
-
DC版も後に発売されるが、こちらは前作のPS2版同様セガダイレクト専売でありPS2版よりも流通本数が少ない。
-
「チュー」という言葉は「ツー」(two)が変化した造語だと思われる。
-
後にソニックチームが開発する『ぷよぷよフィーバー2』でも「2」を「チュー」と読む。
-
ちなみにユナイテッド・ゲーム・アーティスツは組織改編時にソニックチームに吸収されている。
-
映画『スウィング・ガールズ』に本作が登場する。
-
主人公の妹がこのゲームを劇中で「パート2」をプレイしていたが、楽器代の捻出のためPS2本体ごと売り飛ばされてしまうというシチュエーションに加え、ラストで本作のメインテーマと言える曲「MEXICAN FLYER」が演奏されるという、本作のファンならニヤッとする展開がある。
-
2011年10月に、PS3/Xbox360のマルチ(ダウンロード専売)でHDリマスター版移植が配信された。
-
海外ではSteamによるWindows版も配信されているが、日本からは購入不可。ただし2016年に配信されたバンドルセット『Dreamcast Collection』には本作が収録されており、これのみなぜか国内からも長らく購入可能になっていた。しかし2020年4月に日本ストアでは購入不可になった。
最終更新:2024年02月16日 23:41