ドラキュラ伝説II
【どらきゅらでんせつ つー】
| ジャンル | アクション | 裏を見る
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| 対応機種 | ゲームボーイ | 
| メディア | 1MbitROMカートリッジ | 
| 発売・開発元 | コナミ | 
| 発売日 | 1991年7月12日 | 
| 定価 | 3,800円(税別) | 
| 判定 | 良作 | 
| 悪魔城ドラキュラシリーズリンク | 
 
概要
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ゲームボーイ用の『悪魔城ドラキュラ』シリーズ第二弾。まるで忍耐力養成ソフトかと思うような前作『ドラキュラ伝説』の反省点を踏まえて制作された正式な続編である。
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主人公は今回もシモンの先祖「クリストファー・ベルモンド」。
 前作から15年、身体を失いつつもからくも生き延びたドラキュラは自身の復活とクリストファーへの復讐をもくろみ、最後の魔力を使ってクリストファーの息子「ソレイユ」を操り、復活のための魔力を集め始める。クリストファーは息子を助け出しドラキュラを倒すため再び立ち上がる…。
特徴・評価点
本家との統一と新要素
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本家悪魔城シリーズ同様サブウェポン(クロスと聖水)が使用可能に。
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ライフ回復も本家悪魔城にあわせ、地形に隠された「肉」で回復する。
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前作で回復効果だった「ハート」は、これまた本家同様にサブウェポンの使用回数増加効果に戻った。
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通常のコンティニューの他、パスワードによるコンティニューが可能に(4つのマスに3つのアイコンを並べるというシンプルで分かりやすいもの)。
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ゲーム展開は、最初は4つの城(クリスタルキャッスル、ロックキャッスル、プラントキャッスル、クラウドキャッスル)から任意に選択してクリアしていく。全てをクリアするとドラキュラ城ステージが出現するという『ロックマン』のようなステージセレクト式の構成になっている。ただし一度クリアしたステージの再選択はできない。
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4つの城はそれぞれ特徴に沿ったギミックがあり、ドラキュラ城ステージはそれらを複合して難易度を上げたステージになっている。
 
前作から引き継いだ要素
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前作の特徴的な要素の多くが継承されており、バランスも練り直された。
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水晶玉によるムチの2段階強化(初期段階含まず)。
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今回はパワーダウンが「ブナグチーの胞子」に触れた時のみになり、さらに胞子は見てから余裕をもって対処できる速度に調整されたため、理不尽さが減った。
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なお、2周目以降はコウモリなどに触れた時もパワーダウンするようになる。
 
 
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ビッグアイの爆発で崩れる橋、壁から飛び出す針等、『ドラキュラ伝説』らしい個性的なギミックも継承されている。
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引き継いだものだけでなく、クラウドキャッスル等の滑車や、ロックキャッスルのダークゾーン等、新たなギミックもある。中でも超巨大な吊り天井は圧巻の迫力。
 
操作やバランスの改善
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前作の大きな難点だったクリストファーの動きの重さは、「軽快」とまではいかないまでもかなり改善され、ムチを振る速度も上がった。
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サブウェポンが復活したため、クロスで攻撃重視、聖水で防御重視といった選択肢が生まれ、戦略性も向上した(従来のバランスに戻っただけともいえる)。
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今回もフロアの昇り降りはロープで行うが、ロープを高速で滑り降りる操作が追加され、降りる時だけとはいえイライラ感が減った。また、ロープに掴まっている時もムチを振る事が可能になった。
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ギリギリのジャンプが必要な場面はなくなり、針に触れても即死しなくなる(もちろん大きなダメージは受けるが)など、シビアさは緩和されている。
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全体的にプレイヤーに有利な調整が目立つが、だからと言って簡単すぎることはない。やられた際の復活は難しいし、一部はパターン化が必要だったりで、手応えはある。
個性的な敵キャラ
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前述のブナグチーのほか、破壊すると爆発して橋を壊すビッグアイ、カマを投げる怪人ナイトストーカーといった濃い面々は前作から続投している。ただし流用ではなく、すべて新たに描き起こすという力の入れ具合。陰影が強調され、よりリアルになった。
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ボスはGBの限界に迫った大型のものが多い。特に「アイアンドール」「ツイントライデント」「エンジェルマミー」はGBとは思えない動きと重厚さである。
良質なBGM
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前作もBGMの出来は良かったが本作はさらにその上をいく。全体的にGBの音源とは思えないほど重厚である。
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ドラキュラ城ステージ後半のBGMは実在のクラシック楽曲を使用し、ベルモンド家の宿命と決戦の緊張感を演出している。
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うれしいことにサウンドテスト用のパスワードがあるので、好きなだけ聴く事が可能である(ただし一部の曲は聴けない)。
問題点
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パスワードがゲームオーバー時にしか表示されないため、中断したい時は残機潰しをせねばならず面倒。
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最終ステージのパスワードは存在するが、なぜか隠し扱いになっておりゲームでは表示されない。
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ライフ回復が隠しアイテムである為、慣れないうちは厳しいバランスに感じる。
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アイテムが隠された壁はムチのファイヤーボールが貫通しないという仕様があるため、それが分かれば幾分探しやすくはなる。
 
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やや理不尽なボスの攻撃
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単調な攻撃でボスでは苦労しなかった前作からきちんとボスらしく歯ごたえのある強さになったのだが、ラスボス直前のソレイユ戦とラスボスのドラキュラ戦はやや理不尽な攻撃をしてくる。
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ソレイユは頭上へ3本ナイフを飛ばした後、それがそのまま下に落ちるか3方向へ分かれて落ちてくるかの2択を仕掛けてくるのだが、それと同時に突っ込んできながら鞭をふるってくる。
 ナイフ以外はこちらと同様の攻撃になるのだが、突っ込んでくる体にも他のボス同様に当たり判定がある為、かなりきつい。ラスボス以上に強いとも言われる。
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ラスボスは今回は1形態のみだが、足場を転々としながら自身の周囲に大量の玉を回転させ、それを螺旋状に広げて攻撃してくる。(同社の大魔司教ガリウスのラスボスの行動ほぼそのまま)
 玉の大きさがそれなりに大きくボスの近くで避けるのはかなり難しく、離れていても避けたつもりで当たってしまう事も多い。
 
 
総評
GBトップクラスのグラフィックと曲、快適になった操作性、練られたバランスと戦略性は、『悪魔城伝説』とならぶシリーズの傑作と言っていい完成度を誇る。
前作の良かった部分は残し、悪かった部分は改善し、新たな要素と良調整を加えGBのドラキュラを完成させた。
「難しさ」という点ではやはりかなりの腕を求められるが、アクションゲーム好きにはぜひやってもらいたい名作である。
余談
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前作は周回ごとにダメージが倍になるというおそろしい仕様だったが、本作は2周目以降の変化はしない。
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海外版ではクロスが斧に変更されている。理由はおそらく従来と同じ宗教上の問題か。
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斧は従来作と同じように放物線を描く軌道で飛んでいくため、日本版では死角となっていた上方向を補うことが可能となっている。
 
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『コナミGBコレクションVol.3』では他のGBで発売されたコナミ作品と共に収録されている。
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同作の欧州版はカラー対応でリリースされているのだが、サブウェポンの種類が海外版原作の斧&聖水から、国内版準拠のクロス&聖水に戻されている。
 
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2度にわたって主人公を務めたクリストファーだが、前作で安く見積もって10代後半だったとしても、本作では30歳過ぎである。
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身体を酷使するスポーツ選手なら引退も考え始めるであろうこの時期に、強大な敵を相手に再び立ち上がらなければならなかった重責はかなりのものだっただろう(息子の成人の儀式を終えた直後だけに余計)。
 しかしそれを微塵も感じさせないクリストファーの男らしさは今回も健在であり、「英雄クリストファー伝説」として語り継がれるのも納得の格好良さである。
 この際、前回ドラキュラを討ちもらした失態は快く水に流してあげようではないか。
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一応フォローすると、ドラキュラと戦うのはクリストファーが初である。ドラキュラの討伐自体過去に前例のないことで、体が破壊された状態から生き延びるなんて普通は考えつかない筈、討ちもらしていたとしてもそれは責められるべきことではないだろう(今回はしっかり封印できたのだし)。
 
最終更新:2025年01月02日 15:16