このページでは、オリジナル版の移植である『洞窟物語』とリメイクである『洞窟物語3D』を扱います。
移植元はこのWikiで扱う作品における「扱えない作品・同人ゲーム(フリーウェア)」に該当するため、評価対象版としては扱っておりません。
洞窟物語
【どうくつものがたり】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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CS機
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ニンテンドーDSi Wii ニンテンドー3DS Nintendo Switch
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PC
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Windows Mac OS Linux
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配信
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DSi/Wii
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DSi/Wiiウェア
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Mac
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Mac App
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Win
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Steam GOG.com Epic Games Store
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Linux
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Steam
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メディア
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Switch以外
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ダウンロード専売
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原作開発・監修
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開発室Pixel
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開発元
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Nicalis
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発売元
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DSi
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アスタリズム
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Win/Mac
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Nicalis
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3DS
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ピッキー
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Switch
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Nicalis ピッキー
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発売日
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DSi
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2011年11月22日
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Wii
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2010年3月22日
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Steam/GOG
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2011年11月22日
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Mac
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2011年9月7日
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3DS
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2015年9月30日
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Switch
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2018年2月8日
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Epic
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2020年12月4日
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定価
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DSi
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1,000DSiポイント
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Steam
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1,480円
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GOG
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$14.99
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3DS
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1,000円
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Switch
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3,700円
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Epic
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1,580円
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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判定
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良作
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備考
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Wii
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国内未発売
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DSi/Mac
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現在は配信終了で入手不可
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ポイント
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大人気フリーゲーム原作 新BGMには賛否あり 3DS版は追加モードの翻訳に難あり Switch版のみ2人プレイ可能
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概要
「開発室Pixel」が2004年にリリースした無料PC用2Dアクションシューティングゲーム『洞窟物語』(海外名『Cave Story』)の、商業プラットフォームへの移植作。
原作はフリーゲームの域を超え、世界的な影響を及ぼすほどに優れた完成度を誇り、国内外を問わず多くのインディーズクリエイター達の中から「洞窟物語フォロワー」を生み出した。
実績としては米タイム誌が2012年に発表した「70年代以降に発表された、歴史上で最も偉大なゲームソフト100選」においても選出されており、日本のインディーズゲームとしては異例なほど著名な作品である。
ストーリー
(DSiウェア版公式ホームページより引用)
とある世界の物語。
不気味な王冠を手にした男が、2人の従者の封印を解く。
男は不思議な力を使い、
この世界に住むミミガーと呼ばれる生き物達を
次々とさらっていった。
あなたが目覚めると、そこは静かな洞窟だった。
自分の名前も、何をしていたのかも思いだせない。
でも手にした武器の使い方は覚えている。
そこにある機械の使い方も覚えている。
それ以上のことが思い出せないあなたは、
自分とこの世界のことを知るために洞窟の探索を始める・・・
ゲーム内容・特徴
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アクション部分はオーソドックスな横スクロール。ストーリーを進めると手に入る様々な銃を操り、広大なフィールドを探索していくというメトロイドヴァニアに近い構成。
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銃は左右と上の3方向、ジャンプ中なら下方向を加えた4方向に撃てる。
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銃には3段階のレベルがあり、敵がドロップするエネルギー(周囲に散らばる三角形)を取得してレベルアップ・数回の被ダメージでレベルダウンする。レベルアップによって下記の特性が様変わりする銃も存在する。
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銃は特徴的なものが多い。最初に手に入る基本武器の「ポーラスター」以外はいずれも一癖あり、弾数制限があるが強力な「ミサイル」、地面を転がっていく「ファイアボール」など地形・敵に応じた武器の変更が重要。
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シナリオ進行上、全ての武器を同時に所持することは出来ない。中盤からは既存の武器と交換して手に入れる、択一の方式をとっている枠が存在するため。
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体力の最大値は「ライフカプセル」を取得していくことで増える。無視することで初期体力でのゲームクリアも可能。
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グラフィックは8ビット~16ビットハードの中間のようなレトロテイストに溢れたドット絵。音楽も本作用に開発された音楽ドライバ「オルガーニャ」を使用したレトロチックに仕上がっている。
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ストーリーはほぼ一本道。ストーリーもやや短めだが、周回はし易い。
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途中の行動によってEDが3種類(スタッフロールが流れるのは2種類)に分岐する。中でもトゥルーエンドを見るためにはヒントの乏しい寄り道などが必要となる他、難易度が非常に高い隠しステージをクリアする必要がある。
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セーブは特定の場所に設置されているディスク(回転しているフロッピーディスクの形)で行う。体力とミサイルの弾数を全快する「サーバー」が併設されていることが多い。
以下の点等については、基本的には「原作版との相違点」のみを挙げる。
DSiウェア版の特徴
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原作のPC版準拠の移植。
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概ね忠実な移植であるが、ハード的な都合で画面サイズが原作よりも小さい(「横320ドット縦240ドット」が「横256ドット縦192ドット」に縮小)上に、フレームレートの関係でゲームスピードが原作よりも若干速いという相違点がある。
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新たに「かんたん(無条件で被ダメージ半減)」「ふつう(原作版準拠の難易度)」「むずかしい(主人公の強化手段に制限が加わる)」の難易度選択やタイムアタック、ボスラッシュモードが追加されている。
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難易度「むずかしい」は実質ただの縛りプレイ。そのせいで「ふつう」とは比べ物にならないほど難しい。
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発売日と備考を見ての通り、実質的にわずか半年程度での配信期間でしかなく後述の3DSリメイク版を気に入らなかったユーザーからは配信再開を求める声も多かった。
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現在は、原作のほぼ完全移植である3DSダウンロード版(本稿でも記載)が後述する『洞窟物語3D』とは別にダウンロード販売されているため、DSiウェア版の代替として機能していると言えるだろう。
Wiiウェア版の特徴
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国内未配信。
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解像度が高解像度に変更された上でグラフィックが高解像度用にリメイクされ、BGMもリマスター音源と原作音源とで選択可能となった。
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難易度選択の他、クリア後のおまけモードとして、ヒロイン「カーリーブレイス」視点でのストーリーや武器縛りおまけステージが収録されている。
Win/Mac/Linux版の特徴
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上記Wiiウェア版の移植。
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Win版はSteam/GOG.com/Epic Games Store、Linux版はSteam、Mac版はMac App storeなどのダウンロードショップで販売。
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Playismにて原作版が無料で遊べる事からか、タイトルが『Cave Story +』となっている。
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一部のリマスターBGMがWiiウェア版とは異なっている。
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当初は日本語非対応であったが、後のアップデートで日本語に対応している。
3DS版の特徴
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商業移植作としては初となる、原作のほぼ完全な移植作。
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その上で、上記Wiiウェア版準拠の追加要素を加えられている。難度もDSiウェア版同様に3段階から選択可能。
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厳密に言うと、グラフィックは原作の海外版準拠。また、一部UIの配置やデザインが視認性の都合で変更されている他、フレームレートが秒間60フレームであるためにゲームスピードが原作より若干速い。
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本編「ストーリーモード」のテキストは英語から日本語への再翻訳ではなく、原作日本語版のテキストがそのまま使用されている。
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グラフィックとBGMは原作版のもののみであり、切り替える要素は無い。
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立体視に対応している他、画面サイズをノーマルとワイドの二通りに変更可能。画面サイズ「ノーマル」の場合は、原作同様の横320ドット縦240ドットでのプレイとなる。
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本編「ストーリーモード」以外の追加要素における追加テキスト全般に初歩的な誤訳や機械翻訳が多く、追加要素については熱心な日本国内ファンからの評価を若干落とす原因となっている。
Switch版の特徴
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上記Steam版の日本語対応版の移植。「Cave Story+」の名で発売。ダウンロード版に加え説明書付きのパッケージ版も発売された。
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グラフィックの新規切り替え機能を搭載。またBGMもWiiウェア版、Steam版の他にファミトラック、Ridiculon版を含めた5種類から好みに応じて選択できる。
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移植作品の中で唯一、2人同時プレイに対応。
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2プレイヤーはグラフィックを自由に変更できる。使用できるグラフィックはストーリーを進めていくと増えていく。
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2プレイヤーはいつでもどこでも参加、離脱が可能。ただし再参加する度に武器のレベルは全て1に戻る。
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2プレイヤーの武器の種類は1プレイヤーと共有しており、1プレイヤーが武器を交換・強化すれば2プレイヤーにも適用される。したがって1プレイヤーと2プレイヤーで同時取得不可能な武器を別々に扱うことはできない。
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2プレイヤーの体力は設定で「1プレイヤーと共有」か「1プレイヤーと個別」を選択できる。
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いずれの設定でも武器レベルは共有されない。また、所持アイテムを含め武器エネルギーの取得判定は共有しており、1プレイヤーが武器エネルギーをとると2プレイヤーも取得したことになり、この際装備している武器が違ってもその武器にエネルギーが貯まる。
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また、いずれの設定でもどちらか片方のプレイヤーのHPが0になればもう片方のプレイヤーが生きていたとしてもゲームオーバーになる。
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この仕様のため2プレイヤーが瀕死の場合は離脱→再加入を行い武器レベルを犠牲にした上でHPを回復させた方がいい場合も出てくる。
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基本的にゲーム画面は1プレイヤーを中心に追っていき、2プレイヤーが一定以上画面外に出ていると1プレイヤーの側にワープする。
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プレイヤー人数を変更しても敵の総数やHPは1人の時と変わらない。このため、純粋に手数が増えるため攻略が楽になる反面、いずれがやられても同時にゲームオーバーになるリスクをはらむプレイとなる。
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総じて初心者同士でプレイすると足を引っ張り合ってしまう場面も多く、協力プレイとしてはいささか配慮が足りていないかもしれない。
評価点
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シンプルな設定でありながら、敢えて深く語らず、プレイヤーの想像の余地を残しているストーリーは非常に評価が高い。
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特に世界観についての評価が高く、現在でも熱心なファンにより考察されている。
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一方でダークな要素もある。賛否両論点の項で解説。
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こだわりを持って産まれたレトロ調グラフィックとBGM。
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愛らしいデフォルメキャラや細かいアニメーション、迫力のあるボスキャラたちは人気が高い。
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自作音源によるレトロゲームライクなBGMも独特の味わいがある。ストーリーの展開に沿って印象的な選曲もされており評価が高い。
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効果音も良質で、キャラのリアクションや攻撃を撃ちこむ爽快感などが上手く表現できている。
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ゲーム自体も探索型アクションとして堅実かつ優秀な完成度を誇る。
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特にアクションにおける極めて絶妙なバランス調整は国内外で絶賛されている。銃の取捨選択などプレイヤーのスタイルに個性も出やすい。
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本ページにて解説している多くの機種における移植版で「難易度選択」が可能になっており、標準より易しい難易度を選べば「トゥルーエンドを見る為のハードル」は原作よりも大幅に下がるという違いがある。
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本編の移植については、どの機種も良移植。
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フレームレートの高密度化、Wiiウェア版などの解像度変更とグラフィック変更、DSiウェア版の画面解像度低下、といった原作との明確な差はいくつかあったが、それ以外はほぼ完璧な移植。
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前述の通り3DS版にて、(原作海外版準拠ではあるが)ついに画面解像度も原作同様に設定可能になった。ここまで忠実な移植は、3DS版が初となる。
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本編とは無関係ではあるが、追加要素も比較的好評である。
賛否両論点
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見た目に反してダークなストーリー。
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愛らしいキャラデザやレトロ調のドット絵に反してストーリーは意外とダーク。
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重要人物が容赦なく死亡したりと、結構キツイ鬱展開も少なくない。本作のレーティングがCERO:Bなのも、そういうことである。
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移植版のアレンジBGM。
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オリジナルBGMの印象が強い人にとっては、違和感があるアレンジが多少なりとも存在している。
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オリジナルBGMを選択できる移植版も多いので気になる人は変更ができるようになっている。
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Wiiウェア版以降の追加要素の一つ、「ボスラッシュ」の仕様が面倒だと言うプレイヤーが多い。
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「原作と同じ状態で戦える」という事なのか、いちいち宝箱を開けたりライフカプセルを取得する必要があり、タイムアタックを詰める際に非常に煩わしい。だが、その割に「原作とは同じ状態に出来ない」部分が散見される為に統一感が無くなっている。
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「アームズバリア」が取得出来ない。
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「スネーク」を獲得出来るのが「シュプール」と同じタイミング。
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「スーパーミサイル」の弾数が何故か最大35発に抑えられており、ラスボスでの定番であるスーパーミサイル接射による2形態と4形態の瞬殺が出来なくなっている。
問題点
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トゥルーエンドへの到達が非常に難しい。
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初回プレイでトゥルーエンドへ到達できないように条件を厳しくしているものと思われるが、逆に攻略サイトなどで条件などのネタバレを見ていないとトゥルーエンドへの到達は非常に難しい。
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また、トゥルーエンドの条件を攻略サイトなどで知ったとしても、トゥルーエンドに到達するために攻略必須の隠しステージの難易度がかなり高いので、ここで詰まってしまう可能性もある。
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ちなみにこの隠しステージ、なんと原作者本人が後の公式インタビューで「あのステージはクリアできなくてもイイです、すみません」と語っているほどの高難度である。
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追加要素の一つとして、トゥルーエンドルートにおける隠しステージに対し自由にタイムアタックが行えるモードが追加されているが、この追加モードの仕様に問題がある。ストーリー本編から離れたおまけ要素ではあるものの、純粋な追加要素ではなく「原作にあった要素の一部を削った上でのモード搭載」であるため問題点の項目に記載した。
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まず追加要素以前の相違点として「隠しステージのベストタイムがタイトル画面に表示される」という原作にあった要素が廃されている為、後から記録を閲覧するにはこの追加モードをプレイするしかないのだが、装備の選択が不自由でありタイムアタックとしては大きな疑問が残る内容となっている。
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なんと、メイン武器の一部である「スネーク」と「マシンガン」が選択できないという重大な問題点がある。最速を目指す場合においても、それ以外のクリア重視におけるプレイでも、それぞれのメイン武器に一長一短があるにもかかわらずである。
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本来は二者択一となる武器「ブレード」と「ネメシス」を同時に装備できてしまう。
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そしてまさかの、「ミサイル砲」と「スーパーミサイル」装備不可。タイムアタックとなれば無い事など到底考えられない装備のはずが、選択不可。
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その割に隠しステージでは使い所が限定される「ファイアボール」と「バブリン」、さすがに交換・強化後のメイン武器の下位互換であり隠しステージでの存在意義自体が問われる初期武器「ポーラスター」が選択可能であるなど、中途半端なこだわりも見える。
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Wiiウェア版以降で一定の条件を満たした際に出現する追加要素の隠しコースの最後のひとつが、難易度が異常に高い挑戦的すぎる代物。
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絶妙な難易度調整だった原作の追加要素としては親和性が極めて低い。
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特に最後に出現する隠しコースについては、HP10という低耐久力、フィールドが常に外壁仕様で経験値の回避が難しい上でネメシス固定、意図的な初見殺しの異様な多さなどやり過ぎだと言われても仕方がない。
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コース設計自体がまるで二次創作の改造もののようなコースであり、その点でも批判されやすい。
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一応タイムアタックが出来るものの、運の要素が強くゴリ押しが出来ないコース設計の上に前述の問題点、加えて原作の上級者ですら投げてしまうような難易度の高さ故か、こちらのタイムアタックは全くと言っていいほど考察されていない。
総評
元が個人製作のインディーズとは思えないほど、探索型アクションゲームとして非常に手堅い完成度を持つ優良作品。
値段も手頃なため、未プレイの人には今すぐ薦めたい。
洞窟物語3D
【どうくつものがたり すりーでぃー】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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発売元
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日本一ソフトウェア
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開発元
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Nicalis
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発売日
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2012年7月26日
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定価
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6,180円
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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判定
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なし
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ポイント
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フルポリゴン化 美麗なグラフィックが完全に仇に イラスト・音楽は好評価
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概要(3D)
ニンテンドー3DSへの移植にあたり、グラフィックを原作の2Dドット絵から3Dポリゴンに置き換え、裸眼立体視にも対応している。
評価点(3D)
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グラフィックこそ異なれど、基本のゲーム性はオリジナルとほぼ同等。
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下画面で常に全体マップが表示されるようになった。
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イラストは原作の雰囲気を上手く捉えており好評。なお、リメイク版でイラストを担当したシノノコ氏も原作の大ファンである。
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洞窟内に追加エリアが各所に配置され、アイテムも増えた。
賛否両論点(3D)
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BGMが総アレンジされており原曲は一切収録されていない。
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しかし、アレンジも悪くないという意見も多く賛否両論となっている。
問題点(3D)
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フルポリゴン化されたグラフィック
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確かに美麗で洞窟の雰囲気も相応なものである…のだが、画面が暗く自キャラや敵キャラなどオブジェクトも小さく描かれているなどで見づらいという声が非常に多い。
つまり美麗すぎて完全に裏目に出ている。
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装備品のひとつ「きまぐれな星」が背景に引っかかって行方知れずになるなどで、オリジナル版と比べて性能が劣化している。
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キー配置がDSiウェア版と一部逆になっており、同じ感覚で遊べなくなっている。
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クラシックモードは名前だけ聞くと、リメイク前の原作を収録しているように聞こえるが、実際はキャラだけがオリジナル版の2Dドット絵に変わる仕様。
総評(3D)
ゲーム性そのものはオリジナル準拠のため遊べない事はないものの「何故3Dにした」という意見が非常に根強い作品。
元々フリーゲームという事もあり、安価な上記ダウンロード版と比較するとコストパフォーマンスも悪目に感じてしまうかもしれない。
余談(3D)
現在は定価の2倍以上ほどで取引されるなど、それなりにプレミアが付いている。
最終更新:2023年10月05日 17:58