ツインゴッデス
【ついんごっです】
ジャンル
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格闘アクション
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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ポリグラム
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開発元
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ウィズ
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発売日
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1994年12月10日
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価格
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7,800円
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判定
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バカゲー
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ポイント
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大決戦! 実写VSイラスト! バカすぎる設定の数々 AIまでバカ これでもPS初の格闘ゲーム
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概要
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プレイステーション本体の発売後まもなく世に出された、PS初の格闘ゲーム。
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とにかくツッコミ場所に事欠かないゲームであり、ネタ要素だけで出来ているような様相である。
ゲーム内容
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パッケージを見れば見当がつく通り、実写取り込みを用いた格闘ゲームである。
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右の二人が主人公「ニーナ(ピンクの方)」「シリン(黄色の方)」で、ゲーム開始時にどちらかを選択して操作キャラクターとする。バブル丸出しのケバいねーちゃんであるところが時代を感じさせる
と言うか、当時としてもどうなんだろうか?
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どう作ってもコスプレっぽくなるのはなかなか避けられないだろうが、レオタードの上に鎧っぽい装飾具を少し付けただけという衣装はなんとかならなかったのか…。
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そして左にでかでかと顔だけ映っているのがラスボスの「カーミラ」である。
目立ちたがりなのだろうか?
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実写取り込みの格闘ゲームは2024年現在でもかなり珍しい。しかし実写取り込み自体は『ストリートファイター リアルバトル オン フィルム』が『ストリートファイター』シリーズの知名度もあって比較的知られているため、それだけでは突き抜けた特徴にはならないのだが……
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ちなみに、裏に文字は何も書かれていない。
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なんと、残りのキャラクターはアニメ絵。というかカートゥーン。つまり、このゲームは家庭用ゲーム機で
実写取り込みとカートゥーンの夢の対戦ができる
格闘ゲームなのである。違和感とかいうレベルではない。
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ただ、非実写キャラの「それっぽい」デザインは一見作画崩壊気味のようでいて安定して上手くも見える。
結果、実写のケバいねーちゃんの方を外せば良かったんじゃないのかとの声が上がる事になった
オープニング
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まずゲームを起動すると、会社ロゴが現れた後にオープニングムービーとしてストーリー説明が入るのだが…
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その内容は、どう見ても『スター・ウォーズ』な演出で流れる英語字幕と共に、このゲームの世界設定を飯島直子氏が延々と2分半以上口頭だけで説明するというもの。
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なおこのOP、スキップは不可能である。一応ムービー開始前にスタートボタンを連打することによって回避はできる。
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全文
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―――平和な国「ラブラディアン」。地球より遥か彼方、宇宙の果ての小さな星の小さな王国。
ラブラディアン国王「ラブ三世」は、森と湖に囲まれた美しい城「ラブラディアン城」より、静かに人々の幸せを見守っていました。
ラブラディアンの国民は彼を尊敬し、彼もまた国と人々を愛しました。
ラブ三世には双子の娘がいました。心優しい姉のニーナとちょっと勝気な妹のシリンです。
彼女達を産んですぐこの世を去った后のジョアンナの分まで、ラブ三世は娘達に限りない愛情を注ぎ、
ニーナとシリンはやがて美しい王女に成長しました。
そんなある日、ラブラディアン城に突然不気味な六つの光が飛んで来たのです。
その光はラブラディアンの平和を妬む暗黒の魔女「カーミラ」と手下の5匹の妖怪達でした。
彼らの邪悪なパワーによって、国王ラブ三世は倒されてしまいました。
カーミラの強大なエネルギーは、王国ラブラディアン全土を瞬く間に闇の世界に変えてしまったのです。
今やラブラディアン城は、魔女カーミラの支配する悪夢の城になってしまいました。
カーミラは、ラブラディアン城の一階から五階までの各階にそれぞれ5匹の妖怪達を見張りとして配置しました。
そして自らは、城の最上階六階で人々が憎悪や嫉妬に変わっていく様子を面白そうに眺めていたのです。
全能の神ゼウスは天空より全てを見ていました。
ゼウスは魔女カーミラを滅ぼすために、父を失って嘆き悲しんでいた二人の王女に愛と勇気のパワーを授けました。
「今、ラブラディアンを救える者はお前たちしか居ない。カーミラを正義の力で倒すのです。さあ行きなさい。ニーナよ、シリンよ!」
ここでは文章にしているのでまだ読めるが、実際は字幕は英語だし視覚的な説明が全くないのですぐに聞いていられなくなる。
長々しく言っているが、要するに「敵に侵略された城を奪還して平和を取り戻しましょう」というだけの話である。
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その後、ラブラディアン城の全貌にラスボス・カーミラの登場シーンや主人公・ニーナとシリンの変身シーンなどが流れる。もちろん実写で。
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それにしても横に表示されている2人のスリーサイズ情報は必要なのだろうか…?
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さらにBGMとしてチープな戦隊物のようななんとも言えないノリの軽い主題歌が流れており、「あいつをボッコボ~コ~に~ ぶちのめ~せ~」などと歌っている。実写の映像と合わさり頭が痛くなってくるだろう…。
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また、ラブラディアン城の立地条件の悪さもツッコミどころの一つ。断崖の真上に建てられておりまさに安全度外視である。
ゲーム部分
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全6ステージで構成されており、順不同の2Dキャラクター4体→プリンス・ゴールドラッシュ(2D)→カーミラ(3D)と倒してエンディングとなる。
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カーミラ以外の2D敵キャラクターもそれなりに変なところはある。
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エルフ・ジーニー:ティンカーベルを人間大にしたような女の子。
はっきり言って主人公組より可愛い。敵を掴んで上空からパイルドライバーするという可憐な外観に似合わない投げ技をなぜか所持している。
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ノーム・ゴーム:ゴブリンのような外観の老人。顎髭がめちゃめちゃ長い。ウキウキと飛び跳ねるニュートラルモーションが特徴的で、戦闘曲が戦闘とは思えないほど陽気なカントリー系ミュージック。ある意味キャラに合っている。
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ファットマン:名前通り肥満体の男。水魔法攻撃を使うが、口から水を滝のように吐きあげて攻撃するという最悪な絵面なのは如何なものか…。
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レッド・ドーン:頭が炎になっており、体格含めてディズニー映画『ヘラクレス』のハデスに似ている。どう見てもパクリ……と思うところだが、実はこちらの方が先であった。
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プリンス・ゴールドラッシュ:置鮎龍太郎氏の声が良く似合う優男だが、なぜか片足ケンケンをしている上に、戦闘曲がサッカーの応援歌ライクなラテン系ミュージック。
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格闘ゲームではあるが「アイテム」の概念があり、一部のものは戦闘中に使うことができる。
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体力やMP(魔法攻撃で使用する)を回復させたり最大値を上げられるもののほかに、固有の魔法攻撃ができるアイテムや一度だけ復活できるアイテムなどもある。
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アイテムはステージ前にショップで買うことで入手するのだが、店員であるゴブリンのキャラクターが入店時のボイスで
「いらっしゃ~い」
と桂三枝師匠のギャグを挟みプレイヤーをイラつかせる。
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「裏情報」というアイテムを買うと次に戦う敵の情報を教えてくれる。説明書には「攻略に有用な情報が書いてある」とあるのだが、大抵の場合は「強力な投げ技を使うから気を付けて」だの「スキを狙って一気にたたみこんでしまえ!」だの、具体性に欠ける有用でもなんでもない情報しか得られない。
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主人公の2人は仮にも王女のはずなのだが、攻撃にはドロップキックやヒップアタックなどの王女を捨てかけている攻撃がいくつも含まれている。
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特にニーナの「デュアルスラッシュ」は尻で滑りながら片足ずつでキックするという失笑必至の珍妙なものである。
エンディング
エンディングではラスボスの魔女・カーミラが、浄化されたのかケバケバしい化粧が無くなってウェディングドレスのような衣装になり微笑みかけてくるという、化粧品のCMのようなこれまたシュールな光景が見られる。
スタッフロールでは、役者が指導役の男性に向かってキックやパンチを行うメイキング映像や、プレイヤーに向けてのセクシーアピールが流れる。現代のセンスではなんとも言えない気分になることこの上ない。
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スタッフロール後には「To be Continued」。もしかして続編を作るつもりだったのだろうか。
評価点
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実写キャラクターを含め、キャラクターボイスは豪華声優陣を起用。
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主人公2人を演じる永島由子氏と住友優子氏を始めとして、カーミラ役の緒方恵美氏や上述したゴールドラッシュ役の置鮎龍太郎氏、ゴームとファットマンを兼任する龍田直樹氏にドーン役の太田真一郎氏とビッグネーム勢ぞろい。
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そして前述のようにオープニング及びエンディングのナレーションは女優の飯島直子氏。よく出演してくれたものである。
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一方で実写キャラを演じた役者は、ニーナ役の広田由美(有美)氏以外は何者なのかよくわかっていない。カーミラ役は「SACHIKO YOSHIDA」、シリン役は「YURI TAKAHASHI」なる人物らしい。
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実写とアニメ絵の対決と言う前代未聞の試み。
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当時はおろか現在までも前例がほぼ無いその前衛的過ぎる
ネタセンス、(意図的かはともかく)演出の安っぽさや違和感から生じる笑い所は他のゲームではまず味わえない。
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万人受けはあり得ないが、楽しめる人は大いに笑えるだろう。
問題点
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肝心の格闘ゲーム部分に関してだが、プレイヤーであるニーナとシリンは通常技の当たり判定が見た目に忠実にしたためか小さめで、おまけに判定も弱いため非常に戦いづらい。
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相手の2Dキャラはアニメのせいか手足が長いため、攻撃判定は大きく強い。AIもやたらと強いため、少々遊んだ程度では間違いなく苦戦する。
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これにより、プレイヤーはニーナの例でいえば立ち強パンチ、必殺技「デュアルスラッシュ」といった一部の強力な攻撃に頼って戦うことを余儀なくされる。システム上、いわゆる起き攻めの対策がされていないため、ある程度のハメが通用するのが救いである。
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強力なAIは、難易度を下げると今度はろくに動かなくなるダメAIに変貌する。どうしてこう極端なんだろうか。
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ファットマンには魔法技が上記の「ウォーター・ビーム」しか存在せず、レッド・ドーンは何故か唯一ピンチ時に発動できる超必殺技が存在するなど、キャラ間のバランスもあまり良くない。
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キャラクター数が3Dキャラ3人、2Dキャラ5人で全8キャラと当時としても少ない。
総評
どこまでが意図的なものかはわからないが最初から最後までツッコミ所満載であり、特に商業の格ゲーでここまでネタに走ったものは珍しい。
バブル期のノリで作った感ありありの独特のセンス、初期の実写ゲームゆえの演出の安っぽさなど、感覚的な部分で思わず失笑してしまうような部分も多い。
難易度を下げればそれほど苦労せずにクリアできるので、安値で買ってバカゲーとして笑う分には申し分無い作品である。
ただ、お世辞にも格ゲーとして良く出来ているとは言えず、当時定価で買ってしまった人の心中は想像に難くない。
もっとも、当時のプレイステーションを発売直後に買うようなマニア層なら、このゲームぐらいは楽しんでしまった人も多いのかもしれない。
余談
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本作の話題になると時折プリキュアが引き合いに出されるが、あちらのシリーズ2作目『ふたりはプリキュア Splash☆Star』は「力を授かった2人のヒロインが五行モチーフの幹部を次々と打ち破り、最後は宇宙規模のラスボスと戦う」という筋書きである。つまり、本作と同じシチュエーションになっている。
かわいそう
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パッケージの裏側には2Dキャラクター達が描かれているが、レッド・ドーンの後ろに薄っすらと別のキャラが映っている。没キャラを間違えて入れてしまったように見えるが、これは超必殺技の際に変身する姿である。
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作中の背景や魔法システムなどの役物は2Dキャラには非常に合っている。その為「元々は2Dのファンタジー世界観の企画に実写キャラとアレなストーリーを無理矢理ねじ込んだのでは?」とウワサされている。
もしかしたら主人公はジーニーやゴールドラッシュだったのかもしれない。
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だいたいの中古ショップでは長らくゴミ同然の不良在庫のような扱いをされていた本作ではあるが、昨今のゲーム実況動画などで良くも悪くも再評価されつつあり、値段が上昇傾向にある。店によってはガラスケース内のプレミアコーナーに置かれるようになったりと、世の中わからないものである。
最終更新:2025年01月04日 19:25