ドラキュラ伝説
【どらきゅらでんせつ】
ジャンル
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アクション
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高解像度で見る
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対応機種
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ゲームボーイ
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発売・開発元
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コナミ
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発売日
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1989年10月27日
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定価
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3,300円
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配信
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バーチャルコンソール:【3DS】2012年3月14日/400円
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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常にマイペースを貫く
漢
らしい主人公 最凶キノコ 突き詰めると最強の敵はコウモリ
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悪魔城ドラキュラシリーズ
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概要
『悪魔城ドラキュラ』シリーズの1作。
主人公は初代『悪魔城ドラキュラ』の主人公・シモン・ベルモンドの先祖「クリストファー・ベルモンド」であり、初代の過去を描く。
本作は携帯機でいつでも『悪魔城ドラキュラ』がプレイできるお手軽さがウリではあるが、じっくり腰をすえて集中しなければならない高難度かつシビアなゲームとなっている。
システム
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横スクロール・ライフ制・残機制・時間制の2D面クリア型アクションゲーム。全4ステージ。
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コンティニューは無制限だが、セーブやパスワードなどの機能は無し。
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メインウェポンは従来通りムチで、パワーアップアイテム(本作は水晶)を手に入れることで二段階(初期段階含まず)にパワーアップするのも同様。
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本作オリジナル要素として、最強段階になると攻撃と同時にムチの先端からファイヤーボールが発生し、遠距離攻撃が可能になる。動きの遅いクリストファーにとっては非常に頼れる存在。
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ただし、ムチは敵から攻撃を受けるたびに一段階パワーダウンしてしまう欠点も持ち合わせている。最強段階になった直後に敵にぶつかったりするともう涙目である。
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サブウェポンはなし。本作においてハートは体力回復アイテムとなっている。
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そのため、シリーズにおけるステージクリア型ゲームの中では、本作は体力回復ポイントの数が非常に多い部類である。
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クリストファーの体力は10ポイントしかないが、敵から受けるダメージは1周目の時点では1~2ポイントがほとんど(最終ボスの体当たりのみ3ポイント)なので、初代のシモンよりも耐久力は高い(後述)。
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ステージ中の大きな段差は、階段の代わりにロープで移動する方式になった。
評価点
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グラフィックの緻密な描き込み、ステージの独特なギミックは評価されており、その難易度からコアなユーザーにも支持を受けている。
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難しいといっても理不尽なものではなく、ごく一部を除いてパターン化は容易にできる。「それをいかに正確にこなせるか」が本作の醍醐味でもある。
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BGMは12曲と少ないが、全て新曲であると同時に個々の出来も非常に良い。
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加えて音の左右の振り分けも効果的に使われている。イヤホン・ヘッドホンの使用を推奨。
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最終ステージのBGMはシリーズの名曲「Bloody Tears」のフレーズが盛り込まれておりファンならにやりとするところ。
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シリーズにおいて最終版でシリーズ過去作の人気曲を流すという演出は定番になっていくがその元祖といえる。(もっともフレーズを少し盛り込んだ程度なので本格的なものだと『悪魔城伝説』の「Dejavu」になるだろうが)
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クリア後は難度が上がった次周が始まる。周回ごとに受けるダメージが2倍…4倍…8倍と倍々になり、5周目では全てのダメージが一撃死となる超絶難度と化す。
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続編の『ドラキュラ伝説II』では難易度は適度なレベル(それでも十分難しいが)に落ち着き、操作性も良くなり、パスワードコンティニューも導入されるなど大幅に向上している。
賛否両論点
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ギリギリジャンプを要求するシビアな局面が多数ある(その緊張感が良いという声もある)。
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ステージ1から早々と登場。もっとも、下が地面であるため単にやり直しで済む辺り、「ここで練習しろ」という意図なのだろうが…。
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問題点というわけではないがステージ3は、トゲが迫ってくるため急がなければならないうえに、ロープからのジャンプ(これも高さの見切りが重要)や落ちる足場との複合パターンが多くある個性的なステージで、特に難関となっている。
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それでも慣れは必要かもしれないがコツを掴めば安定して進める。
問題点
ゲームバランスの問題
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重い操作性。
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クリストファーの動きが全体的に重く、遅い。特に歩きはドラキュラ史上ダントツの鈍足(この重さが良いという声もある)。
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実際のところ歩行速度自体はファミコン版の悪魔城ドラキュラとそう変わらないのだが、アニメーションがゆっくりであるため(初期GBは残像が出てしまうため)過剰なまでに遅い動きに見えてしまう。
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ムチの振りがワンテンポ遅れるため、コウモリや後述のブナグチーの胞子のような動き回る敵には、常に先読みで対処しなければならない。
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こうなってしまったのは、いずれも当時の液晶の反応速度の遅さによるものと言われている。GB発売半年でのノウハウではキャラや背景のドット打ちが全て崩れてしまうためという側面があった。
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その一方で、乗ると落ちる足場の落下スピードは速く、クリストファーの落下スピードも速い。
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重い動きでジャンプしたと思ったらあっという間に落下していく為、落ちる足場は乗り継ぐだけで精いっぱい。ギリギリの乗り継ぎが必要な箇所にある1UP等はよっぽどゲームに慣れないとまず取れない。
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敵から攻撃を受けるとムチが一段階パワーダウンしてしまう仕様
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ライフ制である程度の攻撃は受ける前提のゲームデザインに見えるが、実際はムチを最強にした後は出来るだけノーダメージで進まないとどんどんきつくなっていく仕様。
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初期状態のムチではとことん苦戦するバランスとなっており、1回のミスが致命傷になりやすい。また、後のステージになるほど水晶の配置が少なく、立て直しが困難になる。この容赦のなさはいかにも当時のコナミ社作品らしい。
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終盤にはムチが強化されていればそこまで苦労しないが、初期ムチではかなり相手するのが厳しいボスとの再戦等もある。
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この為、プレイヤーの間でも「ムチがパワーダウンしないモードがあれば…」という声が多かったらしく、続編では「特定の敵の攻撃を受けない限りパワーダウンしない」仕様に改良される事になった。
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穴、トゲ天井、トゲ床、トゲ壁など、即死トラップが多い。
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特にステージ3はトゲによる即死がひたすら続くステージになっており、天井が落ちてくる前にギミックを破壊、トゲに追われながら狭い道を行ったり来たりし、更にはトゲに追われながら綱渡りや狭い足場渡りまでさせられ、本作でも屈指の難ステージとなっている。
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最終ステージとなるステージ4は即死要素だけであればステージ3程ではないが、今までの難しい要素が全て詰まったステージとなっている為、要所要所でトゲによる即死が襲ってくる。
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本作屈指の鬼畜モンスター「ブナグチー」
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キノコ状の敵で地形に当たると反射する胞子を飛ばしてくるのだが、この胞子が極めて速く、避けたり迎撃するのがかなり厳しい。
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胞子は攻撃で破壊可能だが、上記の通りクリストファーの挙動の重さとムチの出の遅さがあいまって迎撃しようとして攻撃が当たらず被弾する事も多い。また、胞子もクリストファーも当たり判定が大きめな事もあり、避けようとしても掠ってしまいやすい。
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流石に厳しくしすぎたと思ったのか、続編では速度が劇的に落とされた。
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一応、攻撃のパターン化は出来るので、ゲームに慣れた後は行動が読めないコウモリよりはマシな敵になる。
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ステージ2開始直後がほぼ運頼み。
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地形が複雑なことに加えて3匹のコウモリが一斉に飛びかかってくる配置になっており、しかもコウモリの動きが決まっていない為、運良く楽な動きをしてくれる時はあっさり抜けられるが運悪く3匹とも向かってくると被弾はまず避けられない。
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上記の通りクリストファーの挙動が重い事もあって3匹とも一斉に向かってこられるとノーダメージで処理するのはほぼ不可能。
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ムチが弱体化する事を除けば、1~3周程度ならダメージ自体はさほどではないが、1回の被ダメージがきつくなってくる4~5周目では最難関箇所となる。
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セーブやパスワードが存在しない
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慣れれば30分程度でクリアできる長さのゲームでコンティニューも無制限なので、ひたすらコンティニューしながら進めていってクリアする事自体は可能だが、そこまで上達するにはやはりそれ相応の時間がかかるわけで、苦手なステージ(特に後半)をすぐに練習できない点は不満が多かった。
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携帯ゲームという事もあり中断手段が一切ないのはやはりきつい。
その他の問題
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サブウェポンが無い。
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結果、攻撃手段の減少によりパターン化が必須。戦略性も薄れることに。
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全体的にボスがショボい
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本作はボス戦よりも道中のステージの方が明らかに難しいという難易度バランスになっており、ボスに到達さえすればそのステージのクリアにはそれほど困らない。
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特にラスボスのドラキュラは第一形態が単調な動きながらも上下左右と斜め四方向に弾を撃つそこそこ見栄えのする攻撃なのに対し、後半の第二形態は巨大コウモリとなって画面上部を左右に飛び、時折コウモリを数匹出す攻撃をしてくるだけという見た目的にもかなりショボい動きをしてくる為、悪い意味で印象に残りやすい。
総評
初代GBの初期のゲームという事もあって全体的にかなりシンプルなつくりになっており、シリーズ恒例要素は簡略化され、ボスや仕掛け、BGMなど本作オリジナル要素も多い。
その中でドラキュラシリーズの難しさを詰め込んだ結果、操作性の不便さも相まってとんでもない難易度のゲームになっている。
無限にコンティニュー出来る事を考慮してもクリアはかなり厳しい。
ゲーム中の爽快感は皆無で、とにかく忍耐を重ねたじっくりプレイを要求されるが、その分このゲームをクリアしたときの達成感はかなりのものである。
剛の者はぜひ挑戦してみてほしい(目標はもちろん5周だ!)。
その他
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本作は『コナミGBコレクションvol.1』で『グラディウス(ネメシス)』、『コナミレーシング』、『コントラ』と共に収録されている。
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また、海外版ではカラー対応となっている(そのせいで隠し通路や一部のトラップがバレバレになっているのはご愛嬌)。
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3DSのバーチャルコンソールで配信されていた。お値段は400円で移植具合は極めて良好。
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続けて『ドラキュラ伝説II』も配信されるかと期待されたが、こちらは配信されなかった。
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音楽CDはスーパーファミコン版『悪魔城ドラキュラ』、『ドラキュラ伝説II』とともに収録された「悪魔城ドラキュラ ベスト2」が発売されている。クリアな音質や2ループ収録など曲自体に問題はないが、ステージ2とステージ3の曲が入れ替わっていたり(おそらく曲名は正しい)、最終ボスBGMのあとに最終ボス「前」BGMが収録されてるなどミスも多い。
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また、ステージ1の曲名は「Battle of the Holly」だが、直訳すると「ひいらぎの戦い」となる。十中八九(むしろ十中十)「Holy」の誤植であろう。
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Wiiウェアにて本作のリメイク版『ドラキュラ伝説 ReBirth』が配信されていた。お値段は1000ポイント。他のRebirthシリーズ(グラディウス、魂斗羅)同様、完成度は高い。
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ただし、当初の予定では「本作『ドラキュラ伝説』のリメイク」としては開発されていなかったらしく、ドラキュラ伝説ならではの敵・仕掛け・BGMなどはほとんど採用されていないため、リメイクというよりほとんどオリジナルな内容となっている。『悪魔城ドラキュラ』シリーズの1つとしては良作なのだが、「ドラキュラ伝説のリメイク」を期待するとコレジャナイ感が強い。
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爆発しても橋を壊さないビッグアイ。段差移動はロープではなく階段。etc. せめて本作のボスが1体でも登場してくれれば…。(一応本作の一面ボスが雑魚敵として登場はする。)
最終更新:2025年04月12日 03:04