【すとりーとふぁいたー りあるばとる おん ふぃるむ】
ジャンル | 対戦型格闘ゲーム | PS版 |
対応機種 |
セガサターン プレイステーション |
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メディア | CD-ROM 1枚 | |
発売・開発元 | カプコン | |
発売日 |
【SS】1995年8月11日 【PS】1995年8月12日 |
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定価 | 5,800円(税別) | |
プレイ人数 | 1~2人 | |
判定 | バカゲー | |
ポイント |
実写映画映像素材を全面活用 見た目に反して出来はそれなり 神秘すぎる |
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ストリートファイターシリーズ |
1994年に公開された、対戦型格闘ゲーム『ストリートファイターII』(以下、『ストII』)を原作としたアメリカ実写映画、『ストリートファイター』(以下、映画)の映像を使用した作品。
略称としては「Real Battle On Film」の頭文字を取った『RBOF』がよく用いられる。
本作の発売前に1995年5月30日からアーケードで稼働を開始した『ストリートファイター ザ・ムービー』(以下、『ザ・ムービー』)と使用している映像素材はほとんど同じだが、ゲームとしての中身は全くの別物。
ちなみに、『ザ・ムービー』の開発はカプコンではなく、『Time Killers』『Blood Storm』などを開発していたアメリカのインクレディブルテクノロジーズ社が担当(*1)(*2)。
『ザ・ムービー』はもはや一般のイメージにある『ストII』などのイメージとはあまりにもかけ離れたゲーム内容となっていた。
例えば空中コンボが叩き込み放題であったり、戦闘中に全キャラクター体力回復が図れたり、一部の必殺技のコマンドが奇怪そのものであったりなどした上に、キャラクター周りも眼帯を外して怪光線を放つサガットなど『ストII』の名残が全く見られない崩壊ぶり(*3)を理由に大多数の『ストリートファイター』シリーズファンからはそっぽを向かれ早々と撤去されることとなった。
そのため、本作は『ザ・ムービー』の移植ではなく、改めて日本のカプコンが『スーパーストリートファイターIIX』(以下、『スパIIX』)のシステムをベースにして作り直した作品となった(*4)。
動きは『ザ・ムービー』に比べるとかなりカクカクになっているが、プレイに支障が出るほどではなく、従来のシリーズファンに馴染みのシステムを搭載し、見た目に反して落ち着いたゲームとなっている。
また、『ザ・ムービー』で散々ネタにされた俳優自身が演じた声(*5)に関しても日本の声優が吹き替えを行ったものになっており、勝利デモでも喋るようになった。
本作は冒頭にある通り、アメリカ映画版をベースにしているために、一部キャラクターの名称が海外版準拠のものに変更されている(*6)。
『ストII』における キャラクターの立ち位置 |
日本版名 | 本作における名前 |
黒人のボクサー | M(マイク)・バイソン | バルログ |
スペインの闘士 | バルログ | ベガ |
シャドルーの総帥 | ベガ | M(*7)・バイソン |
本項では上記3名はゲーム同様に映画の表記に準じるものとするのでご容赦願いたい。
大元となっている映画における設定に準拠しているが、その設定が『ストII』や『スーパーストリートファイターII(以下、スパII)』と異なる所があるために簡単に説明を入れる。
なお、キャラクター名の横の名前は映画(および『ザ・ムービー』や本作)で演じた俳優名。少々縦長となるので、クリックしてご覧頂きたい。
+ | 映画及び本作のキャラクター概要 |
いち格ゲー作品としての評価点
ボーナスコンテンツ
BGM
スーパー必殺技の実装
キャラクターボイス
ムービーバトルモード
オプション設定をメモリーカードに保存不可
+ | 長くなるため、クリックで展開 |
見た目…と言うよりはサワダのイロモノっぷりが全てをかっ攫ってしまっているゲームではあるが、実際の対戦格闘ゲームとしてもスーパー必殺技に関するシステムに難こそあれど、特別破綻してしまっている点はなく無難に遊べるゲームとなっている。
しかし、アーカイブス化は前述の『カードファイターズDS』ではないが版権の問題もあって難しいとする意見もよく見られ、中古として入手するにも意外と品薄なのか入手が難しかったりする。
だが、実写化されたキャラクターにどうしようもないレベルでの拒絶反応がある、または格ゲーがそもそも苦手などでもなければ、ネタとしてプレイしてみる価値はあると言える。
だが、当時は『スパIIX』の代替としての価値もあったが、今となっては『ハイパーストリートファイターII』などがあるためにむしろ『ザ・ムービー』のような別ベクトルで突き抜けているゲーム性のない(=無難に纏まりすぎている)本作の評価は完全にサワダ一点になってしまっているのも事実であり、それ故に正当な評価をされない不遇な作品であるとも言えよう。
*1 同社開発のこれらのゲームはミッドウェイゲームズの『モータルコンバット』の影響を強く受けている残虐要素の強い格闘ゲーム。
*2 タイトル画面にCAPCOM U.S.A.の名があることから、元々海外主導で開発されたものでもある。
*3 当時、カプコンが「実写の俳優が画面上でキャラクターとして動く」という最先端技術を搭載した『モータルコンバット』に対し「『ストII』を喰うのではないか」と脅威を覚えて対抗しようとした結果、『ザ・ムービー』が『モータルコンバット』から残虐要素を廃し、かつキャラクターを原作のそれにすげ替えた、もはや荒唐無稽とも言うべきゲームになってしまったとも言われている。
*4 余談だが、RBOFの海外版のタイトルは『ザ・ムービー』と同じ『Street Fighter:The Movie(ストリートファイター ザ・ムービー)』になっているが、内容自体は『ザ・ムービー』ではなく本作のそれとなっている。
*5 波動拳が「ハドゥーケン!」、昇龍拳が「ショーユケン!」、竜巻旋風脚が「タトゥマキゼミャーグ!」などと聞こえることでインパクトが強烈だったリュウはキャラクター名のコールが「リュウ」ではなく「ライユー」とされていたことも含めて特にネタにされた。ちなみになぜ「ライユー」になどなってしまったのかは色々と言われているが、一言で言うと「表記の通り正確に発音してしまっているから」である。リュウの発音はL音だが、日本語のローマ字表記はL音でもRで表記する事になっている。そのため表記通りに正確な英語で発音すると元とはかけ離れた音になってしまう。
*6 『ストII』などの海外版でも適用されていたもので、特にマイク・バイソンに関しては実在の元ボクサー、マイク・タイソンをモデルにしていたため、肖像権に配慮して(身も蓋もない言い方をしてしまえば、本人に黙って作ったことを後々裁判沙汰にされることを嫌って)の変更とされる。一方、ベガも海外では女性の名前(琴座のベガで、和名は「織姫星」)であるため、大柄な男性のボスキャラに相応しくないという指摘を受けて変更された。バルログについてもトールキンの『指輪物語』の屈強な魔人の名であり、こちらも細身の華麗な格闘家に見合わないという同様の理由である。サガットは『ストI』で既に登場していたため対象外。なぜ入れ替えるのみで新しい名前を付けなかったかという質問に対しては、名前変更が売り込みの直前に決まったため、コストの関係でプログラムのみを小手先で弄ってゲーム内で使われるキャラ名アイコンを差し替えて対処するのがやっとだったからと言われている。
*7 このMが何の略かについて、カプコンからの明確な公式発表はない。作品によって「Major Bison(メイジャー(少佐の意)・バイソン)」、「Master Bison(マスター・バイソン)」、「Mighty Bison(マイティ・バイソン)」などのぶれがある。日本では「バイソン将軍」と訳される。
*8 現在は「澤田拳也」に改名しているが、映画およびゲーム作品発売時の名前を記載している。余談になるが、元になる映画において澤田氏自身が売り込みに行って、キャプテン・サワダ役を得たという逸話が残っている。
*9 対戦相手はベガこと、こっちでいうところのバルログ。
*10 近距離で波動拳の様な型の双掌打で攻撃して、炸裂した瞬間に画面がフラッシュするといったもの。なお、発動後に雄叫びをあげてはいたが技名は言ってはいないので、これが波動拳だったのかどうかは不明。
*11 一応金髪の様ではあり、もう1つのトレードマークといえる赤い道着は着ているが。
*12 『ストリートファイターZERO』シリーズなどにおけるガイルの親友であるナッシュの海外名が同じく「チャーリー」となっている。ただし、映画でのチャーリーはあくまで愛称として設定されており、本名はカルロス・ブランカとなっている。余談になるが、海外版のチャーリーは一部媒体で「チャーリー・ナッシュ」がフルネームとして使われていたが、後にこれが逆輸入される形で公式設定となっている。
*13 ゲーム中では研究所ステージの背景に立っているだけだが、映画ではバイソン将軍に拉致された科学者の一人という設定であり、後に人体実験の結果原作同様に火を吹く能力を身につけている。
*14 一方、AC版『ザ・ムービー』では普通に仮面を着けており、それどころか「仮面を相手に投げつける(もちろん当たればダメージ)」技まである。
*15 本来は「アンドリュー・ブリニアースキー」とするのが表記としては近いのだが、本作の取扱説明書では「アンドリュー・ブライアンスキー」の名で紹介されている。ゲーム作品の紹介という性質上、この取扱説明書記載の名前で表記している。
*16 映画の出演が遺作という認識が一般的であるが、実際にはその後の「闇に抱かれて」が遺作になるが、映画の上映前に亡くなっているのでその意味での遺作という意味では間違っていない。
*17 ラウル氏逝去のため、ゲーム用の追加映像の一部を代役。アーケード版のみクレジットされているが、その流用である家庭用ではノンクレジット。
*18 家庭用ではノンクレジット。
*19 実際には『スパIIX』などでおなじみの対戦画面まではバイソンと戦うように見せかけておきつつ、対戦画面になった側から出てくるや否やバイソンに瞬獄殺を叩き込んで一瞬で倒しそのまま対戦に移行という演出ではなく、対戦前の時点でバイソンと差し替えで他のキャラクター同様に対戦前デモが挟まれる。
*20 幸いにも『スパⅡX』等とは異なり、失敗しても何度でもやり直せる。
*21 ブレード、アーケイン、カイバー、F7の四人。この四人は使える技が違う、いわゆる色違いのコンパチキャラ(F7のみ先の三人の技を全て使える上位互換)だが、後に『ストリートファイター5』がリリースされた際に開設された、公式サイトにあるページの一つ・シャドルー格闘家研究所には「シャドルー北米支部の戦闘員」と設定が改められている。
*22 一応、背景やエンディング等でサブキャラクターとしては登場している。
*23 余談だが、AC版『ザ・ムービー』の「DUNGEON」ステージで他のキャラを使用中の時は背景で本田が捕まっているのだが、本田を使用中の時は本田の代わりにフェイロンが捕まっているのを見ることができる。ちなみに背景のフェイロンはキャプテン・サワダ役の澤田氏が兼役で演じている。
*24 ちなみに、ジャッキーは原作破壊のおバカ映画『シティーハンター』において冴羽獠の役で、エドモンド本田と春麗のコスプレをしつつの『ストII』もどきの戦闘を繰り広げていた。
*25 当時『スパIIX』の移植が3DOとの独占契約だったことから他機種には出せず、『スパIIX』のシステムを流用することで代替にしていたとも考えられるが詳細については言及されていないため真相は不明。
*26 ちなみに、ものによっては映画に登場する主要キャラクターの中で唯一の日本人と紹介されることがある。これは役を演じた俳優陣に引き摺られてのものと思われる。
*27 とは言え、AC版『ザ・ムービー』では決勝ラウンドでタイムアップ負けを喫すると切腹するという演出があったりするので、やはりどこかぶっ飛んではいる。
*28 命がけどころか「何故死なない」というレベルだが。
*29 ただしザンギエフのファイナルアトミックバスターにはぎりぎりの間合いで捕まってしまう。
*30 ちなみにこの説明書、技の解説はそれを使うファイター本人の言葉という形を取っているためサワダ個人の印象もだいぶここで決まってしまう。
*31 ちなみにAC版『ザ・ムービー』のサワダはサワダ以外のキャラの方が色物過ぎる故に、「飛び道具を跳ね返せる攻撃を持っている」ことや前述の「タイムオーバー負けを喫すると切腹する」ことを除けば「比較的普通のキャラ」というポジション。
*32 「RBOF」は「サワダが色物」、「ザ・ムービー」は「サワダ以外が色物」という見解はこういった理由から来ている。
*33 烈空脚的動作+烈火拳的操作感覚の沢田スペシャル'95、烈火真拳の代わりになる多段ヒットの突進超必殺技カミカゼアタック、ヨガフレイムと同じ飛ばない飛び道具の獄殺自爆陣、ヨガテレポートほぼそのままの忍法神隠し。
*34 難易度が高いことは高いがあくまで「変則的な入力タイミング」と「最後のみ斜め上まで回しきることが必要」という点が引き上げているだけで、入力するコマンドそのものは烈火拳とさほど変わらず異常なほど難しいわけではない。斜め上まで回すコマンドもストリートファイターシリーズでは烈空脚で既に使われている。
*35 ゲーム難易度を最高難度に設定したCOM戦でも「忍法神隠しを敵から遠い場所へ4回繰り返す」→「カミカゼアタック」で体力を削るのをタイムオーバーまで繰り返すという戦術で豪鬼まで撃破可能など、対人だけでなく、難易度設定を上げた凶悪なCOMにも十分対応できる。
*36 ちなみに、檜山氏はサワダの他にケンとベガの声も担当している。なお、基本的に本作の担当声優は公式に発表されていない。しかし、サワダ・ケン・ベガの声に関しては、聞けば檜山氏が演じているのが一発で解るものになっている。ちなみに、同様の理由でキャミィは三石琴乃氏が担当していると判明している。