このページではプレイステーション・ポータブルソフト『SNKアーケードクラシックス Vol.1』と第2弾にあたる『ゼロ』を紹介しています。
SNKアーケードクラシックス Vol.1
【えすえぬけいあーけーどくらしっくす ぼりゅーむわん】
ジャンル
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オムニバス
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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発売元
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SNKプレイモア
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開発元
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Terminal Reality
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発売日
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2009年5月21日
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定価
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4,800円(税別)
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プレイ人数
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1~2人
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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廉価版
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SNK BEST COLLECTION 2010年6月24日/1,980円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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ネオジオ作品16タイトルを収録 移植度は高いがプレイ中の不備も多い
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概要(1)
1990年から1997年までにリリースされたネオジオ作品16タイトルをソフト一本に収録したオムニバスソフト。
アドホックモードにより二人同時プレイができる。
日本ではPSP版のみとなっているが、海外ではPS2版やWii版も発売された。
収録タイトル(1)
「初移植」が付くタイトルは、ネオジオ関連以外のハードに移植された事がないものを示している。
なお、『ショックトルーパーズ』はネオジオ関連にも一切の移植がされておらず、移植そのものが本作初である。
主な機能(1)
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二人同時プレイはアドホックモード対応となっており、プレイする際にはPSP本体と本ソフトがそれぞれ2つ必要となる。
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収録タイトルのサウンドモードが聴けたり、イメージイラストが鑑賞できる。一部鑑賞できないタイトルあり。
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1人プレイ時のみのやり込み要素として、ゲーム中に特定条件を満たせば複数用意された「メダル」の称号が付く。
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海外版ではメダルを一定数取得するのが『ワールドヒーローズ』の解禁条件となっていた。
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『ベースボールスターズ2』以外は、各タイトル毎に難易度の設定ができる。
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ゲーム中の経過をセーブし、次回プレイ時でそこからの再開ができる。『ショックトルーパーズ』のみ不可。
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主に対戦格闘系のタイトルは、使用キャラの必殺技コマンドが確認できる。
評価点(1)
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太っ腹な収録タイトル
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やはり、ネオジオ作品が16タイトルも収録されている点は純粋に嬉しい。
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当時としては購入のハードルが高かったネオジオROMやネオジオCDにしか移植されなかったタイトルも多く、それらを本作だけで思う存分プレイできたのはありがたい。
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オムニバスなので当然ではあるが、本作の購入価格を収録タイトルで割ると「1タイトルあたり約300円弱」と安上がり。
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後にベスト版がリリースされ、それの購入だとさらにお得感は大きい(定価約2100円・1タイトルあたり約130円)。
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当時はWiiのバーチャルコンソールで本作収録のネオジオソフトも多数配信されていたが、それは各900円だったので本作のコストパフォーマンスがいかに高いかわかるだろう。
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実質的な前作に相当するPSP版『メタルスラッグコンプリート』からの改善
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『コンプリート』のギャラリーモードではゲーム内で獲得可能なポイントを消費したり特定の条件でゲームをクリアしなければ各種項目を閲覧する事が出来ず、なおかつサウンドテストの楽曲も収録作品から抜粋された物のみだったりと不満が多かった。だが本作のギャラリーモードに当たる「メディア」の項目では、最初から無条件でほぼ全てのイラストを閲覧できたり楽曲を聴ける様になった。
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『コンプリート』ではゲームプレイ中にタイトル画面に戻って仕切り直したい場合は、わざわざゲームオーバーにならなければならず非常に面倒であった。だが、本作ではポーズメニューに起動中のゲームのタイトル画面に戻る事が出来る項目の「リセット」が追加された事によって、プレイの仕切り直しや反復練習も容易に。
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『コンプリート』では『メタルスラッグ』の1Pエンディングの最後のフレーズがカットされたり『メタルスラッグ2』のシーン移動時にBGMが正常に切り替わらなかったりとBGM関連の不具合が見受けられていたが、本作では基本的にBGMに関する不満は殆ど見受けられない。
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唯一問題を取り上げるのなら、『龍虎の拳』のOPでナレーションが再生されると同時にBGMが止まってしまう移植ミスが存在している。だが、これはあくまでもゲームスタート前のデモ画面なので、ゲームプレイに支障をきたす範囲では無いのが救い。
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難易度はEasyからHardまでの3段階のみだった『コンプリート』から新たにSuperが追加され、多少だが痒い所に手が届くようになった。
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完全ライフ制ver.が収録された『ショックトルーパーズ』
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収録タイトルの一つ『ショックトルーパーズ』は、上述の通り今回が初移植なのだが、本ソフトには2バージョンの一つの「完全ライフ制ver.」が収録されている。
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同タイトルは今作収録の他の作品と同様にPSPのネオジオステーションやアケアカNEOGEOといった媒体に移植・配信された際には、基本的には「ライフ+残機制ver.」のみが収録されている。そういった意味では、今作はバージョン自体がレアな事も相まって、今作収録作品の多くが様々なハードで移植・配信された現在でも存在の意義があると見ても良いだろうか?
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なお、今作は海外ではPS2とWiiでもリリースされているのに対して、国内ではPSP版のみが発売されている事から、「完全ライフ制ver.+国内版」という内容の今作は貴重と言わざるを得ない。
問題点(1)
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PSPのハードスペックの関係上なのか、ロード時間が頻繁に入る
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流石にネオジオCD並みという程ではないものの、ゲーム中でもロード表示による画面停止や処理落ちがあり、若干のもっさり感を覚えてしまう。
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特に『ショックトルーパーズ』はロードの多さが際立っている。『トップハンター』はボーナスステージ前の演出が超スローになっており結構な時間を待たされる。
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しかしその反面で、『バーニングファイト』といった低容量タイトルはあまりロードが入らない。意外と『KOF94』などの対戦格闘系のロードもさほど深刻ではない。
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ゲーム性にはさほど影響はないが、『餓狼伝説』『サムライスピリッツ』など対戦毎にキャラ名がコールされた際にロードが発生し、音声と画面にずれが生じる場合もある。
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なお、前作に相当する『メタルスラッグコンプリート』では、収録タイトルの大半の容量が多かったらしく、いずれのタイトルでもシーンの切り替わりでロードが発生していた。しかし本作の場合は低容量タイトルの寄せ集めである事からか、あちら側と比較すると「かなりマシ」に感じると思われるだろう。
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すでに配信は終わっているが、本作のダウンロード版ではロードの多さは改善されるとの事らしい。
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サウンドテストの謎仕様
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本作のサウンドテストは最初から全ての楽曲を聴く事が出来るが、『餓狼伝説』や『龍虎の拳』といった一部タイトルの楽曲リストでの曲名が「餓狼伝説♯1」といった具合でタイトルが伏せられている形式に統一されていて非常に紛らわしい。
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そもそもサントラ自体が未発売の『ベースボールスターズ2』や『ビッグトーナメントゴルフ』といったスポーツゲーはともかく、サントラが存在し曲名も「勇者雷電」「ギースにキッス」等々非常に個性的な対戦格闘でこの仕様にしてしまった点は理解に苦しむ。
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PSPと対戦格闘の相性
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PSPに限らず携帯ゲーム機全般に言えるが、対戦格闘系のタイトルを快適に遊ぶのは厳しい。
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しかも餓狼伝説などは必殺技の入力判定がとんでもなくシビアであり、ジョイスティックでも厳しいと言われる程。完全移植な分、致し方ないとも言えるが…。
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その他の問題点
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16タイトル中5タイトルが対戦格闘系となっており、ジャンルがやや偏りがち。
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対戦格闘ではないが『キング・オブ・モンスターズ』は対戦形式のアクションゲームであり、限りなく対戦格闘寄りのジャンルといえる。
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収録タイトルの一つの『サムライスピリッツ』では、PS2『六番勝負』収録版と同様に出血描写が規制されている。また、タイトル起動後のプレーではCPU戦の対戦順が固定される仕様を利用することによって、リセット使用による電源パターンが成立してしまう。
総評(1)
ロードの多さによるもっさり感と原作再現の障害がネックになっているのが痛いところ。
対戦格闘系に偏りがちなものの、収録タイトルの多さは純粋に魅力的なので、レトロゲー1作に600~800円は高いと感じる人にはレトロゲー入門としてアリかもしれない。
SNKアーケードクラシックス ゼロ
【えすえぬけいあーけーどくらしっくす ぜろ】
ジャンル
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オムニバス
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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発売元
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SNKプレイモア
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開発元
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G1M2
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発売日
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2011年4月21日
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定価
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パッケージ版4,800円(税別) ダウンロード版3,800円(税別)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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判定
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なし
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ポイント
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SNK初期作品20タイトルを収録 移植度は上質だが、やはり不備も目立つ
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概要(ゼロ)
1980年から1989年までにリリースされたSNK関連のアーケード作品20タイトルをソフト一本に収録したオムニバスソフト。
ゲームタイトルの「ゼロ」が示す通り、本作はネオジオが生まれる前の作品のみの収録となっている。前作とは違って完全一人プレイ専用となっている。
収録タイトル(ゼロ)
タイトルの頭に「★」がついてるものは家庭用移植されたのが本作のみなことを意味する。
『IKARI III』および『SUPER CHAMPION BASEBALL』の2本に関しては、それぞれ『怒III』と『スーパーチャンピオンベースボール』の海外版である。
稼動年
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ゲームタイトル
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ジャンル
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判定
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初移植
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備考
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1980年
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サスケ VS コマンダ
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STG
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なし
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初移植
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1983年
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★マービンズメイズ
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ACT
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なし
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初移植
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1984年
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★ヴァンガードII
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STG
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初移植
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1985年
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ASO
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STG
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良
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T.A.N.K.
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ACT/STG
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★HAL 21
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STG
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なし
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初移植
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1986年
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アテナ
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ACT
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怒
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ACT/STG
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怒号層圏
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ACT/STG
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FC版の記事
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1987年
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ゲバラ
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ACT/STG
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サイコソルジャー
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ACT/STG
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なし
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初移植
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タッチダウンフィーバー
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SPG
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バミューダトライアングル
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STG
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なし
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初移植
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1988年
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脱獄
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ACT
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★ゴールドメダリスト
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SPG
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初移植
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1989年
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原始島
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STG
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不安定
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初移植
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SAR サーチ・アンド・レスキュー
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ACT/STG
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初移植
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ストリートスマート
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ACT
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IKARI III
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ACT
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FC版の記事
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★SUPER CHAMPION BASEBALL
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SPG
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初移植
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関連作の記事
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主な機能(ゼロ)
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収録タイトルのサウンドモードが聴けたり、イメージイラストが鑑賞できる。
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ゲーム中の経過をセーブし、次回プレイ時でそこからの再開ができる。
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原作がループレバー操作のタイトルは、原作通りの操作である「手動」と、方向キー(アナログパッド)が移動と使用キャラの向きとの併用操作となる「自動」のどちらかを選べる。
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せめて未使用のボタンを方向固定にしたり、アナログレバーで方向選択出来るオプションも欲しかったところだが。
評価点(ゼロ)
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こちらも太っ腹な収録タイトルの多さ。
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SNK初期作品が20タイトルも収録されている点は素晴らしい。
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収録タイトルの多くは本作で家庭用移植デビューを果たした。
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また、家庭用移植の過去を持つタイトルも、「当時のハードスペックでは原作の再現が完全には出来なかった」ものばかりである。よって、そういう意味では収録タイトルすべてが完全移植をやり遂げた事になる。
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年代的に考えれば収録タイトルのバランスは良い。
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「アクション」「シューティング」「スポーツ」と、王道のジャンルは取り揃えている。
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そもそも80年代は対戦格闘というジャンルがほぼ存在しない時代なので、対戦格闘が不在であることを責めるのはお門違いと言っていいだろう。
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パッケージ版解説書の巻末には、ストーリー・ゲーム攻略法を漫画にしてゲームセンターで配布されていた『アテナ攻略マニュアル』が収録されている。当時既にプレミアがついていただけに、喜んだファンも多いだろう。
問題点(ゼロ)
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『Vol.1』程ではないものの、ロードの頻度が多い。
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ネオジオ作品よりも低容量なはずの収録タイトルなのにロードが多発する。
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多くのタイトルにはプレイ中にロードによるウエイト待ちが起こる。当時のPSPソフトはメモリースティックにデータインストールすることでロード時間を短縮可能な作品も多かっただけに、この辺を克服しようという気はなかったのだろうか?
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ダウンロード版であれば若干ではあるが改善される。
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『Vol.1』にあった要素がなぜか削られている。
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アドホック通信に非対応であるため、原作では二人同時プレイができるタイトルが1人専用になっている。
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これにより『怒三部作』のクラーク(2P)や、『サイコソルジャー』の椎拳崇(2P)は使用できない。
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なお、『ストリートスマート』だけは原作でいうところの2Pキャラを使用できる(もちろん一人プレイ専用キャラとしてだが…)。
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難易度選択が不可能。
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当時のSNK作品は非道なまでに難易度を高くする傾向があり、難易度を抑える配慮位はして欲しかったものである。
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疑問に残る収録タイトルの仕様・チョイス
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先述の通り『怒III』と『スーパーチャンピオンベースボール』が何故か海外版仕様で収録されている。
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ちなみに某MAMEでも海外版のみが対応していたので、ループレバーの仕様の絡みとあってか色々と疑惑も浮上している。
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『バミューダトライアングル』のマイナーチェンジバージョンだった『ワールドウォーズ』が収録されていない。
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海外では『ワールドウォーズ』が発売されておらず、折角なのでこちらも収録して欲しかったところ。
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『ヴァンガードII』が収録されているものの、前作の『ヴァンガード』が収録されていない。
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ゲーム性自体は全くの別物だが、ゲームの知名度は前作の方が明らかに上であり、海外ではかなりの人気もあってかアタリVCSのキラータイトルにもなっていただけに未収録を惜しむ声もある。
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PSPのボタン配置も『ヴァンガード』のショット撃ち分けには適してるだけになおさら残念。
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なお、後に発売された『SNK 40th Anniversary Collection』には前作が収録されている。代わりに『II』が未収録となった。
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ギャラリーモードの不備。
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イラストはタイトルごとにまとめられているが、項目から各ゲームの絵に直に飛ぶことができないため、順番に絵を送る必要がある。
また、BGM集もタイトルごとに分けて曲名をつけてリスト化するといった配慮が無い。通し番号を振っているだけな上、同じゲームの曲が離れた番号に割り振られている場合もあるので、
どの曲がどこにあるのかが分かり辛く、至極利用し辛い。
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本作のセーブは中断機能のみ
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各ゲームは基本的にいつでも中断セーブ可能だが、逆を言えば本作はそのセーブ方法のみで、ゲーム終了後にハイスコアだけを保存するという、当たり前のことが出来ない不可解な仕様になっている。
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つまり完全クリア・ゲームオーバー後にハイスコアも残したければ、必ず中断セーブをしなければならないので注意。
総評(ゼロ)
不備も少なくないが、家庭用としてはここでしかプレイできないタイトルもあり、レトロゲーの宝庫として十分な価値を持つソフト。
ネオジオ以前のSNK作品がどういう作風だったか興味があり、それを堪能してみたい人にはオススメの1本だろう。
余談
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『Vol.1』はパッケージのみだったが、『ゼロ』はPSストアでダウンロード販売もしており、PSVitaにも対応している。
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2018年2月にはPS Plus会員向けにフリープレイで配信された。
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『Vol.1(ベスト版含む)』『ゼロ』のパッケージ版は現在ともに中古市場は高く、特に『ゼロ』は10000円~20000円台とPSPソフト全体の中でも上位のレアソフトとなっている。
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海外では『ゼロ』の収録作品は単品で配信されており、『ゼロ』には未収録だったタイトルも移植されている。
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現在は本作と同様のコンセプトである『SNK 40th Anniversary Collection』がSwitch/PS4/XboxOne/PCで出ている。
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こちらでの初移植作品も多数あったり、システムに関しても本作より洗練されているので選択肢に入れる価値は十分ある。だが、奇しくも本作にしか収録されていない作品もあるので、両方合わせて歴史的資料として活用するのもあり。
最終更新:2024年05月05日 07:35