サスケ VS コマンダ
【さすけぶいえすこまんだ】
| ジャンル | シューティング | ※本作ではタイトルロゴはクレジットされない | 
| 対応機種 | アーケード | 
| 発売元 | 新日本企画 | 
| 開発元 | トーセ | 
| 稼動開始日 | 1980年10月 | 
| プレイ人数 | 1~2人(交互) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 和風忍者インベーダー 業界初の撃ち返し弾
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概要
1980年に新日本企画(後のSNK)からリリースされたアーケードゲーム。ジャンルとしては縦視線のインベーダー系統のシューティングにあたる。
『スペースインベーダー』が大ヒットし、数々のメーカーがそれに続けと様々な類似ゲームをリリースしていた時代。その中でリリースされた1つが本作である。
当時は「とりあえず有名作を模倣すればいい」というものも少なくなかったが、本作は単なる『スペースインベーダー』の亜流に留まらない様々な新要素を取り入れている。
将軍の命を受けた主人公の忍者サスケを操作し、悪の忍者軍団を全滅させるという、時代劇モチーフの渋い設定である。
ルール
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1レバー1ボタンを使用、レバー左右でサスケの左右移動。ボタンでサスケの上方向に一方向のクナイ(メインショット)を放つ。画面内に撃てるクナイは一発までとなる。
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1~2人交互プレイ可能のエンドレスプレイ。先の面に進むにつれ、忍者の飛行速度と敵弾の量・速度が増し、難度は高騰してゆく。
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サスケが敵弾・落下する敵残骸・親玉忍者の攻撃のいずれかに触れる事で1ミス、ミス後は親玉忍者戦以外においては敵弾が収まった状態での途中復活となる。親玉忍者戦でのミスはステージクリア扱いとなり、親玉忍者と再戦する事はない。サスケを全て失うとゲームオーバー。コンティニュー機能は無い。
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本作の各面は以下の3つのパートがあり、それがすべて終われば面クリアとなる。
    
    
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|  | パート1 「赤忍者戦」 
 敵である赤忍者達が、下方向へジグザグ状に移動しながら弾をばら撒いてくる。なお、敵弾はサスケのクナイとの相殺ができない。
 
 赤忍者をクナイで撃ち落とすとその残骸が下に落ちてくる。これにはやられ判定があり、サスケが残骸に触れるとミスとなってしまう。また、残骸はサスケのクナイ、及び敵弾をかき消してしまう。よって、この残骸がサスケの攻撃の妨害となる恐れがあり、逆に敵弾をかき消してくれる防御壁になり得る可能性もある。
 
 赤忍者を大方全滅させると次のパートへ進む。
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|  | パート2 「緑忍者戦」 
 大方は赤忍者戦と同じだが、このパートでは襲い掛かる忍者がより多くなっている。緑忍者を大方全滅させると次のパートへ進む。
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|  | パート3 「親玉忍者戦」 
 サスケと親玉忍者との一騎討ちとなる最終パート。
 
 制限時間以内に親玉忍者にクナイを当てればステージクリアとなる。クリア後は制限時間に応じて特別スコアが入手できる。逆に親玉忍者の攻撃をもらうとミスとなる。ミス後はもちろん残機を失うが、再戦はなくステージクリアとなる。
 
 制限時間以内に決着が付かなかった場合もステージクリアとなる。この場合、サスケのミスはないが、特別スコアも入らない。面によって親玉忍者の攻撃パターンが違うものとなっている。攻撃パターンは総計で8種類存在する。
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        | + | 親玉忍者の術 | 
| 火炎の術…左右に動きながら火炎で攻撃。 分身の術…分身しながら手裏剣を投げてくる。本物は1体だけ。
 飛竜剣の術…左右に動きながら剣を投げて攻撃。
 変身火炎の術…ガマ蛙に変身しワープを繰り返しながら火炎で攻撃。
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| カワリ身の術…動きは火炎の術と同じ。親玉にクナイを命中させても最初の2回はダミー、3回攻撃を当てると倒せる。 春花の術…ワープしながら毒花粉を撒く。
 変身分身の術…ガマ蛙に変身しワープを繰り返しながら手裏剣で攻撃。本物は1体だけ。
 変身春花の術…ガマ蛙に変身しワープを繰り返しながら毒花粉を撒く。
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2面をクリアすると、サスケのクナイ性能がパワーアップする。ボタンを連射すればクナイが二連射でき、ある程度間を置いてボタンを押せば前方二方向のクナイが発射できる様になる。パワーアップは永久効果であり、ミスしてもパワーダウンする事はない。
    
    
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パワーアップしたクナイの効果は永続する・撃ち返し弾の死体は地面に落ちると判定が無くなる
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評価点
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当時としては珍しい和風の世界観で表現されたデザインが特徴的で、SF設定が多い当時のゲームの中では異彩を放っていた。
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サスケと悪役忍者達が、大文字焼きや五重の塔を背景に戦いを繰り広げる様が非常に渋い雰囲気を醸している点も独特。この点も、単なる先駆作の模倣に終わらせていない点と言えよう。
 
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斬新なシステムの数々
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本作はシューティング業界で初めて、敵を倒すと攻撃判定のある残骸が落ちてくる、いわゆる「撃ち返し弾」が返ってくる要素を取り入れた作品とされている。当初のSNKは特に撃ち返し弾である事は意識していなかったらしいが、ゲーム雑誌であるゲーメストで公認され、下記のオムニバス集の説明書内でも「業界初」と自らアピールしている。
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本作発売当時は世界観に関わらず字幕が英語表記で統一されているゲームが多かったが、舞台に合わせて日本語表記をいち早く盛り込んだゲームの一つであった。
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親玉忍者戦は雑魚敵の介入しない、いわゆる「ボスとの一騎打ち」である他、親玉忍者の攻撃も8種類と当時としては非常に豊富であった事から、今日のゲームにおける「ボス戦」の概念をいち早く完成させた存在とも言える。
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自機の永久パワーアップは当時どころかアーケードでリリースされたSTGの中でも極めて珍しいシステムで、パワーアップの一つの前方二方向へのクナイ攻撃は後に『R-TYPE』等で確立される「溜め攻撃」の原型と言えるだろう。
 
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独特の演出群
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親玉忍者登場時は雷鳴と共に、独特のフォントで「○○の術だ!」と吹き出しをする演出が味わい深い。さらには親玉忍者戦でミスすると、赤・緑忍者が複数現れて倒されたサスケの上で挑発するという演出が腹立たしくもあり素敵(?)でもある。
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当時としては珍しく、ゲームスタート時や面クリア時にコミカル風味なBGMが流される。非常に短い楽曲ではあるが、これがなかなか耳に残る小気味良さを持っていたりする。
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ミスした際には同様「証城寺の狸林」のフレーズが流れる。
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ゲームオーバー画面では「プレイヤーキャラのサスケが小石に躓いてコケる」という非常にコミカルな一幕が流れる。
 
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「敵の機軸を読み、敵弾と残骸の位置を想定しながら攻略する」という戦略性に富んだ内容であり、その熱中度はなかなかに高い。
賛否両論点
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難易度が高い
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敵は速い速度でジグザグ移動しながら高速気味な弾をばらまいてくるため、油断しているとあっという間にミスになってしまう。
 
問題点
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雑魚敵が実質1種類のみ
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本作に登場する雑魚敵は移動速度の違いのみで実質的には一種類のみであり、雑魚キャラクターの行動パターンが多様化しつつあった1980年当時のビデオゲームにしてはバリエーションが非常に少ない。
 
総評
先駆作を取り入れつつ単なる模倣に終わらせず、時代を先取りした新機軸の要素を入れるというSNKらしい作品である。
家庭用移植
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オムニバス収録。
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SNKアーケードクラシックス ゼロ(プレイステーション・ポータブル、2011年4月21日発売、SNKプレイモア)
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懐かしきSNK作品20タイトルの中の1つとして本作が収録されている。
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移植度はほぼ完璧。ロード回数が多い問題を抱えるソフトだが、本作に関してはほとんどロードは発生しない。
 
 
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厳密には移植ではないが、ファミコンソフト『ゲバラ』にて裏技で本作がプレイできた。
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ただし通常ステージのみで、親玉忍者戦は一切プレイできない。
 
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近年では2018年11月~2019年4月に掛けて各機種で発売されたオムニバスソフト、『SNK 40th Anniversary Collection』(Switch/XboxOne/PS4/Windows)に収録されている。
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ちなみに上記のFC版『ゲバラ』も同時収録されており、裏技もしっかり再現されているのでFC版もプレイ可能である。
 
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アーケードアーカイブス(Switch/PS4)にて2020年2月13日に配信された。税込838円。
余談
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タイトルの最後を伸ばして「~コマンダー」と誤表記されることが多い。“ダ”で止めるのが正式タイトル。
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どうでもいい事だが、純粋なる和風世界観の本作のゲームタイトルが、何故に「サスケ VS コマンダ」と英語表記なのかは謎である。
 敵側は悪の忍者軍団でありコマンダー呼ばわりされる意味はないと思うのだが、コマンダーは「指揮官」という意味があり、「サスケと指揮官(おそらく親玉忍者の事)の対決」という意味で解釈すればあながち間違ってはいないかもしれない。
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当時のオペレーターの談で「サスケ VS コマンダ」のROM交換で「スピークアンドレスキュー」に入れ替えとなったが、違う開発会社なのにROM交換、ハンダを取っての作業…等面白い逸話がある。
ゲーム業界の最大の謎「トーセ」について
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日本のゲーム史での事項としては、ゲーム業界最大最強の影武者とされるデベロッパー、「トーセ」の名前が挙げられる現状確認できる最も古いゲームでもある。
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「現状確認できる最も古い」というのはトーセがあまりにも情報を遮断している企業のために調べても辿れるのはこのサスケ VS コマンダが限界……という正に影武者として非常に歴史があり優秀であり、謎でもある会社である。その謎のメーカー「トーセ」が自社で開発したとおおやけにしている数少ない作品のうち最も古い作品がこの「サスケ VS コマンダ」である。
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そこまで受託開発中心の影武者に何故徹しているのか?の理由として、「自社ブランドにすると取引先が競合相手となることでこれまでに築きあげた信頼関係が崩れてしまうため」という、正に影武者。
 
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この時代に「ゲーム業界初のボス戦」「ゲーム業界初の打ち返し弾」等新要素を持ち込む等、ゲームを手がけるメーカーとしては当時から非常に優秀。今においても「実はトーセが作った」とされる大手メーカー発売も多い。このゲームカタログでも「トーセ」で検索すれば意外なタイトルがぞろぞろ現れるが、あくまで判明しているタイトルもほんの一部であり、逆に判明していないタイトルは膨大な数になると思われる。
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因みに、公式サイトによると「手掛けたタイトルは(プラットフォームを問わず)2300以上、でも具体的なタイトルは(パブリッシャーとの)守秘義務によりあげられない」とどこまでも徹底している。
 
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サスケ VS コマンダはゲーム業界について語る上で避けて通れないとゲーム評論家達が口を揃えていうのもこういう理由がある。
 
最終更新:2022年09月06日 00:38